JP2011224592A - 鋳型用組成物を製造するためのキット - Google Patents

鋳型用組成物を製造するためのキット Download PDF

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Abstract

【課題】硬化剤の保存安定性及びハンドリング性を確保できる上、鋳型の最終強度を向上させることができる、鋳型用組成物を製造するためのキット、及びこれを用いた鋳型用組成物並びに鋳型の製造方法を提供する。
【解決手段】耐火性粒子と共に使用される鋳型用組成物を製造するためのキットであって、フラン樹脂を含有する粘結剤と、硬化剤とからなり、前記粘結剤が、塩化カルシウム0.5〜5.0重量%を含有し、前記硬化剤が、硫酸20〜60重量%と、有機スルホン酸系化合物0〜60重量%とを含有し、前記硬化剤において、硫酸及び有機スルホン酸系化合物の合計重量に対する硫酸の重量比{硫酸/(硫酸+有機スルホン酸系化合物)}が、0.35〜1.00である、キットとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐火性粒子と共に使用される鋳型用組成物を製造するためのキット、及びこれを用いた鋳型用組成物並びに鋳型の製造方法に関する。
酸硬化性自硬性鋳型は、珪砂等の耐火性粒子に、酸硬化性樹脂を含有する鋳型造型用粘結剤と、有機スルホン酸、硫酸、リン酸等を含有する硬化剤とを添加し、これらを混練した後、得られた混練砂を木型等の原型に充填し、酸硬化性樹脂を硬化させて製造される。酸硬化性樹脂には、フラン樹脂やフェノール樹脂等が用いられており、フラン樹脂には、フルフリルアルコール、フルフリルアルコール・尿素ホルムアルデヒド樹脂、フルフリルアルコール・ホルムアルデヒド樹脂、フルフリルアルコール・フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、その他公知の変性フラン樹脂等が用いられている。得られた鋳型は、機械鋳物部品や建設機械部品あるいは自動車用部品等の鋳物を鋳造する際に使用される。
前記した鋳型の造型、あるいは鋳型を用いて所望の鋳物を鋳造する上で、重要な項目として鋳型の最終強度の向上が挙げられる。鋳型の最終強度については、大型の鋳型を生産する場合に特に必要となり、強度が不足すると、鋳型が割れたり、鋳造時の中子割れが発生したりして、作業者に危険が及んだり、得られる鋳物が不良品になる恐れがある。
また、もう一つの重要な項目として、フラン樹脂を硬化させるために用いる硬化剤の特性、特に、保存安定性やハンドリング性が挙げられる。硬化剤には、一般的にキシレンスルホン酸水溶液が用いられているが、低温環境下においては、キシレンスルホン酸が結晶化することによって、保存安定性が低下するおそれがあった。また、キシレンスルホン酸水溶液は、低温環境下において粘度が高くなるために、ハンドリング性が低下するおそれがあった。よって、通常は、キシレンスルホン酸水溶液に硫酸を添加することにより、保存安定性とハンドリング性を確保している。しかしながら、硬化剤中の硫酸含有率を高くすると、鋳型の最終強度が低下する課題がある。
特許文献1では、鋳型の初期強度を向上させるために、酸硬化性樹脂と金属の塩化物とを含む鋳型造型用粘結剤組成物が提案されている。
特開2010−29905号公報
しかしながら、特許文献1の粘結剤では、鋳型の最終強度を向上させるのは困難であることが本発明者らの検討により判明した。また、特許文献1では、低温環境下での鋳型の製造には言及されておらず、硬化剤の保存安定性及びハンドリング性についても言及されていない。
本発明は、硬化剤の保存安定性及びハンドリング性を確保できる上、鋳型の最終強度を向上させることができる、鋳型用組成物を製造するためのキット、及びこれを用いた鋳型用組成物並びに鋳型の製造方法を提供する。
本発明の鋳型用組成物を製造するためのキットは、耐火性粒子と共に使用される鋳型用組成物を製造するためのキットであって、フラン樹脂を含有する粘結剤と、硬化剤とからなり、前記粘結剤が、塩化カルシウム0.5〜5.0重量%を含有し、前記硬化剤が、硫酸20〜60重量%と、有機スルホン酸系化合物0〜60重量%とを含有し、前記硬化剤において、硫酸及び有機スルホン酸系化合物の合計重量に対する硫酸の重量比{硫酸/(硫酸+有機スルホン酸系化合物)}が、0.35〜1.00である、キットである。
本発明の鋳型用組成物は、耐火性粒子と、前記本発明のキットを構成する前記粘結剤及び前記硬化剤とを混合してなる鋳型用組成物である。
本発明の鋳型の製造方法は、前記本発明の鋳型用組成物を鋳型製造用の型に充填して、前記鋳型用組成物を硬化させる、鋳型の製造方法である。
本発明の鋳型用組成物を製造するためのキットによれば、硬化剤の保存安定性及びハンドリング性を確保できる上、鋳型の最終強度を向上させることができる。また、本発明の鋳型用組成物及び鋳型の製造方法によれば、鋳型製造用の型に充填する際の鋳型用組成物のハンドリング性を確保できる上、鋳型の最終強度を向上させることができる。
本発明の鋳型用組成物を製造するためのキット(以下、単に「キット」ともいう)は、耐火性粒子と共に使用されるキットであり、フラン樹脂を含有する粘結剤と、硬化剤とからなる二剤型のキットである。以下、本発明のキットの粘結剤及び硬化剤に含有される成分について説明する。
[粘結剤]
<フラン樹脂>
粘結剤に含有されるフラン樹脂としては、公知のものが使用でき、例えば、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールと尿素の縮合物、フルフリルアルコールとフェノール類とアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールとメラミンとアルデヒド類の縮合物、及びフルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物よりなる群から選ばれる1種からなるものや、これらの群から選ばれる2種以上の混合物からなるものが使用できる。また、これらの群から選ばれる2種以上からなる共縮合物も使用できる。フルフリルアルコールは、非石油資源である植物から製造できるため、地球環境の観点からも、前記列挙したフラン樹脂を使用することが好ましい。コストの観点、及び鋳型強度の観点から、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物、及びフルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物を使用するのが好ましく、フルフリルアルコール、及びフルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物を使用するのがより好ましい。該アルデヒド類としてはホルムアルデヒドを使用するのがより好ましい。
前記アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザール、フルフラール、テレフタルアルデヒド等が挙げられ、これらのうち1種以上を適宜使用できる。鋳型強度を向上させる観点からは、ホルムアルデヒドを用いるのが好ましく、造型時のホルムアルデヒド発生量を低減させる観点からは、フルフラールやテレフタルアルデヒドを用いるのが好ましい。
前記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールFなどが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
フラン樹脂の具体例として、花王クエーカー社製 カオーライトナーEF−5501(フルフリルアルコールと尿素とホルムアルデヒドの縮合物のフルフリルアルコール溶液にシランカップリング剤を含有させたフラン樹脂)等の市販品が挙げられる。
粘結剤中のフラン樹脂の含有量は、鋳型強度を十分発現する観点から、好ましくは55〜99.5重量%であり、より好ましくは60〜90重量%であり、更に好ましくは65〜85重量%である。
<塩化カルシウム>
本発明で使用される粘結剤には、鋳型の最終強度を向上させるために、塩化カルシウムが含有される。塩化カルシウムとしては、特に限定されないが、例えば、塩化カルシウム2水和物(和光純薬社製試薬・特級)等の市販品を使用できる。
塩化カルシウムの添加方法としては、特に限定されず、フラン樹脂合成時に添加しても良く、フラン樹脂合成後に添加しても良い。なお、フラン樹脂の合成工程において、塩化カルシウムの存在下で縮合反応を行う場合、その他の縮合反応の条件については従来公知の方法を採用できる。
粘結剤中の塩化カルシウムの含有量は、フラン樹脂への溶解性の観点、及び鋳型の最終強度向上の観点から、0.5〜5.0重量%であり、1.0〜5.0重量%が好ましく、2.0〜4.0重量%がより好ましい。
<硬化促進剤>
本発明で使用される粘結剤(又は本発明の鋳型用組成物)には、鋳型強度を向上させる観点から、硬化促進剤が含まれていてもよい。硬化促進剤としては、鋳型強度を向上させる観点から、下記一般式(1)で表される化合物(以下、硬化促進剤(1)という)、フェノール誘導体、芳香族ジアルデヒド、及びタンニン系化合物からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。なお、硬化促進剤は、フラン樹脂の一成分として含有されてもよい。
Figure 2011224592
〔式中、X1及びX2は、それぞれ水素原子、CH3又はC25の何れかを表す。〕
硬化促進剤(1)としては、2,5−ビスヒドロキシメチルフラン、2,5−ビスメトキシメチルフラン、2,5−ビスエトキシメチルフラン、2−ヒドロキシメチル−5−メトキシメチルフラン、2−ヒドロキシメチル−5−エトキシメチルフラン、2−メトキシメチル−5−エトキシメチルフランが挙げられる。中でも、鋳型強度を向上させる観点から、2,5−ビスヒドロキシメチルフランを使用するのが好ましい。粘結剤中の硬化促進剤(1)の含有量は、硬化促進剤(1)のフラン樹脂への溶解性の観点及び鋳型強度を向上させる観点から、0.5〜63重量%であることが好ましく、1.8〜50重量%であることがより好ましく、2.5〜50重量%であることが更に好ましく、3.0〜40重量%であることが更により好ましい。
フェノール誘導体としては、例えばレゾルシン、クレゾール、ヒドロキノン、フロログルシノール、メチレンビスフェノール等が挙げられる。なかでも、鋳型強度を向上させる観点から、レゾルシン、フロログルシノールが好ましい。粘結剤中の前記フェノール誘導体の含有量は、フェノール誘導体のフラン樹脂への溶解性の観点及び鋳型強度を向上させる観点から、1.5〜25重量%であることが好ましく、2.0〜15重量%であることがより好ましく、3.0〜10重量%であることが更に好ましい。
芳香族ジアルデヒドとしては、テレフタルアルデヒド、フタルアルデヒド及びイソフタルアルデヒド等、並びにそれらの誘導体等が挙げられる。それらの誘導体とは、基本骨格としての2つのホルミル基を有する芳香族化合物の芳香環にアルキル基等の置換基を有する化合物等を意味する。鋳型強度を向上させる観点から、テレフタルアルデヒド及びテレフタルアルデヒドの誘導体が好ましく、テレフタルアルデヒドがより好ましい。粘結剤中の芳香族ジアルデヒドの含有量は、芳香族ジアルデヒドをフラン樹脂に十分に溶解させる観点、鋳型強度を向上させる観点、及び芳香族ジアルデヒド自体の臭気を抑制する観点から、好ましくは0.1〜15重量%であり、より好ましくは0.5〜10重量%であり、更に好ましくは1〜5重量%である。
タンニン系化合物としては、鋳型強度を向上させる観点から、縮合タンニンや加水分解型タンニンが好ましく、地球環境の観点から、植物からの抽出物であることがより好ましい。特に、樹皮から抽出された縮合タンニンや植物の虫嬰から抽出された加水分解型タンニンが好ましい。
<水分>
本発明で使用される粘結剤には、さらに水分が含まれてもよい。例えば、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物などの各種縮合物を合成する場合、水溶液状の原料を使用したり縮合水が生成したりするため、縮合物は、通常、水分との混合物の形態で得られるが、このような縮合物を粘結剤に使用するにあたり、合成過程に由来するこれらの水分をあえて除去する必要はない。また、粘結剤を取扱いやすい粘度に調整する目的などで、水分をさらに添加してもよい。ただし、水分が過剰になると、フラン樹脂の硬化反応が阻害されるおそれがあるため、粘結剤中の水分含有量は0.5〜30重量%の範囲とすることが好ましく、粘結剤を扱いやすくする観点と硬化反応速度を維持する観点から1〜10重量%の範囲がより好ましく、3〜7重量%の範囲が更に好ましい。また、鋳型強度を向上させる観点から、10重量%以下とすることが好ましく、7重量%以下とすることがより好ましく、4重量%以下とすることが更に好ましい。
<その他の添加剤>
また、本発明で使用される粘結剤には、さらにシランカップリング剤等の添加剤が含まれていてもよい。例えばシランカップリング剤が含まれていると、得られる鋳型の強度を向上させることができるため好ましい。シランカップリング剤としては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−α−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランや、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシランなどが用いられる。好ましくは、アミノシラン、エポキシシラン、ウレイドシランである。シランカップリング剤の粘結剤中の含有量は、鋳型強度の観点から、0.01〜0.5重量%であることが好ましく、0.05〜0.3重量%であることがより好ましい。なお、シランカップリング剤は、フラン樹脂の一成分として含有されてもよい。
[硬化剤]
本発明で使用される硬化剤は、前記粘結剤を硬化させる硬化剤であり、硬化剤の保存安定性及びハンドリング性、特に低温環境下(例えば10℃以下)における硬化剤の保存安定性及びハンドリング性を向上させ、かつ鋳型の最終強度を向上させるために、硫酸と有機スルホン酸系化合物を特定比率で含有する。
<硫酸>
本発明で使用される硫酸とは、HSOなる化学式で表される物質であり、一般に市販品としては、96〜98重量%の硫酸水溶液として入手することができる。
硬化剤中の硫酸の含有量は、硬化剤の保存安定性及びハンドリング性を向上させる観点から、20重量%以上であり、25重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましい。また、鋳型の最終強度を向上させる観点から、60重量%以下であり、55重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましい。以上の観点を総合すると、硬化剤中の硫酸の含有量は、20〜60重量%であり、25〜55重量%であることが好ましく、30〜50重量%であることがより好ましい。
<有機スルホン酸系化合物>
有機スルホン酸系化合物としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸等のアルカン又はアリールスルホン酸、フェノールスルホン酸などが挙げられるが、鋳型の最終強度を向上させる観点、及びコストの観点から、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、及びメタンスルホン酸からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、及びメタンスルホン酸からなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
有機スルホン酸系化合物は、製造時に生成する異性体を含んでいてもよい。例えば、キシレンスルホン酸を例に挙げると、m−キシレン−4−スルホン酸、m−キシレン−2−スルホン酸、o−キシレン−4−スルホン酸、o−キシレン−2−スルホン酸、p−キシレン−2−スルホン酸や、不純物としてm−キシレン−2,4−ジスルホン酸、m−キシレン−2,6−ジスルホン酸などのジスルホン酸などが含まれていても良い。これらスルホン酸の種類はNMR分析により同定することができる。
硬化剤中の有機スルホン酸系化合物の含有量は、鋳型の最終強度を向上させる観点から、0重量%以上であり、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましい。また、硬化剤の保存安定性及びハンドリング性を向上させる観点から、60重量%以下であり、50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましい。以上の観点を総合すると、硬化剤中の有機スルホン酸系化合物の含有量は、0〜60重量%であり、10〜50重量%であることが好ましく、20〜30重量%であることがより好ましい。
本発明で使用される硬化剤において、硬化剤の保存安定性及びハンドリング性、特に低温環境下(例えば10℃以下)における硬化剤の保存安定性及びハンドリング性を向上させ、かつ鋳型の最終強度を向上させる観点から、硫酸及び有機スルホン酸系化合物の合計重量に対する硫酸の重量比{硫酸/(硫酸+有機スルホン酸系化合物)}は、0.35〜1.00であり、0.50〜0.90であることが好ましく、0.60〜0.85であることがより好ましい。
<その他の成分>
本発明で使用される硬化剤には、硫酸及び有機スルホン酸系化合物以外の成分として、公知の酸性物質が含有されても良い。前記酸性物質としては、例えば、カルボン酸等の有機酸や、リン酸等のリン酸系化合物、あるいは硝酸等の無機酸などの1種又は2種以上の混合物が例示できる。前記酸性物質の硬化剤中の含有量は、鋳型強度向上の観点から、0.1〜30重量%であることが好ましく、0.1〜20重量%であることがより好ましい。
更に、硬化剤には、アルコール類、エーテルアルコール類及びエステル類よりなる群から選ばれる1種以上の溶剤や、カルボン酸類を含有させることができる。これらの中でも、鋳型強度の向上の観点から、アルコール類、エーテルアルコール類が好ましく、エーテルアルコール類がより好ましい。また、前記溶剤やカルボン酸類を含有させると、硬化剤中の水分量が低減されるため、鋳型強度が更に向上する。前記溶剤や前記カルボン酸類の硬化剤中の含有量は、鋳型強度向上の観点から、5〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましい。また、硬化剤の粘度を低減させる観点からは、メタノールやエタノールを含有させることが好ましい。
鋳型強度の向上を図る観点から、前記アルコール類としては、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ベンジルアルコールが好ましく、エーテルアルコール類としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルが好ましく、エステル類としては、酢酸ブチル、安息香酸ブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが好ましい。カルボン酸類としては、鋳型強度向上及び臭気低減の観点から、水酸基を持つカルボン酸が好ましく、乳酸、クエン酸、リンゴ酸がより好ましい。なお、硬化剤は、上記各成分以外の残部としては、イオン交換水等の水が使用できるが、硬化剤の保存安定性及びハンドリング性を向上させる観点から、硬化剤中の水分含有量は、10〜50重量%であることが好ましく、15〜50重量%であることがより好ましく、20〜50重量%であることが更に好ましい。
本発明の鋳型用組成物は、耐火性粒子と、前記本発明のキットを構成する前記粘結剤及び前記硬化剤とを混合してなる鋳型用組成物である。耐火性粒子としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂等の従来公知のものを使用でき、また、使用済みの耐火性粒子を回収したものや再生処理したものなども使用できる。
本発明の鋳型用組成物における耐火性粒子と粘結剤と硬化剤との比率は適宜設定できるが、耐火性粒子100重量部に対して、粘結剤が0.5〜1.5重量部で、硬化剤が0.07〜1重量部の範囲が好ましい。このような比率であると、十分な強度の鋳型が得られやすい。更に、硬化剤の含有量は、鋳型に含まれる水分量を極力少なくする観点と、ミキサーでの混合効率の観点から、粘結剤中のフラン樹脂100重量部に対して10〜40重量部であることが好ましく、15〜35重量部であることがより好ましく、18〜25重量部であることが更に好ましい。
本発明の鋳型の製造方法は、前記本発明の鋳型用組成物(鋳物砂)を、鋳型製造用の型に充填して、前記鋳型用組成物を硬化させる鋳型の製造方法である。本発明の鋳型の製造方法では、従来の鋳型の製造方法のプロセスを利用して鋳型を製造することができる。例えば、前記粘結剤及び前記硬化剤を耐火性粒子に加え、これらをバッチミキサーや連続ミキサーなどで混練することによって鋳型用組成物(鋳物砂)を調製し、これを木型等の鋳型製造用の型に充填して、前記鋳型用組成物を硬化させることにより鋳型を得ることができる。
従来の鋳型の製造方法では、低温環境下において、鋳型用組成物中の硬化剤の粘度が高くなるために、鋳型用組成物のハンドリング性が低下する場合があった。しかし、本発明の鋳型の製造方法では、硫酸と有機スルホン酸系化合物を特定比率で含有させた硬化剤を使用することにより、低温環境下、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下の雰囲気温度においても鋳型用組成物のハンドリング性を確保することができる。なお、本発明の鋳型の製造方法では、可使時間を確保する観点から、前記硬化剤を耐火性粒子に添加した後、前記粘結剤を添加することが好ましい。
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。
<粘結剤に使用されたフラン樹脂>
フラン樹脂としては、フルフリルアルコールと尿素とホルムアルデヒドの縮合物のフルフリルアルコール溶液にシランカップリング剤を含有させたフラン樹脂(花王クエーカー社製、カオーライトナーEF−5501、窒素含有量:1.8重量%、水分含有量:3.4重量%、粘度:17mPa・s/25℃)を使用した。なお、上記フラン樹脂中の遊離のフルフリルアルコールの含有量は72重量%であり、シランカップリング剤(N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)の含有量は0.1重量%であった。上記窒素含有量、水分含有量及び粘度の測定方法を以下に示す。
<フラン樹脂中の窒素含有量>
フラン樹脂中の窒素含有量は、JIS K 0102に示されるケルダール法に基づいて測定を行った。
<フラン樹脂中の水分含有量>
フラン樹脂中の水分含有量は、JIS K 2275に示されるカールフィッシャー法に基づいて測定を行った。
<フラン樹脂の粘度>
フラン樹脂の粘度は、JIS Z 8803に基づいて、E型粘度計により測定した。
<実施例1〜9及び比較例1〜8の鋳型用組成物の調製>
5℃、相対湿度55%の条件下で、珪砂〔山川産業社製、フリーマントル新砂〕2kgに対し、表1に示す硬化剤10.0gを添加した後、混練し、次いで表1に示す量で、上記フラン樹脂であるEF−5501と塩化カルシウム2水和物(和光純薬社製試薬・特級)を混合することにより得られた粘結剤20.0gを添加し、これらを混合して鋳型用組成物(鋳物砂)を得た。
使用した硬化剤、及び得られた鋳型用組成物について、以下に示す評価を行った。結果を表1に示す。
<硬化剤の保存安定性>
50mL容量のガラス製スクリュー管に、表1に示す硬化剤をそれぞれ30g秤量し、密栓後、低温恒温機(ESPEC社製、LU−113)を用い、−20℃で3日間保管し、目視により、下記基準で評価を行った。
A:液状のままであった。
B:調製時(5℃)には固化しなかったが、保存中に固化した。
C:調製時(5℃)に固化した。
<硬化剤のハンドリング性>
硬化剤のハンドリング性は、JIS Z 8803に基づいて、B型粘度計により硬化剤(25℃)の粘度を測定し、下記基準で評価を行った。
A:粘度が30mPa・s以下である。
B:粘度が30mPa・sを超えて、50mPa・s未満である。
C:粘度が50mPa・s以上であるか、既に固化している。
<鋳型強度測定>
混練直後の鋳型用組成物を直径50mm、高さ50mmの円柱形状のテストピース枠に充填した。5℃、相対湿度55%の条件下で、0.5時間及び1時間放置したサンプルについて抜型を行い、それぞれJIS Z 2604−1976に記載された方法で圧縮強度を測定し、得られた測定値をそれぞれ0.5時間後及び1時間後の鋳型強度とした。別途、混練直後の鋳型用組成物を直径50mm、高さ50mmの円柱形状のテストピース枠に充填し、5℃、相対湿度55%の条件下で3時間放置した後、抜型を行い、更に5℃、相対湿度55%の条件下で、21時間放置したサンプル(放置時間の合計が24時間)について、JIS Z 2604−1976に記載された方法で圧縮強度を測定し、得られた測定値を24時間後の鋳型強度とした。
Figure 2011224592
表1に示すように、実施例の硬化剤は、いずれも保存安定性及びハンドリング性が良好であった。また、実施例で得られた鋳型は、いずれも24時間後の鋳型強度が高いため、本発明によれば鋳型の最終強度を向上できることが確認された。一方、比較例は、少なくとも1つの評価項目について、実施例に比べて顕著に劣る結果であった。

Claims (5)

  1. 耐火性粒子と共に使用される鋳型用組成物を製造するためのキットであって、
    フラン樹脂を含有する粘結剤と、硬化剤とからなり、
    前記粘結剤が、塩化カルシウム0.5〜5.0重量%を含有し、
    前記硬化剤が、硫酸20〜60重量%と、有機スルホン酸系化合物0〜60重量%とを含有し、
    前記硬化剤において、硫酸及び有機スルホン酸系化合物の合計重量に対する硫酸の重量比{硫酸/(硫酸+有機スルホン酸系化合物)}が、0.35〜1.00である、キット。
  2. 前記フラン樹脂が、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールと尿素の縮合物、フルフリルアルコールとフェノール類とアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールとメラミンとアルデヒド類の縮合物、及びフルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物よりなる群から選ばれる1種以上、又は前記群から選ばれる2種以上からなる共縮合物を含む請求項1記載のキット。
  3. 耐火性粒子と、請求項1又は2記載のキットを構成する前記粘結剤及び前記硬化剤とを混合してなる鋳型用組成物。
  4. 請求項3記載の鋳型用組成物を鋳型製造用の型に充填して、前記鋳型用組成物を硬化させる、鋳型の製造方法。
  5. 10℃以下の雰囲気温度で、前記鋳型用組成物を前記鋳型製造用の型に充填する請求項4記載の鋳型の製造方法。
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