JP6607725B2 - 鋳型造型用粘結剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳型造型用粘結剤組成物に関する。
一般に、酸硬化性自硬性鋳型は、珪砂等の耐火性粒子に、酸硬化性樹脂を含有する鋳型造型用粘結剤組成物と、スルホン酸、硫酸、リン酸等を含有する硬化剤組成物とを添加し、これらを混練した後、得られた混練砂を木型等の原型に充填し、酸硬化性樹脂を硬化させて製造される。酸硬化性樹脂には、フラン樹脂やフェノール樹脂等が用いられており、フラン樹脂には、フルフリルアルコール、フルフリルアルコール・尿素・ホルムアルデヒド樹脂、フルフリルアルコール・ホルムアルデヒド樹脂、フルフリルアルコール・フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、その他公知の変性フラン樹脂等が用いられている。得られた鋳型は、機械鋳物部品や建設機械部品あるいは自動車用部品等の鋳物を鋳造する際に使用される。
鋳型の造型、あるいは鋳型を用いて所望の鋳物を鋳造する上で重要な課題として、鋳型の強度を向上させることが挙げられる。また、もう一つの重要な課題として、鋳型の可撓性が挙げられる。例えば、複雑な形状の鋳型を造型した際に、鋳型の可撓性が高ければ、抜型時に鋳型の肉厚が薄い部分に応力が集中することに起因する鋳型割れを防ぐことができる。鋳型割れは、手直しすることで補えない場合、再度鋳型を製造する必要があり、生産性を大きく悪化させる要因の一つである(例えば、特許文献1)。
また、鋳型の造型、あるいは鋳型を用いて所望の鋳物を鋳造する上でその他の重要な項目として、鋳造時の作業環境の改善が挙げられる。特許文献2に記載されているような従来の酸硬化性自硬性鋳型には、硬化剤として有機スルホン酸、硫酸等の硫黄原子を含有する酸が使用されるため、特に鋳造時における二酸化硫黄等のSOxやその他成分の熱分解ガスが作業環境を悪化させる恐れがある。そのため、SOxの発生を抑制することが望まれている(例えば、特許文献3)。
特開2011−131236号公報 特開平8−10895号公報 特開2011−212746号公報
しかしながら、SOx等の有害物質や有害ガスの発生の抑制を目的とする従来の技術では十分な鋳型の強度及び鋳型の可撓性が得られないことがあり、鋳型の生産性が低下することがあった。
本発明は、SOx等の有害物質や有害ガスの発生を抑制しながら鋳型の強度及び鋳型の可撓性を向上させることができる鋳型造型用粘結剤組成物、鋳型造型用組成物、及び鋳型用組成物、並びに鋳型の製造方法を提供する。
本発明の鋳型造型用粘結剤組成物は、フランアルデヒド化合物、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する。
本発明の鋳型造型用組成物は、フランアルデヒド化合物、及び当該フランアルデヒド化合物を硬化させる硬化剤、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する。
本発明の鋳型用組成物は、耐火性粒子、フランアルデヒド化合物、及び当該フランアルデヒド化合物を硬化させる硬化剤、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する。
本発明の鋳型の製造方法は、耐火性粒子、フランアルデヒド化合物、及び当該フランアルデヒド化合物を硬化させる硬化剤、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する。
本発明によれば、SOx等の有害物質や有害ガスの発生を抑制しながら鋳型の強度及び鋳型の可撓性を向上させることができる鋳型造型用粘結剤組成物、鋳型造型用組成物、及び鋳型用組成物、並びに鋳型の製造方法を提供することができる。
<鋳型造型用粘結剤組成物>
本実施形態の鋳型造型用粘結剤組成物(以下、単に粘結剤組成物ともいう)は、フランアルデヒド化合物、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する。当該粘結剤組成物によれば、SOx等の有害物質や有害ガスの発生を抑制しながら鋳型の強度及び鋳型の可撓性を向上させることができる。当該粘結剤組成物がこの様な効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
フランアルデヒド化合物を粘結剤として用いることにより、鋳造時のSOx等の有害物質や有害ガスの発生を抑制することができる。しかし、当該フランアルデヒド化合物を粘結剤として用いると硬化後の樹脂の架橋密度が高くなり、鋳型の可撓性が低くなるため、鋳型の強度が低くなる。当該フランアルデヒド化合物と、一定以上の重量平均分子量を有するグリコール化合物及び一定以上の重量平均分子量を有するグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上とを併用すると、フランアルデヒド化合物を含有する樹脂と反応しない当該グリコール化合物等は、フランアルデヒド化合物を含有する樹脂に対して可塑剤として働くため、鋳型の可撓性を向上させ、鋳型の強度をも向上させることができると考えられる。
〔フランアルデヒド化合物〕
前記粘結剤組成物は、SOx等の有害物質や有害ガスの発生を抑制する観点、及び鋳型の強度向上の観点から、フランアルデヒド化合物を含有する。当該フランアルデヒド化合物は、フラン環を有するアルデヒドであり、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール、及び5−アセトキシメチルフルフラールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。これらの中でも、鋳型の強度向上の観点から、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましく、フルフラールが更に好ましい。
前記粘結剤組成物中の前記フランアルデヒド化合物の含有量は、鋳型の強度向上の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。前記粘結剤組成物中のフランアルデヒド化合物の含有量は、同様の観点から、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましい。また、前記粘結剤組成物中のフランアルデヒド化合物の含有量は、同様の観点から、10〜85質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、20〜75質量%が更に好ましい。
〔グリコール化合物及びグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上〕
前記粘結剤組成物は、鋳型の可撓性向上の観点、及び鋳型の強度向上の観点から、グリコール化合物及びグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する。
前記グリコール化合物の重量平均分子量は、鋳型の可撓性向上の観点から、190以上が好ましく、500以上がより好ましく、1,000以上が更に好ましい。前記グリコール化合物の重量平均分子量は、取り扱いの容易さの観点から、10,000以下が好ましく、5,000以下がより好ましく、3,000以下が更に好ましい。また、前記グリコール化合物の重量平均分子量は、鋳型の可撓性向上の観点、及び取り扱いの容易さの観点から、190〜10,000が好ましく、500〜5,000がより好ましく、1,000〜3,000が更に好ましい。
前記グリコール化合物の重量平均分子量は、鋳型の強度向上の観点から、190以上が好ましく、500以上がより好ましく、1,000以上が更に好ましい。また、前記グリコール化合物の重量平均分子量は、鋳型の強度向上の観点、及び取り扱いの容易さの観点から、190〜10,000が好ましく、500〜5,000がより好ましく、1,000〜3,000が更に好ましい。
前記グリコール化合物の具体例としては、エチレンオキシ基の平均付加モル数が4〜226のポリエチレングリコール(PEG)、プロピレンオキシ基の平均付加モル数が3〜172のポリプロピレングリコール(PPG)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。例えば、トリプロピレングリコールなどは好ましいものとして例示される。
前記グリコールエーテル化合物の重量平均分子量は、鋳型の可撓性向上の観点から、190以上が好ましく、500以上がより好ましく、1,000以上が更に好ましい。前記グリコールエーテル化合物の重量平均分子量は、取り扱いの容易さの観点から、10,000以下が好ましく、5,000以下がより好ましく、3,000以下が更に好ましい。また、前記グリコールエーテル化合物の重量平均分子量は、鋳型の可撓性向上の観点、及び取り扱いの容易さの観点から、190〜10,000が好ましく、500〜5,000がより好ましく、1,000〜3,000が更に好ましい。
前記グリコールエーテル化合物の重量平均分子量は、鋳型の強度向上の観点から、190以上が好ましく、500以上がより好ましく、1,000以上が更に好ましい。また、前記グリコールエーテル化合物の重量平均分子量は、鋳型の強度向上の観点、及び取り扱いの容易さの観点から、190〜10,000が好ましく、500〜5,000がより好ましく、1,000〜3,000が更に好ましい。
前記グリコールエーテル化合物の具体例としては、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレンオキシ基の平均付加モル数が4〜226のポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンオキシ基の平均付加モル数が3〜171のポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンオキシ基の平均付加モル数が2〜171のポリプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。
グリコールエーテル化合物は、鋳型の可撓性向上の観点、及び鋳型の強度向上の観点から、グリコールジエーテル化合物、及びグリコールトリエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。
前記グリコール化合物及び前記グリコールエーテル化合物の中でも、鋳型の可撓性向上の観点から、トリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノブチルーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましい。また、前記グリコール化合物及び前記グリコールエーテル化合物の中でも、鋳型の強度向上の観点からグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましい。
前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計は、鋳型の可撓性向上の観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計は、同様の観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計は、同様の観点から、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%が更に好ましい。
前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計は、鋳型の強度向上の観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計は、同様の観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計は、同様の観点から、同様の観点から、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%が更に好ましい。
前記フランアルデヒド化合物の含有量に対する前記グリコール化合物の含有量及び前記グリコールエーテル化合物の含有量の合計の比(フランアルデヒド化合物の含有量/前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計)は、鋳型の可撓性向上の観点から、0.2以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましい。前記フランアルデヒド化合物の含有量に対する前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計の比は、同様の観点から、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。また、前記フランアルデヒド化合物の含有量に対する前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計の比は、同様の観点から、0.2〜20が好ましく、1.0〜15がより好ましく、1.5〜10が更に好ましい。
前記フランアルデヒド化合物の含有量に対する前記グリコール化合物の含有量及び前記グリコールエーテル化合物の含有量の合計の比(フランアルデヒド化合物の含有量/前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計)は、鋳型の強度向上の観点から、0.2以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましい。前記フランアルデヒド化合物の含有量に対する前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計の比は、同様の観点から、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。また、前記フランアルデヒド化合物の含有量に対する前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計の比は、同様の観点から、0.2〜20が好ましく、1.0〜15がより好ましく、1.5〜10が更に好ましい。
〔その他の成分〕
[酸硬化性樹脂]
前記粘結剤組成物には、粘結剤成分として従来公知の酸硬化性樹脂が含まれていても良い。当該酸硬化性樹脂としては、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールの縮合物、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物(尿素変性フラン樹脂)、尿素とエチレン尿素とアルデヒド類の縮合物(尿素・エチレン尿素共縮合樹脂)、フェノール類とアルデヒド類の縮合物、メラミンとアルデヒド類の縮合物、及び尿素とアルデヒド類の縮合物よりなる群から選ばれる1種からなるものや、これらの群から選ばれる2種以上の混合物からなるものが例示できる。また、これらの群から選ばれる2種以上の共縮合物からなるものも使用できる。このうち、鋳型の強度向上の観点、及び鋳型の可撓性向上の観点から、フルフリルアルコール、尿素とエチレン尿素とアルデヒド類の縮合物(尿素・エチレン尿素共縮合樹脂)から選ばれる1種以上、並びにこれらの共縮合物を使用するのが好ましい。フルフリルアルコールは、非石油資源である植物から製造できるため、地球環境の観点からは、フルフリルアルコールを使用するのが好ましい。
前記アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザール、テレフタルアルデヒド等が挙げられ、これらのうち1種以上を適宜使用できる。鋳型の強度向上の観点からは、ホルムアルデヒドが好ましい。
前記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールFなどが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
前記粘結剤組成物中の前記酸硬化性樹脂の含有量は、鋳型の強度向上の観点、及び鋳型の可撓性向上の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましい。前記粘結剤組成物中の前記酸硬化性樹脂の含有量は、同様の観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。また、前記粘結剤組成物中の前記酸硬化性樹脂の含有量は、同様の観点から、5〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、25〜60質量%が更に好ましい。
〔硬化促進剤〕
前記粘結剤組成物中には、鋳型の硬化速度向上の観点、及び鋳型の強度向上の観点から、硬化促進剤が含まれていてもよい。硬化促進剤としては、鋳型の硬化速度向上の観点、及び鋳型の強度向上の観点から、下記一般式(1)で表される化合物(以下、硬化促進剤(1)という)、フェノール誘導体、芳香族ジアルデヒド、及びタンニン類からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
Figure 0006607725
〔式中、X及びXは、それぞれ水素原子、CH又はCの何れかを表す。〕
前記粘結剤組成物中の前記硬化促進剤(1)の含有量は、鋳型の硬化速度向上の観点、及び鋳型の強度向上の観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることが更に好ましい。前記粘結剤組成物中の前記硬化促進剤(1)の含有量は、硬化促進剤(1)の粘結剤組成物への溶解性の観点、鋳型の硬化速度向上の観点、及び鋳型の強度向上の観点から、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
前記硬化促進剤(1)としては、2,5−ビスヒドロキシメチルフラン、2,5−ビスメトキシメチルフラン、2,5−ビスエトキシメチルフラン、2−ヒドロキシメチル−5−メトキシメチルフラン、2−ヒドロキシメチル−5−エトキシメチルフラン、2−メトキシメチル−5−エトキシメチルフランが挙げられる。なかでも、鋳型の硬化速度向上の観点、及び鋳型の強度向上の観点から、2,5−ビスヒドロキシメチルフランを使用するのが好ましい。
前記フェノール誘導体としては、例えばレゾルシン、クレゾール、ヒドロキノン、フロログルシノール、メチレンビスフェノール等が挙げられる。なかでも、鋳型の硬化速度向上の観点から、レゾルシンが好ましい。前記粘結剤組成物中の前記フェノール誘導体の含有量は、フェノール誘導体の粘結剤組成物への溶解性の観点、鋳型の硬化速度向上の観点から、1〜25質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が更に好ましい。なかでも、レゾルシンを用いる場合は、前記粘結剤組成物中のレゾルシンの含有量は、レゾルシンの粘結剤組成物への溶解性の観点、鋳型の硬化速度向上の観点から、1〜10質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましく、3〜6質量%が更に好ましい。
前記芳香族ジアルデヒドとしては、テレフタルアルデヒド、フタルアルデヒド及びイソフタルアルデヒド等、並びにそれらの誘導体等が挙げられる。それらの誘導体とは、基本骨格としての2つのホルミル基を有する芳香族化合物の芳香環にアルキル基等の置換基を有する化合物等を意味する。鋳型の硬化速度向上の観点から、テレフタルアルデヒド及びテレフタルアルデヒドの誘導体が好ましく、テレフタルアルデヒドがより好ましい。前記粘結剤組成物中の芳香族ジアルデヒドの含有量は、芳香族ジアルデヒドを粘結剤組成物に十分に溶解させる観点、及び芳香族ジアルデヒド自体の臭気を抑制する観点から、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。
タンニン類としては、縮合タンニンや加水分解型タンニンが挙げられる。これら縮合タンニンや加水分解型タンニンの例としては、ピロガロール骨格やレゾルシン骨格を持つタンニンが挙げられる。また、これらタンニン類を含有する樹皮抽出物や植物由来の葉、実、種、植物に寄生した虫こぶ等の天然物からの抽出物を添加しても構わない。
〔水〕
前記粘結剤組成物中には、水が含まれてもよい。例えば、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物などの各種縮合物を合成する場合、水溶液状の原料を使用したり縮合水が生成したりするため、縮合物は、通常、水との混合物の形態で得られる。このような縮合物を前記粘結剤組成物に使用するにあたり、水は必要に応じて、トッピング等で除去しても構わないが、硬化反応速度を維持できる限り、製造の際にあえて除去する必要はない。また、前記粘結剤組成物を取扱いやすい粘度に調整する目的などで、水をさらに添加してもよい。前記粘結剤組成物を取扱いやすい粘度に調整する目的で水をさらに添加する場合、前記粘結剤組成物の水の含有量は0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましい。ただし、硬化反応速度を維持する観点から、前記粘結剤組成物の水の含有量は30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。また、前記粘結剤組成物の水の含有量は、前記粘結剤組成物を取扱いやすい粘度に調整する観点、及び硬化反応速度を維持する観点から、0.5〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、3〜25質量%が更に好ましい。
前記粘結剤組成物中には、シランカップリング剤が含まれていてもよい。例えば、前記粘結剤組成物中にシランカップリング剤が含まれていると、得られる鋳型の強度をより向上させることができるため好ましい。シランカップリング剤としては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランや、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシランなどが用いられる。好ましくは、アミノシラン、エポキシシラン、ウレイドシランである。より好ましくはアミノシラン、エポキシシランである。アミノシランの中でも、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。エポキシシランの中でも、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。シランカップリング剤の前記粘結剤組成物中の含有量は、鋳型の強度向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。シランカップリング剤の前記粘結剤組成物中の含有量は、同様の観点から、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。
<鋳型造型用組成物>
〔第1の実施形態〕
本実施形態の鋳型造型用組成物は、前記フランアルデヒド化合物、及び当該フランアルデヒド化合物を硬化させる硬化剤、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する。当該鋳型造型用組成物がこの様な効果を奏する理由は定かではないが、前記鋳型造型用粘結剤組成物が前記効果を奏する理由と同様の理由が考えられる。
本実施形態の鋳型造型用組成物に含有される重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物、並びにそれらの含有量は、前記鋳型造型用粘結剤組成物に含有されるグリコール化合物及びグリコールエーテル化合物、並びにそれらの含有量と同様である。
本実施形態の鋳型造型用組成物に含有されるフランアルデヒド化合物、及びその含有量は、前記鋳型造型用粘結剤組成物に含有されるフランアルデヒド化合物、及びその含有量と同様である。
前記硬化剤は、前記フランアルデヒド化合物を硬化させるものである。当該硬化剤としては、o−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等のカルボン酸、キシレンスルホン酸(特に、m−キシレンスルホン酸)やトルエンスルホン酸(特に、p−トルエンスルホン酸)、メタンスルホン酸等のスルホン酸系化合物、リン酸、酸性リン酸エステル等のリン酸系化合物、硫酸など、従来公知のものを1種以上使用できる。ただし、スルホン酸や硫酸などの硫黄を含む酸を硬化剤として使用した場合、鋳造時にSOxガスが発生するため、硬化剤中の硫黄を含む酸の含有量は、60質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましく、実質的に0%がより更に好ましい。係る場合、鋳造時のSOxガスの発生量をゼロにすることができる。SOxガスを抑制しながら鋳型の強度を向上させる観点から、前記硬化剤はカルボン酸が好ましく、当該カルボン酸の中でも2,6−ジヒドロキシ安息香酸、シュウ酸、マレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましく、2,6−ジヒドロキシ安息香酸が更に好ましい。
前記フランアルデヒド化合物と前記硬化剤の質量比は、鋳型の硬化速度向上の観点及び鋳型の強度向上の観点から、前記フランアルデヒド化合物100質量部に対して、前記硬化剤20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。前記フランアルデヒド化合物と前記硬化剤の質量比は、経済性の観点及び鋳物品質向上の観点から、前記フランアルデヒド化合物100質量部に対して、前記硬化剤400質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましい。
〔第2の実施形態〕
本実施形態の鋳型造型用組成物は、前記鋳型造型用粘結剤組成物、及び当該鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物を含有する。当該鋳型造型用組成物によれば、SOx等の有害物質や有害ガスの発生を抑制しながら鋳型の強度及び鋳型の可撓性を向上させることができる。当該鋳型造型用組成物がこの様な効果を奏する理由は定かではないが、前記鋳型造型用粘結剤組成物が前記効果を奏する理由と同様の理由が考えられる。
前記硬化剤組成物は、前記粘結剤組成物を硬化させるものである。当該硬化剤組成物としては、o−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等のカルボン酸、キシレンスルホン酸(特に、m−キシレンスルホン酸)やトルエンスルホン酸(特に、p−トルエンスルホン酸)、メタンスルホン酸等のスルホン酸系化合物、リン酸、酸性リン酸エステル等のリン酸系化合物、硫酸等を含む酸性水溶液など、従来公知のものを1種以上使用できる。ただし、スルホン酸や硫酸などの硫黄を含む酸を含有する硬化剤組成物を使用した場合、鋳造時にSOxガスが発生するため、硬化剤組成物中の硫黄を含む酸の含有量は、60質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましく、実質的に0%がより更に好ましい。係る場合、鋳造時のSOxガスの発生量をゼロにすることができる。SOxガスを抑制しながら鋳型の強度を向上させる観点から、前記硬化剤組成物はカルボン酸が好ましく、当該カルボン酸の中でも2,6−ジヒドロキシ安息香酸、シュウ酸、マレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましく、2,6−ジヒドロキシ安息香酸が更に好ましい。
前記硬化剤組成物は、アルコール類及びエステル類よりなる群から選ばれる1種以上の溶剤を含有させることができる。これらの中でも、鋳型の強度の観点から、アルコール類が好ましい。前記溶剤を含有させると、前記硬化剤組成物中の水分量が低減されるため、鋳型の強度が更に向上する。前記溶剤の硬化剤組成物中の含有量は、鋳型の強度を向上させる観点から、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。また、前記硬化剤組成物の粘度を低減させる観点からは、メタノールやエタノールを含有させることが好ましい。
鋳型の強度向上の観点から、前記アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ベンジルアルコールが好ましく、前記エステル類としては、酢酸ブチル、安息香酸ブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが好ましい。
前記粘結剤組成物と前記硬化剤組成物の質量比は、鋳型の硬化速度を向上させる観点及び鋳型の強度向上の観点から、前記粘結剤組成物100質量部に対して、前記硬化剤組成物20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。前記粘結剤組成物と前記硬化剤組成物の質量比は、経済性の観点及び鋳物品質向上の観点から、前記粘結剤組成物100質量部に対して、前記硬化剤組成物100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましい。
<鋳型用組成物>
〔第1の実施形態〕
本実施形態の鋳型用組成物は、前記フランアルデヒド化合物、当該フランアルデヒド化合物を硬化させる硬化剤、及び耐火性粒子、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する。当該鋳型用組成物によれば、SOx等の有害物質や有害ガスの発生を抑制しながら鋳型の強度及び鋳型の可撓性を向上させることができる。当該鋳型用組成物がこの様な効果を奏する理由は定かではないが、前記鋳型造型用粘結剤組成物が前記効果を奏する理由と同様の理由が考えられる。
本実施形態の鋳型用組成物に含有される重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物、並びにそれらの含有量は、前記鋳型造型用粘結剤組成物に含有されるグリコール化合物及びグリコールエーテル化合物、並びにそれらの含有量と同様である。
本実施形態の鋳型用組成物に含有されるフランアルデヒド化合物、及びその含有量は、前記鋳型造型用粘結剤組成物に含有されるフランアルデヒド化合物、及びその含有量と同様である。
本実施形態の鋳型用組成物に含有される硬化剤、及びその含有量は、前記鋳型造型用組成物に含有される硬化剤、及びその含有量と同様である。
前記耐火性粒子としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂等の従来公知のものを使用でき、また、使用済みの耐火性粒子を回収したものや再生処理したものなども使用できる。
前記鋳型用組成物において、前記耐火性粒子と前記フランアルデヒド化合物と前記硬化剤との比率は適宜設定できるが、鋳型の硬化速度向上の観点及び鋳型の強度向上の観点から、前記耐火性粒子100質量部に対して、前記フランアルデヒド化合物が0.1質量部以上が好ましく、経済性の観点及び鋳物品質向上の観点から、1.5質量部以下が好ましい。鋳型の硬化速度向上の観点及び鋳型の強度向上の観点から、前記耐火性粒子100質量部に対して、前記硬化剤は0.07質量部以上が好ましく、経済性の観点及び鋳物品質向上の観点から、1.0質量部以下が好ましい。
〔第2の実施形態〕
本実施形態の鋳型用組成物は、前記鋳型造型用粘結剤組成物、当該粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物、及び耐火性粒子を含有する。当該鋳型用組成物によれば、SOx等の有害物質や有害ガスの発生を抑制しながら鋳型の強度及び鋳型の可撓性を向上させることができる。当該鋳型用組成物がこの様な効果を奏する理由は定かではないが、前記鋳型造型用粘結剤組成物が前記効果を奏する理由と同様の理由が考えられる。
本実施形態の鋳型用組成物に含有される硬化剤組成物、及びその含有量は、前記鋳型造型用組成物に含有される硬化剤組成物、及びその含有量と同様である。
前記鋳型用組成物において、前記耐火性粒子と前記粘結剤組成物と前記硬化剤組成物との比率は適宜設定できるが、鋳型の硬化速度向上の観点及び鋳型の強度向上の観点から、前記耐火性粒子100質量部に対して、前記粘結剤組成物が0.5質量部以上が好ましく、経済性の観点及び鋳物品質向上の観点から、1.5質量部以下が好ましい。鋳型の硬化速度向上の観点及び鋳型の強度向上の観点から、前記耐火性粒子100質量部に対して、前記硬化剤組成物は0.07質量部以上が好ましく、経済性の観点及び鋳物品質向上の観点から、1.0質量部以下が好ましい。
<鋳型の製造方法>
前記鋳型用組成物を硬化させることによって鋳型を製造することができる。本実施形態の鋳型の製造方法において、従来の鋳型の製造プロセスをそのまま利用して鋳型を製造することができる。好ましい鋳型の製造方法として、前記耐火性粒子、前記鋳型造型用粘結剤組成物、及び前記硬化剤組成物とを混合して前記鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法が挙げられる。また、他の実施形態の鋳型の製造方法として、前記耐火性粒子、前記フランアルデヒド化合物、当該フランアルデヒド化合物を硬化させる前記硬化剤、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を混合して前記鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法が挙げられる。
本実施形態の鋳型造型用粘結剤組成物は自硬性鋳型の造型に好適に用いられる。ここで自硬性鋳型とは、耐火性粒子に粘結剤組成物と硬化剤組成物を混合すると、時間の経過と共に重合反応が進行し、鋳型が硬化する鋳型である。その際に用いられる耐火性粒子の温度としては、−20℃〜50℃の範囲であり、好ましくは0℃〜40℃である。このような温度の耐火性粒子に対して、それに適した量の硬化剤を選択し耐火性粒子に添加する事で、鋳型を適切に硬化できる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物、製造方法、或いは用途を開示する。
<1>フランアルデヒド化合物、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する鋳型造型用粘結剤組成物。
<2>前記フランアルデヒド化合物が、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール、及び5−アセトキシメチルフルフラールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましく、フルフラールが更に好ましい<1>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<3>前記鋳型造型用粘結剤組成物中の前記フランアルデヒド化合物の含有量が、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましく、10〜85質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、20〜75質量%が更に好ましい<1>又は<2>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<4>前記グリコール化合物の重量平均分子量が、190以上が好ましく、500以上がより好ましく、1,000以上が更に好ましく、10,000以下が好ましく、5,000以下がより好ましく、3,000以下が更に好ましく、190〜10,000が好ましく、500〜5,000がより好ましく、1,000〜3,000が更に好ましい<1>〜<3>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<5>前記グリコール化合物が、エチレンオキシ基の平均付加モル数が4〜226のポリエチレングリコール(PEG)、プロピレンオキシ基の平均付加モル数が3〜172のポリプロピレングリコール(PPG)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましい<1>〜<4>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<6>前記グリコール化合物が、トリプロピレングリコールが好ましい<1>〜<5>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<7>前記グリコールエーテル化合物の重量平均分子量が、190以上が好ましく、500以上がより好ましく、1,000以上が更に好ましく、10,000以下が好ましく、5,000以下がより好ましく、3,000以下が更に好ましく、190〜10,000が好ましく、500〜5,000がより好ましく、1,000〜3,000が更に好ましい<1>〜<6>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<8>前記グリコールエーテル化合物が、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレンオキシ基の平均付加モル数が4〜226のポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンオキシ基の平均付加モル数が3〜171のポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンオキシ基の平均付加モル数が2〜171のポリプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましい<1>〜<7>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<9>前記グリコールエーテル化合物が、グリコールジエーテル化合物、及びグリコールトリエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましい<1>〜<8>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<10>前記グリコール化合物及び前記グリコールエーテル化合物の中でも、トリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノブチル―テルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましい<1>〜<9>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<11>前記グリコール化合物及び前記グリコールエーテル化合物の中でも、グリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましい<1>〜<10>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<12>前記鋳型造型用粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計が、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%が更に好ましい<1>〜<11>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<13>前記フランアルデヒド化合物の含有量に対する前記グリコール化合物の含有量及び前記グリコールエーテル化合物の含有量の合計の比(フランアルデヒド化合物の含有量/前記粘結剤組成物中のグリコール化合物の含有量及びグリコールエーテル化合物の含有量の合計)が、0.2以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましく、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、0.2〜20が好ましく、1.0〜15がより好ましく、1.5〜10が更に好ましい<1>〜<12>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<14>更に、酸硬化性樹脂を含むのが好ましい<1>〜<13>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<15>前記酸硬化性樹脂が、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールの縮合物、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物(尿素変性フラン樹脂)、尿素とエチレン尿素とアルデヒド類の縮合物(尿素・エチレン尿素共縮合樹脂)、フェノール類とアルデヒド類の縮合物、メラミンとアルデヒド類の縮合物、及び尿素とアルデヒド類の縮合物からなる群、並びに当該群から選ばれる2種以上の共縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、フルフリルアルコール、尿素とエチレン尿素とアルデヒド類の縮合物(尿素・エチレン尿素共縮合樹脂)から選ばれる1種以上、並びにこれらの共縮合物がより好ましく、フルフリルアルコールが更に好ましい<14>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<16>前記鋳型造型用粘結剤組成物中の前記酸硬化性樹脂の含有量が、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましく、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましく、5〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、25〜60質量%が更に好ましい<14>又は<15>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<17>更に、シランカップリング剤を含むのが好ましい<1>〜<16>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<18>前記シランカップリング剤の前記鋳型造型用粘結剤組成物中の含有量が、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい<1>〜<17>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<19>フランアルデヒド化合物、及び当該フランアルデヒド化合物を硬化させる硬化剤、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する鋳型造型用組成物。
<20>前記フランアルデヒド化合物が、<1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物に用いられるフランアルデヒド化合物である<19>に記載の鋳型造型用組成物。
<21>前記グリコール化合物が、<1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物に用いられるグリコール化合物である<19>又は<20>に記載の鋳型造型用組成物。
<22>前記グリコールエーテル化合物が、<1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物に用いられるグリコールエーテル化合物である<19>〜<21>いずれかに記載の鋳型造型用組成物。
<23>前記硬化剤中の硫黄を含む酸の含有量が、60質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましく、実質的に0%がより更に好ましい<19>〜<22>いずれかに記載の鋳型造型用組成物。
<24>前記硬化剤が、2,6−ジヒドロキシ安息香酸が好ましい<19>〜<23>いずれかに記載の鋳型造型用組成物。
<25>前記フランアルデヒド化合物と前記硬化剤の質量比が、前記フランアルデヒド化合物100質量部に対して、前記硬化剤20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、400質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましい<19>〜<24>いずれかに記載の鋳型造型用組成物。
<26><1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物、及び前記鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物を含有する鋳型造型用組成物。
<27>前記硬化剤組成物中の硫黄を含む酸の含有量が、60質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましく、実質的に0%がより更に好ましい<26>に記載の鋳型造型用組成物。
<28>前記硬化剤組成物が、2,6−ジヒドロキシ安息香酸が好ましい<26>又は<27>に記載の鋳型造型用組成物。
<29>前記鋳型造型用粘結剤組成物と前記硬化剤組成物の質量比が、前記鋳型造型用粘結剤組成物100質量部に対して、前記硬化剤組成物20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、前記硬化剤組成物100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましい<26>〜<28>いずれかに記載の鋳型造型用組成物。
<30>フランアルデヒド化合物、当該フランアルデヒド化合物を硬化させる硬化剤、及び耐火性粒子、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する鋳型用組成物。
<31>前記フランアルデヒド化合物が、<1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物に用いられるフランアルデヒド化合物である<30>に記載の鋳型用組成物。
<32>前記グリコール化合物が、<1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物に用いられるグリコール化合物である<30>又は<31>に記載の鋳型用組成物。
<33>前記グリコールエーテル化合物が、<1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物に用いられるグリコールエーテル化合物である<30>〜<32>いずれかに記載の鋳型用組成物。
<34>前記硬化剤が、<19>〜<25>いずれかに記載の鋳型造型用組成物に用いられる硬化剤である<30>〜<33>いずれかに記載の鋳型用組成物。
<35>前記耐火性粒子と前記フランアルデヒド化合物と前記硬化剤との比率が、前記耐火性粒子100質量部に対して、前記フランアルデヒド化合物が0.1質量部以上が好ましく、1.5質量部以下が好ましく、前記硬化剤は0.07質量部以上が好ましく、1.0質量部以下が好ましい<30>〜<34>いずれかに記載の鋳型用組成物。
<36><1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物、当該粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物、及び耐火性粒子を含有する鋳型用組成物。
<37>前記グリコール化合物が、<1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物に用いられるグリコール化合物である<36>に記載の鋳型用組成物。
<38>前記グリコールエーテル化合物が、<1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物に用いられるグリコールエーテル化合物である<36>又は<37>に記載の鋳型用組成物。
<39>前記硬化剤組成物が、<26>〜<29>いずれかに記載の鋳型造型用組成物に用いられる硬化剤組成物である<36>〜<38>いずれかに記載の鋳型用組成物。
<40>前記耐火性粒子と前記鋳型造型用粘結剤組成物と前記硬化剤組成物との比率が、前記耐火性粒子100質量部に対して、前記鋳型造型用粘結剤組成物が0.5質量部以上が好ましく、1.5質量部以下が好ましく、前記硬化剤組成物が0.07質量部以上が好ましく、1.0質量部以下が好ましい<36>〜<39>いずれかに記載の鋳型用組成物。
<41>前記耐火性粒子、<1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物、及び前記硬化剤組成物とを混合して前記鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法。
<42>前記耐火性粒子、<1>〜<18>いずれかに記載の鋳型造型用粘結剤組成物に用いられるフランアルデヒド化合物、当該フランアルデヒド化合物を硬化させる前記硬化剤、並びに重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を混合して前記鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法。
<43><1>〜<18>いずれかに記載の組成物の鋳型造型用粘結剤組成物としての使用。
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。
<原料の製造>
〔縮合物1(尿素・エチレン尿素共縮合樹脂)の製造〕
三ツ口フラスコに37%ホルムアルデヒド液100質量部と、エチレン尿素を106質量部と、尿素を25質量部とを混合し、100℃で3時間反応させ、縮合物1を得た。縮合物1の組成は、尿素・エチレン尿素共縮合樹脂66質量%、水34質量%であった。
<実施例1〜12、比較例1〜3>
〔粘結剤組成物の製造〕
表1、2に示すフランアルデヒド化合物、フルフリルアルコール、縮合物1、及びシランカップリング剤をそれぞれ所定の質量比率で混合し、実施例1〜12、及び比較例1〜3の粘結剤組成物を製造した。なお、表1、2中、「FL」はフルフラール、「FFA」はフルフリルアルコールを意味する。また、シランカップリング剤は3‐グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM-402、信越化学工業株式会社製)を用いた。
〔鋳型用組成物〕
25℃、55%RH、又は5℃、55%RHの条件下で、珪砂(フリーマントル)新砂100質量部に対し、表1に示す硬化剤組成物0.7質量部、表1に示す粘結剤組成物1.0質量部、表1に示すグリコール化合物又はグリコールエーテル化合物を添加し、これらを混合して鋳型用組成物(混練砂)を得た。なお、表1中、「2,6−DHB」は2,6−ジヒドロキシ安息香酸を意味する。
<試験例>
〔試験例1:圧縮強度〕
25℃、55%RHの条件下で混練した直後の混練砂を直径50mm、高さ50mmの円柱形状のテストピース枠に充填し、同条件下で3時間経過した時に抜型を行い、充填から24時間後にJIS Z 2601に記載された方法で、テストピースの圧縮強度(MPa)を測定し、「24時間後の圧縮強度」とした。「24時間後の圧縮強度」が高いものほど、鋳型の強度が高いことを示す。結果を表1に示す。
〔試験例2:鋳型の可撓性〕
[実施例9]
25℃、55%RHの条件下で混練した直後の混練砂を長さ180mm、幅23mm、厚み23mmの直方体状のテストピース枠に充填し、同条件下で放置し、充填から1時間後に、JIS K 7171に基づいて、荷重速度10mm/min、支点間距離120mmでテストピースが破断するまでの変位(mm)を測定した。なお、このときの圧縮強度は1.0MPaである。
[比較例4]
5℃、55%RHの条件下でテストピースを作成・放置した以外は、前記実施例9の鋳型の可撓性の評価方法と同様に測定した。なお、このときの圧縮強度は前記実施例9と同様に1.0MPaである。比較例4のテストピースの作成・放置条件が実施例9と異なるのは、重量平均分子量190以上のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含まない比較例4の配合で25℃、55%RHの条件下でテストピースを作成すると、可使時間が短く、十分な鋳型の強度を発現しないためである。実施例9及び比較例4の鋳型の可撓性の測定結果を表2に示す。
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Claims (11)

  1. フランアルデヒド化合物、並びに重量平均分子量190以上10,000以下のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上10,000以下のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する鋳型造型用粘結剤組成物。
  2. 前記グリコール化合物及び前記グリコールエーテル化合物の重量平均分子量が700以上10,000以下である、請求項1に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
  3. 前記フランアルデヒド化合物がフルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール、5−アセトキシメチルフルフラールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項1又は2に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳型造型用粘結剤組成物、及び前記鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物を含有する鋳型造型用組成物。
  5. 前記硬化剤組成物が、カルボン酸である請求項に記載の鋳型造型用組成物。
  6. 前記カルボン酸が、2,6−ジヒドロキシ安息香酸である請求項に記載の鋳型造型用組成物。
  7. 耐火性粒子、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳型造型用粘結剤組成物、及び前記鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物を含有する鋳型用組成物。
  8. 耐火性粒子、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳型造型用粘結剤組成物、及び当該鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物を混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法。
  9. フランアルデヒド化合物、及び当該フランアルデヒド化合物を硬化させる硬化剤、並びに重量平均分子量190以上10,000以下のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上10,000以下のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する鋳型造型用組成物。
  10. 耐火性粒子、フランアルデヒド化合物、及び当該フランアルデヒド化合物を硬化させる硬化剤、並びに重量平均分子量190以上10,000以下のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上10,000以下のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する鋳型用組成物。
  11. 耐火性粒子、フランアルデヒド化合物、及び当該フランアルデヒド化合物を硬化させる硬化剤、並びに重量平均分子量190以上10,000以下のグリコール化合物及び重量平均分子量190以上10,000以下のグリコールエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法。
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