JP2011222670A - 気相成長装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上に成長結晶層の膜厚均一性を向上させることができ、歩留まりが高い気相成長装置を提供する。
【解決手段】基板15を支持する底面サセプタ部14aと、サセプタ14a,bの上面に沿って流れる材料ガス流を供給するノズル11と、を含む。サセプタ14a,bは、それぞれが基板と同一材料からなる、底面サセプタ部14aの上面に基板に嵌合する凹状の基板保持部を画定する外周サセプタ部14bとサセプタ14a,bの裏面を画定する底面サセプタ部14aとから構成されていること、外周サセプタ部14bは、基板15の上面と同一平面となる基板保持部を囲む上面を有しかつ、基板保持部を囲む上面が基板の上面の結晶面方位と同一の結晶面方位を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、半導体結晶のエピタキシャル成長を行う気相成長装置に関する。
エピタキシャル成長(気相成長)を行う結晶成長装置は、その反応容器(リアクタ)内に導入された反応ガス(材料ガス)が加熱された半導体結晶成長用の基板(ウエハ、成長基板)上で熱分解反応して、化合物やその固溶体結晶となり、その時、基板の結晶面方位を維持したまま同じ結晶面の単結晶層が該基板上に成長するようにした気相成長装置である。
気相成長反応装置のうち、たとえば、2フローリアクタでは、ウエハ上の材料ガスの層流と押さえガス流の合成流で成膜ガス流が形成され、材料ガスは基板と平行に、かつ直上に流される(特許文献1、参照)。その結果、材料ガスが基板に押し付けられるように流れる。この2つのガス流(フロー)構成により、例えば、GaN結晶成長において、材料ガスが基板上で高温(1000℃程度)になり約4.5倍の体積膨張が起こっても、基板上で安定的な材料ガス流が保たれる。
図1は従来の2フローリアクタの排気可能な反応容器(図示せず)の内部構造の一例を示す概略断面図である。同図において、11は材料ガスの層流を水平に供給する材料ガスノズルであり、12は材料ガスの層流を押さえる押さえガスを供給する押さえガス噴出器であり、14は回転自在に配置されたサセプタであり、15は基板であり、17はサセプタを輻射加熱する加熱器である。
図2(a)、(b)に示すように、加熱されるサセプタ14上に基板15を設置して、基板を加熱する気相成長装置において、凹部(ザグリ)を持つサセプタで基板裏面の外周部を支持することにより、凹部底Bから離間した基板15の反りなどに起因する基板のスリップを防止する技術が知られている(特許文献2、参照)。
特開平04−284623 特開平05−238882
従来技術のサセプタでは、図2(a)、(b)に示すように、基板15の側面とサセプタ14の間に隙間SPを生じているため、図3に示すように、基板15の外周部の隙間SPにて層流ガスフローが乱れ、基板15の外周部に副生成物を生じさせる。その後、その副生成物が、材料ガスフローと共に基板15上の内部へ混入し、ヒロックなどの結晶欠陥部位を発生させる。
従来技術では、基板とサセプタが異種材料からなるため、精度良く基板とサセプタを密着させると熱膨張差により、冷却時に基板割れなどを生じる。このため、基板設置スペースに隙間SPが必要となり、この隙間SPにより、副生成物を発生させてしまう。
従来技術では、基板裏面の外周部でサセプタと接しているため基板外周部の温度が内部とは異なり、基板外周部では、膜の均一性が阻害される。結果、基板を回転させつつ成長しても膜厚均一にならず凹状膜厚分布になる。
そこで本発明は、エピタキシャル層の凹状膜厚分布を抑制し、膜厚均一性を向上させることができ、歩留まりが高い気相成長装置およびその方法を提供することを目的とする。
本発明の気相成長装置は、基板を支持するサセプタと、サセプタの上面に沿って流れる材料ガス流を供給するノズルと、を含む。サセプタは、それぞれが基板と同一材料からなる、サセプタの上面に基板に嵌合する凹状の基板保持部を画定する外周サセプタ部とサセプタの裏面を画定する底面サセプタ部とから構成されていること、外周サセプタ部は、基板の上面と同一平面となる基板保持部を囲む上面を有しかつ、基板保持部を囲む上面が基板の上面の結晶面方位と同一の結晶面方位を有することを特徴とする。
かかる本発明の構成により、基板上に流入するガスフローを乱すことがなくなると共に、副生成物の発生範囲を狭くして外周サセプタ部上に収めることができる。そのため、副生成物の発生箇所と基板との距離が遠くなることでガスフローにより基板上に副生成物流入する可能性が低くなる。特に、外周サセプタ部の材料ガス接触上面を基板と同じ材料かつ、同じ結晶面方位で作製することにより、外周サセプタ部上にも基板同様に結晶成長が行われるためである。基板上に流入する層流ガスフローを乱すことがなくなるので、基板外周部への副生成物の発生および、その混入によるヒロックの発生、ひいては結晶欠陥の発生を抑制することができる。また、従来なし得なかった基板外周部までの均一な膜成長を実現できる。このため、エピタキシャル基板からのLEDチップの歩留まりが向上できる。
従来では基板異種材料で構成されていたサセプタを、かかる本発明の構成によれば、基板と同じ材料により構成するので、加熱および冷却による熱膨張差がなくなるため加工限界の精度レベルでサセプタと基板とを密着させることができるようになり、結晶成長中、基板とサセプタとの間および、基板裏面に材料ガスが流れ込むことがなく、層流ガスフローの乱れをなくすことができる。
本発明のエピタキシャル成長層の製造方法は、成長基板と同一材料からなり、成長基板が嵌合する凹状の基板保持部と、成長基板の上面と同一平面に位置しかつ成長基板の上面の結晶面方位と同一の結晶面方位を有する基板保持部を囲む上面と、を備えたサセプタを気相成長装置に用意する工程と、サセプタの基板保持部に成長基板を載置する工程と、サセプタを加熱し回転させつつ、成長基板上に材料ガスを供給してエピタキシャル成長する工程と、を含むことを特徴とする。かかる本発明の製造方法によれば、基板外周部への副生成物の発生を抑制することができ、ガスフローへの副生成物の流入等を抑制することができる。また、凹状の基板保持部と基板側面に隙間が不要となったことにより、基板裏面への材料ガスの回りこみ、層流ガスフローの乱れがなくなる。さらに、サセプタと成長基板とを同一材料で構成することにより、加工精度限界まで基板保持部においてサセプタと基板を密着させても、基板割れを生じることなく結晶成長ができるようになる。
従来の2フローリアクタの内部構造を示す概略断面図である。 従来のサセプタおよび基板の概略断面図である。 従来の2フローリアクタのサセプタと材料ガスノズルの関係を示す概略上面図である。 本発明による実施形態の2フローリアクタの内部構造を示す概略断面図である。 本発明による実施形態の2フローリアクタの嵌合サセプタおよび基板の概略断面図である。 本発明による実施形態の2フローリアクタの嵌合サセプタと材料ガスノズルの関係を示す概略斜視図である。 本発明による他の実施形態の2フローリアクタの嵌合サセプタおよび基板の概略断面図である。
以下に、本発明による一実施形態の装置について、図面を用いて説明する。
図4は、横形の成長炉として構成された実施形態の2フローリアクタの排気可能な反応容器(図示せず)の内部構造を示す概略断面図である。同図において、11は材料ガスノズルであり、12は押さえガス噴出器であり、13は押さえガスを受けるためのフロー補助板であり、14aは底面サセプタ部であり、14bは外周サセプタ部であり、15は半導体成長用の基板であり、16は遮熱板であり、17は加熱器であり、20は水冷ジャケットである。図5は、実施形態の2フローリアクタの嵌合サセプタおよび基板の概略断面図である。図6は、かかる2フローリアクタの嵌合サセプタと材料ガスノズルの関係を示す概略斜視図である。
底面サセプタ部14aは円盤形状をしており、その中心に回転軸を持ち、10回/min〜30回/minで回転できる。
また、フロー補助板13は、その上面が外周サセプタ部14bと基板の上面と同一平面となるように、底面サセプタ部14aおよび外周サセプタ部14bに取り付けられており一緒に、回転する。また、加熱器17は、底面サセプタ部14a裏面に取り付けられており、外周サセプタ部14bより若干大きく底面サセプタ部14aおよび外周サセプタ部14bを均一な温度に1000℃以上に加熱できる。加熱器17の近傍には、熱電対が設置され、その値から温度制御して底面サセプタ部14aおよび外周サセプタ部14bを設定温度に加熱する。なお、基板15を保持する底面サセプタ部14aおよび外周サセプタ部14bは嵌合サセプタと呼ぶこととして、後に詳述する。
遮熱板16は、加熱器17の外周に位置し、加熱器の輻射熱でノズル11が加熱されないように遮断する。なお、遮熱板16の外周に水冷ジャケット20が設けると更に断熱性は向上する。また、水冷ジャケット20の上端はフロー補助板13の直下まで延長されている。但し、フロー補助板13の回転を妨げないように僅かな隙間を設けてある。
一般にGaN系エピタキシャル結晶成長は、材料分解位置が基板に近いほうが良質な結晶が成長する。これは、AlGaInP、AlGaAsなどが800℃程度で成長するのに対してGaN系結晶では1050℃と高温で成長するため、従来のMOCVD装置と同様な熱設計では材料分解が基板遠方の上流で開始されるので、材料の枯渇による成膜エリアが減少する問題や、基板上への不活性結晶種が飛来し結晶性が低下する問題が発生することを防止するためである。
GaN結晶の結合エネルギーは高く、結晶の融点は2500℃以上である。そのため、基板表面で材料ガス(例えばTMGaとNH)が分解生成した結晶種(GaN最小単位)が、結晶成長面の安定サイトに移動し、結合する時間を長くするために、結晶成長温度が約1050℃と高くなる。また、同理由により基板成長面以外の低温部で生成した結晶種(不活性結晶種)は、ただちにエネルギーを失うため結晶成長に寄与できない(再加熱しても十分なエネルギーに達しない)。または、多結晶の核などになり結晶成長を阻害する。一方、TMGaなどの有機金属化合物の分解温度は約400℃〜450℃と低い。そのため、400℃〜450℃のガス材料分解熱の温度分布(ガス材料分解熱等温度線)が基板より離れていると、成長速度が遅くなったり、基板全面に結晶成長できなったり、結晶性が低下する。以上より、GaN系結晶の成長においては、材料ガスのガス材料分解熱等温度線をできる限り基板上流端に近づける必要があるので、材料ガスノズル11と基板15の距離は基板から5mm〜15mm以内とされている。
そこで、図4に示すように、円形基板15を用いる場合、基板の均熱性を作り易い理由によって、底面サセプタ部14aおよび外周サセプタ部14bおよび加熱器17を円形になし、エピタキシャル成長膜が均一になるように基板を担持した底面サセプタ部14aおよび外周サセプタ部14bを回転させる。
ところで、GaN系結晶を成長させる場合は、成長温度が1050℃と高温であるため、その輻射熱は基板遠方まで到達する。遮熱対策をしないと基板遠方より材料ガスの熱分解が起こり、基板上への材料ガス供給量が激減し枯渇する問題が発生する。また遠方で分解した材料ガスの残渣成分が基板へのエピタキシャル成長を阻害するため、GaN系結晶の結晶品質を低下させる問題が発生する。
材料ガスノズル11は、基板15に対し水平もしくは数度傾斜した状態で設置されていて基板上に材料ガスを噴射する。ここで、材料ガスには、窒素(N)、水素(H)、アンモニアガス(NH)、n型ドーパントガス(モノシランガス(SiH)、ジシランガス(Si))、有機金属ガス(TMGa(トリメチルガリウム)、TEGa(トリエチルガリウム)、TMAl(トリメチルアルミニウム)、TMIn(トリメチルインジウム)、CpMg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム))を含む。
押さえガス噴出器は基板中央部上面に設置され基板に対し垂直もしくは数度で材料ガスの下流部方向に傾斜した状態で設置されている。押さえガス噴出器12は、材料ガスの層流を外周サセプタ部14bと基板15の全面に押さえる押さえガスを供給する。押さえガス噴出器から噴出されるガスは水素ガスもしくは窒素ガスであり、材料ガスは含まない。押さえガス噴出器12からの押さえガス流(フロー)としては、基板15を覆う面積で、基板と垂直からやや斜めの角度θ(0°≦θ<40°)にHまたはNまたはこれらの混合ガスを吹付ける。
(嵌合サセプタ)
化学気相成長方法において、基板(サファイア、GaNなど)15を保持する底面サセプタ部14aおよび外周サセプタ部14bからなる嵌合サセプタを説明する。
底面サセプタ部14aは基板15と同質材料からなる。外周サセプタ部14bも基板15と同質材料からなる。嵌合サセプタは、基板同質材料から形成されるため、結晶成長中の加熱、冷却による熱膨張も基板と同様の変化を示すため、基板設置時と同様の基板と底面サセプタ部14aの密着状態を維持できる。その結果、結晶成長中、基板と底面サセプタ部14aの間および、基板裏面に材料ガスが流れ込むことがなく、層流ガスフローの乱れをなくすことができる。これにより、基板外周部への副生成物の発生および、その混入によるヒロックの発生、ひいては結晶欠陥の発生を抑制することができる。
底面サセプタ部14aには、図5に示すように、基板15を支持するための窪み(凹状の基板保持部の下側の凹部)が高精度に形成されており、この凹部位置に基板を嵌合させ設置することにより、加工限界の精度レベルで底面サセプタ部14aと基板15を密着させることができる。経験的には、±0.05mmの加工精度があれば、フローの乱れを誘発する隙間および段差とはならない。このように、底面サセプタ部14aの上面に基板の裏面を支持する接触部14acが設けられる。
底面サセプタ部14a上の基板セット位置に配置される基板15の外周部には、基板と同一結晶面を上面として持つ環状の外周サセプタ部14bを別部品として配置する。外周サセプタ部14bに基板を嵌合させ設置することにより、加工限界の精度レベルで外周サセプタ部14bと基板を密着させることができる。ここで、嵌合させるとは外周サセプタ部14bと基板15の隙間が0.05mm以下であることをいう。基板15は、その上面15cが外周サセプタ部14bの上面14bcと共に同一平面となるように、底面サセプタ部14a上に載置される。すなわち、外周サセプタ部14bは基板15の側面に嵌合するように環状に形成され、外周サセプタ部の上面14bcが底面サセプタ部14aの接触部14acから基板の上面15cに一致する高さHで同一平面となるように形成されている。すなわち底面サセプタ部14aと外周サセプタ部14bで画定される凹状の基板保持部の深さHが基板15の厚さとなっている。
さらに、外周サセプタ部14bの材料ガス接触上面14bcは、基板上面15cと同一の結晶面方位とし、基板と同様モード(2次元成長、3次元成長など)の成長が行われるようにする。結晶面方位には、c面、m面、R面、n面など、あるいはこれらの面からオフセットされた面を含む。たとえば、c面ではa軸方向へ±0.05°またはm軸方向へ±0.05°のオフ角度のものが同一の結晶面方位に含まれる。このオフ角度以内であれば許容できるレベルの成長が再現できる。外周サセプタ部14bを別部品とする理由は、様々な結晶面方位を持つ基板を使用する際にも、外周サセプタ部14bのみ変更すれば、対応可能となるためである。ある結晶面方位を持つ基板のみを繰り返し使用する場合には、別部品とせず、外周サセプタ部14bと底面サセプタ部14aを一体化しても良い。また、外周サセプタ部14bの結晶面方位については、目的に応じて、多種多様に基板が変更されることから、上記に記載した結晶面方位に限定されないことは言うまでもない。外周サセプタ部14bの半径方向の大きさ(幅)は、0.5〜5mmが望ましい。0.5mm以下の場合、基板外周部と外周サセプタ部14b外周部との距離が近すぎるため、以下に述べる外周サセプタ部14bの効果が小さい。5mm以上の場合、外周サセプタ部14bの効果は損なわれないが、リアクタ自体が大きくなってしまうので、適当な大きさが良い。
外周サセプタ部14bと基板15の結晶面方位を一致させるために、図6に示すように、外周サセプタ部14bは、基板15のオリフラFに一致する内周オリフラFbを備える。
外周サセプタ部14bの厚みの違いにより、図5に示す外周サセプタ部の薄型タイプの他に、図7に示す外周サセプタ部の厚型タイプがある。薄型タイプは、基板厚みより、外周サセプタ部14bの厚みが薄いタイプである。低材料コストであるが、機械的強度が懸念事項となる。厚型タイプは、基板厚みより、外周サセプタ部14bの厚みが厚いタイプである。材料コストはかかるが、機械的強度の問題がなくなる。図7に示す外周サセプタ部の厚型タイプの場合、底面サセプタ部14aの接触部14acが凹部ではなく凸部となるが、かかる凸部接触部14acの外側面に外周サセプタ部14bが基板15とともに嵌合する。これら薄型や厚型のタイプは、基板の厚み、大きさに応じて最適なタイプを選択することが好ましい。
本実施形態によると外周サセプタ部14b(基板に合わせて結晶面方位を変更する)上面自体にも結晶成長が行われるため、従来法に比べ、基板のより外周部まで正常な成長膜が得られ、より大面積での均一な膜成長を実現できる。
なお、サファイア基板など光透過性を有する材料からなる底面サセプタ部14aの場合は、その裏面には、図5(b)に示すように、基板セット面と反対側下方に位置する加熱器からの熱を吸収するようにSiC被覆膜18を形成する。SiC被覆膜18が15μm×2回被覆膜の30μm厚程度であれば熱吸収を行える。SiC被覆膜が、30μm厚未満と薄い場合、熱吸収が不十分となり、厚すぎると基板と同一の熱膨張変化を行えなくなるためである。
SiC被覆膜18は、底面サセプタ部14aの裏面全体に熱吸収するように施され、その際、基板セット用の窪み半径方向幅(面積)より、大きいことが不可欠である。これは、基板のみでなく、基板外周に位置する外周サセプタ部14bへの加熱も均一に行うためである。外周サセプタ部14b外周部から幅3mm以上大きい半径の加熱器を設置することが望ましい。
なお、気相成長装置として、2フローリアクタ装置で説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。
なお、上記気相成長装置では、材料ガスが基板半径方向である横方向から噴射されるように配置されているが、特に、この例に限定されるものではなく、気相成長装置では材料ガスが上方から噴射されるように配置されても良く、様々な化学気相成長装置の構成に対応可能である。
実施形態では、サファイア基板上にGaN層の成長例が挙げられるが、その他の本実施形態を適用可能な組み合わせは、サファイア基板上にAlN層、GaN基板上にGaN層、GaN基板上にAlN層を、成膜する場合なども挙げられる。
上記実施形態では、フロー補助板13の上面が外周サセプタ部14bと基板15の上面と同一平面となるように、設けられ、フロー乱れのないものであるが、他の実施形態においては、フロー補助板13を除いたり、あるいは、フロー補助板13上に外周サセプタ部14bと基板15の上面が突出させる場合も、本発明は実行可能であり、この場合、副生成物が外周サセプタ部14bの外側端部(側面)に生成されている。しかしながら、従来に比べ、温度の影響のみになるので副生成物生成範囲は狭くなり(量の減少)、かつ基板までの距離も遠くなる。その結果、基板上への副生成物、ヒロック、結晶欠陥の発生が従来方法より少なくなる。
以下に、上記の嵌合サセプタを用いたリアクタ構成にて製造する結晶成長およびLEDチップ化プロセスを記載する。
上記実施形態の2フローリアクタ装置によりGaN結晶などを成長させ、半導体発光そしを製造した。
2フロータイプのMOCVD(有機金属気相成長)装置にて、AlInGaN(0≦x≦1,0≦y≦1,0<z≦1、x+y+z=1)を成長可能な基板(c面サファイア基板)を準備し、この基板上にAlInGaNからなるn層、活性層、p層が積層された半導体膜を結晶成長させた。
具体的には、成長用の基板には、2インチφのc面サファイア単結晶基板、厚みt=0.43mm、面方位が<10−10>方向へ0.05°傾いた0.05°オフ基板、いわゆる(0001)0.05°off to<10−10>基板を用いた。よって、嵌合サセプタも(0001)0.05°off to<10−10>の面方位のc面サファイア単結晶板から切り出した。まず、サファイア基板を反応容器内の嵌合サセプタに設置し、水素雰囲気中1000℃で10分間加熱し、サーマルクリーニングを行った。
次に、ノズルから約500℃でTMGa(トリメチルガリウム)を流量10.4μmol/min、NH(アンモニアガス)を流量3.3LMで3分間供給して、サファイア基板上に低温バッファ層(GaN層)を形成した。押さえガスにはH(水素)+N(窒素)を1:1の混合比で30L/min流した。
その後、1000℃まで昇温し、形成した低温バッファ層を結晶化させ、そのままの温度でノズルからTMGaを流量45μmol/min、NHを流量4.4LMで20分間供給して結晶化した低温バッファ層上に下地GaN層を約1μmの厚さに形成した。押さえガスにはH(水素)+N(窒素)を1:1の混合比で30L/min流した。
次に温度1000℃でTMGaを流量45μmol/min、NHを流量4.4LM、SiH(モノシラン)を流量2.7×10−9μmol/minで40分間供給して、n型GaN層を約2〜4μmの厚さに成長させた。押さえガスにはH(水素)+N(窒素)を1:1の混合比で30L/min流した。
活性層には例えば、InGaN/GaNからなるMQW(多重量子井戸)構造を適用した。ここでは、InGaN/GaNを1周期として、5周期成長を行った。温度約700℃で、TMGaを流量3.6μmol/min、TMIn(トリメチルインジウム)を流量10μmol/min、NHを流量4.4LMで33秒間供給して膜厚約2.2nmのInGaN井戸層を成長させ、TMGaを流量3.6μmol/min、NHを流量4.4LMで320秒間供給して膜厚約15nmのGaN障壁層を成長させることを5周期分繰り返した。これらでは、押さえガスにはN(窒素)を30L/min流した。
その後、温度を870℃まで上げ、TMGaを流量8.1μmol/min、TMAl(トリメチルアルミニウム)を流量7.5μmol/min、NHを流量4.4LM、CpMg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)を流量2.9×10−7μmol/minで5分間供給して、膜厚約40nmのp型AlGaNクラッド層を成長させた。引き続き、温度870℃でTMGaを流量18μmol/min、NHを流量4.4LM、cp2Mgを流量2.9×10−7μmol/minで7分間供給して、膜厚約150nmのp型GaN層を成長させた。押さえガスにはH(水素)+N(窒素)を1:1の混合比で30L/min流した。
その後、半導体膜が積層された基板を反応容器から取り出し、基板上の成膜状態を観察した。従来方法であれば、2インチφのc面サファイア基板であれば外周6mm幅で異常成長部が現れ膜厚分布は同心円状の凹状であったが、この実施例では基板の外周まで全面に亘って正常成長ミラー部が形成されていた。
得られた基板に対して、RIE(Reactive Ion Etching)などを用いて、Clドライエッチングを行うことにより、n型GaN層を露出させた。次いで、フォトリソグラフィなどにより、電極形成部分に開口を持つレジストマスクを形成し、EB(電子ビーム)蒸着法などを用いて、n電極金属(Ti/Alなど)を成膜した。続いて、リフトオフにより、n電極を所望のパターンに形成した。さらにn電極のオーミック性を向上させるためにRTA(Rapid Thermal Annealing )などを用いて、温度500℃で20秒間、合金化処理を行った。そして、p電極として透明導電膜(ITOなど)およびパッド電極(TiAuなど)をスパッタおよびEB蒸着法などを用いて成膜させた。最後に、レーザースクライブ、ダイシングなどを用いて、素子分離を行い、LEDチップが作製された。
実施例にて作製された発光素子の発光波長バラツキを観察した。従来方法による素子では発光波長は基板中心部で短く、同心円状に基板周囲方向に長波長化したが、実施例のものでは基板の外周から得られた素子まで標準偏差の低い特性の揃ったものが得られた。
11 材料ガスノズル
14 サセプタ
15 基板
16 遮熱板
20 水冷ジャケット
12 押さえガス噴出器
13 フロー補助板
17 加熱器
18 SiC被覆膜

Claims (6)

  1. 基板を支持するサセプタと、前記サセプタの上面に沿って流れる材料ガス流を供給するノズルと、を含み、
    前記サセプタは、それぞれが前記基板と同一材料からなる、前記サセプタの上面に前記基板に嵌合する凹状の基板保持部を画定する外周サセプタ部と前記サセプタの裏面を画定する底面サセプタ部とから構成され、
    前記外周サセプタ部は、前記基板の上面と同一平面となる前記基板保持部を囲む上面を有しかつ、前記基板保持部を囲む上面が前記基板の上面の結晶面方位と同一の結晶面方位を有すること、を特徴とする気相成長装置。
  2. 前記底面サセプタ部の裏面側に加熱器を備え、前記加熱器からの熱を吸収するSiC被覆膜が前記底面サセプタ部の裏面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の気相成長装置。
  3. 前記外周サセプタ部が前記底面サセプタ部と一体となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の気相成長装置。
  4. 成長基板と同一材料からなり、前記成長基板が嵌合する凹状の基板保持部と、前記成長基板の上面と同一平面に位置しかつ前記成長基板の上面の結晶面方位と同一の結晶面方位を有する前記基板保持部を囲む上面と、を備えたサセプタを気相成長装置に用意する工程と、
    前記サセプタの前記基板保持部に前記成長基板を載置する工程と、
    前記サセプタを加熱し回転させつつ、前記成長基板上に材料ガスを供給してエピタキシャル成長する工程と、を含むこと、を特徴とするエピタキシャル成長層の製造方法。
  5. 前記成長基板がサファイアまたはGaNであることを特徴とする請求項4に記載のエピタキシャル成長層の製造方法。
  6. 成長基板の裏面を支持する接触部が上面に設けられ、かつ前記成長基板と同一材料からなる底面サセプタ部と、
    前記接触部上に載置された前記成長基板の側面に嵌合するように前記成長基板と同一材料で形成され、かつ前記成長基板の上面にと同一平面となるとともに前記成長基板の上面の結晶面方位と同一の結晶面方位の上面を有する外周サセプタ部と、を含むことを特徴とする気相成長用サセプタ。
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