JP2011222387A - プラズマ光源 - Google Patents

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Abstract

【課題】EUV放射のためのプラズマ光を長時間(μsecオーダーで)安定して発生させることができ、アーク放電による中心電極先端部のエロージョンを低減してその寿命を大幅に延ばすことができ、かつプラズマ媒体の供給量を増加させてプラズマを高密度化できるプラズマ光源を提供する。
【解決手段】対向配置された1対の同軸状電極10と放電環境保持装置20と電圧印加装置30とを備える。各同軸状電極10は、中心電極12と、中心電極の対向する先端部を囲むガイド電極14と、中心電極とガイド電極の間を絶縁する絶縁部材16とからなる。中心電極12は、先端部11を含む導電性多孔質部分12aを有し、この導電性多孔質部分を通してその内部から先端部11にプラズマ媒体6からなる液体金属を染み出すようになっている。
【選択図】図2

Description

本発明は、EUV放射のためのプラズマ光源に関する。
次世代半導体の微細加工のために極端紫外光源を用いるリソグラフィが期待されている。リソグラフィとは回路パターンの描かれたマスクを通して光やビームをシリコン基板上に縮小投影し、レジスト材料を感光させることで電子回路を形成する技術である。光リソグラフィで形成される回路の最小加工寸法は基本的には光源の波長に依存している。従って、次世代の半導体開発には光源の短波長化が必須であり、この光源開発に向けた研究が進められている。
次世代リソグラフィ光源として最も有力視されているのが、極端紫外光源(EUV:Extreme Ultra Violet)であり、およそ1〜100nmの波長領域の光を意味する。この領域の光はあらゆる物質に対し吸収率が高く、レンズ等の透過型光学系を利用することができないので、反射型光学系を用いることになる。また極端紫外光領域の光学系は非常に開発が困難で、限られた波長にしか反射特性を示さない。
現在、13.5nmに感度を有するMo/Si多層膜反射鏡が開発されており、この波長の光と反射鏡を組み合わせたリソグラフィ技術が開発されれば30nm以下の加工寸法を実現できると予測されている。さらなる微細加工技術の実現のために、波長13.5nmのリソグラフィ光源の開発が急務であり、高エネルギー密度プラズマからの輻射光が注目されている。
光源プラズマ生成はレーザー照射方式(LPP:Laser Produced Plasma)とパルスパワー技術によって駆動されるガス放電方式(DPP:Discharge Produced Plasma)に大別できる。DPPは、投入した電力が直接プラズマエネルギーに変換されるので、LPPに比べて変換効率で優位であるうえに、装置が小型で低コストという利点がある。
ガス放電方式による高温高密度プラズマからの放射スペクトルは、基本的にはターゲット物質の温度と密度によって決まり、プラズマの原子過程を計算した結果によると、EUV放射領域のプラズマにするにはXe,Snの場合で電子温度、電子密度がそれぞれ数10eV、1018cm−3程度,Liの場合で20eV、1018cm−3程度が最適とされている。
なお、上述したプラズマ光源は、非特許文献1,2および特許文献1に開示されている。
佐藤弘人、他、「リソグラフィ用放電プラズマEUV光源」、OQD−08−28 Jeroen Jonkers,"High power extreme ultra−violet(EUV) light sources for future lithography",Plasma Sources Science and Technology, 15(2006) S8−S16
特開2004−226244号公報、「極端紫外光源および半導体露光装置」
EUVリソグラフィ光源には、高い平均出力、微小な光源サイズ、飛散粒子(デブリ)が少ないこと等が要求される。現状では、EUV発光量が要求出力に対して極めて低く、高出力化が大きな課題の一つであるが、一方で高出力化のために入力エネルギーを大きくすると熱負荷によるダメージがプラズマ生成装置や光学系の寿命の低下を招いてしまう。従って、高EUV出力と低い熱負荷の双方を満たすためには、高いエネルギー変換効率が必要不可欠である。
プラズマ形成初期には加熱や電離に多くのエネルギーを消費するうえに、EUVを放射するような高温高密度状態のプラズマは一般的に急速に膨張してしまうため、放射持続時間τが極端に短い。従って、変換効率を改善するためには、プラズマをEUV放射のために適した高温高密度状態で長時間(μsecオーダーで)維持することが重要になる。
SnやLi等の常温固体の媒体はスペクトル変換効率が高い反面、プラズマ生成に溶融、蒸発等の相変化を伴うため、中性粒子等のデブリ(放電に伴う派生物)による装置内汚染の影響が大きくなる。そのため、ターゲット供給、回収システム強化も同様に要求される。
現在の一般的なEUVプラズマ光源の放射時間は100nsec程度であり出力が極端に足りない。産業応用のため高変換効率と高平均出力を両立させるためには1ショットで数μsecのEUV放射時間を達成する必要がある。つまり、高い変換効率を持つプラズマ光源を開発するためには、それぞれのターゲットに適した温度密度状態のプラズマを数μsec(少なくとも1μsec以上)拘束し、安定したEUV放射を達成する必要がある。
またガス放電方式の場合、プラズマを閉じ込める中心電極の先端部は電極母材がむき出しの状態であり、アーク放電による電極エロージョンのため短期間で電極交換が必要になる問題点があった。
さらに、プラズマ媒体を供給する供給部が面状放電を発生させる部分に限られるため、プラズマ媒体の供給量が制限され、プラズマの高密度化が困難である問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、EUV放射のためのプラズマ光を長時間(μsecオーダーで)安定して発生させることができ、アーク放電による中心電極先端部のエロージョンを低減してその寿命を大幅に延ばすことができ、かつプラズマ媒体の供給量を増加させてプラズマを高密度化できるプラズマ光源を提供することにある。
本発明によれば、対向配置された1対の同軸状電極と、該同軸状電極内のプラズマ媒体をプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持する放電環境保持装置と、各同軸状電極に極性を反転させた放電電圧を印加する電圧印加装置と、を備えるプラズマ光源であって、
前記各同軸状電極は、単一の軸線上に延びる棒状の中心電極と、該中心電極の対向する先端部を一定の間隔を隔てて囲むガイド電極と、前記中心電極とガイド電極の間を絶縁する絶縁部材とからなり、
前記中心電極は、前記先端部を含み導電性を有した多孔質からなる導電性多孔質部分を有し、該導電性多孔質部分を通してその内部から前記先端部にプラズマ媒体からなる液体金属を染み出すようになっている、ことを特徴とするプラズマ光源が提供される。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記導電性多孔質部分は、ガイド電極と対向する外周面を含み前記先端部が閉じた中空円筒形であり、
さらに、該導電性多孔質部分の内部と連通しプラズマ媒体を内部に保有する中空の第1リザーバーを有する導電性緻密部分を有する。
前記絶縁部材は、液化したプラズマ媒体が浸透できない絶縁性緻密部分と、液化したプラズマ媒体が浸透する絶縁性多孔質部分とを一体成型した部分多孔体セラミックであり、
前記絶縁性緻密部分は、プラズマ媒体を内部に保有する第2リザーバーを有し、前記絶縁性多孔質部分を通して第2リザーバーから中心電極とガイド電極の間までプラズマ媒体を染み出すようになっている。
上記本発明の構成によれば、対向配置された1対の同軸状電極を備え、1対の同軸状電極にそれぞれ面状の放電電流(面状放電)を発生させ、該面状放電により各同軸状電極の対向する中間位置に単一のプラズマを形成し、次いで前記面状放電を1対の同軸状電極間の管状放電に繋ぎ換えて前記プラズマを封じ込める磁場(磁気ビン)を形成するので、EUV放射のためのプラズマ光を長時間(μsecオーダーで)安定して発生させることができる。
また、中心電極は、先端部を含み導電性を有した多孔質からなる導電性多孔質部分を通してその内部から先端部にプラズマ媒体からなる液体金属が染み出し、中心電極の先端部が発光物質(プラズマ媒体)である液体金属で被覆されるので、アーク放電による中心電極先端部のエロージョンで飛散するのは、表面を被覆している発光物質だけであり、中心電極母材の消耗を大幅に低減する事ができる。
また、導電性多孔質部分が、ガイド電極と対向する外周面を含み先端部が閉じた中空円筒形であり、さらに、導電性多孔質部分の内部と連通しプラズマ媒体を内部に保有する中空の第1リザーバーを有する導電性緻密部分を有する構成により、プラズマ媒体を供給する供給部で面状放電(電流シート)が形成されこの電流シートの移動時に、同軸電極部の中心電極表面からも発光物質(プラズマ媒体)の巻上げが発生する。これらも電流シートの放電電流によりイオン化されるため、光源プラズマ密度の高密度化が容易になる。
中心電極の先端部におけるアークスポットとスパッタの説明図である。 本発明によるプラズマ光源の実施形態図である。 図2の同軸状電極の拡大図である。 本発明によるプラズマ光源の作動説明図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、中心電極の先端部におけるアークスポットとスパッタの模式図である。この図において(A)はアークスポットの模式図、(B)はスパッタの模式図である。
ガス放電方式の場合、プラズマを閉じ込める中心電極12’の先端部は電極母材がむき出しの状態である。そのため、図1(A)に示すように、中心電極12’の先端部には、アーク放電Aによりアーク電流とイオン衝撃がμmオーダーで集中するマイクロアークスポットが発生し、このマイクロアークスポットはnsからμsオーダーで高速移動する。従って、局所的に高熱負荷、高温域となり、電極材質の局所蒸発が生じる。
また、図1(B)に示すように、マイクロアークスポットをミクロ的に観察すると、イオン衝撃による原子放出は発生しており、この原子放出はps以下で終了し、放出範囲は原子数個分の領域である。
このような、アーク放電による電極エロージョンは、経験則上、1〜20μg/Cであり、ガス放電方式によるアーク放電をkHzオーダーで実施する場合、中心電極の消耗量は、数cc/day〜数十cc/dayに達することになる。
従って、従来はアーク放電のため短期間で電極交換が必要になる問題点があった。
図2は、本発明によるプラズマ光源の実施形態図である。
この図において、本発明のプラズマ光源は、1対の同軸状電極10、放電環境保持装置20、及び電圧印加装置30を備える。
1対の同軸状電極10は、対称面1を中心として対向配置されている。
各同軸状電極10は、棒状の中心電極12、ガイド電極14及び絶縁部材16からなる。
棒状の中心電極12は、単一の軸線Z−Z上に延びる導電性の電極である。
この例において、中心電極12の対称面1に対向する端面は円弧状になっている。なお、この構成は必須ではなく、端面に凹穴を設け、後述する面状放電電流2と管状放電4を安定化させるようにしてもよく、或いは平面でもよい。
ガイド電極14は、中心電極12の対向する先端部を一定の間隔を隔てて囲み、その間にプラズマ媒体を保有するようになっている。
また、ガイド電極14の対称面1に対向する端面は、この例では円弧状であるが平面でもよい。
絶縁部材16は、中心電極12とガイド電極14の間に位置する中空円筒形状の電気的絶縁体であり、中心電極12とガイド電極14の間を電気的に絶縁する。
上述した1対の同軸状電極10は、各中心電極12が同一の軸線Z−Z上に位置し、かつ互いに一定の間隔を隔てて対称に位置する。
放電環境保持装置20は、同軸状電極10内のプラズマ媒体をプラズマ発生に適した温度及び圧力に同軸状電極10を保持する。
放電環境保持装置20は、例えば、真空チャンバー、温度調節器、真空装置、及びプラズマ媒体供給装置により構成することができる。なおこの構成は必須ではなく、その他の構成であってもよい。
電圧印加装置30は、各同軸状電極10に極性を反転させた放電電圧を印加する。
電圧印加装置30は、この例では、正電圧源32、負電圧源34及びトリガスイッチ36からなる。
正電圧源32は、一方(この例では左側)の同軸状電極10の中心電極12にそのガイド電極14より高い正の放電電圧を印加する。
負電圧源34は、他方(この例では右側)の同軸状電極10の中心電極12にそのガイド電極14より低い負の放電電圧を印加する。
トリガスイッチ36は、正電圧源32と負電圧源34を同時に作動させて、それぞれの同軸状電極10に同時に正負の放電電圧を印加する。
この構成により、本発明のプラズマ光源は、1対の同軸状電極10間に管状放電(後述する)を形成してプラズマを軸方向に封じ込めプラズマ光を発光させるようになっている。
図3は、図2の同軸状電極の拡大図である。
この図において、中心電極12は、対向配置された先端部11を含み導電性を有した多孔質からなる導電性多孔質部分12aを有する。この導電性多孔質部分12aは、例えばタングステン多孔体であり、その内部から先端部11にプラズマ媒体6からなる液体金属を染み出すようになっている。
図3において、導電性多孔質部分12aは、ガイド電極14と対向する外周面を含み、先端部11が閉じた中空円筒形である。
また、この例において、中心電極12は、さらに、導電性多孔質部分12aの内部と連通しプラズマ媒体6を内部に保有する中空の第1リザーバー13を有する導電性緻密部分12bを有する。
プラズマ媒体6からなる液体金属は、例えばSn,Li等である。これらのプラズマ媒体6は、図示しない加熱装置(ヒータ等)により、液体状態に保持されている。
上述した構成により、導電性多孔質部分12aを通してその内部からプラズマ媒体6が染み出し、中心電極の先端部11と外周面が発光物質(プラズマ媒体6)で被覆される。プラズマ媒体6の被覆状態を図に破線で示す。
従って、アーク放電Aによる中心電極先端部11のエロージョンで飛散するのは、表面を被覆している発光物質(プラズマ媒体6)だけであり、中心電極母材の消耗を大幅に低減する事ができる。
図3において、絶縁部材16は、液化したプラズマ媒体が浸透できない絶縁性緻密部分16aと、液化したプラズマ媒体が連続して浸透する絶縁性多孔質部分16bとを一体成型した部分多孔体セラミックである。
絶縁性緻密部分16aと絶縁性多孔質部分16bを構成するセラミックは、アルミナ(Al)、窒化アルミ(AlN)、ジルコニア(ZrO)、シリコンカーバイド(SiC)、等の絶縁性セラミックであるのが好ましい。
また絶縁性緻密部分16aの粒径及び焼成温度は、液化したプラズマ媒体が連続して浸透できないように設定する。さらに絶縁性多孔質部分16bの粒径及び焼成温度は、液化したプラズマ媒体が連続して浸透するように設定する。
また、絶縁性緻密部分16aは、プラズマ媒体を内部に保有する第2リザーバー18を有する。この例において、第2リザーバー18は、絶縁性緻密部分16aの内部に設けられ、軸線Z−Zを中心とする中空円筒形の空洞である。
上述したプラズマ光源を用い、絶縁部材16をプラズマ媒体6(Sn,Li等)の蒸気圧がプラズマ発生に適した圧力(Torrオーダー)となる温度に加熱維持し、同軸状電極10内(中心電極12とガイド電極14の間)をTorrオーダーのプラズマ媒体6の蒸気雰囲気にする。
また、電極導体(中心電極12とガイド電極14)をプラズマ媒体6の蒸気が凝集しない高温に維持する。
なお、絶縁性緻密部分16aと絶縁性多孔質部分16bの形状はこの例に限定されず、中心電極12とガイド電極14の間を電気的に絶縁する限りで、その他の形状であってもよい。
図4は、図2のプラズマ光源の作動説明図である。この図において、(A)は面状放電の発生時、(B)は面状放電の移動中、(C)はプラズマの形成時、(D)はプラズマ封込み磁場の形成時を示している。
以下、この図を参照して、本発明の装置によるプラズマ光発生方法を説明する。
本発明のプラズマ光源は、上述した1対の同軸状電極10を対向配置し、放電環境保持装置20により同軸状電極10内にプラズマ媒体を供給しかつプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持し、電圧印加装置30により各同軸状電極10に極性を反転させた放電電圧を印加する。
図4(A)に示すように、この電圧印加により、1対の同軸状電極10に絶縁部材16の表面でそれぞれ面状の放電電流(以下、面状放電2と呼ぶ)が発生する。面状放電2は、2次元的に広がる面状の放電電流であり、以下「電流シート」とも呼ぶ。
なおこの際、左側の同軸状電極10の中心電極12は正電圧(+)、ガイド電極14は負電圧(−)に印加され、右側の同軸状電極10の中心電極12は負電圧(−)、そのガイド電極14は正電圧(+)に印加されている。
なお、両方のガイド電極14を接地させて0Vに保持し、一方の中心電極12を正電圧(+)に印加し、他方の中心電極12を負電圧(−)に印加してもよい。
また、図4(A)において、導電性多孔質部分12aを通してその内部(第1リザーバー13)からプラズマ媒体6が染み出し、中心電極の先端部11と外周面が発光物質(プラズマ媒体6)で被覆される。
図4(B)に示すように、面状放電2は、自己磁場によって電極から排出される方向(図で中心に向かう方向)に移動する。
この電流シート(面状放電2)の移動時に、同軸電極部の中心電極表面からも発光物質(プラズマ媒体6)の巻上げが発生し、電流シートの放電電流によりイオン化される。
図4(C)に示すように、面状放電2が1対の同軸状電極10の先端に達すると、1対の面状放電2の間に挟まれたプラズマ媒体6が高密度、高温となり、各同軸状電極10の対向する中間位置(中心電極12の対称面1)に単一のプラズマ3が形成される。
図4(C)においても、中心電極の先端部11が発光物質(プラズマ媒体6)で被覆されているので、中心電極先端部11のエロージョンで飛散するのは、表面を被覆している発光物質(プラズマ媒体6)だけであり、中心電極母材の消耗を大幅に低減する事ができる。
さらに、この状態において、対向する1対の中心電極12は、正電圧(+)と負電圧(−)であり、同様に対向する1対のガイド電極14も、正電圧(+)と負電圧(−)であるので、図4(D)に示すように、面状放電2は対向する1対の中心電極12同士、及び対向する1対のガイド電極14の間で放電する管状放電4に繋ぎ換えられる。ここで、管状放電4とは、軸線Z−Zを囲む中空円筒状の放電電流を意味する。
この管状放電4が形成されると、図に符号5で示すプラズマ封込み磁場(磁気ビン)が形成され、プラズマ3を半径方向及び軸方向に封じ込むことができる。
すなわち、磁気ビン5はプラズマ3の圧力により中央部は大きくその両側が小さくなり、プラズマ3に向かう軸方向の磁気圧勾配が形成され、この磁気圧勾配によりプラズマ3は中間位置に拘束される。さらにプラズマ電流の自己磁場によって中心方向にプラズマ3は圧縮(Zピンチ)され、半径方向にも自己磁場による拘束が働く。
この状態において、プラズマ3の発光エネルギーに相当するエネルギーを電圧印加装置30から供給し続ければ、高いエネルギー変換効率で、プラズマ光8(EUV)を長時間安定して発生させることができる。
また図4(D)においても、中心電極の先端部11が発光物質(プラズマ媒体6)で被覆されているので、中心電極先端部11のエロージョンで飛散するのは、表面を被覆している発光物質(プラズマ媒体6)だけであり、中心電極母材の消耗を大幅に低減する事ができる。
上述した本発明の装置によれば、対向配置された1対の同軸状電極10を備え、1対の同軸状電極10にそれぞれ面状の放電電流(面状放電2)を発生させ、面状放電2により各同軸状電極10の対向する中間位置に単一のプラズマ3を形成し、次いで面状放電2を1対の同軸状電極間の管状放電4に繋ぎ換えてプラズマ3を封じ込めるプラズマ封込み磁場5(磁気ビン5)を形成するので、EUV放射のためのプラズマ光を長時間(μsecオーダーで)安定して発生させることができる。
また、上述した本発明の構成により、プラズマ媒体6を供給する供給部(絶縁部材16の表面)で面状放電2(電流シート)が形成されこの電流シートの移動時に、同軸電極部の中心電極表面からも発光物質(プラズマ媒体6)の巻上げが発生し、これらも電流シートの放電電流によりイオン化されるため、光源プラズマ密度の高密度化が容易になる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1 対称面、2 面状放電(電流シート)、3 プラズマ、
4 管状放電、5 プラズマ封込み磁場、6 プラズマ媒体、
8 プラズマ光(EUV)、
10 同軸状電極、11 先端部、12 中心電極、
12a 導電性多孔質部分、12b 導電性緻密部分、
13 第1リザーバー、14 ガイド電極、
16 絶縁部材(部分多孔体セラミック)、
16a 絶縁性緻密部分、16b 絶縁性多孔質部分、
18 第2リザーバー、20 放電環境保持装置、
30 電圧印加装置、32 正電圧源、
34 負電圧源、36 トリガスイッチ

Claims (3)

  1. 対向配置された1対の同軸状電極と、該同軸状電極内のプラズマ媒体をプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持する放電環境保持装置と、各同軸状電極に極性を反転させた放電電圧を印加する電圧印加装置と、を備えるプラズマ光源であって、
    前記各同軸状電極は、単一の軸線上に延びる棒状の中心電極と、該中心電極の対向する先端部を一定の間隔を隔てて囲むガイド電極と、前記中心電極とガイド電極の間を絶縁する絶縁部材とからなり、
    前記中心電極は、前記先端部を含み導電性を有した多孔質からなる導電性多孔質部分を有し、該導電性多孔質部分を通してその内部から前記先端部にプラズマ媒体からなる液体金属を染み出すようになっている、ことを特徴とするプラズマ光源。
  2. 前記導電性多孔質部分は、ガイド電極と対向する外周面を含み前記先端部が閉じた中空円筒形であり、
    さらに、該導電性多孔質部分の内部と連通しプラズマ媒体を内部に保有する中空の第1リザーバーを有する導電性緻密部分を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ光源。
  3. 前記絶縁部材は、液化したプラズマ媒体が浸透できない絶縁性緻密部分と、液化したプラズマ媒体が浸透する絶縁性多孔質部分とを一体成型した部分多孔体セラミックであり、
    前記絶縁性緻密部分は、プラズマ媒体を内部に保有する第2リザーバーを有し、前記絶縁性多孔質部分を通して第2リザーバーから中心電極とガイド電極の間までプラズマ媒体を染み出すようになっている、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ光源。

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