JP2011222130A - 積層形燃料電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属系材料のセパレータでは困難であった燃料電池の動作環境における耐食性と導電性とを両立させた金属材料セパレータを用いた実用的な積層形燃料電池を提供する。
【解決手段】複数個の単セルが積層され一対の締付板で前記積層された積層形燃料電池であって、前記単セルは、電解質膜と該電解質膜の両面に配設された一対の電極層とが接合された膜/電極接合体と、前記膜/電極接合体の外側に配設された一対のセパレータ1とから成り、または、前記単セルは、前記膜/電極接合体と、前記膜/電極接合体の外側に配設された一対のガス拡散層と、前記ガス拡散層の外側に配設された一対のセパレータ1とから成り、前記セパレータ1は、金属で構成されており、前記膜/電極接合体または前記ガス拡散層と当接する部分に多孔質層11が形成され、前記多孔質層11の細孔中に金属ナノ粒子で構成され内部に気孔を含む導電層12が形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、積層形燃料電池に係り、特に固体高分子形燃料電池の単位セルを複数個積層した積層形燃料電池に関する。
近年、化石燃料の大量消費による地球温暖化・環境汚染問題は深刻な問題となっている。この問題に対する対処手段として、化石燃料を燃やす内燃機関に代わり、水素やメタノール等を燃料とし、酸素やこれを含む空気等を酸化剤とした燃料電池(例えば、固体高分子形燃料電池)が注目を集めている。燃料電池は、発電に伴う排出物の環境に対する負荷が少なく、クリーンな発電システムとして注目されている。特に、近年の環境保護への関心の高まりから、燃料電池の分散電源や電気自動車電源への用途展開が期待されている。また、燃料電池は、高エネルギー密度の電源として、モバイル機器の電源などへの適用可能性が検討され始めている。
燃料電池には、固体高分子形,リン酸形,溶融炭酸塩形,固体酸化物形等が挙げられる。それらの中で、固体高分子形燃料電池は、室温から100℃程度の比較的低温で発電が可能であり、出力密度が高いことから、上述した用途では固体高分子形燃料電池が最も適している。固体高分子型燃料電池は、一般的に、アノード、カソードとなる触媒金属を担持した担持カーボンの層(以下、単に電極触媒層と称す)が固体高分子電解質膜の両面に配置・接合された構造(以下、単に膜/電極接合体と称す)を中心に構成されている。ここで、膜/電極接合体の外側(接合されたアノード、カソードの外側)には、燃料である水素やメタノール、あるいは酸化剤である空気や酸素の拡散を円滑に行うためにガス拡散層が配置される。
固体高分子形燃料電池では、例えば燃料に水素を用いた場合、燃料中の水素と空気中の酸素とから次の反応式で表される反応により発電に伴って水が生成する。
アノード側 H → 2H + 2e
カソード側 0.5O + 2H + 2e → H
全反応 H + 0.5O → H
上記の反応において固体高分子形燃料電池の発電時には最大約1 Vの電圧が発生する。
言い換えると、固体高分子形燃料電池の単セルでは上記のように最大約1 V程度の電圧しか出力されない。このために、要求される出力規模に応じて単セルを複数個積層し、電気的に直列接続した積層形燃料電池が実際のシステムに用いられる。例えば、燃料電池自動車用の燃料電池では50〜70 kWの出力が求められており、200〜500個の単セルを積層する必要がある。
高い出力密度が求められる燃料電池自動車などの移動体向け燃料電池のセパレータには、炭素系材料に比べて成形が容易で、セパレータ厚さを薄くできる金属系材料のセパレータの開発が進められている。セパレータ厚さが薄くなると積層形電池の体積を低減することができ、体積出力密度の向上が見込める。このような背景から、種々の金属材料系セパレータが提案されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
また、薄型化のみでなく材料の比重を低減することにより、積層形燃料電池の重量を軽量化することができる。そのような材料としては、アルミニウムのように比重の小さい材料が検討されている。ただし、アルミニウムは腐食され易くかつ腐食生成物の電子抵抗が高いため、表面をコーティングする必要がある。このような背景から、各種の表面コーティング方法が提案されている(例えば、特許文献4,5,6参照)。
特開2003−193206号公報 特開2005−298960号公報 特開2003−272659号公報 特開2000−58080号公報 特開2000−106197号公報 特開2006−134677号公報
従来技術では、燃料電池の動作環境での耐食性・導電性に優れる炭素系材料がセパレータ材料にしばしば用いられてきたが、燃料電池自動車などの移動体向け燃料電池のセパレータには、体積が小さく軽量な積層形燃料電池が強く求められている。そして、積層形燃料電池の体積や質量を低減するためにはセパレータを薄型化することが有効な手段の1つである。しかしながら、従来の炭素系材料は、緻密黒鉛などの焼結体または炭素粉末と樹脂のコンポジット材料であるために、薄くすると気密性や耐衝撃性が低下する問題がある。
一方、金属系材料のセパレータは薄型化しても気密性、耐衝撃性が低下することはない。しかしながら、燃料電池の動作環境において耐食性に優れる金属材料は、材料表面に緻密な酸化物層を形成していることが多く、良好な導電性を確保することが難しい。
したがって本発明の目的は、従来の金属系材料のセパレータでは困難であった燃料電池の動作環境における耐食性と導電性とを両立させた金属材料セパレータを提供し、その金属材料セパレータを用いて従来よりも実用的な積層形燃料電池を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、次のような特徴を有する。
本発明に係る積層形燃料電池は、複数個の単セルが積層され一対の締付板で前記積層された単セルの両端を締付固定した積層形燃料電池であって、
前記単セルは、電解質膜と該電解質膜の両面に配設された一対の電極層とが接合された膜/電極接合体と、前記膜/電極接合体の外側に配設された一対のセパレータとから成り、または、前記単セルは、前記膜/電極接合体と、前記膜/電極接合体の外側に配設された一対のガス拡散層と、前記ガス拡散層の外側に配設された一対のセパレータとから成り、
前記セパレータは、金属で構成されており、前記膜/電極接合体または前記ガス拡散層と当接する部分に多孔質層が形成され、前記多孔質層の細孔中に金属ナノ粒子で構成され内部に気孔を含む導電層が形成されている。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の発明に係る積層形燃料電池において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(1)前記導電層と前記セパレータを構成する金属との間で前記多孔質層内に、単層または複層の金属層が更に形成されている。
(2)前記導電層の最表面が前記多孔質層の最表面よりも突出している。
(3)前記多孔質層の厚さが300μm以下である。
(4)前記金属ナノ粒子は、平均粒径が1〜100 nmであり、金属種が鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金およびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成る。
(5)前記導電層の厚さが200μm以下である。
(6)前記セパレータを構成する金属は、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ハフニウム、亜鉛、ビスマス、アンチモンおよびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属である。
(7)前記セパレータは3層以上の金属層から構成され、
前記3層以上の金属層の内の中芯層は、鉄、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ニッケル、クロムおよびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成り、
前記3層以上の金属層の内の最外層は、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ハフニウム、亜鉛、ビスマス、アンチモンおよびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成る。
(8)前記多孔質層内の単層または複層の金属層は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金およびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成る。
(9)前記多孔質層内の金属層は複層の金属層であり、
前記複層の金属層の内で前記導電層側の金属層が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金およびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成り、
前記複層の金属層の内で前記セパレータ側の金属層が、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、錫、銀およびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成る。
(10)前記積層形燃料電池は、前記単セル毎にまたは複数個の前記単セル毎に、冷媒を用いて冷却する冷却セパレータを更に有する。
また、本発明に係る積層形燃料電池の製造方法は、複数個の単セルが積層され一対の締付板で前記積層された単セルの両端が締付固定された積層形燃料電池であり、
前記単セルは、電解質膜と該電解質膜の両面に配設された一対の電極層とが接合された膜/電極接合体と、前記膜/電極接合体の外側に配設された一対のセパレータとから成り、または、
前記単セルは、前記膜/電極接合体と、前記膜/電極接合体の外側に配設された一対のガス拡散層と、前記ガス拡散層の外側に配設された一対のセパレータとから成り、
前記セパレータは、金属で構成されており、前記膜/電極接合体または前記ガス拡散層と当接する部分に多孔質層が形成され、前記多孔質層の細孔中に金属ナノ粒子で構成され内部に気孔を含む導電層が形成されている積層形燃料電池の製造方法であって、
前記多孔質層を形成する工程は、前記セパレータ表面に対する陽極酸化処理である。
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の発明に係る積層形燃料電池の製造方法において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(11)前記多孔質層の細孔中に金属ナノ粒子を充填する工程は、前記金属ナノ粒子を含有する塗料を前記多孔質層の表面に塗布する工程である。
(12)前記導電層を形成する工程は、前記多孔質層の細孔中に充填された前記塗料に対して50〜500℃の温度で熱処理する工程である。
本発明によれば、従来の金属系材料のセパレータでは困難であった燃料電池の動作環境における耐食性と導電性とを両立させた金属材料セパレータを提供でき、その金属材料セパレータを用いることによって従来よりも実用的な積層形燃料電池を提供することができる。具体的には、セパレータ表面の多孔質層の細孔中に金属ナノ粒子を充填することにより多孔質層中に金属ナノ粒子による導電パス(導電層)を形成することができ、燃料電池の動作環境での耐食性と導電性とを高次元で両立させた実用的な金属材料系セパレータを提供することができる。さらに、金属ナノ粒子により構成される導電層は気孔を含んでいることから、締付固定時の面圧を受けて膜/電極接合体やガス拡散層の形状に沿って変形しやすく、接触面積を有効に確保できることから接触抵抗を低下させることができる。その結果、体積出力密度が高くかつ軽量な積層形燃料電池を提供することができる。
本発明に係るセパレータの1例の分解斜視図である。 本発明に係るセパレータを用いた積層形燃料電池の1例の分解斜視図である。 図1に示したA−A’線に沿ったセパレータの断面模式図である。 図3に示したセパレータの凸面の頂上部近傍の部分拡大模式図である。 セパレータとガス拡散層との間における締付固定の面圧と接触抵抗との関係を示す測定結果である。 本発明に係る他のセパレータの凸面の頂上部近傍の部分拡大断面模式図である。 本発明に係る更に他のセパレータの凸面の頂上部近傍の部分拡大断面模式図である。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るセパレータの1例の分解斜視図である。なお、理解を助けるために、図中にはセパレータ1の表裏面に面するガスケット5も併記した。図1に示したように、本発明に係るセパレータ1は、その周囲が平坦であり、中央部にプレス等で成型した流路部3が形成されている。平坦部2はガスケット5と面接触するために必要な部位で、流路部3はセパレータ1の表裏面に反応ガス(燃料ガスと酸化剤ガスの総称)や冷却水を流通させるための凹凸状の溝である。また、反応ガスや冷却水の出入口となるマニホールド4が形成されている。平坦部2の表裏面に対してそれぞれガスケット5が密着され、ガスケット付きセパレータ101を構成する。
図2は、本発明に係るセパレータを用いた積層形燃料電池の1例の分解斜視図である。本発明に係る燃料電池において、セパレータ1は、ガス拡散層6や膜/電極接合体(MEA: Membrane Electrode Assembly)7などと組み合わせて使用される。ガスケット5を張り合わせたセパレータ101には2種類ある。両面に反応ガスを流通させるガスケット付きセパレータ101を101Aの符合で表し、片面が反応ガス用で反対面が冷却水用であるガスケット付きセパレータ101を101Bの符合で表わした。ガスケット付きセパレータ101A,101Bの反応ガス流通面側には、ガス拡散層6/MEA7/ガス拡散層6がそれぞれ挟持されており、一つの単セルを構成する。その他には、集電板8、絶縁板9および端板10を用いて積層形燃料電池が構成される。
図1、図2に示したように、ガスケット付きセパレータ101は、隣り合う部材であるガス拡散層6に対してセパレータ1の凸面の頂点で接する。したがって、セパレータ1の凸面頂点は導電性を有している必要がある。一方、それ以外の面は電気の導通に無関係であるため、導電性を必要とせず、絶縁層であっても構わないし導電性であってもよい。
図3は、図1に示したA−A’線に沿ったセパレータの断面模式図である。多孔質層11はセパレータ1の外表面に形成され、セパレータ1の凸面頂上部の多孔質層11には導電層12が形成されている。図4は、図3に示したセパレータの凸面の頂上部近傍の部分拡大模式図である。多孔質層11の細孔中に金属ナノ粒子12aが充填された導電層12が形成され、導電層12中には気孔12bが含まれている。図4のような構成は、セパレータ1の表面の多孔質層11に金属ナノ粒子を塗布により充填することで導電層12を形成することができる。また、このような構成にすることにより、セパレータ1と導電層12を一体化することができ、耐食性と導電性を両立させた金属系材料セパレータを提供することができる。
図5は、セパレータとガス拡散層との間における締付固定の面圧と接触抵抗との関係を示す測定結果である。図5に示すように、締付固定の面圧が増大するにつれて、セパレータとガス拡散層との間の接触抵抗が低下したが、本発明に係るセパレータを用いた方が従来の金属材料系セパレータの場合よりも低い接触抵抗を示した。これは、本発明に係るセパレータの導電層12が金属ナノ粒子12aと気孔12bとを有することから、面圧を受けてガス拡散層の形状に沿って変形し、有効な接触面積が増大したためと考えられた。
セパレータ1として選ぶ金属はある程度の耐食性を有していることが好ましい。なかでもチタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステンは高耐食性を有する金属であると同時に、腐食生成物の放出量が他の金属に比べ極めて少ない。これは腐食生成物が酸化皮膜として表面に留まる性質を有するためである。したがって、電極や電解質膜に及ぼす悪影響は小さく、燃料電池には好ましい金属と言える。アルミニウムは前述の金属に比較すると耐食性が劣るが、腐食してもアルマイトと同質の皮膜が生成するため腐食生成物の放出量が比較的少なく、好ましく利用できる金属種である。セパレータ1を構成する金属として上記のような金属を選ぶことにより、金属イオンの溶出が少なくなり、電解質膜6や触媒層11の劣化を最小限に抑えられる長寿命なセパレータが期待できる。
セパレータ1を構成するのに好適な金属の中には比較的高価な金属種が存在する。そこで、セパレータ1を3層以上の金属層で構成し、該3層以上の金属層の内の中芯層において、鉄、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ニッケル、クロムおよびこれら金属種の合金などの比較的安価な金属を使用し、該3層以上の金属層の内の最外層において上記の好適な金属を薄く配置する(例えば、好適な金属の薄膜とする)。このような構成にすることにより、比較的高価な金属の使用量を低減することができ低コスト化に寄与できる。
図6は、本発明に係る他のセパレータの凸面の頂上部近傍の部分拡大断面模式図である。図6に示すように、セパレータ1と導電層12との間で多孔質層11内に、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金またはこれら金属種の合金などの金属層13を形成することは好ましい。これにより、セパレータ1と導電層12の電気的接触が良好になり、セル毎の発電特性の差が少なくなることから積層形燃料電池全体としての発電特性が向上する。金属層13の形成方法に特段の限定はないが、例えば、メッキ法、蒸着法、スパッタリング法、CVD法などを利用できる。
金属層13を構成する金属はある程度の耐食性と導電性とを有していることが好ましい。良好な耐食性と導電性とを有している金属としては、例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金などが挙げられるが、それらは比較的高価な金属種である。そこで、図7に示すように金属層13を複層の金属層(例えば、セパレータ1側の金属層13aと導電層12側の金属層13b)とすることは好ましい。図7は、本発明に係る更に他のセパレータの凸面の頂上部近傍の部分拡大断面模式図である。セパレータ1側の金属層13aとして、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、錫、銀またはこれら金属種の合金を配置する。一方、導電層12側の金属層13bとして、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金またはこれら金属種の合金を薄く配置する(例えば、薄膜とする)。このような構成にすることにより、比較的高価な金属の使用量を低減することができ低コスト化に寄与できると共に、高い耐食性を維持できる。
セパレータ1の多孔質層11は、セパレータ1の表面に対して陽極酸化処理やエッチング、転写成形などにより形成することができる。例えば、陽極酸化処理によって多孔質層11には0.1〜100μm程度の径を持つ細孔が形成される。また、陽極酸化処理の浴・電流・電圧などの条件を制御することで細孔の形状や多孔質層の厚さを任意に制御することができる。これにより、多孔質層11の細孔中への金属ナノ粒子の充填性を良好にすることが可能となる。
一方、導電層12は、多孔質層11の表面に金属ナノ粒子を含む塗料を塗布することにより形成する。このとき、金属ナノ粒子が多孔質層11の細孔中に簡便かつ確実に充填できることが好ましい。そのため、金属ナノ粒子の平均粒径は1〜100 nmであることが好ましい。金属ナノ粒子の平均粒径が1〜100 nmであれば、良好な導電性を得るのに十分な量の金属ナノ粒子を細孔内に充填することができる。金属ナノ粒子を構成する金属としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金またはこれら金属種の合金から選ばれる。
さらに、金属ナノ粒子塗布後のセパレータ1を50〜500℃の温度で熱処理することが好ましい。該熱処理により金属ナノ粒子同士を焼結させることができ、金属ナノ粒子間の導電性および金属ナノ粒子とセパレータ1との間の導電性を向上させることができる。
導電層12の厚さは200μm以下が好ましい。導電層12の厚さが200μmよりも厚くなると、導電層12を形成する金属ナノ粒子同士の接触頻度が低下し導通性が低下することから好ましくない。また、多孔質層11の厚さは300μm以下が好ましい。多孔質層11の厚さが300μmよりも厚くなると、導電層12を形成する金属ナノ粒子を十分に充填することが難しくなり導通性が低下することから好ましくない。また、導電層12の最表面を多孔質層11の最表面よりも突出させるように(すなわち、導電層12が多孔質層11の表面を覆うように)形成することが好ましい。それにより、たとえ多孔質層11自体の電子導電性が乏しくても、導電層12とガス拡散層6との有効な接触面積が確保されて電子導電性が向上し、燃料電池の発電特性や寿命特性が向上する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はここに開示した実施例のみに限定されるものではない。
セパレータ1に金属板にアルミニウム(A5052)を使用した。厚さ0.3 mmのアルミニウム板に対し、押出しプレス機を用いて、周囲が平坦部で中央部に凹凸形状の流路溝を有するセパレータ1を加工した。これと同時に打ち抜きも行い、マニホールド4を形成した。これにより図1に示したセパレータ1と同等の形状のものを製作した。
陽極酸化処理でセパレータ1の表面に多孔質層11を形成するに先立ち、プレス加工後のセパレータ1の表面状態に応じて、スケール除去のためにブラスト処理した後、アルカリや有機溶剤による脱脂処理を施した。次いで、酸化膜を除去するための研磨、酸洗浄、アルカリ洗浄を行った。その後、セパレータ1の表面に多孔質層11を形成するために陽極酸化処理を行った。陽極酸化処理は、電解浴として3〜10%のシュウ酸を用い、電圧30〜100 V、浴温10℃以下、処理時間20〜120分間で処理を行った。形成された多孔質層11の厚さは20〜50μmであった。
金属ナノ粒子を含む塗料として銀ナノインク(銀粒子の平均粒径10 nm、銀濃度65質量%)を用い、n-ヘキサンを混合してスクリーン印刷に適した粘度に調整した。次に、このインクをセパレータ1の凸面頂上部にスクリーン印刷法によって塗布して乾燥した後、空気中200℃で60分間の熱処理を施して導電層12を形成した。その後、沸騰水中で封孔処理を行った。これによってセパレータ1が完成した。
ガスケット5はシート状の弾性体を打ち抜き加工により製作した。材質としては、耐熱性、耐水性ならびに耐クリープ性の観点からシリコンゴムやEPDMなどが好適である。なお、ガスケット5は柔らかい弾性体でなくとも、PPSのような硬い材料を用いることも可能である。ただし、その場合は、セパレータ1とガスケット5との間に液状ガスケット等を用いて密着させることが望ましい。ガスケット5をセパレータ1に密着させることにより、ガスケットつきセパレータ101A,101Bを得た。
膜/電極接合体7は次のように作製した。アノード及びカソードとしてカーボンブラックに白金を50質量%担持させた電極触媒粉末を用い、DuPont社製のNafion(登録商標)を溶解したNafion溶液(濃度5質量%、アルドリッチ製)と電極触媒粉末とを質量比が9:1となる割合で混合し、溶媒を揮発させながら粘稠な電極触媒スラリーを調整した。この電極触媒スラリーをテトラフルオロエチレンシートにスクリーン印刷法によって塗布し、電極触媒スラリーの溶媒を乾燥させて電極触媒層を形成した。電極触媒層中の白金量は単位面積あたり0.4 mg/cm2とした。固体高分子電解質膜としてDuPont社製のNafion膜(ナフィオン112(登録商標)、厚さ50μm)を用い、その両面に用意した電極触媒層をホットプレスによって圧着し、膜/電極接合体7を作製した。
前述のセパレータ101A,101Bとガス拡散層6と膜/電極接合体7とを図2に示すように配置して積層し、両端に集電板8と絶縁板9をそれぞれ配置し、さらにその外側から端板10を用いて設定した荷重で締付固定することにより積層形燃料電池を作製した。
なお、上記で用いた材料は本実施例を説明するための一例であって、これに限定するものではない。また、セパレータのマニホールドや流路構造、ガスケット構造、電池構成も一例であり、これに限定するものではない。また、陽極酸化処理のプロセスも必要に応じて適当な手段を選ぶことができる。
セパレータ1に使用する多層金属板として、中芯層がステンレス鋼(SUS304)で、最外層がチタン(TP270)であるクラッド板を使用した。薄板のステンレス鋼の両面に薄層のチタンを冷間圧延でクラッド化して作製した。クラッド板の仕上がり厚さは0.2 mmとした。クラッド化した直後のクラッド板は加工硬化しているため400〜800℃の間で焼鈍し、その後のプレス加工に適した性状の板材とした。焼鈍したクラッド板に対し、押出しプレス機を用いて、周囲が平坦部で中央部に凹凸形状の流路溝を有するセパレータ1を加工した。これと同時に打ち抜きも行い、マニホールド4を形成した。これにより図1に示したセパレータ1と同等の形状のものを製作した。
陽極酸化処理でセパレータ1の表面に多孔質層11を形成するに先立ち、プレス加工後のセパレータ1の表面状態に応じて、スケール除去のためにブラスト処理した後、アルカリや有機溶剤による脱脂処理を施した。次いで、酸化膜を除去するための研磨、酸洗浄、アルカリ洗浄を行った。その後、セパレータ1の表面に多孔質層11を形成するために陽極酸化処理を行った。陽極酸化処理は、電解浴として0.1〜1.0 mol/Lのリン酸と0.01〜0.5 mol/Lのフッ化水素アンモニウムを用い、電圧50〜200 V、浴温20〜40℃、電解時間5〜60分間で処理を行った。形成された多孔質層11の厚さは10〜50μmであった。
金属ナノ粒子を含む塗料として銀ナノインク(銀粒子の平均粒径10 nm、銀濃度65質量%)を用い、n-ヘキサンを混合してスクリーン印刷に適した粘度に調整した。次に、このインクをセパレータ1の凸面頂上部にスクリーン印刷法によって塗布して乾燥した後、空気中200℃で60分間の熱処理を施して導電層12を形成した。その後、沸騰水中で封孔処理を行った。これによってセパレータ1が完成した。
ガスケット5は平板状の弾性体を打ち抜き加工により製作した。材質としては、耐熱性、耐水性ならびに耐クリープ性の観点からシリコンゴムやEPDMなどが好適である。なお、ガスケット5は柔らかい弾性体でなくとも、PPSのような硬い材料を用いることも可能である。ただし、その場合は、セパレータ1とガスケット5との間に液状ガスケット等を用いて密着させることが望ましい。ガスケット5をセパレータ1に密着させることにより、ガスケットつきセパレータ101A,101Bを得た。
膜/電極接合体7は次のように作製した。アノード及びカソードとしてカーボンブラックに白金を50質量%担持させた電極触媒粉末を用い、DuPont社製のNafion(登録商標)を溶解したNafion溶液(濃度5質量%、アルドリッチ製)と電極触媒粉末とを質量比が9:1となる割合で混合し、溶媒を揮発させながら粘稠な電極触媒スラリーを調整した。この電極触媒スラリーをテトラフルオロエチレンシートにスクリーン印刷法によって塗布し、電極触媒スラリーの溶媒を乾燥させて電極触媒層を形成した。電極触媒層中の白金量は単位面積あたり0.4 mg/cm2とした。固体高分子電解質膜としてDuPont社製のNafion膜(ナフィオン112(登録商標)、厚さ50μm)を用い、その両面に用意した電極触媒層をホットプレスによって圧着し、膜/電極接合体7を作製した。
前述のセパレータ101A,101Bとガス拡散層6と膜/電極接合体7とを図2に示すように配置して積層し、両端に集電板8と絶縁板9をそれぞれ配置し、さらにその外側から端板10を用いて設定した荷重で締付固定することにより積層形燃料電池を作製した。
なお、上記で用いた材料は本実施例を説明するための一例であって、これに限定するものではない。また、セパレータのマニホールドや流路構造、ガスケット構造、電池構成も一例であり、これに限定するものではない。また、陽極酸化処理のプロセスも必要に応じて適当な手段を選ぶことができる。
セパレータ1に使用する多層金属板として、中芯層がステンレス鋼(SUS304)で、最外層がチタン(TP270)であるクラッド板を使用した。薄板のステンレス鋼の両面に薄層のチタンを冷間圧延でクラッド化して作製した。クラッド板の仕上がり厚さは0.2 mmとした。クラッド化した直後のクラッド板は加工硬化しているため400〜800℃の間で焼鈍し、その後のプレス加工に適した性状の板材とした。焼鈍したクラッド板に対し、押出しプレス機を用いて、周囲が平坦部で中央部に凹凸形状の流路溝を有するセパレータ1を加工した。これと同時に打ち抜きも行い、マニホールド4を形成した。これにより図1に示したセパレータ1と同等の形状のものを製作した。
陽極酸化処理でセパレータ1の表面に多孔質層11を形成するに先立ち、プレス加工後のセパレータ1の表面状態に応じて、スケール除去のためにブラスト処理した後、アルカリや有機溶剤による脱脂処理を施した。次いで、酸化膜を除去するための研磨、酸洗浄、アルカリ洗浄を行った。その後、セパレータ1の表面に多孔質層11を形成するために陽極酸化処理を行った。陽極酸化処理は、電解浴として0.1〜1.0 mol/Lのリン酸と0.01〜0.5 mol/Lのフッ化水素アンモニウムを用い、電圧50〜200 V、浴温20〜40℃、電解時間5〜60分間で処理を行った。形成された多孔質層11の厚さは10〜50μmであった。
次に、多孔質層11中に金属層12としてのニッケルをめっきにより形成した。めっき条件は、硫酸ニッケル250 g/L、塩酸ニッケル40 g/L、ホウ酸40 g/Lのワット浴で、液温30℃、電流密度0.1 A/cm2とした。
金属ナノ粒子を含む塗料として銀ナノインク(銀粒子の平均粒径10 nm、銀濃度65質量%)を用い、n-ヘキサンを混合してスクリーン印刷に適した粘度に調整した。次に、このインクをセパレータ1の凸面頂上部にスクリーン印刷法によって塗布して乾燥した後、空気中200℃で60分間の熱処理を施して導電層12を形成した。その後、沸騰水中で封孔処理を行った。これによってセパレータ1が完成した。
ガスケット5はシート状の弾性体を打ち抜き加工により製作した。材質としては、耐熱性、耐水性ならびに耐クリープ性の観点からシリコンゴムやEPDMなどが好適である。なお、ガスケット5は柔らかい弾性体でなくとも、PPSのような硬い材料を用いることも可能である。ただし、その場合は、セパレータ1とガスケット5との間に液状ガスケット等を用いて密着させることが望ましい。ガスケット5をセパレータ1に密着させることにより、ガスケットつきセパレータ101A,101Bを得た。
膜/電極接合体7は次のように作製した。アノード及びカソードとしてカーボンブラックに白金を50質量%担持させた電極触媒粉末を用い、DuPont社製のNafion(登録商標)を溶解したNafion溶液(濃度5質量%、アルドリッチ製)と電極触媒粉末とを質量比が9:1となる割合で混合し、溶媒を揮発させながら粘稠な電極触媒スラリーを調整した。この電極触媒スラリーをテトラフルオロエチレンシートにスクリーン印刷法によって塗布し、電極触媒スラリーの溶媒を乾燥させて電極触媒層を形成した。電極触媒層中の白金量は単位面積あたり0.4 mg/cm2とした。固体高分子電解質膜としてDuPont社製のNafion膜(ナフィオン112(登録商標)、厚さ50μm)を用い、その両面に用意した電極触媒層をホットプレスによって圧着し、膜/電極接合体7を作製した。
前述のセパレータ101A,101Bとガス拡散層6と膜/電極接合体7とを図2に示すように配置して積層し、両端に集電板8と絶縁板9をそれぞれ配置し、さらにその外側から端板10を用いて設定した荷重で締付固定することにより積層形燃料電池を作製した。
なお、上記で用いた材料は本実施例を説明するための一例であって、これに限定するものではない。また、セパレータのマニホールドや流路構造、ガスケット構造、電池構成も一例であり、これに限定するものではない。また、陽極酸化処理やニッケルめっきのプロセスも必要に応じて適当な手段を選ぶことができる。
セパレータ1に使用する多層金属板として、中芯層がステンレス鋼(SUS304)で、最外層がチタン(TP270)であるクラッド板を使用した。薄板のステンレス鋼の両面に薄層のチタンを冷間圧延でクラッド化して作製した。クラッド板の仕上がり厚さは0.2 mmとした。クラッド化した直後のクラッド板は加工硬化しているため400〜800℃の間で焼鈍し、その後のプレス加工に適した性状の板材とした。焼鈍したクラッド板に対し、押出しプレス機を用いて、周囲が平坦部で中央部に凹凸形状の流路溝を有するセパレータ1を加工した。これと同時に打ち抜きも行い、マニホールド4を形成した。これにより図1に示したセパレータ1と同等の形状のものを製作した。
陽極酸化処理でセパレータ1の表面に多孔質層11を形成するに先立ち、プレス加工後のセパレータ1の表面状態に応じて、スケール除去のためにブラスト処理した後、アルカリや有機溶剤による脱脂処理を施した。次いで、酸化膜を除去するための研磨、酸洗浄、アルカリ洗浄を行った。その後、セパレータ1の表面に多孔質層11を形成するために陽極酸化処理を行った。陽極酸化処理は、電解浴として0.1〜1.0 mol/Lのリン酸と0.01〜0.5 mol/Lのフッ化水素アンモニウムを用い、電圧50〜200 V、浴温20〜40℃、電解時間5〜60分間で処理を行った。形成された多孔質層11の厚さは10〜50μmであった。
次に、多孔質層11中に金属層12aとしてのニッケルをめっきにより形成した。めっき条件は、硫酸ニッケル250 g/L、塩酸ニッケル40 g/L、ホウ酸40 g/Lのワット浴で、液温30℃、電流密度0.1 A/cm2で5分間とした。
さらに、形成した金属層12aの上に、金属層12bとしての金をめっきにより形成した。めっき条件は、シアン化金カリウム2 g/L、シアン化カリウム70 g/L、リン酸水素二カリウム20 g/Lの液組成で、液温30℃、電流密度0.1 A/cm2で2分間とした。
金属ナノ粒子を含む塗料として銀ナノインク(銀粒子の平均粒径10 nm、銀濃度65質量%)を用い、n-ヘキサンを混合してスクリーン印刷に適した粘度に調整した。次に、このインクをセパレータ1の凸面頂上部にスクリーン印刷法によって塗布して乾燥した後、空気中200℃で60分間の熱処理を施して導電層12を形成した。その後、沸騰水中で封孔処理を行った。これによってセパレータ1が完成した。
ガスケット5はシート状の弾性体を打ち抜き加工により製作した。材質としては、耐熱性、耐水性ならびに耐クリープ性の観点からシリコンゴムやEPDMなどが好適である。なお、ガスケット5は柔らかい弾性体でなくとも、PPSのような硬い材料を用いることも可能である。ただし、その場合は、セパレータ1とガスケット5との間に液状ガスケット等を用いて密着させることが望ましい。ガスケット5をセパレータ1に密着させることにより、ガスケットつきセパレータ101A,101Bを得た。
膜/電極接合体7は次のように作製した。アノード及びカソードとしてカーボンブラックに白金を50質量%担持させた電極触媒粉末を用い、DuPont社製のNafion(登録商標)を溶解したNafion溶液(濃度5質量%、アルドリッチ製)と電極触媒粉末とを質量比が9:1となる割合で混合し、溶媒を揮発させながら粘稠な電極触媒スラリーを調整した。この電極触媒スラリーをテトラフルオロエチレンシートにスクリーン印刷法によって塗布し、電極触媒スラリーの溶媒を乾燥させて電極触媒層を形成した。電極触媒層中の白金量は単位面積あたり0.4 mg/cm2とした。固体高分子電解質膜としてDuPont社製のNafion膜(ナフィオン112(登録商標)、厚さ50μm)を用い、その両面に用意した電極触媒層をホットプレスによって圧着し、膜/電極接合体7を作製した。
前述のセパレータ101A,101Bとガス拡散層6と膜/電極接合体7とを図2に示すように配置して積層し、両端に集電板8と絶縁板9をそれぞれ配置し、さらにその外側から端板10を用いて設定した荷重で締付固定することにより積層形燃料電池を作製した。
なお、上記で用いた材料は本実施例を説明するための一例であって、これに限定するものではない。また、セパレータのマニホールドや流路構造、ガスケット構造、電池構成も一例であり、これに限定するものではない。また、陽極酸化処理やニッケルめっき、金めっきのプロセスも必要に応じて適当な手段を選ぶことができる。
1…セパレータ、2…平坦部、3…流路部、4…マニホールド、5…ガスケット、
101…ガスケットつきセパレータ、
101A…両面に反応ガスを流通させるガスケット付きセパレータ、
101B…片面が反応ガス用で反対面が冷却水用であるガスケット付きセパレータ、
6…ガス拡散層、7…膜/電極接合体、8…集電板、9…絶縁板、10…端板、
11…多孔質層、12…導電層、12a…金属ナノ粒子、12b…気孔、
13…金属層、13a…セパレータ側の金属層、13b…導電層側の金属層。

Claims (14)

  1. 複数個の単セルが積層され一対の締付板で前記積層された単セルの両端を締付固定した積層形燃料電池であって、
    前記単セルは、電解質膜と該電解質膜の両面に配設された一対の電極層とが接合された膜/電極接合体と、前記膜/電極接合体の外側に配設された一対のセパレータとから成り、または、
    前記単セルは、前記膜/電極接合体と、前記膜/電極接合体の外側に配設された一対のガス拡散層と、前記ガス拡散層の外側に配設された一対のセパレータとから成り、
    前記セパレータは、金属で構成されており、前記膜/電極接合体または前記ガス拡散層と当接する部分に多孔質層が形成され、前記多孔質層の細孔中に金属ナノ粒子で構成され内部に気孔を含む導電層が形成されていることを特徴とする積層形燃料電池。
  2. 請求項1に記載の積層形燃料電池において、
    前記導電層と前記セパレータを構成する金属との間で前記多孔質層内に、単層または複層の金属層が更に形成されていることを特徴とする積層形燃料電池。
  3. 請求項1または請求項2に記載の積層形燃料電池において、
    前記導電層の最表面が前記多孔質層の最表面よりも突出していることを特徴とする積層形燃料電池。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の積層形燃料電池において、
    前記多孔質層の厚さが300μm以下であることを特徴とする積層形燃料電池。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の積層形燃料電池において、
    前記金属ナノ粒子は、平均粒径が1〜100 nmであり、金属種が鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金およびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成ることを特徴とする積層形燃料電池。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の積層形燃料電池において、
    前記導電層の厚さが200μm以下であることを特徴とする積層形燃料電池。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の積層形燃料電池において、
    前記セパレータを構成する金属は、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ハフニウム、亜鉛、ビスマス、アンチモンおよびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする積層形燃料電池。
  8. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の積層形燃料電池において、
    前記セパレータは3層以上の金属層から構成され、
    前記3層以上の金属層の内の中芯層は、鉄、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ニッケル、クロムおよびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成り、
    前記3層以上の金属層の内の最外層は、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、ハフニウム、亜鉛、ビスマス、アンチモンおよびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成ることを特徴とする積層形燃料電池。
  9. 請求項2乃至請求項8のいずれかに記載の積層形燃料電池において、
    前記多孔質層内の単層または複層の金属層は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金およびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成ることを特徴とする積層形燃料電池。
  10. 請求項2乃至請求項8のいずれかに記載の積層形燃料電池において、
    前記多孔質層内の金属層は複層の金属層であり、
    前記複層の金属層の内で前記導電層側の金属層が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金およびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成り、
    前記複層の金属層の内で前記セパレータ側の金属層が、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、錫、銀およびこれら金属種の合金から選ばれる少なくとも1種の金属から成ることを特徴とする積層形燃料電池。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の積層形燃料電池において、
    前記積層形燃料電池は、前記単セル毎にまたは複数個の前記単セル毎に、冷媒を用いて冷却する冷却セパレータを更に有することを特徴とする積層形燃料電池。
  12. 複数個の単セルが積層され一対の締付板で前記積層された単セルの両端が締付固定された積層形燃料電池であり、
    前記単セルは、電解質膜と該電解質膜の両面に配設された一対の電極層とが接合された膜/電極接合体と、前記膜/電極接合体の外側に配設された一対のセパレータとから成り、または、
    前記単セルは、前記膜/電極接合体と、前記膜/電極接合体の外側に配設された一対のガス拡散層と、前記ガス拡散層の外側に配設された一対のセパレータとから成り、
    前記セパレータは、金属で構成されており、前記膜/電極接合体または前記ガス拡散層と当接する部分に多孔質層が形成され、前記多孔質層の細孔中に金属ナノ粒子で構成され内部に気孔を含む導電層が形成されている積層形燃料電池の製造方法であって、
    前記多孔質層を形成する工程は、前記セパレータ表面に対する陽極酸化処理であることを特徴とする積層形燃料電池の製造方法。
  13. 請求項12に記載の積層形燃料電池の製造方法において、
    前記多孔質層の細孔中に金属ナノ粒子を充填する工程は、前記金属ナノ粒子を含有する塗料を前記多孔質層の表面に塗布する工程であることを特徴とする積層形燃料電池の製造方法。
  14. 請求項13に記載の積層形燃料電池の製造方法において、
    前記導電層を形成する工程は、前記多孔質層の細孔中に充填された前記塗料に対して50〜500℃の温度で熱処理する工程であることを特徴とする積層形燃料電池の製造方法。
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