JP2011219508A - 樹脂組成物および光半導体用反射材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、(B)硬化剤および(C)無機粒子および/または架橋粒子を含む樹脂組成物および同樹脂組成物を硬化物層として設けてなる光半導体用反射材である。
【選択図】なし
Description
LED反射材料には、LEDが発光する光を効率よく取出すために、高い光反射率が必要である。近年、紫外線を発するLEDが用いられるようになってきており、紫外線に対しても高い反射率を有するものが求められている。
一方、LED発光装置は封止工程及びはんだ付け工程等、製造時に高温に曝される。また、使用時の点灯消灯の繰り返しにより、環境温度が上下する。そのため、機械的特性が十分でない反射材料では、上記の熱履歴によって、ひび割れが生じることがある。また、密着性が十分でない反射材料では、熱履歴により周辺部材(リードフレームや封止材)との界面で剥離が起こることがある。その結果、発光装置の輝度が低下したり、水分が浸入して発光素子が故障することがある。したがって、熱履歴に対して輝度変化が少なく、不良発生率が低いLED発光装置が求められている。
例えば、特許文献1には、気泡を内包する厚み約190μmのポリエステル樹脂シートに、中空粒子を含む厚み10〜100μmの表面層を積層した光反射フィルムが開示されている。本材料は反射率が高く、さらに液晶バックライトに組込むと輝度が向上することが示されている。しかしながら、ポリエステル樹脂の融点は253℃であり、260℃以上の熱がかかるはんだリフロー工程で融解してしまい、LED発光装置製造には適さない。また、LED発光装置の大きさは通常、5mm角程度と非常に小さい。
特許文献1における積層体は大面積のシート状反射体としては有用であるが、5mm程度の凹形状に成形し、LED発光装置内に組込むことは困難であった。
一方、特許文献1、2、4、5では、耐熱性を有するアダマンチルアクリレートを使用したアクリレート樹脂の反射材があるが、さらなる接着性、耐黄変性、加工性が要求されるようになった。さらに、特許文献3にはアダマンチル基を有するエポキシ化合物も提案されているが、光半導体用反射材として好適な樹脂組成物は示唆もされてない。
(1)(A)アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、(B)硬化剤および(C)無機粒子および/または架橋粒子を含む樹脂組成物、
(2)前記(A)が下記一般式(I)
で表されるエポキシ化合物である上記(1)に記載の樹脂組成物、
(3)さらに、前記成分(A)以外のエポキシ樹脂(A′)を含む上記(1)または(2)に記載の樹脂組成物、
(4)さらに、(D)硬化促進剤を含む上記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(5)前記無機粒子および/または架橋粒子(C)が、波長350nmでの紫外線透過率が50%以上である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(6)前記架橋粒子(C)が、架橋スチレン系樹脂、架橋(メタ)アクリル系樹脂のいずれかからなる架橋粒子である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂組成物、
(7)前記無機粒子(C)が、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム、無機ガラスおよびシリカのいずれかからなる無機粒子である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂組成物および
(8)アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル又はパラジウムから選ばれる基体上に、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物層を設けてなる光半導体用反射材を提供する。
本発明の樹脂組成物中の成分(A)のアダマンタン骨格を有するエポキシ化合物は下記一般式(I)で表される。
R5の炭素数1〜10の炭化水素基としては、直鎖状または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基が挙げられる。
成分(A)のアダマンタン骨格を有するエポキシ化合物は、前記rが0の場合は、フェノール性水酸基含有アダマンタン誘導体とエピクロロヒドリンのようなエピハロヒドリンとを反応させることにより得ることができる。エピハロヒドリンとの反応において、フェノール性水酸基含有アダマンタン誘導体は、一種を単独で用いてもよく二種以上を混合して用いてもよい。
前記rが1〜10の場合は、フェノール性水酸基含有アダマンタン誘導体にエチレンオキサイドのようなアルキレンオキサイドをrモル付加して得られた付加体とエピハロヒドリンとを反応させることにより得ることができる。
上記フェノール性水酸基含有アダマンタン誘導体またはそのアルキレンオキサイド付加体とエピハロヒドリンとの反応は、通常、塩基性触媒の存在下で行う。塩基性溶媒としては、ナトリウムアミド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化銀、ナトリウムメトキシド及びカリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。
反応原料であるフェノール性水酸基含有アダマンタン誘導体またはそのアルキレンオキサイド付加体に対する塩基性触媒の使用割合は、(塩基性触媒)/(誘導体または付加体の活性水素)=0.8〜10(モル比)程度となる量であり、好ましくは1〜5となる量である。
上記反応において、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物におけるグリシジルオキシ基の生成が不十分な場合、塩基触媒を用いた閉環反応により、グリシジルオキシ基含有量を調整することができる。
この閉環反応は、通常20〜200℃程度、望ましくは30〜150℃の温度において行う。反応の際の圧力は、絶対圧力で0.01〜10MPa程度、望ましくは常圧〜1MPaである。圧力が10MPa以下であると、安全性が確保されるので特別な装置が不要となり、産業上有用である。反応時間は、通常1分〜24時間程度、望ましくは30分〜10時間である。
塩基触媒の使用量は、上記一般式(I)および(II)で表されるアダマンタン骨格を有するエポキシ化合物基準で0.1〜20質量%程度、好ましくは1〜10質量%である。塩基触媒の使用量が0.1質量%以上であると、反応速度が低下せず適度のものとなるため、反応時間が短縮される。また、塩基触媒の使用量が20質量%以下であると、得られる効果と経済性のバランスが良好となる。
反応生成物は、蒸留、晶析、カラム分離などにより精製することができ、精製方法は、反応生成物の性状と不純物の種類により適宜選択することができる。
エピハロヒドリンとしてはエピクロロヒドリンの他エピブロモヒドリンが挙げられるが、入手の容易さの観点からエピクロロヒドリンが好ましい。
樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、1〜70質量%であることが好ましい。(A)成分の含有量が1質量%以上であれば機械物性が十分なものとなり、70質量%以下であれば硬化物とした際に脆くなることがない。より好ましくは、粘度を考慮して、5〜30質量%である。
添加することができる他のエポキシ樹脂(A′)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールGジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフルオロアセトンジグリシジルエーテル、ビスフェノールCジグリシジルエーテルなど)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルー3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートなどの脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ樹脂などの含窒素環エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、低吸水率硬化体タイプの主流であるビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルなどの多官能エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂などの含フッ素エポキシ樹脂、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
エポキシ当量が100以上であると、本発明の組成物の硬化物が脆くならず適度の強度が得られる。また、エポキシ当量が2000以下であると、その硬化体のガラス転移温度(Tg)が低くならず適度のものとなる。
上記アダマンチル基を有するエポキシ化合物(A)と上記他のエポキシ樹脂(A′)との混合樹脂中、(A)の含有量は5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上である。(A)の含有量が5質量%以上であると、本発明の樹脂組成物の硬化物は光学特性、長期耐熱性及び電気特性が充分なものとなる。
前記一般式(I)におけるaが1の場合は、上記他の2官能以上のエポキシ樹脂を適量添加しないと所望の硬化物は得られない。前記一般式(I)におけるaが2〜4の場合は、上記他のエポキシ樹脂は1官能のものでもよい。
硬化剤は熱硬化剤と熱または光カチオン重合開始剤に分けられる。
熱硬化剤としては、アミン系硬化剤、多価フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、例えば、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]尿素、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン等のイミダゾール誘導体、m−キシレンジアミン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン及び3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン等の芳香族ジアミノジフェニルメタン化合物、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノベンゼン及び1,3−ジアミノベンゼン等の芳香族アミン化合物を使用することが好ましい。これらのアミン系硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アミン系硬化剤の中では、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンを使用することがより好ましい。
これらの硬化剤の中では、硬化樹脂の透明性、耐熱性などの物性の点から、酸無水物系硬化剤及びフェノール樹脂系硬化剤が好適であり、中でも、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルテトラヒドロ無水フタル酸、フェノール樹脂が最適である。
配合割合を上記範囲とすることにより、上記(A)および必要に応じて添加される(A′)の硬化速度が遅くなることや、その硬化樹脂であるエポキシ樹脂のガラス転移温度が低くなることがなく、また、耐湿性の低下もないので好適である。
中でも、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどの芳香族スルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどの芳香族ヨードニウム塩が最適である。
カチオン重合開始剤の含有率は、化合物アダマンタン骨格を有するエポキシ化号物(A)および必要に応じて添加されるその他のエポキシ化号物(A′)の合計量100質量部に対して、0.01〜5.0質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜3.0質量部である。開始剤の含有率を上記範囲とすることにより、良好な硬化性を達成することができ、硬化物において所望の物性を発現させることができる。
本発明で使用する無機粒子および架橋粒子は、波長350nmにおける紫外線透過率が50%以上の材質からなるものが好ましい。ここで紫外線透過率は、中空粒子を構成する材質の厚みが250μmのときの波長350nmの光に対する紫外線透過率を意味する。紫外線透過率は、より好ましくは60〜100%である。
無機粒子および架橋粒子の外殻を通過した紫外線は、中空部で反射されるため、紫外線透過率の高い材質が必要となる。中空部での反射率を高めるためには、無機粒子および架橋粒子を構成する部分と無機粒子および架橋粒子内部に存在する気体との屈折率の差が大きいほうがよい。無機粒子および架橋粒子内部に存在する気体は、通常、空気であるが、窒素やアルゴン等の不活性ガスでもよく、また、真空であってもよい。
このような材料としては、無機化合物では、無機ガラス、シリカ、アルミナ等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、珪酸カルシウム、炭酸ニッケル等の金属塩等を好適に用いることができる。これらの中で無機ガラスおよびシリカが好適である。
無機粒子または架橋粒子の外径は特に限定されない。光反射性、取扱性の観点から0.01〜500μmが好ましい。0.01μmより小さいと、無機粒子または架橋粒子が不均一に分散してしまう恐れがある。500μmより大きいと、反射板の表面荒れが生じ、反射率が低下する。無機粒子または架橋粒子の内径も特に限定されない。光反射性の観点から、0.05〜100μmがより好ましく、0.1〜50μmがより好ましい。この範囲を外れると反射効率が悪くなる。
硬化促進剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、トリス(2,4,6−ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−O,O−ジエチルホスホロジチオエート等のリン化合物、4級アンモニウム塩、有機金属塩類、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、あるいは、併用してもよい。これら硬化促進剤の中では、3級アミン類、イミダゾール類及びリン化合物を用いることが好ましい。
硬化促進剤の含有率は、上記アダマンチル骨格を有するエポキシ化合物および必要に応じて添加される他のエポキシ樹脂100質量部に対して、0.01〜8.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3.0質量部である。硬化促進剤の含有率を上記範囲とすることにより、充分な硬化促進効果を得られ、また、得られる硬化物に変色が見られない。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等がある。これら添加剤の使用量は、上記アダマンチル骨格を有するエポキシ化合物(A)および必要に応じて添加される他のエポキシ樹脂(A′)の合計量100質量部に対して、通常、0.005〜5質量部、好ましくは0.02〜2質量部である。これらの添加剤を2種以上組み合わせても良い。
光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤が好適に用いることができる。添加量は、上記アダマンチル骨格を有するエポキシ化合物(A)および必要に応じて添加される他のエポキシ樹脂(A′)の合計量100質量部に対して、通常、0.005〜5質量部、好ましくは0.02〜2質量部である。これらの添加剤を2種以上組み合わせても良い。
フェノール系酸化防止剤としては、イルガノクス1010(Irganox1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス1076(Irganox1076、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス1330(Irganox1330、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス3114(Irganox3114、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス3125(Irganox3125、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス3790(Irganox3790、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、BHT、シアノクス1790(Cyanox1790、サイアナミド社製、商標)及びスミライザーGA−80(SumilizerGA−80、住友化学社製、商標)などの市販品を挙げることができる。
本発明の光半導体用反射材は波長550nmの可視光線反射率が80%以上の基体上に、前述した本発明の樹脂組成物の硬化物層を設けてなるものである。
本発明の光半導体用反射材においては、前記樹脂組成物を、硬化させると同時に反射材に成形することが好ましい。「硬化させると同時に反射材の形に成形する」とは、例えば、樹脂組成物を基材上で硬化させる操作のみで成形体を得ることである。例えば、液状の樹脂組成物を塗布やスピンコート等で基材を覆い、その後、光や熱等のエネルギーにより硬化を完了させ、成形体の形にすることをいう。樹脂組成物の硬化物を予め作製し、その後、成形する場合、例えば、(1)樹脂組成物の硬化物を溶剤等に溶かし、支持体等に塗布、乾燥して反射体としたり、(2)樹脂組成物の硬化物を射出成形や押出成形等で反射体としたものは、以下の問題が生じるおそれがあるので、それぞれ対策が必要である。
上記の光半導体用反射材は、好ましくは可視光に対する反射率が高い材料からなる基体上に反射材が積層されている状態で使用される。これにより、紫外線だけでなく可視光でも高い反射率を得ることが可能になる。ここで、「可視光に対する反射率が高い材料」とは、波長550nmでの可視光線反射率が80%以上である材料を意味する。
この樹脂組成物からなる基体上に、前述した本発明の樹脂組成物の硬化物層を積層すると、硬化物層の上部から可視光を照射した場合、硬化物層で反射せずに透過した光は基体で反射される。したがって、上記のように硬化物層を積層することにより、紫外線だけでなく、可視光でも高い反射率を有する光半導体用反射材を得ることが可能になる。
充実粒子系白色顔料として、例えば酸化チタン、シリカ、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、アルミナ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等が挙げられる。
充実粒子系白色顔料の含有量は、特に制限されないが、充実粒子系白色顔料を含む樹脂組成物に対して1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
充実粒子系白色顔料を含ませる樹脂として、例えばポリアミド系樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテル系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
充実粒子系白色顔料を含ませる樹脂の含有量は、特に制限されないが、充実粒子系白色顔料を含む樹脂組成物に対して40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましい。充実粒子系白色顔料を含む樹脂組成物は、その他、ガラス繊維等を含むことができる。
基体の形状は必ずしも平面上である必要はなく、任意の形状でよい。例えば、凹状の形に成形したものが用いられる。
本発明の光半導体用反射材は、紫外線に対して極めて高い反射率を有する。さらに、十分な機械的特性、密着性を有するので、発光装置製造時にかかる熱処理や使用時の熱履歴を受けても、反射材自身が割れたり、周辺部材(リードフレームや封止材)との界面が剥離したりすることがない。
加熱硬化させる際の温度は、通常25〜250℃、好ましくは、60〜200℃である。
60℃以上とすることにより、適切な時間で硬化を確実に進行させることができ、200℃以下とすることにより、硬化物が着色するのを防ぐことができる。
硬化時間は、通常5〜300分、好ましくは20〜180分である。
活性エネルギー線を照射して硬化を行なう際には、前記の光カチオン重合開始剤が用いられる。活性エネルギー線としては、紫外線が最も一般的であり、その他電子線等がある。
4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジグリシジルオキシベンゼン〔前記化合物(17)〕を下記により合成した(エポキシ化合物A−1と称する)。
還流冷却管、攪拌機、温度計及び窒素導入管を備え付けた500mLの4つ口フラスコに1−アダマンタノール28.1g(0.18mol)、p−トルエンスルホン酸一水和物15.84g(0.09mol)及びヘプタン300mlを仕込み、窒素置換した。そこにレゾルシノール9.9g(0.09mol)を加えた。これを100℃のオイルバスに入れ、1時間加熱攪拌した。反応液を冷却後、固形分をろ過して集めた。これを減圧乾燥させた後、メタノール水溶液で再結晶させ、4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼンを得た〔収率86%、LC(液体クロマトグラフィ)純度99.7%、融点146℃〕。なお、LC純度は、λ=280nmの光線により測定した。
この4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼンを、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR)により同定した。スペクトルデータを以下に示す。核磁気共鳴スペクトルは、溶媒としてクロロホルム−dを用いて、日本電子株式会社製のJNM−ECA500により測定した。
13C-NMR(125MHz):29.2,36.0,36.9,40.7,43.6,109.9,115.4,136.0,141.4
還流冷却管、攪拌機、温度計及び窒素導入管を備え付けた500mLの4つ口フラスコに、MIBK57ml、DMSO157ml及びエピクロロヒドリン98g(1.057mol)を仕込み、30分間窒素置換した。これに合成例1で合成した4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン52.01g(0.137mol)を加え、30分窒素置換した後、攪拌しながら45℃に加熱した。
この溶液に0.5時間かけて水酸化ナトリウム11.6g(0.290mol)を加え、1.5時間攪拌した。さらに水酸化ナトリウム2.9g(0.0725mol)を加え、さらに1時間攪拌した。
反応液を室温まで冷却し、クロロホルム300mlを加え、500mlの水で水洗した後、の0.1mol/LのHCl水溶液500mlを加えて分液した。さらに水相が中性になるまで水洗した後、有機層を濃縮し、恒量になるまで100℃の減圧乾燥機で乾燥させ、淡黄色固体の4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジグリシジルオキシベンゼンを得た〔収率92%、LC純度99.20%、エポキシ当量267、融点193℃〕。
この4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジグリシジルオキシベンゼンを、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR)により同定した。スペクトルデータを以下に示す。核磁気共鳴スペクトルは、溶媒としてクロロホルム−dを用いて、日本電子株式会社製のJNM−ECA500により測定した。
13C-NMR(125MHz):29.2,36.7,37.2,41.1,44.7,50.5,69.0,99.6,125.0,130.5,155.9
2,2−(4,6−ビス(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−イル)−1,3−フェニレン)ビス(オキシエタン−1,2−ジイルオキシメチレン)]ジオキシレンを下記のように合成した(エポキシ化合物A−2と称する)。
還流冷却器、温度指示計、三方コックを取付けた1000mlの4ツ口フラスコに、2,4−ビスアダマンチル−1,5−ジヒドロキシベンゼン[60g、159mmol]、エチレンカーボネート[30.8g、349mmol]、炭酸カリウム[48.2g、349mmol]、N,N−ジメチルホルムアミド600mlを仕込み、窒素雰囲気下にて120℃に加熱した。反応開始から5時間後にTLC分析をおこない、原料のピークの消失を確認後、反応溶媒を室温まで冷却した。反応溶媒に対して2倍量の水を用意し、その中に反応液を流し込み、撹拌した。析出した固体をろ過し、乾燥して2,2−[(4、6−ジアダマンチル−1、3−フェニレン)ビス(オキシ)]ジエタノールを得た(収量71.8g、収率97%、融点221℃)。
スペクトルデータを以下に示す。核磁気共鳴スペクトルは、溶媒としてクロロホルム−dを用いて、日本電子株式会社製のJNM−ECA500により測定した。
1H−NMR(500MHz):1.65(12H)、1.84−1.86(12H)、2.2(6H)、4.0(4H)、4.1(4H)、7.10(1H),7.25(1H)
13C−NMR(125MHz):21.5、29.1、37.1、60.9、72.1、100、125.9、128.1、128.9、145
(エポキシ化合物A−2の合成)
還流冷却器、温度指示計、三方コックを取付けた1000mlの4ツ口フラスコに、合成例3で得られた2,2−[(4、6−ジアダマンチル−1、3−フェニレン)ビス(オキシ)]ジエタノール[71.8g、154mmol]、エピクロロヒドリン[96.6ml、1.23mol]、トルエン201ml、ジメチルスルホキシド101mlを仕込み、攪拌しながら80℃になるまで加熱した。その後、水酸化ナトリウムを12.3gずつ30分ごとに3回に分けて添加した。TLC分析をおこない、原料のピークの消失を確認後、室温まで冷却した。反応液にトルエン500ml、水500mlを加え、トルエン相を抽出し、0.5mol/l塩酸500ml、500mlの水、飽和食塩水で洗浄した。反応液を濃縮し、再結晶することによりエポキシ化合物A−2を得た(収量76g、収率85%、エポキシ当量298、融点112℃)。
スペクトルデータを以下に示す。核磁気共鳴スペクトルは、溶媒としてクロロホルム−dを用いて、日本電子株式会社製のJNM−ECA500により測定した。
1H−NMR(500MHz):1.65(12H)、1.84−1.86(12H)、2.2(6H)、2.4−2.6(4H)、2.9(2H)、3.4−3.6(4H)、3.8(4H)、4.1(4H)、7.10(1H),7.25(1H)
13C−NMR(125MHz):21.5、29.1、37.1、44.2、50.3、69.7、69.9、73.8、100、125.9、128.1、128.9、145、
上記スペクトルデータから、得られたアダマンタン骨格を有するエポキシ化合物A-2は下記構造式であることが判明した。
メチルヘキサヒドロ無水フタル酸〔新日本理化(株)製、MH700〕
<(C)架橋樹脂粒子>
架橋アクリル系中空粒子:XX06BZ〔積水化成品工業(株)、平均粒径5μm、平均孔径1−2μm、架橋アクリルの紫外線透過率84%(波長350nm、厚み250μm)〕
<(D)硬化促進剤>
1,8−ジアザビシクルロ[5.4.0]ウンデセン−7のオクチル酸塩(サンアプロ社製、SA102)
成分(A)として前記エポキシ化合物(A-1)5g及び成分(B)としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、MH700)3.19g、成分(D)として1,8−ジアザビシクルロ[5.4.0]ウンデセン−7のオクチル酸塩(サンアプロ社製、SA102)0.1g、成分(C)成分の架橋樹脂粒子として上記架橋アクリル系中空粒子4.1gを室温で混合して樹脂組成物を調製した。
脱泡後、この樹脂組成物を300μm厚みのアルミ板(波長550nmの光に対する反射率=13.6%、波長380nmの光に対する反射率18.5%)の上に塗布後、110℃で2時間、170℃で4時間加熱し、厚み約500μmの硬化物(反射材)を得た。
成分(A)として前記エポキシ化合物「A-2」の5g及び成分(B)としてMH700の2.7g、硬化促進剤としてSA102の0.1g、成分(C)成分の架橋樹脂粒子として上記架架橋アクリル系中空粒子3.8gを使用した以外は実施例1と同様に行ない、厚み約500μmの硬化物(光半導体用反射材)を得た。
1-アダマンチルメタクリレート4g、ステアリルメタクリレート4g、水添ポリブタジエンアクリレート2g、パーヘキサHC〔日本油脂(株)製〕0.1g、成分(C)成分の架橋樹脂粒子として上記架架橋アクリル系中空粒子5gを室温で混合して比較用の樹脂組成物を調製した。脱法後、この樹脂組成物を300μm厚みのアルミ板(波長550nmの光に対する反射率13.6%、波長380nmの光に対する反射率=18.5%)の上に塗布後、110℃で3時間、160℃で1時間加熱し、厚み約500μmの比較用の硬化物を得た。
(1)反射率
自記分光光度計〔(株)島津製作所製、UV−2400PC〕にマルチパーパス大形試料室ユニット〔(株)島津製作所製、MPC−2200形〕を取り付け、波長380nmにおける反射率(%)を測定した。なお、レファレンスとして硫酸バリウムを用いた。
(2)熱処理による不良品発生率
・熱処理1
温度サイクル試験装置(ETAC WINTECH社製、THERMAL SHOCK CHAMBER NT510)を使用して下記サイクルで実施した。(−40℃で30分→(昇温速度10℃/分)→120℃で30分→(降温速度10℃/分)→−40℃、を700サイクル実施した。
熱処理後の実施例1、2で得られた光半導体用反射材および比較例1で得られた比較用の硬化物の各サンプル10個について、反射層及びその周辺部分を光学顕微鏡で観察した。反射層自体が割れ、剥離しているものを不良品とし、不良率を評価した。0/10はサンプル10個中、不良品は0、10/10は10個中全てが不良であったことを示す。
・熱処理2
実施例1、2で得られた光半導体用反射材および比較例1で得られた比較用の硬化物を煮沸している水の中に、3時間浸漬した後に、表面水をふき取り、試料をはんだリフロー炉内(TAMURAコーポレーション製、TAS20−15N)に通すことにより熱処理をした。熱処理前後での表面外観を顕微鏡観察により比較し、熱処理時の変形の有無を判断した。はんだリフロー炉にて試料が受ける熱処理条件は次の通りとした。
100℃で60秒→(昇温速度200℃/分)→200℃で10秒→(降温速度200℃/分)→100℃→(空冷)
熱処理後の反射材10個について、反射層及びその周辺部分を光学顕微鏡で観察した。剥離しているものを不良品とし、不良率を評価した。0/10はサンプル10個中、不良品は0、10/10は10個中全てが不良であったことを示す。
(3)耐熱変形性
試料をはんだリフロー炉内(TAMURAコーポレーション製、TAS20−15N)に通すことにより熱処理をした。熱処理前後での表面外観を顕微鏡観察により比較し、熱処理時の変形の有無を判断した。はんだリフロー炉にて試料が受ける熱処理条件は次の通りとした。
150℃60秒→(昇温速度200℃/分)→260℃30秒→(降温速度200℃/分)→150℃→(空冷)
上記(1)〜(3)の評価結果を表1に示す。
Claims (8)
- (A)アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、(B)硬化剤および(C)無機粒子および/または架橋粒子を含む樹脂組成物。
- さらに、前記成分(A)以外のエポキシ樹脂(A′)を含む請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- さらに、(D)硬化促進剤を含む請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記無機粒子および/または架橋粒子(C)が、波長350nmでの紫外線透過率が50%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記架橋粒子(C)が、架橋スチレン系樹脂、架橋(メタ)アクリル系樹脂のいずれかからなる架橋中空粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記無機粒子(C)が、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム、無機ガラスおよびシリカのいずれかからなる無機中空粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル又はパラジウムから選ばれる基体上に、請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物層を設けてなる光半導体用反射材。
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