JP2011218896A - 伝達比可変装置及び車両用操舵装置 - Google Patents

伝達比可変装置及び車両用操舵装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高負荷状態におけるロック作動時においても良好な操舵フィーリングを維持することのできる伝達比可変装置を提供すること。
【解決手段】ECUは、モータの負荷状態を判定する負荷判定手段としての機能を備える。そして、モータが高負荷状態にあると判定された場合には、その負荷トルクに抗する方向にモータを駆動した後の回転位置において、ロックレバー33をロックホルダ32の係合溝31に係合、詳しくは、その深溝31bに嵌合させるべく、モータ及びロック装置の作動を制御する(抗負荷トルクロック制御)。
【選択図】図7

Description

本発明は、駆動源であるモータの回転を拘束することにより入力軸と出力軸との間の相対回転を規制可能なロック装置を備えた伝達比可変装置及び車両用操舵装置に関するものである。
従来、入力軸の回転を出力軸に伝達するとともにモータの回転を減速して前記出力軸に伝達可能な差動機構を用いた伝達比可変装置がある。そして、このような伝達比可変装置をステアリングシャフトの途中に設けることで、そのステアリングと転舵輪との間の伝達比を任意に変更可能な車両用操舵装置を形成することができる(例えば、特許文献1参照)。
また、通常、このような伝達比可変装置には、駆動源であるモータの回転を拘束することにより、その入力軸と出力軸との間の相対回転を規制するロック装置が設けられている。例えば、特許文献1に記載の伝達比可変装置において、ロック装置は、モータ軸と一体に設けられたロックホルダと、同ロックホルダの周面に形成された複数の係合溝の何れかと係合することにより該ロックホルダを拘束可能なロックレバーとを備えて構成されている。尚、このロック装置では、各係合溝には、その周方向端部の一方に深溝が形成されており、ロックレバーは、その係合部が同深溝と嵌合することにより係合溝と係合するようになっている。そして、イグニッションオフ時、或いはシステムに何らかの異常が発生した場合等、伝達比可変制御の終了時には、このロック装置を作動させて入力軸及び出力軸間の相対回転を規制することにより、その伝達比を固定することが可能となっている。
具体的には、例えば、特許文献2には、モータの負荷状態を判定し、高負荷状態にあると判定した場合には、ロック装置を作動させる構成が開示されている。即ち、操舵系に過大なトルクが入力されることにより、伝達比可変装置の駆動源を構成するモータには、大きな負荷がかかることになる。尚、このような高負荷状態が発生する状況としては、特許文献2に記載のある転舵輪に対する逆入力印加時の他、その最大舵角(ステアリングエンド)を超えてステアリング操作が行われた場合等が挙げられる。そして、その負荷トルクによりモータ回転が規制されることで、制御上の位置偏差が拡大し、その結果、本来あるべき舵角から実際の舵角がずれてしまう可能性がある。そこで、こうした高負荷状態にある場合には、ロック装置を作動させてその伝達比を固定する。そして、これにより、上記のような舵角異常の発生を回避するとともに、併せて、その負荷により生ずるモータの過熱を抑制する構成になっている。
特開2003−320945号公報 特許第3539468号公報
ところで、通常、このようなロック装置の作動による伝達比の固定、つまりモータ軸の拘束は、そのロックレバーの係合部をロックホルダに形成された各係合溝の何れかに挿入した後、モータトルクを徐々に低減(徐減)することにより行われる。即ち、モータトルクの減少によって同モータは負荷トルクに順じて回転するようになり、係合溝に挿入されたロックレバーの係合部は、そのモータ回転に基づいて、係合溝内を相対移動する。そして、その相対移動により、同係合部が深溝に嵌合し、ロックレバーとロックホルダとが係合することによって、モータ軸の回転が拘束されるようになっている。
しかしながら、上記のような高負荷状態でのロック作動時、とりわけ、その負荷トルクが運転者のステアリング操作によるものである場合には、こうしたロックレバーとロックホルダとを係合させるために行うモータトルクの徐減が、その操舵フィーリングの低下を招く要因となるおそれがある。
即ち、モータトルクが負荷トルクを下回り、当該負荷トルクに順ずる方向にモータが回転することで、ステアリングは、そのステアリング操作の方向、即ち切り込み方向に回転する。そして、運転者は、そのステアリングに入力する操舵トルクが大きいほど、こうした抵抗力(手応え)の減少を伴う切り込みを「所謂抜け感」と捉えやすい傾向があり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、高負荷状態におけるロック作動時においても良好な操舵フィーリングを維持することのできる伝達比可変装置及び車両用操舵装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、入力軸の回転を出力軸に伝達するとともにモータの回転を減速して前記出力軸に伝達する差動機構と、モータ軸を拘束することにより前記入力軸と前記出力軸との相対回転を規制可能なロック装置と、駆動電力の供給を通じて前記モータ及び前記ロック装置の作動を制御する制御手段とを備えるとともに、前記ロック装置は、前記モータ軸と一体に設けられたロックホルダと、前記ロックホルダの周面に形成された複数の係合溝の何れかと係合することにより該ロックホルダを拘束可能なロックレバーとを備えてなる伝達比可変装置であって、前記モータの負荷状態を判定する負荷判定手段を備え、前記制御手段は、前記モータが高負荷状態にあると判定された場合には、その負荷トルクに抗する方向に該モータを駆動した後の回転位置において前記係合溝に前記ロックレバーを係合させるべく、前記モータ及び前記ロック装置の作動を制御すること、を要旨とする。
上記構成によれば、高負荷状態でのロック作動時、その負荷トルクが運転者のステアリング操作によるものであっても、抵抗力(手応え)の減少を伴うようなステアリングの回転は生じない。その結果、「抜け感」を抑えて良好な操舵フィーリングを維持することができる。加えて、モータ回転(回転角速度)を制御下においた状態で係合溝にロックレバーを係合させることにより、両者の衝突音を抑えて静粛性の向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明は、前記各係合溝には、その周方向端部の一方に深溝が形成されるとともに、前記ロックレバーは、その係合部が前記深溝と嵌合することにより、前記係合溝と係合するものであって、前記ロックレバーの係合部に対応する位置を基準とした前記ロックホルダの回転位置を検出する検出手段を備え、前記制御手段は、その基準位置に何れかの前記係合溝があり且つ該係合溝の前記深溝が前記基準位置よりも抗負荷トルク側に位置する場合には、その前記基準位置にある係合溝に前記係合部を挿入した後、前記負荷トルクに抗する方向に前記モータを駆動すること、を要旨とする。
即ち、挿入時に生ずる係合部の当接音を低減する観点では、その挿入後、モータを回転させることにより当該係合部を深溝に嵌合させることが望ましい。しかしながら、構造上、その深溝が、必ずしも、負荷トルクに抗したモータ駆動により嵌合可能な位置、即ち係合部に対応する基準位置よりも抗負荷トルク側にあるとは限らない。この点、上記構成のように、ロックレバーの係合部に対応する基準位置と上記深溝との位置関係に基づいて、ロック作動及びモータ駆動を実行することにより、高い静粛性を確保しつつ、その負荷トルクに抗する方向にモータを駆動した後の回転位置において、確実にロックレバーをロックホルダの係合溝に係合させることができる。
請求項3に記載の発明は、前記制御手段は、前記基準位置よりも抗負荷トルク側に位置する前記深溝の手前に前記各係合溝間に形成された山部が存在する場合には、前記基準位置に前記深溝が位置するまで前記負荷トルクに抗する方向に前記モータを駆動した後、前記係合部を挿入すること、を要旨とする。
上記構成によれば、ロックホルダの回転位置に依らず、その負荷トルクに抗する方向にモータを駆動した後の回転位置において、確実にロックレバーをロックホルダの係合溝に係合させることができる。
請求項4に記載の発明は、前記負荷トルクに抗したモータ駆動を実行する余裕があるか否かを判定する余裕判定手段を備え、前記制御手段は、前記余裕がある場合にのみ、その前記負荷トルクに抗したモータ駆動を実行すること、を要旨とする。
上記構成によれば、モータに過度の負荷をかけることなく、その負荷トルクに抗する方向にモータを駆動した後の回転位置においてロックレバーをロックホルダの係合溝に係合させる抗負荷トルクロック制御を実行することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の伝達比可変装置を備えた車両用操舵装置であること、を要旨とする。
上記構成によれば、高負荷状態におけるロック作動時においても良好な操舵フィーリングを維持することができる。
本発明によれば、高負荷状態におけるロック作動時においても良好な操舵フィーリングを維持することが可能な伝達比可変装置及び車両用操舵装置を提供することができる。
車両用操舵装置の概略構成図。 伝達比可変装置の概略構成図。 ロック装置の概略構成図。 車両用操舵装置の制御ブロック図。 高負荷状態におけるロック制御の処理手順を示すフローチャート。 抗負荷トルクロック制御の処理手順を示すフローチャート。 抗負荷トルク側に深溝がある場合の説明図。 係合部の挿入後に抗負荷トルクモータ駆動を行う場合の処理手順を示すフローチャート。 順負荷トルク側に深溝がある場合の説明図。 抗負荷トルクモータ駆動後に係合部の挿入を行う場合の処理手順を示すフローチャート。 基準位置に山部がある場合の説明図。 別例の高負荷状態におけるロック制御の処理手順を示すフローチャート。
以下、本発明を伝達比可変装置を備えた車両用操舵装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の車両用操舵装置1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラック&ピニオン機構4を介してラック軸5と連結されている。そして、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラック&ピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。尚、本実施形態のステアリングシャフト3は、ステアリング2側から順に、コラムシャフト、インターミディエイトシャフト、及びピニオンシャフトの三本の軸部材を連結してなる周知の構成を有している。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッドを介してナックル(図示略)に伝達されることにより、転舵輪6の舵角、即ち車両の進行方向が変更されるようになっている。
尚、本実施形態の車両用操舵装置1は、所謂ラックアシスト型の電動パワーステアリング装置(EPS)であり、詳しくは、その駆動源であるモータ7が上記ラック軸5と同軸に配置されたラック同軸型のEPSである。そして、そのモータトルクをボール螺子機構(図示略)により軸方向の押圧力に変換してラック軸5に伝達することにより、操舵系にアシスト力を付与する構成となっている。
また、本実施形態の車両用操舵装置1は、ステアリング2(の舵角)と転舵輪6(の舵角)との間の伝達比(ギヤ比)を可変すべく操舵系の途中に設けられた伝達比可変装置8と、該伝達比可変装置8の作動を制御する制御手段としてのECU9とを備えている。
詳述すると、本実施形態では、伝達比可変装置8は、ステアリングシャフト3を構成するインターミディエイトシャフト3aに設けられている。本実施形態のインターミディエイトシャフト3aは、ステアリング2側(同図中、上側)に位置する第1シャフト10とラック軸5側(同図中、下側)に位置する第2シャフト11とからなる。そして、伝達比可変装置8は、これら第1シャフト10及び第2シャフト11を連結する差動機構12と、該差動機構12を駆動するモータ13とを備えて構成されている。
即ち、本実施形態の伝達比可変装置8は、ステアリング操作に伴う第1シャフト10の回転に、モータ駆動に基づく回転を上乗せして第2シャフト11に伝達する。そして、そのラック&ピニオン機構4に入力されるステアリングシャフト3の回転を増速(又は減速)することにより、ステアリング2と転舵輪6との間の伝達比を任意に変更することが可能となっている。
尚、本実施形態では、モータ13には、ブラシレスモータが採用されている。そして、ECU9は、駆動電力の供給を通じて同モータ13の回転を制御することにより、この伝達比可変装置8の作動を制御する(伝達比可変制御)。
さらに詳述すると、図2に示すように、本実施形態の伝達比可変装置8は、略有底筒状に形成されたハウジング14を有しており、モータ13は、その回転軸であるモータ軸13aとハウジング14とが同軸になるように同ハウジング14内に固定されている。そして、ハウジング14は、その上壁部14aに設けられた連結部15が第1シャフト10とスプライン嵌合されている。
本実施形態では、差動機構12には、同軸に並置された一対のサーキュラスプライン21,22、及びこれら両スプラインの内側において該各スプラインと噛合されるフレクスプライン23、並びにその噛合部を回転させる波動発生器24からなる周知の波動歯車機構が採用されている。
サーキュラスプライン21は、ハウジング14と同軸となるように同ハウジング14に固定されており、他方のサーキュラスプライン22は、連結部材25を介して第2シャフト11と同軸に連結されている。各サーキュラスプライン21,22には、互いに異なる歯数が設定されており、フレクスプライン23は、楕円状に撓められた状態でこれら各ギヤの内側に配置されることにより、その外歯が該各ギヤの内歯とそれぞれ部分的に噛合されている。そして、ハウジング14とともにサーキュラスプライン21が回転し、そのサーキュラスプライン21の回転がフレクスプライン23を介してサーキュラスプライン22に伝達されることにより、ステアリング操作に伴う第1シャフト10の回転が第2シャフト11に伝達されるようになっている。
波動発生器24は、上記サーキュラスプライン21,22及びフレクスプライン23の内側に配置されている。波動発生器24は、モータ軸13aに連結されており、モータ軸13aの回転に伴いフレクスプライン23の内側を回転することで、上記撓められたフレクスプライン23の楕円形状、即ちサーキュラスプライン21,22との噛合部を回転させる。そして、サーキュラスプライン21とサーキュラスプライン22との間の歯数差に基づいて、サーキュラスプライン22が回転することにより、モータ軸13aの回転が減速されて第2シャフト11に伝達されるようになっている。
尚、本実施形態では、ハウジング14の上壁部14aにスパイラルケーブル装置27が設けられており、モータ13及び後述するロック装置30のソレノイド37は、このスパイラルケーブル装置27により、所定の回転範囲(許容回転範囲)において、ECU9と電気的に接続されるようになっている。
また、本実施形態の伝達比可変装置8には、モータ軸13a(の回転)を拘束することにより第1シャフト10と第2シャフト11との相対回転を規制可能なロック装置30が設けられている。そして、このロック装置30の作動により、必要に応じて、その伝達比を機械的に固定することが可能となっている。
詳述すると、図3に示すように、ロック装置30は、モータ軸13aの一端に相対回転不能に固定されるとともに周面32aに複数の係合溝31が凹設されたロックホルダ32と、その係合溝31に係合することによりロックホルダ32(の回転)を拘束可能なロックレバー33とを備えてなる。
本実施形態では、環状に形成されたロックホルダ32は、モータ軸13aの一端(第1シャフト10側の軸方向端部)において同モータ軸13aと同軸に固定されている(図2参照)。そして、各係合溝31は、ロックホルダ32の周面32aにおいて、等間隔(90°間隔)で4箇所に形成されている。尚、本実施形態では、各係合溝31は、周方向に延びる浅溝31aと、当該浅溝31a内における周方向端部の一方に設けられた深溝31bとにより構成されている。そして、隣り合う二つの係合溝31の間には、見かけ上、径方向外側に突出する山部34が形成されている。
一方、本実施形態のロックレバー33は、長尺状に形成されている。そして、同ロックレバー33は、上記ロックホルダ32の径方向外側において、回動可能にハウジング14内に軸支されている。
具体的には、ハウジング14に固定されたモータハウジングの一端には、モータ軸13aの軸線方向に沿って延びる回動軸35が設けられており(図2参照)、ロックレバー33は、この回動軸35に軸支されることより、ロックホルダ32と対向する位置(ロックホルダ32の回転平面と略同一の平面上)において回動可能に支承されている。
また、本実施形態では、ロックレバー33の端部(先端)には、ロックホルダ32の周面32aに向かって突出する係合部33aが形成されている。そして、ロックレバー33は、その回動により、係合部33aがロックホルダ32の周面32aに当接し、該周面32aに形成された係合溝31と係合(最終的には、その深溝31bと嵌合)することにより、同ロックホルダ32の回転、即ちモータ軸13aの回転を拘束することが可能となっている。
更に、本実施形態のロック装置30では、ロックレバー33は、バネ部材36(実際には捻りコイルバネを用いるが図中はその機能のみを概念的に図示)の弾性力により、その係合部33aがロックホルダ32側に向かって回動するように付勢されている。そして、その回動軸35を挟んで上記係合部33aと反対側の端部、ロック装置30の駆動源であるソレノイド37が連結されている。
即ち、本実施形態のロック装置30は、非ロック作動時には、ソレノイド37に対する通電により、そのプランジャ37aが内部に引き込まれることで、上記ロックレバー33の係合部33aがロックホルダ32から離間した位置に保持されるようになっている。また、ロック作動時には、ソレノイド37への通電を停止することにより、ロックレバー33をリリースする。即ち、バネ部材36の弾性力によりロックレバー33を回動させて、その係合部33aをロックホルダ32に当接、詳しくは係合溝31に挿入する。そして、これにより、これらロックレバー33の係合部33aとロックホルダ32の係合溝31とが係合することで、同ロックホルダ32を拘束する構成となっている。
次に、本実施形態の車両用操舵装置の電気的構成及び制御態様について説明する。
図1に示すように、本実施形態のECU9には、ステアリングセンサ(操舵角センサ)38により検出された操舵角θs、及び車速センサ39により検出された車速Vが入力されるようになっている。そして、ECU9は、これら操舵角θs及び車速Vに基づいてモータ13の回転を制御することにより伝達比可変装置8の作動、即ち伝達比可変制御を実行する。
詳述すると、図4に示すように、ECU9は、モータ制御信号を出力するマイコン40と、モータ制御信号に基づいてモータ13に駆動電力を供給する駆動回路41とを備えている。尚、以下に示す各制御ブロックは、マイコン40が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。
マイコン40は、ギヤ比可変制御演算部43を備えており、同ギヤ比可変制御演算部43は、操舵角θs及び車速Vに基づいて、その伝達可変制御の基礎成分となるギヤ比可変指令角θgr*を演算する。また、本実施形態のマイコン40は、微分ステア制御演算部44を備えており、同微分ステア制御演算部44は、操舵速度ωs及び車速Vに基づいて、そのステアリング操作に対する車両の応答性を向上させるための制御成分として微分ステア指令角θls*を演算する。そして、本実施形態のマイコン40は、これらギヤ比可変指令角θgr*及び微分ステア指令角θls*を加算器45に入力することにより、伝達比可変制御の制御目標値となるACT指令角θta*を演算する。
また、マイコン40には、回転角センサ46により検出されるモータ回転角θmが入力されるとともに、同モータ回転角θmに基づいて、伝達比可変装置8の実際の制御量であるACT角θtaを演算するACT角演算部47が設けられている。そして、本実施形態のマイコン40は、その制御目標値である上記ACT指令角θta*に実際の制御量であるACT角θtaを追従させるべく、位置フィードバック制御を実行することにより、上記駆動回路41に出力するモータ制御信号を生成する。
即ち、マイコン40は、ACT指令角θta*及びACT角θtaを減算器48に入力することにより両者のACT角偏差Δθtaを演算し、更にそのACT角偏差Δθtaを位置制御演算部49に入力することにより位置制御量εを演算する。具体的には、位置制御演算部49は、入力されるACT角偏差Δθtaにフィードバックゲインを乗ずることにより、当該ACT角偏差Δθta(の絶対値)が大きいほど、より大きな絶対値を有する位置制御量εを演算する。そして、マイコン40は、この位置制御量εに基づきモータ制御信号出力部50が生成するモータ制御信号を上記駆動回路41に出力する構成となっている。
具体的には、本実施形態の駆動回路41には、一対のスイッチング素子を直列に接続してなるスイッチングアームをモータ13の各相(U,V,W)に対応して三列並列に接続してなる周知のPWMインバータが採用されている。そして、マイコン40の出力するモータ制御信号は、この駆動回路41のDuty、詳しくは、当該駆動回路41を構成する各相スイッチングアームのDuty(上段側スイッチング素子のオンDuty)を規定するものとなっている。
即ち、上記モータ制御信号出力部50には、位置制御演算部49の出力する位置制御量εとともに、モータ回転角θm(電気角)が入力されるようになっており、同モータ制御信号出力部50は、そのモータ回転角θmに基づいて、各相モータコイルに対する通電パターンを決定する。そして、位置フィードバック制御の実行に得られた位置制御量ε(の絶対値)が大きいほど、駆動回路のDutyが大となるようなモータ制御信号を生成する。
また、本実施形態のECU9は、上記モータ駆動用の駆動回路41に加え、ロック制御用、即ちロック装置30の駆動源であるソレノイド37に駆動電力を供給するための駆動回路51を備えている。そして、本実施形態のロック装置30は、この駆動回路51がソレノイド37に対する電力供給をオン/オフすることにより、その作動が制御されるようになっている。
詳述すると、本実施形態のマイコン40は、ロック制御部52を備えている。そして、同マイコン40は、このロック制御部52が生成するロック制御信号を出力することにより、上記駆動回路51の作動を制御する。
具体的には、本実施形態のロック制御部52には、IGオン/オフ信号S_ig、伝達比可変装置8の異常を示す異常信号S_tr、及び電源電圧Vb等の他、駆動回路41に通電される電流値Ib、モータ回転角θm及びモータ回転角速度ωm、並びにモータ制御信号に示される駆動回路41のDutyが入力される。尚、本実施形態では、上記駆動回路41の電流値Ibは、上記駆動回路41の電源線に設けられた電流センサ53により検出される。そして、ロック制御部52は、その入力される各種の状態量及び制御信号に基づいて、ロック装置30を作動させるか否かを判定し、及びその判定結果に基づくロック制御信号を生成する。
また、本実施形態の駆動回路51は、スイッチング素子(パワーMOSFET)により構成されており、上記ロック制御信号は、そのオンDutyを示すものとなっている。即ち、ロック作動時、ロック制御部52は、そのロック制御信号として「Duty=0」を生成する。そして、これにより、ソレノイド37に対する電力供給が停止し、ロックホルダ32に対してロックレバー33がリリースされることにより、ロック装置30がロック作動する構成となっている。
また、本実施形態のロック制御部52は、上記モータ制御信号出力部50に対し、ロック作動時駆動信号S_ldを出力する。そして、モータ制御信号出力部50は、そのロック作動時駆動信号S_ldに基づいて、より円滑に上記ロック装置30がロック作動するように、そのロック作動と協調したモータ駆動を行うようなモータ制御信号を生成する。
具体的には、本実施形態のモータ制御信号出力部50は、上記ロック作動時駆動信号S_ldに基づいて、そのモータ制御信号として出力する駆動回路41のDutyを増減する。即ち、Dutyを増大させることによりモータトルクは増大し、Dutyを低減することによりモータトルクは減少する。そして、本実施形態のECU9は、これを利用して、ロック装置30のロック作動と協調したモータ駆動を実行する。
例えば、通常状態からのロック作動時(IGオフ時等)、ロック制御部52は、ロック装置30のロック作動後、モータトルクを徐々に低減すべき旨のロック作動時駆動信号S_ldを出力し、モータ制御信号出力部50は、同ロック作動時駆動信号S_ldに基づいて、そのモータ制御信号として出力する駆動回路41のDutyを低減する。そして、本実施形態では、これにより、確実且つ円滑に、ロックレバー33の係合部33aとロックホルダ32の係合溝31とを係合させることが可能となっている。
(高負荷時のロック制御)
次に、本実施形態における高負荷時のロック制御について説明する。
本実施形態では、上記のようなロック装置30を作動させて伝達比を固定すべき状況として、伝達比可変装置8の駆動源である「モータ13が高負荷状態となった場合」が設定されている。
詳述すると、本実施形態では、上記ロック制御部52には、モータ13の負荷状態を判定する負荷判定手段としての機能が備えられている。具体的には、本実施形態のロック制御部52は、モータ制御信号出力部50がモータ制御信号として出力する駆動回路41のDutyを監視することにより、モータ13の負荷状態を判定する。尚、本実施形態では、このDutyの監視による負荷状態判定は、Dutyの大きさとその継続時間との関係に基づいて実行される。即ち、モータ制御信号出力部50が実行するDuty制限(ガード処理)に設定された上限値近傍の高いDutyが継続する場合には、短時間で高負荷状態と判定され、反対に、Dutyが極端に高い値ではなくとも、その高い状態が長時間に亘って継続する場合には、高負荷状態と判定される。そして、本実施形態のロック制御部52は、この負荷判定により、モータ13が高負荷状態にあると判定した場合には、ロック装置30をロック作動させるべくロック制御信号を出力し、及びそのロック作動と協調したモータ駆動を行うべくロック作動時駆動信号S_ldを出力する。
ここで、上述のように、高負荷状態でのロック作動時、とりわけ、その負荷トルクが運転者のステアリング操作によるものである場合には、モータトルクの減少によりモータ13が負荷トルクに順ずる方向に回転することで、ステアリング2もまた、そのステアリング操作の方向、即ち切り込み方向に回転する。そして、運転者は、こうした抵抗力(手応え)の減少を伴う切り込みを「所謂抜け感」と捉えやすい傾向があることから、上記のようなロックレバー33の係合部33aとロックホルダ32の係合溝31とを確実に係合させるために行うモータトルクの徐減が、その操舵フィーリングの低下を招く要因となるおそれがある。
この点を踏まえ、本実施形態のECU9は、こうした高負荷状態でのロック作動時には、その負荷トルクに抗する方向にモータ13を駆動した後の回転位置において、ロックレバー33をロックホルダ32の係合溝31に係合、詳しくは、その深溝31bに嵌合させるべく、モータ13及びロック装置30の作動を制御する(抗負荷トルクロック制御)。
詳述すると、図5のフローチャートに示すように、本実施形態のECU9(ロック制御部52)は、その負荷判定の実行(ステップ101)により、高負荷状態にあると判定した場合(ステップ102:YES)には、続いて上記のような負荷トルクに抗したモータ駆動を実行する余裕があるか否かの余裕判定を実行する(ステップ103)。そして、その余裕判定の実行により、余裕があると判定した場合(ステップ104:YES)にのみ、上記抗負荷トルクロック制御を実行し(ステップ105)、余裕のない場合(ステップ104:NO)には、ロック装置30のロック作動後、モータトルクを徐々に低減する通常のロック制御を実行する(ステップ106)。尚、ステップ102において、高負荷状態にはないと判定した場合(ステップ102:NO)、ステップ103以降の処理は実行されない。
さらに詳述すると、本実施形態のECU9において、ロック制御部52は、電源電圧Vb、駆動回路41のDuty、及び同駆動回路41に通電される電流値Ibに基づいて、モータ電圧Vm及びモータ電流Imを演算する。そして、そのモータ電圧Vm及びモータ電流Imに基づいて、次の二式を用いた周知の温度推定を実行することにより、モータ巻線温度Tmを検出する。
Vm=Rm×Im+Ke×ωm ・・・(1)
Rm=Rref+c(Tm−Tref) ・・・(2)
(但し、Vm:モータ電圧、Im:モータ電流、Rm:モータ巻線抵抗、Ke:逆起電圧定数、Tref:リファレンス温度、Rref:リファレンス温度におけるモータ巻線抵抗、c:温度定数)
そして、余裕判定手段としてのロック制御部52は、この推定演算により検出されるモータ巻線温度Tmを監視し、その更なる上昇を許容する余地があるか否かに基づいて、上記の余裕判定を実行する構成となっている。
また、本実施形態のモータ制御信号出力部50は、上記抗負荷トルクロック制御の実行時においてロック制御部52から入力されるロック作動時駆動信号S_ldに対して、そのモータ制御信号を生成する際のDuty制限を解除することにより、同ロック作動時駆動信号S_ldに示される負荷トルクに抗したモータ駆動を実行する。
即ち、上記のように、高負荷状態と判定される状況では、多くの場合、そのモータ制御信号出力部50が実行するDuty制限の上限値近傍、或いはそれに準ずる高いDutyが発生していることになる。しかしながら、そのDuty制限の上限値は、あくまで通常状態を想定して設定される値であることから、通常、当該上限値には、比較的大きなマージンが設定されている(例えば、継続時間に応じた上限値=50%〜80%程度)。
この点に着目し、本実施形態では、上記のように、モータ13に余裕があることを前提として、上記モータ制御信号生成時のDuty制限を解除する。そして、これにより、高負荷状態においても、モータ13に過度の負荷をかけることなく、その負荷トルクに抗したモータ駆動を実行することが可能となっている。
次に、本実施形態における抗負荷トルクロック制御の態様及び処理手順について説明する。
上記のように、本実施形態のロック装置30では、そのロックレバー33の係合部33aが最終的に嵌合するロックホルダ32側の深溝31bは、それぞれ、その各係合溝31における周方向端部の一方のみに形成されている。そして、隣り合う二つの係合溝31の間には、見かけ上、径方向外側に突出する山部34が形成されている(図3参照)。
この点を踏まえ、本実施形態のECU9(ロック制御部52)は、ロックレバー33の係合部33aに対応する位置(図3参照、基準位置P0:同ロックレバー33がリリースされた場合にその係合部33aがロックホルダ32に当接する位置)を基準としたロックホルダ32の回転位置を検出する。即ち、本実施形態では、ECU9(詳しくは、そのロック制御部52)が検出手段を構成する。そして、その基準位置P0と上記深溝31b及び山部34との位置関係に基づいて、ロック装置30のロック作動、及びその負荷トルクに抗したモータ駆動を実行する。
詳述すると、図6のフローチャートに示すように、ECU9(ロック制御部52)は、先ず、ロックホルダ32の回転位置を検出する(ステップ201)。そして、上記基準位置P0に何れかの係合溝31があるか否かを判定する(ステップ202)。
次に、上記ステップ202において、基準位置P0に係合溝31があると判定した場合(ステップ202:YES)には、続いて、その係合溝31内の深溝31bが基準位置P0よりも抗負荷トルク側にあるか否か、即ち負荷トルクに抗してモータ13が回転することにより深溝31bが基準位置P0に近接するか否かを判定する(ステップ203)。そして、図7に示すように深溝31bが抗負荷トルク側にある場合(ステップ203:YES)には、その基準位置P0にある係合溝31内にロックレバー33の係合部33aを挿入した後、負荷トルクに抗してモータ13を回転させるべく、同モータ13及びロック装置30の作動を制御する(ステップ204)。
具体的には、図8のフローチャートに示すように、ECU9は、先ず、ロックレバー33をリリースし、その係合部33aをロックホルダ32側の係合溝31内に挿入する(ステップ301)。そして、上記のようにモータ制御信号を生成する際のDuty制限を解除してモータトルクを強化することにより、その負荷トルクに抗する方向にモータ13を回転させる(ステップ302)。
次に、ECU9は、ロックホルダ32の回転位置を検出し(ステップ303)、基準位置P0に深溝31bがあるか否かを判定する(ステップ304)。そして、基準位置P0に深溝31bがない場合(ステップ304:NO)には、上記ステップ302においてモータトルクを強化した状態のまま、上記ステップ303の回転位置検出及びステップ304の深溝位置判定を繰り返す。
そして、上記ステップ304において、基準位置P0に深溝31bがあると判定した場合(ステップ304:YES)、即ちロックレバー33の係合部33aとロックホルダ32側の深溝31bとを嵌合させた後、モータ制御信号に示される駆動回路41のDutyを徐々に低減(徐減)してモータトルクを徐減する(ステップ305)。
一方、図6に示すフローチャート中のステップ203において、図9に示すように、その係合溝31の深溝31bが基準位置P0よりも順負荷トルク側にある場合、即ちモータトルクの低減による負荷トルクに順じた回転により深溝31bが基準位置P0に近接する場合(ステップ203:NO)には、先ず負荷トルクに抗してモータ13を回転させる。そして、その抗負荷トルク側の山部34を超えて、基準位置P0に隣りの係合溝31が位置する、詳しくは基準位置P0にその深溝31bが位置するまで上記抗負荷トルク駆動を行った後、その係合溝31内にロックレバー33の係合部33aを挿入すべく、モータ13及びロック装置30の作動を制御する(ステップ205)。
具体的には、図10のフローチャートに示すように、ECU9は、先ず、上記のようにモータ制御信号を生成する際のDuty制限を解除してモータトルクを強化することにより、その負荷トルクに抗する方向にモータ13を回転させる(ステップ401)。次に、ECU9は、ロックホルダ32の回転位置を検出し(ステップ402)、基準位置P0に深溝31bがあるか否かを判定する(ステップ403)。そして、基準位置P0に深溝31bがない場合(ステップ403:NO)には、上記ステップ302においてモータトルクを強化した状態のまま、上記ステップ303の回転位置検出及びステップ304の深溝位置判定を繰り返す。
次に、上記ステップ403において、基準位置P0に深溝31bがあると判定すると(ステップ403:YES)、ECU9は、ロックレバー33をリリースし、その係合部33aをロックホルダ32側の係合溝31内に挿入する(ステップ404)。そして、これにより、ロックレバー33の係合部33aとロックホルダ32側の深溝31bとを嵌合させた後、モータ制御信号に示される駆動回路41のDutyを徐々に低減(徐減)してモータトルクを徐減する(ステップ405)。
そして、図6に示すフローチャート中のステップ202において、図11に示すように基準位置P0に山部34があると判定した場合(ステップ202:NO)もまた、抗負荷トルクモータ駆動を行った後、係合部挿入処理を実行すべく、モータ13及びロック装置30の作動を制御する(ステップ205)。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)ECU9(ロック制御部52)は、モータ13の負荷状態を判定する負荷判定手段としての機能を備える。そして、モータ13が高負荷状態にあると判定された場合には、その負荷トルクに抗する方向にモータ13を駆動した後の回転位置において、ロックレバー33をロックホルダ32の係合溝31に係合、詳しくは、その深溝31bに嵌合させるべく、モータ13及びロック装置30の作動を制御する(抗負荷トルクロック制御)。
上記構成によれば、高負荷状態でのロック作動時、その負荷トルクが運転者のステアリング操作によるものであっても、抵抗力(手応え)の減少を伴うようなステアリング2の回転は生じない。その結果、「抜け感」を抑えて良好な操舵フィーリングを維持することができる。加えて、モータ回転(回転角速度)を制御下においた状態で係合溝31にロックレバー33を係合させることにより、両者の衝突音を抑えて静粛性の向上を図ることができる。
(2)ECU9は、ロックレバー33の係合部33aに対応する位置を基準(基準位置P0)としたロックホルダ32の回転位置を検出する。そして、その基準位置P0に何れかの係合溝31があり且つ当該係合溝31内の深溝31bが同基準位置P0よりも抗負荷トルク側にある場合には、その係合溝31内にロックレバー33の係合部33aを挿入した後、負荷トルクに抗してモータ13を回転させるべく、同モータ13及びロック装置30の作動を制御する。
即ち、挿入時に生ずる係合部33aの当接音を低減する観点では、当該係合部33aを浅溝31aに挿入した後、モータ13を回転させることにより、同係合部33aを深溝31bに嵌合させることが望ましい。しかしながら、構造上、その浅溝31aに連続した深溝31bが、必ずしも、その負荷トルクに抗したモータ駆動により嵌合可能な位置、即ち係合部33aに対応する基準位置P0よりも抗負荷トルク側にあるとは限らない。この点、上記構成のように、基準位置P0と上記深溝31b及び山部34との位置関係に基づいて、ロック作動及びモータ駆動を実行することにより、高い静粛性を確保しつつ、その負荷トルクに抗する方向にモータ13を駆動した後の回転位置において、確実にロックレバー33をロックホルダ32の係合溝31に係合させることができる。
(3)ECU9は、基準位置P0よりも抗負荷トルク側に位置する深溝31bの手前に各係合溝31間に形成された山部34が存在する場合(基準位置P0の山部34が位置する場合を含む)には、基準位置P0に深溝31bが位置するまで負荷トルクに抗してモータ13を駆動した後、ロックレバー33の係合部33aを挿入する。
上記構成によれば、ロックホルダ32の回転位置に依らず、その負荷トルクに抗する方向にモータ13を駆動した後の回転位置において、確実にロックレバー33をロックホルダ32の係合溝31に係合させることができる。
(4)ECU9は、その負荷トルクに抗したモータ駆動を実行する余裕があるか否かを判定する余裕判定手段としての機能を有する。そして、その余裕判定の実行により、余裕があると判定した場合にのみ、その抗負荷トルクロック制御を実行する。
上記構成によれば、モータ13に過度の負荷をかけることなく、その負荷トルクに抗する方向にモータ13を駆動した後の回転位置においてロックレバー33をロックホルダ32の係合溝31に係合させる抗負荷トルクロック制御を実行することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、伝達比可変装置8は、インターミディエイトシャフト3aの途中に設けられることとしたが、コラムシャフトやピニオンシャフトに設けられる構成に具体化してもよい。また、その駆動源であるモータ13がステアリングシャフト3とともに回転する一体回転型の他、モータが回転しない非回転型のものに具体化してもよい。
・上記実施形態では、各係合溝31は、その周方向端部の一方に、ロックレバー33の係合部33aが嵌合する深溝31bを備えることとした。しかし、これに限らず、浅溝31aを形成することなく、ロックホルダ32の周面に、直接、上記深溝31bに相当する嵌合凹部を形成する構成に具体化してもよい。
・上記実施形態では、ロックレバー33の係合部33aに対応する基準位置P0よりも抗負荷トルク側に位置する深溝31bの手前に各係合溝31間に形成された山部34が存在する場合でも、負荷トルクに抗する方向にモータ13を駆動した後の回転位置において、ロックレバー33をロックホルダ32の係合溝31に係合させることとした。しかし、これに限らず、基準位置P0に何れかの係合溝31があり且つ当該係合溝31内の深溝31bが同基準位置P0よりも抗負荷トルク側にある場合にのみ、その抗負荷トルクロック制御を実行することとしてもよい。
即ち、図12のフローチャートに示すように、その位置検出により(ステップ501)、基準位置P0に係合溝31があり(ステップ502:YES)、且つ深溝31bが抗負荷トルク側にある場合(ステップ503:YES)には、ロックレバー33(の係合部33a)の挿入後、負荷トルクに抗したモータ駆動を実行する(ステップ504)。そして、その係合溝31内において深溝31bが基準位置P0よりも順負荷トルク側にある場合(ステップ503:NO)には、ロックレバー33の挿入後、モータトルクを徐々に低減する通常のロック制御を実行する(ステップ505)。
また、基準位置P0に山部34がある場合(ステップ502:NO)には、その基準位置P0に浅溝31aが位置するようにモータ回転を制御する(ステップ506)。尚、この場合には、モータ負荷を考慮し、モータトルクの低減により、即ち負荷トルクを利用してモータ13を回転させる。そして、その後、ロックレバー33を挿入してモータトルクを徐々に低減する通常のロック制御を実行する(ステップ505)とよい。
このような構成とすれば、モータ13に過度の負荷をかけることなく、高負荷状態におけるロック作動時の操舵フィーリングを改善することができる。
・上記実施形態では、余裕判定手段としてのロック制御部52によるモータ巻線温度Tmの監視は、モータ電圧Vm及びモータ電流Imに基づく推定演算により行うこととした。しかし、これに限らず、モータ13に温度センサを設ける構成としてもよい。
・上記実施形態では、モータ制御信号として出力する駆動回路41のDutyを監視することにより、モータ13の負荷状態を判定することとした。しかし、これ限らず、位置フィードバック制御において偏差過大が生じたか否か、即ちACT角偏差Δθtaを監視することにより、負荷判定を行う構成であってもよい。
1…車両用操舵装置、2…ステアリング、3…ステアリングシャフト、3a…インターミディエイトシャフト、6…転舵輪、8…伝達比可変装置、9…ECU、10…第1シャフト、11…第2シャフト、12…差動機構、13…モータ、13a…モータ軸、30…ロック装置、31…係合溝、31a…浅溝、31b…深溝、32…ロックホルダ、33…ロックレバー、33a…係合部、34…山部、37…ソレノイド、40…マイコン、41…駆動回路、46…回転角センサ、47…ACT角演算部、49…位置制御演算部、50…モータ制御信号出力部、51…駆動回路、52…ロック制御部、53…電流センサ、θm…モータ回転角、ωm…モータ回転角速度、θs…操舵角、θta…ACT角、θta*…ACT指令角、Δθta…ACT角偏差、ε…位置制御量、S_ld…ロック作動時駆動信号。

Claims (5)

  1. 入力軸の回転を出力軸に伝達するとともにモータの回転を減速して前記出力軸に伝達する差動機構と、モータ軸を拘束することにより前記入力軸と前記出力軸との相対回転を規制可能なロック装置と、駆動電力の供給を通じて前記モータ及び前記ロック装置の作動を制御する制御手段とを備えるとともに、前記ロック装置は、前記モータ軸と一体に設けられたロックホルダと、前記ロックホルダの周面に形成された複数の係合溝の何れかと係合することにより該ロックホルダを拘束可能なロックレバーとを備えてなる伝達比可変装置であって、
    前記モータの負荷状態を判定する負荷判定手段を備え、
    前記制御手段は、前記モータが高負荷状態にあると判定された場合には、その負荷トルクに抗する方向に該モータを駆動した後の回転位置において前記係合溝に前記ロックレバーを係合させるべく、前記モータ及び前記ロック装置の作動を制御すること、
    を特徴とする伝達比可変装置。
  2. 請求項1に記載の伝達比可変装置において、
    前記各係合溝には、その周方向端部の一方に深溝が形成されるとともに、前記ロックレバーは、その係合部が前記深溝と嵌合することにより、前記係合溝と係合するものであって、
    前記ロックレバーの係合部に対応する位置を基準とした前記ロックホルダの回転位置を検出する検出手段を備え、
    前記制御手段は、その基準位置に何れかの前記係合溝があり且つ該係合溝の前記深溝が前記基準位置よりも抗負荷トルク側に位置する場合には、その前記基準位置にある係合溝に前記係合部を挿入した後、前記負荷トルクに抗する方向に前記モータを駆動すること、
    を特徴とする伝達比可変装置。
  3. 請求項2に記載の伝達比可変装置において、
    前記制御手段は、前記基準位置よりも抗負荷トルク側に位置する前記深溝の手前に前記各係合溝間に形成された山部が存在する場合には、前記基準位置に前記深溝が位置するまで前記負荷トルクに抗する方向に前記モータを駆動した後、前記係合部を挿入すること、
    を特徴とする伝達比可変装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の伝達比可変装置において、
    前記負荷トルクに抗したモータ駆動を実行する余裕があるか否かを判定する余裕判定手段を備え、
    前記制御手段は、前記余裕がある場合にのみ、その前記負荷トルクに抗したモータ駆動を実行すること、を特徴とする伝達比可変装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の伝達比可変装置を備えた車両用操舵装置。
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