JP2011218677A - 曲面サンドイッチパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】内部応力の発生が抑制され信頼性が高く軽量な曲面サンドイッチパネルの提供。
【解決手段】所定の一次曲面に沿って湾曲した板状のコアと、一次曲面に沿って湾曲してコアの両主面に接合された表面板とを備えた曲面サンドイッチパネルにおいて、コアが、コアの面内でコアの湾曲方向に並べて配置され、湾曲方向に実質的に剛体である少なくとも2つのハニカム構造の第1芯材と、コアの面内で第1芯材の間に配置され、コアの湾曲方向に可撓性であるコルゲート構造の第2芯材とを備えている。
【効果】軽量ながら信頼性の高い曲面サンドイッチパネルが提供できる。
【選択図】図1

Description

この発明は曲面サンドイッチパネルに関し、特に、鉄道車両、建材、船舶、自動車等の車両、航空宇宙分野等の用途において用いられるのに適した曲面サンドイッチパネルに関するものである。
サンドイッチパネルとは、コルゲート構造やハニカム構造などのコアの両主面に表面板をろう付けあるいは接着剤により接合したもので、強度と軽量化を両立させることができる構造である。曲面サンドイッチパネルの具体例として、コアの各セルの厚さ方向の軸心がパネルの曲面の曲率半径の方向に放射状になるように予め湾曲させたハニカムコアを用い、このハニカムコアの両面に同じ曲率で湾曲した表面板をろう付けした曲面パネルが提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、芯材にコルゲートを用いたものとし、波形コアを2枚の面板で挟んでろう付けにより接合した平面サンドイッチパネルが提案されている。また、芯材として2枚のコルゲート波形の方向を変えて重ね合わせたものを使用することも提案されている(例えば特許文献2参照)。
さらに、曲面サンドイッチパネルの別の提案によれば、曲面サンドイッチパネルは、表面材の間に第一および第二の2種類のコアを挿入したものであり、第一コアは、所定の曲面状に並列に配設した複数本の棒状体と、棒状体を連結する可撓性のシート状の連結部材とから成っており、棒状体は、加工性に富む平行合板が、又、連結部材はレイヨン等の合成繊維製の不織布が好ましい。第二コアは曲面状の波状コルゲートコアである(例えば特許文献3参照)。
特開平6−99530号公報 特開2001−138043号公報 特開1995−52289号公報
このようなサンドイッチパネルは、上述の通り優れた性能を示すものであるが、芯材と表面板材との接合は接着剤やろう付けで行うために、接着剤の塗布量むら、樹脂の硬化収縮や、加熱したときの温度分布、部材ごとの膨張係数の差に由来する熱応力などにより、サンドイッチパネル内にこれら接合方法に由来する応力が発生することになる。その結果、特にサンドイッチパネルの形状が曲面の場合、湾曲部の曲率のずれが生じやすく、大量に製品を製造した場合、全ての製品で最終的に固定する支持体との位置精度を確保するためには、接合の管理を厳しく行う必要がある。
特許文献1に開示されているようなアルミハニカムの芯材に表面材を接合したサンドイッチパネルにおいて、設計寸法に対して反りなどの変型が生じたパネルを、支持体上に締結することによって反りを戻す変型をさせた場合には、パネル自体に内部応力が発生して芯材と表面板との接合が破壊することがある。
特許文献2および3には、コルゲート構造を用いてサンドイッチパネルを作製することが提案されているが、コルゲートは異方性の材料で、強度の弱い方向には剛性が大きくないため、コルゲートの向きを変えて重ねたり、補強材を増やしたりする必要があり、空間確保や、軽量化の面で問題がある。また、表面板が異なる種類の材料の場合、膨張係数の差がより顕著になり反りは大きくなり、このような反りのあるサンドイッチパネルを支持体に取り付けるときに負荷がかかった状態になると、パネル内部の芯材とスキン材の接合箇所が、剥離させようとする力によって破壊されやすい状態になる。
特許文献3に開示されているサンドイッチパネルの第2コアとしてのコルゲート構造は、パネルの重量と製造費の低減のために用いられているものであり、サンドイッチパネルに適度な可撓性を与えることの課題も解決手段も開示されていない。多数の棒状体を互いに連結するシート状の連結部材は可撓性であるが、この可撓性は、製造途中での圧縮装置による湾曲工程で発揮されるだけで、完成後のパネルに方向性のある可撓性を与えるものではない。
従ってこの発明の目的は、内部応力の発生を抑制して信頼性が高く軽量な曲面サンドイッチパネルを提供することである。
この発明の曲面サンドイッチパネルは、所定の一次曲面に沿って湾曲した板状のコアと、上記一次曲面に沿って湾曲して上記コアの両主面に接合された表面板とを備えた曲面サンドイッチパネルにおいて、上記コアが、上記コアの面内で上記コアの湾曲方向に並べて配置され、上記湾曲方向に実質的に剛体である少なくとも2つの第1芯材と、上記コアの面内で上記第1芯材の間に配置され、上記コアの上記湾曲方向に可撓性である第2芯材とを備えていることを特徴とするものである。
この発明によれば、軽量ながら信頼性の高い曲面サンドイッチパネルが提供できる。
この発明の曲面サンドイッチパネルの一実施の形態を模式的に示す概略斜視図である。 図1の曲面サンドイッチパネルの構造を模式的に示す概略側面図である。 図1の曲面サンドイッチパネルのハニカム構造を示す概略斜視図である。 図1の曲面サンドイッチパネルのコルゲート構造を示す概略斜視図である。 この発明の実施例1の曲面サンドイッチパネルの製造に用いる積層化台の概略斜視図である。 この発明の実施例1の曲面サンドイッチパネルを示す概略斜視図である。 この発明の実施例2の曲面サンドイッチパネルの矩形波形のコルゲート構造を示す概略斜視図である。 この発明の実施例3の曲面サンドイッチパネルの製造途中において表面板にコルゲート構造の第2芯材を接合した状態を示す概略斜視図である。 この発明の実施例3の曲面サンドイッチパネルの製造に用いる積層化台の概略斜視図である。 この発明の実施例4の曲面サンドイッチパネルの製造途中において表面板にコルゲート構造の第2芯材を接合した状態を示す概略斜視図である。 この発明の実施例4の曲面サンドイッチパネルの製造に用いる積層化台の概略斜視図である。
以下、この発明をより詳細に説明するため、この発明の実施の形態を添付の図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化あるいは省略する。
実施の形態1.
図1〜6において、本発明の一実施の形態による曲面サンドイッチパネルは、所定の一次曲面に沿って湾曲した板状のコア1と、この一次曲面に沿って湾曲してコア1の両主面に接合された表面板2および3とを備えている。コア1は、全体として一次曲面に沿って湾曲したほぼ矩形の板部状であって、図1に矢印Aで示す湾曲方向(すなわち切断面が湾曲線として現れる切断方向)においては湾曲しており、矢印Bで示す非湾曲方向(すなわち切断面が直線として現れる切断方向)においては湾曲しておらず、全体として円筒面状に湾曲している。表面板2および3は、コア1の一次曲面に沿って湾曲してコア1の両主面に結合されている。
この発明によれば、板状のコア1は、コア1の面内でコア1の湾曲方向Aに互いに平行に離間して並べて配置され、湾曲方向Aには僅かな可撓性だけしかなく実質的に剛体である少なくとも2つの第1芯材4と、コア1の面内で第1芯材4の間を充填するように配置され、コア1の湾曲方向Aに可撓性である第2芯材5とを備えている。図示の例では、湾曲方向両端の非湾曲方向の縁に沿って第1芯材4が配置されるように、4つの長方形の第1芯材4と3つの長方形の第2芯材5とが、湾曲方向(矢印A)に交互に並べられて配置されている。
図示の例では、第1芯材4がハニカム構造を持つものであり、第2芯材5が非湾曲方向に延びた丸みを帯びた山と谷とを持つ波形コルゲートのコルゲート構造を持つものであり、第1芯材4は面内のあらゆる方向にほぼ等しい強度あるいは剛性を持っているため等方的な芯材であると言え、第2芯材5は面内で方向によって強度あるいは剛性が相違しているため異方的な芯材であるとも言える。第1芯材4および第2芯材5のそれぞれは、表面板2および3に対して例えば接着剤および粘着テープなどの異なる接合材6によって接着されている。
この曲面サンドイッチパネルによれば、部分的に剛性が弱い可撓性のある補強材を積極的入れられたことと同等になり、そりが生じたパネルを設計寸法に戻しながら支持台に固定しても、可撓性のある補強材部分が微小変形することによりコア1と表面板2および3とが剥がれることが回避でき、信頼性に優れた軽量化パネルを得ることができる。また、曲面サンドイッチパネルに大きな力をかけなくても良いので、コア1と表面板2および3との接合箇所にかかるクリープ負荷が小さくなり、信頼性が向上する。また、後付けの補強材をつけるときも、異方向的な材料(コルゲート)の部分のみ選択的に補強すれば良く、重量増加が抑制される。さらに、表と裏の表面板の材質が異なり、熱応力が大きくなり、そりも大きくなる場合には、この効果は有用なものとなる。
適用先
この発明の曲面サンドイッチパネルは、軽量で強度を有する曲面部材が必要とされるところであればどこでも良いが、例えば鉄道車両、建材、船舶、自動車等の車両、航空宇宙分野等の用途において用いられ、特に、鉄道車両空調装置用のパネルとして用いるのに好適である。
表面板
表面板2および3の材質は、面板であれば特に限定はされないが、例えば、ステンレス合金、アルミ合金、めっき鋼板、ZAM鋼板、真鍮、などが挙げられる。面板は用途によっては、パンチングメタルのように穴が開いていても良い。表面板2および3として好適な例は、厚さ0.05mm〜0.5mmのステンレス鋼板であり、外的要因による穴あき性や、軽量化の効果を考慮すると厚さは0.1〜0.3mmであるのがより望ましい。
本発明は、同種の表面板材でも、接着剤の塗布むらや硬化収縮などの要因で積層体になったときにそりを生ずるので有効であるが、パネルの内外などの温度差や表面板の材質の熱膨張係数の差があるような表面板2および3の組み合わせを用いる場合に、発明の効果がより顕著になる。熱膨張係数差の生じる表面板の材質の一例として、ステンレスとアルミニウム合金の組み合わせなどが挙げられる。
第1芯材
本発明の等方的な第1芯材4として、ハニカム、オフセットコルゲート、発泡アルミニウムなどの材料などが挙げられる。特に、ハニカム構造が軽量化の点で有利であり、なかでもアルミハニカムが好適である。ハニカムは、セルの形状が三角形、四角形、六角形などいかなる形状でもよい。この発明で第1芯材4として使用できるハニカム構造の一例は、図3に示すような高さHが6mm、六角形の1辺の長さAが6mm、アルミニウム厚さBが60ミクロンであるアルミハニカムである。
第2芯材
第2芯材5としては、表面板をまげ加工して作製された、コルゲート形状をした部材が使用できる。コルゲートの形状は折り曲げた状態で波型コルゲート、矩形コルゲート。材質はアルミニウムもしくはステンレスが好適である。この発明の第2芯材5として使用できるコルゲート構造の一例は、図5に示すような厚み0.2mm、高さ6mm、ピッチ10mmの波型のアルミニウムコルゲートである。
接合材
第1芯材4および第2芯材5で構成されたコア1と表面板2および3とを接合する接合材6は、接着剤、粘着テープ、ロウ付けを使用できるが、製造上、接着剤を用いるのが望ましい。接合材6として接着剤を用いて接合する場合、表面板2および3とコア1とを接着する材料は、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、ウレタン系、シリコーン系、シリコーン変性エポキシ他、オレフィン系、ポリエステル系、サンドイッチパネルとしたときに剛性を発現できるものではどのようなものでも良い。具体的には、加熱硬化の設備を必要としない、2液のエポキシ系接着剤、2液ウレタン系接着剤、2液のアクリル系接着剤が好適である。また、熱硬化樹脂に限らず、熱可塑性の材料で接着性を有する材料で結合しても良い。全体として、剛性を確保できる範囲で部分的に粘着テープを用いても良い。接着剤は1種類でも良いし、複数併用しても良い。
塗布方法としては、くし目ゴテなどのコテ類、ヘラ類、刷毛類、ロールコーターなどを使用して塗布する方法、或いは、ノズルを使用してビード状又は点状に塗布する方法、スプレー塗布する方法など公知の方法を用いることができる。本発明の接着剤の塗布量は、固形分100質量%換算で80〜1000g/m2 、更には130〜600g/m2 であることが好ましい。80g/m2より少ないと、ハニカムと表面板が十分な接着が得られず、1000g/m2を越えると、接着剤が多すぎて軽量化の効果が薄れてしまうからである。
第1芯材の接合
等方的な芯材である第1芯材4と表面板2および3とを接合する接合材6として接着剤を用いる場合には、−10℃〜40℃の範囲で、1Hzにおける接着剤硬化後の貯蔵弾性率E’が1×10Pa以上の接着剤を使うことが望ましい。1×10Pa未満の接着剤であると、積層体としての剛性が十分でないからである。接合材6としての接着剤の弾性率の上限は剛性を示す限り制限は無いが接着剤を用いる場合通常、6×10Pa以下である。6×10Paより高い貯蔵弾性率を示す接着剤は接合材6としては硬く脆いため不適である。前述の2液エポキシ系接着剤、2液アクリル系接着剤を用いる場合、−10℃〜40℃において、貯蔵弾性率E’が0.3×10〜4×10Paの範囲内であるものなどを用いることが好適である。
第2芯材の接合
異方的な芯材である第2芯材5と表面板2および3とを接合するため使う接合材6は、第1芯材4の接着に用いる接合材6と同等以下の貯蔵弾性率を示すものであれば良い。第1芯材4と第2芯材5とに対して同じ接着剤を用いても良いし、異なる接着剤を用いても良い。第1芯材4と第2芯材5とに対して異なる接合材6を用いる場合、第1芯材4には第2芯材5に用いる接合材6の弾性率よりも低い弾性率を示す接合材6を用いる必要がある。第2芯材5の上下面ともに、高い弾性率を示す接合材を用いる場合、第2芯材5の接合部分の剛性が第1芯材4の積層部の剛性を上回り、第2芯材5の材料の異方的な可撓性の特性が現れないことがあるためである。接合材の弾性率の下限は、接合可能なものであればどのようなものでも良いが、部分的に粘着テープを用いても良いので、材料の貯蔵弾性率としては−10℃〜40℃の範囲で1×104Pa以上のものが望ましい。また、第2芯材5の下側と上側に用いる接合材6として異なる材料を使用しても良い。
芯材の配置と長さ
第2芯材5の配置箇所の数は、1曲面に対して2箇所以上が望ましい。1箇所だけであると曲面構造の中で弱い箇所が一箇所だけになり、力が集中して折れ曲がりが発生しやすい状態になるからである。曲げに弱い部分を2箇所以上にすることで、折れ曲がりを防止することができる。第2芯材5の配置箇所の数は、コルゲートのピッチが小さければ何箇所でも増やすことが可能であるが、製造上の作業性が悪くなるため1mあたりに対する第2芯材5の配置箇所の数としては1〜30箇所が望ましい。異方的な材料である第2芯材5が配置されている面積のコア1全体に対する占積率は1%〜50%が望ましく、3%〜30%がより望ましい。50%を超えると、第2芯材5の占める比率が高くなりすぎて構造上望ましくないからである。
第2芯材5の幅すなわち可撓性を示す湾曲方向Aの寸法は、曲げたときに第2芯材が柔軟性を示す範囲の寸法であればよく、コルゲート構造の場合、ピッチの2倍以上が望ましい。ピッチは1mm〜10mmが望ましく、3〜6mmがより望ましい。幅は5mm〜300mmが望ましく、10〜100mmがより望ましい。
等方的な材料である第1芯材4と異方的な材料である第2芯材5との性質の関係は、異方的な材料のサンドイッチ部分が等方的な材料のサンドイッチ部分より剛性が弱い状態であれば良い。
この発明の曲面サンドイッチパネルは、様々な分野で曲面を有するサンドイッチパネルとして利用でき、特に、鉄道車両、建材、船舶、自動車等の車両、航空宇宙分野等の用途において用いられるのに適しており、さらには鉄道車両用の空調装置カバーあるいは駅ホームの防護柵などに適用できるものであるが、以下には、鉄道車両用の空調装置カバーに用いる場合の実施例を説明する。
実施例1
この発明の曲面サンドイッチパネルを車両空調装置のパネルとして製造するために、凸面の外側面となる第2の表面板3としてSUS304製で厚みが0.3mmで1750mm×1750の大きさに調整したものを準備した。また内側面となる第1の表面板2としてAl−5052−H38材で厚みが0.3mmで1750mm×1750mmの大きさに調整したものを準備した。
これらの表面板2および3の片面に、接合材6として塗布時における粘度が30000mPa・sで硬化後の−10℃〜40℃での貯蔵弾性率E’が2×109〜4×10Paの範囲である室温硬化型の2液エポキシ接着剤を混合後に200g/m塗布した。塗布後に接着剤をくし目ごてで全面に広げた。
接合材6である接着剤を塗布した面を上にして第1の表面板2を図5に示す支持台7と同様の凸の円筒面である湾曲面を有する積層化用台に載せ、第1芯材4および第2芯材5を図6に破線で示されているような配置形状にした。すなわち、積層化台の曲面に従って湾曲した第1の表面板2の上に一方の非湾曲方向Bの直線状の縁に沿って、図3に示すような高さHが6mm、六角形の1辺の長さAが6mm、アルミニウム厚さBが60ミクロンであるアルミハニカムである第1芯材4を450×1750mmの大きさにして敷き、その隣に図4に示すような厚みTが0.2mm、高さH6mm、ピッチPが10mmの円形波型のアルミニウムコルゲートである第2芯材5を200×1750mmの大きさにして敷いた。その隣に、同様に450×1750mmの大きさの第1芯材4と200×1750mmの大きさの第2芯材5とを敷き、最後に、再び450×1750mmの大きさの第1芯材4を他方の直線状の縁に沿って配置した。この後、ハニカムである第1芯材4とコルゲートである第2芯材5とが敷き詰められた上に第2の表面板3を接合材6が塗布された面を下にして乗せた。
その後、このようにして得られたコア1と表面板2および3との積層体を、2000mm×2000mmの樹脂製のフィルム(図示してない)で覆い、フィルムと図5に示す支持体7と同様の凸の湾曲面を持つ積層化用台とを両面テープで接着し、真空引きして−0.02MPaの圧力になるようにして全体を3時間真空引きにより加圧した後、樹脂製フィルムを取りはずした。その後、24時間室温で硬化させ、サンドイッチパネルを得た。
サンドイッチパネルの第2芯材5の表面に取付ネジ用の穴の開いたSUS304製の結合用部材8を2液アクリル系接着剤によって接着して図6に示すような曲面部材を完成させた。
実施例2
この実施例においては、コルゲート構造の第2芯材5が、図7に示すような厚みTが0.1mm、高さHが6mm、ピッチPが3mmの矩形波型のステンレス304製のコルゲートであること以外は実施例1で説明したものと同様である。サンドイッチパネルを得た後に、結合用部材8を2液アクリル系接着剤で接着し、図6に示すような曲面部材を得た。
実施例3
この実施例においては、空調機器カバーパネルの外側面となるように、完成した曲面サンドイッチパネルの凸の外表面を構成する第2の表面板3には実施例1および2と同様にSUS304で0厚さTが0.3mmで1750mm×1750mmの大きさのものを用い、カバーパネルの内表面を構成する第1の表面板2にはSUS304製で厚みが第2の表面板3よりも薄い0.1mmで1750mm×1750mmの大きさのものを用いた。
図8に示すように、パネルの外側面となる第2の表面板3の非湾曲方向Bの直線状の両側縁から500mmの位置で両側縁に平行に、第2の芯材5として、厚み0.1mm、高さ5.8mm、ピッチ3mmの矩型のステンレスコルゲートを、それぞれ30×1750mmの幅と長さで貼り付ける。この張り付けには、接合材6として基材が12μmのPETで、粘着剤がアクリル樹脂である0.2mmの厚さを有する構造用両面粘着テープを用いた。粘着テープである接合材6の粘着剤成分のせん断弾性率G’は−10℃〜40℃で、6×10Pa〜1.5×10Paである。その後、表面板3上の第2の芯材5が貼り付けられていない箇所に塗布時の粘度が30000mPa・sで硬化後の−10℃〜40℃での貯蔵弾性率E’が2×109〜4×10Paの範囲である室温硬化型の2液エポキシ接着剤を混合後に250g/m塗布し、くし目ごてでその全面に接着剤が広がるようにした。
次に、第2の芯材5が粘着テープである接合材6で貼り付けられ、それ以外の部分には接着剤が塗布されている図8の表面板3を、第2の芯材5を上にして図9に示す凹の円筒面である曲面を有する積層化用9に載せ、接着剤の塗布されている部分に、高さHが6mm、六角形の1辺の長さAが6mm、アルミニウム厚さBが60ミクロンであるアルミハニカムである第1の芯材4を図で下方に凸に湾曲させて載せた。アルミハニカムを敷いた後、接着剤が塗布されて外側面となる表面板2をその上側から載せた。
その後、真空引きによる全体の加圧、接着剤の硬化を経てサンドイッチパネルを得、その後に、結合用部材8を2液アクリル系接着剤で接着し、図6に示すような曲面部材を得た。
実施例4
図10に示す実施例においては、カバーパネルの外側の表面を構成する凸に湾曲した第2の表面板3としてSUS304で金属厚みが0.3mmで1750mm×1750mmの大きさに調整したものを準備した。またカバーパネルの内側の表面を構成する第1の表面板2としてSUS304で金属厚みが0.1mmで厚みが1750mm×1750mmの大きさに調整したものを準備した。
第1の表面板2には全体に、塗布時の粘度が30000mPa・sで硬化後の−10℃〜40℃での貯蔵弾性率E’が2×10〜4×109Paの範囲である、室温硬化型の2液エポキシ接着剤を混合したものを150g/m塗布し、くし目ごてで広げ全面に接着剤が広がるようにしておいた。
図10に示すように、第1の表面板2の両端から500mmの位置に、厚みTが0.1mm、高さHが6mm、ピッチPが3mmの矩型のステンレスコルゲートをそれぞれ30×1750mmになるようにして接着剤である接合材6によって貼り付けた。接合材6としての接着剤は、2液型のエポキシ変性シリコーン接着剤で、塗布時の粘度が17000mPa・s、硬化後の貯蔵弾性率E’が−10〜40℃の範囲で0.1×10〜0.02×10Pa範囲内であるものを用いた。この接合材6を表面板2のコルゲートを貼り付けていない箇所に塗布し、くし目ごてで広げ全面に接着剤が広がるようにした。その後、図11に示すような曲面を有する積層化用台10に載せ、接着剤の塗布されている箇所に、高さ6mm、六角形の1辺が6mm、アルミニウム厚さが200ミクロンであるアルミハニカムの第1芯材4を敷いた。第1芯材4を敷いた後、接着剤を塗布した第2の表面板3をその上側から載せ、真空引きによる全体の加圧、接着剤の硬化を経て、サンドイッチパネルを得た。結合用部材8を2液アクリル接着剤でサンドイッチパネルに接着することで図6の曲面部材を得た。
実施例5
実施例1における、2液エポキシ系接着剤の替わりに、2液型アクリル系接着剤を用いた。2液アクリル系接着剤の片方(A剤)には、接着剤のアクリルモノマーなどの主成分の他にクメンハイドロパーオキサイドが反応剤として含まれており、もう一方(B剤)には、接着剤のアクリルモノマーなどの主成分の他に、バナジルアセチルアセテートが反応剤として含有されているものを用いた。塗布時の2液アクリル系接着剤の粘度は25000mPa・sであり硬化後の貯蔵弾性率は、−10〜40℃の範囲で0.3×10〜2.5×10Pa内であるものを用いた。
コアを接着するための接着剤を2液エポキシ系の接着剤を上記の2液アクリル系の接着剤に変えた以外は、全て実施例1と同じ構成、方法で曲面パネルを作製した。サンドイッチパネルを得た後に、結合用部材8を2液アクリル系接着剤で接着し、図6に示すような曲面部材を得た。
実施例6
用いる接着剤が実施例5に記載の2液アクリル系接着剤を用いること以外は、実施例2と同じ構成でサンドイッチパネルを作製した。サンドイッチパネルを得た後に、結合用部材8を2液アクリル系接着剤で接着し、図6に示すような曲面部材を得た。
実施例7
実施例3に用いられている2液エポキシ系接着剤の替わりに、実施例5に記載の2液アクリル系接着剤を用いてサンドイッチパネルを作製した。サンドイッチパネルを得た後に、結合用部材8を2液アクリル系接着剤で接着し、図6に示すような曲面部材を得た。
本発明の曲面サンドイッチパネルと従来の曲面サンドイッチパネルとを、コア1と表面板2および3との間の接合材6の剥がれについて比較評価するために、従来技術による曲面サンドイッチパネルを比較例として作製した。
比較例1
先ず実施例1と同様に、曲面サンドイッチパネルの凸面の外側面となる第2の表面板3としてSUS304製で厚みが0.3mmで1750mm×1750の大きさに調整したものを準備した。また内側面となる第1の表面板2としてAl−5052−H38材で厚みが0.3mmで1750mm×1750mmの大きさに調整したものを準備した。
これらの表面板2および3の片面に、接合材6として塗布時における粘度が30000mPa・sで硬化後の−10℃〜40℃での貯蔵弾性率E’が2×109〜4×109Paである室温硬化型の2液エポキシ接着剤を250g/m塗布した。塗布後に接着剤をくし目ごてで全面に広げた。
接合材6としての接着剤を塗布した第2の表面板3を図9に示すような凹の曲面を有する積層化台9に載せ、その上にコアとして、図3に示すものと同様の、高さHが6mm、六角形セルの1辺の長さAが6mm、アルミニウムの厚さTが60ミクロンであるアルミハニカムを、1750×1750mmの大きさにして全面に敷いた。その後、第1の表面板2をコアの上に乗せた。
その後、実施例1と同様に真空引きにより加圧し、室温で24時間で硬化させ曲面サンドイッチパネルを得た。サンドイッチパネルを得た後に、結合用部材8を2液アクリル系接着剤で接着し、図6に示すような曲面部材を得た。
比較例2
上の比較例1と同様だが、コアとしてアルミハニカムに換えて、厚さTが0.2mm、高さHが6mm、ピッチPが10mmの円形波型のアルミニウムコルゲートを1750×1750mmの寸法として用いて曲面サンドイッチパネルを製造した。この曲面サンドイッチパネルは、このままでは、支持体に取り付けるにあたりたわみが大き過ぎるため、ステンレスの補強部材1750mm×1mmのL字補強材(幅長さ計60mm)を、5本、サンドイッチパネルの内側のアルミニウムの第1の表面板2に接着して、たわみを抑制した。この結果、重量が約4kg増加した。
比較例3
実施例1における、2液エポキシ系接着剤の替わりに、2液型アクリル系接着剤を用いた。2液アクリル系接着剤の片方(A剤)には、アクリルモノマーなどの主成分の他にクメンハイドロパーオキサイドが反応剤として含まれており、もう一方(B剤)には、アクリルモノマーなどの主成分の他に2-イミダゾリンチオンが反応剤として含有されているものを用いた。塗布時の2液アクリル系接着剤の粘度は25000mPa・sであり硬化後の貯蔵弾性率は、−10〜40℃の範囲で0.2×10〜2×10Pa内であるものを用いた。
2液エポキシ系の接着剤を上記の2液アクリル系の接着剤に変えた以外は、全て実施例1と同じ構成、方法で曲面サンドイッチパネルの作製を試みた。全体を3時間真空引きにより加圧した後、樹脂製フィルムを取りはずした。その後、24時間室温で硬化させたが。接着剤は部分的にしか固まっておらず、ハニカムが接着剥がれを起こす箇所が多く認められ、サンドイッチパネルを得ることができなかった。
比較例4
パネル外側の第2の表面板として、厚さ0.8mmでのステンレスSUS304板を1750mm×1750mmとしたものを用いてR曲げ加工を施した。これに、厚さ0.8mmのステンレス板を10×30×10mmのコの字状にした長さ1750mmの補強材を曲げ加工したものを5本、溶接で固定したSUS304製の結合用部材8を溶接で接合して曲面部材を製造した。
曲面パネルの評価
上述の実施例1〜7と、比較例1〜4で得られた曲面サンドイッチパネルを図5に示すような支持体7にねじで締結した後、締結を取り外し、コア1と表面板2および3との接合状態を確認した。その結果を次に示す。
試 料 重量(kg) コアと表面板の接合剥がれ 評 価
実施例1 17 剥がれ無し ○
実施例2 17 剥がれ無し ○
実施例3 17.5 剥がれ無し ○
実施例4 17.5 剥がれ無し ○
実施例5 17 剥がれ無し ○
実施例6 17 剥がれ無し ○
実施例7 17.5 剥がれ無し ○
比較例1 17 ハニカムの接着剥がれ有り ×
比較例2 21 剥がれ無し ×
比較例3 17 ハニカムの接着剥がれ多数 ×
比較例4 23 溶接構造のため剥がれ無し ×
本発明による実施例1〜7を用いることで、いずれの部材でも、コア1と表面板2および3とが安定して接合された曲面サンドイッチパネルが得られることを確認した。この部材は、車両空調装置のカバーとして寄与することができる。
以上のように、この発明の曲面サンドイッチパネルによれば、コルゲート構造体などの部分的に剛性が弱い可撓性のある補強材を積極的に入れることで、そりが生じたパネルを設計寸法に戻しながら支持台に固定しても、部分的に弱い補強材部分が微小変形しコアとスキンとの間が剥がれることを回避でき、曲面サンドイッチパネルの信頼性を高め、軽量化することができる。
また、この発明の曲面サンドイッチパネルにおいては、パネルに大きな力をかけなくても良いので、コアとスキン材との間の接着箇所でのクリープ負荷は小さくなり、信頼性が向上する。また、後付けの補強材をつけるときも、異方向的な材料(コルゲート)の部分のみ選択的に補強すれば良く、重量増加が抑制される。また、表と裏の表面板が異なっていて、熱応力が大きくなり、そりも大きくなる場合には、その効果は特に大きくなる。
以上に図示して説明した曲面サンドイッチパネルは単なる例であって様々な変形が可能であり、またそれぞれの具体例の特徴を全てあるいは選択的に組み合わせて用いることもできる。
この発明は曲面サンドイッチパネルとして利用できるものである。
1 コア、2 表面板(第1の表面板)、3 表面板(第2の表面板)、4 第1芯材、5 第2芯材、6 接合材、7 支持体、8 結合用部材、9 積層化用台、10 積層化用台。

Claims (6)

  1. 所定の一次曲面に沿って湾曲した板状のコアと、
    上記一次曲面に沿って湾曲して上記コアの両主面に接合された表面板とを備えた曲面サンドイッチパネルにおいて、
    上記コアが、上記コアの面内で上記コアの湾曲方向に並べて配置され、上記湾曲方向に実質的に剛体である少なくとも2つの第1芯材と、上記コアの面内で上記第1芯材の間に配置され、上記コアの上記湾曲方向に可撓性である第2芯材とを備えていることを特徴とする曲面サンドイッチパネル。
  2. 上記第2芯材がコルゲート構造を持つことを特徴とする請求項1に記載の曲面サンドイッチパネル。
  3. コルゲートが矩形であることを特徴とする請求項1に記載の曲面サンドイッチパネル。
  4. コルゲートが波形であることを特徴とする請求項1に記載の曲面サンドイッチパネル。
  5. 上記第1芯材がハニカム構造を持つことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の曲面サンドイッチパネル。
  6. 上記第1芯材および上記第2芯材が上記表面板に対して異なる接合材によって接合されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の曲面サンドイッチパネル。
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