JP2011217634A - 植物バイオマスの処理方法、植物バイオマスからの糖の製造方法、植物バイオマスからのアルコール及び/又は有機酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】植物バイオマスからの糖の製造に際し、低コストで、且つ優れた糖化効率を達成する。
【解決手段】糖化工程に先立って実施される前処理工程の前に、植物バイオマスを浸漬させた時のpHが、当該植物バイオマスを水に浸漬させた時のpHと同程度となるアルカリ水溶液に植物バイオマスを浸漬する。
【選択図】図1
【解決手段】糖化工程に先立って実施される前処理工程の前に、植物バイオマスを浸漬させた時のpHが、当該植物バイオマスを水に浸漬させた時のpHと同程度となるアルカリ水溶液に植物バイオマスを浸漬する。
【選択図】図1
Description
本発明は、植物バイオマスを利用した糖、アルコール及び/又は有機酸を製造する際に適用される植物バイオマスの処理方法及び、当該処理方法を含む植物バイオマスからの糖の製造方法、アルコール及び/又は有機酸の製造方法に関する。
近年、石油の大量消費による二酸化炭素等の地球温暖化物質の放出が問題になっている。その石油の代替として、廃木材等の廃棄バイオマスが化学原料資源として注目されている。
例えば、木材の主構成成分の1つであるセルロースは、グルコース分子を構成単位としている。このセルロースを加水分解することでグルコース等の糖類を得ることができる。得られた糖類を原料として、各種の触媒を用いて反応を行うことで、石油化学工業で製造している高分子原料を調製することができる。また、得られた糖類を用いて発酵を行うことによりエタノール等のアルコール類や有機酸を製造することができる。
植物バイオマスからの糖の製造に際し、植物バイオマスの前処理方法としては、例えば、加圧熱水で処理する熱水処理工程と機械的粉砕処理工程とを含む方法が知られている(特許文献1)。また、特許文献2には、植物バイオマスの前処理方法として、バイオマスを、水、水溶性有機溶剤及び有機酸を含む薬液に浸漬させ、植物バイオマスを蒸煮させる蒸煮工程を含む方法が開示されている。さらに、特許文献3には、植物バイオマスの前処理方法として強アルカリ溶液に植物バイオマスを浸漬することで、リグニン成分を溶解する技術が開示されている。
しかしながら、上述したような前処理を行ったとしても優れた糖化効率を達成することが困難である、又は強アルカリ溶液を使用するためコスト高となってしまうといった問題があった。
上述のように、従来においては、植物バイオマスからの糖の製造に際し、植物バイオマスの前処理方法として様々な方法が検討されているものの、低コストで、且つ糖化効率に優れた植物バイオマスの処理方法は知られていなかった。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、植物バイオマスからの糖の製造に際し、低コストで、且つ優れた糖化効率を達成することができる植物バイオマスの処理方法、並びに当該処理方法を含む植物バイオマスからの糖の製造方法、及び当該処理方法を含む植物バイオマスからのアルコール及び/又は有機酸の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、糖化工程に先立って実施される前処理工程の前に、植物バイオマスを希アルカリ溶液で処理することで、前処理工程の後に実施される糖化処理における糖化効率が格段に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る植物バイオマスの処理方法は、以下を包含する。糖化工程に先立って実施される前処理工程の前に実施される処理方法であって、植物バイオマスを浸漬させた時のpHが、当該植物バイオマスを水に浸漬させた時のpHと同程度となるアルカリ水溶液に植物バイオマスを浸漬する工程を含むものである。
また、本発明に係る植物バイオマスの処理方法において上記アルカリ溶液は、植物バイオマスを浸漬させた時のpHが、当該植物バイオマスを水に浸漬させた時のpHから+2.5以内の範囲であるアルカリ濃度であることが好ましい。
さらに、本発明に係る植物バイオマスの処理方法において上記アルカリ溶液は5.0mM以下のアルカリ濃度であることが好ましい。
一方、本発明に係る植物バイオマスの処理方法は、上記アルカリ溶液に植物バイオマスを浸漬する工程の後に酸、例えば硫酸を添加することでより低いpHに調整してもよい。すなわち、上記アルカリ溶液に植物バイオマスを浸漬する工程の後に酸、例えば硫酸を添加することでより低いpHに調整し、その後に上記前処理工程に供することが好ましい。
また、本発明に係る植物バイオマスの処理方法は、上記アルカリ溶液に植物バイオマスを浸漬する工程の後、固液分離処理によって植物バイオマスからなる固体成分を分離する工程を含んでいてもよい。すなわち、上記アルカリ溶液に植物バイオマスを浸漬する工程の後、固液分離処理によって植物バイオマスをからなる固体成分を分離し、当該固体成分を上記前処理工程に供してもよい。
ところで、上述した本発明に係る植物バイオマスの処理方法は、植物バイオマスからの糖の製造方法及び植物バイオマスからのアルコールの製造方法に適用することができる。すなわち、本発明に係る植物バイオマスからの糖の製造方法は、上述した植物バイオマスの処理方法の後、処理後の植物バイオマスに対して前処理を施す工程と、前処理後の植物バイオマスを糖化する工程とを含むものである。また、本発明に係る植物バイオマスからのアルコールの製造方法は、上述した植物バイオマスの処理方法の後、処理後の植物バイオマスに対して前処理を施す工程と、前処理後の植物バイオマスを糖化する工程と、植物バイオマス由来の糖を利用してアルコールを合成する工程とを含むものである。
ここで、前処理工程としては、植物バイオマスに含まれるリグニン成分を除去する処理及び/又はヘミセルロース成分を部分分解する処理を挙げることができる。前処理工程としては、具体的に、水熱処理、蒸煮爆砕処理、希硫酸処理、蒸煮処理、マイクロ波処理等を挙げることができる。また、糖化する工程では、植物バイオマスに含まれる多糖類を加水分解する酵素を利用する方法を適用することができる。当該酵素としては例えば、セルラーゼが挙げられる。さらに、アルコール及び/又は有機酸を合成する工程では、糖化処理によって得られた糖を基質としたエタノール発酵を利用する方法を適用することができる。このとき、一例として酵母を利用することができる。
本発明に係る植物バイオマスの処理方法によれば、植物バイオマスに含まれる多糖類を糖化する処理における糖化効率を低コストで向上させることができる。すなわち、本発明に係る植物バイオマスの処理方法を適用することで、植物バイオマスに含まれる多糖類を有効に利用して糖を製造することができ、また糖を利用したアルコールを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る植物バイオマスの処理方法は、糖化工程に先立って実施される前処理工程の前に実施される。本処理方法では、植物バイオマスを希アルカリ溶液に浸漬する工程を経ることで、前処理工程の後に実施される糖化工程における糖化効率を著しく向上させることができる。
本発明に係る植物バイオマスの処理方法は、糖化工程に先立って実施される前処理工程の前に実施される。本処理方法では、植物バイオマスを希アルカリ溶液に浸漬する工程を経ることで、前処理工程の後に実施される糖化工程における糖化効率を著しく向上させることができる。
本浸漬工程に使用する希アルカリ溶液とは、植物バイオマスを浸漬させた時のpHが、当該植物バイオマスを水に浸漬させた時のpHと同程度となるアルカリ濃度の溶液を意味する。植物バイオマスには無機酸や油性成分が含まれているため、植物バイオマスを水に浸漬すると水溶液が酸性(pHが7未満)となる。例えば、pH7.0の水に植物バイオマスを浸漬させてpHの低下が平衡状態となったときに大凡pH3.0〜6.0程度を示すこととなる。なお、このときのpHの低下度合いは、植物の種類に応じて異なる。
また、植物バイオマスを希アルカリ溶液に浸漬すると、植物バイオマスから溶出した無機酸や油脂成分が中和されるが、この中和反応の進行に伴ってより多くの無機酸や油脂成分が溶出することとなり、また、植物バイオマスからは緩衝作用を示す無機酸が溶出されるため、植物バイオマスを水に浸漬したときのpHとほぼ同程度のpHを示すこととなる。換言すると、低濃度のアルカリ溶液であれば、植物バイオマスを浸漬しても、当該植物バイオマスから溶出した無機酸や油脂成分が中和されることなく、また、植物バイオマスから溶出した無機酸による緩衝作用によって、当該植物バイオマスを水に浸漬したときと同程度のpHを示すこととなる。
ここで、同程度のpHとは、植物バイオマスを水に浸漬したときのpHから+2.5の範囲、好ましくは+2.0の範囲、より好ましくは+1.5の範囲、更に好ましくは+1.0の範囲を意味する。また、植物バイオマスを浸漬したときのpHが上記範囲となるような希アルカリ溶液とは、より具体的には5mM以下、好ましくは3mM以下、より好ましくは1mM以下、更に好ましくは0.5mM以下のアルカリ水溶液を挙げることができる。pHが上記範囲を超える希アルカリ溶液を使用した場合には、希アルカリ溶液に代えて水に植物バイオマスを浸漬した場合と比較して糖化効率が向上しない虞がある。また、希アルカリ溶液としては、例えば0.05mM以上、好ましくは0.1mM以上、より好ましくは0.2mM以上のアルカリ水溶液を挙げることができる。pHが上記範囲を下回る希アルカリ溶液を使用した場合には、希アルカリ溶液に代えて水に植物バイオマスを浸漬した場合と同等の糖化効率しか達成し得ない虞がある。
なお、使用する希アルカリ溶液におけるアルカリ濃度は、処理対象の植物バイオマスに応じて適宜設定することが好ましい。例えば、水に浸漬したときのpHが比較的に高い値を示すような植物バイオマスを処理対象とする場合、使用する希アルカリ溶液のアルカリ濃度は、比較的に低濃度(例えば0.5mM、好ましくは0.2mM)とすることが好ましい。逆に、水に浸漬したときのpHが比較的に低い値を示すような植物バイオマスを処理対象とする場合、使用する希アルカリ溶液のアルカリ濃度は、比較的に高濃度(例えば1.0mM以上)とすることが好ましい。
また、希アルカリ溶液としては、特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カルシウム溶液、アンモニア溶液、水酸化カリウム溶液等を使用することができる。
ここで、植物バイオマスとしては、例えばリグニン、セルロース、リグノセルロースやヘミセルロースを主成分とするバイオマスが挙げられる。より具体的に植物バイオマスとしては、例えば木質・草本系材料を挙げることができる。本発明に係る植物バイオマスの処理方法においては、植物バイオマスとして何ら限定されず使用することができる。さらに具体的に、植物バイオマスとしては、ユーカリ、バガス、アカシア、稲ワラ、スギ、ムギワラ、竹等の植物体、これら植物体から作製されたパルプ、合板材料、建築資材及びこれらの廃棄物(例えば古紙)が挙げられる。なお、本発明に係る植物バイオマス処理方法では、予め植物バイオマスを振動ミルやカッターミル等を用いた粉砕処理に供した粉砕品を植物バイオマスとして使用することができる。また、粉砕後、粉砕品を適宜、篩(例えば150μm〜4mmの目開きメッシュ)に供し、通過した粉砕品を植物バイオマスとして使用してもよい。よって、本発明に係る植物バイオマスの処理方法は、当該粉砕処理工程を含むものであってもよい。
本浸漬工程では、上記希アルカリ溶液に植物バイオマスを浸漬させた状態で静置しても良いし、上記希アルカリ溶液に植物バイオマスを浸漬させた状態で撹拌しても良い。また、希アルカリ溶液に対する植物バイオマスの仕込量は、特に限定されないが、重量比で例えば1〜30重量%とすることができ、1〜15重量%とすることが好ましく、5〜10重量%とすることがより好ましい。希アルカリ溶液に対する植物バイオマスの仕込量を上記範囲とすることで、仕込まれた植物バイオマスの全体に亘って均一に希アルカリ溶液を浸漬させることができ、最終的に優れた糖化効率を達成することができる。
また、本浸漬工程では、希アルカリ溶液に植物バイオマスを投入した状態で常温常圧の条件下で処理しても良いし、所望の温度まで加熱しても良いし、所望の圧力まで加圧しても良い。また、浸漬工程の処理時間は、植物バイオマスの種類、希アルカリ溶液に投入された植物バイオマスの形状や乾燥状態などに応じて適宜設定することができるが、例えば0〜6時間とすることができ、0〜3時間とすることが好ましく、0〜1時間とすることがより好ましい。浸漬工程の処理時間を上記範囲とすることによって、植物バイオマスの全体に亘って十分に希アルカリ溶液を作用させることができ、最終的に優れた糖化効率を達成することができる。
以上のように本発明に係る植物バイオマスの処理方法においては、植物バイオマスを希アルカリ溶液に浸漬させる。処理後の植物バイオマスは、糖化処理工程に先立って実施される前処理工程に供される。前処理工程とは、植物バイオマスに含まれるリグニン成分を除去する処理及び/又はヘミセルロース成分を部分分解する処理を挙げることができる。ここで、植物バイオマスに含まれるリグニン成分を除去する処理とは、リグニン成分の除去を目的とした処理であればよく、リグニン成分の全量を除去する必要はなく、リグニン成分の一部を除去或いは分解する処理であればよい。また、ヘミセルロース成分を部分分解する処理とは、ヘミセルロースの部分分解を目的とした処理であれば良く、ヘミセルロースの全量を部分分解する必要はなく、ヘミセルロースの一部を部分分解する処理であればよい。
具体的に、前処理工程としては、水熱処理、蒸煮爆砕処理、希硫酸処理、蒸煮処理、マイクロ波処理等を挙げることができる。
水熱処理とは、加圧条件下で高温の水溶液を植物バイオマスに作用させる処理である。処理条件としては、例えば温度140〜240℃及び圧力0.1〜4MPa、さらに好ましくは温度140〜180℃及び圧力0.5〜1MPaが挙げられる。処理時間は、リグニンとセルロース及びヘミセルロースとの交絡が解れ、繊維状になるのに十分な時間であればよく、例えば0.5〜3時間である。また、水熱処理においては、無機酸と水溶性有機溶媒とを含む溶液中で実施しても良い。
蒸煮爆砕処理とは、所定の大きさまで粉砕された植物バイオマスを、水、水溶性有機溶剤及び有機酸を含む薬液に浸漬させ蒸煮させる工程である。水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、グリセリン、エチレングリコール等の多価アルコール類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶剤等の水よりも比熱の低い水溶性有機溶剤が使用される。有機酸としては、酢酸、シュウ酸、蟻酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸等が使用される。粉砕された植物バイオマスを薬液に浸漬させるときの温度は、160〜220℃程度とされる。蒸煮は、耐圧容器内で行うことが好ましい。このときの耐圧容器内は、蒸気で飽和させることが好ましく、圧力が飽和蒸気圧の1〜5倍であることがより好ましい。
具体的には、耐圧容器内の圧力が、0.1〜5MPaであることが好ましい。
具体的には、耐圧容器内の圧力が、0.1〜5MPaであることが好ましい。
希硫酸処理とは、植物バイオマスを希硫酸中に浸漬する工程である。希硫酸の濃度は、例えば0.2〜2%とすることができる。また、希硫酸処理においては、希硫酸に植物バイオマスを浸漬した状態で、例えば140〜220℃とすることが好ましい。また、希硫酸処理は、上記温度とした状態で3〜20分間行うことが好ましい。
蒸煮処理とは、植物バイオマスに高温スチームを当て、高温高圧下にて蒸す工程である。蒸煮処理の処理温度としては、140〜220℃とすることが好ましい。蒸煮処理の処理時間としては3〜20分とすることが好ましい。
マイクロ波処理とは、粉砕した又はそのままの植物バイオマスに対して所定のマイクロ波を照射し、急速に加熱する工程である。マイクロ波処理の処理温度としては、140〜300℃とすることが好ましい。マイクロ波処理の処理時間としては1〜10分とすることが好ましい。
特に、前処理として上記水熱処理を行う場合、上述した希アルカリ溶液への浸漬工程の後、植物バイオマスを浸漬した溶液をそのまま水熱処理に供しても良い。しかし、上述した希アルカリ溶液への浸漬工程の後、植物バイオマスを浸漬した溶液に希硫酸を添加した後に水熱処理に供することが好ましい。上記浸漬工程の後に硫酸を所定の濃度となるように添加して水熱処理を実施することで、糖化処理工程における糖化効率が、硫酸を添加しないで水熱処理をした場合と比較してより向上することとなる。ここで、水熱処理に供する溶液に含まれる硫酸の濃度は、特に限定されないが、例えば0.001〜3重量%とすることができ、0.001〜0.3重量%とすることが好ましく、0.001〜0.03重量%とすることがより好ましい。なお、水熱処理に供する溶液に含まれる希硫酸の濃度は、植物バイオマスの種類、溶液中の植物バイオマス量、溶液中の初期pH(上記浸漬処理後の溶液pH)等によって適宜設定することができる。
また、前処理として上記水熱処理を行う場合、水熱処理に供する溶液における植物バイオマスの含有割合は、例えば5〜40重量%、好ましくは20〜40重量%、特に好ましくは30〜40重量%である。
一方、水熱処理等の前処理に際しては、上記浸漬工程の後、固液分離処理によって植物バイオマスをからなる固体成分を分離し、当該個体成分を上記前処理工程に供してもよい。固液分離処理としては、特に限定されないが、ろ過装置による固液分離処理、圧搾装置による固液分離処理、遠心装置による固液分離処理等を挙げることができる。
固液分離処理を行うことで、植物バイオマスから溶出した無機酸や油脂成分を水熱処理等の前処理に持ち込むことを防止することができる。植物バイオマスの種類によっては、リン酸等の緩衝作用を示す酸成分が溶出して、希アルカリ溶液のpHが十分に低下しない場合がある。したがって、このような植物バイオマスを用いて上記浸漬工程を実施し、その後、そのままの溶液を水熱処理に供すると、水熱処理による脱リグニン効果やヘミセルロース部分分解効率が低下する虞がある。また、上述したように、水熱処理に供する前に硫酸を添加する場合、リン酸等による緩衝作用により所望のpHまで低下できない虞もある。
そこで、リン酸等の緩衝作用を示す酸成分が溶出するような場合(例えば、浸漬処理後の溶液pHが5.0以上であるような場合)には、固液分離処理によって植物バイオマスの固体成分を分離することで、水熱処理による脱リグニン効果やヘミセルロース部分分解効率することができる。また、上述したように、水熱処理に供する前に硫酸を添加する場合、硫酸転換により所望のpHを達成することができる。
以上のように前処理を実施した後、得られた処理物は、糖化処理に使用する原料として使用することができる。糖化処理によれば、植物バイオマスに含まれるセルロース成分、ヘミセルロース成分(部分分解物も含む)からオリゴ糖や単糖(グルコースやキシロース)といった糖を製造することができる。また、得られた糖成分は、酵母等の微生物を用いた発酵によりエタノール等のアルコールやその他有機酸に変換することができる。有機酸としては、例えば乳酸、酢酸、コハク酸を挙げることができる。アルコールとしては、例えばエタノール、ブタノールを挙げることができる。また、ブタノール発酵においてはアセトンもまた得ることができる。したがって、得られた糖成分は、例えば乳酸、酢酸、コハク酸、エタノール、ブタノール及びアセトンを目的とした製造方法に利用することができる。
ここで、酵素としては、例えばセルラーゼ、へミセルラーゼ(キシラナーゼ、キシロビアーゼ)、マンナナーゼ等が挙げられる。例えば、酵素としてセルラーゼを用いることで、グルコース(糖)を得ることができる。また、酵素としてヘミセルラーゼを用いることで、キシロース(糖)を得ることができる。さらに、酵素としてマンナナーゼを用いることで、マンノース(糖)を得ることができる。これら酵素は、当該酵素を生産する微生物それ自体、当該微生物の培養液又は培養上清、固定化酵素等を酵素として使用することができる。また、例えばセルラーゼを使用する場合には、水熱処理物1gに対して、例えば4〜40FPU(Filter Paper Unit)のセルラーゼを使用する。
糖化工程は、例えばセルラーゼを使用する場合には、緩衝液(例えば、酢酸ナトリウム緩衝液(pH5))を加えたセルラーゼと水熱処理物とを含む反応物を用いて、例えば温度35〜45℃、好ましくは38〜42℃で12〜48時間反応に供することにより行われる。なお、当該反応は、振盪下において行ってもよい。得られた処理物(以下、「糖化処理物」という)は、そのまま糖として使用してもよいし、また精製や抽出処理に供し、精製又は抽出したものを糖として使用してもよい。
得られる糖としては、例えばグルコース、キシロース、マンノース、ガラクトース等が挙げられる。
糖化処理により有意に糖化が行われたか否かは、HPLC等によって糖量を定量し、あるいは以下の式:
また、得られた糖からアルコールを製造する工程では、従来公知の酵母を特に限定されることなく使用することができる。ここで使用する酵母としては、エタノール発酵を行うことができる酵母を使用することができる。当該酵母としては、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロミセス属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、ピキア(Pichia)属、カンジダ(Candida)属等に属する酵母が挙げられる。
酵母の培養に使用する基礎培地は、一般に、所定の濃度でyeast extract、グルコース、KH2PO4、MgSO4・7H2O、NaCl、CaCl2、(NH4)2SO4、H3BO4、CuSO4・5H2O、KI、FeCl3・6H2O、MnSO4・5H2O、ZnSO4・7H2O及びNa2MoO4・2H2Oを含む。発酵工程においては、糖化処理物と上述の培地組成を含む培地において酵母を培養する。培養条件としては、エタノール発酵が十分に行われ、且つ酵母が生育する条件であればよく、例えば温度25〜45℃(好ましくは30〜37℃)、pH3.0〜7.0(好ましくはpH4.0〜6.0)で12〜72時間(好ましくは24〜48時間)が挙げられる。なお、当該培養は、振盪培養であってもよい。得られた処理物(以下、「発酵処理物」という)は、そのままエタノールとして使用してもよいし、また精製や抽出処理に供し、精製又は抽出したものをエタノールとして使用してもよい。
発酵により有意にエタノールが得られたか否かは、HPLC等によってエタノール量を定量し、あるいは以下の式:
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例においては、植物バイオマスからの糖の製造を、グルコースを指標とした糖化率により評価した。
〔実施例1〕
植物バイオマスからの糖の製造
植物バイオマス(以下、「BM」という)としてユーカリ粉砕品(25g)(振動ミル粉砕150μmメッシュ通過品)をビーカーに採取した。次いで、反応溶液(475g)を加えて、総重量が500gになるように調整した。本実施例において、反応溶液としては、水、0.2mMアルカリ溶液、1mMアルカリ溶液、5mMアルカリ溶液、10mMアルカリ溶液、25mMアルカリ溶液、50mMアルカリ溶液、100mMアルカリ溶液及び500mMアルカリ溶液を準備して使用した。なお、本実施例では、上記各種濃度のアルカリ溶液として水酸化ナトリウム溶液を使用した。
植物バイオマスからの糖の製造
植物バイオマス(以下、「BM」という)としてユーカリ粉砕品(25g)(振動ミル粉砕150μmメッシュ通過品)をビーカーに採取した。次いで、反応溶液(475g)を加えて、総重量が500gになるように調整した。本実施例において、反応溶液としては、水、0.2mMアルカリ溶液、1mMアルカリ溶液、5mMアルカリ溶液、10mMアルカリ溶液、25mMアルカリ溶液、50mMアルカリ溶液、100mMアルカリ溶液及び500mMアルカリ溶液を準備して使用した。なお、本実施例では、上記各種濃度のアルカリ溶液として水酸化ナトリウム溶液を使用した。
次に、ユーカリ粉砕品を各反応溶液に浸漬させた(浸漬工程)。本実施例では、ユーカリ粉砕品から溶出する酸と反応溶液のアルカリとの中和反応が平衡に至る十分な時間を反応時間とした。具体的に反応時間を6〜12時間とし、反応温度を室温(20℃)とした。浸漬工程の終了時のpHを測定した。
次に、当該反応溶液を高温高圧容器(SUS製、1L)に入れ、撹拌しながら180℃まで加熱し(約30分で昇温)、圧力約1MPa(飽和水蒸気圧)下で15分間維持した(水熱処理)。水熱処理後、直ちに混合物を室温まで水冷した。水冷後、混合物のpHを測定した。
次に、得られた水熱処理後の固液混合物(20g)をファルコンチューブに採取し、乾物重量で1gのBMに対してセルラーゼ(CBH、EG)(NS50013、ノボザイム製)を1ml及びセルラーゼ(BGL)(NS50010、ノボザイム製)を0.2ml加えた。これらセルラーゼの合計のユニットは、40FPUであった。
さらに、緩衝液として酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を使用し、上記混合物に最終濃度が50mMになるように添加した。
当該混合物を振盪機内で、1分間に120回転の速度で振盪しながら45℃で48時間反応させた。
次いで、反応後の混合物中のグルコース量をHPLCにて定量し、糖化率を算出した。糖化率(%)は、式:
算出した糖化率を、上述した浸漬工程で使用した各種濃度のアルカリ溶液毎に図1に示した。なお、図1中、糖化率を示す棒グラフに、浸漬工程後の溶液pH(上段)及び水熱処理後の溶液pH(下段)を併せて示した。また、図1中、浸漬工程で水を使用した際の糖化率(58%)を実線として示した。
本実施例の結果から、ユーカリ粉砕品を水に浸漬したときのpHは3.3であり、0.2mM、1mM及び5mMのアルカリ溶液にユーカリ粉砕品を浸漬したときのpHはそれぞれ3.2、3.4及び5.8であった。すなわち、上述した各種濃度のアルカリ溶液のうち、0.2mM、1mM及び5mMのアルカリ溶液は、ユーカリ粉砕品を浸漬させた時のpH(浸漬処理後のpH)が、当該ユーカリ粉砕品を水に浸漬させた時のpHと同程度となっていた。
また、本実施例の結果から、0.2mM、1mM及び5mMのアルカリ溶液を用いた場合、浸漬工程で水を使用した場合の糖化率と同等以上の糖化率を示した。特に、0.2mM及び1mMのアルカリ溶液を浸漬工程に使用した場合、浸漬工程で水を使用した場合の糖化率と比較して約25%以上の糖化率を達成することができた。
〔実施例2〕
本実施例では、実施例1において1mMのアルカリ溶液を使用して浸漬工程を実施した後、硫酸を0.003%となるように添加し、その後、実施例1と同様に水熱処理及び糖化処理を行った。その結果を図2に示した。なお、図2には、実施例1で0.2mM及び1mMのアルカリ溶液を使用した場合の糖化率も併せて示した。図1中、浸漬工程で水を使用した際の糖化率(58%)を実線として示した。
本実施例では、実施例1において1mMのアルカリ溶液を使用して浸漬工程を実施した後、硫酸を0.003%となるように添加し、その後、実施例1と同様に水熱処理及び糖化処理を行った。その結果を図2に示した。なお、図2には、実施例1で0.2mM及び1mMのアルカリ溶液を使用した場合の糖化率も併せて示した。図1中、浸漬工程で水を使用した際の糖化率(58%)を実線として示した。
図2から判るように、より低いpHで水熱処理を実施した場合には、約98%の糖化率(浸漬工程で水を使用した場合と比較すると約40%の透過率向上)を達成できることが明らかとなった。
〔実施例3〕
本実施例では、原料としてアカシアを使用し、0.2mMのアルカリ溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、浸漬工程、水熱処理及び糖化処理を行った。結果を図3に示す。なお、図3には、浸漬工程において水を使用した場合の糖化率を併せて示した。
本実施例では、原料としてアカシアを使用し、0.2mMのアルカリ溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、浸漬工程、水熱処理及び糖化処理を行った。結果を図3に示す。なお、図3には、浸漬工程において水を使用した場合の糖化率を併せて示した。
図3に示すように、原料としてアカシアを使用した場合にも、0.2mMのアルカリ溶液を用いた浸漬処理によって、水を使用した場合よりも糖化率の向上が認められた。しかし、透過率の向上効果はユーカリを用いたときほど大きいとは評価できなかった。
〔実施例4〕
本実施例では、0.2mMのアルカリ溶液を使用して浸漬工程を実施した後、硫酸を0.1%となるように添加し、その後、実施例3と同様に水熱処理及び糖化処理を行った。その結果を図4に示した。
本実施例では、0.2mMのアルカリ溶液を使用して浸漬工程を実施した後、硫酸を0.1%となるように添加し、その後、実施例3と同様に水熱処理及び糖化処理を行った。その結果を図4に示した。
図4から判るように、硫酸を添加してより低いpHで水熱処理を実施することで、あまり大きな糖化率向上効果を達成できなかった(実施例3)アカシアについても、非常に優れた糖化率を達成できることが明らかとなった。本実施例から、水に浸漬したときのpHが5.0以上となる植物バイオマスについては、浸漬処理の後、より酸性側のpHとなるように酸を添加し、その後、水熱処理を実施することでより優れた糖化率を達成できることが明らかとなった。
〔実施例5〕
本実施例では、0.2mMのアルカリ溶液を使用して浸漬工程を実施した後、固液分離操作によって固体成分を分離し、その後、固体成分を溶液(組成:水)に混合して水熱処理を行った以外は実施例3と同様にして糖化処理を行った。また、本実施例では、浸漬工程を実施した後、硫酸を0.1%となるように添加した場合と硫酸添加をしなかった場合で水熱処理を実施した。
本実施例では、0.2mMのアルカリ溶液を使用して浸漬工程を実施した後、固液分離操作によって固体成分を分離し、その後、固体成分を溶液(組成:水)に混合して水熱処理を行った以外は実施例3と同様にして糖化処理を行った。また、本実施例では、浸漬工程を実施した後、硫酸を0.1%となるように添加した場合と硫酸添加をしなかった場合で水熱処理を実施した。
その結果を図5に示した。図5から判るように、水熱処理における硫酸添加の有無に拘わらず、固液分離処理することによってより優れた糖化率を達成できることが明らかとなった。本実施例から、水に浸漬したときのpHが5.0以上となる植物バイオマスについては、浸漬処理により溶出した成分を除去してから、水熱処理を実施することでより優れた糖化率を達成できることが明らかとなった。
なお、比較のため、アカシアに代えてユーカリを原料とした場合の結果を図6に示した。図6に示した結果は、実施例2において1mMのアルカリ溶液を使用して浸漬工程を実施した後に固液分離を行い、その後、固体成分を0.003%の硫酸を含む溶液(組成:0.003%硫酸水溶液)に混合して水熱処理を行った以外は実施例2と同様にして糖化処理を行った結果である。
図6に示すように、ユーカリを原料とした場合には、浸漬工程で溶出した成分を持ち込んで水熱処理を実施したほうがより優れた糖化率を達成できることが明らかとなった。この結果から、浸漬工程の後の固液分離処理による糖化率向上効果は、植物バイオマスの種類によって異なることが明らかとなった。
〔実施例6〕
本実施例では、ユーカリに代えてバガスを使用し、0.4mMのアルカリ溶液を使用した以外は実施例1と同様に、浸漬工程の後に水熱処理及び糖化処理を行った。浸漬工程において水を使用したときの糖化率と比較した結果を図7に示した。図7から判るように、バガスを水に浸漬したときのpHは3.6であり、0.4mMのアルカリ溶液にバガスを浸漬したときのpHはそれぞれ3.6であった。すなわち、0.4mMのアルカリ溶液は、バガスを浸漬させた時のpH(浸漬処理後のpH)が、当該バガスを水に浸漬させた時のpHと同程度となっていた。また、本実施例の結果から、0.4mMのアルカリ溶液を用いた場合、浸漬工程で水を使用した場合の糖化率と比較して約15%以上の糖化率を達成することができた。
本実施例では、ユーカリに代えてバガスを使用し、0.4mMのアルカリ溶液を使用した以外は実施例1と同様に、浸漬工程の後に水熱処理及び糖化処理を行った。浸漬工程において水を使用したときの糖化率と比較した結果を図7に示した。図7から判るように、バガスを水に浸漬したときのpHは3.6であり、0.4mMのアルカリ溶液にバガスを浸漬したときのpHはそれぞれ3.6であった。すなわち、0.4mMのアルカリ溶液は、バガスを浸漬させた時のpH(浸漬処理後のpH)が、当該バガスを水に浸漬させた時のpHと同程度となっていた。また、本実施例の結果から、0.4mMのアルカリ溶液を用いた場合、浸漬工程で水を使用した場合の糖化率と比較して約15%以上の糖化率を達成することができた。
〔実施例7〕
本実施例では、アルカリ溶液として水酸化カルシウム溶液及びアンモニア溶液を使用して浸漬工程を実施した。具体的には、0.4mM及び1mMの水酸化カルシウム溶液と、0.4mM及び1mMのアンモニア溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして浸漬工程、水熱処理及び糖化処理を行った。
本実施例では、アルカリ溶液として水酸化カルシウム溶液及びアンモニア溶液を使用して浸漬工程を実施した。具体的には、0.4mM及び1mMの水酸化カルシウム溶液と、0.4mM及び1mMのアンモニア溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして浸漬工程、水熱処理及び糖化処理を行った。
0.4mMの水酸化カルシウム溶液を用いた浸漬工程の後、溶液のpHを測定したところ3.2〜3.4であった。1mMの水酸化カルシウム溶液を用いた浸漬工程の後、溶液のpHを測定したところ3.6〜3.7であった。0.4mMのアンモニア溶液を用いた浸漬工程の後、溶液のpHを測定したところ3.2〜3.4であった。1mMのアンモニア溶液を用いた浸漬工程の後、溶液のpHを測定したところ3.2〜3.4であった。なお、アルカリ溶液に代えて水を用いた浸漬工程の後、溶液のpHを測定したところ3.0〜3.4であった。これらの結果から、0.4mM及び1mMの水酸化カルシウム溶液と、0.4mM及び1mMのアンモニア溶液を使用して浸漬工程を行うと、水を使用して浸漬工程を行ったときと同程度のpHとなることが判った。
また、各アルカリ溶液を使用したときの糖化率を図8に示した。図8において、横軸の「C」は水を使用して浸漬工程を実施したときの結果、「A-1」は0.4mMのアンモニア溶液を使用して浸漬工程を実施したときの結果、「A-2」は1mMのアンモニア溶液を使用して浸漬工程を実施したときの結果、「Ca-1」は0.4mMの水酸化カルシウム溶液を使用して浸漬工程を実施したときの結果、「Ca-2」は1mMの水酸化カルシウム溶液を使用して浸漬工程を実施したときの結果である。
図8から判るように、アルカリ溶液として水酸化カルシウム及びアンモニアを浸漬工程で使用した場合も、水を使用して浸漬工程を行ったときと同程度のpHとなるようなアルカリ濃度であれば、優れた糖化率を達成できることが明らかとなった。
Claims (13)
- 植物バイオマスを浸漬させた時のpHが、当該植物バイオマスを水に浸漬させた時のpHと同程度となるアルカリ溶液に植物バイオマスを浸漬する工程を含み、
当該工程は、糖化工程に先立って実施される前処理工程の前に実施されることを特徴とする植物バイオマスの処理方法。 - 上記アルカリ溶液は、植物バイオマスを浸漬させた時のpHが、当該植物バイオマスを水に浸漬させた時のpHから+2.5以内の範囲となるアルカリ濃度であることを特徴とする請求項1記載の植物バイオマスの処理方法。
- 上記アルカリ溶液は、5.0mM以下のアルカリ濃度であることを特徴とする請求項1記載の植物バイオマスの処理方法。
- 上記アルカリ溶液に植物バイオマスを浸漬する工程の後、上記前処理工程を実施する前に酸を添加することを特徴とする請求項1記載の植物バイオマスの処理方法。
- 上記アルカリ溶液に植物バイオマスを浸漬する工程の後、固液分離処理によって植物バイオマスをからなる固体成分を分離する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の植物バイオマスの処理方法。
- 上記植物バイオマスは、上記浸漬する工程において緩衝作用を示す酸成分を溶出する植物由来であることを特徴とする請求項5記載の植物バイオマスの処理方法。
- 上記植物バイオマスは、上記浸漬する工程の後のpHが5.0以上となる植物由来であることを特徴とする請求項5記載の植物バイオマスの処理方法。
- 請求項1乃至7いずれか一項記載の植物バイオマスの処理方法によって処理された処理物に対して前処理を実施する工程と、
前処理後の処理物を糖化する工程とを含む、糖の製造方法。 - 上記前処理工程は上記処理物に対して水熱処理を行う工程であることを特徴とする請求項8記載の糖の製造方法。
- 上記糖化する工程では、植物バイオマスに含まれる多糖類を加水分解する酵素による酵素反応を利用する方法であることを特徴とする請求項8記載の糖の製造方法。
- 上記酵素はセルラーゼであることを特徴とする請求項8記載の糖の製造方法。
- 請求項8乃至11いずれか一項記載の糖の製造方法により得られた糖を基質として発酵により有機酸及び/又はアルコールを製造する、有機酸及び/又はアルコールの製造方法。
- 上記アルコールはエタノールであることを特徴とする請求項12記載の有機酸及び/又はアルコールの製造方法。
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