JP2011217617A - miRNAを利用した慢性肝疾患の線維化の検査方法 - Google Patents

miRNAを利用した慢性肝疾患の線維化の検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、慢性肝疾患の線維化の新規の検査方法を提供する。
【解決手段】患者の生物学的サンプルにおいて、線維化マーカーである配列番号1〜67の塩基配列、又は該塩基配列のそれぞれに1もしくは2個の変異を含む塩基配列、を有するmiRNAから選択される1又は複数のmiRNAの発現量を測定することを含む、慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージの検査方法、ならびに該検査に使用するためのマイクロアレイ又はキット。
【選択図】なし

Description

本発明は、患者の慢性肝疾患の線維化を検査する方法に関する。具体的には、本発明は、特定のmiRNAの発現量を測定して該慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージを検査する方法に関する。
本発明はまた、該検査のためのマイクロアレイ又はPCR用プライマーセットに関する。
慢性肝疾患は持続的な炎症の結果、線維化が進行し肝硬変に移行し最終的に肝癌が発生することが知られている。慢性的にウイルスに感染し活性化された肝星細胞が、肝線維化の進行に重要な役割を果たしており、この活性化星細胞は、傍分泌作用と自己分泌作用により線維化を進展及び維持させるための多数のサイトカインや成長因子を産生する。それゆえ、肝線維化の診断は、病期の進行、発癌のリスク予想などに有用である。
これまで、臨床現場では、肝線維化の診断は病理組織学的検査、血液生化学検査、肝臓の弾性度に基づく診断法などによって行われている(特許文献1〜7、非特許文献1〜6)。
病理組織学的検査のために、腹腔鏡下又は超音波下で患者から肝生検が採取される。この検査は、他の検査と比べても直接組織検査を行うことができることから、肝線維化診断の標準的な検査手段である。しかし、病理組織学的検査は、熟練した病理医による診断が必要であり、手軽にできない点、評価する医師により診断の程度が変わることがあり、客観的な指標として問題がないわけではない。
血液生化学検査は、非侵襲的な検査である。この検査では、患者血液中の血小板値や種々の肝線維化マーカー値の変化が測定される。血小板については、血小板値の低下と肝線維化の進行度とに相関があることに基づくが、個人差によりばらつきがあることや血小板の減少が肝線維化の実際よりも遅延して現れるという問題も指摘されている。一方、肝線維化マーカーとして、IV型コラーゲン、プロコラーゲンN末端ペプチドなどのコラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンなどの構造蛋白質、ヒアルロン酸などの酸性ムコ多糖、形質転換成長因子(TGF)β、結合組織成長因子などのサイトカイン類、ポリ-4-ヒドロキシラーゼ、リジルオキシダーゼ、コラゲナーゼ、ゲラチナーゼ、ストロメリジン-1、TIMPなどの酵素類、その他、α2-マクログロブリン、GGT、γ-グロブリン、総ビリルビン、アポA1、フェリチン、プロトロンビン指数などが知られている。さらに、特定の多数の遺伝子が肝線維化マーカーとして提案されている。
肝臓の弾性度に基づく診断法は、肝臓の弾性度と線維化が正の相関があることを利用している。その測定のための装置には、Transient Elastography (Fibroscan)、Real-Time Elastography (RTE)、Acoustic Radiation Force Impulse (ARFI)などが知られている。Fibroscanによる測定法は、体表から肝臓に低周波弾性波を送り、その肝臓内での伝播速度を超音波により測定して肝硬度を算出する評価法である。RTEによる測定法は、体表から加えた圧迫や拍動による組織の歪み分布を画像化するもので、肝臓領域においては心拍動を利用して得られた画像のパターンから肝炎の進行度を評価する方法である。ARFIによる測定法は、収束超音波パルスの音響放射圧を用いて組織を刺激し組織が変形する程度を検出する方法である。
ところで最近、腫瘍、心疾患、膵臓疾患などの検出にmiRNAを利用する手法が報告されている。この手法は、これらの疾患と特定のmiRNAの発現との相関に基づいている(特許文献8〜11)。肝癌に関連したものは、例えば非特許文献7及び8に記載されている。しかし、慢性肝疾患とmiRNAの発現との相関に関しては、これまで知られていない。
特表2004-507740号公報 特表2003-532899号公報 特表2008-509410号公報 特開平11-171898号公報 特開2007-315752号公報 特表2008-506369号公報 特開2003-259877号公報 特開2009-100687号公報 特開2008-086201号公報 特表2010-505427号公報 特表2010-504102号公報
Wai, C.T.ら, HEPATOLOGY, 38:518-526, 2003 Koda, K.ら, HEPATOLOGY, 45:297-306, 2007 橋本悦子,医学と薬学, 56(3):334-339, 2006 森川浩安と河田則文,診断と治療,96(3):137-142, 2008 川部直人ら,現代医学,56(2):289-295, 2008 辰巳千栄ら,肝胆膵,57(5):749-754, 2008 Yamamoto, Y.ら, Biomarkers, 14:529-538, 2009 Murakami, Y.ら, Oncogene, 25:2537-2545, 2006
本発明の目的は、miRNAを利用して慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージを検査する方法、ならびに、該検査に使用するためのマイクロアレイ及びプライマーセットを提供することである。
本発明は、要約すると、以下の特徴を包含する。
(1) 患者の生物学的サンプルにおいて、線維化マーカーである配列番号1〜67の塩基配列、又は該塩基配列のそれぞれに1もしくは2個の変異を含む塩基配列、を有するmiRNAから選択される1又は複数のmiRNAの発現量(「発現レベル」とも称する)を測定することを含む、慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージの検査方法。
(2) 測定する線維化マーカーが、配列番号1〜67の塩基配列を有するmiRNAから選択される少なくとも5種類のmiRNAである、前記(1)に記載の方法。
(3) 測定する線維化マーカーが、配列番号1〜67の塩基配列を有する67種類のmiRNAである、前記(1)に記載の方法。
(4) 測定する線維化マーカーが、配列番号25、26、28、29及び67の塩基配列を有する5種類のmiRNAである、前記(1)に記載の方法。
(5) 検査可能な線維化ステージが、F0/F1、F0-1/F2、F0-2/F3、F2/F3、F1/F2-3及びF0/F1-3からなる群から選択される、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 線維化ステージF0/F1の検査のためのmiRNAが、配列番号15、22、25、26、28、29、40、46、47、57及び62の塩基配列を有するmiRNAから選択される、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 線維化ステージF0-1/F2の検査のためのmiRNAが、配列番号6、9、10、12、13、16、23、24、25、26、28、29、43、59、63、64及び67の塩基配列を有するmiRNAから選択される、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(8) 線維化ステージF0-2/F3の検査のためのmiRNAが、配列番号25、26、28、29及び67の塩基配列を有するmiRNAから選択される、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(9) 線維化ステージF2/F3の検査のためのmiRNAが、配列番号18、24、25、26、28、29、33、35、49、53及び67の塩基配列を有するmiRNAから選択される、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(10) 線維化ステージF1/F2-3の検査のためのmiRNAが、配列番号1〜14、16、17、20、21、23〜31、34、36、38、39、41〜45、47、48、50〜52、54〜61及び63〜67の塩基配列を有するmiRNAから選択される、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(11) 線維化ステージF0/F1-3の検査のためのmiRNAが、配列番号15、19、22、25、26、28、29、32、37、39、40、46、47及び62の塩基配列を有するmiRNAから選択される、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(12) 生物学的サンプルが肝臓由来の組織である、前記(1)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13) 線維化マーカーの測定を、マイクロアレイ、PCR又はノーザンハイブリダイゼーションによって行う、前記(1)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14) 検査の精度が少なくとも70%である、前記(1)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15) 検査の精度が少なくとも80%である、前記(14)に記載の方法。
(16)下記の(a)〜(f)に示されるRNA、DNA及びその誘導体からなる群から選択される1又は複数の核酸プローブを含む、慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージの検査のためのマイクロアレイ。
(a) 配列番号1〜67に示される塩基配列を含むRNA
(b) 前記(a)の核酸の塩基配列において1もしくは2個の変異を有する塩基配列を含むRNA
(c) 前記(a)及び前記(b)のRNAの塩基配列においてu(ウラシル)がt(チミジン)である塩基配列からなるDNA
(d) 前記(a)及び前記(b)のRNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるRNA
(e) 前記(c)のDNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNA
(f) 前記(a)〜(e)のRNA及びDNAの誘導体
(17) 下記の(a)〜(f)に示されるRNA、DNA及びその誘導体からなる群から選択される1又は複数の核酸をプローブ又はPCRプライマーとしてを含む、慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージの検査のためのキット。
(a) 配列番号1〜67に示される塩基配列を含むRNA
(b) 前記(a)の核酸の塩基配列において1もしくは2個の変異を有する塩基配列を含むRNA
(c) 前記(a)及び前記(b)のRNAの塩基配列においてuがtである塩基配列からなるDNA
(d) 前記(a)及び前記(b)のRNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるRNA
(e) 前記(c)のDNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNA
(f) 前記(a)〜(e)のRNA及びDNAの誘導体
(18) 前記検査を、前記(16)に記載のマイクロアレイ又は前記(17)に記載のキットを用いて行う、前記(1)〜(15)のいずれかに記載の方法。
本発明は、線維化マーカーである特定のmiRNAの発現量を測定することによって慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージを少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、の精度で検査することを可能にする。
図1Aは、マウス慢性肝線維症モデルの作製のタイムスケジュールを示す。図1Bは、4、6及び8週に屠殺したマウスの肝組織をヘマトキシリン-エオシン(HE)染色及びアザン(Azan)染色(線維染色)した結果を示す。倍率は×10である。NCは陰性対照を示す。 図1Cは、4、6及び8週でのマウスにおける表示の各miRNAの相対発現レベル(CCL4/NC)の倍率変化を示すグラフである。 図2は、マイクロアレイによる各線維化ステージのヒト患者からの肝生検における表示のmiRNAの相対発現レベルを示すグラフである。1.5倍以上の倍率変化を示すmiRNAを抽出した(p<0.05)。図2A〜図2Dはそれぞれ、F0とF1間、F2とF3間、F1とF2間、及びF1とF3間で、有意差を示したmiRNAの発現レベルを示す。 図2Eは、表示の3種類のmiRNAのリアルタイムPCRの有効性を示す。各カラムは、U18(対照)の発現レベルに対して正規化したmiRNAの相対量を表す。データは、3回の独立の実験の平均±SDを示す。星印(*)及び二重星印(**)はそれぞれ、p<0.05、p<0.01の有意差に対して示した。 図3は、肝線維症をもつ慢性C型肝炎(CHC)患者の肝生検におけるmiRNAのクラスターリングを示す。具体的には、F0、F1、F2及びF3で発現レベルが異なるmiRNAを使用して作成したヒートマップを示す。図3AはF0とF1間の分類を示す。縦軸はmiRNA遺伝子を示し、横軸はサンプルを示す。緑色のバーは、ダウンレギュレートされた遺伝子を反映し、赤色のバーは、アップレギュレートされた遺伝子を反映している。 図3は、肝線維症をもつ慢性C型肝炎(CHC)患者の肝生検におけるmiRNAのクラスターリングを示す。具体的には、F0、F1、F2及びF3で発現レベルが異なるmiRNAを使用して作成したヒートマップを示す。図3BはF1とF2間の分類を示し、図3CはF2とF3間の分類を示す。縦軸はmiRNA遺伝子を示し、横軸はサンプルを示す。緑色のバーは、ダウンレギュレートされた遺伝子を反映し、赤色のバーは、アップレギュレートされた遺伝子を反映している。 図3は、肝線維症をもつ慢性C型肝炎(CHC)患者の肝生検におけるmiRNAのクラスターリングを示す。具体的には、F0、F1、F2及びF3で発現レベルが異なるmiRNAを使用して作成したヒートマップを示す。図3DはF1とF3間の分類を示す。縦軸はmiRNA遺伝子を示し、横軸はサンプルを示す。緑色のバーは、ダウンレギュレートされた遺伝子を反映し、赤色のバーは、アップレギュレートされた遺伝子を反映している。 図4は、ヒト星細胞株LX2を用いて肝線維化誘導したときのTIMP1、α1プロコラーゲン、HSP47及びMMP13の発現の亢進を示す。図4Aは、LX2細胞株にTGF-β(代表的な線維化誘導物質)を添加したとき、4種類の線維化関連遺伝子の発現レベルが未処理の細胞株におけるよりも高くなったことを示す。示したデータは、3回の独立の実験の平均±SDである。星印(*)は、p<0.05の有意差に対して示した。図4Bは、マイクロアレイ解析による正常肝細胞(normal liver)及びLX2細胞株(LX2)におけるmiR-199a*、miR-200a及びmiR-200bの内因性発現レベルを示す。 図4Cは、miR-199a*、miR-200a及びmiR-200bの各々でトランスフェクトしたLX2細胞株における4種類の線維化関連遺伝子(TIMP1、α1プロコラーゲン、HSP47及びMMP13)の相対発現レベルが対照miRNAでトランスフェクトした細胞株(control)と比べて有意に高いことを示す。 図5A〜5Fは、Leave-one-out cross validation(LOOCV)法による、ヒト肝生検検体におけるmiRNA発現パターンを用いたヒト肝線維化ステージの分別解析の結果を示す。図5Aは、F0とF1-3との分別、図5Bは、F0-2とF3との分別、図5Cは、F1とF2-3との分別、図5Dは、F0-1とF2との分別、図5Eは、F2とF3との分別、図5Fは、F0とF1との分別の結果をそれぞれ示す。表中の数字は、正答数、誤答数、合計数を表す。
本発明をさらに具体的に説明する。
1. 定義
本明細書で使用する用語は以下の意味を包含する。また、その他の用語は、当業界で一般的に使用される意味を包含するものとする。
本明細書における「患者」という用語は、ヒトを含む哺乳動物、好ましくはヒト、に対して使用する。患者は、慢性肝疾患を有している動物(好ましくはヒト)であるか、又は慢性肝疾患の疑いのある動物(好ましくはヒト)である。患者はまた、肝臓疾患以外の疾患をさらに有していてもよい。
本明細書における「慢性肝疾患」には、非限定的に、例えばウイルス感染、アルコール肝線維症、非アルコール性肝脂肪症(NAFLD、NASH)、薬剤精悍障害、自己免疫性肝炎、その他自己免疫現象に伴う肝疾患などが含まれる。肝線維化が生じている又は肝線維化が生じる可能性がある肝疾患のすべてが対象である。
本明細書における「生物学的サンプル」という用語は、患者から生体外に取出された細胞、組織又は体液、例えば生検、穿刺吸引物、剥離物、細胞浸出液など、を意味する。好ましい生物学的サンプルは、肝細胞又は肝組織であり、肝組織には例えば肝生検組織、外科切除肝組織などが含まれる。肝生検は、実際には腹腔鏡下で行う場合と、超音波下で生検針を用いて行う場合とがある。従来の病理組織学的検査では、正確な評価のためには25mm以上の肝生検組織を必要とするが、本発明の方法は遺伝子診断を利用するため微量の組織のサンプリングでよい。
本明細書における「線維化」又は「肝線維化」という用語は、肝臓の線維化に対して使用され、線維化は、肝臓内の炎症に伴う肝細胞脱落とその修復の過程で生じる。このとき、肝細胞脱落部にできたスペースが、炎症の持続により星細胞の活性化状態が維持されかつ線溶系の阻害が生じることによって、次第に線維に置換される。線維化の程度をステージ(staging)といい、一般にF0、F1、F2及びF3の4段階に区分されている。F0は、線維化なしの段階を指す。F1は、軽度の線維化であり、Glisson鞘の拡大がなくかつ隔壁形成がない段階を指す。F2は、中等度の線維化であり、Glisson鞘の拡大、Glisson鞘周囲の線維化又は線維性架橋による隔壁形成が認められるが小葉構造が保持される段階を指す。F3は、高度の線維化であり、小葉構造の破壊を伴う線維性架橋による顕著な隔壁形成性線維化が認められるが肝硬変に至っていない段階を指す(森川浩安と河田則文,診断と治療,96(3):137-142, 2008)。これ以上に進展した段階(F4)が肝硬変である。本発明の方法は、F0〜F3のステージを分別的に予測することを可能にする。
線維化ステージに関連して、本明細書で使用される「F0/F1」、「F0-1/F2」、「F0-2/F3」、「F2/F3」、「F1/F2-3」及び「F0/F1-3」の各検査について、「F0/F1」の検査は、F0とF1との分別、「F0-1/F2」の検査は、F0-1とF1との分別、「F0-2/F3」の検査は、F0-2とF3との分別、「F2/F3」の検査は、F2とF3との分別、「F1/F2-3」の検査は、F1とF2-3との分別、及び「F0/F1-3」の検査は、F0とF1-3との分別をそれぞれ意味する。したがって、本発明によって、例えばF0/F1-3、F1/F2-3、F2/F3というように各線維化ステージを段階的に検査し、各ステージの分別と線維化の程度を高い精度で判定することが可能である。
本明細書における「miRNA」という用語は、マイクロRNAと称し、本発明では肝線維化マーカーを指す。miRNAは、通常、約19〜約25ヌクレオチド、好ましくは21〜24ヌクレオチド、からなる非コード領域に由来する小RNA(small RNA)である。一般に、miRNAは、単一又はクラスター化されたmiRNA前駆体に転写される遺伝子から生成される。すなわち、まず、遺伝子から一次転写産物であるpri-miRNAが転写され、次いで、pri-miRNAから成熟型miRNAへの段階的プロセシングにおいて、pri-miRNAから特徴的なヘアピン構造を有する約70〜約80ヌクレオチドのpre-miRNAが生成し、さらに、Dicer介在プロセシングによりpre-miRNAから成熟型miRNAが生成される。
本明細書中、特に表3及び図5において使用される「感度(sensitivity)」、「特異性(specificity)」、「精度(accuracy)」、「PPV」、「NPV」という用語は、次の意味を有する。説明を理解し易くするために、図5のF0/F1を分別する場合を例に挙げる。
「感度(sensitivity)」は、予想したことが予想通りに起こることを指し、例えば、線維化ステージF1を示すパーセンテージを表す。感度が高いということは、ある検体でF1と予想し正解がF1であったことを意味する。
「特異性(specificity)」は、予想しなかったことが起こらなかったことを指し、例えば、非線維化ステージF0を示すパーセンテージを表す。特異度が高いということは、ある検体でF0と予想しF0であったことを意味する。
「精度(accuracy)」は、正答率を指し、例えば、線維化ステージF1を正しく予測した回数と非線維化ステージF0を正しく予測した回数の和を全症例数で割算したときのパーセンテージを表す。
「PPV」は、ある事象が起こることを正しく予想することを指し、例えば、線維化ステージF1を正しく予測した回数を、線維化ステージF1であると予測した回数で割算したときのパーセンテージを表す。
「NPV」は、ある事象が起こらないことを正しく予想することを指し、例えば、非線維化ステージF0を正しく予測した回数を、非線維化ステージF0であると予測した回数で割算したときのパーセンテージを表す。
本発明の方法では、感度、特異性及び精度はいずれも、少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%である。
本明細書でmiRNAの塩基配列に関して使用される「有する」という用語は、「含む」及び「からなる」の両方の意味を有するものとする。
2. 肝線維化の検査法
2.1 線維化マーカー
105人の慢性C型肝炎患者(表5)から得た肝組織検体について、F0〜F3でのmiRNAの相対的発現量を、市販のヒトmiRNAマイクロアレイ(Agilent Technologies)を用いて測定し、ステージ間の変化倍率を算出し(表2)、線維化の程度別にmiRNAの発現パターンを作成し、それに基づいて、分別可能な線維化ステージとmiRNAの種類を決定した。これらのmiRNAは、線維化が進むにつれて発現が増加するものと、逆に発現が減少するものとが存在したが、いずれの場合であっても、ステージ間で示差的発現が見られる限り、そのようなmiRNAは本発明の方法で使用可能である。
本発明に使用しうる線維化マーカーは、配列番号1〜67の塩基配列、又は該塩基配列のそれぞれに1もしくは2個の変異を含む塩基配列、を有するmiRNAから選択される。これらのmiRNAはいずれも、表1に示すように公知の塩基配列を有しているが、肝線維化マーカーとしての使用について、これまで知られていなかった。
Figure 2011217617
Figure 2011217617
Figure 2011217617
上記のとおり、配列番号1〜67の各塩基配列には1もしくは2個の変異を含んでもよい。そのような変異は、1もしくは2個のヌクレオチドの置換、欠失、挿入又は付加からなり、好ましい変異は、1もしくは2個のヌクレオチドの置換である。また、そのような変異は、天然で生じる多型、突然変異等による変異を含むことができる。したがって、本発明では、そのような変異を含むmiRNAもまた線維化マーカーとして使用できる。
さらにまた、本発明では、配列番号1〜67の塩基配列、又は該塩基配列のそれぞれに1もしくは2個の変異を含む塩基配列、を有するmiRNAのうち2種類〜全数、好ましくは少なくとも5種類、より好ましくは少なくとも10種類のmiRNAが線維化マーカーとして選択され、慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージの検査のために使用しうる。
2.2 線維化マーカーと肝線維化ステージとの関係
miRNAの選択に際しては、上に定義した線維化ステージF0、F1、F2及びF3に関して、F0とF1との分別(F0/F1)、F01-1とF2との分別(F0-1/F2)、F0-2とF3との分別(F0-2/F3)、F2とF3との分別(F2/F3)、F1とF2-3との分別(F1/F2-3)、及び/又は、F0とF1-3との分別(F0/F1-3)を可能にするmiRNAが選択される。好ましくは、F0/F1、F0-1/F2、F0-2/F3、F2/F3、F1/F2-3及びF0/F1-3の個々の線維化ステージの分別を可能にする、各分別あたり少なくとも1種類のmiRNAが使用される。上の表1には、分別可能なステージが、表示の遺伝子ごとに示されており、これに基づいて個々の線維化ステージの分別を可能にするmiRNAが選択される。
具体的には、分別可能な線維化ステージとmiRNAの種類との関係は次のとおりである。
線維化ステージF0/F1の検査のためのmiRNAが、配列番号15、22、25、26、28、29、40、46、47、57及び62の塩基配列を有するmiRNAから選択される。このうち、配列番号15、22、28、40、46、47、57又は62の塩基配列を有するmiRNAは、F0とF1との分別を80%を超える精度で行うことができる。
線維化ステージF0-1/F2の検査のためのmiRNAが、配列番号6、9、10、12、13、16、23、24、25、26、28、29、43、59、63、64及び67の塩基配列を有するmiRNAから選択される。このうち、配列番号6、9、10、12、13、16、23、24、28、29、43、59、63又は64の塩基配列を有するmiRNAは、F0-1とF2との分別を80%を超える精度で行うことができる(表3)。
線維化ステージF0-2/F3の検査のためのmiRNAが、配列番号25、26、28、29及び67の塩基配列を有するmiRNAから選択される。このうち、配列番号25又は26の塩基配列を有するmiRNAは、F0-2とF3との分別を80%を超える精度で行うことができる(表3)。
線維化ステージF2/F3の検査のためのmiRNAが、配列番号18、24、25、26、28、29、33、35、49、53及び67の塩基配列を有するmiRNAから選択される。このうち、配列番号18、24、25、33、35、49又は53の塩基配列を有するmiRNAは、F2とF3との分別を80%を超える精度で行うことができる(表3)。
線維化ステージF1/F2-3の検査のためのmiRNAが、配列番号1〜14、16、17、20、21、23〜31、34、36、38、39、41〜45、47、48、50〜52、54〜61及び63〜67の塩基配列を有するmiRNAから選択される。このうち、配列番号1〜14、16、17、20、21、23〜31、34、36、38、39、41〜45、47、48、50〜52、54〜61及び63〜66の各塩基配列を有するmiRNAは、F1とF2-3との分別を80%を超える精度で行うことができる(表3)。
線維化ステージF0/F1-3の検査のためのmiRNAが、配列番号15、19、22、25、26、28、29、32、37、39、40、46、47及び62の塩基配列を有するmiRNAから選択される。このうち、配列番号15、19、22、26、28、29、32、37、39、40、46、47又は62の塩基配列を有するmiRNAは、F0とF1-3との分別を80%を超える精度で行うことができる(表3)。
本発明においてはさらに、線維化マーカーとして、配列番号25、26、28、29及び67の塩基配列を有する5種類のmiRNAを使用することができる(表4)。この場合の分別可能な線維化ステージとmiRNAの種類との関係は次のとおりである。
配列番号25、26、28又は29の塩基配列を有するmiRNAは、F0とF1との分別を73%の精度で行うことができる。
配列番号25、26、28、29又は67の塩基配列を有するmiRNAは、F0-1とF2との分別を69%の精度で行うことができる。
配列番号25、26、28、29又は67の塩基配列を有するmiRNAは、F0-2とF3との分別を70%の精度で行うことができる。
配列番号25、26、28、29又は67の塩基配列を有するmiRNAは、F2とF3との分別を約60%の精度で行うことができる。
配列番号25、26、28、29又は67の塩基配列を有するmiRNAは、F1とF2-3との分別を71%の精度で行うことができる。
配列番号25、26、28又は29の塩基配列を有するmiRNAは、F0とF1-3との分別を78%の精度で行うことができる。
2.3 測定及び測定用核酸
患者から得た生物学的サンプルでの線維化マーカーの測定は、例えばハイブリダイゼーション又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用して行うことができる。この測定のために核酸プローブ又はPCRプライマーが使用されうる。
具体的に、上記の核酸プローブ又はPCRプライマーは、下記の(a)〜(f)に示されるRNA、DNA及びその誘導体からなる群から選択される。
(a) 配列番号1〜67に示される塩基配列を含むRNA
(b) 前記(a)の核酸の塩基配列において1もしくは2個の変異を有する塩基配列を含むRNA
(c) 前記(a)及び前記(b)のRNAの塩基配列においてuがtである塩基配列からなるDNA
(d) 前記(a)及び前記(b)のRNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるRNA
(e) 前記(c)のDNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNA
(f) 前記(a)〜(e)のRNA及びDNAの誘導体
上記の核酸プローブ又はPCRプライマーは、慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージの検査のために使用される。特に、線維化ステージの検査のために、ステージ間の分別を可能にする核酸プローブ又はPCRプライマーは、例えば以下のRNA、DNA又はその誘導体である。
線維化ステージF0/F1の検査のために使用可能な核酸プローブ又はPCRプライマーは、上記(a)の配列番号が、配列番号15、22、25、26、28、29、40、46、47、57及び62から選択される、上記(a)〜(f)に記載のRNA、DNA又はその誘導体である。
線維化ステージF0-1/F2の検査のために使用可能な核酸プローブ又はPCRプライマーは、上記(a)の配列番号が、配列番号6、9、10、12、13、16、23、24、25、26、28、29、43、59、63、64及び67から選択される、上記(a)〜(f)に記載のRNA、DNA又はその誘導体である。
線維化ステージF0-2/F3の検査のために使用可能な核酸プローブ又はPCRプライマーは、上記(a)の配列番号が、配列番号25、26、28、29及び67から選択される、上記(a)〜(f)に記載のRNA、DNA又はその誘導体である。
線維化ステージF2/F3の検査のために使用可能な核酸プローブ又はPCRプライマーは、上記(a)の配列番号が、配列番号18、24、25、26、28、29、33、35、49、53及び67である、上記(a)〜(f)に記載のRNA、DNA又はその誘導体である。
線維化ステージF1/F2-3の検査のために使用可能な核酸プローブ又はPCRプライマーは、上記(a)の配列番号が、配列番号1〜14、16、17、20、21、23〜31、34、36、38、39、41〜45、47、48、50〜52、54〜61及び63〜67から選択される、上記(a)〜(f)に記載のRNA、DNA又はその誘導体である。
線維化ステージF0/F1-3の検査のために使用可能な核酸プローブ又はPCRプライマーは、上記(a)の配列番号が、配列番号15、19、22、25、26、28、29、32、37、39、40、46、47及び62から選択される、上記(a)〜(f)に記載のRNA、DNA又はその誘導体である。
上記核酸プローブ及びPCRプライマーは、線維化マーカーである配列番号1〜67の塩基配列、又は該塩基配列のそれぞれに1もしくは2個の変異を含む塩基配列、を有するmiRNA、或いはその前駆体RNA、或いはそれらのRNAから逆転写反応により合成されたcDNA、とハイブリダイゼーション又はアニーリングすることが可能である。
本発明で使用可能な上記(f)の誘導体は、核酸の修飾体であり、例えば、2'-O-アルキル-RNA(例えば2’-O-メチル-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNAなど)、2'-O-ベンジル-RNA、2'-O-アルキレン-RNA、ホスホロチオエート-RNA、ホスホロチオエート-DNA、PNA(Peptide Nucleic Acid)(Nielsen, P.E. et al., Science 254:1497 (1991)、LNA(Locked Nucleic Acid)(Koshkin, A.A. et al., Tetrahedron 54:3607 (1998), Obika, S. et al., Tetrahedron Lett., 39:5401 (1998))などを含む。PNAは、一般式-[-NH-CH2-CH2-N(-C(=O)-CH2-Base)-CH2-C(=O)-]n-の、2-アミノエチルグリシル骨格からなるペプチド構造を有する人工核酸である。LNAは、RNAのリボース残基の2’位と4’位とがメチレン基を介して共有結合した構造を有する人工核酸である。これらの人工核酸はRNA及びmiRNAと直接ハイブリダイズすることが知られている(Castoldi, M. et al., RNA 12:913 (2006); Endoh, T. et al., Chem. Lett. 38:438 (2009))。
本発明によれば、上記の核酸プローブはマイクロアレイ(DNAアレイ、DNAチップを含む。)に、また核酸プローブ又はPCRプライマーはキットに、それぞれ存在させることができる。
ハイブリダイゼーションには、例えばマイクロアレイ及びノーザンハイブリダイゼーションが含まれる。ハイブリダイゼーションでは、核酸プローブと、サンプル中の標的miRNAもしくはその前駆体RNA、又はそれらのRNAから逆転写反応により合成されたcDNA、との結合を、蛍光色素、放射性同位体などのラベル(標識)を利用して固相上で検出する。固相には、ノーザンハイブリダイゼーションの場合、サンプル中の核酸が固定され、一方、マイクロアレイの場合、核酸プローブが固定される。固相として、非限定的に、例えばガラス、プラスチック、ポリマー、金属、ポリアクリルアミドゲル、アガロースゲルなどを使用できる。
蛍光色素ラベルには、非限定的に、例えばシアン系(例えばCy3、Cy5、PE-Cy5)、ローダミン系(例えばローダミン、テトラメチルローダミン、ローダミン123、ローダミンB、テトラメチルローダミンイソチオシアネート)、フルオレサミン系(例えばフルオレサミン、FITC)、テキサスレッドなどが含まれる。
放射性同位体ラベルには、非限定的に、例えば32P、33P、35S、125Iなどが含まれる。
ノーザンハイブリダイゼーションの例は、ノーザンブロッティングである。ノーザンブロッティングは、RNAの分析に使用され、公知の一般的方法で行うことが可能である。例えば、サンプルRNAのPAGE電気泳動後にポリマーメンブレンに転写し、これにラベルした核酸プローブを結合させる。
マイクロアレイの場合、アレイには、上記のとおり、線維化マーカーである配列番号1〜67の塩基配列、又は該塩基配列のそれぞれに1もしくは2個の変異を含む塩基配列、を有するmiRNA、或いはその前駆体RNA、或いは該miRNA又はその前駆体RNAをコードするDNA、とハイブリダイズすることが可能な、上に例示した複数の核酸プローブが存在することができる。このような核酸プローブは、標的miRNAもしくはその前駆体RNA、又はそれらのRNAから逆転写反応により合成されたcDNA、の塩基配列又はその一部と同一であるか、或いは完全に又は実質的に相補的である、好ましくは完全に相補的である、核酸分子である。ここで、「実質的に」とは、約20〜約30ヌクレオチドのサイズあたり1もしくは2個の変異、すなわち置換、欠失、挿入又は付加、好ましくは置換、があってもよいことを意味する。また、「前駆体RNA」は、pri-miRNA又はpre-miRNAを指す。さらにまた、「その一部」は、前駆体RNAの一部であり、miRNAの塩基配列を含む。
核酸プローブは、例えばホスホアミダイト法を利用した、固相核酸合成法や、核酸合成機を使用する自動合成によって得ることができる。上記のとおり、核酸プローブは、RNA、DNA(cDNA)又はその誘導体(例えばLNA、PNAなど)である。
アレイは、上記のとおり、ガラス、プラスチック、ポリマー、ラテックス、金属などの支持体からなり、その形状は特に制限されないものとし、平面、凹凸面、球、その他の形状などが含まれる。アレイの表面は、核酸プローブを結合するための表面処理が施される。そのような表面処理には、例えばポリL-リジン等による処理が含まれる。アレイ上の核酸プローブの密度は特に制限されない。核酸プローブをアレイの表面に付着させるときには、市販のスポッターやアレイヤーを用いてプローブの点着を行ってもよい。マイクロアレイの作製については、例えば国際公開第WO 93/17126号、国際公開第WO 95/11995号などに記載されている。
核酸プローブの長さは、限定されないが、例えば約15〜約60、好ましくは約19〜約50、より好ましくは約20〜約30ヌクレオチドである。
生物学的サンプルは、生検、穿刺吸引物、剥離物、組織、体液(例えば、血液)などを含み、好ましくは肝生検組織である。
ハイブリダイゼーションは、低-、中-又は高-ストリンジェントな条件、好ましくは高ストリンジェントな条件で行う。この条件は、1〜5×SSC、30〜55℃でのハイブリダイゼーションを行い、必要により、その後の0.1〜0.5×SSC、0.1〜0.2×SDS、55〜65℃での洗浄を含む。ここで、1×SSCは150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、pH7.2を指す。洗浄は1回又は複数、例えば2又は3回行うことができる。通常、サンプルから抽出した標的miRNAを含む全RNAサンプルを直接か、或いはサンプルから全RNAを抽出し逆転写酵素を使用するRT(Reverse Transcription)-PCRによってcDNAを合成したのち、アレイ上のプローブと接触させてハイブリダイゼーションを行う。このとき、サンプルの全RNA又はcDNA集団を蛍光ラベル等で標識する。プローブが結合した場合、ラベルを指標にして検出可能である。このとき別のアレイを用意し、これには対照を結合しておく。対照は、一般に正常組織でよい。miRNAの発現について対照の値との差、或いはサンプル間の差を決定する。発現の差は、対照値よりも低い場合と、対照値よりも高い場合がある。いずれの場合であっても示差的解析に使用することができる。上記の発現差は、有意であれば特に制限はないが、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは約2.0倍以上である。
PCR法としては、定量PCR及びリアルタイムPCRを使用できる。リアルタイムPCRは定量PCRの一形態である。この方法では、PCRを行い、反応前後の蛍光ラベルの発光量をリアルタイムで測定する。本発明で使用可能なPCRは、定量可能であれば特に制限されないが、例えばRT-PCRを好ましく使用できる。
定量PCR法は、dNTP(dATP、dGTP、dCTP及びdTTP)、標的核酸(DNA又はRNA)、耐熱性ポリメラーゼ(例えばTaqポリメラーゼ)、及びプライマーを用いてMg2+の存在下に、温度制御を行いながら標的核酸を増幅し、増幅段階の蛍光ラベルの発光量をリアルタイムでモニターする。このとき、ハウスキーピング遺伝子の転写産物(mRNA)を内部標準物質として用いて定量を行うことができる。ハウスキーピング遺伝子の例は、β-アクチン遺伝子である。
定量PCR法は、本発明のプライマーを用いて標的核酸を増幅し、増幅段階で蛍光ラベルの発光量を測定する。好ましいプライマーとして、その塩基数は19〜30であり、好ましくは20〜25であり、PCRサイクル中に標的核酸の増幅産物とハイブリダイズするものであれば、どのようなものでもよい。また、通常、標的核酸の塩基配列に基づいて正方向プライマー及び逆方向プライマーが設計される。
本発明で使用しうるプライマーとしては、上記例示のものが含まれる。このようなプライマーの合成は、上記のように、固相核酸合成法や核酸自動合成機を使用して行うことができる。ここでRNAプライマーの場合、上記の人工核酸、例えばLNA又はPNA、を使用しうる。プライマーはまた、miRNA特異的RTプライマーであってもよい。
これらのPCR反応は、標的核酸の熱変性反応、アニーリング反応、核酸の伸長反応を繰り返し行うことからなる。増幅は、非限定的に、熱変性反応:94〜95℃、30秒〜2分、アニーリング反応:55℃、30秒〜1分、伸長反応:72℃、1〜10分を1サイクルとして例えば20〜40サイクル行うことができる。
リアルタイム定量PCRのために、専用の装置を使用してもよく、そのような装置は、PCRをリアルタイムでモニタリングできる装置であればどのようなものでもよく、例えば、ABI PRISMTM 7700塩基配列検出システム(Sequence Detection System SDS 7700)(Perkin Elmer Applied Biosytems)、ライトサイクラーTM システム(Roche)などを使用できる。
本発明のキットには、上記の核酸プローブ又はPCRプラーマーの他に、ラベル化剤(蛍光剤など)、耐熱性逆転写酵素、バッファー、使用説明書などを含めることができる。これらのキット成分は、個別に又は組合わせて包装されうる。
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、本発明の範囲は、それらの実施例によって制限されないものとする。
[実施例1]
慢性肝臓障害モデルマウスの作製
成熟(8週齢)雌C57BL/6Jマウスに、最初の4週間では2週間に1回、次の4週間では週に1回、オリーブオイルに溶解させた10%CCL4溶液又は陰性対照としてオリーブオイルを腹腔内投与(マウスあたり0.2ml)した。4、6及び8週目に、マウスを屠殺した。肝臓の一部を固定し、パラフィン包埋し、組織分析用に処理された。肝臓の連続切片をヘマトキシリン−エオシンとAzanで染色した(図1A及び1B参照)。肝臓障害の解析に関する動物手法のすべてを、京都大学、動物研究委員会の指針に従って行い、これらの手法は京都大学医学部倫理委員会によって承認された。
図1A中、上向きの矢印は、オリーブオイル又は四塩化炭素(CCL4)の投与を示し、下向きの矢印は、マウスを屠殺して組織検定した時期を示す。
<結果>
四塩化炭素を投与したマウスは、致死性ではなく温和な性質をもち、図1Bから明らかなように、8週で、慢性肝障害が起きて、中心静脈と門脈に架橋する線維の進展が見られた。
[実施例2]
慢性肝臓障害モデルマウスにおけるmiRNA発現パターンの解析
実施例1で作製した慢性肝臓障害モデルマウスの肝臓組織から、全RNAを、mirVana miRNA抽出キット(Ambion)を用いて製造者の説明書に準じて調製した。Transcriptor High Fiderity cDNA synthesis Kit (Roche)によってcDNAを合成した。ヌクレアーゼを含まない水10.4μlを、50μMランダムヘキサマー1μlに添加した。変性反応を、65℃で10分間行った。変性したRNA混合物を5×逆転写酵素バッファー4μl、10mM dNTP 2μl、40U/μl RNase阻害剤0.5μl、及び逆転写酵素(FastStart Universal SYBR Green Master (Roche)1.1μlを含む総量20μl中に添加した。反応を50℃で30分間(cDNA合成)、及び85℃で5分間(酵素の変性)行った。mRNA発現の検出のために、Chromo 4検出器(Bio-rad)を使用した。アッセイを3回行い、標的核酸の発現レベルを、β-アクチン遺伝子の発現に対して正規化し、このとき内部対照を用い、かつリアルタイム定量PCRを用いて定量した。
miRNAマイクロアレイは、Agilent Technologies(Santa Clara, CA、米国)によって製造されたものである。100ngの全RNAを標識しハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションでは、製造者のプロトコール(Agilent microRNA microarrays Version 1.5を使用するためのプロトコール)に従ってヒトマイクロRNAマイクロアレイキットと、製造者のプロトコール(Agilent microRNA microarrays Version 1.0を使用するためのプロトコール)に従ってマウスマイクロRNAマイクロアレイキットをそれぞれ用いた。ハイブリダーゼーションシグナルを、DNAマイクロアレイスキャナーG2505B(Agilent Technologies)を用いて検出し、また、スキャンされた画像を、Agilent feataure extraction software(v 9.5.3.1)を用いて解析した。データを、GeneSpring GX 7.3.1ソフトウエア(Agilent Technologies)を用いて解析し、次のようにして正規化した。すなわち、(i) 0.01以下の値を0.01と置いた。(ii) 各測定値を、全測定値の75百分位数で割り算してワンカラー発現プロフィールの比較を行った。統計学的解析は、studentのt-testを用いて行い、0.05未満のp値を統計学的に有意とみなした。本明細書に示されたデータはNCBIのGene Expression Omnibusに登録され、accession number GSE19865:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/query/acc.cgi?token=xlmbxyyumcwkeba&acc=GSE19865 (mouse)。
図1Cに、4〜8週の間、一貫して対照群に比べ高レベルで発現する19種類のmiRNAを示した。
[実施例3]
慢性C型肝炎患者におけるmiRNA発現パターンの解析
105名の慢性C型肝炎患者(遺伝子型1b)からの105種類の肝組織を、細い針を使用する生検によって得た(表5参照)。METAVIR線維症ステージは、7名の患者でF0、57名の患者でF1、24名の患者でF2、17名の患者でF3であった。自己免疫肝炎又はアルコール性肝障害をもつ患者は除外された。また、B型肝炎ウイルス関連抗原/抗体又は抗ヒト免疫不全ウイルス抗体に対して陽性の患者も除外した。インターフェロン療法も免疫調節療法を受けた患者を解析対象から除外した。本発明者らはまた、京都大学の移植外科から正常な肝臓組織を入手した。本発明者は解析対象患者または患者の親権者から本解析に参加する許諾のインフォームドコンセントを得た。京都大学大学院医学研究医の倫理委員会は、ヘルシンキ宣言に準拠した本研究のすべての態様を承認した。
肝組織からの全RNAの調製及びmiRNAマイクロアレイ解析は、実施例2に記載の方法に準じて行った(表2、図2A-D及び図3A-D参照)。本明細書に示されたデータはNCBIのGene Expression Omnibusに登録され、GEO SeriesからAccession no. GSE16922(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/query/acc.cgi?token=xlmbxyyumcwkeba&acc=GSE16922 (human)を受領した。
<結果>
図3A-Dから明らかなように、非学習網羅的クラスターリングは、肝線維症の程度(METAVIR線維症ステージのF0、F1、F2及びF3)に準じて著しく異なる分離を示した。2つの恣意的グループの平均発現値の倍率変化が1.5よりも大きいmiRNA(p<0.05)を抽出したところ、興味深いことに、数種類のmiRNAの発現が、異なるステージの線維症と比べて劇的に変化した(図2A-D)。
[実施例4]
肝線維症に関連するmiRNAの同定
実施例2及び実施例3のmiRNAマイクロアレイ解析の結果に基づき、肝線維症に関連するmiRNAとして、ヒトとマウスにおいて同じ発現パターンを示し、かつヒトとマウスで共通の配列を有する3種類のmiRNA(miR-199a*、miR-200a及びmiR-200b)を抽出した。
抽出した3種類のmiRNAが真に有効であることを確認するために、TaqMan(登録商標)マイクロRNAアッセイ(Applied Biosystems)を用いてmiR-199a*、miR-200a及びmiR-200bの相対発現レベルをリアルタイムPCRによって定量した。このときU18を内部対照として使用した。cDNAは、Taqman miRNA RT Kit(Applied Biosystems)を用いて合成された。ヌクレアーゼを含まない水5μl中の全RNA(10ng/μl)を、3μlの5×RTプライマー、1.5μlの10×逆転写酵素バッファー、0.15μlの100mM dNTP、0.19μlのRNase阻害剤、4.16μlのヌクレアーゼを含まない水、及び50Uの逆転写酵素、を含む総量15μlに添加した。反応を、16℃で30分、42℃で30分、及び85℃で5分それぞれ行った。すべてのRT反応を3回行った。Chromo 4(Bio-rad)を用いてmiRNA発現を検出した(p<0.05、図2E、表2参照)。
その結果、表1に示す67種類のmiRNAを同定した。
[実施例5]
miRNAの過剰発現による肝線維化の進行
実施例4で同定した3種類のmiRNAの過剰発現が肝線維化に与える影響をさらに調べるため、ヒト肝星細胞系LX-2細胞を用いて解析を行った。LX-2細胞はScott L. Friedman(Xu, 2005#1)から恵与された。LX-2細胞を10%ウシ胎児血清を含有するDMEM培地(Invitrogen)に保持し、60mm直径の培養ディッシュに入れ、70%コンフルエントになるまで培養した。次に、0.2%BSAを含むDMEM無血清培地で48時間培養したのち、TGF-β1(Sigma-Aldrich)で処理した(2.5ng/mlで20時間)。対照細胞をDMEM無血清培地で培養した。
LX-2細胞を6ウエルプレートに入れ、70%コンフルエントになるまで増殖させた。細胞を、リポフェクタミンRNAiMAX(Invitrogen)を用いて50pmolのSilencer(登録商標)陰性対照siRNA(Ambion)又は二本鎖成熟miRNA(北海道システムサイエンス)でトランスフェクションした。2日後に細胞を回収した。
TGF-βは慢性炎症時の肝星細胞の刺激因子の1つである(Friedman, S.L. et al., Toxicology, (2008))。TGF-β1で処理したLX-2細胞及びコントロールとして未処理のLX-2細胞における、4種類の線維症関連遺伝子(α1プロコラーゲンからなるマトリックス分解性複合体(マトリックス再モデル化複合体)、メタロプロテイナーゼ−13(MMP-13)、メタロプロテイナーゼ−1、及びヒートショックプロテイン47(HSP47))の発現を、リアルタイムPCRによって測定した。HSP47は、コラーゲン合成に必要なコラーゲン特異的なシャペロンタンパク質である。リアルタイムPCRは、表6のプライマーを用いて、実施例4に記載の方法に準じて行った。その結果を図4Aに示す。
図4Bは、LX2細胞及び正常肝臓でのmiR-199a*、miR-200a及びmiR-200bの内因性発現レベルをマイクロアレイ解析で測定した結果を示す。図4Cは、miR-199a*、miR-200a又はmiR-200bを過剰発現させたLX-2細胞における4種類の線維症関連遺伝子の発現レベルをリアルタイムPCRで測定した結果を示す。
<結果>
図4Aから明らかなように、TGF-β1で処理したLX-2細胞では、TGF-β1で処理しないLX-2細胞と比較して、4種類の線維症関連遺伝子の発現レベルが有意に高かった(p<0.05)。
図4Cから明らかなように、miR-199a*、miR-200a及びmiR-200bを各々トランスフェクトしたLX-2細胞では、対照miRNAでトランスフェクトした細胞と比較して、TGF-β1で処理した場合と同様に、4種類の線維症関連遺伝子の発現レベルが有意に高かった(p<0.05)。すなわち、これらのmiRNAの過剰発現は、肝線維症の進行を誘導することが分かる。
[実施例6]
miRNA発現パターンを用いたヒト肝線維化ステージの分別解析
実施例4に記載した手法で同定された67種類のmiRNAについて、上記105種類のF0〜F3のいずれかに該当する検体について相対的発現量を調べ、各ステージ間の変動率を算出した。その結果を表2、表3、表4及び図5に示した。
図5は、leave-one-out cross-validationでデータを解析し、各ステージ間の感度、特異性、精度、PPV及びNPVを示している。具体的には、図5は、例えばF0とF1の集団から適当に検体を1例抽出しそれがF0またはF1のどちらに含まれるかを判定したものであり、F0とF1の集団数だけ繰り返し、どれだけ正解率があったかを検討した結果である。
表3は、図5のleave-one-outを行なったときに使用したmiRNAに関して、例えばF0とF1(すなわちF0/F1)であれば、8個のmiRNAの発現パターンで二群を分別できることを示している。表3の一番右のレーンは、本発明の解析で必要である全miRNAのリストである。
表4もまた、同様にleave-one-outを行なった結果であり、全miRNAを使用したのではなくmiR-199a, miR-199a*, miR-199a, miR-200a及びmiR-200bの5種を用いたときの二群間分別の成績を示している。
<結果>
図5及び表3から明らかなように、miRNAの発現パターンを指標とすると、80%以上の正答率(精度)でヒト肝線維化ステージの分別が可能である。また、表4から明らかなように、実施例4で同定されたヒトとマウスで共通して肝線維症に関連する3種類のmiRNAを含む5種類のmiRNAを用いても、60%以上の正答率でヒト肝線維化ステージの分別が可能である。
<考察>
肝線維症の決定的な機序は不明であるが、これらのmiRNAは肝線維化進展に関連している可能性がある。なぜなら、それらは、データベース解析によりマイクロRNAの標的遺伝子が線維化進展に関連している可能性があることによる(表7)。miR−199a*の発現レベルは、線維芽細胞のみで発現が変化している(Kim, S. et al., J. Biol. Chem. 283:18158-18166 (2008))。興味深いことに、肝線維化に関係しているmiR-199a*及びmiR-200aの発現レベルは、正常肝組織に比べ肝細胞癌にて有意に発現が低下していた(Murakami, Y. et al., Oncogene 25:2537-2545 (2006))。miR-199a*は、HCV複製の制御因子の1つである(Murakami, Y. et al., J. Hepatol. 50:453-460 (2009))。Peg-IFN及びribavirin併用療法の投与前の肝臓組織でのmiR-199a*、miR-200a及びmiR-200bの発現レベルは、この併用療法に対する反応なし(NR)と関連していた。これらのことから、上記のmiRNAは協調して肝臓疾患の進行と密接に関連している可能性が示された。
Leave-one-out-cross-validationにより肝の線維化の分別が高率に行なわれたことより、miRNA発現プロフィールが肝線維症の新規バイオマーカーに対する能力を有している。これは、miRNA発現の差が肝線維症の程度に応じて明瞭であるからである。また、この発現プロフィールは、慢性肝疾患における新規の抗線維症療法に応用することも期待される。
本明細書で使用した表2〜表7は以下のとおりである。
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本発明は、肝線維症の線維化又は線維化ステージの検査を可能とするため、線維化の程度に応じた治療を患者に対して施すことができるため、医療分野で有用である。

Claims (18)

  1. 患者の生物学的サンプルにおいて、線維化マーカーである配列番号1〜67の塩基配列、又は該塩基配列のそれぞれに1もしくは2個の変異を含む塩基配列、を有するmiRNAから選択される1又は複数のmiRNAの発現量を測定することを含む、慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージの検査方法。
  2. 測定する線維化マーカーが、配列番号1〜67の塩基配列を有するmiRNAから選択される少なくとも5種類のmiRNAである、請求項1に記載の方法。
  3. 測定する線維化マーカーが、配列番号1〜67の塩基配列を有する67種類のmiRNAである、請求項1に記載の方法。
  4. 測定する線維化マーカーが、配列番号25、26、28、29及び67の塩基配列を有する5種類のmiRNAである、請求項1に記載の方法。
  5. 検査可能な線維化ステージが、F0/F1、F0-1/F2、F0-2/F3、F2/F3、F1/F2-3及びF0/F1-3からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 線維化ステージF0/F1の検査のためのmiRNAが、配列番号15、22、25、26、28、29、40、46、47、57及び62の塩基配列を有するmiRNAから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 線維化ステージF0-1/F2の検査のためのmiRNAが、配列番号6、9、10、12、13、16、23、24、25、26、28、29、43、59、64及び67の塩基配列を有するmiRNAから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 線維化ステージF0-2/F3の検査のためのmiRNAが、配列番号25、26、28、29及び67の塩基配列を有するmiRNAから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  9. 線維化ステージF2/F3の検査のためのmiRNAが、配列番号18、24、25、26、28、29、33、35、49、53及び67の塩基配列を有するmiRNAから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  10. 線維化ステージF1/F2-3の検査のためのmiRNAが、配列番号1〜14、16、17、20、21、23〜31、34、36、38、39、41〜45、47、48、50〜52、54〜61及び63〜67の塩基配列を有するmiRNAから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  11. 線維化ステージF0/F1-3の検査のためのmiRNAが、配列番号15、19、22、25、26、28、29、32、37、39、40、46、47及び62の塩基配列を有するmiRNAから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  12. 生物学的サンプルが肝臓由来の組織である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 線維化マーカーの測定を、マイクロアレイ、PCR又はノーザンハイブリダイゼーションによって行う、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 検査の精度が少なくとも70%である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 検査の精度が少なくとも80%である、請求項14に記載の方法。
  16. 下記の(a)〜(f)に示されるRNA、DNA及びその誘導体からなる群から選択される1又は複数の核酸プローブを含む、慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージの検査のためのマイクロアレイ。
    (a) 配列番号1〜67に示される塩基配列を含むRNA
    (b) 前記(a)の核酸の塩基配列において1もしくは2個の変異を有する塩基配列を含むRNA
    (c) 前記(a)及び前記(b)のRNAの塩基配列においてuがtである塩基配列からなるDNA
    (d) 前記(a)及び前記(b)のRNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるRNA
    (e) 前記(c)のDNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNA
    (f) 前記(a)〜(e)のRNA及びDNAの誘導体
  17. 下記の(a)〜(f)に示されるRNA、DNA及びその誘導体からなる群から選択される1又は複数の核酸をプローブ又はPCRプライマーとして含む、慢性肝疾患の線維化又は線維化ステージの検査のためのキット。
    (a) 配列番号1〜67に示される塩基配列を含むRNA
    (b) 前記(a)の核酸の塩基配列において1もしくは2個の変異を有する塩基配列を含むRNA
    (c) 前記(a)及び前記(b)のRNAの塩基配列においてuがtである塩基配列からなるDNA
    (d) 前記(a)及び前記(b)のRNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるRNA
    (e) 前記(c)のDNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNA
    (f) 前記(a)〜(e)のRNA及びDNAの誘導体
  18. 前記検査を、請求項16に記載のマイクロアレイ又は請求項17に記載のキットを用いて行う、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
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