JP2011216416A - 燃料電池システム、および燃料電池システムの膜湿潤状態判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】大気圧と、エアポンプ2の吸気温度と、加湿器4の入口空気温度に基づいて加湿器入口空気湿度を求めるとともに、燃料電池スタック1のカソード出口空気温度と燃料電池スタック1の冷媒出口における冷媒温度に基づいてカソード出口空気湿度を求め、加湿器入口空気湿度とカソード出口空気湿度に基づいてマップを参照して燃料電池スタック1のカソードの仮の湿度を求め、水素センサ40により希釈ボックス出口の水素濃度を検出し、検出された水素濃度と基準水素濃度との比較値に基づいて補正係数を求め、前記カソードの仮の湿度に前記補正係数を乗じることでカソードの湿度を求める。
【選択図】図1
Description
また、別の湿度判定方法として、セル電圧が正常範囲を下回るセルを検出し、その異常セルの燃料電池スタックにおける積層位置に基づいて燃料電池スタックの加湿状態を判定する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、燃料電池システムを常に最適な作動状態に保つためには、燃料電池内部の湿度を定量的且つリアルタイムに把握することが求められており、従来の湿度判定方法ではこの要求に応えることができなかった。
そこで、この発明は、燃料電池の膜湿潤状態を定量的且つリアルタイムに把握することができる燃料電池システム、および燃料電池システムの膜湿潤状態判定方法を提供するものである。
請求項1に係る発明は、固体高分子電解質膜を挟むアノードとカソードとを備え反応ガスを供給されることにより発電を行う燃料電池(例えば、後述する実施例における燃料電池スタック1)と、
前記燃料電池の環境条件を測定する環境条件測定手段(例えば、後述する実施例における大気圧センサ30、吸気温度センサ31)と、
前記燃料電池の温度条件を測定する燃料電池温度条件測定手段(例えば、後述する実施例における加湿器入口温度センサ32、カソード出口温度センサ33、冷媒出口温度センサ34)と、
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値と前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて前記カソードの湿度を演算するカソード湿度演算手段(例えば、後述する実施例における電子制御装置50)と、
を備え、
前記カソード湿度演算手段は、
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値および前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて2つの判定値を演算する判定値演算部(例えば、後述する実施例におけるステップS01,S02)と、
前記2つの判定値から前記カソードの仮の湿度を求める仮カソード湿度演算部(例えば、後述する実施例におけるステップS03)と、
前記燃料電池の前記アノードから排出されるアノードオフガスを前記カソードから排出されるカソードオフガスによって希釈する希釈器(例えば、後述する実施例における希釈ボックス6)の出口水素濃度と、前記希釈器の上流下流間の温度差と、前記燃料電池の前記カソードに供給されるカソードガスと前記カソードオフガスとの間で水分を授受する加湿器(例えば、後述する実施例における加湿器4)の上流下流間の圧力差と、前記加湿器の上流下流間の温度差と、のうちのいずれか1つとその基準値との比較値に基づいて補正係数を求める補正係数演算部と、
前記仮カソード湿度演算部により求められた仮カソード湿度に前記補正係数演算部により求められた補正係数を乗じることで前記カソードの湿度を求めるカソード湿度補正部(例えば、後述する実施例におけるステップS06,S07,S08)と、
を備えることを特徴とする燃料電池システムである。
前記燃料電池の環境条件を測定する環境条件測定手段(例えば、後述する実施例における大気圧センサ30、吸気温度センサ31)と、
前記燃料電池の温度条件を測定する燃料電池温度条件測定手段(例えば、後述する実施例における加湿器入口温度センサ32、カソード出口温度センサ33、冷媒出口温度センサ34)と、
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値と前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて前記アノードの湿度を演算するアノード湿度演算手段(例えば、後述する実施例における電子制御装置50)と、
を備え、
前記アノード湿度演算手段は、
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値および前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて2つの判定値を演算する判定値演算部(例えば、後述する実施例におけるステップS101,S102)と、
前記2つの判定値から前記アノードの仮の湿度を求める仮アノード湿度演算部(例えば、後述する実施例におけるステップS103)と、
前記燃料電池の前記アノードから排出されるアノードオフガスを前記カソードから排出されるカソードオフガスによって希釈する希釈器(例えば、後述する実施例における希釈ボックス6)の出口水素濃度と、前記希釈器の上流下流間の温度差と、前記燃料電池の前記カソードに供給されるカソードガスと前記カソードオフガスとの間で水分を授受する加湿器(例えば、後述する実施例における加湿器4)の上流下流間の圧力差と、前記加湿器の上流下流間の温度差と、のうちのいずれか1つとその基準値との比較値に基づいて補正係数を求める補正係数演算部と、
前記仮アノード湿度演算部により求められた仮アノード湿度に前記補正係数演算部により求められた補正係数を乗じることで前記アノードの湿度を求めるアノード湿度補正部(例えば、後述する実施例におけるステップS106,S107,S108)と、
を備えることを特徴とする燃料電池システムである。
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値および前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて2つの判定値を求める判定値演算工程(例えば、後述する実施例におけるステップS101,S102)と、
予め作成されたマップを用いて前記2つの判定値に基づいて前記カソードの仮の湿度を求める仮カソード湿度演算工程(例えば、後述する実施例におけるステップS103)と、
前記燃料電池の前記アノードから排出されるアノードオフガスを前記カソードから排出されるカソードオフガスによって希釈する希釈器(例えば、後述する実施例における希釈ボックス6)の出口水素濃度と、前記希釈器の上流下流間の温度差と、前記燃料電池の前記カソードに供給されるカソードガスと前記カソードオフガスとの間で水分を授受する加湿器(例えば、後述する実施例における加湿器4)の上流下流間の圧力差と、前記加湿器の上流下流間の温度差と、のうちのいずれか1つとその基準値との比較値に基づいて補正係数を求める補正係数演算工程と、
前記カソードの仮の湿度に前記補正係数を乗じることで前記カソードの湿度を求めるカソード湿度補正工程(例えば、後述する実施例におけるステップS06,S07,S08)と、
を順に用いて前記固体高分子電解質膜の湿潤状態を判定することを特徴とする燃料電池システムの膜湿潤状態判定方法である。
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値および前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて2つの判定値を求める判定値演算工程(例えば、後述する実施例におけるステップS101,S102)と、
予め作成されたマップを用いて前記2つの判定値に基づいて前記アノードの仮の湿度を求める仮アノード湿度演算工程(例えば、後述する実施例におけるステップS103)と、
前記燃料電池の前記アノードから排出されるアノードオフガスを前記カソードから排出されるカソードオフガスによって希釈する希釈器(例えば、後述する実施例における希釈ボックス6)の出口水素濃度と、前記希釈器の上流下流間の温度差と、前記燃料電池の前記カソードに供給されるカソードガスと前記カソードオフガスとの間で水分を授受する加湿器(例えば、後述する実施例における加湿器4)の上流下流間の圧力差と、前記加湿器の上流下流間の温度差と、のうちのいずれか1つとその基準値との比較値に基づいて補正係数を求める補正係数演算工程と、
前記アノードの仮の湿度に前記補正係数を乗じることで前記アノードの湿度を求めるアノード湿度補正工程(例えば、後述する実施例におけるステップS106,S107,S108)と、
を順に用いて前記固体高分子電解質膜の湿潤状態を判定することを特徴とする燃料電池システムの膜湿潤状態判定方法である。
請求項2に係る発明によれば、燃料電池のアノードの湿度を真値に極めて近い値でリアルタイムに推定することができる。
請求項3に係る発明によれば、燃料電池の固体高分子電解質膜の湿潤状態を、カソードの湿度の推定値に基づいて極めて正確に把握することができる。
請求項4に係る発明によれば、燃料電池の固体高分子電解質膜の湿潤状態を、アノードの湿度の推定値に基づいて極めて正確に把握することができる。
図1は燃料電池システムの概略構成図である。燃料電池スタック(燃料電池)1は、例えば固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜をアノードとカソードとで両側から挟み込んで構成された単位燃料電池(以下、単セルという)を複数積層して構成されており、燃料ガスとして水素ガスが供給される水素極と、酸化剤ガスとして酸素を含む空気が供給される空気極と、冷却液が供給される冷却通路とを備えている。そして、アノードで触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜を通過してカソードまで移動して、カソードで酸素と電気化学反応を起こして発電し、水が生成される。また、この発電に伴う発熱により燃料電池スタック1が上限温度を越えないように、前記冷却通路を流れる冷却液で熱を奪い冷却するようになっている。
エアポンプ2は、燃料電池スタック1に要求されている出力に応じた質量の空気が空気極に供給されるように回転数制御される。
また、キャッチタンク13もドレンバルブ16を備えたドレン通路17を介して希釈ボックス6に接続されており、ドレンバルブ16は燃料電池スタック1の運転状態に応じて設定される所定時間毎に開弁制御され、キャッチタンク13に溜まった水を希釈ボックス6に排水する。
希釈ボックス6に排出された水素オフガスは、希釈ボックス6に排出された空気オフガスによって希釈され、キャッチタンク13から排出された水とともに、排気通路18を介して外気に放出される。希釈ボックス6の出口には、外気に放出されるガスの水素濃度を検出するための水素センサ40が設けられている。
本出願の発明者は、このように構成された燃料電池システムに対して行った多くの実験を通して、大気圧Pと、エアポンプ吸気温度T1と、加湿器入口空気温度T2と、加湿器4に供給される空気の湿度(以下、加湿器入口空気湿度という)Aとの間には相関があること、カソード出口空気温度T3と、冷媒出口温度T4と、燃料電池スタック1のカソードから排出された空気の湿度(以下、カソード出口空気湿度という)Bとの間には相関があること、さらに、加湿器入口空気湿度Aと、カソード出口空気湿度Bと、燃料電池スタック1内のカソードにおける湿度(以下、カソード湿度という)Hcおよびアノードにおける湿度(以下、アノード湿度という)Haとの間には相関があることを、経験的な知見として得た。
図4に示されるカソード出口空気湿度マップは、カソード出口空気温度T3と、冷媒出口温度T4と、カソード出口空気湿度Bのデータに基づいて作成されたマップであり、カソード出口空気温度T3と冷媒出口温度T4からカソード出口空気湿度Bを検索することができるように構成されている。
図9に示されるアノード湿度マップは、加湿器入口空気湿度Aとカソード出口空気湿度Bとアノード湿度Haのデータに基づいて作成されたマップであり、加湿器入口空気湿度Aとカソード出口空気湿度Bからアノード湿度Haを検索することができるように構成されている。
また、図3の加湿器入口空気湿度マップと図4のカソード出口空気湿度マップと図9のアノード湿度マップを用いることにより、大気圧Pと、エアポンプ吸気温度T1と、加湿器入口空気温度T2と、カソード出口空気温度T3と、冷媒出口温度T4とに基づいて、燃料電池スタック1内のアノード湿度Haを予測することができる。
そこで、この発明では、前記マップに基づいて予測されるカソード湿度Hcあるいはアノード湿度Haを仮のカソード湿度あるいは仮のアノード湿度として、この仮のカソード湿度あるいは仮のアノード湿度に対して、現在運転中の燃料電池システムにおける燃料電池スタック1内部の水分状況に応じた補正を行うことで、より真値に近いカソード湿度Hcあるいはアノード湿度Haをリアルタイムに推定することができるようにした。
実施例1および実施例2では、希釈ボックス6から排出されるガスの水素濃度に基づいて、仮のカソード湿度あるいは仮のアノード湿度に対する補正を行う。これについて詳述する。
前述したように、燃料電池スタック1の運転状態に応じてエアポンプ2の回転数が制御され、燃料電池スタック1のカソードに供給される供給空気の供給量が制御されるので、燃料電池スタック1の運転状態に応じてカソードから排出されて希釈ボックス6に導入される空気オフガスの流量も決まる。一方、水素オフガス回収路12から水素オフガスをパージするパージ弁14も、燃料電池スタック1の運転状態に応じて開弁周期および開弁時間が制御される。
同様の考え方で、カソードおよびアノードが標準加湿状態よりも低減して乾燥状態になると、希釈ボックス6に流入する水素オフガスおよび空気オフガスの水素濃度が上昇するので、希釈ボックス6から排出されるガスの水素濃度も全体的に上昇すると考えられる。
以下、実施例1を具体的に説明する。
実施例1において使用する補正係数マップの作成方法を説明する。まず、燃料電池スタック1を基準運転条件で定常運転していたときのパージ条件でパージ弁14を開弁制御し、図6に示すように、パージ弁14の開弁を開始した時を基点にして、一定時間t(例えば10msec)毎の水素濃度積算値(以下、基準水素濃度積算値という)を算出する。また、カソード湿度を標準加湿状態からずらして行った実験結果から前記同一タイミングで前記一定時間t毎の水素濃度積算値を算出する。そして、同じ経過時間毎に基準水素濃度積算値との水素濃度積算値差を求め、これから補正係数Y1を決定し、図7に示すような補正係数マップを作成する。
そして、この補正係数マップを電子制御装置50に記憶しておく。
まず、ステップS01において、吸気温度センサ31により検出された現在のエアポンプ吸気温度T1と、大気圧センサ30により検出された現在の大気圧Pと、加湿器入口温度センサ32により検出された現在の加湿器入口空気温度T2に基づき、図3の加湿器入口空気湿度マップを参照して、加湿器入口空気湿度Aを検索する。
次に、ステップS03に進み、加湿器入口空気湿度Aとカソード出口空気湿度Bに基づき、図5のカソード湿度マップを参照して、カソード湿度Hc(仮のカソード湿度)を検索する。
次に、ステップS04に進み、ステップS03の処理により得られたカソード湿度Hcが60%未満か否かを判定する。
ステップS04における判定結果が「NO」(60%以上)である場合には、ステップS05に進み、ステップS03の処理により得られたカソード湿度Hcが80%を越えているか否かを判定する。
ステップS04における判定結果が「YES」(60%未満)である場合には、ステップS07に進み、カソードは乾燥状態であると判定し、ステップS03で得られたカソード湿度Hcに補正係数Y1を乗じて、補正後のカソード湿度Hcを算出し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
なお、ステップS06,S07,S08において補正係数Y1は、パージ弁14の開弁開始から所定時間後に水素センサ40で検出された現在の希釈ボックス出口水素濃度から算出した一定時間tの水素濃度積算値と、前記所定時間後に対応する基準水素濃度積算値との差に基づいて、図7の希釈ボックス出口水素濃度積算値差をパラメータとする補正係数マップを参照して検索し、決定する。
ここで、希釈ボックス出口水素濃度をパラメータとする補正係数マップは、標準状態、乾燥状態、湿潤状態とも同じマップとしてもよいし、標準状態、乾燥状態、湿潤状態で互いに異なる専用のマップとしてもよい。
また、燃料電池システムを長時間停止していた場合にも、起動した瞬間からカソード湿度を把握することができるので、そのときのカソード湿度に応じた燃料電池スタックの起動制御が可能となり、発電し易い環境へ移行することができる。
次に、実施例2を具体的に説明する。前述したように、実施例2では、希釈ボックス出口の水素濃度を基準水素濃度と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のアノード湿度を補正する。
実施例2において使用する補正係数マップの作成方法を説明する。まず、燃料電池スタック1を基準運転条件で定常運転していたときのパージ条件でパージ弁14を開弁制御し、パージ弁14の開弁を開始した時を基点にして、一定時間t(例えば10msec)毎の水素濃度積算値(以下、基準水素濃度積算値という)を算出する。また、アノード湿度を標準加湿状態からずらして行った実験結果から前記同一タイミングで前記一定時間t毎の水素濃度積算値を算出する。そして、同じ経過時間毎に基準水素濃度積算値との水素濃度積算値差を求め、これから補正係数Yを決定し、補正係数マップを作成する。なお、実施例2の補正係数マップも、前述した図7に示す補正係数マップと同様であるので、図示を省略し、以下の説明では、実施例2における補正係数マップとして図7を援用する。
そして、この補正係数マップを電子制御装置50に記憶しておく。
まず、ステップS101において、吸気温度センサ31により検出された現在のエアポンプ吸気温度T1と、大気圧センサ30により検出された現在の大気圧Pと、加湿器入口温度センサ32により検出された現在の加湿器入口空気温度T2に基づき、図3の加湿器入口空気湿度マップを参照して、加湿器入口空気湿度Aを検索する。
次に、ステップS103に進み、加湿器入口空気湿度Aとカソード出口空気湿度Bに基づき、図9のアノード湿度マップを参照して、アノード湿度Ha(仮のアノード湿度)を検索する。
次に、ステップS104に進み、ステップS103の処理により得られたアノード湿度Haが40%未満か否かを判定する。
ステップS104における判定結果が「NO」(40%以上)である場合には、ステップS105に進み、ステップS103の処理により得られたアノード湿度Haが60%を越えているか否かを判定する。
ステップS104における判定結果が「YES」(40%未満)である場合には、ステップS107に進み、アノードは乾燥状態であると判定し、ステップS103で得られたアノード湿度Haに補正係数Y1を乗じて、補正後のアノード湿度Haを算出し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
なお、ステップS106,S107,S108において補正係数Y1は、パージ弁14の開弁開始から所定時間後に水素センサ40で検出された現在の希釈ボックス出口水素濃度から算出した一定時間tの水素濃度積算値と、前記所定時間後に対応する基準水素濃度積算値との差に基づいて、図7の希釈ボックス出口水素濃度積算値差をパラメータとする補正係数マップを参照して検索し、決定する。
ここで、希釈ボックス出口水素濃度積算値をパラメータとする補正係数マップは、標準状態、乾燥状態、湿潤状態とも同じマップとしてもよいし、標準状態、乾燥状態、湿潤状態で互いに異なる専用のマップとしてもよい。
また、燃料電池システムを長時間停止していた場合にも、起動した瞬間からアノード湿度を把握することができるので、そのときのアノード湿度に応じた燃料電池スタックの起動制御が可能となり、発電し易い環境へ移行することができる。
燃料電池スタック1が基準運転条件において定常運転を行っている場合には、燃料電池スタック1のカソード湿度およびアノード湿度はある一定の湿度(標準加湿状態)となり、このとき、供給空気通路3において加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差は一定値となり、空気オフガス通路5において加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差は一定値となるが、カソード湿度あるいはアノード湿度が増加すると前記圧力差が増加し、カソード湿度あるいはアノード湿度が減少すると前記圧力差が減少することを、本出願の発明者は多数の実験結果から知見した。
また、実施例5では、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差を基準圧力差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のカソード湿度を補正することとし、実施例6では、前記比較値から補正係数を求めて仮のアノード湿度を補正することとする。
以下、実施例3を具体的に説明する。前述したように、実施例3では、供給空気通路3における加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差を基準圧力差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のカソード湿度を補正する
すなわち、実施例3では、供給空気通路3における加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差と、基準圧力差との差圧をパラメータとする補正係数Y2を設定し、この補正係数Y2を用いて仮のカソード湿度を補正する。そして、これを実現するために、図1に示すように、供給空気通路3における加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差を検出する差圧センサ51を設置し、差圧センサ51の出力信号を電子制御装置50に出力するようにした。
そして、この補正係数マップを電子制御装置50に記憶しておく。
次に、実施例4を具体的に説明する。前述したように、実施例4では、供給空気通路3における加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差を基準圧力差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のアノード湿度を補正する。
すなわち、実施例4では、供給空気通路3における加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差と、基準圧力差との差圧をパラメータとする補正係数Y2を設定し、この補正係数Y2を用いて仮のアノード湿度を補正する。
次に、実施例5を具体的に説明する。前述したように、実施例5では、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差を基準圧力差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のカソード湿度を補正する。
すなわち、実施例5では、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差と、基準圧力差との差圧をパラメータとする補正係数Y2を設定し、この補正係数Y2を用いて仮のカソード湿度を補正する。そして、これを実現するために、図11に示すように、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差を検出する差圧センサ52を設置し、差圧センサ52の出力信号を電子制御装置50に出力するようにした。
次に、実施例6を具体的に説明する。前述したように、実施例6では、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差を基準圧力差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のアノード湿度を補正する。
すなわち、実施例6では、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側圧力と下流側圧力との圧力差と、基準圧力差との差圧をパラメータとする補正係数Y2を設定し、この補正係数Y2を用いて仮のアノード湿度を補正する。なお、実施例6の補正係数マップは、傾向としては図10に示す実施例3の補正係数マップと同様であるので図示を省略するが、差圧がほぼ0のときは補正係数Y2=1に設定されており、差圧が正値で大きくなるほどアノード湿度が標準加湿状態よりも高くなることが推定されるので、この場合には増大させるように1よりも大きい補正係数Y2に設定され、差圧が負値で大きくなるほどアノード湿度が標準加湿状態よりも低くなることが推定されるので、この場合には減少させるように1よりも小さい補正係数Y2に設定されている。以下の説明では、実施例6における補正係数マップとして図10を援用する。
したがって、供給空気通路3における加湿器4の上流側圧力と空気オフガス通路5における加湿器4の下流側圧力との圧力差と、これに対応する基準圧力差との差圧をパラメータとして補正係数Y2を設定し、この補正係数Y2を用いて仮のカソード湿度や仮のアノード湿度を補正することも可能である。この場合には、図14に示すように、供給空気通路3における加湿器4の上流側圧力と空気オフガス通路5における加湿器4の下流側圧力との圧力差を検出する差圧センサ53を設置する。
燃料電池スタック1が基準運転条件において定常運転を行っている場合には、燃料電池スタック1のカソード湿度およびアノード湿度はある一定の湿度(標準加湿状態)となり、このとき、供給空気通路3における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差は一定値となり、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側温度と下流側温度との温度差は一定値となるが、カソード湿度あるいはアノード湿度が増加すると前記温度差が増加し、カソード湿度あるいはアノード湿度が減少すると前記温度差が減少することを、本出願の発明者は多数の実験結果から知見した。
また、実施例9では、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差を基準温度差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のカソード湿度を補正することとし、実施例10では、前記比較値から補正係数を求めて仮のアノード湿度を補正することとする。
以下、実施例7を具体的に説明する。前述したように、実施例7では、供給空気通路3における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差を基準温度差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のカソード湿度を補正する。
すなわち、実施例7では、供給空気通路3における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差と、基準温度差との温度差をパラメータとする補正係数Y3を設定し、この補正係数Y3を用いて仮のカソード湿度を補正する。そして、これを実現するために、図12に示すように、供給空気通路3における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差を検出する温度差センサ54を設置し、温度差センサ54の出力信号を電子制御装置50に出力するようにした。
そして、この補正係数マップを電子制御装置50に記憶しておく。
次に、実施例8を具体的に説明する。前述したように、実施例8では、供給空気通路3における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差を基準温度差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のアノード湿度を補正する。
すなわち、実施例8では、供給空気通路3における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差と、基準温度差との温度差をパラメータとする補正係数Y3を設定し、この補正係数Y3を用いて仮のアノード湿度を補正する。
次に、実施例9を具体的に説明する。前述したように、実施例9では、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差を基準温度差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のカソード湿度を補正する。
すなわち、実施例9では、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差と、基準温度差との温度差をパラメータとする補正係数Y3を設定し、この補正係数Y3を用いて仮のカソード湿度を補正する。そして、これを実現するために、図11に示すように、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差を検出する温度差センサ55を設置し、温度差センサ55の出力信号を電子制御装置50に出力するようにした。
次に、実施例10を具体的に説明する。前述したように、実施例10では、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差を基準温度差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のアノード湿度を補正する。
すなわち、実施例10では、空気オフガス通路5における加湿器4の上流側温度と下流側温度の温度差と、基準温度差との温度差をパラメータとする補正係数Y3を設定し、この補正係数Y3を用いて仮のアノード湿度を補正する。なお、実施例10の補正係数マップは、傾向としては図13に示す実施例7の補正係数マップと同様であるので図示を省略するが、実温度差と基準温度差との温度差がほぼ0のときは補正係数Y3=1に設定されており、温度差が正値で大きくなるほどアノード湿度が標準加湿状態よりも高くなることが推定されるので、この場合には増大させるように1よりも大きい補正係数Y3に設定されており、実温度差と基準温度差との温度差が負値で大きくなるほどアノード湿度が標準加湿状態よりも低くなることが推定されるので、この場合には減少させるように1よりも小さい補正係数Y3に設定されている。以下の説明では、実施例10における補正係数マップとして図13を援用する。
したがって、供給空気通路3における加湿器4の上流側温度と空気オフガス通路5における加湿器4の下流側温度との温度差と、これに対応する基準温度差との温度差をパラメータとして補正係数Y3を設定し、この補正係数Y3を用いて仮のカソード湿度や仮のアノード湿度を補正することも可能である。この場合には、図14に示すように、供給空気通路3における加湿器4の上流側温度と空気オフガス通路5における加湿器4の下流側温度との温度差を検出する温度差センサ56を設置する。
前述したように、燃料電池スタック1が基準運転条件において定常運転を行っている場合には、燃料電池スタック1のカソード湿度およびアノード湿度はある一定の湿度(標準加湿状態)となり、このとき、希釈ボックス6の上流側の空気オフガスの温度と希釈ボックス6から排出されるガスの温度との温度差は一定値となるが、カソード湿度あるいはアノード湿度が増加すると前記温度差が増加し、カソード湿度あるいはアノード湿度が減少すると前記温度差が減少することを、本出願の発明者は多数の実験結果から知見した。
その逆に、カソードおよびアノードが標準加湿状態よりも減少して乾燥状態になると、燃料電池スタック1のカソードから排出され希釈ボックス6に流入する空気オフガスの水分量が減少するため、希釈ボックス6を介して放熱される熱量が少なくなり、これにより希釈ボックス6の上流側の空気オフガスの温度と希釈ボックス6から排出されるガスの温度との温度差が減少すると考えられる。
以下、実施例11を具体的に説明する。前述したように、実施例11では、希釈ボックス6の上流側の空気オフガスの温度と希釈ボックス6から排出されるガスの温度との温度差を基準温度差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のカソード湿度を補正する。
すなわち、実施例11では、希釈ボックス6の上流側の空気オフガスの温度と希釈ボックス6から排出されるガスの温度との温度差と、基準温度差との温度差をパラメータとする補正係数Y4を設定し、この補正係数Y4を用いてカソード湿度Hcを補正する。そして、これを実現するために、図1に示すように、希釈ボックス6の上流側の空気オフガスの温度と希釈ボックス6から排出されるガスの温度との温度差を検出する温度差センサ57を設置し、温度差センサ57の出力信号を電子制御装置50に出力するようにした。
そして、この補正係数マップを電子制御装置50に記憶しておく。
次に、実施例12を具体的に説明する。前述したように、実施例12では、希釈ボックス6の上流側の空気オフガスの温度と希釈ボックス6から排出されるガスの温度との温度差を基準温度差と比較し、その比較値から補正係数を求めて仮のアノード湿度を補正する。
すなわち、実施例12では、希釈ボックス6の上流側の空気オフガスの温度と希釈ボックス6から排出されるガスの温度との温度差と、基準温度差との温度差をパラメータとする補正係数Y4を設定し、この補正係数Y4を用いて仮のアノード湿度を補正する。
なお、カソードの湿度判定処理とアノードの湿度判定処理のいずれか一方を実行することにより、燃料電池スタック1の膜湿潤状態を判定することができる。
4 加湿器
6 希釈ボックス(希釈器)
30 大気圧センサ(環境条件測定手段)
31 吸気温度センサ(環境条件測定手段)
32 加湿器入口温度センサ(燃料電池スタック温度条件測定手段)
33 カソード出口温度センサ(燃料電池スタック温度条件測定手段)
34 冷媒出口温度センサ(燃料電池スタック温度条件測定手段)
50 電子制御装置(カソード湿度演算手段、アノード湿度演算手段)
Claims (4)
- 固体高分子電解質膜を挟むアノードとカソードとを備え反応ガスを供給されることにより発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池の環境条件を測定する環境条件測定手段と、
前記燃料電池の温度条件を測定する燃料電池温度条件測定手段と、
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値と前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて前記カソードの湿度を演算するカソード湿度演算手段と、
を備え、
前記カソード湿度演算手段は、
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値および前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて2つの判定値を演算する判定値演算部と、
前記2つの判定値から前記カソードの仮の湿度を求める仮カソード湿度演算部と、
前記燃料電池の前記アノードから排出されるアノードオフガスを前記カソードから排出されるカソードオフガスによって希釈する希釈器の出口水素濃度と、前記希釈器の上流下流間の温度差と、前記燃料電池の前記カソードに供給されるカソードガスと前記カソードオフガスとの間で水分を授受する加湿器の上流下流間の圧力差と、前記加湿器の上流下流間の温度差と、のうちのいずれか1つとその基準値との比較値に基づいて補正係数を求める補正係数演算部と、
前記仮カソード湿度演算部により求められた仮カソード湿度に前記補正係数演算部により求められた補正係数を乗じることで前記カソードの湿度を求めるカソード湿度補正部と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 固体高分子電解質膜を挟むアノードとカソードとを備え反応ガスを供給されることにより発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池の環境条件を測定する環境条件測定手段と、
前記燃料電池の温度条件を測定する燃料電池温度条件測定手段と、
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値と前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて前記アノードの湿度を演算するアノード湿度演算手段と、
を備え、
前記アノード湿度演算手段は、
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値および前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて2つの判定値を演算する判定値演算部と、
前記2つの判定値から前記アノードの仮の湿度を求める仮アノード湿度演算部と、
前記燃料電池の前記アノードから排出されるアノードオフガスを前記カソードから排出されるカソードオフガスによって希釈する希釈器の出口水素濃度と、前記希釈器の上流下流間の温度差と、前記燃料電池の前記カソードに供給されるカソードガスと前記カソードオフガスとの間で水分を授受する加湿器の上流下流間の圧力差と、前記加湿器の上流下流間の温度差と、のうちのいずれか1つとその基準値との比較値に基づいて補正係数を求める補正係数演算部と、
前記仮アノード湿度演算部により求められた仮アノード湿度に前記補正係数演算部により求められた補正係数を乗じることで前記アノードの湿度を求めるアノード湿度補正部と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 固体高分子電解質膜を挟むアノードとカソードとを備え反応ガスを供給されることにより発電を行う燃料電池と、前記燃料電池の環境条件を測定する環境条件測定手段と、前記燃料電池の温度条件を測定する燃料電池温度条件測定手段と、を備える燃料電池システムにおける前記固体高分子電解質膜の湿潤状態を判定する方法において、
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値および前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて2つの判定値を求める判定値演算工程と、
予め作成されたマップを用いて前記2つの判定値に基づいて前記カソードの仮の湿度を求める仮カソード湿度演算工程と、
前記燃料電池の前記アノードから排出されるアノードオフガスを前記カソードから排出されるカソードオフガスによって希釈する希釈器の出口水素濃度と、前記希釈器の上流下流間の温度差と、前記燃料電池の前記カソードに供給されるカソードガスと前記カソードオフガスとの間で水分を授受する加湿器の上流下流間の圧力差と、前記加湿器の上流下流間の温度差と、のうちのいずれか1つとその基準値との比較値に基づいて補正係数を求める補正係数演算工程と、
前記カソードの仮の湿度に前記補正係数を乗じることで前記カソードの湿度を求めるカソード湿度補正工程と、
を順に用いて前記固体高分子電解質膜の湿潤状態を判定することを特徴とする燃料電池システムの膜湿潤状態判定方法。 - 固体高分子電解質膜を挟むアノードとカソードとを備え反応ガスを供給されることにより発電を行う燃料電池と、前記燃料電池の環境条件を測定する環境条件測定手段と、前記燃料電池の温度条件を測定する燃料電池温度条件測定手段と、を備える燃料電池システムにおける前記固体高分子電解質膜の湿潤状態を判定する方法において、
前記環境条件測定手段により測定された環境条件値および前記燃料電池温度条件測定手段により測定された燃料電池の温度条件値に基づいて2つの判定値を求める判定値演算工程と、
予め作成されたマップを用いて前記2つの判定値に基づいて前記アノードの仮の湿度を求める仮アノード湿度演算工程と、
前記燃料電池の前記アノードから排出されるアノードオフガスを前記カソードから排出されるカソードオフガスによって希釈する希釈器の出口水素濃度と、前記希釈器の上流下流間の温度差と、前記燃料電池の前記カソードに供給されるカソードガスと前記カソードオフガスとの間で水分を授受する加湿器の上流下流間の圧力差と、前記加湿器の上流下流間の温度差と、のうちのいずれか1つとその基準値との比較値に基づいて補正係数を求める補正係数演算工程と、
前記アノードの仮の湿度に前記補正係数を乗じることで前記アノードの湿度を求めるアノード湿度補正工程と、
を順に用いて前記固体高分子電解質膜の湿潤状態を判定することを特徴とする燃料電池システムの膜湿潤状態判定方法。
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- 2010-04-01 JP JP2010085396A patent/JP2011216416A/ja not_active Ceased
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