JP2011216142A - 強誘電体記録媒体およびその製造方法、情報処理装置、ならびに情報処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強誘電体記録層上に保護層や潤滑剤層を形成した場合にも、安定した記録再生が可能な強誘電体記録媒体を提供する。
【解決手段】電極層上に強誘電体記録層を有する強誘電体記録媒体であって、前記強誘電体記録層上に絶縁性層を有し、かつ該絶縁性層上に不連続な導電性被覆部を有する。情報の記録再生は導電性プローブを用いて、走査型非線形誘電体測定法に基づいて行なう。前記不連続な導電性被覆部は、導電性材料膜を逆スパッタすることによって製造する。
【選択図】図1
【解決手段】電極層上に強誘電体記録層を有する強誘電体記録媒体であって、前記強誘電体記録層上に絶縁性層を有し、かつ該絶縁性層上に不連続な導電性被覆部を有する。情報の記録再生は導電性プローブを用いて、走査型非線形誘電体測定法に基づいて行なう。前記不連続な導電性被覆部は、導電性材料膜を逆スパッタすることによって製造する。
【選択図】図1
Description
本発明は、強誘電体の分極反転を利用して情報を記録することが可能な強誘電体記録媒体およびその製造方法に関するものである。
更に本発明は、前記強誘電体記録媒体を含む情報処理装置、および前記強誘電体記録媒体を用いる情報処理方法に関するものである。
更に本発明は、前記強誘電体記録媒体を含む情報処理装置、および前記強誘電体記録媒体を用いる情報処理方法に関するものである。
近年、テラバイト級の情報を高速に伝達するための手段が著しく発達し、莫大な情報をもつ画像およびデータ転送が可能となった。このデータ転送技術の向上とともに、情報を記録、再生および保存するための記録再生装置および記録媒体には更なる高記録容量化が要求されている。しかし、HDD(Hard Disc Drive)に代表される磁気記録は、長手記録では熱揺らぎにより記録密度が100Gbit/inch2程度が限界であり、垂直記録を行ったとしても、1Tbit/inch2程度が限界とされている。また、熱記録媒体も知られているが、記録に熱伝導が介在するため、実現可能な記録密度は500Gbit/inch2〜1Tbit/inch2程度である。
これに対し近年、高容量記録媒体として、強誘電体の自発分極を利用した記録方式(強誘電体記録)が注目を集めている。強誘電体記録は、外部電界印加による強誘電体の自発分極を利用することにより、従来の記録方式を大きく超える高容量化を達成できる可能性がある。
上記強誘電体記録媒体への情報の記録は、電極層上に形成した強誘電体記録層上でSTM(走査型トンネル顕微鏡)、AFM(原子間力顕微鏡)等の導電性プローブを走査することによりプローブと電極層との間に電界を印加し、この電界により強誘電体記録層において分極反転を起こし微小ドメイン(分極領域)を形成することにより行われる。こうして記録された情報も、強誘電体記録層上で導電性プローブを走査することにより行われる。このような記録方式では、プローブとの接触や衝突によって強誘電体記録層に破損や磨耗が発生することが懸念される。そこで、これらを防止するために強誘電体記録層上に保護層を設けることや、強誘電体記録層上に潤滑剤層を形成することが提案されている(特許文献1および2参照)。
上記のように強誘電体記録層上に保護層や潤滑剤層を形成することは、強誘電体記録媒体の耐久性を高めるうえで有効な手段である。しかし本発明者の検討の結果、上記のように強誘電体層上に保護層等を形成した記録媒体では、安定した記録再生が困難となる場合があることが判明した。
そこで本発明の目的は、強誘電体記録層上に保護層や潤滑剤層を形成した場合にも、安定した記録再生が可能な強誘電体記録媒体を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、記録層上に設けた層が絶縁性であると、該層の表面が帯電しプローブと媒体との間の距離制御に不具合が生じることが安定した記録再生が困難になる原因であるとの結論を得るに至った。これは、媒体表面が帯電すると、プローブと媒体との間にクーロン力による斥力または引力が働くためである。しかし、強誘電体記録では、局所的に電界を印加することにより記録層に微小ドメイン(分極領域)を形成するため、記録層上に設けた層の導電性が高いと局所的な電界印加が不可能となりシャープな記録ビットを形成することできず記録特性が低下することとなる。
以上の知見に基づき本発明者は更に検討を重ねた結果、記録層の保護等を目的として記録層上に形成する層を、絶縁性層上に局所的に導電性領域を設けた構成とすることにより、上記目的が達成できることを見出した。これは、局所的に設けた導電性領域が帯電防止の役割を果たしたうえで、導電性領域によって被覆されていない部分で局所的な電界印加が可能になるためと考えられる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
以上の知見に基づき本発明者は更に検討を重ねた結果、記録層の保護等を目的として記録層上に形成する層を、絶縁性層上に局所的に導電性領域を設けた構成とすることにより、上記目的が達成できることを見出した。これは、局所的に設けた導電性領域が帯電防止の役割を果たしたうえで、導電性領域によって被覆されていない部分で局所的な電界印加が可能になるためと考えられる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]電極層上に強誘電体記録層を有する強誘電体記録媒体であって、
前記強誘電体記録層上に絶縁性層を有し、かつ該絶縁性層上に不連続な導電性被覆部を有することを特徴とする強誘電体記録媒体。
[2]前記導電性被覆部による絶縁性層表面の被覆率は、10〜70%の範囲である[1]に記載の強誘電体記録媒体。
[3]前記導電性被覆部の厚さは、0.2〜10nmの範囲である[1]または[2]に記載の強誘電体記録媒体。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の強誘電体記録媒体と、
上記強誘電体記録媒体に対し情報の記録および/または再生を行う導電性プローブを有する情報処理ヘッドと、
を含む情報処理装置。
[5]前記情報処理ヘッドは、走査型非線形誘電体測定法に基づき情報の記録および/または再生を行うヘッドである、[4]に記載の情報処理装置。
[6][1]〜[3]のいずれかに記載の強誘電体記録媒体における情報処理方法であって、
情報処理ヘッドの導電性プローブと上記強誘電体記録媒体に含まれる電極層との間に電界を印加することにより、該強誘電体記録媒体に含まれる強誘電体記録層に分極領域を形成することによって情報を記録する、前記情報処理方法。
[7]前記情報を、前記強誘電体記録媒体が有する導電性被覆部の平均直径よりも大きなビット長で記録する、[6]に記載の情報処理方法。
[8]前記記録された情報を、走査型非線形誘電体測定法に基づき再生する、[6]または[7]に記載の情報処理方法。
[9][1]〜[3]のいずれかに記載の強誘電体記録媒体の製造方法であって、
前記絶縁性層の形成後、該絶縁性層上に導電性材料をスポット状に堆積させることにより前記導電性被覆部を形成することを特徴とする、前記製造方法。
[10]前記導電性被覆部の形成を、導電性材料膜を逆スパッタすることにより飛散したスパッタ粒子を前記絶縁性層上に堆積させることにより行う、[9]に記載の製造方法。
[1]電極層上に強誘電体記録層を有する強誘電体記録媒体であって、
前記強誘電体記録層上に絶縁性層を有し、かつ該絶縁性層上に不連続な導電性被覆部を有することを特徴とする強誘電体記録媒体。
[2]前記導電性被覆部による絶縁性層表面の被覆率は、10〜70%の範囲である[1]に記載の強誘電体記録媒体。
[3]前記導電性被覆部の厚さは、0.2〜10nmの範囲である[1]または[2]に記載の強誘電体記録媒体。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の強誘電体記録媒体と、
上記強誘電体記録媒体に対し情報の記録および/または再生を行う導電性プローブを有する情報処理ヘッドと、
を含む情報処理装置。
[5]前記情報処理ヘッドは、走査型非線形誘電体測定法に基づき情報の記録および/または再生を行うヘッドである、[4]に記載の情報処理装置。
[6][1]〜[3]のいずれかに記載の強誘電体記録媒体における情報処理方法であって、
情報処理ヘッドの導電性プローブと上記強誘電体記録媒体に含まれる電極層との間に電界を印加することにより、該強誘電体記録媒体に含まれる強誘電体記録層に分極領域を形成することによって情報を記録する、前記情報処理方法。
[7]前記情報を、前記強誘電体記録媒体が有する導電性被覆部の平均直径よりも大きなビット長で記録する、[6]に記載の情報処理方法。
[8]前記記録された情報を、走査型非線形誘電体測定法に基づき再生する、[6]または[7]に記載の情報処理方法。
[9][1]〜[3]のいずれかに記載の強誘電体記録媒体の製造方法であって、
前記絶縁性層の形成後、該絶縁性層上に導電性材料をスポット状に堆積させることにより前記導電性被覆部を形成することを特徴とする、前記製造方法。
[10]前記導電性被覆部の形成を、導電性材料膜を逆スパッタすることにより飛散したスパッタ粒子を前記絶縁性層上に堆積させることにより行う、[9]に記載の製造方法。
本発明によれば、耐久性低下を抑制しつつ、安定な記録再生が可能な強誘電体記録媒体を提供することができる。
[強誘電体記録媒体]
本発明は、電極層上に強誘電体記録層を有する強誘電体記録媒体に関する。本発明の強誘電体記録媒体は、前記強誘電体記録層上に絶縁性層を有し、かつ該絶縁性層上に不連続な導電性被覆部を有するものである。前述のように、上記構成とすることにより、導電性被覆部による帯電防止と未被覆領域(絶縁性)における局所的な電界印加が可能となり、耐久性低下抑制と安定な記録再生を両立することができる。
なお、本発明において「強誘電体記録層」とは、強誘電体の分極反転を利用して情報の記録が可能な層を意味し、「導電性被覆部」とは、該被覆部を構成する材料の比抵抗が1×103Ω・mより低いことを意味し、「絶縁性層」とは、該層を構成する材料の比抵抗が1×103Ω・m以上であることを意味するものとする。また、以下に記載の「導電性」、「導電体」、「絶縁性」、「絶縁体」についても同様である。導電性被覆部を構成する材料の比抵抗は、帯電防止効果の点からは、1×100Ω・m以下であることが好ましく、1×10-6Ω・m以下であることがより好ましい。その下限値は特に限定されるものではないが、入手可能な導電性材料の比抵抗を考慮すると、1×10-8Ω・m程度である。
また、シャープな記録ビットを形成するうえで、絶縁性層を構成する材料の比抵抗は、1×106Ω・m以上であることが好ましい。その上限値は特に限定されるものではないが、入手可能な絶縁性材料の比抵抗を考慮すると、1×1018Ω・m程度である。
以上説明した比抵抗は、例えば四探針法、二重リング方式(二重リング電極法)、またはJIS C 6471に準拠した方法等によって測定することができる。一般に、低抵抗材料の比抵抗は、四探針法によって測定することが好ましく、高抵抗材料の比抵抗は二重リング方式またはJIS C 6471に準拠した方法によって測定することが好ましい。したがって、上記導電性被覆部を構成する材料(導電性材料)の比抵抗は、四探針法により測定することが好ましい。四探針法による測定には、例えば三菱化学アナリテック製抵抗率計ロレスタGPを使用することができる。一方、絶縁性層を構成する材料(絶縁性材料)の比抵抗は、二重リング方式またはJIS C 6471に準拠した方法により測定することが好ましい。二重リング方式による測定には、例えば三菱化学アナリテック製抵抗率計ハイレスタHPを使用することができる。
本発明は、電極層上に強誘電体記録層を有する強誘電体記録媒体に関する。本発明の強誘電体記録媒体は、前記強誘電体記録層上に絶縁性層を有し、かつ該絶縁性層上に不連続な導電性被覆部を有するものである。前述のように、上記構成とすることにより、導電性被覆部による帯電防止と未被覆領域(絶縁性)における局所的な電界印加が可能となり、耐久性低下抑制と安定な記録再生を両立することができる。
なお、本発明において「強誘電体記録層」とは、強誘電体の分極反転を利用して情報の記録が可能な層を意味し、「導電性被覆部」とは、該被覆部を構成する材料の比抵抗が1×103Ω・mより低いことを意味し、「絶縁性層」とは、該層を構成する材料の比抵抗が1×103Ω・m以上であることを意味するものとする。また、以下に記載の「導電性」、「導電体」、「絶縁性」、「絶縁体」についても同様である。導電性被覆部を構成する材料の比抵抗は、帯電防止効果の点からは、1×100Ω・m以下であることが好ましく、1×10-6Ω・m以下であることがより好ましい。その下限値は特に限定されるものではないが、入手可能な導電性材料の比抵抗を考慮すると、1×10-8Ω・m程度である。
また、シャープな記録ビットを形成するうえで、絶縁性層を構成する材料の比抵抗は、1×106Ω・m以上であることが好ましい。その上限値は特に限定されるものではないが、入手可能な絶縁性材料の比抵抗を考慮すると、1×1018Ω・m程度である。
以上説明した比抵抗は、例えば四探針法、二重リング方式(二重リング電極法)、またはJIS C 6471に準拠した方法等によって測定することができる。一般に、低抵抗材料の比抵抗は、四探針法によって測定することが好ましく、高抵抗材料の比抵抗は二重リング方式またはJIS C 6471に準拠した方法によって測定することが好ましい。したがって、上記導電性被覆部を構成する材料(導電性材料)の比抵抗は、四探針法により測定することが好ましい。四探針法による測定には、例えば三菱化学アナリテック製抵抗率計ロレスタGPを使用することができる。一方、絶縁性層を構成する材料(絶縁性材料)の比抵抗は、二重リング方式またはJIS C 6471に準拠した方法により測定することが好ましい。二重リング方式による測定には、例えば三菱化学アナリテック製抵抗率計ハイレスタHPを使用することができる。
本発明の強誘電体記録媒体は、電極層上に強誘電体記録層、絶縁性層、および不連続な導電性被覆部をこの順に有する。上記層構成を有する、本発明の記録媒体の層構成の一例(概略断面図)を、図1に示す。図1に示すように、本発明の記録媒体において導電性被覆部は連続相ではなく不連続相であるため、導電性被覆部によって被覆されていない部分において、下層の絶縁性層が露出する。これにより、強誘電体記録層上に導電性領域と絶縁性領域が形成されるため、導電性領域(導電性被覆部)において帯電防止、絶縁性領域においてシャープな記録ビット形成が、それぞれ可能となる。
以下、本発明の強誘電体記録媒体(以下、単に「記録媒体」または「媒体」ともいう)について、更に詳細に説明する。
以下、本発明の強誘電体記録媒体(以下、単に「記録媒体」または「媒体」ともいう)について、更に詳細に説明する。
電極層
電極層は、スパッタや蒸着等の手段で、例えば後述する強誘電体記録層上に導電性薄膜を形成することにより作製することができる。導電性薄膜の材料としては、アルミニウム、クロム、白金等の金属材料や耐食性に優れたInO2等の酸化物導電膜を用いることができる。または、基板を導電性材料から構成することにより、該基板を電極層として機能させることもできる。上記電極層は、導電性プローブの対向電極として機能するものである。
電極層は、スパッタや蒸着等の手段で、例えば後述する強誘電体記録層上に導電性薄膜を形成することにより作製することができる。導電性薄膜の材料としては、アルミニウム、クロム、白金等の金属材料や耐食性に優れたInO2等の酸化物導電膜を用いることができる。または、基板を導電性材料から構成することにより、該基板を電極層として機能させることもできる。上記電極層は、導電性プローブの対向電極として機能するものである。
基板上に電極層を設ける態様では、基板の電気的特性は特に限定されず、絶縁体、導電体のいずれであってもよい。基板材料については、例えば特開平9−198729号公報段落[0047]〜[0049]を参照できる。基板への電極層の固着は、樹脂系の接着剤を使用する等、公知の方法で行うことができる。
以上説明した電極層の厚さは、例えば10〜500nmであり、基板の厚さは、例えば100μm〜1mmであるが、その目的を達成するものであればよく、上記厚さに限定されるものではない。
強誘電体記録層
強誘電体記録層を構成する強誘電体材料は、強誘電性を示すものであればよく特に限定されるものではない。電気的特性の点からは酸化物強誘電体が好ましく、その具体例としては、チタン酸鉛(PbTiO3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)等を挙げることができる。例えば、結晶面がZ−cutのLiTaO3単結晶は、情報を記録媒体の表面と垂直な分極方向に記録する強誘電体材料として適している。強誘電体記録層の膜厚は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上であり、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは70nm以下である。強誘電体記録層が薄すぎると、分極反転が困難となり、厚すぎると強誘電体記録層を分極反転するために必要な電圧が大きくなって、大きな書き込み電圧が必要になるからである。所望厚さの強誘電体記録層とするために、後述する絶縁層の形成前に、強誘電体記録層表面を機械加工(研磨、研削等)および/またはエッチングすることもできる。
強誘電体記録層を構成する強誘電体材料は、強誘電性を示すものであればよく特に限定されるものではない。電気的特性の点からは酸化物強誘電体が好ましく、その具体例としては、チタン酸鉛(PbTiO3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)等を挙げることができる。例えば、結晶面がZ−cutのLiTaO3単結晶は、情報を記録媒体の表面と垂直な分極方向に記録する強誘電体材料として適している。強誘電体記録層の膜厚は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上であり、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは70nm以下である。強誘電体記録層が薄すぎると、分極反転が困難となり、厚すぎると強誘電体記録層を分極反転するために必要な電圧が大きくなって、大きな書き込み電圧が必要になるからである。所望厚さの強誘電体記録層とするために、後述する絶縁層の形成前に、強誘電体記録層表面を機械加工(研磨、研削等)および/またはエッチングすることもできる。
上記強誘電体記録層に情報を記録し、保持する原理は以下のとおりである。すなわち、強誘電体は、その抗電界を超える電界を印加することによって分極方向が変化する性質を有する。また、強誘電体は、電界の印加によって分極方向を変化させると、その後、電界の印加を止めても、その分極方向を維持する性質を有する(自発分極)。これらの性質を利用して、情報を強誘電体記録層に記録し、保持する。例えば、強誘電体記録層全体の分極方向を、記録媒体の表面と垂直の一方向(例えば図2に示すように下向き)に予め揃えておく。そして、強誘電体記録層に、抗電界を超える電界を、記録媒体の表面と垂直な方向に、局所的に印加する。これにより、電界を印加した部分の分極方向が反転し、その後、電界の印加を止めても、当該分極方向は反転した状態が維持される。例えば、図2において、記録すべき情報が「0」および「1」からなる2値のデジタルデータである場合には、ビット状態「0」を下向きの分極方向に対応させ、ビット状態「1」を上向きの分極方向に対応させる。この場合には、ビット状態「1」を記録するときに限り、強誘電体記録層に電界を印加すればよい。このようにして、情報を強誘電体記録層に記録し、保持することができる。
一方、強誘電体記録層に分極方向として記録された情報を再生する原理は、以下のとおりである。すなわち、強誘電体の非線形誘電率は、分極方向によって異なる。この非線形誘電率の相違は、強誘電体に抗電界よりも小さい交番電界を、記録媒体の表面と垂直な方向に印加し、その状態で、強誘電体の容量変化を検出することにより知ることができる。このときの強誘電体の容量変化は微弱であるが、後述するSNDM方式によれば、これを高感度に検出することが可能である。このようにして強誘電体記録層の非線形誘電率(容量変化)を検出することにより、強誘電体記録層の分極方向を読み取ることで、記録した情報を再生することができる
一方、強誘電体記録層に分極方向として記録された情報を再生する原理は、以下のとおりである。すなわち、強誘電体の非線形誘電率は、分極方向によって異なる。この非線形誘電率の相違は、強誘電体に抗電界よりも小さい交番電界を、記録媒体の表面と垂直な方向に印加し、その状態で、強誘電体の容量変化を検出することにより知ることができる。このときの強誘電体の容量変化は微弱であるが、後述するSNDM方式によれば、これを高感度に検出することが可能である。このようにして強誘電体記録層の非線形誘電率(容量変化)を検出することにより、強誘電体記録層の分極方向を読み取ることで、記録した情報を再生することができる
ここで強誘電体記録層の導電性プローブ側の表面を導電性層によって被覆してしまうと、上記した局所的な電界印加ができずシャープな記録ビット(分極領域)を形成することが困難となる。他方、強誘電体記録層の導電性プローブ側の表面を絶縁性層のみで被覆すると、媒体表面の帯電によりプローブと媒体との間の距離制御に不具合が生じ、安定な記録再生を行うことができなくなる。
これに対し本発明では、強誘電体記録層上に、以下に記載の絶縁性層と導電性被覆部を設けることにより、帯電防止とシャープな記録ビットの形成、即ち高密度記録を両立することができる。
これに対し本発明では、強誘電体記録層上に、以下に記載の絶縁性層と導電性被覆部を設けることにより、帯電防止とシャープな記録ビットの形成、即ち高密度記録を両立することができる。
絶縁性層
前述の通り、強誘電体記録層上に導電性の連続相を設けるとシャープな記録ビットの形成が困難となるため、本発明の記録媒体には、連続相としては絶縁性層を設ける。絶縁性層は、絶縁性材料をスパッタ、蒸着等の公知の成膜方法によって強誘電体記録層上に形成することによって作製することができる。絶縁性層を構成する絶縁性材料としては、シリコン等の半導体、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の酸化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化ホウ素などの炭化物、高分子絶縁材料、などが使用可能である。強誘電体記録層を保護し、その耐久性低下を抑制する観点からは硬度が高い材料が好ましい。この点からは窒化物や炭化物が好ましいが、電気的特性の点からはシリコン等の半導体材料も好適である。
前述の通り、強誘電体記録層上に導電性の連続相を設けるとシャープな記録ビットの形成が困難となるため、本発明の記録媒体には、連続相としては絶縁性層を設ける。絶縁性層は、絶縁性材料をスパッタ、蒸着等の公知の成膜方法によって強誘電体記録層上に形成することによって作製することができる。絶縁性層を構成する絶縁性材料としては、シリコン等の半導体、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の酸化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化ホウ素などの炭化物、高分子絶縁材料、などが使用可能である。強誘電体記録層を保護し、その耐久性低下を抑制する観点からは硬度が高い材料が好ましい。この点からは窒化物や炭化物が好ましいが、電気的特性の点からはシリコン等の半導体材料も好適である。
上記絶縁性層は、強誘電体記録層をプローブとの接触による損傷や磨耗から保護する保護層として機能することができる。保護層として機能し得るためには、上記絶縁性層の厚さは0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましく、2nm以上であることが更に好ましい。一方、分極反転のために要する電圧を考慮すると、その厚さは50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることが更に好ましい。なお、本発明では、強誘電体記録層上に2層以上の絶縁性層を形成することも可能である。その場合、上記厚さは複数の絶縁性層の厚さの合計が、上記範囲にあることが好ましい。
導電性被覆部
本発明の記録媒体は、上記連続相である絶縁性層上に、不連続な導電性被覆部を有する。これにより媒体表面における帯電を防止することができる。導電性被覆部を構成する導電性材料としては、導電性を有するものである限り特に限定されるものではない。その具体例としては、カーボンブラック、黒鉛、金、銀、銅、白金、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、タングステン、タンタル、パラジウム、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化スズ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどが挙げられる。スポット状に被覆部を形成する容易性を考慮すると、金属材料が好ましい。
本発明の記録媒体は、上記連続相である絶縁性層上に、不連続な導電性被覆部を有する。これにより媒体表面における帯電を防止することができる。導電性被覆部を構成する導電性材料としては、導電性を有するものである限り特に限定されるものではない。その具体例としては、カーボンブラック、黒鉛、金、銀、銅、白金、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、タングステン、タンタル、パラジウム、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化スズ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどが挙げられる。スポット状に被覆部を形成する容易性を考慮すると、金属材料が好ましい。
前記導電性被覆部は、媒体表面の帯電防止に寄与するものであるが、連続相として設けるとシャープな記録ビットを形成することが困難となる。したがって本発明では、導電性被覆部は絶縁性層上に不連続に設けるものとする。ここで「不連続」とは、少なくとも一部において下層の絶縁性層が露出している状態をいうものとする。
なお、後述するように、記録再生時にはプローブを強誘電体記録媒体の表面(記録面)に接触させ、またはプローブを強誘電体記録媒体の表面のきわめて近い位置に接近させる。そのため、記録再生速度が速くなるほどプローブと媒体表面との接触による出力変動や磨耗が顕在化する傾向にある。したがって高速記録再生時(例えばスキャン速度300μm/s以上、更には500μm/s以上)には、上記現象の発生を防ぐために媒体表面の平滑性を高めることが好ましい。この観点から導電性被覆部の厚さは10nm以下であることが好ましく、7nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることが更に好ましい。また、同様の理由から媒体表面の平滑性については、原子間力顕微鏡で測定した表面平均粗さRaが、5.0nm以下であることが好ましく、2.0nm以下であることがより好ましい。上記Raの下限値は、特に限定されるものではないが、例えば0.1nm程度である。前記表面粗さRaは、例えば、日本ビーコ社製NanoscopeVにて、媒体表面の1μm角のRaを測定した値として求めることができる。
また、帯電防止の観点からは、導電性被覆部の厚さは0.2nm以上であることが好ましく、0.5nm以上であることがより好ましく、1nm以上であることが更に好ましい。
なお、後述するように、記録再生時にはプローブを強誘電体記録媒体の表面(記録面)に接触させ、またはプローブを強誘電体記録媒体の表面のきわめて近い位置に接近させる。そのため、記録再生速度が速くなるほどプローブと媒体表面との接触による出力変動や磨耗が顕在化する傾向にある。したがって高速記録再生時(例えばスキャン速度300μm/s以上、更には500μm/s以上)には、上記現象の発生を防ぐために媒体表面の平滑性を高めることが好ましい。この観点から導電性被覆部の厚さは10nm以下であることが好ましく、7nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることが更に好ましい。また、同様の理由から媒体表面の平滑性については、原子間力顕微鏡で測定した表面平均粗さRaが、5.0nm以下であることが好ましく、2.0nm以下であることがより好ましい。上記Raの下限値は、特に限定されるものではないが、例えば0.1nm程度である。前記表面粗さRaは、例えば、日本ビーコ社製NanoscopeVにて、媒体表面の1μm角のRaを測定した値として求めることができる。
また、帯電防止の観点からは、導電性被覆部の厚さは0.2nm以上であることが好ましく、0.5nm以上であることがより好ましく、1nm以上であることが更に好ましい。
前記導電性被覆部の大きさ(媒体表面を鉛直上方から観察した際の平面視面積)は、形成する記録ビット(分極領域)よりも小さいことが好ましい。導電性被覆部の大きさが記録ビットより大きいと、所望のビット長の記録ビットを形成することが困難となりSNR低下の原因となるからである。したがって、記録密度に応じて導電性被覆部の大きさを決定することが好ましいが、一般的な記録条件を考慮すると、平面視を同面積の円形状に近似した際の絶縁性層上の導電性被覆部の平均直径(円相当の平均直径)は1〜100nmの範囲であることが好ましく、2〜20nmの範囲であることが好ましく、3〜15nmの範囲であることが更に好ましい。上記平均直径は、SEMによる表面観察によって求めることができる。
また、前記導電性被覆部による絶縁性層表面の被覆率は、帯電を防止しつつ良好な記録再生を行う観点から、10〜70%の範囲であることが好ましく、15〜60%の範囲であることが好ましく、20〜55%の範囲であることがより好ましく、30〜55%の範囲であることが更に好ましい。
上記被覆率は、走査型電子顕微鏡(SEM)による画像解析によって求めることができる。即ち、導電性被覆部を形成した媒体表面をSEMにより観察すると、被覆部と未被覆の部分が白黒の濃淡差として現れたSEM画像が得られる。このSEM画像を2値化処理して被覆部と未被覆の部分とに分けることにより、絶縁性層表面上で導電性被覆部が占める割合、即ち被覆率を求めることができる。
上記被覆率は、走査型電子顕微鏡(SEM)による画像解析によって求めることができる。即ち、導電性被覆部を形成した媒体表面をSEMにより観察すると、被覆部と未被覆の部分が白黒の濃淡差として現れたSEM画像が得られる。このSEM画像を2値化処理して被覆部と未被覆の部分とに分けることにより、絶縁性層表面上で導電性被覆部が占める割合、即ち被覆率を求めることができる。
上記導電性被覆部は、連続相として形成した導電性膜をエッチングすることによって形成することができ、絶縁性層上に導電性材料をスポット状に堆積させることによって形成することもできる。微小な導電性被覆部を容易かつ短時間で形成できるため後者の方法を採用することが好ましい。より好ましい方法としては、導電性材料膜を逆スパッタすることにより飛散させたスパッタ粒子を、絶縁性層上に堆積させる方法を挙げることができる。そのような方法の一例を、図3を参照し説明する。
図3に、スパッタおよび逆スパッタを利用して絶縁性層上にTaからなる導電性被覆部を形成するためのスパッタリング装置の概略図を示す。
まず、不活性ガス雰囲気としたチャンバー内で、図3上図に示すように基板ホルダーとTaターゲットとの間に電圧を印加することによりスパッタリングを行い基板ホルダー上にTa膜を形成する。
次いで、Taターゲットをシャッターにより遮断した状態で、上記形成したTa膜上に基板を配置する。ここで基板は、絶縁性層を上方(シャッター側)に向けて配置する。この状態で基板ホルダーに対して高周波電圧(例えば100kHz〜100MHz)を印加すると、Ta膜が逆スパッタ(スパッタエッチング)されてTaのスパッタ粒子が飛散する。この飛散したスパッタ粒子が絶縁性層上に堆積することにより、絶縁性層上に導電性被覆部を形成することができる。
上記方法によれば、スパッタ粒子が絶縁性層上で自己組織化することにより孤立微粒子として導電性被覆部を形成することが可能である。以上の方法の詳細については、特開2009−129492号公報を参照することができる。
なお、上記方法では逆スパッタによってスパッタ粒子が絶縁性層上に供給されると、絶縁性層表面上でスパッタ粒子がドットを形成し、更に逆スパッタを継続するとドットが凝集し高さ方向に成長する。したがって、上記方法によると、逆スパッタ時間を長くするほど被覆率が低くなり導電性被覆部の厚さは厚くなる。したがって、導電性被覆部による被覆率および導電性被覆部の厚さは、逆スパッタ時間によって制御可能である。
まず、不活性ガス雰囲気としたチャンバー内で、図3上図に示すように基板ホルダーとTaターゲットとの間に電圧を印加することによりスパッタリングを行い基板ホルダー上にTa膜を形成する。
次いで、Taターゲットをシャッターにより遮断した状態で、上記形成したTa膜上に基板を配置する。ここで基板は、絶縁性層を上方(シャッター側)に向けて配置する。この状態で基板ホルダーに対して高周波電圧(例えば100kHz〜100MHz)を印加すると、Ta膜が逆スパッタ(スパッタエッチング)されてTaのスパッタ粒子が飛散する。この飛散したスパッタ粒子が絶縁性層上に堆積することにより、絶縁性層上に導電性被覆部を形成することができる。
上記方法によれば、スパッタ粒子が絶縁性層上で自己組織化することにより孤立微粒子として導電性被覆部を形成することが可能である。以上の方法の詳細については、特開2009−129492号公報を参照することができる。
なお、上記方法では逆スパッタによってスパッタ粒子が絶縁性層上に供給されると、絶縁性層表面上でスパッタ粒子がドットを形成し、更に逆スパッタを継続するとドットが凝集し高さ方向に成長する。したがって、上記方法によると、逆スパッタ時間を長くするほど被覆率が低くなり導電性被覆部の厚さは厚くなる。したがって、導電性被覆部による被覆率および導電性被覆部の厚さは、逆スパッタ時間によって制御可能である。
以上の工程により、電極層上に、強誘電体記録層、絶縁性層、および不連続な導電性被覆部、をこの順に有する、本発明の強誘電体記録媒体を得ることができる。本発明の強誘電体記録媒体は、ディスク状等の任意の形状であることができる。また、本発明の強誘電体記録媒体は、片面のみに上記層構成を有するもの(片面記録)でもよく、両面に有するもの(両面記録)でもよい。なお、本発明の強誘電体記録媒体は、上記した層以外にも、強誘電体記録媒体に形成可能な層を有することができる。例えば本発明の強誘電体記録媒体は、プローブとの接触による磨耗を抑制するために最表面に潤滑剤層を有することも可能である。ただしこの場合には、形成する潤滑剤層は導電性層ではないものとする。これは強誘電体記録層上の全面に導電性層を形成することは、先に説明した通りシャープな記録ビットの形成を不可能とするからである。また、絶縁性層である潤滑剤層を形成する場合には、潤滑剤層により導電性被覆部による帯電防止効果を阻害しない範囲の膜厚とすべきである。この点から導電性被覆部上に形成する潤滑剤層の厚さは5nm以下であることが好ましく、潤滑効果と帯電防止効果とを両立する点からは1nm〜5nmの範囲であることが好ましい。上記潤滑剤層を形成する潤滑剤としては、固体潤滑剤が好ましい。中でも、ステアリン酸などの飽和脂肪酸、フタロシアニン等の染料、パーフルオロポリエーテル(PFPE)などのフッ素系樹脂など、特にPFPEなどのフッ素系樹脂が、潤滑性が良く好ましい。その具体例としては、ソルベイ・ソクシス株式会社(Solvay Solexis K.K.)製Fomblin Z−tetraol、Fomblin Z−dol、および株式会社松村石油研究所(Matsumura Oil Research Corp.)製のMoresco Phosparol A20Hなどのフォンブリン系、またはダイキン工業社製Demnum−SA(商標登録)などのデムナム系のような潤滑剤を挙げることができる。上記潤滑剤を、スピンコート法、ディップ法等の公知の塗布方法で媒体表面に塗布することにより潤滑剤層を形成することができる。
以上説明した本発明の強誘電体記録媒体へ情報を記録および再生する方法については、後述する。
[情報処理装置]
本発明の情報処理装置は、本発明の強誘電体記録媒体と、上記強誘電体記録媒体に対し情報の記録および/または再生を行う導電性プローブを有する情報処理ヘッドと、を含むものである。上記情報処理ヘッドとしては、STM(走査型トンネル顕微鏡)やAFM(原子間力顕微鏡)等の走査型プローブ顕微鏡を用いることができ、中でも、高密度記録および高感度再生を実現するためには、走査型非線形誘電体測定法に基づき情報の記録および/または再生を行うものが好ましい。走査型非線形誘電体測定法とは、SNDM(Scanning Nonlinear Dielectric Microscopy:走査型非線形誘電率顕微鏡)の技術を適用した測定法(SNDM方式)である。以下に、その概要を説明する。
本発明の情報処理装置は、本発明の強誘電体記録媒体と、上記強誘電体記録媒体に対し情報の記録および/または再生を行う導電性プローブを有する情報処理ヘッドと、を含むものである。上記情報処理ヘッドとしては、STM(走査型トンネル顕微鏡)やAFM(原子間力顕微鏡)等の走査型プローブ顕微鏡を用いることができ、中でも、高密度記録および高感度再生を実現するためには、走査型非線形誘電体測定法に基づき情報の記録および/または再生を行うものが好ましい。走査型非線形誘電体測定法とは、SNDM(Scanning Nonlinear Dielectric Microscopy:走査型非線形誘電率顕微鏡)の技術を適用した測定法(SNDM方式)である。以下に、その概要を説明する。
情報の記録・再生には、タングステン等の金属から形成されたナノメートルスケールのプローブ(導電性プローブ)を用いる。強誘電体記録媒体に情報を記録するときには、プローブを媒体表面上で走査させる。ここでプローブは、強誘電体記録媒体の表面(記録面)に接触させ、またはプローブを強誘電体記録媒体の表面のきわめて近い位置に接近させる。そして、プローブから強誘電体記録媒体に抗電界を超える電界を印加し、プローブ直下の強誘電体記録媒体の分極方向を反転させる。この印加電圧を記録すべき情報に従ってレベルが変化するパルス信号とし、これを、プローブを介して強誘電体記録媒体に印加しながら、強誘電体記録媒体に対するプローブの位置を強誘電体記録媒体の表面に平行な方向に移動させる。これにより、情報を強誘電体記録媒体の分極状態として記録することができる。
一方、強誘電体記録媒体に記録された情報を再生するときには、強誘電体の分極方向に従って強誘電体の非線形誘電率が異なることを利用する。すなわち、強誘電体記録媒体の非線形誘電率を強誘電体記録媒体の容量の変化を検出することによって読み取り、これにより、強誘電体記録媒体の分極状態として記録されている情報を再生する。具体的には、プローブを強誘電体記録媒体の表面に接触させ、またはプローブを強誘電体記録媒体の表面のきわめて近い位置に接近させる。そして、強誘電体記録媒体に、抗電界よりも小さい交番電界を印加し、強誘電体記録媒体の容量が交番的に変化する状態を作る。この状態で、強誘電体記録媒体の容量変化を、プローブを介して検出し、情報を再生する。
以上説明したSNDM方式による記録再生に好適な記録再生ヘッドについては、特許第4141745号明細書に詳細に記載されており、本発明でも同明細書記載のヘッドを採用することができる。
[情報処理方法]
更に本発明は、本発明の強誘電体記録媒体における情報処理方法にも関する。本発明の情報処理方法では、情報処理ヘッドの導電性プローブと上記強誘電体記録媒体に含まれる電極層との間に電界を印加することにより、該強誘電体記録媒体に含まれる強誘電体記録層に分極領域を形成することによって情報を記録することを含む。先に説明したように、ここで形成する分極領域(記録ビット)は、前記強誘電体記録媒体が有する導電性被覆部よりも平面視面積が大きなものであることが好ましい。したがって導電性被覆部の平均直径より大きなビット長で上記記録を行うことが好ましい。
更に上記情報処理方法では、記録された情報を、走査型非線形誘電体測定法に基づき(SNDM方式で)再生することが、高感度再生の点から好ましい。
本発明の情報処理方法の詳細は、上述した通りである。
更に本発明は、本発明の強誘電体記録媒体における情報処理方法にも関する。本発明の情報処理方法では、情報処理ヘッドの導電性プローブと上記強誘電体記録媒体に含まれる電極層との間に電界を印加することにより、該強誘電体記録媒体に含まれる強誘電体記録層に分極領域を形成することによって情報を記録することを含む。先に説明したように、ここで形成する分極領域(記録ビット)は、前記強誘電体記録媒体が有する導電性被覆部よりも平面視面積が大きなものであることが好ましい。したがって導電性被覆部の平均直径より大きなビット長で上記記録を行うことが好ましい。
更に上記情報処理方法では、記録された情報を、走査型非線形誘電体測定法に基づき(SNDM方式で)再生することが、高感度再生の点から好ましい。
本発明の情報処理方法の詳細は、上述した通りである。
[情報記録媒体の製造方法]
更に本発明は、本発明の強誘電体記録媒体の製造方法にも関する。本発明の製造方法では、絶縁性層の形成後、該絶縁性層上に導電性材料をスポット状に堆積させることにより前記導電性被覆部を形成する。好ましくは、前記導電性被覆部の形成を、導電性材料膜を逆スパッタすることにより飛散したスパッタ粒子を前記絶縁性層上に堆積させることにより行う。
本発明の製造方法の詳細も、上述した通りである。
更に本発明は、本発明の強誘電体記録媒体の製造方法にも関する。本発明の製造方法では、絶縁性層の形成後、該絶縁性層上に導電性材料をスポット状に堆積させることにより前記導電性被覆部を形成する。好ましくは、前記導電性被覆部の形成を、導電性材料膜を逆スパッタすることにより飛散したスパッタ粒子を前記絶縁性層上に堆積させることにより行う。
本発明の製造方法の詳細も、上述した通りである。
以下、本発明を実施例により説明する。ただし本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1]
図4に概略を示す工程により、図1に示す層構成を有する強誘電体記録媒体を作製した。以下に、その具体的工程を説明する。
厚さ250μmのZカットLiTaO3単結晶板(図4中、「LT単結晶」と記載)の片面に、スパッタにより厚さ100nmのクロム膜(導電性膜)を成膜した(図4(1)、(2))。
形成したクロム層を樹脂製の接着剤によって、厚さ625μmのシリコンウエハーに固着した(図4(3))。
その後、LiTaO3単結晶板を厚さ1μmまで機械研磨した後、ドライエッチングにより最終厚み50nmとした(図4(4)、(5))。
上記ドライエッチング後のLiTaO3単結晶板表面に、Siターゲットを用いてスパッタ(アルゴン雰囲気下、0.5Pa、RF電圧200W)により厚み3nmの絶縁性保護層(シリコン膜)を成膜した(図4(6))。
次いで、図3に示すスパッタリング装置内で逆スパッタによりTaからなる導電性被覆部をスポット状に形成した。上記導電性被覆部の形成は、以下のように行った。
まず、図3上図に示す状態に基板ホルダーとTaターゲットを配置したチャンバー内をAr雰囲気(圧力0.5Pa)とし、Taターゲットと基板ホルダーとの間に300WのDC電圧を印加し、基板ホルダー上にスパッタにより厚さ100nmのTa膜を成膜した。
その後、シリコン膜を成膜した積層体を、シリコン膜をTaターゲット側に向けた状態でチャンバー内に配置した後、チャンバーをAr雰囲気(圧力0.5Pa)としてTaターゲットをシャッターで遮断した状態で基板ホルダーに高周波RF電圧(180W)を印加した。電圧を900秒間印加することにより、基板ホルダー上のTa膜から逆スパッタにより飛散したスパッタ粒子(Ta粒子)がシリコン膜上で自己組織化しTaからなる導電性被覆部が形成された。
以上の工程により、強誘電体記録媒体を得た。
図4に概略を示す工程により、図1に示す層構成を有する強誘電体記録媒体を作製した。以下に、その具体的工程を説明する。
厚さ250μmのZカットLiTaO3単結晶板(図4中、「LT単結晶」と記載)の片面に、スパッタにより厚さ100nmのクロム膜(導電性膜)を成膜した(図4(1)、(2))。
形成したクロム層を樹脂製の接着剤によって、厚さ625μmのシリコンウエハーに固着した(図4(3))。
その後、LiTaO3単結晶板を厚さ1μmまで機械研磨した後、ドライエッチングにより最終厚み50nmとした(図4(4)、(5))。
上記ドライエッチング後のLiTaO3単結晶板表面に、Siターゲットを用いてスパッタ(アルゴン雰囲気下、0.5Pa、RF電圧200W)により厚み3nmの絶縁性保護層(シリコン膜)を成膜した(図4(6))。
次いで、図3に示すスパッタリング装置内で逆スパッタによりTaからなる導電性被覆部をスポット状に形成した。上記導電性被覆部の形成は、以下のように行った。
まず、図3上図に示す状態に基板ホルダーとTaターゲットを配置したチャンバー内をAr雰囲気(圧力0.5Pa)とし、Taターゲットと基板ホルダーとの間に300WのDC電圧を印加し、基板ホルダー上にスパッタにより厚さ100nmのTa膜を成膜した。
その後、シリコン膜を成膜した積層体を、シリコン膜をTaターゲット側に向けた状態でチャンバー内に配置した後、チャンバーをAr雰囲気(圧力0.5Pa)としてTaターゲットをシャッターで遮断した状態で基板ホルダーに高周波RF電圧(180W)を印加した。電圧を900秒間印加することにより、基板ホルダー上のTa膜から逆スパッタにより飛散したスパッタ粒子(Ta粒子)がシリコン膜上で自己組織化しTaからなる導電性被覆部が形成された。
以上の工程により、強誘電体記録媒体を得た。
[実施例2]
TaターゲットをWターゲットに変更し、シリコン膜上にWからなる導電性被覆部を形成した点以外、実施例1と同様の方法で強誘電体記録媒体を作製した。
TaターゲットをWターゲットに変更し、シリコン膜上にWからなる導電性被覆部を形成した点以外、実施例1と同様の方法で強誘電体記録媒体を作製した。
[実施例3]
逆スパッタにおける電圧印加時間を600秒に変更した点以外、実施例1と同様の方法で強誘電体記録媒体を作製した。
逆スパッタにおける電圧印加時間を600秒に変更した点以外、実施例1と同様の方法で強誘電体記録媒体を作製した。
[実施例4]
逆スパッタにおける電圧印加時間を1200秒に変更した点以外、実施例1と同様の方法で強誘電体記録媒体を作製した。
逆スパッタにおける電圧印加時間を1200秒に変更した点以外、実施例1と同様の方法で強誘電体記録媒体を作製した。
[比較例1]
ドライエッチング後のLiTaO3単結晶板表面にスピンコート法によりパーフルオロポリエーテル(PFPE)潤滑剤を塗布し膜厚20nmの潤滑剤層を形成し、導電性被覆部の形成を行わなかった点以外、実施例1と同様の方法で強誘電体記録媒体を作製した。
ドライエッチング後のLiTaO3単結晶板表面にスピンコート法によりパーフルオロポリエーテル(PFPE)潤滑剤を塗布し膜厚20nmの潤滑剤層を形成し、導電性被覆部の形成を行わなかった点以外、実施例1と同様の方法で強誘電体記録媒体を作製した。
[比較例2]
導電性被覆部の形成を行わなかった点以外、実施例1と同様の方法で強誘電体記録媒体を作製した。
導電性被覆部の形成を行わなかった点以外、実施例1と同様の方法で強誘電体記録媒体を作製した。
比抵抗の測定
実施例1〜4で導電性被覆部の形成材料として使用したTa、W、実施例1〜4、比較例2で絶縁性層の形成材料として使用したSi、比較例1で潤滑剤層形成のために使用したPFPE潤滑剤の比抵抗を、以下の方法で測定した。
(1)Ta、Wの比抵抗の測定
実施例1〜4で用いたターゲットを用い、実施例1〜4と同一スパッタ条件でガラス基板上に膜厚100nmのTa薄膜、W薄膜をそれぞれ形成し、三菱化学アナリテック製抵抗率計ロレスタGPを用いて四探針法により抵抗率(比抵抗)を測定した。
(2)Siの比抵抗の測定
実施例1〜4および比較例2で使用したSiターゲットの抵抗率を、三菱化学アナリテック製抵抗率計ハイレスタHPを用いて二重リング方式により測定した。
(3)PFPEの比抵抗の測定
比較例1で使用したPFPE潤滑剤の抵抗率を、JIS C 6471に準拠した方法で測定した。
(4)測定結果
上記測定結果を以下に示す。
Ta:1.3×10-7Ω・m
W:5.3×10-8Ω・m
Si:4.0×103Ω・m
PFPE:2.9×1012Ω・m
実施例1〜4で導電性被覆部の形成材料として使用したTa、W、実施例1〜4、比較例2で絶縁性層の形成材料として使用したSi、比較例1で潤滑剤層形成のために使用したPFPE潤滑剤の比抵抗を、以下の方法で測定した。
(1)Ta、Wの比抵抗の測定
実施例1〜4で用いたターゲットを用い、実施例1〜4と同一スパッタ条件でガラス基板上に膜厚100nmのTa薄膜、W薄膜をそれぞれ形成し、三菱化学アナリテック製抵抗率計ロレスタGPを用いて四探針法により抵抗率(比抵抗)を測定した。
(2)Siの比抵抗の測定
実施例1〜4および比較例2で使用したSiターゲットの抵抗率を、三菱化学アナリテック製抵抗率計ハイレスタHPを用いて二重リング方式により測定した。
(3)PFPEの比抵抗の測定
比較例1で使用したPFPE潤滑剤の抵抗率を、JIS C 6471に準拠した方法で測定した。
(4)測定結果
上記測定結果を以下に示す。
Ta:1.3×10-7Ω・m
W:5.3×10-8Ω・m
Si:4.0×103Ω・m
PFPE:2.9×1012Ω・m
評価方法
1.連続再生試験
走査型非線形誘電率顕微鏡(SII−NT社製 E−Sweep/NanoNavi型走査型プローブ顕微鏡(プローブ DF3−R)、非接触型)、スキャン幅50μm、スキャン速度100μm/s、スキャン周波数1Hzで強誘電体記録層上をスキャンし、帯電により媒体−プローブ間の距離制御不具合によるスキャン不可が生じず連続スキャン可能な時間を連続再生可能時間とした。
2.記録再生特性の評価
上記1.で使用した走査型非線形誘電率顕微鏡により、ビット長100nm、スペース長100nmのビット列を強誘電体記録層に記録し、非線形誘電率顕微鏡(SNDM)モードにより再生を行った際のSNRを測定した。SNRが5dB以上であれば、高感度かつ低ノイズでの再生が可能であると判断することができる。
3.導電性被覆部による被覆率、平均直径
実施例の媒体について、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率200,000倍で表面観察を行い得られたSEM画像を2値化処理することにより、絶縁性層表面の導電性被覆部による被覆率を求めた。図5に、実施例1、3、4のSEM画像を示す。また、上記SEM画像から導電性被覆部の平均直径を求めた。
4.膜厚測定、Ra測定
実施例1〜4で形成した導電性被覆部の厚さを、原子間力顕微鏡AFM(日本ビーコ製NanoscopeV)を用いて、導電性被覆部によって生じる段差を計測することにより求めた。同様にAFMを使用し、実施例1〜4および比較例2の媒体表面の1μm角のRaを測定した。
実施例1〜4、比較例1、2において強誘電体層上に形成した層の厚さは、成膜条件から算出した。
以上の結果を表1に示す。
1.連続再生試験
走査型非線形誘電率顕微鏡(SII−NT社製 E−Sweep/NanoNavi型走査型プローブ顕微鏡(プローブ DF3−R)、非接触型)、スキャン幅50μm、スキャン速度100μm/s、スキャン周波数1Hzで強誘電体記録層上をスキャンし、帯電により媒体−プローブ間の距離制御不具合によるスキャン不可が生じず連続スキャン可能な時間を連続再生可能時間とした。
2.記録再生特性の評価
上記1.で使用した走査型非線形誘電率顕微鏡により、ビット長100nm、スペース長100nmのビット列を強誘電体記録層に記録し、非線形誘電率顕微鏡(SNDM)モードにより再生を行った際のSNRを測定した。SNRが5dB以上であれば、高感度かつ低ノイズでの再生が可能であると判断することができる。
3.導電性被覆部による被覆率、平均直径
実施例の媒体について、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率200,000倍で表面観察を行い得られたSEM画像を2値化処理することにより、絶縁性層表面の導電性被覆部による被覆率を求めた。図5に、実施例1、3、4のSEM画像を示す。また、上記SEM画像から導電性被覆部の平均直径を求めた。
4.膜厚測定、Ra測定
実施例1〜4で形成した導電性被覆部の厚さを、原子間力顕微鏡AFM(日本ビーコ製NanoscopeV)を用いて、導電性被覆部によって生じる段差を計測することにより求めた。同様にAFMを使用し、実施例1〜4および比較例2の媒体表面の1μm角のRaを測定した。
実施例1〜4、比較例1、2において強誘電体層上に形成した層の厚さは、成膜条件から算出した。
以上の結果を表1に示す。
評価結果
比較例1、2はいずれも、強誘電体記録層上で導電性プローブをスキャンしようと試みたが、媒体表面の帯電により媒体−プローブ間の距離制御不具合が生じスキャンすることができなかった。また導電性プローブのスキャンができないためSNDM方式による記録も不可能であった。これは強誘電体記録層上に作製した層が絶縁性であることによるものである。
これに対し、表1に示すように、実施例1〜4では10時間以上の連続再生が可能であった。これは絶縁性層上に形成した導電性被覆部により帯電が防止されたためである。また、実施例1〜4ではビット長100nmの高密度記録、および高密度記録された情報の高感度再生が可能であった。
比較例1、2はいずれも、強誘電体記録層上で導電性プローブをスキャンしようと試みたが、媒体表面の帯電により媒体−プローブ間の距離制御不具合が生じスキャンすることができなかった。また導電性プローブのスキャンができないためSNDM方式による記録も不可能であった。これは強誘電体記録層上に作製した層が絶縁性であることによるものである。
これに対し、表1に示すように、実施例1〜4では10時間以上の連続再生が可能であった。これは絶縁性層上に形成した導電性被覆部により帯電が防止されたためである。また、実施例1〜4ではビット長100nmの高密度記録、および高密度記録された情報の高感度再生が可能であった。
以上の結果から、本発明によれば、強誘電体記録層上該記録層の保護等を目的とした層を形成したうえで、良好な記録再生が実現できることが示された。
本発明の強誘電体記録媒体は、高密度記録メディアとして好適である。
Claims (10)
- 電極層上に強誘電体記録層を有する強誘電体記録媒体であって、
前記強誘電体記録層上に絶縁性層を有し、かつ該絶縁性層上に不連続な導電性被覆部を有することを特徴とする強誘電体記録媒体。 - 前記導電性被覆部による絶縁性層表面の被覆率は、10〜70%の範囲である請求項1に記載の強誘電体記録媒体。
- 前記導電性被覆部の厚さは、0.2〜10nmの範囲である請求項1または2に記載の強誘電体記録媒体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の強誘電体記録媒体と、
上記強誘電体記録媒体に対し情報の記録および/または再生を行う導電性プローブを有する情報処理ヘッドと、
を含む情報処理装置。 - 前記情報処理ヘッドは、走査型非線形誘電体測定法に基づき情報の記録および/または再生を行うヘッドである、請求項4に記載の情報処理装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の強誘電体記録媒体における情報処理方法であって、
情報処理ヘッドの導電性プローブと上記強誘電体記録媒体に含まれる電極層との間に電界を印加することにより、該強誘電体記録媒体に含まれる強誘電体記録層に分極領域を形成することによって情報を記録する、前記情報処理方法。 - 前記情報を、前記強誘電体記録媒体が有する導電性被覆部の平均直径よりも大きなビット長で記録する、請求項6に記載の情報処理方法。
- 前記記録された情報を、走査型非線形誘電体測定法に基づき再生する、請求項6または7に記載の情報処理方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の強誘電体記録媒体の製造方法であって、
前記絶縁性層の形成後、該絶縁性層上に導電性材料をスポット状に堆積させることにより前記導電性被覆部を形成することを特徴とする、前記製造方法。 - 前記導電性被覆部の形成を、導電性材料膜を逆スパッタすることにより飛散したスパッタ粒子を前記絶縁性層上に堆積させることにより行う、請求項9に記載の製造方法。
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