JP2011215356A - 体積ホログラム転写箔の製造方法、体積ホログラム積層体の製造方法および体積ホログラム転写箔 - Google Patents

体積ホログラム転写箔の製造方法、体積ホログラム積層体の製造方法および体積ホログラム転写箔 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、部分的な体積ホログラム層による段差を改善し、偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能な、体積ホログラム転写箔の製造方法および体積ホログラム転写箔を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を配置する体積ホログラム層配置工程を有し、上記体積ホログラム層配置工程が、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する凹部形成工程を有することを特徴とする体積ホログラム転写箔の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、意匠性の付与や偽造防止手段等として用いられる体積ホログラム転写箔の製造方法および体積ホログラム転写箔に関するものである。
ホログラムは、波長の等しい二つの光(物体光と参照光)を干渉させることによって、物体光の波面が干渉縞として感光材料に記録されたものであり、干渉縞記録時の参照光と同一波長の光が当てられると干渉縞によって回折現象が生じ、元の物体光と同一の波面が再生できるものである。ホログラムは、外観が美しく、複製が困難である等の利点を有することからセキュリティ用途等に多く使用されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。特に、クレジットカードやキャッシュカード等に代表されるプラスチックカードにおいては、主として複製防止および意匠性付与の観点からホログラム付カードが広く用いられるに至っている。
このようなホログラムは、干渉縞の記録形態によっていくつかの種類に分類することができるが、代表的には表面レリーフ型ホログラムと体積ホログラムとに分けることができる。ここで、表面レリーフ型ホログラムは、ホログラム層の表面に微細な凹凸パターンが賦型されることによりホログラムが記録されたものである。一方、体積ホログラムは、光の干渉によって生じる干渉縞が、屈折率の異なる縞として厚み方向に三次元的に描画されることによってホログラムが記録されたものである。特に、体積ホログラムは材料の屈折率差によってホログラム像が記録されたものであるため、レリーフ型ホログラムに比べて複製することが困難であるという利点を有することから、有価証券やカード類の偽造防止手段としての用途が期待されている。
また、意匠性の付与や偽造防止手段等としてホログラムを用いる場合において、ホログラムを有価証券やカード等に付与する方法としては、ホログラムを付与する対象に応じて種々の方法が知られている。このような方法としては、例えば、スリット状のホログラムをすき込む方法や、ホログラムを外部から視認可能なように媒体中に埋め込む方法が知られているが、一般的にはホログラムを所定の位置に貼付する方法が用いられている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。特に簡便な方法として、任意の基材上にホログラムが形成されたホログラム転写箔から、ホログラムを転写することによってホログラムを所定の位置に貼付する方法が広く用いられるに至っている。
ここで、体積ホログラムには屈折率の異なる複数の材料が用いられるのが一般的であり、通常は特定の光を照射することによって重合させることが可能な光重合性材料が用いられている。このため、体積ホログラムが記録されたホログラム層は機械強度が大きくなる傾向があることが知られている。また、体積ホログラムは、屈折率差が三次元的に配列されることによってホログラム像が記録されるものであるという性質上、ホログラムが形成される層の厚みがレリーフ型ホログラムと比較して厚くなる傾向にある。これらの理由から、体積ホログラムは箔切れ性が乏しく、上述のホログラム転写箔を用いて体積ホログラムを転写する方法を用いることが困難であることが指摘されていた。
このような状況において、特許文献3には体積ホログラムが記録されたホログラム層の破断点伸度および破断強度を所定の値に調整することにより、箔切れ性を改善し、体積ホログラムについても上述したホログラム転写箔を用いた転写方法を用いることを可能とした例が開示されている。
特開平2−212195号公報 特開平10−97171号公報 特開2005−070064号公報
ところで、ホログラムを用いた意匠性の付与や偽造防止は、その有用性に鑑みさらなる汎用性の向上が求められている。これに伴い、本発明者らは、体積ホログラム転写箔を被転写体に容易に転写することを可能とするため、体積ホログラム転写箔の被転写体に転写する領域に対して体積ホログラム層を部分的に配置することで、転写性を向上させる技術を考案した。しかしながら、上述したように体積ホログラム層は比較的厚いため、体積ホログラム層を部分的に配置すると、体積ホログラム層によって段差が生じてしまう。この体積ホログラム層による段差が大きいと、意匠性が損なわれるとともに、ホログラムの剥離を容易とし偽造を誘引する可能性があり、さらには偽物のホログラムを単に貼付したものと区別し難くなり偽造防止効果が低くなる。また、体積ホログラム層による段差があると、長尺の体積ホログラム転写箔の場合にはロールに巻き取る際に巻き崩れる等の問題や、ホログラム転写後のカード等に印字する場合には印字ローラーを均一に密着させることが困難になる等の問題など、製造上の課題もある。
なお、上記特許文献1には、ラミネートフィルムの一部にホログラムを設けることが記載されている。しかしながら、このホログラムはレリーフホログラムが好ましいとされており、上述したようにレリーフホログラムは体積ホログラムよりも厚みが薄く、薄膜化が容易であるため、上記のようなホログラムによる段差は顕在化しにくい。
また、上記特許文献2には、体積ホログラム積層体作製用ラベルにおいて、表面保護フィルムの面積を体積ホログラム層の面積よりも広くすることが記載されている。しかしながら、この体積ホログラム積層体作製用ラベルはヒートシール後に表面保護フィルムを剥離せずに用いるものであり、表面保護フィルムの厚みは体積ホログラム層よりも厚いため、上記のような体積ホログラム層による段差はさほど問題にはならない。
本発明は、上記新たな課題を解決するために上記実情に鑑みてなされたものであり、部分的な体積ホログラム層による段差を改善し、偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能な、体積ホログラム転写箔の製造方法および体積ホログラム転写箔を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を配置する体積ホログラム層配置工程を有し、上記体積ホログラム層配置工程が、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する凹部形成工程を有することを特徴とする体積ホログラム転写箔の製造方法を提供する。
本発明によれば、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部を形成するので、平坦化層によって部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することができ、偽造防止効果を向上させるとともに、上記段差に起因する製造上の不具合を改善することが可能である。また本発明によれば、剥離層と接着層とに間に体積ホログラム層を部分的に配置するので、転写性の向上を図ることが可能である。さらに、体積ホログラム転写箔を用いて製造された体積ホログラム積層体においては、耐久性を向上させることができ、また券面情報を妨げない位置に体積ホログラム層を配置することができるようになる。
上記発明においては、上記凹部形成工程が、上記体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する塗布凹部形成工程であってもよい。体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布することで、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部を形成すると同時に、平坦化層表面の凹部に体積ホログラム層を埋設することができる。
また上記発明においては、上記凹部形成工程が、上記平坦化層に上記体積ホログラム層を押圧する押圧凹部形成工程であってもよい。平坦化層に体積ホログラム層を押圧することで、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部を形成すると同時に、平坦化層表面の凹部に体積ホログラム層を埋設することができる。
さらに上記発明においては、上記凹部形成工程が、上記凹部に上記体積ホログラム層を埋設する前に上記凹部を有する上記平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程であってもよい。凹部を有する平坦化層を予め形成した後、その凹部に体積ホログラム層を埋設することができる。
また本発明においては、上記平坦化層が、樹脂を含有するクッション層であってもよい。クッション層は柔軟性を有するので、体積ホログラム層を容易に埋設することができる。
さらに本発明においては、上記体積ホログラム層配置工程にて、上記体積ホログラム層の端部が露出しないように、上記剥離層と上記接着層との間に上記体積ホログラム層を配置することが好ましい。転写性および耐久性をさらに高めることができるからである。
また本発明においては、上記体積ホログラム層配置工程が、上記体積ホログラム層に接するように密着層を形成する密着層形成工程を有することが好ましい。体積ホログラム層と、体積ホログラム層に密着層を介して接する層との密着性を高めることができ、偽造防止効果を向上させることができるからである。
さらに本発明は、上述の体積ホログラム転写箔の製造方法により製造される体積ホログラム転写箔の接着層上に被転写体を配置し、上記体積ホログラム転写箔の体積ホログラム層が形成されている領域よりも広い領域で、上記体積ホログラム転写箔と上記被転写体とを接着させる被転写体接着工程と、上記体積ホログラム転写箔の基材を剥離する基材剥離工程とを有することを特徴とする体積ホログラム積層体の製造方法を提供する。
本発明によれば、上述の体積ホログラム転写箔の製造方法により製造される体積ホログラム転写箔を用いるので、偽造防止効果を向上させるとともに、上記段差に起因する製造上の不具合を改善することが可能である。また本発明によれば、転写性の向上、耐久性の向上、および券面情報の視認性の向上を図ることが可能である。
また本発明は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層が配置され、上記体積ホログラム層の少なくとも片面に、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つであり、表面に上記体積ホログラム層を埋設する凹部が形成されている平坦化層が配置され、上記体積ホログラム層が上記平坦化層表面の凹部に埋設されていることを特徴とする体積ホログラム転写箔を提供する。
本発明によれば、剥離層と接着層とに間に体積ホログラム層が部分的に配置されているので、転写性および耐久性の向上を図ることが可能である。また本発明によれば、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部が形成され、平坦化層表面の凹部に体積ホログラム層が埋設されているので、平坦化層によって部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することができ、偽造防止効果を向上させるとともに、上記段差に起因する製造上の不具合を改善することが可能である。
上記発明においては、上記体積ホログラム層が、上記剥離層と上記接着層との間にライン状またはスポット状に配置されていることが好ましい。このように体積ホログラム層を配置することにより、体積ホログラム層の端部の露出面積を少なくすることができ、転写性および耐久性をさらに高めることが可能となる。
また本発明においては、上記平坦化層が、樹脂を含有するクッション層であってもよい。上述したように、クッション層は柔軟性を有するので、体積ホログラム層を容易に埋設することができる。
本発明においては、剥離層と接着層とに間に体積ホログラム層を部分的に配置することにより、転写性および耐久性の向上を図るとともに、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部を形成することにより、平坦化層によって部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することができ、偽造防止効果および意匠性を向上させるとともに、上記段差に起因する製造上の不具合を改善することが可能であるという効果を奏する。
本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法により製造される体積ホログラム転写箔の一例を示す概略平面図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法により製造される体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略平面図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の体積ホログラム積層体の製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法、体積ホログラム積層体の製造方法および体積ホログラム転写箔について詳細に説明する。
A.体積ホログラム転写箔の製造方法
本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を配置する体積ホログラム層配置工程を有し、上記体積ホログラム層配置工程が、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する凹部形成工程を有することを特徴とするものである。
本発明においては、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部を形成するので、平坦化層によって部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することができる。したがって、改ざん目的のホログラムの剥離を抑制し、偽造防止効果を向上させることが可能であるとともに、上記段差に起因する製造上の不具合を改善することも可能である。
また本発明においては、剥離層と接着層とに間に体積ホログラム層を部分的に配置するので、体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際には、体積ホログラム層の破断面をなくす、あるいは体積ホログラム層の破断面を少なくすることができ、転写性を向上させることが可能である。さらに、剥離層と接着層とに間に体積ホログラム層を部分的に配置するので、体積ホログラム転写箔を用いて製造された体積ホログラム積層体において、体積ホログラム層の端部の露出を防ぐ、あるいは体積ホログラム層の端部の露出を少なくすることができ、外気や水分、光によるホログラムへの影響を低減し、耐久性を向上させることが可能である。また、剥離層と接着層とに間に体積ホログラム層を部分的に配置するので、体積ホログラム転写箔を用いて製造された体積ホログラム積層体においては、券面情報等の被転写体に記載されている情報を妨げない位置に体積ホログラム層を配置することが可能である。
本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法は、凹部形成工程での凹部の形成方法により、3つの実施態様に分けることができる。具体的には、凹部形成工程が、体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する塗布凹部形成工程である態様(第1実施態様)と、凹部形成工程が、平坦化層に体積ホログラム層を押圧する押圧凹部形成工程である態様(第2実施態様)と、凹部形成工程が、凹部に体積ホログラム層を埋設する前に凹部を有する平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程である態様(第3実施態様)との3つの実施態様がある。
以下、各実施態様について説明する。
I.第1実施態様
本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を配置する体積ホログラム層配置工程を有し、上記体積ホログラム層配置工程が、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する凹部形成工程を有し、上記凹部形成工程が、上記体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する塗布凹部形成工程であることを特徴とするものである。
本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)〜(d)は、本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図1(a)に示すように、基材1上に剥離層2を形成し、剥離層2上に機能層3を形成する。次に、図1(b)に示すように、機能層3上に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層4を転写する。次いで、図1(c)に示すように、機能層3上に体積ホログラム層4を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布し、平坦化層11を形成する(塗布凹部形成工程)。図1(c)においては、平坦化層11として、樹脂を含有するクッション層5を形成している。続いて、図1(d)に示すように、クッション層5(平坦化層11)上に接着層6を形成する。このようにして、体積ホログラム転写箔20が得られる。
本実施態様においては、凹部形成工程が、体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する塗布凹部形成工程であり、体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布することで、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部を形成すると同時に、平坦化層表面の凹部に体積ホログラム層を埋設することができる。
図2(a)〜(d)は、本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、図2(a)に示すように、基材1上に剥離層2を形成し、剥離層2上に機能層3を形成し、機能層3上に第2平坦化層12を形成する。図2(a)においては、第2平坦化層12として、樹脂を含有するクッション層5を形成している。次に、図2(b)〜(c)に示すように、第2平坦化層12(クッション層5)に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層4を押圧する(押圧凹部形成工程)。次いで、図2(d)に示すように、第2平坦化層12(クッション層5)上に体積ホログラム層4を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布し、平坦化層11を形成する(塗布凹部形成工程)。図2(d)においては、平坦化層11として、樹脂を含有するクッション層7を形成している。続いて、図2(e)に示すように、クッション層7(平坦化層11)上に接着層6を形成する。このようにして、体積ホログラム転写箔20が得られる。
このように本実施態様においては、体積ホログラム層配置工程が、体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する塗布凹部形成工程の他に、第2平坦化層に体積ホログラム層を押圧する押圧凹部形成工程を有していてもよい。この場合、体積ホログラム層を平坦化層の凹部に容易に埋設することが可能となる。また、平坦化層形成用樹脂組成物を塗布して形成される平坦化層の厚みが比較的薄くとも、平坦化層および第2平坦化層の凹部に体積ホログラム層を埋設することができ、部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することが可能である。
図3(a)〜(c)は、本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、図3(a)に示すように、基材1上に剥離層2を形成し、剥離層2上に機能層3を形成し、機能層3上に表面に凹部を有する第2平坦化層12を予め形成する(事前凹部形成工程)。図3(a)においては、第2平坦化層12として、樹脂を含有するクッション層5を形成している。次に、図3(b)に示すように、第2平坦化層12(クッション層5)の凹部に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層4を転写する。次いで、図3(c)に示すように、第2平坦化層12(クッション層5)上に体積ホログラム層4を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布し、平坦化層11を形成する(塗布凹部形成工程)。図3(c)においては、平坦化層11として接着層6を形成している。このようにして、体積ホログラム転写箔20が得られる。
このように本実施態様においては、体積ホログラム層配置工程が、体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する塗布凹部形成工程の他に、凹部に体積ホログラム層を埋設する前に凹部を有する第2平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程を有していてもよい。この場合、体積ホログラム層を平坦化層の凹部に容易に埋設することが可能となる。また、平坦化層形成用樹脂組成物を塗布して形成される平坦化層の厚みが比較的薄くとも、平坦化層および第2平坦化層の凹部に体積ホログラム層を埋設することができ、部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することが可能である。
図4(a)〜(d)は、本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、図4(a)に示すように、基材1上に剥離層2を形成し、剥離層2上に機能層3を形成し、機能層3上に表面に凹部を有する第2平坦化層12を予め形成する(事前凹部形成工程)。図4(a)においては、第2平坦化層12として、樹脂を含有するクッション層5を形成している。次に、図4(b)〜(c)に示すように、第2平坦化層12(クッション層5)の凹部に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層4を押圧する(押圧凹部形成工程)。次に、図4(d)に示すように、第2平坦化層12(クッション層5)上に体積ホログラム層4を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布し、平坦化層11を形成する(塗布凹部形成工程)。図4(d)においては、平坦化層11として接着層6を形成している。このようにして、体積ホログラム転写箔20が得られる。
このように本実施態様においては、体積ホログラム層配置工程が、体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する塗布凹部形成工程の他に、凹部に体積ホログラム層を埋設する前に凹部を有する第2平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程と、第2平坦化層に体積ホログラム層を押圧する押圧凹部形成工程とを有していてもよい。この場合、体積ホログラム層を平坦化層の凹部に容易に埋設することが可能となる。また、平坦化層形成用樹脂組成物を塗布して形成される平坦化層の厚みが比較的薄くとも、平坦化層および第2平坦化層の凹部に体積ホログラム層を埋設することができ、部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することが可能である。
図5(a)〜(f)は、本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、図5(a)に示すように、基材1上に剥離層2を形成し、剥離層2上に樹脂を含有するクッション層5を形成する。次に、図5(b)に示すように、剥離性基材32上に形成され、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層4を、クッション層5上に転写する。次いで、図5(c)に示すように、クッション層5上に体積ホログラム層4および剥離性基材32を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布し、第1平坦化部11cを形成する(第1塗布工程)。続いて、図5(d)に示すように剥離性基材32を剥離する(剥離性基材剥離工程)。この際、剥離性基材32の剥離によって、第1平坦化部11cの表面に凹みが形成される。次いで、図5(e)に示すように、第1平坦化部11c表面の凹みを埋めるように、体積ホログラム層4上に平坦化層形成用樹脂組成物を再度塗布し、第2平坦化部11dを形成する(第2塗布工程)。これにより、第1平坦化部11cおよび第2平坦化部11dから構成される平坦化層11が形成される。図5(e)においては、平坦化層11として、樹脂を含有するクッション層7を形成している。そして、図5(f)に示すように、クッション層7(平坦化層11)上に接着層6を形成する。このようにして、体積ホログラム転写箔20が得られる。
このように本実施態様においては、塗布凹部形成工程が、体積ホログラム層および剥離性基材を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する第1塗布工程と、剥離性基材を剥離する剥離性基材剥離工程と、体積ホログラム層上に平坦化層形成用樹脂組成物を再度塗布する第2塗布工程とを有していてもよい。この場合にも、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部を形成すると同時に、平坦化層表面の凹部に体積ホログラム層を埋設することができる。また、押圧凹部形成工程や事前凹部形成工程を行う場合と比較して、プレス機などによる工程をなくし、工程数を削減することができる。さらに、事前凹部形成工程を行う場合と比較して、凹部への精密な位置合わせを必要としないという利点も有する。また、図1〜図4に例示する方法では、平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する前の体積ホログラム層が塗布面に対して凸であるのに対して、図5に例示する方法では、第2塗布工程にて体積ホログラム層が塗布面に対して凹であり、確実に体積ホログラム層を埋設することができる。
以下、体積ホログラム転写箔の製造方法における各工程および体積ホログラム転写箔における各構成部材について説明する。
1.体積ホログラム層配置工程
本実施態様における体積ホログラム層配置工程は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を配置する工程であり、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する凹部形成工程を有している。また本実施態様においては、上記凹部形成工程が、上記体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する塗布凹部形成工程である。
以下、体積ホログラム層配置工程における各工程および体積ホログラム層の配置について説明する。
(1)塗布凹部形成工程
本実施態様における凹部形成工程は、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する工程であり、上記体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する塗布凹部形成工程である。
以下、塗布凹部形成工程および平坦化層について説明する。
(a)塗布凹部形成工程
本実施態様に用いられる平坦化層形成用樹脂組成物としては、平坦化層の種類に応じて適宜選択される。
平坦化層形成用樹脂組成物の塗布方法としては、体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等が挙げられる。本実施態様においては、中でも、平坦化層形成用樹脂組成物を複数回重ねて塗布することが好ましい。これにより、部分的な体積ホログラム層による段差をさらに軽減することができるからである。
平坦化層形成用樹脂組成物の塗布後は、通常、乾燥を行う。
また、平坦化層形成用樹脂組成物が光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を含有する場合には、平坦化層形成用樹脂組成物の塗布後に、光照射や加熱を行い、平坦化層形成用樹脂組成物を硬化させる。
本実施態様においては、体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布することにより、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部を形成すると同時に、凹部に体積ホログラム層を埋設する。形成される凹部の大きさとしては、体積ホログラム層を埋設することができるものであればよく、体積ホログラム層の大きさや、後述の押圧凹部形成工程および事前凹部形成工程の有無に応じて適宜選択される。押圧凹部形成工程および事前凹部形成工程を行う場合には、塗布凹部形成工程において形成される凹部は、体積ホログラム層の厚みに対して浅いものとなる。
平坦化層の厚みとしては、部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、平坦化層の種類や、後述の押圧凹部形成工程および事前凹部形成工程の有無に応じて適宜選択される。具体的には、1μm〜100μmの範囲内で設定される。塗布凹部形成工程前に押圧凹部形成工程や事前凹部形成工程を行う場合には、平坦化層の厚みが比較的薄くても、部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することができる。
本実施態様においては、塗布凹部形成工程が、体積ホログラム層および剥離性基材を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する第1塗布工程と、剥離性基材を剥離する剥離性基材剥離工程と、体積ホログラム層上に平坦化層形成用樹脂組成物を再度塗布する第2塗布工程とを有していてもよい。
第1塗布工程では、平坦化層形成用樹脂組成物が光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を含有する場合、平坦化層形成用樹脂組成物の塗布後に、平坦化層形成用樹脂組成物を硬化させてもよく硬化させなくてもよい。一方、第2塗布工程では、平坦化層形成用樹脂組成物の塗布後に、平坦化層形成用樹脂組成物を硬化させる。第1塗布工程にて平坦化層形成用樹脂組成物を硬化しない場合には、第2塗布工程において、第1塗布工程にて塗布した平坦化層形成用樹脂組成物と、第2塗布工程にて塗布した平坦化層形成用樹脂組成物とを硬化させる。
剥離性基材としては、例えば体積ホログラム層から剥離できるように離型処理された基材を用いることができ、一般的な剥離性基材を使用することができる。
(b)平坦化層
本実施態様における平坦化層は、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層のうちいずれか一つであり、体積ホログラム層に接して配置される層である。平坦化層としては、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つであればよく、例えば、接着層、樹脂を含有するクッション層等を挙げることができる。また、平坦化層は機能層以外の層であることが好ましい。機能層の厚みが部分的に異なると、目的とする機能が損なわれるおそれがあるからである。
なお、各層については、後述の体積ホログラム転写箔の構成部材の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
(2)押圧凹部形成工程
本実施態様における体積ホログラム層配置工程は、上記塗布凹部形成工程前に、第2平坦化層に上記体積ホログラム層を押圧する押圧凹部形成工程を有していてもよい。
以下、押圧凹部形成工程および第2平坦化層について説明する。
(a)押圧凹部形成工程
第2平坦化層に体積ホログラム層を押圧する方法としては、体積ホログラム層が配置される領域のみに圧力を加えることができる方法であれば特に限定されるものではない。中でも、体積ホログラム層が配置される領域のみに圧力および熱を加えることができる方法であることが好ましい。具体的には、金型を用いる方法、加圧ローラーを用いる方法等を挙げることができる。
第2平坦化層に体積ホログラム層を押圧する際には、第2平坦化層上に体積ホログラム層を転写した後に、第2平坦化層に体積ホログラム層を押圧してもよく、第2平坦化層上に体積ホログラム層を転写すると同時に、第2平坦化層に体積ホログラム層を押圧してもよい。
押圧凹部形成工程においては、第2平坦化層に体積ホログラム層を押圧することにより、第2平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部を形成すると同時に、凹部に体積ホログラム層を埋設する。形成される凹部の大きさとしては、体積ホログラム層を埋設することができるものであればよく、体積ホログラム層の大きさや、上述の塗布凹部形成工程にて形成される凹部の大きさ、後述の事前凹部形成工程の有無に応じて適宜選択される。本実施態様においては、塗布凹部形成工程が行われるので、押圧凹部形成工程において形成される凹部は、体積ホログラム層の厚みに対して浅いものとなる。また、押圧凹部形成工程前に事前凹部形成工程を行う場合には、押圧凹部形成工程において形成される凹部は、体積ホログラム層の厚みに対してさらに浅くてもよい。
第2平坦化層の厚みとしては、部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、第2平坦化層の種類や、上述の塗布凹部形成工程にて形成される凹部の大きさ、後述の事前凹部形成工程の有無に応じて適宜選択される。具体的には、1μm〜100μmの範囲内で設定される。
(b)第2平坦化層
本実施態様における第2平坦化層は、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層のうちいずれか一つであり、体積ホログラム層に接して配置される層である。第2平坦化層としては、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つであればよく、例えば、剥離層、樹脂を含有するクッション層等を挙げることができる。また、第2平坦化層は機能層以外の層であることが好ましい。機能層が押圧されると、目的とする機能が損なわれるおそれがあるからである。
なお、各層については、後述の体積ホログラム転写箔の構成部材の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
(3)事前凹部形成工程
本実施態様における体積ホログラム層配置工程は、上記塗布凹部形成工程前に、凹部に体積ホログラム層を埋設する前に凹部を有する第2平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程を有していてもよい。
体積ホログラム層配置工程が、上記塗布凹部形成工程の前に、上記押圧凹部形成工程を有する場合には、事前凹部形成工程、押圧凹部形成工程、塗布凹部形成工程の順に行われる。
以下、事前凹部形成工程および第2平坦化層について説明する。
(a)事前凹部形成工程
凹部を有する第2平坦化層を予め形成する方法としては、例えば、凹部が形成されるように第2平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する方法、第2平坦化層形成後に第2平坦化層に押圧部材を押圧する方法、第2平坦化層形成後に第2平坦化層表面を部分的に削り取る方法等を適用することができる。
塗布方法の場合、一回の塗布で凹部を有する第2平坦化層を形成してもよく、均一に第2平坦化層形成用樹脂組成物を塗布した後に凹部が形成されるように部分的に第2平坦化層形成用樹脂組成物を再度塗布してもよい。前者の場合、塗布方法としては、一回の塗布で凹部を有する第2平坦化層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等が挙げられる。後者の場合、一回目の塗布方法としては、均一に第2平坦化層形成用樹脂組成物を塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、スピンコート等が挙げられる。また、後者の場合、二回目の塗布方法としては、凹部が形成されるように部分的に第2平坦化層形成用樹脂組成物を塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等が挙げられる。
また、第2平坦化層に押圧部材を押圧する方法としては、体積ホログラム層を埋設する凹部を形成し、体積ホログラム層が配置される領域のみに圧力を加えることができる方法であれば特に限定されるものではない。中でも、体積ホログラム層が配置される領域のみに圧力および熱を加えることができる方法であることが好ましい。具体的には、金型を用いる方法、加圧ローラーを用いる方法、凸パターン付版胴を用いる方法等を挙げることができる。
第2平坦化表面を部分的に削り取る方法としては、体積ホログラム層を埋設する凹部を形成し、体積ホログラム層が配置される領域のみを削り取ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、サンドブラスト法、マスクを介し溶剤等で溶出する方法等を挙げることができる。
事前凹部形成工程において形成される凹部の大きさとしては、体積ホログラム層を埋設することができるものであればよく、体積ホログラム層の大きさや、上述の塗布凹部形成工程にて形成される凹部の大きさ、上述の押圧凹部形成工程の有無に応じて適宜選択される。本実施態様においては、塗布凹部形成工程が行われるので、事前凹部形成工程において形成される凹部は、体積ホログラム層の厚みに対して浅いものとなる。また、上記押圧凹部形成工程を行う場合には、事前凹部形成工程において形成される凹部は、体積ホログラム層の厚みに対してさらに浅くてもよい。
第2平坦化層の厚みとしては、部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、第2平坦化層の種類や、上述の塗布凹部形成工程にて形成される凹部の大きさ、上述の押圧凹部形成工程の有無に応じて適宜選択される。
なお、第2平坦化層の厚みについては、上記押圧凹部形成工程の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(b)第2平坦化層
本実施態様における第2平坦化層は、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層のうちいずれか一つであり、体積ホログラム層に接して配置される層である。第2平坦化層としては、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つであればよく、例えば、剥離層、樹脂を含有するクッション層等を挙げることができる。また、第2平坦化層は機能層以外の層であることが好ましい。機能層の厚みが部分的に異なると、目的とする機能が得られないおそれがあるからである。
なお、各層については、後述の体積ホログラム転写箔の構成部材の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
(4)転写工程
本実施態様における体積ホログラム層配置工程は、上記基材上に形成された上記剥離層上に上記体積ホログラム層を転写する転写工程を有していてもよい。
図1(a)〜(d)に例示するように、体積ホログラム層配置工程が、塗布凹部形成工程の他に、押圧凹部形成工程や事前凹部形成工程を有さない場合には、塗布凹部形成工程前に、基材上に形成された剥離層上に体積ホログラム層を転写する転写工程が通常行われる。
図2(a)〜(d)に例示するように、体積ホログラム層配置工程が、塗布凹部形成工程前に、押圧凹部形成工程を有する場合には、押圧凹部形成工程前に、第2平坦化層上に体積ホログラム層を転写する転写工程を行ってもよく、押圧部材形成工程と同時に、第2平坦化層上に体積ホログラム層を転写する転写工程が行われてもよい。
図3(a)〜(c)に例示するように、体積ホログラム層配置工程が、塗布凹部形成工程前に、事前凹部形成工程を有する場合には、事前凹部形成工程後に、第2平坦化層の凹部に体積ホログラム層を転写する転写工程が通常行われる。
図4(a)〜(c)に例示するように、体積ホログラム層配置工程が、塗布凹部形成工程前に、事前凹部形成工程および押圧凹部形成工程を有する場合には、事前凹部形成工程後に、第2平坦化層の凹部に体積ホログラム層を転写する転写工程が通常行われる。この際、押圧凹部形成工程前に転写工程を行ってもよく、押圧部材形成工程と同時に転写工程が行われてもよい。
体積ホログラム層を転写する方法としては、所定の位置に体積ホログラム層を転写することができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な方法を適用することができる。
(5)密着層形成工程
本実施態様においては、上記体積ホログラム層配置工程が、上記体積ホログラム層に接するように密着層を形成する密着層形成工程を有していてもよい。密着層により、体積ホログラム層と、密着層を介して体積ホログラム層に接する層との密着性を高めることができ、体積ホログラム層を剥がれにくくし、偽造防止効果を向上させることができるからである。
密着層は、体積ホログラム層の片面に接するように形成してもよく、体積ホログラム層の両面に接するように形成してもよい。
また、密着層は、体積ホログラム層上に形成してもよく、密着層を介して体積ホログラム層に接する層上に形成してもよい。
例えば、図6(a)〜(d)は本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図であり、上述の塗布凹部形成工程の他に、押圧凹部形成工程および事前凹部形成工程を有する場合の例である。図6(b)に示すように、体積ホログラム層4上に密着層8aを形成してもよく、密着層を介して体積ホログラム層4に接する層(図6(b)においてはクッション層5)上に密着層8bを形成してもよい。
また、密着層は、基材の全面に形成してもよく、体積ホログラム層が配置される領域のみに形成してもよい。図6(b)に示す例において、体積ホログラム層4が転写される層(図6(b)においてはクッション層5)上の全面に密着層8bを形成しているが、体積ホログラム層が転写される層上または体積ホログラム層上に、体積ホログラム層が配置される領域のみに密着層を形成してもよい。また、図6(b)に示す例において、体積ホログラム層4上に、体積ホログラム層が配置される領域のみに密着層8aを形成しているが、体積ホログラム層の転写後、基材の全面に密着層を形成してもよい。
密着層に用いられる材料としては、体積ホログラム層と、密着層を介して体積ホログラム層に接する層との密着性が得られる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニルあるいはアクリル酸等との共重合体、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
密着層の厚みとしては、体積ホログラム層と、密着層を介して体積ホログラム層に接する層との密着性が得られる厚みであれば特に限定されるものではなく、0.1μm〜10μmの範囲内で設定することができる。
密着層の形成方法としては、例えば、上述の材料を塗布する方法や、上述の材料を含有するフィルムを貼り合わせる方法を挙げることができる。
(6)その他の工程
本実施態様においては、塗布凹部形成工程、押圧凹部形成工程および事前凹部形成工程の前に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に含まれる重合性化合物を重合してもよく、塗布凹部形成工程、押圧凹部形成工程および事前凹部形成工程の後に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に含まれる重合性化合物を重合してもよい。塗布凹部形成工程、押圧凹部形成工程および事前凹部形成工程の前に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に含まれる重合性化合物を重合する場合には、塗布凹部形成工程、押圧凹部形成工程および事前凹部形成工程における、重合性化合物が重合されていないことによる体積ホログラム層の経時変化を防ぐことができる。一方、塗布凹部形成工程、押圧凹部形成工程および事前凹部形成工程の後に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に含まれる重合性化合物を重合する場合には、体積ホログラム層と体積ホログラム層に接する層との密着性を高めることができる。
中でも、体積ホログラム層配置工程が、塗布凹部形成工程前に押圧凹部形成工程を有する場合には、押圧凹部形成工程前に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に含まれる重合性化合物を重合することが好ましい。押圧凹部形成工程にて体積ホログラム層に圧力および熱が加えられた際に、体積ホログラム層に記録された体積ホログラムが変化してしまうおそれがあるからである。
(7)体積ホログラム層の配置
本実施態様における体積ホログラム層配置工程においては、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を配置する。体積ホログラム層の配置としては、剥離層と接着層との間に体積ホログラム層が配置されていれば特に限定されるものではない。
中でも、体積ホログラム層の端部の露出面積が少なくなるように、剥離層と接着層との間に部分的に体積ホログラム層が配置されていることが好ましい。体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、体積ホログラム層の破断面を少なくすることができ、転写性を向上させることができるからである。また、体積ホログラム転写箔を用いて製造された体積ホログラム積層体において、体積ホログラム層の端部の露出を少なくすることができ、外気や水分、光によるホログラムへの影響を低減し、耐久性を向上させることができるからである。
特に、体積ホログラム層の端部が露出しないように、剥離層と接着層との間に部分的に体積ホログラム層が配置されていることが好ましい。体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、体積ホログラム層の破断面をなくすことができ、転写性をさらに向上させることができるからである。また、体積ホログラム転写箔を用いて製造された体積ホログラム積層体において、体積ホログラム層の端部の露出を防ぐことができ、外気や水分、光によるホログラムへの影響を低減し、耐久性をさらに向上させることができるからである。
例えば図7(a)、(b)に示すように枚葉の体積ホログラム転写箔20の場合、図7(a)に示すように体積ホログラム層4をライン状に配置することにより、体積ホログラム層の端部の露出面積を少なくすることができ、図7(b)に示すように体積ホログラム層4をスポット状に配置することにより、体積ホログラム層の端部を露出させないようにすることができる。また、例えば図8(a)、(b)に示すように長尺の体積ホログラム転写箔20の場合、図8(a)に示すように体積ホログラム層4をライン状に配置することにより、体積ホログラム層の端部の露出面積を少なくすることができ、図8(b)に示すように体積ホログラム層4をスポット状に配置することにより、体積ホログラム層の端部を露出させないようにすることができる。
なお、図7(a)、(b)および図8(a)、(b)において、基材および体積ホログラム層以外の構成部材は省略されている。また、図8(a)、(b)において、41は被転写体を示す。
2.構成部材
本実施態様において、体積ホログラム転写箔は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層が配置されたものである。体積ホログラム転写箔は、剥離層と接着層との間に任意の層が形成されていてもよい。任意の層としては、例えば、樹脂を含有するクッション層、種々の機能を有する機能層などを挙げることができる。
以下、体積ホログラム転写箔における各構成部材について説明する。
(1)体積ホログラム層
本実施態様における体積ホログラム層は、体積ホログラムが記録されたものである。
本発明に用いられる体積ホログラム層を構成する材料としては、体積ホログラムを記録することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に体積ホログラムに用いられる材料を任意に用いることができる。このような材料としては、例えば、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等の公知の体積ホログラム記録材料が挙げることできる。中でも、(i)バインダー樹脂、光重合可能な化合物、光重合開始剤および増感色素を含有する第1の感光材料、または、(ii)カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系および光カチオン重合開始剤系を含有する第2の感光材料を好適に用いることができる。
このような第1の感光材料および第2の感光材料としては、例えば、特開2005−70064号公報、特開2009−003197号公報、特開2009−274428号公報に記載されているものと同様のものを用いることができる。
体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を形成する方法としては、通常、未露光の体積ホログラム層形成用層を形成した後、当該体積ホログラム層形成用層に体積ホログラムを記録する方法が用いられる。
体積ホログラム層形成用層を形成する方法としては、体積ホログラム層に用いられる材料等に応じて、厚みが均一な体積ホログラム層形成用層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、体積ホログラム層を形成する材料として光重合性材料を用いる場合は、光重合性材料を溶媒に溶解させた塗工液を塗工する方法や、光重合性材料を含有するフィルムを貼り合わせる方法を挙げることができる。
なお、これらの方法については一般的に体積ホログラム層を形成する方法として公知の方法を用いることができるため、ここでの説明は省略する。
また、体積ホログラム層形成用層に体積ホログラムを記録する方法としては、体積ホログラム積層体の用途等に応じて、所望の体積ホログラムを記録できる方法であれば特に限定されるものではない。ここで、体積ホログラムは、通常、光の干渉によって生じる干渉縞を屈折率の異なる縞として光重合性材料を固定化することによってホログラム像を記録するものである。このため、体積ホログラムを記録する方法としても、体積ホログラム層形成用層に所定の干渉縞を記録できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、基材側から参照光を入射し、体積ホログラム層形成用層側から物体光を入射し、体積ホログラム層形成用層内においてこれらの光を干渉させる方法や、体積ホログラム層形成用層上にホログラム原版を配置し、基材側から光を入射することによって、入射光とホログラム原版によって反射された反射光とを体積ホログラム層形成用層内において干渉させる方法等を挙げることができる。
体積ホログラム層の厚みは、所定の体積ホログラム層を形成することができる範囲内であれば特に限定されるものではなく、上述した構成材料の種類に応じて適宜調整することができる。中でも、体積ホログラム層の厚みは、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、特に3μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
(2)接着層
本実施態様における接着層は、体積ホログラム転写箔と被転写体とを接着させるものである。
接着層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、加熱されることによって可塑化され、体積ホログラ転写箔と被転写体とを接着できるものであれば特に限定されるものではなく、被転写体の種類に応じて適宜選択される。具体的に、熱可塑性樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリメチルメタクリレート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン・アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等を挙げることができる。本実施態様においては、いずれの熱可塑性樹脂も好適に用いることができる。熱可塑性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
接着層は、上記熱可塑性樹脂の他に添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、分散剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
接着層の厚みは特に限定されるものではなく、目的とする体積ホログラム積層体の種類や被転写体の種類等に応じて適宜選択されるものであるが、通常、0.5μm〜50μmの範囲内であり、中でも0.5μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。接着層の厚みが上記範囲よりも薄いと被転写体との接着性が不十分になってしまう可能性があるからである。また接着層の厚みが上記範囲よりも厚いと、体積ホログラム転写箔を転写する際の接着層の加熱温度が高くなりすぎてしまい、基材等が損傷してしまう可能性があるからである。
(3)剥離層
本実施態様に用いられる剥離層は、基材と体積ホログラム層、機能層、クッション層等の剥離層上に形成される層との接着力を任意の範囲に調整し、体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際の体積ホログラム転写箔からの基材の剥離性を向上させるものである。また、剥離層は、体積ホログラム転写箔を用いて製造した体積ホログラム積層体において、体積ホログラム層表面を覆い、体積ホログラム層を保護するものである。
剥離層に用いられる材料としては、例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系およびメタアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等の1種または2種以上混合したもの等を挙げることができる。
剥離層の厚みとしては、上述の剥離機能および保護機能を両立できる厚みであれば特に限定されるものではなく、0.1μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.5μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
(4)基材
本実施態様に用いられる基材は、上述した体積ホログラム層、接着層および剥離層を支持するものである。
基材としては、上記体積ホログラム層、接着層および剥離層を支持できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフッ化エチレン系フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルム等を挙げることができる。
基材の厚みは、通常2μm〜200μm程度、好ましくは10μm〜50μmの範囲内とされる。
(5)クッション層
本実施態様に用いられるクッション層は、樹脂を含有するものであり、体積ホログラム層を埋没させ得るものである。
クッション層を構成する材料としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ブタジエンラバー、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンとしては、柔軟性を有し、熱伝導性の低いものが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水素添加イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエン、光硬化型樹脂等が挙げられる。具体的には、特開2002−222403号公報等に記載のクッション層を使用することができる。
クッション層の厚みは、通常、1μm〜50μmの範囲内、好ましくは3μm〜30μmの範囲内である。
(6)機能層
本実施態様に用いられる機能層は、種々の機能を有する層である。機能層としては、例えば、プライマー層、バリア層、蛍光発光層、光学可変インキ層、紫外線吸収層等が挙げられる。以下、各層について説明する。
(a)プライマー層
本実施態様に用いられるプライマー層は、剥離層と接着層との間の任意の位置に形成されるものであり、体積ホログラム層と接着層との接着性、あるいは、体積ホログラム層と剥離層との接着性を向上させるものである。
プライマー層に用いられる材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニルあるいはアクリル酸等との共重合体、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
(b)バリア層
本実施態様に用いられるバリア層は、体積ホログラム層と接着層との間に形成されるものである。体積ホログラム層に用いられる感光材料や接着層に用いられる熱可塑性樹脂の組み合わせによっては、経時的に体積ホログラム層から他の層への低分子量成分の移行が起こり、これに起因して体積ホログラム層に記録された体積ホログラムの再生波長が青側(短波長側)に移行してしまう場合があるが、バリア層を設けることによって、このような不具合を解消することができる。
バリア層に用いられる材料としては、所望のバリア性を発現できる材料であれば特に限定されるものではないが、通常、透明性有機樹脂材料が用いられる。透明性有機樹脂材料としては、例えば、無溶剤系の3官能以上、好ましくは6官能以上の、紫外線や電子線等の電離放射線に反応する電離放射線硬化性エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
(c)蛍光発光層
本実施態様に用いられる蛍光発光層は、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有するものである。蛍光発光層が形成されていることにより、体積ホログラム転写箔を用いて、より偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することができる。
(d)紫外線吸収層
本実施態様に用いられる紫外線吸収層は、剥離層と体積ホログラム層との間に形成されるものである。ここで、上述したように体積ホログラム層には光重合性材料が用いられることから、当該体積ホログラム層に紫外線が照射されると体積ホログラム層が経時で劣化してしまう場合がある。しかしながら、体積ホログラム層上に紫外線吸収層を形成することにより、このような体積ホログラム層の紫外線劣化を防止することができる。
(e)光学可変インキ層
本実施態様に用いられる光学可変インキ層は、視認する角度によって色が変化する光学可変材料によって画像が形成されたものである。光学可変インキ層が形成されていることにより、光学可変材料で作製された画像は、通常のインキでは複製することが不可能であるため、体積ホログラム転写箔を用いて偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能となる。
光学可変インキ層としては、所望の画像が形成されたものであれば特に限定されるものではなく、体積ホログラム積層体の用途に応じて、任意の光学可変材料によって画像が形成されたものを用いることができる。光学可変インキ層に形成される画像は、体積ホログラム積層体の用途に応じて、所望の画像とすることができる。なお、「画像」とは、パターン、線画、文字、図形、記号等のみならず、単に全面が着色された態様も含むものである。
(7)体積ホログラム転写箔
本実施態様における体積ホログラム転写箔20の形態としては、図7(a)、(b)に例示するように枚葉状であってもよく、図8(a)、(b)に例示するように長尺状であってもよい。中でも、体積ホログラム転写箔は長尺状であることが好ましい。長尺の体積ホログラム転写箔を用いれば、被転写体に体積ホログラム層を連続的に転写することができるからである。
II.第2実施態様
本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を配置する体積ホログラム層配置工程を有し、上記体積ホログラム層配置工程が、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する凹部形成工程を有し、上記凹部形成工程が、上記平坦化層に上記体積ホログラム層を押圧する押圧凹部形成工程であることを特徴とするものである。
本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図9(a)〜(e)は、本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図9(a)に示すように、剥離性基材31上に接着層6を形成し、接着層6上に平坦化層11を形成する。図9(a)においては、平坦化層11として、樹脂を含有するクッション層5を形成している。次いで、図9(a)〜(b)に示すように、平坦化層11(クッション層5)に体積ホログラム層4を押圧する(押圧凹部形成工程)。次に、図9(c)に示すように、基材1上に剥離層2を形成し、剥離層2上に機能層3を形成する。続いて、体積ホログラム層4が押圧されたクッション層5(平坦化層11)と、機能層3とを対向させる。次いで、図9(d)に示すように、クッション層5(平坦化層11)と機能層3とを貼り合せる。その後、図9(e)に示すように、剥離性基材31を接着層6から剥離する。このようにして、体積ホログラム転写箔20が得られる。
本実施態様においては、凹部形成工程が、平坦化層に体積ホログラム層を押圧する押圧凹部形成工程であり、平坦化層に体積ホログラム層を押圧することで、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部を形成すると同時に、平坦化層表面の凹部に体積ホログラム層を埋設することができる。
図10(a)〜(c)は、本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、図10(a)に示すように、基材1上に剥離層2を形成し、剥離層2上に機能層3を形成し、機能層3上に第1平坦化層11aを形成する。また、剥離性基材31上に接着層6を形成し、接着層6上に第2平坦化層11bを形成する。図10(a)においては、第1平坦化層11aとして樹脂を含有するクッション層5を形成し、第2平坦化層11bとして樹脂を含有するクッション層7を形成している。次いで、図10(a)〜(b)に示すように、第1平坦化層11a(クッション層5)および第2平坦化層11b(クッション層7)に体積ホログラム層4を押圧する(押圧凹部形成工程)。次に、図10(c)に示すように、剥離性基材31を接着層6から剥離する。このようにして、体積ホログラム転写箔20が得られる。
本実施態様においては、図9(a)〜(e)に示すように体積ホログラム層の片面のみに平坦化層を配置してもよく、図10(a)〜(c)に示すように体積ホログラム層の両面にそれぞれ平坦化層(第1平坦化層および第2平坦化層)を配置してもよい。
図11(a)〜(f)は、本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、図11(a)に示すように、剥離性基材31上に接着層6を形成し、接着層6上に表面に凹部を有する平坦化層11を予め形成する(事前凹部形成工程)。図11(a)においては、平坦化層11として、樹脂を含有するクッション層5を形成している。次いで、図11(b)〜(c)に示すように、平坦化層11(クッション層5)の凹部に体積ホログラム層4を押圧する(押圧凹部形成工程)。次に、図11(d)に示すように、基材1上に剥離層2を形成し、剥離層2上に機能層3を形成する。続いて、体積ホログラム層4が押圧されたクッション層5(平坦化層11)と、機能層3とを対向させる。次いで、図11(e)に示すように、クッション層5(平坦化層11)と機能層3とを貼り合せる。その後、図11(f)に示すように、剥離性基材31を接着層6から剥離する。このようにして、体積ホログラム転写箔20が得られる。
このように本実施態様においては、体積ホログラム層配置工程が、平坦化層に体積ホログラム層を押圧する押圧凹部形成工程の他に、凹部に体積ホログラム層を埋設する前に凹部を有する平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程を有していてもよい。この場合、体積ホログラム層を平坦化層の凹部に容易に埋設することが可能となる。
図12(a)〜(d)は、本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、図12(a)に示すように、基材1上に剥離層2を形成し、剥離層2上に機能層3を形成し、機能層3上に表面に凹部を有する第1平坦化層11aを予め形成する(事前凹部形成工程)。図12(a)においては、第1平坦化層11aとして、樹脂を含有するクッション層5を形成している。次に、図12(b)に示すように、剥離性基材31上に第2平坦化層11bを形成する。図12(b)においては、第2平坦化層11bとして接着層6を形成している。続いて、図12(b)〜(c)に示すように、第1平坦化層11a(クッション層5)の凹部および第2平坦化層11b(接着層6)に体積ホログラム層4を押圧する(押圧凹部形成工程)。その後、図12(d)に示すように、剥離性基材31を接着層6から剥離する。このようにして、体積ホログラム転写箔20が得られる。
図12(a)〜(d)に示す例においては、表面に凹部を有する第1平坦化層を予め形成したが、これに限定されるものではなく、表面に凹部を有する第1平坦化層と表面に凹部を有する第2平坦化層とをそれぞれ予め形成してもよい。
なお、体積ホログラム転写箔における各構成部材については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
以下、体積ホログラム転写箔の製造方法における各工程について説明する。
1.体積ホログラム層配置工程
本実施態様における体積ホログラム層配置工程は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を配置する工程であり、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する凹部形成工程を有している。また本実施態様においては、上記凹部形成工程が、上記平坦化層に上記体積ホログラム層を押圧する押圧凹部形成工程である。
なお、体積ホログラム層の配置については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
以下、体積ホログラム層配置工程における各工程について説明する。
(1)押圧凹部形成工程
本実施態様における凹部形成工程は、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する工程であり、上記平坦化層に上記体積ホログラム層を押圧する押圧凹部形成工程である。
以下、押圧凹部形成工程および平坦化層について説明する。
(a)押圧凹部形成工程
本実施態様においては、図9(a)〜(b)および図11(b)〜(c)に示すように体積ホログラム層の片面のみに平坦化層を配置し、平坦化層に体積ホログラム層を押圧してもよく、図10(a)および図12(b)に示すように体積ホログラム層の両面にそれぞれ平坦化層(第1平坦化層および第2平坦化層)を配置し、第1平坦化層および第2平坦化層に体積ホログラム層を押圧してもよい。
なお、平坦化層に体積ホログラム層を押圧する方法については、上記第1実施態様の押圧凹部形成工程の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様においては、平坦化層に体積ホログラム層を押圧することにより、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部を形成すると同時に、凹部に体積ホログラム層を埋設する。形成される凹部の大きさとしては、体積ホログラム層を埋設することができるものであればよく、体積ホログラム層の大きさや、後述の事前凹部形成工程の有無に応じて適宜選択される。事前凹部形成工程を行う場合には、押圧凹部形成工程において形成される凹部は、体積ホログラム層の厚みに対して浅いものとなる。
平坦化層の厚みとしては、部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、平坦化層の種類や、後述の事前凹部形成工程の有無に応じて適宜選択される。
なお、平坦化層の厚みについては、上記第1実施態様と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
押圧凹部形成工程において剥離性基材上に接着層等を形成する場合、剥離性基材としては、例えば接着層から剥離できるように離型処理された基材を用いることができ、一般的な剥離性基材を使用することができる。
(b)平坦化層
本実施態様における平坦化層は、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つであり、体積ホログラム層に接して配置される層である。平坦化層としては、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つであればよく、例えば、剥離層、接着層、樹脂を含有するクッション層等が挙げられる。また、平坦化層は機能層以外の層であることが好ましい。機能層が押圧されると、目的とする機能が損なわれるおそれがあるからである。
なお、各層については、上記第1実施態様の体積ホログラム転写箔の構成部材の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(2)事前凹部形成工程
本実施態様における体積ホログラム層配置工程は、上記押圧凹部形成工程前に、凹部に体積ホログラム層を埋設する前に凹部を有する平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程を有していてもよい。
なお、凹部を有する平坦化層を予め形成する方法については、上記第1実施態様の事前凹部形成工程の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
事前凹部形成工程において形成される凹部の大きさとしては、体積ホログラム層を埋設することができるものであればよく、体積ホログラム層の大きさや、上述の押圧凹部形成工程にて形成される凹部の大きさに応じて適宜選択される。本実施態様においては、押圧凹部形成工程が行われるので、事前凹部形成工程において形成される凹部は、体積ホログラム層の厚みに対して浅いものとなる。
(3)転写工程
本実施態様における体積ホログラム層配置工程は、上記平坦化層上に上記体積ホログラム層を転写する転写工程を有していてもよい。
転写工程は、押圧凹部形成工程前に行ってもよく、押圧部材形成工程と同時に行われてもよい。体積ホログラム層の両面に平坦化層(第1平坦化層および第2平坦化層)を配置する場合には、押圧凹部形成工程前に、第1平坦化層上または第2平坦化層上に体積ホログラム層を転写する転写工程が行われる。
体積ホログラム層を転写する方法としては、所定の位置に体積ホログラム層を転写することができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な方法を適用することができる。
(4)密着層形成工程
本実施態様においては、上記体積ホログラム層配置工程が、上記体積ホログラム層に接するように密着層を形成する密着層形成工程を有していてもよい。密着層により、体積ホログラム層と、密着層を介して体積ホログラム層に接する層との密着性を高めることができ、体積ホログラム層を剥がれにくくし、偽造防止効果を向上させることができるからである。
なお、密着層、密着層の形成方法および密着層の厚み等については、上記第1実施態様の密着層形成工程の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(5)その他の工程
本実施態様においては、押圧凹部形成工程および事前凹部形成工程の前に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に含まれる重合性化合物を重合してもよく、押圧凹部形成工程および事前凹部形成工程の後に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に含まれる重合性化合物を重合してもよい。中でも、押圧凹部形成工程前に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に含まれる重合性化合物を重合することが好ましい。押圧凹部形成工程にて体積ホログラム層に圧力および熱が加えられた際に、体積ホログラム層に記録された体積ホログラムが変化してしまうおそれがあるからである。
III.第3実施態様
本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を配置する体積ホログラム層配置工程を有し、上記体積ホログラム層配置工程が、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する凹部形成工程を有し、上記凹部形成工程が、上記凹部に上記体積ホログラム層を埋設する前に上記凹部を有する上記平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程であることを特徴とするものである。
本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図13(a)〜(d)は、本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図13(a)に示すように、剥離性基材31上に接着層6を形成し、接着層6上に表面に凹部を有する平坦化層11を予め形成する(事前凹部形成工程)。図13(a)においては、平坦化層11として、樹脂を含有するクッション層5を形成している。次に、図13(b)に示すように、基材1上に剥離層2を形成し、剥離層2上に機能層3を形成する。続いて、図13(b)〜(c)に示すように、平坦化層11(クッション層5)の凹部に体積ホログラム層4を転写し、クッション層5(平坦化層11)と機能層3とを貼り合わせる。その後、図13(d)に示すように、剥離性基材31を接着層6から剥離する。このようにして、体積ホログラム転写箔20が得られる。
本実施態様においては、凹部形成工程が、凹部に体積ホログラム層を埋設する前に凹部を有する平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程であり、予め凹部を形成することで、その後、その凹部に体積ホログラム層を埋設することができる。
図14(a)〜(d)は、本実施態様の体積ホログラム転写箔の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、図14(a)に示すように、基材1上に剥離層2を形成し、剥離層2上に機能層3を形成し、機能層3上に表面に凹部を有する第1平坦化層11aを予め形成する。また、剥離性基材31上に表面に凹部を有する第2平坦化層11bを予め形成する(事前凹部形成工程)。図14(a)においては、第1平坦化層11aとして樹脂を含有するクッション層5を形成し、第2平坦化層11bとして接着層6を形成している。次いで、図14(b)〜(c)に示すように、第1平坦化層11a(クッション層5)の凹部または第2平坦化層11b(接着層6)の凹部に体積ホログラム層4を転写し、第1平坦化層11a(クッション層5)および第2平坦化層11b(接着層6)を貼り合わせる。次に、図14(d)に示すように、剥離性基材31を接着層6から剥離する。このようにして、体積ホログラム転写箔20が得られる。
本実施態様においては、図13(a)〜(d)に示すように体積ホログラム層の片面のみに、表面に凹部を有する平坦化層を配置してもよく、図14(a)〜(d)に示すように体積ホログラム層の両面にそれぞれ、表面に凹部を有する平坦化層(第1平坦化層および第2平坦化層)を配置してもよい。
なお、体積ホログラム転写箔における各構成部材については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
以下、体積ホログラム転写箔の製造方法における各工程について説明する。
1.体積ホログラム層配置工程
本実施態様における体積ホログラム層配置工程は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を配置する工程であり、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する凹部形成工程を有している。また本実施態様においては、上記凹部形成工程が、上記凹部に上記体積ホログラム層を埋設する前に上記凹部を有する上記平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程である。
なお、体積ホログラム層の配置については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
以下、体積ホログラム層配置工程における各工程について説明する。
(1)事前凹部形成工程
本実施態様における凹部形成工程は、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、上記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する工程であり、上記凹部に上記体積ホログラム層を埋設する前に上記凹部を有する上記平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程である。
以下、事前凹部形成工程および平坦化層について説明する。
(a)事前凹部形成工程
本実施態様においては、図13(a)〜(b)に示すように体積ホログラム層の片面のみに、表面に凹部を有する平坦化層を配置してもよく、図14(a)〜(b)に示すように体積ホログラム層の両面にそれぞれ、表面に凹部を有する平坦化層(第1平坦化層および第2平坦化層)を配置してもよい。
なお、凹部を有する平坦化層を予め形成する方法については、上記第1実施態様の事前凹部形成工程の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
事前凹部形成工程において形成される凹部の大きさとしては、体積ホログラム層を埋設することができるものであればよく、体積ホログラム層の大きさに応じて適宜選択される。
平坦化層の厚みとしては、部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、平坦化層の種類に応じて適宜選択される。
なお、平坦化層の厚みについては、上記第1実施態様と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
事前凹部形成工程において剥離性基材上に接着層等を形成する場合、剥離性基材としては、例えば接着層から剥離できるように離型処理された基材を用いることができ、一般的な剥離性基材を使用することができる。
(b)平坦化層
本実施態様における平坦化層は、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つであり、体積ホログラム層に接して配置される層である。平坦化層としては、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つであればよく、例えば、剥離層、接着層、樹脂を含有するクッション層等が挙げられる。また、平坦化層は機能層以外の層であることが好ましい。機能層の厚みが部分的に異なると、目的とする機能が得られないおそれがあるからである。
なお、各層については、上記第1実施態様の体積ホログラム転写箔の構成部材の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(2)転写工程
本実施態様における体積ホログラム層配置工程は、事前凹部形成工程後に、上記平坦化層の凹部に上記体積ホログラム層を転写する転写工程を有していてもよい。
体積ホログラム層を転写する方法としては、所定の位置に体積ホログラム層を転写することができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な方法を適用することができる。
(3)密着層形成工程
本実施態様においては、上記体積ホログラム層配置工程が、上記体積ホログラム層に接するように密着層を形成する密着層形成工程を有していてもよい。密着層により、体積ホログラム層と、密着層を介して体積ホログラム層に接する層との密着性を高めることができ、体積ホログラム層を剥がれにくくし、偽造防止効果を向上させることができるからである。
なお、密着層、密着層の形成方法および密着層の厚み等については、上記第1実施態様の密着層形成工程の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(4)その他の工程
本実施態様においては、事前凹部形成工程前に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に含まれる重合性化合物を重合してもよく、事前凹部形成工程後に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に含まれる重合性化合物を重合してもよい。
B.体積ホログラム積層体の製造方法
本発明の体積ホログラム積層体の製造方法は、上述の体積ホログラム転写箔の製造方法により製造される体積ホログラム転写箔の接着層上に被転写体を配置し、上記体積ホログラム転写箔の体積ホログラム層が形成されている領域よりも広い領域で、上記体積ホログラム転写箔と上記被転写体とを接着させる被転写体接着工程と、上記体積ホログラム転写箔の基材を剥離する基材剥離工程とを有することを特徴とするものである。
図15(a)〜(c)は、本発明の体積ホログラム積層体の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図15(a)に示すように、体積ホログラム転写箔20を準備する。図15(a)に示す体積ホログラム転写箔20は、図1(d)に示す体積ホログラム転写箔20と同様である。続いて、体積ホログラム転写箔20の接着層6上に、被転写体41を配置し、図15(b)に示すように、体積ホログラム転写箔20の体積ホログラム層4が形成されている領域よりも広い領域で、体積ホログラム転写箔20と被転写体41とを接着する。次に、図15(c)に示すように、体積ホログラム転写箔20の基材1を剥離する。このようにして、体積ホログラム層4が転写された体積ホログラム積層体40が得られる。
本発明においては、上述の体積ホログラム転写箔の製造方法により製造される体積ホログラム転写箔を用いるので、部分的な体積ホログラム層による段差が軽減されており、平坦性の良好な体積ホログラム積層体を製造することができる。したがって、改ざん目的のホログラムの剥離を抑制し、偽造防止効果を向上させることが可能であるとともに、上記段差に起因する製造上の不具合を改善することも可能である。
また本発明においては、上述の体積ホログラム転写箔の製造方法により製造される体積ホログラム転写箔を用いるので、体積ホログラム層の破断面をなくす、あるいは体積ホログラム層の破断面を少なくすることができ、転写性を向上させることが可能である。さらに、上述の体積ホログラム転写箔の製造方法により製造される体積ホログラム転写箔を用いるので、体積ホログラム層の端部の露出を防ぐ、あるいは体積ホログラム層の端部の露出を少なくすることができ、外気や水分、光によるホログラムへの影響を低減し、耐久性を向上させることが可能である。また、券面情報等の被転写体に記載されている情報を妨げない位置に体積ホログラム層を配置することが可能である。
以下、体積ホログラム積層体の製造方法における各工程について説明する。
1.被転写体接着工程
本発明における被転写体接着工程は、上述の体積ホログラム転写箔の製造方法により製造される体積ホログラム転写箔の接着層上に被転写体を配置し、上記体積ホログラム転写箔の体積ホログラム層が形成されている領域よりも広い領域で、上記体積ホログラム転写箔と上記被転写体とを接着させる工程である。
本発明に用いられる被転写体としては、体積ホログラム転写箔の接着層を介して体積ホログラム転写箔と接着させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、体積ホログラム積層体の用途等に応じて任意に選択して用いることができる。被転写体としては、例えば、冊子や商品券などに使われる紙や各種カード、フィルム、布等を挙げることができる。
体積ホログラム転写箔の接着層と被転写体とを接着する方法としては、体積ホログラム転写箔の体積ホログラム層が形成されている領域よりも広い領域で、体積ホログラム転写箔と被転写体とを接着できる方法であれば特に限定されるものではなく、通常、接着層を加熱することにより被転写体と接着する方法が用いられる。接着層を加熱する手段としては、所望の領域のみを所定の温度に加熱できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、加熱ローラーを用いる方法や、熱プレス、ホットスタンプ等を挙げることができる。本発明においてはいずれの加熱手段も好適に用いることができる。
体積ホログラム転写箔および被転写体の配置としては、体積ホログラム転写箔の体積ホログラム層が形成されている領域よりも広い領域で、体積ホログラム転写箔と被転写体とを接着できれば特に限定されるものではない。例えば図7(a)、(b)に示すように枚葉の体積ホログラム転写箔20の場合であって、体積ホログラム層4がライン状やスポット状に配置されている場合には、体積ホログラム転写箔20の全面が被転写体に接着するように、体積ホログラム転写箔および被転写体を配置することができる。また例えば図8(a)、(b)に示すように長尺の体積ホログラム転写箔20の場合であって、体積ホログラム層4がライン状やスポット状に配置されている場合には、体積ホログラム積層体においても体積ホログラム層がライン状やスポット状に配置されるように、体積ホログラム転写箔20の所定の領域が被転写体41に接着するように、体積ホログラム転写箔および被転写体を配置することができる。
2.基材剥離工程
本発明における基材剥離工程は、上記体積ホログラム転写箔の基材を剥離する工程である。
体積ホログラム転写箔の基材を剥離する方法としては、被転写体と接着された領域のみの基材を剥離することができる方法であれば特に限定されるものではない。通常は、体積ホログラム転写箔の基材を被転写体から物理的に引き離すことによって剥離する方法が用いられる。
3.体積ホログラム積層体
本実施態様における体積ホログラム積層体は、部分的な体積ホログラム層による段差が軽減されたものである。体積ホログラム積層体の剥離層側の表面の平坦性としては、体積ホログラム層が形成されている領域と体積ホログラム層が形成されていない領域との境界線の任意の点と、当該任意の点における上記境界線の法線上、体積ホログラム層が形成されていない領域へ向けた1mmの点との膜厚差で定義し、上記膜厚差が8μm以下であることが好ましく、4μm以下であることがより好ましい。
なお、上記段差は、触針式段差測定機または非接触(光学)式段差測定機により測定することができる。
C.体積ホログラム転写箔
本発明の体積ホログラム転写箔は、基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層が配置され、上記体積ホログラム層の少なくとも片面に、上記剥離層、上記接着層、および上記剥離層と上記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つであり、表面に上記体積ホログラム層を埋設する凹部が形成されている平坦化層が配置され、上記体積ホログラム層が上記平坦化層表面の凹部に埋設されていることを特徴とするものである。
図1(d)は本発明の体積ホログラム転写箔の一例を示す概略断面図である。図1(d)に例示する体積ホログラム転写箔20においては、基材1上に形成された剥離層2および機能層3と接着層6との間に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層4が部分的に配置されており、体積ホログラム層4の片面に平坦化層11が配置され、体積ホログラム層4が平坦化層11表面の凹部に埋設されている。図1(d)において、平坦化層11はクッション層5となっている。
図9(e)、図11(f)、図13(d)においても同様に、体積ホログラム層4の片面に平坦化層11が配置され、体積ホログラム層4が平坦化層11表面の凹部に埋設され、平坦化層11はクッション層5となっている。
図2(e)は本発明の体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。図2(e)に例示する体積ホログラム転写箔20においては、基材1上に形成された剥離層2および機能層3と接着層6との間に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層4が部分的に配置されており、体積ホログラム層4の両面にそれぞれ平坦化層11および第2平坦化層12が配置され、体積ホログラム層4が平坦化層11表面の凹部および第2平坦化層12表面の凹部に埋設されている。図2(e)において、平坦化層11および第2平坦化層12はそれぞれクッション層7,5となっている。
図4(d)においても同様に、体積ホログラム層4の両面にそれぞれ平坦化層11および第2平坦化層12が配置され、体積ホログラム層4が平坦化層11表面の凹部および第2平坦化層12表面の凹部に埋設されており、平坦化層11および第2平坦化層12はそれぞれクッション層7,5となっている。
図10(c)においても同様に、体積ホログラム層4の両面にそれぞれ第1平坦化層11aおよび第2平坦化層11bが配置され、体積ホログラム層4が第1平坦化層11a表面の凹部および第2平坦化層11b表面の凹部に埋設されており、第1平坦化層11aおよび第2平坦化層11bはそれぞれクッション層5,7となっている。
図3(c)は本発明の体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。図3(c)に例示する体積ホログラム転写箔20においては、基材1上に形成された剥離層2および機能層3と接着層6との間に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層4が部分的に配置されており、体積ホログラム層4の両面にそれぞれ平坦化層11および第2平坦化層12が配置され、体積ホログラム層4が平坦化層11表面の凹部および第2平坦化層12表面の凹部に埋設されている。図3(c)において、平坦化層11は接着層6、第2平坦化層12はクッション層5となっている。
図12(d)、図14(d)においても同様に、体積ホログラム層4の両面にそれぞれ第1平坦化層11aおよび第2平坦化層11bが配置され、体積ホログラム層4が第1平坦化層11a表面の凹部および第2平坦化層11b表面の凹部に埋設されており、第1平坦化層11aはクッション層5、第2平坦化層11bは接着層6となっている。
図5(f)は本発明の体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。図5(f)に例示する体積ホログラム転写箔20においては、基材1上に形成された剥離層2およびクッション層5と接着層6との間に、体積ホログラムが記録された体積ホログラム層4が部分的に配置されており、体積ホログラム層4の片面に平坦化層11が配置され、体積ホログラム層4が平坦化層11表面の凹部に埋設されている。図5(f)において、平坦化層11はクッション層7となっている。
なお、各図面において、平坦化層11、第1平坦化層11a、第2平坦化層11b、12はいずれも本発明の体積ホログラム転写箔を構成する平坦化層である。
本発明においては、剥離層と接着層とに間に体積ホログラム層が部分的に配置されているので、体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際には、体積ホログラム層の破断面をなくす、あるいは体積ホログラム層の破断面を少なくすることができ、転写性を向上させることが可能である。さらに、体積ホログラム転写箔を用いて製造された体積ホログラム積層体において、体積ホログラム層の端部の露出を防ぐ、あるいは体積ホログラム層の端部の露出を少なくすることができ、外気や水分、光によるホログラムへの影響を低減し、耐久性を向上させることが可能である。また、体積ホログラム転写箔を用いて製造された体積ホログラム積層体においては、券面情報等の被転写体に記載されている情報を妨げない位置に体積ホログラム層を配置することが可能である。
また本発明においては、平坦化層の表面に体積ホログラム層を埋設する凹部が形成され、体積ホログラム層が平坦化層表面の凹部に埋設されているので、平坦化層によって部分的な体積ホログラム層による段差を軽減することができる。したがって、改ざん目的のホログラムの剥離を抑制し、偽造防止効果を向上させることが可能であるとともに、上記段差に起因する製造上の不具合を改善することも可能である。
図7(a)、(b)および図8(a)、(b)は本発明の体積ホログラム転写箔の一例を示す概略平面図であり、図7(a)、(b)に例示する体積ホログラム転写箔20は枚葉状であり、図8(a)、(b)に例示する体積ホログラム転写箔20は長尺状である。図7(a)および図8(a)においては、体積ホログラム層4が剥離層および接着層(図示なし)の間にライン状に配置されており、図7(b)および図8(b)においては、体積ホログラム層4が剥離層および接着層(図示なし)の間にスポット状に配置されている。このように体積ホログラム層がライン状やスポット状に配置されている場合には、体積ホログラム層の端部の露出面積を少なくすることができる。この場合、体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、体積ホログラム層の破断面を少なくすることができ、転写性をさらに向上させることが可能となる。また、体積ホログラム転写箔を用いて製造された体積ホログラム積層体において、体積ホログラム層の端部の露出を少なくすることができ、耐久性をさらに向上させることも可能である。
なお、図7(a)、(b)および図8(a)、(b)において、基材および体積ホログラム層以外の構成部材は省略されている。また、図8(a)、(b)において、41は被転写体を示す。
なお、体積ホログラム転写箔の構成部材および製造方法等については、上記「A.体積ホログラム転写箔の製造方法」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
1.中間転写用体積ホログラム積層フィルムの作製
(1)体積ホログラム記録用フィルムの作製
PETフィルム(東レ(株)製:ルミラーT60(50μm))に、下記組成からなる体積ホログラム記録材料を、乾燥膜厚7μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、体積ホログラム記録用フィルムとした。
<体積ホログラム記録材料の組成>
・バインダー樹脂(ポリメチルメタクリレート系樹脂(分子量200,000))
50重量部
・3,9−ジエチル−3′−カルボキシルメチル−2,2′−チアカルボシアニン沃素塩
0.5重量部
・ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート 6重量部
・2,2−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン 80重量部
・1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル 80重量部
・溶剤(メチルイソブチルケトン/n−ブタノール=1/1(重量比))
200重量部
(2)中間転写用体積ホログラム積層フィルムの作製
上記体積ホログラム記録用フィルムに波長532nmのレーザー光を用いて体積ホログラムを記録し、PETフィルム/体積ホログラム層からなる中間転写用体積ホログラム積層フィルムを得た。
2.体積ホログラム転写箔1の作製
(1)基材の作製
PETフィルム(東レ(株)製:ルミラーQT30(25μm))を用い、片面にケイ砂を用い、中心線平均粗さ(Ra)が0.4μmとなるようにサンドマット加工処理を行った。その後、ケイ砂および研磨カス等の残渣を取り除くために水で処理面を洗浄し、乾燥し、体積ホログラム転写箔基材を作製した。
(2)剥離層の形成
下記組成からなる剥離層材料を上記体積ホログラム転写箔基材の未処理面にグラビアコートにて塗工し、100℃、30秒にて乾燥させ、50℃にて1日間エイジングを行い、0.2g/m2の剥離層を得た。
<剥離層材料の組成>
・パラフィンワックス 50重量部
・エステルワックス 50重量部
(3)機能層の形成
下記組成からなる機能層材料を用い、トルエン/メチルエチルケトンの80/20の比率の塗布溶剤組成で固形分40%となるよう希釈し、グラビアコートにより上記剥離層上に塗工し、乾燥膜厚10μmにした。100℃、20秒で乾燥後、メタルハライドランプにて積算露光量250mJで露光し、機能層を形成した。
<機能層材料の組成>
・NKオリゴUA31F(新中村化学工業(株)) 15重量部
・NKオリゴEA1020(新中村化学工業(株)) 40重量部
・転写箔用樹脂(下記方法にて合成) 40重量部
・イルガキュア184 5重量部
<転写箔用樹脂の合成>
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタアクリル酸エチル73部、ベンジルメタアクリレート15部、メタアクリル酸12部、エタノール500部、α、α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、トリエチルアンモニウムクロライド3部、グリシジルメタクリレート1部を加え、3時間反応させ、目的のアクリル系共重合体の合成樹脂を(Mw.17,000、酸価32)得た。
(4)熱転写(中間転写)
上記中間転写用体積ホログラム積層フィルムを1cm角に切り出し、そのホログラム面を、上記機能層に対し図8(b)のように点在するよう配置し、上記機能層面に市販の熱ラミネーターを用い、80℃、1m/minの速度にて熱転写した。体積ホログラムの定着のために、高圧水銀灯を用いて、全面に積算露光量2500mJの紫外線を照射し、その後、中間転写用体積ホログラム積層フィルムのPETフィルムを剥離した。
(5)クッション層の形成
下記組成からなるクッション層用樹脂組成物を用い、上記体積ホログラム層を熱転写した機能層面にグラビアコートにて塗工し、100℃、30秒で乾燥して乾燥膜厚10μmとし、50℃、24時間で硬化させた。
<クッション層用樹脂組成物の組成>
・ポリビニルブチラール樹脂(積水化学(株)製:エスレックBX−1) 5重量部
・熱可塑性エラストマー(ダイセル化学工業(株)製:エポフレンドCT310)
3重量部
・硬化剤 ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製:コロネートHX) 2重量部
・メチルエチルケトン 30重量部
・トルエン 70重量部
(6)接着層の形成
下記組成からなる接着層材料を用い、上記クッション層面にグラビアコートにて塗工し、70℃、30秒で乾燥し、1μmの接着層を形成した。
<接着層材料の組成>
・ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体(東邦化学工業(株)製:ハイテックS 5254B) 8重量部
・ポリアクリル酸エステル共重合体(日本純薬(株)製:ジュリマーAT510)
2重量部
・水 45重量部
・エタノール 45重量部
3.評価
得られた体積ホログラム転写箔1は、ホログラム部分とそうでない部分の段差が無視できるほど小さかった。
[実施例2]
1.中間転写用体積ホログラム積層フィルムの作製
実施例1と同様にして中間転写用体積ホログラム積層フィルムを作製した。
2.体積ホログラム転写箔2の作製
(1)基材/剥離層/機能層/クッション層の形成
実施例1での機能層の形成までの手順およびクッション層の形成方法に従い、図2(a)に示す層構成(基材/剥離層/機能層/クッション層)を得た。
(2)熱転写(中間転写)
実施例1での熱転写の方法に従い、1cm角に切り出した中間転写用体積ホログラム積層フィルムを上記クッション層面に中間転写した。市販のプレス機を用い、上記中間転写用体積ホログラム積層フィルムと同位置となるよう1cm角の金型を配置し、圧力300kg/cm2にて押圧した。体積ホログラムの定着のために、高圧水銀灯を用いて、全面に積算露光量2500mJの紫外線を照射し、その後、中間転写用体積ホログラム積層フィルムのPETフィルムを剥離し、図2(c)に示す層構成(基材/剥離層/機能層/クッション層/体積ホログラム層)を得た。
(3)クッション層および接着層の形成
上記体積ホログラム層を熱転写したクッション層上に、実施例1でのクッション層の形成方法および接着層の形成方法に従い、クッション層および接着層を形成し、体積ホログラム転写箔2を得た。
3.評価
得られた体積ホログラム転写箔2は、ホログラム部分とそうでない部分の段差が無視できるほど小さかった。
[実施例3]
1.中間転写用体積ホログラム積層フィルムの作製
実施例1と同様にして中間転写用体積ホログラム積層フィルムを作製した。
2.体積ホログラム転写箔3の作製
(1)基材/剥離層/機能層/クッション層の形成
実施例1での機能層の形成までの手順およびクッション層の形成方法に従い、図2(a)に示す層構成(基材/剥離層/機能層/クッション層)を得た。
(2)凹部形成工程
上記クッション層面に対し、市販のプレス機を用い、1cm角の金型にて、圧力300kg/cm2にて押圧し、凹部を形成した(図3(a))。
(3)熱転写(中間転写)
実施例1での熱転写の方法に従い、1cm角に切り出した中間転写用体積ホログラム積層フィルムを上記クッション層の凹部に配置し、市販の熱ラミネーターを用い、80℃、1m/minの速度にて熱転写した。体積ホログラムの定着のために、高圧水銀灯を用いて、全面に積算露光量2500mJの紫外線を照射した。中間転写用体積ホログラム積層フィルムのPETフィルムを剥離し、図3(b)に示す層構成(基材/剥離層/機能層/クッション層/体積ホログラム層)を得た。
(4)接着層の形成
上記体積ホログラム層を熱転写したクッション層上に、実施例1での接着層の形成方法に従い、接着層を形成し、体積ホログラム転写箔3を得た。
3.評価
得られた体積ホログラム転写箔3は、ホログラム部分とそうでない部分の段差が無視できるほど小さかった。
[実施例4]
1.中間転写用体積ホログラム積層フィルムの作製
実施例1と同様にして中間転写用体積ホログラム積層フィルムを作製した。
2.体積ホログラム転写箔4の作製
(1)基材/剥離層/機能層の形成
実施例1での機能層の形成までの手順に従い、図1(a)に示す層構成(基材/剥離層/機能層)を得た。
(2)熱転写(中間転写)
上記中間転写用体積ホログラム積層フィルムを1cm幅のストライプ状にスリットし、その長手方向と図1(a)に示す層構成(基材/剥離層/機能層)の長手方向とが一致するよう配置し、上記機能層面に市販の熱ラミネーターを用い、80℃、1m/minの速度にて熱転写した。体積ホログラムの定着のために、高圧水銀灯を用いて、全面に積算露光量2500mJの紫外線を照射し、その後、中間転写用体積ホログラム積層フィルムのPETフィルムを剥離し、図1(b)に示す層構成(基材/剥離層/機能層/体積ホログラム層)を得た。
(3)クッション層および接着層の形成
上記体積ホログラム層を熱転写した機能層上に、実施例1でのクッション層の形成方法および接着層の形成方法に従い、クッション層および接着層を形成し、体積ホログラム転写箔4を得た。
3.評価
得られた体積ホログラム転写箔4は、ホログラム部分とそうでない部分の段差が無視できるほど小さかった。
[実施例5]
1.中間転写用体積ホログラム積層フィルムの作製
実施例1と同様にして中間転写用体積ホログラム積層フィルムを作製した。
2.体積ホログラム転写箔5の作製
(1)基材/剥離層/機能層/クッション層の形成
実施例1での機能層の形成までの手順およびクッション層の形成方法に従い、図2(a)に示す層構成(基材/剥離層/機能層/クッション層)を得た。
(2)凹部形成工程
上記クッション層面に対し、市販のプレス機を用い、1cm角の金型にて、圧力300kg/cm2にて押圧し、凹部を形成した(図3(a))。
(3)密着層の形成
上記凹部が形成されたクッション層上に、下記組成からなる密着層材料を塗布し、100℃、30秒で乾燥し、乾燥膜厚1μmにした。
<密着層材料の組成>
・ポリビニルブチラール樹脂(積水化学(株)製:エスレックBX−1) 2.3重量部
・熱可塑性エラストマー(ダイセル化学工業(株)製:エポフレンドCT310)
7重量部
・紫外線吸収剤(チバガイギー(株)製:TINUVIN−400) 0.5重量部
・光安定化剤(チバガイギー(株)製:TINUVIN−123) 0.2重量部
・硬化剤 ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製:コロネートHX) 2重量部
・メチルエチルケトン 10重量部
・トルエン 30重量部
(4)PET/密着層/体積ホログラム積層フィルムの作製
PETフィルム(東レ(株)製:ルミラーT60(50μm))に、上記密着層材料を塗布し、100℃、30秒で乾燥し、乾燥膜厚1μmにした。その密着層面と、上記中間転写用体積ホログラム積層フィルムの体積ホログラム面とを、市販の熱ラミネーターを用い、80℃、1m/minの速度にて貼着した。体積ホログラムの定着のために、高圧水銀灯を用いて、全面に積算露光量2500mJの紫外線を照射し、その後、体積ホログラム層側のPETフィルムを剥離することで、PET/密着層/体積ホログラム積層フィルムを得た。
(5)熱転写(中間転写)
上記のPET/密着層/体積ホログラム積層フィルムを、1cm角に切り出し、上記クッション層の凹部の密着層に配置し、市販の熱ラミネーターを用い、80℃、1m/minの速度にて熱転写した。PET/密着層/体積ホログラム積層フィルムのPETフィルムを剥離し、図6(c)に示す層構成(基材/剥離層/機能層/クッション層/密着層/体積ホログラム層/密着層)を得た。
(6)接着層の形成
上記体積ホログラム層を熱転写した密着層上に、実施例1での接着層の形成方法に従い、接着層を形成し、体積ホログラム転写箔5を得た。
3.評価
得られた体積ホログラム転写箔5は、ホログラム部分とそうでない部分の段差が無視できるほど小さかった。
[実施例6]
1.中間転写用体積ホログラム積層フィルムの作製
実施例1と同様にして中間転写用体積ホログラム積層フィルムを作製した。
2.体積ホログラム転写箔6の作製
(1)基材/剥離層/機能層の形成
実施例1での機能層の形成までの手順に従い、図1(a)に示す層構成(基材/剥離層/機能層)を得た。
(2)熱転写(中間転写)
上記中間転写用体積ホログラム積層フィルムを1cm角に切り出し、そのホログラム面を、上記機能層に対し図8(b)のように点在するよう配置し、上記機能層面に市販の熱ラミネーターを用い、80℃、1m/minの速度にて熱転写した。体積ホログラムの定着のために、高圧水銀灯を用いて、全面に積算露光量2500mJの紫外線を照射した。なお、この際にPETフィルムは剥離しなかった。
(3)クッション層の形成
実施例1でのクッション層の形成方法に従い、上記中間転写用体積ホログラム積層フィルムを熱転写した機能層面にクッション層用樹脂組成物を塗布し、乾燥して、50℃、24時間で硬化させた。その後、上記中間転写用体積ホログラム積層フィルムのPETフィルムを剥離した。次いで、上記体積ホログラム層上に、上記クッション層用樹脂組成物を再度塗布し、乾燥し、50℃、24時間で硬化させた。
(4)接着層の形成
上記クッション層上に、実施例1での接着層の形成方法に従い、接着層を形成し、体積ホログラム転写箔6を得た。
3.評価
得られた体積ホログラム転写箔6は、ホログラム部分とそうでない部分の段差が無視できるほど小さかった。
[実施例7]
1.体積ホログラム積層体の作製
実施例1〜6にて作製した体積ホログラム転写箔1〜6を用いて、表面温度200℃に加熱した、直径5cmゴム硬度85のヒートローラーを用いて圧力150kg/cm2で1.2秒間熱をかけ、下記カード基材に転写を行なった。体積ホログラム転写箔1〜6それぞれの体積ホログラム転写箔基材を剥離することにより、体積ホログラム積層体を得た。
<カード基材の作製>
厚さ350μmのポリエチレンテレフタレート(帝人(株)製:テトロンHS350)の両面に白色ポリプロピレン樹脂(三菱油化(株)製:ノーブレンFL25HA)をエクストルージョンラミネート法で厚み50μmになるように設けた。
2.評価
得られた体積ホログラム積層体はいずれも表面が平坦であった。
1 … 基材
2 … 剥離層
3 … 機能層
4 … 体積ホログラム層
5,7 … クッション層
6 … 接着層
8a,8b … 密着層
11 … 平坦化層
11a … 第1平坦化層
11b … 第2平坦化層
12 … 第2平坦化層
20 … 体積ホログラム転写箔
31 … 剥離性基材
40 … 体積ホログラム積層体
41 … 被転写体

Claims (11)

  1. 基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層を配置する体積ホログラム層配置工程を有し、
    前記体積ホログラム層配置工程が、前記剥離層、前記接着層、および前記剥離層と前記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つである平坦化層の表面に、前記体積ホログラム層を埋設する凹部を形成する凹部形成工程を有することを特徴とする体積ホログラム転写箔の製造方法。
  2. 前記凹部形成工程が、前記体積ホログラム層を覆うように平坦化層形成用樹脂組成物を塗布する塗布凹部形成工程であることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラム転写箔の製造方法。
  3. 前記凹部形成工程が、前記平坦化層に前記体積ホログラム層を押圧する押圧凹部形成工程であることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラム転写箔の製造方法。
  4. 前記凹部形成工程が、前記凹部に前記体積ホログラム層を埋設する前に前記凹部を有する前記平坦化層を予め形成する事前凹部形成工程であることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラム転写箔の製造方法。
  5. 前記平坦化層が、樹脂を含有するクッション層であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の体積ホログラム転写箔の製造方法。
  6. 前記体積ホログラム層配置工程にて、前記体積ホログラム層の端部が露出しないように、前記剥離層と前記接着層との間に前記体積ホログラム層を配置することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の体積ホログラム転写箔の製造方法。
  7. 前記体積ホログラム層配置工程が、前記体積ホログラム層に接するように密着層を形成する密着層形成工程を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の体積ホログラム転写箔の製造方法。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の体積ホログラム転写箔の製造方法により製造される体積ホログラム転写箔の接着層上に被転写体を配置し、前記体積ホログラム転写箔の体積ホログラム層が形成されている領域よりも広い領域で、前記体積ホログラム転写箔と前記被転写体とを接着させる被転写体接着工程と、
    前記体積ホログラム転写箔の基材を剥離する基材剥離工程と
    を有することを特徴とする体積ホログラム積層体の製造方法。
  9. 基材上に形成された剥離層と接着層との間に、部分的に体積ホログラムが記録された体積ホログラム層が配置され、
    前記体積ホログラム層の少なくとも片面に、前記剥離層、前記接着層、および前記剥離層と前記接着層との間に形成される任意の層の少なくともいずれか一つであり、表面に前記体積ホログラム層を埋設する凹部が形成されている平坦化層が配置され、
    前記体積ホログラム層が前記平坦化層表面の凹部に埋設されていることを特徴とする体積ホログラム転写箔。
  10. 前記体積ホログラム層が、前記剥離層と前記接着層との間にライン状またはスポット状に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の体積ホログラム転写箔。
  11. 前記平坦化層が、樹脂を含有するクッション層であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の体積ホログラム転写箔。
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