JP2011214262A - 小便器用排水トラップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】小便器用排水トラップAは、小便器1の鉢面2の下端部に配置され、鉢面2に沿って流下した尿Uを貯留するための貯留空間14を有する本体部10と、貯留空間14内の尿Uを本体部10外へ排出させるための排出口30と、下端のディップ26を貯留空間14の底部に連通させるとともに上端のウェア28を排出口30に連通させた形態であって、貯留空間14内の尿Uが排出されるときに尿Uの上昇流路27となる封水部25とを備える。上昇流路27の尿Uの流動方向と直角な断面積は、尿排出時における上昇流路27内の尿Uの上昇速度が、尿中沈殿物の沈降速度を上回るような大きさに設定されている。
【選択図】図1
Description
貯留空間内の尿中沈殿物は、尿の流れに乗じて上昇流路を通過することにより排出口から排出されるのであるが、上昇流路内における尿の上昇速度は尿中沈殿物の沈降速度よりも速いので、尿中沈殿物が貯留空間の底部に残留する虞がない。これにより、尿中沈殿物を確実に排出させることができる。
健常者の一回当たりの最少排尿流量が0.6L/minであるとの調査結果、及び尿中沈殿物の沈降速度が17mm/secであるとの実験結果に基づき、上昇流路の尿の流動方向と直角な断面積を588.2mm2とした。この面積であれば、上昇流路中における尿の上昇速度が尿中沈殿物の沈降速度と同じ速度になる。したがって、上昇流路の尿の流動方向と直角な断面積を588.2mm2よりも狭い面積とすることで、尿中沈殿物を確実に排出させることができる。
尿が下降流路を流れる際には、尿の流速が、狭小部において急に高まり、狭小部を通過後に急に低下するので、狭小部よりも下流側、即ち貯留空間の底部では乱流状態となり、この乱流により貯留空間の底部に沈殿している尿中沈殿物が巻き上げられる。巻き上げられた尿中沈殿物は、排出される尿の流れに乗じて上昇流路を上昇するので、確実に排出される。これにより、尿中沈殿物を確実に排出させることができる。
流入口から流入した尿によって引き込まれたシール液は、対流空間内で対流した後、対流の消失に伴って浮力により上昇するので、上昇流路を通って流出する虞がない。シール液の流出防止手段である対流空間を形成するための仕切部が、狭小部を形成するための手段を兼ねているので、狭小部を、仕切部とは独立して形成したものに比べると、貯留空間内の形状を簡素化することができる。
貯留空間で沈降して貯留空間の底面上即ち螺旋状傾斜面上に落ちた尿中沈殿物は、螺旋状傾斜面の傾斜にしたがって転がり、ディップの近傍に集まる。また、尿中沈殿物が螺旋状傾斜面上に溜まった場合でも、貯留空間内の尿が排出される際には、尿が、螺旋状傾斜面に沿った流れとなるので、螺旋状傾斜面上の尿中沈殿物は、尿の流れに引きずられてディップまで到達する。したがって、尿中沈殿物は、排出される尿の流れに乗じてディップから上昇流路内に確実に引き込まれて排出される。これにより、尿中沈殿物を確実に排出させることができる。
貯留空間内で沈降した尿中沈殿物は、誘導斜面上に落ちるのであるが、誘導斜面はディップに向かって下り勾配となるように傾斜しているので、尿中沈殿物は誘導斜面の傾斜によりディップの近傍に集まる。したがって、尿中沈殿物は、確実に上昇流路内に導かれて排出される。
誘導斜面が、貯留空間の内壁面の全周に亘る略擂り鉢状をなしているので、ほぼ全ての尿中沈殿物を確実にディップの近傍に集めることができる。
健常者の一回の平均排尿量が300mLであるとの調査結果に基づき、尿の液面がウェアと同じ高さとなる封水状態における尿の貯留量を300mL以下としたので、排尿が行われる度に、排尿前に貯留空間内に貯留されていた尿の大部分が排出されて、新しい尿と入れ替わる。これにより、貯留空間の底部に尿中沈殿物が残留し、増加することを防止することができる。
貯留空間内に貯留されている尿の液面をシール液で覆い隠したので、尿から発せられる異臭が大気中に放散される虞がない。
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1を参照して説明する。本実施形態1の小便器用排水トラップAは、小便器1とは別体の交換可能なカートリッジタイプのものであって、小便器1の鉢面2の下端部に配置されている。小便器用排水トラップAは、尿Uを貯留するための貯留空間14を有する本体部10と、貯留空間14内の尿Uを本体部10外へ排出させるための排出口30と、下端のディップ26を貯留空間14の底部に連通させるとともに上端のウェア28を排出口30に連通させた形態であって、貯留空間14内の尿Uが排出されるときに尿Uの上昇流路27となる封水部25とを備えて構成されている。この小便器用排水トラップAには、小便器1に向けて放出された尿Uが所定量だけ一時的に貯留されるようになっており、小便器1に排尿される度に、貯留されている尿Uの少なくとも一部が排出されるようになっている。
次に、本発明を具体化した実施形態2を図2及び図3を参照して説明する。本実施形態2の小便器用排水トラップBは、小便器1とは別体の交換可能なカートリッジタイプのものであって、小便器1の鉢面2の下端部に配置されている。この小便器用排水トラップBは、第1部品41と第2部品42を組み付けることにより、尿Uを貯留するための貯留空間47を有する本体部40と、貯留空間47内の尿Uを本体部40外へ排出させるための排出口50と、下端のディップ58を貯留空間47の底部に連通させるとともに上端のウェア59を排出口50に連通させた形態であって、貯留空間47内の尿Uが排出されるときに尿Uの上昇流路60となる封水部57とが構成されている。この小便器用排水トラップBには、小便器1に向けて放出された尿Uが所定量だけ一時的に貯留されるようになっており、小便器1に排尿される度に、貯留されている尿Uの少なくとも一部が排出されるようになっている。
次に、本発明を具体化した実施形態3を図4を参照して説明する。本実施形態3の小便器用排水トラップCは、螺旋状傾斜面70を上記実施形態2の小便器用排水トラップBとは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態2と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
次に、本発明を具体化した実施形態4を図5を参照して説明する。本実施形態4の小便器用排水トラップDは、小便器とは別体の交換可能なカートリッジタイプのものであって、小便器1の鉢面2の下端部に配置されている。この小便器用排水トラップDは、第1部品81と第2部品82を組み付けることにより、尿Uを貯留するための貯留空間87を有する本体部80と、貯留空間87内の尿Uを本体部80外へ排出させるための排出口90と、下端のディップ96を貯留空間87の底部に連通させるとともに上端のウェア97を排出口90に連通させた形態であって、貯留空間87内の尿Uが排出されるときに尿Uの上昇流路98となる封水部95とが構成されている。
次に、本発明を具体化した実施形態5を図6及び図7を参照して説明する。本実施形態5の小便器用排水トラップEは、小便器1とは別体の交換可能なカートリッジタイプのものであって、小便器1の鉢面2の下端部に配置されている。この小便器用排水トラップEは、第1部品111と第2部品112を組み付けることにより、尿(図示省略)を貯留するための貯留空間117を有する本体部110と、貯留空間117内の尿を本体部110外へ排出させるための排出口119と、下端のディップ127を貯留空間117の底部に連通させるとともに上端のウェア128を排出口119に連通させた形態であって、貯留空間117内の尿が排出されるときに尿の上昇流路129となる封水部126とが構成されている。この小便器用排水トラップには、小便器に向けて放出された尿が所定量だけ一時的に貯留されるようになっており、小便器に排尿される度に、貯留されている尿の少なくとも一部が排出されるようになっている。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1では、対流空間を形成するための仕切部が、狭小部の形成手段を兼ねるようにしたが、狭小部は、対流空間を形成するための仕切部を利用せずに形成してもよい。
(2)上記実施形態1では、封水部(上昇流路)を本体部の外部に配置したが、封水部(上昇流路)は本体部の内部に配置してもよい。
(3)上記実施形態1〜5では、本体部を小便器とは別体の部品としたが、本体部を小便器と一体に形成してもよい。
(4)上記実施形態2〜5では、貯留空間を構成する第1部品と、貯留空間の上方を覆う第2部品とを別体の部品としたが、2つの部品を一体に形成してもよい。
(5)上記実施形態2,3,5に記載した螺旋状傾斜面を形成する技術は、実施形態1,4にも適用することができる。
(6)上記実施形態1〜5では、貯留空間内に貯留されている尿の液面をシール液で覆い隠したが、本発明は、シール液を設けない構成も含む。
(7)上記実施形態1〜5では、貯留空間内及び封水部内における尿の最大貯留量を300mLとしたが、最大貯留量は300mLより多くてもよい。
S…シール液
U…尿
1…小便器
2…鉢面
10,40,80,110…本体部
14,47,87,117…貯留空間
15,56,94,125…流入口
16,48,88…誘導斜面
18,61,99,130…仕切部
21,64,100,133…対流空間
22,65,101,134…下降流路
23,66,102,135…狭小部
25,57,95,126…封水部
26,58,96,127…ディップ
27,60,98,129…上昇流路
28,59,97,128…ウェア
30,50,90,119…排出口
51,70,120…螺旋状傾斜面
Claims (9)
- 小便器の鉢面の下端部に配置され、尿を貯留するための貯留空間を有する本体部と、
前記貯留空間内の尿を前記本体部外へ排出させるための排出口と、
下端のディップを前記貯留空間の底部に連通させるとともに上端のウェアを前記排出口に連通させた形態であって、前記貯留空間内の尿が排出されるときに尿の上昇流路となる封水部とを備えた小便器用排水トラップであって、
前記上昇流路の尿の流動方向と直角な断面積が、尿排出時における前記上昇流路内の尿の上昇速度が、尿中沈殿物の沈降速度を上回るような大きさに設定されていることを特徴とする小便器用排水トラップ。 - 前記上昇流路の尿の流動方向と直角な断面積が、588.2mm2よりも狭い面積であることを特徴とする請求項1記載の小便器用排水トラップ。
- 小便器の鉢面の下端部に配置され、尿を貯留するための貯留空間を有する本体部と、
前記貯留空間内の尿を前記本体部外へ排出させるための排出口と、
下端のディップを前記貯留空間の底部に連通させるとともに上端のウェアを前記排出口に連通させた形態であって、前記貯留空間内の尿が排出されるときに尿の上昇流路となる封水部とを備えた小便器用排水トラップであって、
前記貯留空間内には、その上端から前記ディップに向かう尿の下降流路の途中を局部的に狭めた形態の狭小部が形成されていることを特徴とする小便器用排水トラップ。 - 前記本体部の上方には、前記鉢面に沿って流下した尿を前記貯留空間に流入させる流入口が開口しており、
前記貯留空間に貯留されている尿の液面が、尿よりも比重の小さい非水溶性のシール液で覆われており、
前記貯留空間内には、前記流入口に対しその下方で対峙するように上向きに開口する対流空間を形成するための仕切部が設けられ、
前記下降流路のうち前記仕切部の突き出している部分が前記狭小部となっていることを特徴とする請求項3記載の小便器用排水トラップ。 - 小便器の鉢面の下端部に配置され、尿を貯留するための貯留空間を有する本体部と、
前記貯留空間内の尿を前記本体部外へ排出させるための排出口と、
下端のディップを前記貯留空間の底部に連通させるとともに上端のウェアを前記排出口に連通させた形態であって、前記貯留空間内の尿が排出されるときに尿の上昇流路となる封水部とを備えた小便器用排水トラップであって、
前記貯留空間内には、前記貯留空間の少なくとも底面を含む領域を、前記ディップに向かって下り勾配となるように螺旋状に傾斜させた形態の螺旋状傾斜面が形成されていることを特徴とする小便器用排水トラップ。 - 前記貯留空間内には、前記ディップに向かって下り勾配となるように傾斜した誘導斜面が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の小便器用排水トラップ。
- 前記誘導斜面は、前記貯留空間の内壁面の全周に亘って形成されることで略擂り鉢状をなしていることを特徴とする請求項6記載の小便器用排水トラップ。
- 尿の液面が前記ウェアと同じ高さとなる封水状態における尿の貯留量が300mL以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の小便器用排水トラップ。
- 前記貯留空間に貯留されている尿の液面が、尿よりも比重の小さい非水溶性のシール液で覆われていることを特徴とする請求項1ないし請求項3、請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の小便器用排水トラップ。
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