JP5586301B2 - 小便器用排水トラップ - Google Patents

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Description

本発明は、小便器用排水トラップに関するものである。
特許文献1には、従来の小便器用排水トラップとして、小便器の鉢面の下端部に配置され、尿を貯留するための貯留空間を有する本体部と、貯留空間内の尿を本体部外へ排出させるための排出口と、下端のディップを貯留空間の底部に連通させるとともに上端のウェアを排出口に連通させた形態であって、貯留空間内の尿が排出されるときに尿の上昇流路となる封水部とを備えたものが開示されている。
特許第3515785号公報
この種の小便器用排水トラップでは、貯留空間の底部に尿中沈殿物が沈殿することは避けられない。この沈殿した尿中沈殿物が、尿の排出時に排出口まで到達せずに貯留空間に残留し、その尿中沈殿物の残留量が封水部のディップを上回る高さになると、封水部の上流端が尿中沈殿物によって閉塞され、排水ができなくなることが懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、尿中沈殿物を確実に排出できるようにすることを目的とする。
請求項1の発明は、小便器の鉢面の下端部に配置され、尿を貯留するための貯留空間を有する本体部と、前記貯留空間内の尿を前記本体部外へ排出させるための排出口と、下端のディップを前記貯留空間の底部に連通させるとともに上端のウェアを前記排出口に連通させた形態であって、前記貯留空間内の尿が排出されるときに尿の上昇流路となる封水部とを備えた小便器用排水トラップであって、前記貯留空間内には、その上端から前記ディップに向かう尿の下降流路の途中を局部的に狭めた形態の狭小部が形成されているところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記本体部の上方には、前記鉢面に沿って流下した尿を前記貯留空間に流入させる流入口が開口しており、前記貯留空間に貯留されている尿の液面が、尿よりも比重の小さい非水溶性のシール液で覆われており、前記貯留空間内には、前記流入口に対しその下方で対峙するように上向きに開口する対流空間を形成するための仕切部が設けられ、前記下降流路のうち前記仕切部の突き出している部分が前記狭小部となっているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、小便器の鉢面の下端部に配置され、尿を貯留するための貯留空間を有する本体部と、前記貯留空間内の尿を前記本体部外へ排出させるための排出口と、下端のディップを前記貯留空間の底部に連通させるとともに上端のウェアを前記排出口に連通させた形態であって、前記貯留空間内の尿が排出されるときに尿の上昇流路となる封水部とを備えた小便器用排水トラップであって、前記貯留空間内には、前記貯留空間の少なくとも底面を含む領域を、前記ディップに向かって下り勾配となるように螺旋状に傾斜させた形態の螺旋状傾斜面が形成されているところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記貯留空間内には、前記ディップに向かって下り勾配となるように傾斜した誘導斜面が形成されているところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記誘導斜面は、前記貯留空間の内壁面の全周に亘って形成されることで略擂り鉢状をなしているところに特徴を有する。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、尿の液面が前記ウェアと同じ高さとなる封水状態における尿の貯留量が300mL以下であるところに特徴を有する。
請求項7の発明は、請求項1、請求項3ないし請求項6のいずれかに記載のものにおいて、前記貯留空間に貯留されている尿の液面が、尿よりも比重の小さい非水溶性のシール液で覆われているところに特徴を有する。
請求項1の発明>
尿が下降流路を流れる際には、尿の流速が、狭小部において急に高まり、狭小部を通過後に急に低下するので、狭小部よりも下流側、即ち貯留空間の底部では乱流状態となり、この乱流により貯留空間の底部に沈殿している尿中沈殿物が巻き上げられる。巻き上げられた尿中沈殿物は、排出される尿の流れに乗じて上昇流路を上昇するので、確実に排出される。これにより、尿中沈殿物を確実に排出させることができる。
請求項2の発明>
流入口から流入した尿によって引き込まれたシール液は、対流空間内で対流した後、対流の消失に伴って浮力により上昇するので、上昇流路を通って流出する虞がない。シール液の流出防止手段である対流空間を形成するための仕切部が、狭小部を形成するための手段を兼ねているので、狭小部を、仕切部とは独立して形成したものに比べると、貯留空間内の形状を簡素化することができる。
請求項3の発明>
貯留空間で沈降して貯留空間の底面上即ち螺旋状傾斜面上に落ちた尿中沈殿物は、螺旋状傾斜面の傾斜にしたがって転がり、ディップの近傍に集まる。また、尿中沈殿物が螺旋状傾斜面上に溜まった場合でも、貯留空間内の尿が排出される際には、尿が、螺旋状傾斜面に沿った流れとなるので、螺旋状傾斜面上の尿中沈殿物は、尿の流れに引きずられてディップまで到達する。したがって、尿中沈殿物は、排出される尿の流れに乗じてディップから上昇流路内に確実に引き込まれて排出される。これにより、尿中沈殿物を確実に排出させることができる。
請求項4の発明>
貯留空間内で沈降した尿中沈殿物は、誘導斜面上に落ちるのであるが、誘導斜面はディップに向かって下り勾配となるように傾斜しているので、尿中沈殿物は誘導斜面の傾斜によりディップの近傍に集まる。したがって、尿中沈殿物は、確実に上昇流路内に導かれて排出される。
請求項5の発明>
誘導斜面が、貯留空間の内壁面の全周に亘る略擂り鉢状をなしているので、ほぼ全ての尿中沈殿物を確実にディップの近傍に集めることができる。
請求項6の発明>
健常者の一回の平均排尿量が300mLであるとの調査結果に基づき、尿の液面がウェアと同じ高さとなる封水状態における尿の貯留量を300mL以下としたので、排尿が行われる度に、排尿前に貯留空間内に貯留されていた尿の大部分が排出されて、新しい尿と入れ替わる。これにより、貯留空間の底部に尿中沈殿物が残留し、増加することを防止することができる。
請求項7の発明>
貯留空間内に貯留されている尿の液面をシール液で覆い隠したので、尿から発せられる異臭が大気中に放散される虞がない。
実施形態1の断面図 実施形態2の断面図 実施形態2の螺旋状傾斜面をあらわす一部切欠斜視図 実施形態3の螺旋状傾斜面をあらわす一部切欠斜視図 実施形態4の断面図 実施形態5の一部切欠斜視図 実施形態5の螺旋状傾斜面をあらわす斜視図
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1を参照して説明する。本実施形態1の小便器用排水トラップAは、小便器1とは別体の交換可能なカートリッジタイプのものであって、小便器1の鉢面2の下端部に配置されている。小便器用排水トラップAは、尿Uを貯留するための貯留空間14を有する本体部10と、貯留空間14内の尿Uを本体部10外へ排出させるための排出口30と、下端のディップ26を貯留空間14の底部に連通させるとともに上端のウェア28を排出口30に連通させた形態であって、貯留空間14内の尿Uが排出されるときに尿Uの上昇流路27となる封水部25とを備えて構成されている。この小便器用排水トラップAには、小便器1に向けて放出された尿Uが所定量だけ一時的に貯留されるようになっており、小便器1に排尿される度に、貯留されている尿Uの少なくとも一部が排出されるようになっている。
本体部10は、筒状の周壁部11と、周壁部11の上面の大部分を覆う板状の蓋部12と、周壁部11の下面を全領域に亘って塞ぐ板状の底面部13とを備えている。本体部10の内部は、尿Uとシール液Sを貯留するための貯留空間14となっている。周壁部11(本体部10)の上面の開口のうち蓋部12で覆われていない領域は、鉢面に沿って流下した尿Uを貯留空間14に流入させるための流入口15となっている。底面部13は、その全領域に亘り水平面に対して傾斜しており、この底面部13の上面(貯留空間14の内底面)は、後述するディップ26に向かって下り勾配となるように傾斜した誘導斜面16となっている。底面部13のうち最も低い部分(本体部10の下端部)には、底面部13を上下に貫通する流出口17が形成されている。
上記した流入口15は、水平方向において流出口17と対応する位置、即ち流出口17のほぼ真上の位置に配置されている。そして、貯留空間14内には、流入口15に対しその下方で対峙するように位置する仕切部18が設けられている。仕切部18は、周壁部11の内壁面から略水平に延出する板状の受け部19と、受け部19の周縁部に沿って鉛直方向上向きに延出した形態の仕切壁20とからなり、仕切壁20は、周壁部11の内壁面に連なっている。この仕切部18の内部は、流入口15に対しその下方で対峙するように上方のみに開口した形態の対流空間21となっている。
貯留空間14内に貯留されている尿Uが排出されるときには、尿Uが誘導斜面16に沿ってディップ26(流出口17)に向かうように斜め下向きに流れるので、貯留空間14は、尿Uの排出時における下降流路22を構成する。上記の仕切部18は、その受け部19と仕切壁20とが略直角に連なる部分を、下降流路22に向かって突出させた形態となっている。この仕切部18の突出形態により、下降流路22のうち流路の途中を局部的に狭めた形態の狭小部23が形成されている。
流出口17には、略U字形の管状をなす導入路24の上流端が連なっている。導入路24の上向きの下流端には、軸線を鉛直方向に向けた円筒状をなす封水部25の上流端(下端)であるディップ26が連なっている。導入路24のうちディップ26よりも上流側(封水部25とは反対側)の空間は、本体部10の内部空間と同じく貯留空間14を構成し、この導入路24内の空間は貯留空間14の底部となっている。封水部25の内部空間は、貯留空間14内の尿Uが本体部10外へ排出されるときに、尿Uを上向きに流動させるための上昇流路27となっている。
封水部25の下流端(上端)であるウェア28には、概ね逆U字形をなす管状の導出路29の上流端が連なっている。そして、導出路29の下向きの下流端は、上昇流路27を通過した尿Uを排出するための排出口30となっている。この排出口30には、軸線を上下方向に向けた管状をなす排出路31の上流端が連なっている。排出路31の下端の開口は、図示しない配水管に連通されている。
通常は、貯留空間14(導入路24を含む)と封水部25(上昇流路27)内には、所定量の尿Uが貯留されている。このときの、上昇流路27における尿Uの液面はウェア28と同じ高さであり、上昇流路27中に尿Uが満たされることにより、排水管からの異臭が小便器1側へ放出されることを防止する封水状態が保たれる。また、貯留空間14内においては、尿Uの液面が、尿Uよりも比重の小さい非水溶性のシール液Sで覆われている。このシール液Sにより、貯留空間14内に貯留されている尿Uは、大気中に直接触れることがないので、尿Uから発せられる異臭が大気中に放散されることはない。そして、貯留空間14内におけるシール液Sの液面高さは、上昇流路27内の尿Uの液面よりも僅かに上方の高さである。
小便器1に向けて排尿されると、尿Uは、鉢面に沿って流下して蓋部12の上面を伝って流入口15に至る経路、又は直接流入口15に至る経路を経て、貯留空間14内に流入する。貯留空間14内に流入した尿Uは、シール液Sを突き抜けて対流空間21内に進入し、流れを下向きから上向きに転じて対流を生じ、さらに、仕切壁20を乗り越えて下降流路22(誘導斜面16)に沿って斜め下向きに流れ、流出口17、導出路29、上昇流路27を順に経て、ウェア28から溢れだし、排出口30から排出路31内に落下して配水管へ排出される。流入口15からの尿Uの流入が終ると、上昇流路27内の尿Uの液面がウェア28と同じ高さとなる封水状態に戻る。
また、尿Uの流入により、シール液Sの一部が攪拌されて対流空間21内に引き込まれるのであるが、引き込まれたシール液Sは、仕切部18の水平な受け部19に跳ね返されて対流空間21内で対流を生じるので、下降流路22まで流出し難い。そして、シール液Sは尿Uよりも比重が小さいので、尿Uの流入の勢いが弱まると、対流空間21内のシール液Sは、浮力により上昇して、尿Uの液面を覆っているシール液Sと合流する。また、仮に、シール液Sの一部が、対流空間21から仕切壁20を乗り越える尿Uの流れに乗じて対流空間21外へ流れ出たとしても、シール液Sの比重は尿Uより小さいので、対流空間21外へ流れ出たシール液Sは、下降流路22には至らずに浮力により上昇して、尿Uの液面を覆っているシール液Sと合流する。したがって、多量のシール液Sが排出口30から排出される虞がなく、使用期間が長期に亘ってもシール液Sの減少を抑えることができる。
尿Uの流入が行われていない間、尿中沈殿物(図示省略)が、沈降して誘導斜面16及び導入路24の底面に落下する。ここで、誘導斜面16は、水平面に対してディップ26(流出口17)に向かって下り勾配となるように傾斜しているので、誘導斜面16上に落下した尿中沈殿物は、誘導斜面16の傾斜にしたがって転がり落ち、流入口15から導入路24の底面上(貯留空間14の底部)、即ちディップ26の近傍に至る。このように、尿中沈殿物の大部分は、ディップ26の近傍に集まるようになっている。そして、この尿中沈殿物は、貯留空間14内の尿Uが導入路24を通過する際に、その尿Uの流れに乗じて巻き上げられ、上昇流路27を上昇して確実に排出される。
また、貯留空間14内には、その上端からディップ26に向かう尿Uの下降流路22の途中を局部的に狭めた形態の狭小部23が形成されている。これにより、尿Uが下降流路22を流れる際には、尿Uの流速が、狭小部23において急に高まり、狭小部23を通過後に急に低下するので、狭小部23よりも下流側である貯留空間14の底部(即ち、ディップ26の下方の近傍領域)では乱流状態となり、この乱流により貯留空間14の底部に沈殿している尿中沈殿物が巻き上げられる。巻き上げられた尿中沈殿物は、排出される尿Uの流れに乗じて上昇流路27を上昇するので、確実に排出される。
特に、本実施形態では、シール液Sの流出防止手段である対流空間21を形成するための仕切部18が、狭小部23を形成するための手段を兼ねているので、狭小部23を、仕切部18とは独立して形成したものに比べると、貯留空間14内の形状を簡素化することができる。
また、本実施形態では、上昇流路27の尿Uの流動方向(鉛直上向き方向)と直角(水平)な断面積は、尿排出時における上昇流路27内の尿Uの上昇速度が、尿中沈殿物の沈降速度を上回るような大きさに設定されている。これにより、尿Uが上昇流路27を上昇する際には、その尿Uの流れに乗じた尿中沈殿物は沈降しながらも、確実に上昇を続ける。したがって、尿中沈殿物は、貯留空間14の底部や導入路24内に残留することなく、確実に排出される。
尚、上昇流路27の尿Uの流動方向と直角な断面積は、588.2mm2よりも狭い面積としている。この数値の選択は、次の理由による。一般的に、健常者の一回当たりの排尿量は平均300mLであり、排尿時間は平均30秒であることが知られている。そこから平均排尿流量を計算すると、健常者の一回当たりの最少排尿流量は0.6L/minとなる。また、発明者らの実験結果によると、尿中沈殿物の沈降速度は17mm/secである。そして、液体の流量Q=速度V×断面積Aの式に、Q=0.6L/minと、V=17mm/secを代入して計算すると、A=588.2mm2が得られる。上昇流路27の断面積をこの値にすれば、健常者の最少排尿流量と同じ流量の尿Uが上昇流路27を上昇するときの上昇速度が、尿中沈殿物の沈降速度と同じ速度となる。したがって、上昇流路27の尿Uの流動方向と直角な断面積を588.2mm2よりも狭い面積とすることにより、尿中沈殿物を確実に排出させることができる。
尚、本実施形態では、上昇流路27の尿Uの流動方向と直角な断面積を、588.2mm2よりも狭い面積としたのであるが、出願人側において行った実験によれば、上昇流路27の断面積は、588.2mm2以上であっても2,000mm2以下であれば、尿中沈殿物の少なくとも一部が上昇流路27を上昇して排出口30から排出されることが判っている。したがって、上昇流路27の断面積を2,000mm2以下にすれば、尿中沈殿物の残留量を極力小さく抑えることができる。
また、本実施形態では、健常者の一回の平均排尿量が300mLであるとの調査結果に基づき、尿Uの液面がウェア28と同じ高さとなる封水状態において貯留空間14(導入路24を含む)及び上昇流路27内に貯留される尿Uの貯留量を、300mL以下とした。このようにすることにより、排尿が行われる度に、排尿前に貯留空間14内及び封水部25内に貯留されていた尿Uの大部分が排出されて、新しい尿Uと入れ替わるので、貯留空間14の底部や導入路24内に尿中沈殿物が残留し、増加することを防止することができる。
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図2及び図3を参照して説明する。本実施形態2の小便器用排水トラップBは、小便器1とは別体の交換可能なカートリッジタイプのものであって、小便器1の鉢面2の下端部に配置されている。この小便器用排水トラップBは、第1部品41と第2部品42を組み付けることにより、尿Uを貯留するための貯留空間47を有する本体部40と、貯留空間47内の尿Uを本体部40外へ排出させるための排出口50と、下端のディップ58を貯留空間47の底部に連通させるとともに上端のウェア59を排出口50に連通させた形態であって、貯留空間47内の尿Uが排出されるときに尿Uの上昇流路60となる封水部57とが構成されている。この小便器用排水トラップBには、小便器1に向けて放出された尿Uが所定量だけ一時的に貯留されるようになっており、小便器1に排尿される度に、貯留されている尿Uの少なくとも一部が排出されるようになっている。
第1部品41は、全体として上面が開放された容器状をなし、軸線を鉛直方向に向けた円筒状の周壁部43と、周壁部43の下端縁に同心状に連なっていて下方に向かって縮径した形態の擂り鉢状をなす傾斜部44と、傾斜部44の下端縁の開口を塞ぐ底面部45と、底面部45から鉛直方向上向きに延出した形態であって平面形状が半円形をなす筒状部46とを備えている。周壁部43と傾斜部44と底面部45は本体部40を構成し、本体部40の内部は、尿Uとシール液Sを貯留するための貯留空間47となっている。傾斜部44の内周面(貯留空間47の内面)は、後述するディップ58に向かって下り勾配となるように傾斜した誘導斜面48となっている。筒状部46の内部は、上下両端が開口された排出路49となっており、排出路49の上端の開口部は排出口50となっており、排出路49の下端の開口部は、本体部40(底面部45)を貫通して配水管(図示省略)に連なっている。
底面部45の上面(貯留空間47の内面)のうち筒状部46の形成されていない領域は、後述するディップ58に向かって下り勾配となるように、且つ本体部40の軸線(筒状部46)を略中心とした螺旋状をなすように傾斜した螺旋状傾斜面51となっている。螺旋状傾斜面51は対称に一対形成され、両螺旋除傾斜面51のうち筒状部46を挟んでディップ58とは反対側の部分が最も高くなっており、この最も高い稜線52において両螺旋状傾斜面51が連なっている。また、両螺旋状傾斜面51は、筒状部46を挟んで互いに反対側の螺旋経路に沿って延び、ディップ58の真下で合流している。ディップ58の真下では、両螺旋状傾斜面51の高さが最も低くなっている。また、両螺旋状傾斜面51の稜線52は、本体部40の軸線を中心とする径方向に延びていて、外周側の端部が誘導斜面48に連なり、内周側の端部が筒状部46の外面に連なっている。この稜線52は、外周側から内周側に向かって下り勾配となるように傾斜している。また、本体部40の軸線を通る鉛直面で切断した断面において、螺旋状傾斜面51も外周側から内周側に向かって下り勾配となるように傾斜している。
第2部品42は、第1部品41に対し、その上面の開口を覆うように組み付けられる。第2部品42は、略水平な円盤状をなす蓋部53と、軸線を鉛直方向に向けて蓋部53の中心孔を同心状に貫通するように配置された円筒部54と、円筒部54の上面の開口部を塞ぐ上面部55とを備えている。蓋部53は本体部40を構成するものであって、蓋部53の上面は、その外周縁から中心孔に向かって下り勾配となるように傾斜している。円筒部54は、周方向に間隔を空けた複数箇所において中心孔の内周に連なっており、中心孔の開口領域のうち円筒部54よりも外周側の領域は、流入口56となっている。
第2部品42を第1部品41に組み付けた状態では、筒状部46が円筒部54で覆われ、円筒部54の下端の開口が本体部40の底面部45よりも高い位置に位置するとともに、筒状部46の上端の排出口50が円筒部54の上面部55よりも低い位置に位置する。この組付け状態においては、円筒部54の内周と筒状部46の外周との間の空間が封水部57を構成し、円筒部54の下端の開口が封水部57のディップ58となり、封水部57のうち筒状部46の上端と同じ高さの部分がウェア59となる。そして、封水部57の内部空間は、平面形状が半円形をなす上昇流路60となっている。上昇流路60は、貯留空間47内の尿Uが本体部40外へ排出されるときに、尿Uを上向きに流動させるための通路であり、この上昇流路60(ディップ58)の真下には、螺旋状傾斜面51の最も低い下流端部が位置している。
筒状部46には、略円環形をなす流入口56に対しその下方で対峙するように位置する仕切部61が一体に形成されている。仕切部61は、筒状部46の下端縁部から略水平に延出する円環形の板状をなす受け部62と、受け部62の外周縁部に沿って鉛直方向上向きに延出した形態の仕切壁63とからなる。この受け部62と仕切壁63によって形成された仕切部61の内部は、流入口56に対しその下方で対峙するように上方のみに開口した円環形をなす対流空間64となっている。
貯留空間47内に貯留されている尿Uが排出されるときには、尿Uが誘導斜面48に沿ってディップ58(流出口)に向かうように斜め下向きに流れるので、貯留空間47は、尿Uの排出時における下降流路65を構成する。上記の仕切部61は、その受け部62と仕切壁63とが略直角に連なる部分を、下降流路65に向かって突出させた形態となっている。この仕切部61の突出形態により、下降流路65のうち流路の途中を局部的に狭めた形態の狭小部66が形成されている。
通常は、貯留空間47と封水部57(上昇流路60)内に、所定量の尿Uが貯留されている。このときの、上昇流路60における尿Uの液面はウェア59と同じ高さであり、上昇流路60中に尿Uが満たされることにより、排水管からの異臭が小便器1側へ放出されることを防止する封水状態が保たれる。また、貯留空間47内においては、尿Uの液面が、尿Uよりも比重の小さい非水溶性のシール液Sで覆われている。このシール液Sにより、貯留空間47内に貯留されている尿Uは、大気中に直接触れることがないので、尿Uから発せられる異臭が大気中に放散されることはない。そして、貯留空間47内におけるシール液Sの液面高さは、上昇流路60内の尿Uの液面よりも僅かに上方の高さである。
小便器1に向けて排尿されると、尿Uは、鉢面に沿って流下して蓋部53の上面を伝って流入口56に至る経路、又は直接流入口56に至る経路を経て、貯留空間47内に流入する。貯留空間47内に流入した尿Uは、シール液Sを突き抜けて対流空間64内に進入し、流れを下向きから上向きに転じて対流を生じ、さらに、仕切壁63を乗り越えて下降流路65(誘導斜面48)に沿って斜め下向きに流れ、貯留空間47の底部で流れを上向きに転じて、上昇流路60を通過し、ウェア59から溢れだして、排出口50から排出路49内に落下し、配水管へ排出される。流入口56からの尿Uの流入が終ると、上昇流路60内の尿Uの液面がウェア59と同じ高さとなる封水状態に戻る。
また、尿Uの流入により、シール液Sの一部が攪拌されて対流空間64内に引き込まれるのであるが、引き込まれたシール液Sは、仕切部61の水平な受け部62に跳ね返されて対流空間64内で対流を生じるので、下降流路65まで流出し難い。そして、シール液Sは尿Uよりも比重が小さいので、尿Uの流入の勢いが弱まると、対流空間64内のシール液Sは、浮力により上昇して、尿Uの液面を覆っているシール液Sと合流する。また、仮に、シール液Sの一部が、対流空間64から仕切壁63を乗り越える尿Uの流れに乗じて対流空間64外へ流れ出たとしても、シール液Sの比重は尿Uより小さいので、対流空間64外へ流れ出たシール液Sは、下降流路65には至らずに浮力により上昇して、尿Uの液面を覆っているシール液Sと合流する。したがって、多量のシール液Sが排出口50から排出される虞がなく、使用期間が長期に亘ってもシール液Sの減少を抑えることができる。
尿Uの流入が行われていない間、尿中沈殿物が、沈降して誘導斜面48及び螺旋状傾斜面51に落下する。ここで、誘導斜面48は、水平面に対してディップ58に向かって下り勾配となるように傾斜しているので、誘導斜面48上に落下した尿中沈殿物は、誘導斜面48の傾斜にしたがって転がり、螺旋状傾斜面51上に落ちる。この螺旋状傾斜面51も、誘導斜面48と同様にディップ58に向かって下り勾配となるように傾斜しているので、螺旋状傾斜面51に落ちた尿中沈殿物は、螺旋状傾斜面51の傾斜にしたがって転がり、ディップ58の近傍に至る。このように、尿中沈殿物の大部分は、ディップ58の近傍に集まるようになっている。そして、この尿中沈殿物は、貯留空間47内の尿Uが上昇流路60に向かって貯留空間47の底部を流れる際に、その尿Uの流れに乗じて巻き上げられ、上昇流路60を上昇して確実に排出される。
また、尿中沈殿物が誘導斜面48上や螺旋状傾斜面51上に溜まったままになった場合でも、貯留空間47内の尿Uが排出される際には、尿Uが、誘導斜面48と螺旋状傾斜面51に沿った流れとなるので、誘導斜面48上及び螺旋状傾斜面51上の尿中沈殿物は、尿Uの流れに引きずられてディップ58まで到達する。したがって、尿中沈殿物は、排出される尿Uの流れに乗じてディップ58から上昇流路60内に確実に引き込まれて排出される。
また、貯留空間47内には、その上端からディップ58に向かう尿Uの下降流路65の途中を局部的に狭めた形態の狭小部66が形成されている。これにより、尿Uが下降流路65を流れる際には、尿Uの流速が、狭小部66において急に高まり、狭小部66を通過後に急に低下するので、狭小部66よりも下流側である貯留空間47の底部(即ち、ディップ58の下方の近傍領域)では乱流状態となり、この乱流により貯留空間47の底部に沈殿している尿中沈殿物が巻き上げられる。巻き上げられた尿中沈殿物は、排出される尿Uの流れに乗じて上昇流路60を上昇するので、確実に排出される。
特に、本実施形態では、シール液Sの流出防止手段である対流空間64を形成するための仕切部61が、狭小部66を形成するための手段を兼ねているので、狭小部66を、仕切部61とは独立して形成したものに比べると、貯留空間47内の形状を簡素化することができる。
また、本実施形態2では、実施形態1と同じく、上昇流路60の尿Uの流動方向(鉛直上向き方向)と直角(水平)な断面積は、尿排出時における上昇流路60内の尿Uの上昇速度が、尿中沈殿物の沈降速度を上回るような大きさ、即ち、588.2mm2よりも狭い面積に設定されている。これにより、尿Uが上昇流路60を上昇する際には、その尿Uの流れに乗じた尿中沈殿物は沈降しながらも、確実に上昇を続けるので、尿中沈殿物が貯留空間47の底部に残留することなく、確実に排出される。また、上昇流路60の尿Uの流動方向と直角な断面積は、588.2mm2以上、且つ2,000mm2以下にしてもよい。このようにすれば、尿中沈殿物の残留量を極力小さく抑えることができる。
また、本実施形態2でも、実施形態1と同じく、尿Uの液面がウェア59と同じ高さとなる封水状態において貯留空間47及び上昇流路60内に貯留される尿Uの貯留量を、300mL以下とし、貯留空間47の底部に尿中沈殿物が残留し、増加することを防止している。
<実施形態3>
次に、本発明を具体化した実施形態3を図4を参照して説明する。本実施形態3の小便器用排水トラップCは、螺旋状傾斜面70を上記実施形態2の小便器用排水トラップBとは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態2と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
本実施形態3の小便器用排水トラップCにおいても、第1部品41の底面部45の上面(貯留空間47の内面)のうち筒状部46の形成されていない領域は、ディップ58に向かって下り勾配となるように、且つ本体部40の軸線(筒状部46)を略中心とした螺旋状をなすように傾斜した螺旋状傾斜面70となっている。上記実施形態2では、螺旋状傾斜面51が一対対称に形成されていのに対し、本実施形態3の螺旋状傾斜面70は1つだけである。螺旋状傾斜面70は、筒状部46の円弧状をなす外周面に沿うように形成されている。
<実施形態4>
次に、本発明を具体化した実施形態4を図5を参照して説明する。本実施形態4の小便器用排水トラップDは、小便器とは別体の交換可能なカートリッジタイプのものであって、小便器1の鉢面2の下端部に配置されている。この小便器用排水トラップDは、第1部品81と第2部品82を組み付けることにより、尿Uを貯留するための貯留空間87を有する本体部80と、貯留空間87内の尿Uを本体部80外へ排出させるための排出口90と、下端のディップ96を貯留空間87の底部に連通させるとともに上端のウェア97を排出口90に連通させた形態であって、貯留空間87内の尿Uが排出されるときに尿Uの上昇流路98となる封水部95とが構成されている。
第1部品81は、全体として上面が開放された容器状をなし、軸線を鉛直方向に向けた円筒状の周壁部83と、周壁部83の下端縁に同心状に連なっていて下方に向かって縮径した形態の擂り鉢状をなす傾斜部84と、傾斜部84の下端縁の開口を塞ぐ底面部85と、底面部85から鉛直方向上向きに延出した形態であって平面形状が半円形をなす筒状部86とを備えている。周壁部83と傾斜部84と底部は本体部80を構成し、本体部80の内部は、尿Uとシール液Sを貯留するための貯留空間87となっている。傾斜部84の内周面(貯留空間87の内面)は、後述するディップ96に向かって下り勾配となるように傾斜した誘導斜面88となっている。誘導斜面88は、全周に亘って同じ形態であり、概ね擂り鉢状をなしている。筒状部86の内部は、上下両端が開口された排出路89となっており、排出路89の上端の開口部は排出口90となっており、排出路89の下端の開口部は、本体部80(底面部85)を貫通して配水管(図示省略)に連なっている。
第2部品82は、第1部品81に対し、その上面の開口を覆うように組み付けられる。第2部品82は、略水平な円盤状をなす蓋部91と、軸線を鉛直方向に向けて蓋部91の中心孔を同心状に貫通するように配置された円筒部92と、円筒部92の上面の開口部を塞ぐ上面部93とを備えている。蓋部91は本体部80を構成するものであって、蓋部91の上面は、その外周縁から中心孔に向かって下り勾配となるように傾斜している。円筒部92は、周方向に間隔を空けた複数箇所において中心孔の内周に連なっており、中心孔の開口領域のうち円筒部92よりも外周側の領域は、流入口94となっている。
第2部品82を第1部品81に組み付けた状態では、筒状部86が円筒部92で覆われ、円筒部92の下端の開口が本体部80の底面部85よりも高い位置に位置するとともに、筒状部86の上端の排出口90が円筒部92の上面部93よりも低い位置に位置する。この組付け状態においては、円筒部92の内周と筒状部86の外周との間の空間が封水部95を構成し、円筒部92の下端の開口が封水部95のディップ96となり、封水部95のうち筒状部86の上端と同じ高さの部分がウェア97となる。そして、封水部95の内部空間は、貯留空間87内の尿Uが本体部80外へ排出されるときに、尿Uを上向きに流動させるための上昇流路98となっている。
筒状部86には、略円環形をなす流入口94に対しその下方で対峙するように位置する仕切部99が一体に形成されている。仕切部99は、筒状部86の下端縁部から、全周に亘って誘導斜面88と概ね平行をなすように斜め外上方向へ板状に延出している。つまり、仕切部99は、本体部80と同心の擂り鉢状をなしている。この仕切部99の内部は、流入口94に対しその下方で対峙するように上方のみに開口した円環形をなす対流空間100となっている。
貯留空間87内に貯留されている尿Uが排出されるときには、尿Uが誘導斜面88に沿ってディップ96(流出口)に向かうように斜め下向きに流れるので、貯留空間87は、尿Uの排出時における下降流路101を構成する。上記の仕切部99は、誘導斜面88の一部に対して接近した配置となっており、下降流路101のうち仕切部99と誘導斜面88とが同心円状に接近して対応する部分が、流路の途中を局部的に狭めた形態の狭小部102となっている。
通常は、貯留空間87と封水部95(上昇流路98)内に、所定量の尿Uが貯留され、これにより、排水管からの異臭が小便器1側へ放出されることを防止する封水状態が保たれる。また、貯留空間87内においては、尿Uの液面が、尿Uよりも比重の小さい非水溶性のシール液Sで覆われている。
尿Uの流入が行われていない間、尿中沈殿物が、沈降して誘導斜面88に落下する。ここで、誘導斜面88は、水平面に対してディップ96に向かって下り勾配となるように傾斜しているので、誘導斜面88上に落下した尿中沈殿物の大部分は、誘導斜面88の傾斜にしたがって転がり、ディップ96の近傍に至る。ディップ96の近傍に集まった尿中沈殿物は、貯留空間87内の尿Uがその底部を通過する際に、その尿Uの流れに乗じて巻き上げられ、上昇流路98を上昇して確実に排出される。
また、尿中沈殿物が誘導斜面88上に溜まったままになった場合でも、貯留空間87内の尿Uが排出される際には、尿Uが、誘導斜面88(下降流路101)に沿った流れとなるので、誘導斜面88上の尿中沈殿物は、尿Uの流れに引きずられてディップ96まで到達する。したがって、尿中沈殿物は、排出される尿Uの流れに乗じてディップ96から上昇流路98内に確実に引き込まれて排出される。
また、貯留空間87内には、下降流路101の途中を局部的に狭めた形態の狭小部102が形成されているので、貯留空間87の底部(即ち、ディップ96の下方の近傍領域)では、尿Uが乱流状態となり、この乱流により貯留空間87の底部に沈殿している尿中沈殿物が巻き上げられて上昇流路98を上昇し、確実に排出される。
また、本実施形態4でも、実施形態1〜3と同じく、上昇流路98の尿Uの流動方向(鉛直上向き方向)と直角(水平)な断面積は、尿排出時における上昇流路98内の尿Uの上昇速度が尿中沈殿物の沈降速度を上回るように、588.2mm2よりも狭い面積に設定されている。尚、上昇流路98の尿Uの流動方向と直角な断面積は、588.2mm2以上、且つ2,000mm2以下にしてもよい。また、実施形態1〜3と同じく、尿Uの液面がウェア97と同じ高さとなる封水状態において貯留空間87(導入路を含む)及び上昇流路98内に貯留される尿Uの貯留量を、300mL以下としている。
本実施形態4は上記構成であるが、その他の構成については上記実施形態2と同じであるため、構造、作用及び効果の説明は省略する。
<実施形態5>
次に、本発明を具体化した実施形態5を図6及び図7を参照して説明する。本実施形態5の小便器用排水トラップEは、小便器1とは別体の交換可能なカートリッジタイプのものであって、小便器1の鉢面2の下端部に配置されている。この小便器用排水トラップEは、第1部品111と第2部品112を組み付けることにより、尿(図示省略)を貯留するための貯留空間117を有する本体部110と、貯留空間117内の尿を本体部110外へ排出させるための排出口119と、下端のディップ127を貯留空間117の底部に連通させるとともに上端のウェア128を排出口119に連通させた形態であって、貯留空間117内の尿が排出されるときに尿の上昇流路129となる封水部126とが構成されている。この小便器用排水トラップには、小便器に向けて放出された尿が所定量だけ一時的に貯留されるようになっており、小便器に排尿される度に、貯留されている尿の少なくとも一部が排出されるようになっている。
第1部品111は、全体として上面が開放された容器状をなし、軸線を鉛直方向に向けた円筒状の周壁部113と、周壁部113の下端縁の開口を塞ぐ底面部114と、底面部114から鉛直方向上向きに延出した形態であって平面形状が半円形をなす筒状部115と、底面部114のうち筒状部115の下端に連通して底面部114の下面に開口する導出路116とを備えている。周壁部113と底面部114は本体部110を構成し、本体部110の内部は、尿とシール液(図示省略)を貯留するための貯留空間117となっている。筒状部115の内部は排出路118となっており、排出路118の上端の開口部は排出口119となっており、排出路118の下端の開口部は、導出路116を介して配水管(図示省略)に連なっている。
底面部114の上面(貯留空間117の内面)のうち筒状部115の形成されていない領域は、後述するディップ127に向かって下り勾配となるように、且つ本体部110の軸線(筒状部115)を略中心とした螺旋状をなすように傾斜した螺旋状傾斜面120となっている。螺旋状傾斜面120は、筒状部115をほぼ全周に亘って一周するように包囲し、その平面形状は本体部110と同心の円環形である。螺旋状傾斜面120の最も高い始端縁部120aと最も低い終端縁部120bは、周方向においてディップ127と対応するように位置しており、螺旋状傾斜面120の始端縁部120aと終端縁部120bとは、鉛直面121を介して段差状をなしている。また、螺旋状傾斜面120の内周縁のうち筒状部115の半円形をなす曲面部115aと対応する略半円領域は、曲面部115aの外周面に連なっている。一方、螺旋状傾斜面120の内周縁のうち筒状部115の平板部115bと対応する領域は、曲面部115aと同心の略半円弧形をなす。螺旋状傾斜面120のうち平板部115bとの対応領域と、底面部114の上面のうちディップ127の真下に対応する半円弧形領域とは、段差状をなしている。
第2部品112は、第1部品111に対し、その上面の開口を覆うように組み付けられる。第2部品112は、略水平な円盤状をなす蓋部122と、軸線を鉛直方向に向けて蓋部122の中心孔を同心状に貫通するように配置された円筒部123と、円筒部123の上面の開口部を塞ぐ上面部124とを備えている。蓋部122は本体部110を構成するものであって、蓋部122の上面は、その外周縁から中心孔に向かって下り勾配となるように傾斜している。円筒部123は、周方向に間隔を空けた複数箇所において中心孔の内周に連なっており、中心孔の開口領域のうち円筒部123よりも外周側の領域は、流入口125となっている。
第2部品112を第1部品111に組み付けた状態では、筒状部115が円筒部123で覆われ、円筒部123の下端の開口が本体部110の底面部114よりも高い位置に位置するとともに、筒状部115の上端の排出口119が円筒部123の上面部124よりも低い位置に位置する。この組付け状態においては、円筒部123の内周と筒状部115の外周との間の空間が封水部126を構成し、円筒部123の下端の開口が封水部126のディップ127となり、封水部126のうち筒状部115の上端と同じ高さの部分がウェア128となる。そして、封水部126の内部空間は、平面形状が半円形をなす上昇流路129となっている。上昇流路129は、貯留空間117内の尿が本体部110外へ排出されるときに、尿を上向きに流動させるための通路であり、この上昇流路129(ディップ127)の真下には、螺旋状傾斜面120の最も低い下流端部が位置している。
筒状部115には、略円環形をなす流入口125に対しその下方で対峙するように位置する仕切部130が一体に形成されている。仕切部130は、筒状部115の下端縁部から略水平に延出する円環形の板状をなす受け部131と、受け部131の外周縁部に沿って鉛直方向上向きに延出した形態の仕切壁132とからなる。この受け部131と仕切壁132によって形成された仕切部130の内部は、流入口125に対しその下方で対峙するように上方のみに開口した円環形をなす対流空間133となっている。
通常は、貯留空間117と封水部126(上昇流路129)内に、所定量の尿が貯留されている。このときの、上昇流路129における尿の液面はウェア128と同じ高さであり、上昇流路129中に尿が満たされることにより、排水管からの異臭が小便器1側へ放出されることを防止する封水状態が保たれる。また、貯留空間117内においては、尿の液面が、尿よりも比重の小さい非水溶性のシール液で覆われている。このシール液により、貯留空間117内に貯留されている尿は、大気中に直接触れることがないので、尿から発せられる異臭が大気中に放散されることはない。そして、貯留空間117内におけるシール液の液面高さは、上昇流路129内の尿の液面よりも僅かに上方の高さである。
小便器1に向けて排尿されると、尿は、鉢面2に沿って流下して蓋部122の上面を伝って流入口125に至る経路、又は直接流入口125に至る経路を経て、貯留空間117内に流入する。貯留空間117内に流入した尿は、シール液を突き抜けて対流空間133内に進入し、流れを下向きから上向きに転じて対流を生じ、さらに、仕切壁132を乗り越えて流れの方向を下向きに転じる。そして、下向きに転じた尿は、螺旋状傾斜面120において流れの向きを螺旋方向に転じディップ127の下方(貯留空間117の底部)に至る。そして、貯留空間117の底部で流れの向きを上向きに転じた尿は、筒状部115の平板部の外面に沿って上昇し、上昇流路129を通過してウェア128から溢れだし、排出口119から排出路118内を落下し、導出路116を経て配水管へ排出される。流入口125からの尿の流入が終ると、上昇流路129内の尿の液面がウェア128と同じ高さとなる封水状態に戻る。
また、尿の流入により、シール液の一部が攪拌されて対流空間133内に引き込まれるのであるが、引き込まれたシール液は、仕切部130の水平な受け部131に跳ね返されて対流空間133内で対流を生じるので、下降流路134まで流出し難い。そして、シール液は尿よりも比重が小さいので、尿の流入の勢いが弱まると、対流空間133内のシール液は、浮力により上昇して、尿の液面を覆っているシール液と合流する。また、仮に、シール液の一部が、対流空間133から仕切壁132を乗り越える尿の流れに乗じて対流空間133外へ流れ出たとしても、シール液の比重は尿より小さいので、対流空間133外へ流れ出たシール液は、下降流路134には至らずに浮力により上昇して、尿の液面を覆っているシール液と合流する。したがって、多量のシール液が排出口119から排出される虞がなく、使用期間が長期に亘ってもシール液の減少を抑えることができる。
尿の流入が行われていない間、尿中沈殿物が沈降して螺旋状傾斜面120に落下する。ここで、螺旋状傾斜面120はディップ127に向かって下り勾配となるように傾斜しているので、螺旋状傾斜面120に落ちた尿中沈殿物は、螺旋状傾斜面120の傾斜にしたがって転がり、ディップ127の近傍に至る。このように、尿中沈殿物の大部分は、ディップ127の近傍に集まるようになっている。そして、この尿中沈殿物は、貯留空間117内の尿がその底部を通過する際に、その尿の流れに乗じて巻き上げられ、上昇流路129を上昇して確実に排出される。
また、尿中沈殿物が螺旋状傾斜面120上に溜まったままになった場合でも、貯留空間117内の尿が排出される際には、尿が、螺旋状傾斜面120に沿った流れとなるので、螺旋状傾斜面120上の尿中沈殿物は、尿の流れに引きずられてディップ127まで到達する。したがって、尿中沈殿物は、排出される尿の流れに乗じてディップ127から上昇流路129内に確実に引き込まれて排出される。
また、貯留空間117内には、その上端からディップ127に向かう尿の下降流路134の途中を局部的に狭めた形態の狭小部135が、仕切部130によって形成されている。これにより、尿が下降流路134を流れる際には、尿の流速が、狭小部135において急に高まり、狭小部135を通過後に急に低下するので、狭小部135よりも下流側である貯留空間117の底部(即ち、ディップ127の下方の近傍領域)では乱流状態となり、この乱流により貯留空間117の底部に沈殿している尿中沈殿物が巻き上げられる。巻き上げられた尿中沈殿物は、排出される尿の流れに乗じて上昇流路129を上昇するので、確実に排出される。
特に、本実施形態では、シール液の流出防止手段である対流空間133を形成するための仕切部130が、狭小部135を形成するための手段を兼ねているので、狭小部135を、仕切部130とは独立して形成したものに比べると、貯留空間117内の形状を簡素化することができる。
また、本実施形態5でも、実施形態1〜4と同じく、上昇流路129の尿の流動方向(鉛直上向き方向)と直角(水平)な断面積は、尿排出時における上昇流路129内の尿の上昇速度が尿中沈殿物の沈降速度を上回るように、588.2mm2よりも狭い面積に設定されている。尚、上昇流路129の尿の流動方向と直角な断面積は、588.2mm2以上、且つ2,000mm2以下にしてもよい。また、実施形態1〜4と同じく、尿の液面がウェア128と同じ高さとなる封水状態において貯留空間117(導入路を含む)及び上昇流路129内に貯留される尿の貯留量を、300mL以下としている。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1では、対流空間を形成するための仕切部が、狭小部の形成手段を兼ねるようにしたが、狭小部は、対流空間を形成するための仕切部を利用せずに形成してもよい。
(2)上記実施形態1では、封水部(上昇流路)を本体部の外部に配置したが、封水部(上昇流路)は本体部の内部に配置してもよい。
(3)上記実施形態1〜5では、本体部を小便器とは別体の部品としたが、本体部を小便器と一体に形成してもよい。
(4)上記実施形態2〜5では、貯留空間を構成する第1部品と、貯留空間の上方を覆う第2部品とを別体の部品としたが、2つの部品を一体に形成してもよい。
(5)上記実施形態2,3,5に記載した螺旋状傾斜面を形成する技術は、実施形態1,4にも適用することができる。
(6)上記実施形態1〜5では、貯留空間内に貯留されている尿の液面をシール液で覆い隠したが、本発明は、シール液を設けない構成も含む。
(7)上記実施形態1〜5では、貯留空間内及び封水部内における尿の最大貯留量を300mLとしたが、最大貯留量は300mLより多くてもよい。
A,B,C,D,E…小便器用排水トラップ
S…シール液
U…尿
1…小便器
2…鉢面
10,40,80,110…本体部
14,47,87,117…貯留空間
15,56,94,125…流入口
16,48,88…誘導斜面
18,61,99,130…仕切部
21,64,100,133…対流空間
22,65,101,134…下降流路
23,66,102,135…狭小部
25,57,95,126…封水部
26,58,96,127…ディップ
27,60,98,129…上昇流路
28,59,97,128…ウェア
30,50,90,119…排出口
51,70,120…螺旋状傾斜面

Claims (7)

  1. 小便器の鉢面の下端部に配置され、尿を貯留するための貯留空間を有する本体部と、
    前記貯留空間内の尿を前記本体部外へ排出させるための排出口と、
    下端のディップを前記貯留空間の底部に連通させるとともに上端のウェアを前記排出口に連通させた形態であって、前記貯留空間内の尿が排出されるときに尿の上昇流路となる封水部とを備えた小便器用排水トラップであって、
    前記貯留空間内には、その上端から前記ディップに向かう尿の下降流路の途中を局部的に狭めた形態の狭小部が形成されていることを特徴とする小便器用排水トラップ。
  2. 前記本体部の上方には、前記鉢面に沿って流下した尿を前記貯留空間に流入させる流入口が開口しており、
    前記貯留空間に貯留されている尿の液面が、尿よりも比重の小さい非水溶性のシール液で覆われており、
    前記貯留空間内には、前記流入口に対しその下方で対峙するように上向きに開口する対流空間を形成するための仕切部が設けられ、
    前記下降流路のうち前記仕切部の突き出している部分が前記狭小部となっていることを特徴とする請求項1記載の小便器用排水トラップ。
  3. 小便器の鉢面の下端部に配置され、尿を貯留するための貯留空間を有する本体部と、
    前記貯留空間内の尿を前記本体部外へ排出させるための排出口と、
    下端のディップを前記貯留空間の底部に連通させるとともに上端のウェアを前記排出口に連通させた形態であって、前記貯留空間内の尿が排出されるときに尿の上昇流路となる封水部とを備えた小便器用排水トラップであって、
    前記貯留空間内には、前記貯留空間の少なくとも底面を含む領域を、前記ディップに向かって下り勾配となるように螺旋状に傾斜させた形態の螺旋状傾斜面が形成されていることを特徴とする小便器用排水トラップ。
  4. 前記貯留空間内には、前記ディップに向かって下り勾配となるように傾斜した誘導斜面が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の小便器用排水トラップ。
  5. 前記誘導斜面は、前記貯留空間の内壁面の全周に亘って形成されることで略擂り鉢状をなしていることを特徴とする請求項4記載の小便器用排水トラップ。
  6. 尿の液面が前記ウェアと同じ高さとなる封水状態における尿の貯留量が300mL以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の小便器用排水トラップ。
  7. 前記貯留空間に貯留されている尿の液面が、尿よりも比重の小さい非水溶性のシール液で覆われていることを特徴とする請求項1、請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の小便器用排水トラップ。
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