JP2011214044A - 希土類系磁石用原料合金の製造装置及び製造方法 - Google Patents

希土類系磁石用原料合金の製造装置及び製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011214044A
JP2011214044A JP2010081915A JP2010081915A JP2011214044A JP 2011214044 A JP2011214044 A JP 2011214044A JP 2010081915 A JP2010081915 A JP 2010081915A JP 2010081915 A JP2010081915 A JP 2010081915A JP 2011214044 A JP2011214044 A JP 2011214044A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rare earth
raw material
material alloy
hydrogen
hydrogen storage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010081915A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5560848B2 (ja
JP2011214044A5 (ja
Inventor
Shoji Nakayama
昭二 中山
Kazuhiro Sonoda
和博 園田
Junichi Sanai
順一 佐内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2010081915A priority Critical patent/JP5560848B2/ja
Publication of JP2011214044A publication Critical patent/JP2011214044A/ja
Publication of JP2011214044A5 publication Critical patent/JP2011214044A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5560848B2 publication Critical patent/JP5560848B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)

Abstract

【課題】希土類系磁石用原料合金に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程において、磁気特性を低下させることなく水素吸蔵工程を短縮して製造コストを低減することができる希土類系磁石用原料合金の製造装置及び製造方法を提供すること。
【解決手段】処理容器50に収容された希土類系磁石用原料合金に水素を吸蔵させる水素吸蔵室10と、水素吸蔵室10に処理容器50を搬入する搬送手段5とを有する希土類系磁石用原料合金の製造装置であって、搬送手段5又は搬送手段5の上流側に処理容器50を加熱する加熱手段24を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、希土類系磁石用原料合金の製造装置及び製造方法に関する。
高性能な希土類系磁石としては、サマリウム・コバルト系磁石とネオジウム・鉄・ボロン系磁石の2種類が広く使われている。
特にネオジウム・鉄・ボロン系磁石(以下、「R−T−B系磁石」と称する。)は、種々の磁石の中で最も高い磁気エネルギー積を示し、価格も比較的安いため、各種電気機器に採用されている。
希土類系磁石は、鋳造法(例えば遠心鋳造法)や急冷法(例えばストリップキャスト法)によって得られた原料合金を粗粉砕および微粉砕して形成した合金粉末をプレス成形した後、焼結工程および熱処理工程を経て作製される。希土類系磁石を製造するにあたり、原料合金を粗粉砕する過程で、粉砕効率が高いことから水素粉砕が多用されている。
水素粉砕とは、原料合金に水素を吸蔵させ、脆化させることで原料合金を粉砕する手法であり、次の工程により行なわれる。
まず、原料である合金を水素炉内に挿入した後、水素炉内部を真空引きによって減圧する。その後、水素ガスを水素炉内に供給し、原料合金に水素を吸蔵させる(水素吸蔵工程)。所定時間経過後、水素炉内の真空引きを行ないながら原料合金を加熱し(加熱工程)、原料合金から水素を放出させた後、冷却して(冷却工程)水素粉砕は終了する。これにより原料合金は脆化し、粗粉砕粉となる。水素粉砕後の粗粉砕粉は、次工程の微粉砕工程で、数μmの微粉砕粉に粉砕される。
特許文献1には、希土類磁石合金塊の水素吸蔵量の時間変化を測定することにより、希土類磁石合金塊の良否判定を行う方法が記載されており、273K以下の温度では合金の水素吸蔵挙動が遅くなり、水素吸蔵に要する時間が非常に長くなることが記載されている。
特許文献2には、水素吸蔵工程において、反応容器に水素を導入する前に真空排気状態で反応容器内の温度を350℃程度に加熱することで、水素吸蔵に要する時間が短縮できることが記載されている。
特許文献1、2に記載されているように、水素吸蔵工程において合金の温度を一定温度以上に加熱することで、水素吸蔵時間が短縮されることが知られている。
一方、特許文献3には、水素吸蔵を行いやすくするための水素吸蔵工程の前処理工程が記載されており、この前処理工程では、合金が封入された容器を真空とし、容器を回転、揺動、又は振動による運動を与えながら合金塊の温度を0〜600℃に保持することが記載されている。
特開2002−275598号公報(段落番号0056) 特開2005−82891号公報(段落番号0081) 特開平4−147908号公報
各特許文献からも分かるように、水素粉砕における水素吸蔵の過程において、水素吸蔵の時間を短くして生産能力を向上させることは、製造コストの低減を図る上で重要な要因である。
しかし、特許文献1、2では、水素を導入する前に真空排気状態で炉内を一定温度に加熱するため、水素吸蔵時間は短縮されても、加熱に要する時間が必要となり、水素粉砕工程全体では時間短縮を図りにくいという問題がある。
特に、水素粉砕装置が連続炉タイプの場合、水素吸蔵室での処理時間が長くなると、加熱工程、冷却工程において処理待ちが生じたり、時間調整のために無駄な加熱、無駄な冷却を行なわなければならなくなるなど、装置全体の処理サイクルが乱れ、水素粉砕工程全体の処理時間の増加を招く。また、水素粉砕工程の処理時間の増加は、後続する粉砕工程、成形工程、焼結工程にも影響を及ぼすという問題がある。
また、特許文献3では、水素吸蔵工程の前工程として加熱処理工程を行っているが、この前処理工程においても、容器を真空排気した後に加熱処理を行っており、前処理工程での処理時間が長くなってしなう。
特に特許文献3からも分かるように、例え水素粉砕前であっても、大気中で合金を加熱すると、合金表面の酸化が進み、最終的に得られる磁石の磁気特性が低下するという技術常識がある。
特に、急冷法による原料合金を用いた場合、原料合金の厚さが非常に薄く組織が微細化されているため、酸素に対する活性度が高く、原料合金であっても急激な酸化による発火の危険性がある。
このような技術常識の中で、発明者らは実験の結果、たとえ大気中であっても、合金が100℃を超えない所定温度であれば、原料合金の酸化を進行させることなく、最終的に得られる磁気特性の低下を引き起こさないことを見いだした。
そこで本発明は、希土類系磁石用原料合金に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程において、磁気特性を低下させることなく水素吸蔵工程を短縮して製造コストを低減することができる希土類系磁石用原料合金の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の本発明の希土類系磁石用原料合金の製造装置は、処理容器に収容された希土類系磁石用原料合金に水素を吸蔵させる水素吸蔵室と、前記水素吸蔵室に前記処理容器を搬入する搬送手段とを有する希土類系磁石用原料合金の製造装置であって、前記搬送手段又は前記搬送手段の上流側に大気中で前記処理容器を加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置において、前記加熱手段が、前記処理容器の側方又は上方に、所定寸法の空間を介して配置されたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置において、前記搬送手段がコンベアであり、前記加熱手段が前記コンベアの側方又は上方に配置されたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置において、前記加熱手段が前記処理容器の側方又は上方に配置された状態で前記処理容器とともに前記搬送手段を移動することを特徴とする。
請求項5記載の本発明の希土類系磁石用原料合金の製造方法は、請求項4に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置を用いた製造方法であって、前記処理容器の移動時にも大気中で前記加熱手段によって加熱することを特徴とする。
請求項6記載の本発明の希土類系磁石用原料合金の製造方法は、請求項1から請求項4に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置を用いた製造方法であって、前記処理容器の周囲の雰囲気温度を0℃〜150℃としたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明の希土類系磁石用原料合金の製造方法は、請求項1から請求項4に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置を用いた製造方法であって、前記処理容器の表面温度を0℃〜100℃に加熱した状態で前記水素吸蔵室に搬入することを特徴とする。
請求項8記載の本発明の希土類系磁石用原料合金の製造方法は、請求項1から請求項4に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置を用いた製造方法であって、前記処理容器に収容された希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部を0℃〜100℃に加熱した状態で前記水素吸蔵室に搬入することを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項5から請求項7のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の製造方法において、前記処理容器に収容された希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部を10℃〜100℃に加熱した状態で前記水素吸蔵室に搬入することを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項8又は請求項9に記載の希土類系磁石用原料合金の製造方法において、前記希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部を10℃〜25℃に加熱した状態で前記水素吸蔵室に搬入することを特徴とする。
本発明の希土類系磁石用原料合金の製造装置によれば、水素吸蔵室に搬入する前に処理容器を大気中で加熱して、処理容器内の希土類系磁石用原料合金を加熱することで、水素吸蔵室内における加熱処理を行うことなく、希土類系磁石用原料合金への水素吸蔵時間を短縮できるため、水素吸蔵室における処理時間の短縮を図ることができるとともに希土類系磁石用原料合金の酸化による磁気特性の低下を防止することができる。
また、本発明の希土類系磁石用原料合金の製造方法によれば、処理容器の移動時にも加熱手段によって大気中で加熱することで、水素吸蔵室の搬入時にあわせて処理容器の温度を最適に維持することができる。
本実施例による希土類系磁石用原料合金の製造装置の概略構成図 同製造装置における加熱手段を示す斜視図 原料合金の温度の違いによる水素吸蔵の挙動特性を示す図 雰囲気温度の違いによる水素吸蔵特性を示す図
本発明の第1の実施の形態による希土類系磁石用原料合金の製造装置は、搬送手段又は搬送手段の上流側に処理容器を大気中で加熱する加熱手段を設けたものである。本実施の形態によれば、水素吸蔵室に搬入する前に処理容器を大気中で加熱して、処理容器内の希土類系磁石用原料合金を加熱することで、水素吸蔵室内における加熱処理を行うことなく、希土類系磁石用原料合金への水素吸蔵時間を短縮できるため、水素吸蔵室における処理時間の短縮を図ることができるとともに希土類系磁石用原料合金の酸化による磁気特性の低下を防止することができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による希土類系磁石用原料合金の製造装置において、加熱手段が、処理容器の側方又は上方に、所定寸法の空間を介して配置されたものである。本実施の形態によれば、所定温度の雰囲気下で処理容器を加熱することができるため、加熱しすぎによる希土類系磁石用原料合金の酸化を防止することができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による希土類系磁石用原料合金の製造装置において、搬送手段がコンベアであり、加熱手段がコンベアの側方又は上方に配置されたものである。本実施の形態によれば、製造工程中に独立した室を設けることなく、既設の搬送経路中で加熱を行うことができる。
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による希土類系磁石用原料合金の製造装置において、加熱手段が処理容器の側方又は上方に配置された状態で処理容器とともに搬送手段を移動するものである。本実施の形態によれば、搬送中に加熱を行うことができるため、搬送時間を有効に活用できる。
本発明の第5の実施の形態による希土類系磁石用原料合金の製造方法は、第4の実施の形態による希土類系磁石用原料合金の製造装置を用いた製造方法において、処理容器の移動時にも加熱手段によって大気中で加熱するものである。本実施の形態によれば、水素吸蔵室の搬入時にあわせて処理容器の温度を最適に維持することができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による希土類系磁石用原料合金の製造方法において、処理容器の周囲の雰囲気温度を0℃〜150℃としたものである。本実施の形態によれば、希土類系磁石用原料合金の酸化を早めることなく、希土類系磁石用原料合金への水素吸蔵時間を短縮できる。
本発明の第7の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による希土類系磁石用原料合金の製造方法において、処理容器の表面温度を0℃〜100℃に加熱した状態で水素吸蔵室に搬入するものである。本実施の形態によれば、希土類系磁石用原料合金の酸化を早めることなく、希土類系磁石用原料合金への水素吸蔵時間を短縮できる。
本発明の第8の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による希土類系磁石用原料合金の製造方法において、処理容器に収容された希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部を0℃〜100℃に加熱した状態で水素吸蔵室に搬入するものである。本実施の形態によれば、希土類系磁石用原料合金の酸化を早めることなく、希土類系磁石用原料合金への水素吸蔵時間を短縮できる。
本発明の第9の実施の形態は、第5から第7の実施の形態による希土類系磁石用原料合金の製造方法において、処理容器に収容された希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部を10℃〜100℃に加熱した状態で水素吸蔵室に搬入するものである。本実施の形態によれば、希土類系磁石用原料合金を10℃以上とすることで更に水素吸蔵時間を短縮できる。
本発明の第10の実施の形態は、第8又は第9の実施の形態による希土類系磁石用原料合金の製造方法において、希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部を10℃〜25℃に加熱した状態で水素吸蔵室に搬入するものである。本実施の形態によれば、加熱に要するエネルギーを最小限に抑えつつ、水素吸蔵時間を短縮できる。
以下本発明の一実施例による希土類系磁石用原料合金の製造装置について説明する。
図1は本実施例による希土類系磁石用原料合金の製造装置の概略構成図である。
図1に示すように、本実施例による希土類系磁石用原料合金の製造装置は、希土類系磁石用原料合金に水素を吸蔵させる水素吸蔵室10と、水素吸蔵により水素粉砕された希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉を加熱により脱水素する加熱室20と、加熱された水素粉砕粉を冷却する冷却室30と、冷却された水素粉砕粉を回収容器1に回収する回収室40とを備えている。
水素吸蔵室10の上流側には、処理容器50を加熱する加熱手段60を設けている。本実施例では、加熱手段60を搬送手段5に配置しているが、搬送手段5の上流側に配置してもよい。本実施例では搬送手段5としてコンベアを示しており、加熱手段60はコンベアの側方又は上方に配置される。加熱手段60は、搬送手段5の所定の位置に配置されるが、搬送手段5に沿って移動可能に設けられていることが好ましい。特に処理容器50とともに同じ搬送速度で移動できるように構成されていることが好ましい。
水素吸蔵室10は、搬入口には遮断扉11を、加熱室20への搬出口には遮断扉21を有して、室内の密封を保てるように構成されている。水素吸蔵室10は、不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段12と、室内のガスを排出する真空排気手段13と、水素ガスを導入する水素導入手段14と、処理容器50を搬送するコンベア手段15を備えている。
加熱室20は、水素吸蔵室10からの搬入口には遮断扉21を、冷却室30への搬出口には遮断扉31を有して、室内の密封を保てるように構成されている。加熱室20は、不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段22と、室内のガスを排出する真空排気手段23と、室内を加熱する加熱手段24と、処理容器50を搬送するコンベア手段25を備えている。
冷却室30は、加熱室20からの搬入口には遮断扉31を、回収室40への搬出口には遮断扉41を有して室内の密封を保てるように構成されている。冷却室30は、不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段32と、室内のガスを排出する真空排気手段33と、室内を冷却する冷却手段34と、処理容器50を搬送するコンベア手段35を備えている。
回収室40は、冷却室30からの搬入口には遮断扉41を、炉外への搬出口には遮断扉2を有して、室内の密封を保てるように構成されている。回収室40は、不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段42と、室内のガスを排出する真空排気手段43と、処理容器50を上下反転させる反転手段44と、処理容器50を搬送するコンベア手段45を備えている。また、回収室40の下部にはバルブ70を有しており、バルブ70を介して回収容器1が接続されている。なお、回収容器1には容器を密封するためのバルブ(図示せず)が設けられている。
処理容器50は、希土類系磁石用原料合金を収納した状態で、炉外の加熱手段60、炉内の水素吸蔵室10、加熱室20、冷却室30、及び回収室40に移送される。
なお、本発明においては、上記のように、水素吸蔵室、加熱室、冷却室がそれぞれ独立したいわゆる連続炉タイプの製造装置以外に、水素吸蔵工程、加熱工程、冷却工程を一室で行なういわゆるバッチ炉(独立炉)タイプの製造装置を用いることができる。また、水素吸蔵室兼加熱室と冷却室、水素吸蔵室と加熱室兼冷却室などの構成や、処理能力を向上させるために加熱室、冷却室を複数設け、水素吸蔵室、第一加熱室、第二加熱室、第一冷却室、第二冷却室とした構成の製造装置を用いることもできる。さらに、水素吸蔵室の前に準備室や予備室が設置された構成の製造装置でも構わない。この場合には、加熱手段60を吸蔵室の前に設置された準備室や予備室に設けてもよい。また、加熱手段60を準備室や予備室に設けるとともに搬送手段5に設けてもよい。
本装置で処理対象とされる希土類系磁石用原料合金は、R−T−B系磁石用原料合金であることが好ましく、望ましくはR−Fe(Co)−B−M系である。
Rは、Nd、Pr、Dy、Tbのうち少なくとも一種から選択される。ただし、Rは、NdまたはPrのいずれか一方を必ず含むことが望ましい。更に好ましくは、Nd−Dy、Nd−Tb、Nd−Pr−Dy、またはNd−Pr−Tbで示される希土類元素の組合せを用いる。
Rのうち、DyやTbは、特に保磁力の向上に効果を発揮する。上記元素以外に少量のCeやLaなど他の希土類元素を含有してもよく、ミッシュメタルやジジムを用いることもできる。また、Rは純元素でなくてもよく、工業上入手可能な範囲で、製造上不可避な不純物を含有するものでも差し支えない。含有量は、従来から知られる含有量を採用することができ、例えば、25質量%以上35質量%以下が好ましい範囲である。25質量%未満では高磁気特性、特に高保磁力が得られず、35質量%を超えると残留磁束密度が低下するためである。
Tは、Feを必ず含み、その50%以下をCoで置換することができる。Coは温度特性の向上、耐食性の向上に有効であり、通常は10質量%以下のCoおよび残部Feの組合せで用いる。Tの含有量は、RとBあるいはRとBとMとの残部を占める。
Bの含有量についても公知の含有量で差し支えなく、例えば、0.9質量%〜1.2質量%が好ましい範囲である。0.9質量%未満では高保磁力が得られず、1.2質量%を超えると残留磁束密度が低下するため好ましくない。なお、Bの一部はCで置換することができる。C置換は磁石の耐食性を向上させることができ有効である。B+Cとした場合の含有量は、Cの置換原子数をBの原子数で換算し、上記のB濃度の範囲内に設定されることが好ましい。
上記元素に加え、保磁力向上のためにM元素を添加することができる。M元素は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Hf、Ta、Wのうち少なくとも一種である。添加量は2質量%以下が好ましい。5質量%を超えると残留磁束密度が低下するためである。
また、不可避的不純物も許容することができる。例えば、Feから混入するMn、Crや、Fe−B(フェロボロン)から混入するAl、Si、Cuなどである。
本装置に搬入される希土類系磁石用原料合金は溶解法により製造される。最終的に必要な組成となるように事前に調整した金属を溶解し、鋳型に入れるインゴット鋳造法や、溶湯を単ロール、双ロール、回転ディスク、または回転円筒鋳型等に接触させて急冷し、インゴット法で作られた合金よりも薄い凝固合金を作製するストリップキャスト法や遠心鋳造法に代表される急冷法により製造される。本実施例による希土類系磁石用原料合金は、インゴット法、急冷法どちらの方法により製造された材料にも適用できるが、急冷法により製造されるものがより望ましい。
急冷法によって作製した希土類系磁石用原料合金(急冷合金)の厚さは0.03mm以上10mm以下の範囲にあり、フレーク形状である。合金溶湯は冷却ロールの接触した面(ロール接触面)から凝固し始め、ロール接触面から厚さ方向に結晶が柱状に成長してゆく。急冷合金は、従来のインゴット鋳造法(金型鋳造法)によって作製された合金(インゴット合金)に比較して、短時間に冷却されているため、組織が微細化され、結晶粒径が小さい。また粒界の面積が広く、Rリッチ相は粒界内に大きく広がっているため、Rリッチ相の分散性に優れる。このため水素粉砕法により粒界で破断し易いが、前述の通り、酸素に対する活性度が高い。急冷合金を水素粉砕することで、水素粉砕粉(粗粉砕粉)の平均サイズを例えば1.0mm以下とすることができる。
本実施例による製造装置は、水素吸蔵室10、加熱室20、冷却室30、及び回収室40がそれぞれ1室連接した構成を示しているが、生産性の理由から、特に加熱室20や冷却室30を複数設ける場合もある。
処理容器50は、上面に開口部を有し、この開口部には蓋体51が設けられる。ここで、蓋体51は開口部を密閉するものではなく開口部との間に水素ガスや不活性ガスなどが出入りできる隙間を有している。つまり、処理容器50の開口部を蓋体51で覆った状態になっている。処理容器50は、耐熱性があり加工も比較的簡単なステンレスが適している。容積や板厚は一回に処理する量や、製造装置の寸法に合わせて適宜決定すればよい。処理容器50は、上部が開放されていれば、形状にはこだわらないが、一般的には箱型としている。水素吸蔵、加熱、冷却の効率を向上させるため、一つの台座に複数の箱型容器を一定の間隔をもって配置することも好ましい構成の一つである。ちなみに、本実施例においては、一つの台座に箱型容器を4列×2列で所定の間隔を開けて配置した処理容器を用いている。また、処理容器50には、内部を貫通するパイプを備えていることが望ましい。原料合金は処理容器50に投入されて堆積しているため、処理容器50内部は加熱や冷却による温度変化が遅くなり、脱水素や脱水素後の冷却が十分ではなく、最終的に得られる磁石の磁気特性がばらつく原因となるため、内部を貫通するパイプの内部に加熱や冷却用の不活性ガスを通過させることで、処理容器50表面の原料合金と内部の原料合金の温度変化に差が少なくなり、品質が安定する。前記パイプは、直径が異なるものを組合せたり、配置場所や配置間隔を選定することで、さらに原料合金の温度変化を改善することができる。
処理容器50は、開口部を蓋体51で覆った状態で、水素吸蔵室10、加熱室20、及び冷却室30に移送される。なお、加熱手段60にて加熱する際にも、開口部を蓋体51で覆った状態であってもよい。
以下に本実施例による希土類系磁石用原料合金の製造方法について図1を用いて説明する。
処理容器50には、例えば急冷法によって製造されたフレーク状の希土類系磁石用原料合金が収納されている。
処理容器50は、搬送手段5に載置された状態で加熱手段60によって加熱される。処理容器50は、搬送手段5の所定の位置にて静置され、加熱手段60によって処理容器50の周囲の雰囲気温度は0℃〜150℃に維持される。
所定時間の経過後、処理容器50の表面温度が0℃〜100℃に加熱された状態で水素吸蔵室10に搬入する。水素吸蔵室10に搬入する時点では、処理容器50に収容された希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部は0℃〜100℃に加熱された状態にある。希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部は10℃〜100℃に加熱された状態が好ましく、更には10℃〜25℃の範囲がより好ましい。
希土類系磁石用原料合金の全てが0℃未満の状態では水素粉砕に必要な時間が長くなるため望ましくない。一方、100℃を超えると、急冷法よる原料合金を用いた場合、急激な酸化により原料合金が部分的に発火する場合がある。従って、希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部が0℃〜100℃となるように加熱温度を設定する。更に望ましいのは希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部が10℃以上となる状態であり、希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部が10℃〜100℃となるように加熱温度を設定する。また、加熱に伴う電力のコストと後述する図3、図4の結果を考慮すると、希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部が10℃〜25℃となるように加熱温度を設定することがさらに好ましい。
但し、日本国内においては、季節によって外気温が変化し、夏季には40℃を超える地域も存在する。海外で製造する場合はなおさら外気温の変化は激しい。加熱温度が異なると、水素吸蔵室内における処理時間に影響を及ぼし、得られる原料合金の品質(含有酸素量など)が不安定になる場合がある。製造地域にかかわらず一年を通じて同じ品質の製品を安定して供給するには加熱条件を統一することが望ましい。この場合、電力コストを重視した10℃〜25℃の範囲に設定すると、外気温が40℃を超えると冷却する必要が生じ、逆に電力コストのアップに繋がってしまう。従って、品質の安定を重視する場合は、それぞれの製造地域にて予想される最高気温以上、例えば40℃〜100℃の範囲内で特定温度を設定し、各製造地域で同じ加熱温度で実施することが好ましい。
希土類磁石用金属合金の少なくとも一部を0℃〜100℃に加熱するためには、希土類磁石系金属合金を入れる処理容器の表面温度を0℃〜100℃に加熱するのが望ましい。
そして、処理容器の表面温度を0℃〜100℃に加熱するためには処理容器の周囲の雰囲気温度を0℃〜150℃にするのが望ましい。
ここで、水素吸蔵室10に搬入するタイミング制御は、処理容器50の表面温度や処理容器50に収容された希土類系磁石用原料合金の温度を計測し、又はあらかじめ検証により得られた時間によって決定された時間によって行うこともできるが、本実施例のような連続炉タイプの装置にあっては、水素吸蔵室10への搬入待ちの待機時間中は継続的に加熱手段60にて保温状態を維持し、加熱手段60での加熱時間制御を行わないこともできる。このように加熱手段60での加熱時間制御を行わない場合には特に、加熱手段60を処理容器50の側方又は上方に、所定寸法の空間を介して配置して、処理容器50の周囲の雰囲気温度を0℃〜150℃に維持することが適している。このように、本発明によれば、水素粉砕装置全体の処理サイクルを乱すことなく、水素吸蔵時間を短縮できる。
その後、水素吸蔵室10の遮断扉11を開放して、処理容器50は水素吸蔵室10内に搬入される。搬入後に遮断扉11を閉塞し、真空排気手段13を動作させて水素吸蔵室10内を真空引きする。
水素吸蔵室10内を真空排気し、真空排気手段13の動作を終了した後に、水素導入手段14を動作させて水素吸蔵室10内に水素ガスを導入する。水素ガスの導入により水素吸蔵室10内を0.1〜0.18MPaの圧力とし、処理容器50内の希土類系磁石用原料合金に水素を吸蔵させ、水素吸蔵工程を実施する。なお、水素吸蔵室10内を加圧状態として水素を吸蔵させてもよい。
所定時間経過後(水素吸蔵終了後)に、水素導入手段14の動作を終了させて水素ガスの導入を停止し、水素吸蔵室10内の水素ガスを真空排気手段13を動作させることによって真空排気する。これによって水素吸蔵工程は終了し、次の加熱工程へ移る。このとき、希土類系磁石用原料合金は水素を吸蔵して脆化し粉砕され、水素粉砕粉(粗粉砕粉)となっている。
なお、水素を吸蔵する水素化反応は発熱反応であるため、水素の吸蔵に伴って原料合金の温度が上昇するが、原料合金の少なくとも一部が所定の温度に加熱されていることで、この所定の温度に加熱されている原料合金の水素吸蔵開始時間は遅れることがない。そして、加熱されている一部の原料合金の水素吸蔵にともなう温度上昇がトリガーとなって、加熱されていない他の原料合金についても水素吸蔵が開始する。
このように一部の原料合金の水素化反応をトリガーとして、水素吸蔵時の発熱反応による原料合金の温度上昇を利用して、低温の原料合金の水素化反応を促進することができ、主として粒界のRリッチ相で水素吸蔵を行うため、原料合金の脆化を十分に進行させながら、水素吸蔵工程の時間短縮、導入水素量を低減することができる。また、高温保持状態を維持しながら続く加熱工程へ移ると、加熱室の温度低下を防止することもできるので、加熱室における加熱工程の時間短縮、加熱に要する電力消費を低減することができる。
次に、加熱工程に移るに際して、処理容器50は、水素吸蔵室10から加熱室20に移送されるが、移送にあたって加熱室20内は真空排気手段23によってあらかじめ真空排気されている。
処理容器50は、遮断扉21を開放し、コンベア手段15及びコンベア手段25の駆動により、水素吸蔵室10から加熱室20に搬入される。搬入後に遮断扉21を閉塞し、加熱室20内を真空排気手段23によって更に真空引きするとともに加熱手段24によって加熱する。加熱室20内は、加熱手段24によって500〜600℃の温度に維持され、真空排気手段23によって1Pa程度の圧力に維持される。これによって水素粉砕粉の脱水素が行われる。水素粉砕粉の加熱工程においては、上記のように加熱室20内を真空排気するが、真空排気と同時に不活性ガス(例えばアルゴンガス)を導入して、所定の圧力で流気状態にすることによって、原料合金の昇温速度を速くすることができ、加熱工程に要する時間短縮をはかることもできる。
水素粉砕粉の脱水素が十分に行われた後に、加熱室20内は不活性ガス導入手段22を動作させることによって不活性ガスが導入され、冷却室30内の雰囲気に近づけた後、不活性ガス導入手段22の動作を終了させる。不活性ガスとしてはアルゴンガスが好ましい。
加熱室20内にある処理容器50は、遮断扉31を開放し、コンベア手段25及びコンベア手段35の駆動により、加熱室20から冷却室30に搬入される。搬入後に遮断扉31を閉塞し、冷却室30内を冷却手段34によって冷却する。
冷却は、ファンによる冷却または冷却室内の冷却水循環による冷却あるいはそれらを併用することによって行なう。
冷却室30内にある処理容器50は、遮断扉41を開放し、コンベア手段35及びコンベア手段45の駆動により、冷却室30から回収室40に搬入される。回収室40への搬入にあたって、回収室40内は不活性ガス導入手段42を動作させることによって不活性ガス(アルゴンガス)が導入され、冷却室30内の雰囲気に近づけた後、不活性ガス導入手段42の動作を終了させる。
回収室40内に処理容器50が搬入されると、遮断扉41を閉塞し、回収室40内は、真空排気手段43を動作させることによって真空排気される。回収室40内が真空排気され、1000Paから1Pa、好ましくは5Pa〜1Paの圧力にした状態で、蓋体51を取り外して反転手段44を動作させ、処理容器50内の水素粉砕粉を回収室40内底部に落下させて排出する。なお、反転手段44は、処理容器50内の水素粉砕粉を回収室40内に排出する手段として好ましい手段であるが、本発明の回収方法における主たる特徴は、処理容器50内の水素粉砕粉を回収室40内に排出する際に回収室40内を減圧していることにある。従って、回収室40内が減圧されていれば、反転手段44以外の排出手段を用いても構わない。
上記において、回収室40内の圧力を、1000Paから1Pa、好ましくは5Pa〜1Paとした理由は次の通りである。
回収室40内は、回収工程終了後、空になった処理容器50を遮断扉2から取り出した後、遮断扉2を閉じて真空排気され、冷却室から次の処理容器50が来るまで真空排気が継続されている。そして、次の処理容器50が搬入される直前で冷却室の雰囲気に近づけるために不活性ガス(アルゴンガス)により復圧されるため、回収室40内の酸素量は十分低減されており(例えば20ppm以下)、水素粉砕粉の酸化防止の観点ではほとんど酸素量を考慮する必要はない。従って、1000Paから1Paという圧力は、水素粉砕粉が回収室内で舞わないという条件を規定したものである。一方、製造装置のサイクルスピードが速かったり、回収室40内の点検や整備などで、冷却室から次の処理容器50が来るまでに十分な真空排気ができていなかった場合などは、回収室40内の酸素量を十分に低減させ、好ましくは酸素量が20ppm以下とするために、回収室40内の圧力を5Pa〜1Paにすることが好ましい。すなわち、5Pa〜1Paという圧力は、回収室40内の酸素量を20ppm以下にするための条件を規定したものである。当然ながら、5Paは1000Paよりも高真空であるため、水素粉砕粉が回収室内で舞うことはない。このように、回収室40内の圧力は、通常は1000Pa以下で十分であり、5Pa以下であればより好ましい。
本発明は水素粉砕粉の酸化や水素粉砕粉の回収室40内での舞いを防ぐ意味では1Pa以下の真空度は必ずしも必要ではないが、たとえ1Pa以下であっても本発明を実施できる。
回収室40内に水素粉砕粉を落下させた後、真空排気手段43の動作を終了し、再び不活性ガス導入手段42を動作させることによって回収室40内に不活性ガス(アルゴンガス)を導入して所定圧力とした後、不活性ガス導入手段42の動作を終了する。なお、回収容器1は、回収容器1に設けられたバルブ(図示せず)が開放されており、回収容器内の空気酸素濃度が20ppm以下となるように不活性ガスにてあらかじめ置換している。また、回収室40内への不活性ガス(アルゴンガス)の導入により、回収室40内の所定圧力は、回収容器41内の圧力と同圧としている。この状態で、バルブ70を開放して回収容器41内に水素粉砕粉を回収する。
回収容器41への水素粉砕粉の回収が終了すると、バルブ70及び回収容器1に設けられたバルブ(図示せず)をそれぞれ閉塞し、回収容器1を回収室40から離脱させる。その後遮断扉2を開放して処理容器50を回収室40外へ移送する。
本実施例では、搬送手段5又は搬送手段5の上流側に処理容器50を加熱する加熱手段60を設け、水素吸蔵室10に搬入する前に希土類系磁石用原料合金を加熱することで、水素吸蔵室内における加熱処理を行うことなく、希土類系磁石用原料合金への水素吸蔵時間を短縮できるため、水素吸蔵室における処理時間の短縮を図ることができる。
また本実施例では、回収室40には、処理容器50を上下反転させる反転手段44を有し、処理容器50は、上面に開口部を有し、処理容器50内の希土類系磁石用原料合金の排出を、反転手段による上下反転によって行う。従って、処理容器50の下部を開放して水素粉砕粉を落下させる場合に比較して、開口部周辺や蓋体周辺に水素粉砕粉が残留することが少なく、更に減圧した状態なので、反転動作による気流の発生による水素粉砕粉の舞い上がりの影響も生じない。
また本実施例では、搬送手段5がコンベアであり、加熱手段60をコンベアの側方又は上方に配置することで、製造工程中に独立した室を設けることなく、既設の搬送経路中で加熱を行うことができる。
また本実施例では、加熱手段60が処理容器50の側方又は上方に配置された状態で処理容器50とともに搬送手段5を移動して、搬送中に加熱を行うことができるため、搬送時間を有効に活用できる。
また本実施例では、処理容器50の移動時にも加熱手段60によって加熱することで、水素吸蔵室10の搬入時にあわせて処理容器50の温度を最適に維持することができる。
また本実施例では、処理容器50の周囲の雰囲気温度を0℃〜150℃とすることで、希土類系磁石用原料合金の酸化を早めることなく、希土類系磁石用原料合金への水素吸蔵時間を短縮できる。
また本実施例では、処理容器50の表面温度を0℃〜100℃に加熱した状態で水素吸蔵室10に搬入することで、希土類系磁石用原料合金の酸化を早めることなく、希土類系磁石用原料合金への水素吸蔵時間を短縮できる。
また本実施例では、処理容器50に収容された希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部を0℃〜100℃に加熱した状態で水素吸蔵室10に搬入することで、希土類系磁石用原料合金の酸化を早めることなく、希土類系磁石用原料合金への水素吸蔵時間を短縮できる。
次に、図1で説明した加熱手段の更に詳細な構成と動作について説明する。
図2は同製造装置における加熱手段を示す斜視図である。
加熱手段60は、一方に配置される加熱源保持板61、他方に配置される加熱源保持板62、上方に配置される加熱源保持板63で構成され、これら加熱源保持板61、62、63は、それぞれ加熱源61a、62a、63aを内部空間側に保持し、枠体64に取り付けられている。ここで、内部空間は、処理容器50を配設した状態で、処理容器50の側方及び上方に、所定寸法の空間が形成される大きさとなっている。
加熱源保持板61、62、63が取り付けられている枠体64は、コンベア上に配置されている。
本実施例では、加熱手段60が、処理容器50の側方及び上方に、所定寸法の空間を介して配置され、所定温度の雰囲気下で処理容器50を加熱することができるため、加熱しすぎによる希土類系磁石用原料合金の酸化を防止することができる。
また本実施例では、搬送手段5がコンベアであり、加熱手段60がコンベア上に配置されているので、製造工程中に独立した室を設けることなく、既設の搬送経路中で加熱を行うことができる。
次に、図3及び図4を用いて希土類系磁石用原料合金の水素吸蔵の挙動特性について説明する。
図3は原料合金の温度の違いによる水素吸蔵の挙動特性を示す図、図4は雰囲気温度の違いによる水素吸蔵特性を示す図である。
図3では、原料合金の温度が20℃前後、10℃前後、0〜5℃程度の3つの群に分類した場合の水素吸蔵量の時間による変化特性を示している。
図3に示すように、水素吸蔵量が0.4wt%で比較すると、20℃前後の群は約50分、10℃前後の群は約60分から80分、0〜5℃程度の群は100分から120分程度となっている。
このように原料合金の温度が低いと水素吸蔵に要する時間は長くなる。
また、水素吸蔵の開始段階、例えば0.01wt%程度の段階で比較すると、10℃を下回ると、立ち上がりの時間に相当の時間を要しており、図示はしないが、更に0℃を下回るとその現象は顕著に表れる。
図4では、飽和水素吸蔵量の10%の水素吸蔵(水素吸蔵の開始段階)に要する雰囲気温度と時間との関係を示し、図4中の実線は平均特性線、2本の破線は全てのデータが含まれるように引いた境界特性線である。これら平均特性線及び境界特性線から分かる通り、雰囲気温度が25℃になると水素吸蔵の開始までに要する時間には大きな差異は見られず、また時間的ばらつきも小さくなることが分かる。また、雰囲気温度が0〜15℃の範囲においては、15℃以上と比較すると水素吸蔵の開始までに要する時間は長時間となり、また雰囲気温度が低下するに従い水素吸蔵の開始までに要する時間は増加する傾向にはあるが、その曲率からもわかるように、0℃より低い雰囲気温度での想定時間との比較では、短時間で水素吸蔵が開始されることが分かる。
又希土類磁石用原料合金の一部を100℃超の温度に加熱した場合には、合金が部分的に発火する現象が見られ、100℃超の温度設定は困難であることがわかった。
本発明は、酸化しやすい状態にある希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の回収方法及び回収装置に利用することができる。
1 回収容器
2 遮断扉
10 水素吸蔵室
11 遮断扉
12 不活性ガス導入手段
13 真空排気手段
14 水素導入手段
15 コンベア手段
20 加熱室
21 遮断扉
22 不活性ガス導入手段
23 真空排気手段
24 加熱手段
25 コンベア手段
30 冷却室
31 遮断扉
32 活性ガス導入手段
33 真空排気手段
34 冷却手段
35 コンベア手段
40 回収室
41 遮断扉
42 不活性ガス導入手段
43 真空排気手段
44 反転手段
45 コンベア手段
50 処理容器

Claims (10)

  1. 処理容器に収容された希土類系磁石用原料合金に水素を吸蔵させる水素吸蔵室と、前記水素吸蔵室に前記処理容器を搬入する搬送手段とを有する希土類系磁石用原料合金の製造装置であって、前記搬送手段又は前記搬送手段の上流側に前記処理容器を大気中で加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする希土類系磁石用原料合金の製造装置。
  2. 前記加熱手段が、前記処理容器の側方又は上方に、所定寸法の空間を介して配置されたことを特徴とする請求項1に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置。
  3. 前記搬送手段がコンベアであり、前記加熱手段が前記コンベアの側方又は上方に配置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置。
  4. 前記加熱手段が前記処理容器の側方又は上方に配置された状態で前記処理容器とともに前記搬送手段を移動することを特徴とする請求項3に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置。
  5. 請求項4に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置を用いた製造方法であって、前記処理容器の移動時にも前記加熱手段によって大気中で加熱することを特徴とする希土類系磁石用原料合金の製造方法。
  6. 請求項1から請求項4に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置を用いた製造方法であって、前記処理容器の周囲の雰囲気温度を0℃〜150℃としたことを特徴とする希土類系磁石用原料合金の製造方法。
  7. 請求項1から請求項4に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置を用いた製造方法であって、前記処理容器の表面温度を0℃〜100℃に加熱した状態で前記水素吸蔵室に搬入することを特徴とする希土類系磁石用原料合金の製造方法。
  8. 請求項1から請求項4に記載の希土類系磁石用原料合金の製造装置を用いた製造方法であって、前記処理容器に収容された希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部を0℃〜100℃に加熱した状態で前記水素吸蔵室に搬入することを特徴とする希土類系磁石用原料合金の製造方法。
  9. 前記処理容器に収容された希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部を10℃〜100℃に加熱した状態で前記水素吸蔵室に搬入することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の製造方法。
  10. 前記希土類系磁石用原料合金の少なくとも一部を10℃〜25℃に加熱した状態で前記水素吸蔵室に搬入することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の希土類系磁石用原料合金の製造方法。
JP2010081915A 2010-03-31 2010-03-31 希土類系磁石用原料合金の製造装置及び製造方法 Active JP5560848B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010081915A JP5560848B2 (ja) 2010-03-31 2010-03-31 希土類系磁石用原料合金の製造装置及び製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010081915A JP5560848B2 (ja) 2010-03-31 2010-03-31 希土類系磁石用原料合金の製造装置及び製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2011214044A true JP2011214044A (ja) 2011-10-27
JP2011214044A5 JP2011214044A5 (ja) 2013-02-28
JP5560848B2 JP5560848B2 (ja) 2014-07-30

Family

ID=44944096

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010081915A Active JP5560848B2 (ja) 2010-03-31 2010-03-31 希土類系磁石用原料合金の製造装置及び製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5560848B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012105399A1 (ja) * 2011-01-31 2012-08-09 日立金属株式会社 R-t-b系焼結磁石の製造方法
JP2012160545A (ja) * 2011-01-31 2012-08-23 Hitachi Metals Ltd 希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法及び製造装置
CN103801701A (zh) * 2012-11-08 2014-05-21 沈阳中北真空科技有限公司 稀土永磁合金柔性氢破设备
CN103801700A (zh) * 2012-11-08 2014-05-21 沈阳中北通磁科技股份有限公司 稀土永磁合金柔性氢破工艺方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5699637B2 (ja) * 2011-01-31 2015-04-15 日立金属株式会社 希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の回収方法及び回収装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05214437A (ja) * 1992-01-30 1993-08-24 Mitsubishi Materials Corp 金属系材料の熱処理装置
JPH06346112A (ja) * 1993-06-10 1994-12-20 Hitachi Metals Ltd 粗粉砕処理方法及びその装置
JP2005118625A (ja) * 2003-10-14 2005-05-12 Ulvac Japan Ltd 希土類系磁石材料の水素粉砕装置
WO2011013489A1 (ja) * 2009-07-31 2011-02-03 日立金属株式会社 希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の回収方法及び回収装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05214437A (ja) * 1992-01-30 1993-08-24 Mitsubishi Materials Corp 金属系材料の熱処理装置
JPH06346112A (ja) * 1993-06-10 1994-12-20 Hitachi Metals Ltd 粗粉砕処理方法及びその装置
JP2005118625A (ja) * 2003-10-14 2005-05-12 Ulvac Japan Ltd 希土類系磁石材料の水素粉砕装置
WO2011013489A1 (ja) * 2009-07-31 2011-02-03 日立金属株式会社 希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の回収方法及び回収装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012105399A1 (ja) * 2011-01-31 2012-08-09 日立金属株式会社 R-t-b系焼結磁石の製造方法
JP2012160545A (ja) * 2011-01-31 2012-08-23 Hitachi Metals Ltd 希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法及び製造装置
US10056188B2 (en) 2011-01-31 2018-08-21 Hitachi Metals, Ltd. Producing method of R-T-B-based sintered magnet
CN103801701A (zh) * 2012-11-08 2014-05-21 沈阳中北真空科技有限公司 稀土永磁合金柔性氢破设备
CN103801700A (zh) * 2012-11-08 2014-05-21 沈阳中北通磁科技股份有限公司 稀土永磁合金柔性氢破工艺方法
CN103801701B (zh) * 2012-11-08 2015-11-18 沈阳中北真空科技有限公司 稀土永磁合金柔性氢破设备

Also Published As

Publication number Publication date
JP5560848B2 (ja) 2014-07-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4840544B2 (ja) 希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の回収方法及び回収装置
US8673392B2 (en) Permanent magnet and method of manufacturing same
JP5163839B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
US8128759B2 (en) Permanent magnet and method of manufacturing same
JP5560848B2 (ja) 希土類系磁石用原料合金の製造装置及び製造方法
JP6582940B2 (ja) R−t−b系希土類焼結磁石及びその製造方法
TWI448340B (zh) 二次冷卻裝置、鑄造裝置
JP2011214044A5 (ja)
JP5750915B2 (ja) 希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法及び製造装置
CN107464684B (zh) 烧结磁体的处理方法
US7018485B2 (en) Apparatus for subjecting rare earth alloy to hydrogenation process and method for producing rare earth sintered magnet using the apparatus
JP5699637B2 (ja) 希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の回収方法及び回収装置
JP5025372B2 (ja) 焼結体の製造方法及びこの焼結体の製造方法により製造されるネオジウム鉄ボロン系焼結磁石
JP5433720B2 (ja) 焼結体の製造装置
JP4288637B2 (ja) 永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法
JP4212047B2 (ja) 希土類合金粉末の製造方法及び製造装置
CN107068380B (zh) 永磁材料的生产方法
JP5179133B2 (ja) 焼結体の製造装置
JP2007059619A (ja) 潤滑剤の除去方法
JP2005183810A (ja) 希土類焼結磁石の製造方法
JP4304917B2 (ja) 水素粉砕処理方法及び希土類系磁性材料粉末の製造方法
JP2003082406A (ja) 希土類合金の水素化処理装置およびそれを用いた希土類焼結磁石の製造方法
WO2012029748A1 (ja) R-Fe-B系希土類焼結磁石とその製造方法、製造装置、モータ又は発電機
JP2000303107A (ja) 希土類系磁性材料のための水素粉砕装置および当該装置を用いた希土類系磁性材料粉末ならびに磁石の製造方法
CN117524621A (zh) 烧结稀土永磁材料及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130115

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140417

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140513

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140526

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5560848

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350