JP2011213814A - 親水性部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造された基材の親水性が優れ、さらに、変色や強度低下が低減された親水性を有する部材とその製造方法を提供する
【解決手段】 ポリマーを含む基材にラジカルを生成し、ラジカルを生成した基材と親水性基を有する物質とを接触させ基材に親水性基を導入する、ことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 ポリマーを含む基材にラジカルを生成し、ラジカルを生成した基材と親水性基を有する物質とを接触させ基材に親水性基を導入する、ことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、親水性部材とその製造方法に関する。さらに詳しくいえば、ポリマーを構成材料に含む基材とする親水性部材およびその製造方法に関する。
めがねやビデオカメラなどの光学レンズを装着した装置を、温度差が大きくて湿度の高い環境に移動した場合には、空気中に存在する水分が光学レンズの表面に凝集して水滴を形成し、透明性や光透過性が著しく低下する。また、電車や車などの窓ガラス表面などでは、急激な温度差により水滴が形成されて視界が妨げられ、交通標識が判読できなくなるなどの様々な問題を引き起こすことが知られている。
また、農業用被覆フィルムが展張された農業用ハウスやトンネル内などでは、土壌や作物から蒸散する水蒸気が充満し、充満した蒸気が外気との温度差によりフィルム表面に凝集して水滴を形成し、それにより透過性が低下して作物の生育が妨げられ、さらには、水滴が落下して作物に付着し病気が発生するなどの問題があった。
光学用レンズや農業用フィルムなどの基体表面には、付着した水滴が基体表面で広がり易くするために、親水性に優れた薄膜を設ける様々な方法として、基材にアミノ基や、カルボン酸基、スルホン酸基、シアン酸基を導入する方法が提案されている。
例えば、ポリビニルアルコール系繊維を気体状無水硫酸で処理することで、スルホン酸基を有するイオン交換繊維の製造方法(例えば、特許文献1参照。)や、フッ素系高分子フィルム基材にフッ素化ブタジエンを放射線グラフト重合した後、グラフト鎖中の二重結合にスルホン酸基を導入する製造方法(例えば、特許文献2参照。)などが挙げられる。
しかしながら、特許文献1に記載されているような、ポリオレフィン系樹脂を構成材料とする基材に気体状無水硫酸で処理することでスルホン酸基を導入すると、基材の表面が変色するため基材の透明度が低下し、また基材の強度も低下する問題がある。
また、特許文献2に記載されている基材へのスルホン酸基の導入方法では、基材をモノマーと放射線グラフト重合した後、グラフト鎖にスルホン酸基を導入するため、基材とスルホン酸基を含有する物質のほかにモノマーを必要とし、手間もかかるといった問題がある。
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、フィルムや樹脂プレート、繊維や布などからなる、少なくともポリマーを構成材料に含む基材への親水性基導入を簡略化し、製造された基材の親水性が優れ、さらに、変色や強度低下が低減された親水性を有する部材とその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち第1の発明は、ポリマーを含む基材にラジカルを生成し、ラジカルを生成した基材と親水性基を有する物質とを接触させ基材に親水性基を導入することを特徴とする親水性部材の製造方法である。
また、第2の発明は、ラジカルを生成する方法が、α線やβ線やγ線や電子線を照射する放射線照射法、紫外線を基材へ照射する紫外線法、コロナ放電を照射するコロナ放電法、または、グロー放電により発生するプラズマを基材へ照射するプラズマ法、あるいは、これらの方法の組み合わせであることを特徴とする第1の発明に記載の親水性部材の製造方法である。
また、第3の発明は、親水性基がアミノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、またはシアン酸基から選ばれた一種または二種以上の親水基であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の親水性部材の製造方法である。
また、第4の発明は、第1から第3の発明のいずれかに記載の方法により製造された親水性部材である。
本発明によれば、放射線グラフト重合のように基材とモノマーを共存させ放射線を照射することでグラフト鎖を作る工程を経ず、親水性基の導入が可能である。また本発明による方法で製造した親水性部材は変色が抑えられ、部材の強度低下も抑えることが可能となる。
以下に、本発明の実施形態である親水性部材とその製造方法について詳細に説明する。
本実施形態は、ポリマーを構成材料に含む基材にラジカルを生成させ、親水性基を有する物質と接触させることにより、親水性部材を製造する方法である。
本発明の実施形態に用いられる基材を構成する材料としては、ポリマーであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系の樹脂が好適に用いられる。
一般に、ポリエチレンには、高密度PE(HD)、低密度PE(LD)、線状低密度PE(LLD)、超高分子量PE(UHMW)などがある。本実施形態のごとくラジカルを生成する場合には、結晶部のラジカルが非晶部に移動してきてポリマーラジカルとして反応に寄与するので、ポリエチレンの結晶化度と非晶部の構造がポリマーラジカルの生成に影響を与える。したがって、本実施形態で用いるポリエチレンとしては、HDとLDを比較すれば、非晶部が多くラジカルが生成しやすいLDが好適である。
本発明の実施形態において、ポリマーを構成材料に含む基材の形態としては、板状や、フィルム状や、繊維状や、布状や、メッシュ状や、ハニカム状、粉末状、あるいはこれらの形態の基材を使用した加工品やこれらの前記形態の基材を含む加工品など、使用目的に合った種々の形状及びサイズ等のものに適用でき、特に制限されるものではない。
本発明の実施形態において、基材にラジカルを生成させる方法としては、窒素、アルゴン、ヘリウムガスなどの不活性ガス中で、基材へ、α線や、β線や、γ線や、電子線を照射する方法(放射線照射法)や、紫外線を照射する方法(紫外線(UV)法)、または、コロナ放電を照射する方法(コロナ放電法)や、グロー放電により発生するプラズマを照射する方法(プラズマ法)、あるいは、これらを組み合わせた方法などを挙げることができる。本実施形態では、特に、電子線やコロナ放電を照射する放射線照射法やコロナ放電法が適している。
また、基材にラジカルを生成させる方法として、基材をイソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール類に含浸させた状態で、α線や、β線や、γ線や、電子線や、紫外線を基材へ照射する方法、または、コロナ放電を照射する方法や、グロー放電により発生するプラズマを照射する方法を用いても良い。
また、UV法の光開始剤としてはベンゾフェノン、アントラキノンなどがある。光開始剤が吸収した光のエネルギーが、ポリマーへ移動してラジカルを作る場合と、光開始剤ラジカルがポリマーの水素を引き抜いて、ポリマーにラジカルを作る場合とがある。プラズマ法では、プラズマ中の電子がポリマーにラジカルをつくる場合と、ラジカルを酸素と反応させて過酸化ラジカルとする方法とがある。UV法とプラズマ法とコロナ放電法の特徴は基材の表面近傍のみに限定される。
基材にラジカルを生成させる方法には、上述した放射線照射法や紫外線法(UV法)やコロナ放電法、プラズマ法などに加えて化学開始剤法がある。化学開始剤法には、連鎖移動法、乳化重合法、セリウム塩法などがある。連鎖移動法では、過酸化ベンゾイルのような過酸化物やアゾイソブチロニトリル(AIBN)などが化学開始剤として使用されている。
本実施形態の放射線照射法には、同時照射法と前照射法がある。同時照射法はポリマーと反応物質の共存下で照射する方法で、前照射法は捕捉ラジカル法ともいわれ、放射線照射してラジカル生成後から反応物質と接触させる方法である。放射線照射法の特徴としては、あらゆる形状のポリマーに活用でき、ポリマー内部までラジカルを生成させることができ、開始剤等の残存がない、大量生産できる等が挙げられる。
本実施形態では、目的、用途に応じて、ラジカル生成方法として、放射線照射法、UV法、プラズマ法、及び、コロナ放電法を適宜選択すれば良い。
本実施形態の放射線照射法において、電離放射線の照射線量は、親水性基を導入させるのに十分なラジカルの生成量が得られ、不必要な架橋や部分的な分解が起こらない経済的な照射線量であれば特に制限はないが、ラジカルが均一に生成し、親水性部材を構成する基材の剛性や耐薬品性に及ぼす影響も少ないことから、1kGy〜1000kGyの範囲にあることが好ましく、5kGy〜500kGyの範囲にあることがより好ましく、10kGy〜300kGyの範囲にあることが特に好ましい。
上記ラジカル生成方法により生成されるラジカルについてはポリエチレンでは多くの報告があり、電子線の照射によってアルキル、アリル、ポリエニル、過酸化ラジカルが生成する。ラジカルは結晶部と非晶部に生成するが、分子鎖の運動が激しい非晶部では、ただちに再結合等の反応で消滅する。観察されるのは結晶部内のラジカルである。アルキルラジカルは反応性がきわめて高く、水素を引き抜きながら結晶部を移動し、非晶部で再結合(橋かけ)や酸化反応、グラフト反応で消費される。
ポリマーラジカルは放射線の直接一次作用と、入射した放射線ではじき出された電子による二次作用で生成するので、入射放射線の飛跡に沿ってラジカルが群をなして生成する。一つの群の大きさは数nm程度であり、この群の中でラジカルの再結合が起こる。また、生成したラジカルは水素による付加と引き抜き反応によって、分子間あるいは分子内を移動し結合相手のラジカルを探す。結晶部内ではポリマーの運動が制限されているため反応は起きにくいが、結晶部内に生成したラジカルは分子鎖が自由に運動できる非晶部に移動して反応に参画する。
本発明の実施形態において、基材への放射線照射直後、例えば1〜2分以内に、親水性基を導入するような場合には、放射線を照射する際の温度および、照射後に基材を保存する温度については特に制限はない。しかし、ラジカルを生成した後、時間をおいて親水性基を導入する場合などにはラジカルを保存するために、照射も保存も低温で行うことが望ましい。−5℃程度に低温保存すれば、照射20日経過後でも支障なくポリマーラジカルを用いた反応が可能である。
上述したラジカル生成方法により基材にラジカルを生成した後に、親水性基を有する物質と接触させることで基材に親水性基を導入する。本発明の実施形態において用いられる親水性基としては、アミノ基や、カルボン酸基や、スルホン酸基や、シアン酸基とこれらの組み合わせでもよく、特に限定されるものではないが、アミノ基や、スルホン酸基などが好適に用いられる。
ラジカルを生成した基材と接触させる物質としては、前記の親水性基を有する物質であれば特に限定されるものではないが、アミノ基を有する物質としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ピペリジン、モルホリンジエチルアミンやこれらを組み合わせてもよく、特に限定されるものではないが、アンモニア、エチルアミンなどが好適に用いられる。
スルホン酸基を有する物質としては、無水硫酸、濃硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、スルファミン酸、亜硫酸ナトリウムやこれらを組み合わせてもよく、特に限定されるものではないが、発煙硫酸、亜硫酸ナトリウムなどが好適に用いられる。
本発明の実施形態において、親水性基を導入する際の温度は、基材の融点未満であれば特に制限はないが、0〜100℃の範囲にあることが望ましく、5〜90℃の範囲にあることがより好ましく、10〜80℃の範囲にあることが特に望ましい。親水性基を導入する際の温度が0℃より低い場合には、反応速度が遅く、反応が不均一に進行することがある。親水性基を導入する際の温度が100℃よりも高い場合には、ポリオレフィン系の基材では物性が大きく変化したり、変形する恐れがある。
本発明の実施形態において、基材への親水性基の導入方法は、基材を気体状あるいは液体状の親水性基を有する物質と接触させることにより行う。均一に反応させるためには、例えば、親水性基を有する物質が気体状発煙硫酸の場合には、基材を容器の中に入れ回転させながら気体状発煙硫酸を導入する回転法、あるいは、カラムに充填し気体状発煙硫酸を導入するカラム法を用いることができ、基材が不織布、フェルト、編物、織物などの布帛である場合には、布帛を反応容器中に連続して送りながら、気体状発煙硫酸の導入方向を布帛の進行方向に対して向流または並流にする連続反応法、さらには前記布帛を攪拌棒に均一に巻いてこれを回転させながら気体状発煙硫酸を導入する方法を用いることができる。
以上説明したように親水性基を導入した基材を、洗浄処理することで、基材の変色が少なく、強度低下なども抑えられた親水性部材を提供することができる。
本発明による親水性部材は、ポリマーラジカルを生成することを特徴とするため、電子線照射によりポリマーラジカルを生成する場合には、電子線を透過しない部材で基材をマスキングすることで任意の部分を親水化した部材を得ることが可能である。例えば、ストライプ状にマスキングした基材に親水性基を導入することで、親水部と疎水部がライン状に形成された部材とすることが可能となるため、部材の表面に保水した水を方向性を持って排水・移動させることが可能である。また、マスキング部をスポット状にするなど形状を選ばず親水性基を導入することも可能である。
本発明による親水性部材は、ハウス用フィルム、トンネルハウス用フィルムなどの農業資材、食品の包装材料、外壁材、サッシ、ドア、ブラインドなどの建装材、壁紙、カーペット、樹脂タイルなどの内装材、衣類、インナーウェア、靴下、手袋、靴等の履物、該履物用の中敷、パジャマ、マット、シーツ、枕、枕カバー、毛布、タオルケット、蒲団および蒲団カバーなどの寝装材、帽子、ハンカチ、タオル、絨毯、カーテン、空気清浄機やエアコン、換気扇、電気掃除機、扇風機などのフィルターまたは防虫網やスクリーン印刷用メッシュ、燃料電池用のイオン交換繊維、あるいは冷蔵庫の野菜室やチルド室等の加湿部材、家庭用あるいは業務用エアコン、空気清浄機、加湿器等の加湿部材、燃料電池用加湿部材等などの製品へ応用が可能となる。従って、本発明は、様々な分野に優れた各種製品を提供することができる有用な部材である。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本発明方法による下記実施例1〜実施例4の親水性部材の製造にあたっては、岩崎電気株式会社製、エレクトロカーテン型電子線照射装置「CB250/15/180L」を用い、電子線照射により実施した。これに対して、各比較例の親水性部材の製造にあたっては、電子線は用いない方法とした。
(実施例1)
厚さ60μmの二軸延伸ポリプロピレン(PP)製フィルム(東セロ株式会社製OP、U−1#60)に窒素雰囲気下で、電子線を30kGy照射した後に、発煙硫酸(和光純薬工業株式会社製、30%)を10g導入した反応容器に移し、25℃で気体状発煙硫酸と5分間接触させた。その後、反応容器から取り出し、純水に浸漬し超音波を30分照射後、乾燥させ、スルホン酸基を導入したポリプロピレン製フィルムを得た。
厚さ60μmの二軸延伸ポリプロピレン(PP)製フィルム(東セロ株式会社製OP、U−1#60)に窒素雰囲気下で、電子線を30kGy照射した後に、発煙硫酸(和光純薬工業株式会社製、30%)を10g導入した反応容器に移し、25℃で気体状発煙硫酸と5分間接触させた。その後、反応容器から取り出し、純水に浸漬し超音波を30分照射後、乾燥させ、スルホン酸基を導入したポリプロピレン製フィルムを得た。
(実施例2)
厚さ100μmのポリエチレン(PE)製フィルム(大倉工業株式会社製、L−LDPE、リニアポリ)を用いた以外は実施例1の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリエチレンフィルムを得た。
厚さ100μmのポリエチレン(PE)製フィルム(大倉工業株式会社製、L−LDPE、リニアポリ)を用いた以外は実施例1の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリエチレンフィルムを得た。
(実施例3)
ポリプロピレン製織物(株式会社NBCメッシュテック製PMT120)を用い、照射線量を50kGyとし、気体状発煙硫酸との接触時間を10分間にした以外は実施例1の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリプロピレン織物を得た。
ポリプロピレン製織物(株式会社NBCメッシュテック製PMT120)を用い、照射線量を50kGyとし、気体状発煙硫酸との接触時間を10分間にした以外は実施例1の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリプロピレン織物を得た。
(実施例4)
40g目付けのポリプロピレン製不織布(旭化成せんい株式会社製ELTAS P03040)を用い、気体状発煙硫酸との接触時間を15分間にした以外は実施例1の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリプロピレン不織布を得た。
40g目付けのポリプロピレン製不織布(旭化成せんい株式会社製ELTAS P03040)を用い、気体状発煙硫酸との接触時間を15分間にした以外は実施例1の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリプロピレン不織布を得た。
(比較例1)
実施例1で用いたポリプロピレンフィルムを、発煙硫酸(和光純薬工業株式会社製、30%)を10g導入した反応容器に移し、25℃で気体状発煙硫酸と5分間接触させた。その後、反応容器から取り出し、純水に浸漬し超音波を30分照射後、乾燥させ、スルホン酸基を導入したポリプロピレン製フィルムを得た。
実施例1で用いたポリプロピレンフィルムを、発煙硫酸(和光純薬工業株式会社製、30%)を10g導入した反応容器に移し、25℃で気体状発煙硫酸と5分間接触させた。その後、反応容器から取り出し、純水に浸漬し超音波を30分照射後、乾燥させ、スルホン酸基を導入したポリプロピレン製フィルムを得た。
(比較例2)
実施例2で用いたポリエチレンフィルムを、電子線を照射しない以外は実施例2の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリエチレンフィルムを得た。
実施例2で用いたポリエチレンフィルムを、電子線を照射しない以外は実施例2の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリエチレンフィルムを得た。
(比較例3)
実施例3で用いたポリプロピレン織物を、電子線を照射しない以外は実施例3の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリプロピレン織物を得た。
実施例3で用いたポリプロピレン織物を、電子線を照射しない以外は実施例3の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリプロピレン織物を得た。
(比較例4)
実施例4で用いたポリプロピレン不織布を、電子線を照射しない以外は実施例4の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリプロピレン不織布を得た。
実施例4で用いたポリプロピレン不織布を、電子線を照射しない以外は実施例4の方法と同様の条件で、スルホン酸基を導入したポリプロピレン不織布を得た。
(接触角の評価)
本発明の実施例および比較例における接触角の測定は、複合部材を純水に浸漬して1時間超音波洗浄をした後、乾燥させ、協和界面科学株式会社製固液界面解析装置Dropmaster500 を用いて、得られた親水性部材の表面に純水を1.0 μL滴下し、形成した水滴の接触角を測定することで行った。
本発明の実施例および比較例における接触角の測定は、複合部材を純水に浸漬して1時間超音波洗浄をした後、乾燥させ、協和界面科学株式会社製固液界面解析装置Dropmaster500 を用いて、得られた親水性部材の表面に純水を1.0 μL滴下し、形成した水滴の接触角を測定することで行った。
(強度の評価)
オリエンテック株式会社製引張試験機(RTC−1325)を用い、破断時の強度を測定した。
オリエンテック株式会社製引張試験機(RTC−1325)を用い、破断時の強度を測定した。
(色差変化の評価)
本発明の実施例および比較例における色差の測定はコニカミノルタセンシング株式会社製色差計COLOR READER CR‐10を用い、未処理基材(コントロール)との比較により色差ΔEを測定した。実施例1〜3と比較例1〜3の、各測定結果を表1に示す。
本発明の実施例および比較例における色差の測定はコニカミノルタセンシング株式会社製色差計COLOR READER CR‐10を用い、未処理基材(コントロール)との比較により色差ΔEを測定した。実施例1〜3と比較例1〜3の、各測定結果を表1に示す。
(親水性の評価)
シャーレ上にサンプルを設置し、水滴を滴下した後のサンプルの親水状態を観察した。実施例4と比較例4の親水状態の画像を図1に示す。
シャーレ上にサンプルを設置し、水滴を滴下した後のサンプルの親水状態を観察した。実施例4と比較例4の親水状態の画像を図1に示す。
本発明で得られた親水性部材は実施例1〜4の結果が示すように、機械的特性の低下や色合いの変化を抑え、優れた親水性を付与することが実証された。
これらの結果に対し、ポリマーラジカルを生成しない比較例1〜4で得られた部材では、親水性が不十分であることに加え、強度低下が著しく、また、比較例1と3(PP製)では基材の変色が大きいことが確認された。
Claims (4)
- ポリマーを含む基材にラジカルを生成し、
前記ラジカルを生成した基材と親水性基を有する物質とを接触させ前記基材に親水性基を導入する、ことを特徴とする親水性部材の製造方法。 - 前記ラジカルを生成する方法が、α線やβ線やγ線や電子線を照射する放射線照射法、紫外線を基材へ照射する紫外線法、コロナ放電を照射するコロナ放電法、または、グロー放電により発生するプラズマを基材へ照射するプラズマ法、あるいは、これらの方法の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の親水性部材の製造方法。
- 前記親水性基がアミノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、またはシアン酸基から選ばれた一種または二種以上の親水性基であることを特徴とする請求項1または2に記載の親水性部材の製造方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の方法により製造された親水性部材。
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