JP2011212719A - 鋼板のフラッシュバット溶接方法及び溶接装置 - Google Patents

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【課題】本発明は、フラッシュバット溶接時の大気巻き込みに起因する溶接部の酸化を抑制するという課題を解決し、安全性の高い非可燃性のガスを用いて溶接部のシールドを安定的に長期間使用可能とし、高い溶接品質を得ることができる鋼板のフラッシュバット溶接方法及び装置を提供することを目的とする。
【解決手段】鋼板クランプ面近傍からシールドガスを供給する際に、クランプ部材の前面(シルードガス供給孔がある面)に十分な高さを持たせることにより、クランプ部材の前面が壁となり、大気の巻き込みが抑制され、鋼板とクランプ部材で囲まれた比較的狭い空間を不活性ガスで置換することができる。これにより、高濃度な不活性ガスによるシールド環境下で高品質な溶接が可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、主に、自動車用のホイールリムや製鉄ラインにおけるコイル継ぎ溶接などで使用される薄鋼板のフラッシュバット溶接方法に関し、溶接部の酸化を抑制するために不活性ガスにて大気を遮断し、高品質な溶接部を得ることができる鋼板のフラッシュバット溶接方法および装置に関する。
近年、鋼材の高強度化が進展し、鋼材成分としてMn、Si、Al等の酸化しやすい元素が多く含む難溶接材の溶接品質向上ニーズが高まってきた。一般的に鋼板のフラッシュバット溶接は大気中で溶接されるが、鋼材成分中の酸化性元素の増加により接合部突合せ面に酸化物系の介在物(酸化介在物)が残存し溶接品質の低下につながっている。
酸化介在物の残存を抑制する手段として、特許文献1に、溶接部を不活性ガスでシールドする方法が提案されている。特許文献1はシール板を用いて溶接部空間と外気と隔離した後に、不活性ガスで内部の大気を置換するものである。そのため、多量のガス供給が必要であると共に溶接部空間を密閉するための複雑な構造が必要である。
特許文献2および3には、シールドガスをプロパンガスなどの可燃性ガスとし、そのガスを溶接時に燃焼させることによって溶接部周辺の酸素を還元し、被溶接材の酸化を抑制する方法が提案されている。
特許文献2では、シールドガスのランニングコストを下げるために、上側クランプダイのシールドガス供給孔を傾斜させ、シールドガスの供給方向が溶接部のフラッシュ発生箇所を局所的に狙えるようにするとともに、可燃性ガスを供給し酸素の還元効果を得ることによってシールドガス供給量を抑制し、ランニングコストの低減を図っている。しかしながら、安全性の観点から不完全燃焼した可燃性ガスの取り扱いに注意を払う必要があり抜本的な対策が必要であった。
特許文献2および3のように、ダイクランプとクランプインサートの重ね面から不活性ガスを供給(図1参照)する方法であると、溶接部空間全体を不活性ガスで置換するよりもガス供給量の低減が可能となると考えられる。しかし、ガス噴射に併せて周囲の大気を巻き込んでしまうため、十分な不活性環境を得るには、シールドガス流の層流化を図る等、厳格なガス供給管理が必要であった。
なお、本発明者らによる特許文献4は、シールドガス供給位置を溶接トランス内側のダイクランプとクランプインサート重ね面のみとし、シールドガス供給量の低減を図っているが、シールドガス供給位置および構造の明確な規定がなされておらず、特許文献2、3と同様に大気の巻き込みの影響を受け、十分な不活性シールド環境が得られない場合があった。
実開昭59−190480号公報 特開平10−71473号公報 特開昭59−54476号公報 特願2009−070523号
本発明は、フラッシュバット溶接時の大気巻き込みに起因する溶接部の酸化を抑制するという課題を解決し、安全性の高い非可燃性のガスを用いて溶接部のシールドを安定的に長期間使用可能とし、高い溶接品質を得ることができる鋼板のフラッシュバット溶接方法及び装置を提供することを目的とする。
通常のフラッシュバット溶接機の構造は、クランプインサートにクランプダイが重ねるように配置される構造である(図1)(以下、クランプインサート、クランプダイ等、鋼板をクランプするための部材を総称してクランプ部材という。) 。従来のようにクランプインサートとクランプダイの重ね面からシールドガスを供給する方法では、鋼板とクランプ部材で囲まれる広い空間を不活性ガスで置換する必要があり、大量のガス供給が必要であるだけでなく、大気を巻き込み易く、不活性ガスのシールド環境をつくることは困難であった。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、不活性ガス供給位置を溶接部に近いクランプ部材前面にし、さらに、クランプ部材厚みやガス供給孔の設置位置との関係、鋼板クランプ時の電極間距離(クランプ部材間距離)とガス流量の関係を規定することによって、シールドガス噴射時に周辺大気の巻き込みを抑制することが可能であることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち図2に示すように、鋼板クランプ面近傍からシールドガスを供給する際に、クランプ部材の前面(シルードガス供給孔がある面)に十分な高さを持たせることにより、クランプ部材の前面が壁となり、大気の巻き込みが抑制され、鋼板とクランプ部材で囲まれた比較的狭い空間を不活性ガスで置換することができる。これにより、高濃度な不活性ガスによるシールド環境下で高品質な溶接が可能となる。
大気巻き込みを抑制する壁は、クランプ部材のうちクランプインサートやクランプダイで構成してもよいが、クランプインサートの前面と概ね同一面を形成するように壁となる板状物を接続しても、同様な効果を得ることができる(例えば、図8(b))。いずれにせよ、シールドガス供給孔から大気巻き込み抑制のための壁の最上部(鋼板下側では最下部)までの距離HUを十分に確保することが、溶接部を安定して不活性環境に保つためには必要である。
本発明は、これらの知見を基に成されたものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)鋼板表裏面を挟み込むクランプ部材の前面からシールドガスを供給する鋼板のフラッシュバット溶接方法において、下記式(1)及び式(2)を満足するクランプ部材を、少なくとも鋼板の一方の面に取り付けることを特徴とする鋼板のフラットバット溶接装置。
HU[mm]≧0.66×DD[mm] 式(1)
FS[L/min]≧HL[mm]×DW[mm]×DD[mm]/2500 式(2)
ここで、
HL:鋼板表面に垂直方向における、鋼板の表面からシールドガス供給孔端部までの最大距離
HU:鋼板表面に垂直方向における、シールドガス供給孔端部から前記クランプ部材の前面の端部までの最小距離
DW:鋼板幅方向における、クランプ部材の幅
DD:鋼板長手方向における、対向するクランプ部材の間隔
FS:鋼板の前記一方の面側のシールドガス流量
(2)前記HLが下記式(3)を満たすことを特徴とする(1)に記載の鋼板のフラッシュバット溶接装置。
HL[mm]≦ 450/DD[mm] 式(3)
(3)前記シールドガス供給孔が、前記クランプ部材の鋼板との接触面上にあることを特徴とする(1)または(2)に記載の鋼板のフラッシュバット溶接装置。
(4)前記クランプ部材が、少なくともクランプインサートとクランプダイで構成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の鋼板のフラッシュバット溶接装置。
(5)前記クランプ部材が、クランプインサートのシールドガス供給孔のある面と同一方向の面を形成するよう、前記クランプインサートの上部に板状物を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の鋼板のフラッシュバット溶接装置。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の鋼板のフラッシュバット溶接装置を使用することを特徴とする鋼板のフラッシュバット溶接方法。
本発明によれば、不活性ガスで溶接部をシールドするフラッシュバット溶接方法において、比較的少量の不活性ガス供給量で安定したシールド性能を発揮することが可能となり、溶接部の酸化を抑制し、高い溶接品質を得ることができる。このため、シールドガス供給量の削減が可能となり、コスト低減にも大きく寄与することができる。さらに、既存溶接装置の簡便な改造で実現できるため、設備投資を抑制し、コスト低減に大きく寄与することができる。
従来のシールドガス供給方式を示す図である。 本発明のシールドガス供給方式を示す図である。 シールドガス噴射に伴う大気の巻き込み状況を示す図である。 クランプインサートの形状を示す図である。 溶接位置の酸素濃度とHUの関係を示す図である。 クランプ間距離DDとHUの関係を示す図である。 HLとシールドガス流量の関係を示す図である。 電極の例を示す図である。(a)は、クランプインサート下部(鋼板側)にシールドガス供給孔を設置するシールド電極(電極形状1)を示す図である。 (b)は、クランプインサート上部に(クランプダイ側)に大気巻き込み防止用の衝立を設置するシールド電極(電極形状2)を示す図である。 (c)は、クランプインサート下面(鋼板側)に溝状のシールドガス供給孔を設置するシールド電極(電極形状3)を示す図である。 クランプ部材前面が傾斜している場合を示す図である。
フラッシュバット溶接方法について図1を基に説明する。ここでは、鋼板を水平に配置して突合せてフラッシュバット溶接することを例として説明する。
水平方向左右に配置された鋼板1を突合せ、該鋼板の上下面を挟持するよう配置されたクランプダイ4とクランプダイに固定されたクランプインサート3で該鋼板1を挟む。次に、クランプダイおよびクランプインサートを介して鋼板に溶接電圧が印加される。溶接電圧印加と同時に左右に配置された鋼板を低速度で近づけ、互いに軽く接触させることにより、溶接電流を通電させる。溶接電流の通電により、左右の鋼板の相対する面(突合せ端面)で短絡通電とアーク発生が繰り返され(フラッシング)、鋼板の相対する面が溶融状態となる。接合面全体が均一に加熱されるように、所定の溶接時間、通電した後に、左右の鋼板を高速度で押付けて(アップセット)接合を行う。以上が、フラッシュバット溶接の概要である。
通常のファラッシュバット溶接は、大気中で溶接を行うためフラッシング過程で接合界面に酸化物が生成し、接合部の品質を低下させてしまう。また、シールドガスを噴射しながら溶接を行う場合も、クランプインサートとクランプダイの重ね面からシールドガスを噴射しており、溶接部を十分な不活性ガス環境に保ついこと難しく良好な溶接品質を得ることが困難であった。
そこで本発明者らは、溶接部のシールド状態を良好に保つ手法を検討した結果、図2に示すように、不活性ガス供給位置を溶接部に近いクランプインサート前面とし、さらに、クランプインサート厚みとガス供給孔の設置高さの関係、鋼板クランプ時の電極間距離とガス流量の関係を管理することによって、シールドガス噴射時の周辺大気の巻き込み抑制が可能となり、高品質なフラッシュ溶接が実現できることを見出した。
図3に、クランプ部材の構造による大気の巻き込み状態を概念的に示す。図3では、クランプ部材は、鋼板の上面のみを記載しているが、通常は、鋼板の上下面のクランプ部材で鋼板を挟持するように、鋼板を中心に対称となるようにクランプ部材が配置されている。
図3(a)に示すように、シールドガス供給位置がクランプインサートとクランプダイの重ね面、すなわち鋼板設置位置から離れており、かつシールドガス供給孔の上方がオープンスペースとなっている場合は、鋼板、クランプインサート、クランプダイで囲まれた空間を不活性ガスで置換するのに時間を要し、シールドガス噴射の流れによってクランプダイ前面の大気が巻き込まれてしまうため、十分な不活性環境を得ることが困難であった。
一方、図3(b)に示すように、シールドガス供給位置がクランプインサート前面、すなわち鋼板設置面に近く、シールドガス供給孔の上方もクランプインサート自身で囲われている場合は、鋼板、クランプインサートで囲まれた狭い空間を不活性ガスで置換することが容易であり、その結果大気の巻き込みも少なくなる。
図3(c)に示すように、クランプインサートとクランプダイの重ね面にシールドガス供給孔がある場合でも、クランプインサートとクランプダイの前面(鋼板突合せ部側の面)が、同一面になるように配置されていてもよい。
さらに、図3(d)に示すように、クランプインサートとクランプダイの上部に、シールドガス供給孔のある面と同じ方向の面になるよう板状物を設置してもよい。できれば、図3(d)に示すように、シールドガス供給孔のある面と連続した面を形成するように、板状物を設置してもよい。
ここで、前記板状物を有する場合はその板状物も含めてクランプ部材と呼ぶ。従って、板状物を有するときは、クランプ部材前面は、板状物の面も含んでいる。
適正なシールドガス供給位置を明確にするため、ガス供給孔上端からのクランプ部材の前面の高さHU(言いかえれば、鋼板表面に垂直方向における、シールドガス供給孔端部から前記クランプ部材の前面の端部までの最小距離)と溶接部(鋼板突き合わせ位置)の酸素濃度の関係を調査した。その結果を図4に示す。鋼板幅方向におけるクランプ部材幅DWは150mmとし、φ4mmのシールドガス供給孔を10個均等に配置した。シールドガス流量FSは鋼板片側の総量(鋼板の片側面上で対向するクランプインサートからのシールドガス供給量の総量)であり、30L/minおよび50L/minとした。鋼板設置面からシールドガス供給孔のまでの高さHL(言いかえれば、鋼板表面に垂直方向における、鋼板の表面からシールドガス供給孔端部までの最大距離)は15mmとした。
図5にHUと酸素濃度の関係を示す。いずれのシールドガス流量においても、HUが増加するに従って、クランプ部材上方からの大気の巻き込みが少なくなり溶接部の酸素濃度が低減した。HUが20mm以上で酸素濃度2%以下となることを確認した。なお、酸素濃度2%以下にすると良好な溶接品質になることを確認している。
図6は、鋼板長手方向における対向するクランプ部材の間隔(対向するクランプインサートの間隔もしくは対向するシーヅドガス供給孔の間隔)DDと適正なHUの関係を示す図である。シールドガス流量は対向する両クランプ部材の総量で50L/minとした。クランプ部材の間隔DDは10mm〜50mmとし、板厚1mm〜6mm程度の通常の溶接条件範囲とした。DDの増加により、鋼板、クランプ部材で囲まれる空間も増加するため、適正なHUも増加することが確認できる。
なお、接合界面の酸化を抑制するためには、アプセット直前の溶接部空間を不活性ガス状態に保つことが重要であるため、DDは溶接開始前のクランプ部材間隔でなく、アプセット直前のクランプ部材間隔に合わせることが望ましい。図6に示す関係から、
HU≧0.66×DDとすればよい。
鋼板設置面からシールドガス供給孔までの高さHLは、小さい方が溶接部のシールド性確保に有効となる。また、HLの増加に応じてシールドガス流量を増加させることによって、良好なシールド性の確保が可能となる。図7に、HLと適正なシールドガス流量の関係を示す。このとき、DDは30mm、HUは20mmとした。
HLの増加に合わせてシールドガス流量FSを増加させることによって、良好なシールド環境が得られることが確認できる。図7に示す関係から、
FS≧1.8×HLとすればよい。
上式にて示されるように、HLが小さいほどシールド性が良好となり、シールドガス流量の低減が可能となる。一方で、DDの増加によりクランプ部材で囲まれる空間が増加するためシールド性は低下する。そのため以下に示すように、DDの増加に併せてHLの上限を制限することによって、比較的少ないガス流量での溶接部のシールド性確保が可能となる。
HL[mm]≦450/DD[mm]
なお図7に示される下限のガス流量はクランプ部材幅DW、ガス供給孔までの高さHLおよびクランプ部材間隔DDで囲まれる空間の体積を約0.15秒のガス供給時間で充たすガス流量である。従って、FSは以下の式を満たせばよい。
FS[L/min]≧HL[mm]×DW[mm]×DD[mm]/2500
次に、シールドガスの低コスト化について検討する。シールドガスとしてArガスを使用することにより良好な溶接品質を確保できることが、前記したように分かった。しかし、Arガスは高価であるため、より安価な窒素(N2)ガスの適用を考えた。
一般的に、アーク溶接などでは、溶接金属に多量の窒素が溶解するとブローホールや溶接金属の靭性低下の原因となり、溶接品質上の問題となる。しかしながら、フラッシュバット溶接では、鋼板の突合せ端面に生成された溶融金属の大部分をアップセット工程で突合せ、面外に排出してしまうので、溶融金属に溶解した窒素の影響は軽微であり、通常では問題とならないことが分かった。
前記検討におけるArガスの代わりにN2ガスを用い、N2ガスを噴射しフラッシュバット溶接を行ったところ、Arガスの時と変わらぬ良好な溶接品質が得られることを確認した。
図8に、クランプインサートにシールドガス供給孔を有し、クランプダイガクランプインサート前面(シールドガス供給孔のある面)から後方(鋼板長手方向で、鋼板突合せ部と反対方向)に配置された場合の例を示す。
図8(a)に示す電極形状1は、十分な厚みを有するクランプインサート下部(鋼板側)にシールドガス供給孔を設置するものである。このとき、クランプ部材前面は、クランプインサートの前面(シールドガス供給孔のある面)となる。
図8(b)に示す電極形状2はクランプインサート上部に(クランプダイ側)に大気巻き込み防止用の衝立(板状物)を設置するシールド電極を示す図である。クランプインサートの厚みを確保することが困難な場合に有効である。このとき、クランプ部材前面は、クランプインサートの前面と衝立(板状物)とで形成される面となる。
図8(c)の電極形状3はクランプインサート下面(鋼板側)に溝状のシールドガス供給孔を設置するものである。シールドガス供給孔が鋼板クランプ面に接しているのでHLが小さくなり少量のガス流量でのシールド性確保が可能となる。
また、クランプ部材前面は、鋼板に垂直な面である必要はない。クランプ部材前面と鋼板のなす角θ(図9)は、直角または鋭角であることが望ましい。鈍角になると、上方に広がるため、大気を巻き込み易くなるからである。また、あまり鋭角すぎても対向するクランプ部材が接触しないようにすることが必要である。従って、60°≦θ≦90°以下とすることが望ましい。
実施例について説明する。評価した被溶接材は、A:400MPa級の軟鋼(板厚6mm)、およびB:780MPa級のハイテン材(板厚3mm)を用いて鋼板の突合せ溶接を行った。溶接条件はフラッシュ電圧8V、フラッシュ時間7〜10秒、フラッシュ代15〜30mm、アップセット量3mmとした。なお、アプセット前のクランプインサート間隔DDは、780MPa級のハイテン材の場合12〜18mm、400MPa級の軟鋼の場合25〜30mmとした。
シールドガス供給方法は、図8(a)に示すType1、および図8(b)に示すType2の方式とした。鋼板上下のクランプインサートは同じ形状とし、シールドガス流量も同じ流量で評価した。シールドガス流量は鋼板上下面片側当たりのガス流量を表記した。
表1に結果を示す。なお溶接部の品質は、曲げ試験(曲げ半径6mm)を行い、溶接部の割れの有無にて評価した。表1のNo.1〜10は本発明の実施例で、比較的少ないシールドガス流量で良好な溶接品質示した。特にType2のクランプインサートを使用した場合はHLが5mmと小さいため、少量のシールドガス流量でも良好な溶接品質となった。
表1のNo.11〜15は比較例の試験結果を示す。No.11はHUが小さく大気が巻き込まれた結果、溶接部の曲げ試験にて割れが発生した。No.12、13はともにはシールドガス流量が少なく不活性ガスでの置換が不十分であったため割れが発生した。No.14は本発明の請求項を満たすクランプインサート形状、シールドガス流量であるが、シールドガスに5%酸素混合のアルゴンを用いたため溶接部の酸化が進行し割れが発生した。No.15はシールドガスを使用しなかったため溶接部に割れが発生した。
Figure 2011212719
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明の実施の態様は、前記した態様に限らず、その要件を満たせば、いかなる態様であっても問題ない。また、鉄鋼業における鋼板の突合せ接合への適用を例として検討したが、フラッシュバット溶接は鉄鋼用途に限らず、多種の産業分野で活用されているため、鉄鋼業での適用に限らず、フラッシュバット溶接を活用している産業であれば、本発明を容易に適用できることは言うまでもない。
本発明は、フラッシュバット溶接において利用することができる。フラッシュバット溶接は、鉄鋼の薄鋼板の製造に適用されているだけでなく、自動車用ホイールの溶接にも適用されており、広く産業上に利用することができる。
1 鋼板
2 溶接部(鋼板の突合せ部)
3 クランプインサート
4 クランプダイ
5 シールドガスの噴射状況
6 シールドガス供給孔
7 大気の巻き込み状況

Claims (6)

  1. 鋼板表裏面を挟み込むクランプ部材の前面からシールドガスを供給する鋼板のフラッシュバット溶接方法において、下記式(1)及び式(2)を満足するクランプ部材を、少なくとも鋼板の一方の面に取り付けることを特徴とする鋼板のフラットバット溶接装置。
    HU[mm]≧0.66×DD[mm] 式(1)
    FS[L/min]≧HL[mm]×DW[mm]×DD[mm]/2500 式(2)
    ここで、
    HL:鋼板表面に垂直方向における、鋼板の表面からシールドガス供給孔端部までの最大距離
    HU:鋼板表面に垂直方向における、シールドガス供給孔端部から前記クランプ部材の前面の端部までの最小距離
    DW:鋼板幅方向における、クランプ部材の幅
    DD:鋼板長手方向における、対向するクランプ部材の間隔
    FS:鋼板の前記一方の面側のシールドガス流量
  2. 前記HLが以下の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の鋼板のフラッシュバット溶接装置。
    HL[mm]≦ 450/DD[mm]
  3. 前記シールドガス供給孔が、前記クランプ部材の鋼板との接触面上にあることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板のフラッシュバット溶接装置。
  4. 前記クランプ部材が、少なくともクランプインサートとクランプダイで構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板のフラッシュバット溶接装置。
  5. 前記クランプ部材が、クランプインサートのシールドガス供給孔のある面と同一方向の面を形成するよう、前記クランプインサートの上部に板状物を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼板のフラッシュバット溶接装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋼板のフラッシュバット溶接装置を使用することを特徴とする鋼板のフラッシュバット溶接方法。
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