以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るPONシステムの概略構成を示すブロック図である。
図1を参照して、PONシステム301は、局側装置201と、光ファイバであるN本のPON回線1〜N(203−1〜203−N)と、N個の光カプラ204−1〜204−Nと、複数の宅側装置(ONU)202とを備える。局側装置201は、光回線ユニット(以下、OSU(Optical Subscriber Unit)とも称する)1〜N(12−1〜12−N)と、集線部13と、局側装置201の全体的な制御を行なう制御部11とを含む。ここで、Nは2以上の整数である。また、宅側装置から上位ネットワーク(以下「アップリンク」とも称する。)への方向を上り方向と称し、アップリンクから宅側装置への方向を下り方向と称する。
ここでは、PONシステム301において、各PON回線は1ギガビット/秒の通信速度を実現するEPONであるGEPONに対応しており、アップリンクは10ギガビット/秒の通信速度を実現するイーサネット(登録商標)に対応すると仮定して説明する。また、MPCPフレームによってONUの登録、離脱、ONUへの帯域割当、およびONUからの帯域要求などが行なわれると仮定して説明する。
局側装置201は、GEPONを複数回線収容し、これらの回線からのデータを1本または少数の通信回線を有するアップリンクに多重する。また、局側装置201は、アップリンクの上り帯域を各PON回線すなわち各宅側装置に割り当てる。また、1本のPON回線には1または複数のONUが接続される。
具体的には、局側装置201は、N本のPON回線1〜Nに接続され、このN本のPON回線を終端する。各OSU(通信部)は、PON回線に対応して設けられ、対応のPON回線に接続された1または複数のONUとフレームを送受信する。PON回線1〜Nは、光カプラ204−1〜204−Nにそれぞれ接続されており、これらの光カプラを介して各ONU202に接続されている。
集線部13は、複数のOSU経由で各ONUから受信した上りフレームをアップリンクへ送信する。具体的には、集線部13は、OSU1〜N(12−1〜12−N)からの上りフレームを多重してアップリンクに送信するとともに、アップリンクから受信した下りフレームを適切なOSUに振り分ける処理を行なう。
図2は、本発明の実施の形態に係る局側装置におけるOSUの構成を示すブロック図である。
図2を参照して、OSU12は、集線IF(Interface)部31と、制御IF部32と、受信処理部33と、送信処理部34と、PON送受信部35と、PON制御部(回線制御部)36と、上りフレームを蓄積するFIFO37と、下りフレームを蓄積するFIFO38とを含む。
PON送受信部35は、PON線路の親局側起点として、対応のPON回線である1本の光ファイバと接続される。PON送受信部35は、この光ファイバを介して各ONUと双方向通信が行なえるように、特定の波長、たとえば1310nm帯の上り光信号を受信し、電気信号に変換して受信処理部33に出力するとともに、送信処理部34から出力される電気信号を別波長、たとえば1490nm帯の下り光信号に変換して送信する。
受信処理部33は、PON送受信部35から受けた電気信号からフレームを再構成するとともに、フレームの種別に応じてPON制御部36またはFIFO37にフレームを振り分ける。具体的には、ユーザフレームをFIFO37に出力し、制御フレームをPON制御部36に出力する。
また、受信処理部33は、どのロジカルリンクからフレームをいつ受信するかを示すグラント情報を送信処理部34から受けて、バースト受信を支援するための制御信号をPON送受信部35へ出力してもよい。また、受信処理部33は、このグラント情報を受けて、当該グラント情報に示されていない受信フレームをフィルタリングする、すなわち廃棄するようにしてもよい。また、受信処理部33は、MPCPフレームに対して、受信時のタイムスタンプを上書きして出力するようにしてもよい。
集線IF部31は、FIFO37に蓄積された上りフレームを集線部13へ出力する。また、集線IF部31は、集線部13からフレームを受けると、当該フレームが通常のデータフレームである場合にはFIFO38に出力し、当該フレームが制御フレームである場合にはPON制御部36へ出力する。
集線IF部31は、PON制御部36から制御フレームを受けた場合には、FIFO37からのフレーム列の合間において、当該制御フレームをFIFO37からのフレームよりも優先して集線部13へ出力する。
送信処理部34は、FIFO38またはPON制御部36が送信すべきフレームを有する場合、優先順位に従ってそのフレームを受け取り、PON送受信部35に出力する。このとき、送信処理部34は、MPCPフレームに対して、送信時のタイムスタンプを上書きして出力するようにしてもよい。
PON制御部36は、MPCPおよびOAMなど、PON回線の制御および管理に関する局側処理を行なう。すなわち、PON回線に接続されている各ONUとMPCPメッセージおよびOAMメッセージをやりとりすることによって、ONUの登録、離脱および帯域割当を含めた上りアクセス制御、ならびにONUの運用管理などを行なう。また、PON制御部36は、各ONUからのレポート情報だけでなく、集線部13からの帯域割当情報に基づいて帯域割当を行なう。この処理の詳細は後述する。
制御IF部32は、制御部11からの指示に基づいて、集線IF部31、受信処理部33、送信処理部34、およびPON制御部36への設定を行ない、これら各ユニットの状態を制御部11に通知する。また、これら各ユニットに異常が発生した場合は、制御部11からの指示に依らず、異常が発生したユニットの状態を制御部11に通知する。PON送受信部35への設定および状態通知は、受信処理部33を経由して行なわれる。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置における集線部の構成を示すブロック図である。
図3を参照して、集線部13は、アップリンク送受信部51と、デマルチプレクサ52と、集線制御部53と、制御IF部54と、マルチプレクサ55とを含む。
アップリンク送受信部51は、アップリンクとのインタフェースを有する。具体的には、アップリンク送受信部51は、アップリンクから信号を受信すると当該信号からフレームを組み立て、当該フレームをデマルチプレクサ52へ出力する。また、アップリンク送受信部51は、マルチプレクサ55から出力されるフレームを信号に変換してアップリンクに送信する。
デマルチプレクサ52は、アップリンク送受信部51からフレームを受け取ると、当該フレームがどのOSUに関係するかを判断し、該当するOSUへ出力する。ここで、出力先のOSUは通常一つであるが、マルチキャストを行なう場合には、当該フレームはコピーされて複数のOSUに出力される。デマルチプレクサ52は、アップリンク送受信部51から受け取ったフレームの種別がフロー制御等の制御フレームである場合には、当該制御フレームを集線制御部53へ出力する。
また、デマルチプレクサ52は、集線制御部53から制御フレームを受け取ると、宛先のOSUへ当該制御フレームを出力する。ここで、集線制御部53は、MPCP時刻カウンタに相当するローカル時刻を自ら生成している。そして、デマルチプレクサ52は、制御フレームを各OSUへ出力する際に、集線制御部53のローカル時刻を参照してタイムスタンプとして当該制御フレームに含める。
デマルチプレクサ52は、アップリンクの下り帯域と、集線部13および各OSU間の下り帯域の総和とに差異がある場合には、デマルチプレクサ52内にバッファ(キュー)を設け、速度差を吸収する構成であってもよい。この場合、デマルチプレクサ52は、キューを優先度別に複数含み、優先度の高いキューのフレームから順番に出力する。また、デマルチプレクサ52は、各キューの状態を集線制御部53に通知する。
マルチプレクサ55は、OSUから上りフレームを受け取ると、当該上りフレームがデータフレームである場合にはアップリンク送受信部51へ出力し、当該上りフレームが制御フレームである場合には集線制御部53へ出力する。マルチプレクサ55は、OSU1〜Nからの上りフレームを合流させる。
ここで、PONシステム301では、集線部13およびOSU間の上り帯域の総和よりアップリンクの上り帯域の方が小さい。すなわち、OSU1〜Nから集線部13へ上りフレーム(通信信号)を送信するために使用可能な帯域の総和が、集線部13からアップリンクへ通信信号を送信するために使用可能な帯域よりも小さい。このため、集線部13における上りフレームの瞬間的な輻輳を避けることは困難であり、マルチプレクサ55は、上りフレームを一時保存するためのバッファ(キュー)を含み、このキューによって輻輳を吸収する。マルチプレクサ55は、このキューを優先度別に複数含み、優先度の高いキューにおける上りフレームから順番に出力する。
また、マルチプレクサ55は、各キューの状態を集線制御部53に通知する。マルチプレクサ55は、集線制御部53から送信フロー制御フレームを受け取ると、当該送信フロー制御フレームを他の上りフレームよりも優先してアップリンク送受信部51へ出力する。また、マルチプレクサ55は、集線制御部53から受信フロー制御フレームを受け取ると、ポーズ対象の優先度を判断し、ポーズ対象の優先度に対応するキューからの上りフレーム出力を指定期間停止する。なお、マルチプレクサ55は、すべての優先度をポーズ対象とする場合もある。
集線制御部53は、各OSUから受けた制御フレームに記された集約レポート情報を参照して、OSU単位での大局的な上り帯域割当処理を行なう。この上り帯域割当処理の詳細は後述する。そして、集線制御部53は、帯域割当結果である集約グラント情報を各OSUに通知するための制御フレームを生成し、デマルチプレクサ52へ出力する。
また、集線制御部53は、デマルチプレクサ52からフロー制御フレームを受けた場合、それを受信フロー制御フレームとしてマルチプレクサ55へ出力する。
さらに、集線制御部53は、デマルチプレクサ52内のバッファの蓄積量があらかじめ設定された閾値を超えた場合には、下りフローを一時停止するためのフロー制御フレームを作成し、送信フロー制御フレームとして、デマルチプレクサ52へ出力する。この場合、デマルチプレクサ52は、閾値を優先度キュー別に有している。集線制御部53からの送信フロー制御フレームにより、停止すべき優先度が指定される。
制御IF部54は、制御部11からの指示に基づいて、アップリンク送受信部51、マルチプレクサ55、デマルチプレクサ52および集線制御部53への設定を行ない、これら各ユニットの状態を制御部11に通知する。また、これら各ユニットに異常が発生した場合には、制御部11からの指示に依らず、異常が発生したユニットの状態を制御部11に通知する。
[動作]
次に、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置が帯域割り当てを行なう際の動作について図面を用いて説明する。本発明の第1の実施の形態では、局側装置201を動作させることによって、本発明の第1の実施の形態に係る帯域割り当て方法が実施される。よって、本発明の第1の実施の形態に係る帯域割り当て方法の説明は、以下の局側装置201の動作説明に代える。なお、以下の説明においては、適宜図1〜図3を参照する。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るPONシステムにおける局側装置および宅側装置間のデータの流れ、ならびに局側装置における帯域割り当て処理のシーケンスを示す図である。図4において、OSUiは局側装置201におけるi番目のOSUを示し、ONUixはOSUiと通信を行なうx番目のONUを示し、OSUkは局側装置201におけるk番目のOSUを示し、ONUkyはOSUkと通信を行なうy番目のONUを示す。i,kは2以上の整数であり、x,yは1以上の整数である。
図4を参照して、各OSUは、OAM通信により、対応のPON回線に接続された各ONUに最低保証帯域を示す後述する閾値をあらかじめ設定する。この最低保証帯域は、各ONUで異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。
そして、各OSUは、登録済のONUから帯域要求を記したレポートフレームを連続して送信させ、その後、帯域要求のあったONUに1または複数のデータフレームを送信させる。各OSUは、ONUにレポートフレームを送信させる前に、ONUごとに一つのゲートフレームを作成して対応のONUへ送信することにより、ONUにレポートフレームの送信を指示する。また、各OSUは、ONUにデータフレームを送信させる場合には、1つのゲートフレームによってレポートフレームおよびデータフレームの送信を指示する。以後、各OSUは、これらの動作を予め決められた周期すなわち帯域割り当て周期で繰り返す。
ONUは、たとえば、レポートフレームAに記されるレポート量には、ゲートフレームAおよびそれ以前のゲートフレームにおいてグラントされたすなわち送信許可されたフレームは含めない。
各OSUは、登録済のONUからレポートフレームを受け取ると、集約レポート(総合要求情報)を作成し、制御フレームとして集線制御部53へ出力する。
集線制御部53は、各OSUから集約レポートを受け取ると、各OSUからの集約レポートに記された帯域要求量、およびアップリンクの総帯域を勘案して、OSU単位の帯域配分を示す集約グラントを作成する。集線制御部53は、集約グラント(総合割り当て情報)を制御フレームとして各OSUへ出力する。
なお、この集約グラントには、次の帯域割当周期の開始時刻と、次の帯域割当周期においてOSUが集線部13へデータを送出可能な時刻および期間とが記されている。前述のように、デマルチプレクサ52が集線制御部53のローカル時刻を参照することにより、OSUへの制御フレームには、デマルチプレクサ52から各OSUへ出力された時のタイムスタンプが記されている。これにより、各OSUは、集約グラントに記された時刻の情報を、自身のMPCP時刻を基準に読み替えることができる。したがって、集線制御部53の帯域割当およびすべてのOSUの帯域割当は同期して行なわれる。各OSUは、集約グラントを次の帯域割当周期に反映させる、すなわちゲートフレームBに反映させる。
[PON制御部36の帯域割当処理]
OSUのPON制御部36は、制御部11からOSUの制御IF部32を介して、帯域割当周期T、ONUjの最低保証帯域minBjおよびデフォルトでの割当量dfLdが設定されている。ここで、jは、ONUの番号を表し、1〜Mの値をとる。Mは1以上の整数である。
ONU202は、OSUへ送信するためのフレームを一時保存する複数のキューを含む。これらのキューには、それぞれ優先度が設定される。そして、ONU202は、これらのキューをまとめたキューセットについて、レポートフレームにキューセット1およびキューセット2の二つのレポートを記す。ここで、ONU202は、キューセット1のレポート(第1の割り当て要求)には実際に送信したいキューセットのデータ長を記し、キューセット2のレポート(第2の割り当て要求)にはOSUから通知された閾値を上限とし、OSUへ送信すべきフレームの区切りに合ったデータ長すなわちフレームの送信単位に従ったデータ長を記す。なお、レポート量は、たとえばPON回線の占有時間として表される。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置におけるPON制御部が帯域割り当て処理を行なう際の動作手順を示すフローチャートである。図5は、PON制御部36が帯域割当周期ごとに行なう帯域割当処理を示している。
図5を参照して、この帯域割り当て処理は、タイマ1終了を示す割込みによって起動される。そして、PON制御部36は、レポートテーブルRT、集約レポート量agREP1、集約レポート量agREP2、およびキューセット1選択ビットマップQS1bmをクリアする。
次に、PON制御部36は、ONUからのレポートフレームが到着するまで待機する(ステップS2)。
次に、受信処理部33が、対応のPON回線に接続された1または複数のONUから対応のPON回線における帯域の割り当て要求すなわちレポートフレームを受け、これをPON制御部36へ出力する。PON制御部36は、ONUからのレポートフレームが到着すると(ステップS2でYES)、レポート量を積算する(ステップS4)。
より詳細には、レポートフレームがONUjから送信されたものとすると、PON制御部36は、レポートフレームに記されたキューセット1のレポート量REP1jを集約レポート量agREP1に加算し、キューセット2のレポート量REP2jを集約レポート量agREP2に加算する。すなわち、以下の式のような処理を行なう。
agREP1←agREP1+REP1j
agREP2←agREP2+REP2j
ここで、「←」は、右側の値を左側の変数に代入する処理を示す。また、前述のように各キューセットのレポート量がONUにおける複数のキュー別に分けられている場合には、各キューの合計を加算する。
そして、PON制御部36は、レポート量REP1jおよびレポート量REP2jをレポートテーブルRTのエントリjに記録し、ONUからのレポートフレームが到着するまで再び待機する(ステップS2)。
PON制御部36は、ONUからのレポートフレームを待っている状態(ステップS2でNO)において、現在時刻がレポート受信終了時刻Treを経過すると(ステップS6でYES)、集約レポート1(第1の総合要求情報)すなわち集約レポート量agREP1および集約レポート2(第2の総合要求情報)すなわち集約レポート量agREP2を記した制御フレームを作成し、集線IF部31経由で集線部13へ出力する(ステップS8)。
PON制御部36は、集線IF部31を介した集線部13からの集約グラントの記された制御フレームの到着、または、集約グラントの受信終了時刻Tgeの到来を待つ(ステップS10およびステップS12)。
PON制御部36は、集約グラントの記された制御フレームが到着した場合には(ステップS10でYES)、その到着時刻をT1として記録する。ここで、集線部13からの集約グラントの記された制御フレームには、後述するように、次の帯域割当周期の開始時刻pTs、データ送信終了時刻pTde、集約グラント量であるデータ送信許可時間Ld、およびタイムスタンプTSが記されている。ここで、時刻pTsは、すべてのOSUにわたって、ONUからのデータフレーム用バーストを最初に受信する時刻に相当する。
そして、PON制御部36は、時刻pTsおよび時刻pTdeを自身のMPCP時刻を基準にした時刻である時刻Tsおよび時刻Tdeにそれぞれ変換する。すなわち、以下の式のような処理を行なう。
Ts←pTs+T1−TS
Tde←pTde+T1−TS
一方、PON制御部36は、集約グラントの記された制御フレームが到着せずに(ステップS10でNO)、現在時刻が時刻Tgeを経過した場合には(ステップS12でYES)、異常用処理を行なう(ステップS14)。すなわち、帯域割り当て周期の開始時刻Tsおよびデータフレーム送信終了時刻Tdeをデフォルト設定する。すなわち、以下の式のような処理を行なう。
Ts←Ts+T
Ld←デフォルト値dfLd
Tde←Ts(上記式で更新後のTs)+T
次に、PON制御部36は、集約グラント量Ldと各ONUの最低保証帯域の総和とを比較する(ステップS18)。すなわち、PON制御部36は、変数Lna←Ld−agREP2とし、Lna>0であるか否かを判定する。
PON制御部36は、集約グラント量の方が各ONUの最低保証帯域の総和よりも大きい場合には(ステップS18でYES)、集約グラント量の余剰分を最低保証帯域に応じて各ONUに配分する(ステップS20)。
より詳細には、PON制御部36は、キューセット1選択ビットマップQS1bmをクリアする。そして、PON制御部36は、レポート量REP1j>レポート量REP2jであるすべてのONUjに対し、累積割当量acGjと累積割当周期acTjの比を求め、これを平均割当帯域avBjとする。そして、PON制御部36は、平均割当帯域avBjと最低保証帯域minBjの比を求め、この比の小さい順に以下のような余剰帯域割り当て処理を繰り返す。ここでは、処理対象のONUをjとする。平均割当帯域avBjを用いることにより、統計的に割り当て量の少ないONUに余剰帯域が割り当てられる。
余剰帯域割り当て処理:
{キューセット1選択ビットマップQS1bmのjに対応するビットを1にする。
次に、Lna←Lna+REP2j−REP1jとする。
Lna≦0の場合には、REP1j←REP1j+Lnaとして、レポートテーブルRTのREP1jを更新し、余剰帯域割り当て処理を終了する。
Lna>0の場合には、jを次の順番のものに更新し、余剰帯域割り当て処理の先頭に戻る。}
一方、PON制御部36は、集約グラント量が各ONUの最低保証帯域の総和以下である場合には(ステップS18でNO)、キューセット1選択ビットマップQS1bmの各ビットを0にクリアする。この場合、各ONUには、たとえば、集約グラント量に制限されることなく各ONUの最低保証帯域が割り当てられる。
次に、PON制御部36は、各ONUのレポート送信開始時刻Trsを設定する(ステップS22)。
より詳細には、PON制御部36は、ONU番号、レポートフレーム用グラントが示す開始時刻Trsおよびグラント長GLr、ならびにデータフレーム用グラントが示す開始時刻Tdsおよびグラント長GLdを要素とする構造体GATEを、登録されているONU分作成する。そして、PON制御部36は、これらの構造体GATEをゲートフレームの送出順に並べたGATEリストを作成する。ここで、レポートフレームのグラント長GLrは固定値である。
そして、PON制御部36は、GATEリストにおける最後のエントリに対応するレポートフレーム用バーストの最後尾の到着時刻が、次の帯域割当周期の開始時刻Tsにバースト間のオーバヘッド時間を隔てて一致するよう、当該エントリのレポート送信開始時刻Trsを設定する。そして、PON制御部36は、GATEリストを順次逆方向にトラバースしながら、すなわちGATEリストの先頭エントリへ向かって移動しながら、すべてのエントリのレポート送信開始時刻Trsを設定する。このとき、PON制御部36は、各ONUからのレポートフレーム用バーストが最小のオーバーヘッドで時間軸上に稠密に並ぶように各ONUのレポート送信開始時刻Trsを設定する。これにより、データフレーム送信用の帯域をできるだけ多く確保することができる。
次に、PON制御部36は、GATEリストの先頭までトラバースすると、各ONUのデータフレーム用バースト送信開始時刻Tdsおよびデータフレームのグラント長GLdを設定する(ステップS24)。
より詳細には、PON制御部36は、バースト終了時刻Teをデータ送信終了時刻Tdeに初期化する。そして、PON制御部36は、GATEリストを最後のエントリから逆方向にトラバースしながら、すべてのエントリの時刻Tdsおよびグラント長GLdを設定する。
ここで、PON制御部36は、ステップS20において最低保証帯域を超えるグラント量が設定されたONUであるか否かを考慮しながら、ONUのグラント長GLdを求める。すなわち、PON制御部36は、現在参照しているエントリのONU番号をjとすると、キューセット1選択ビットマップQS1bmのjに対応するビットを参照し、このビットが0のとき、レポートテーブルRTのレポート量REP2jを選択し、このビットが1のとき、レポートテーブルRTのレポート量REP1jを選択する。そして、PON制御部36は、選択したレポート量が0でない場合には、当該レポート量にバーストオーバーヘッドを加味することによってグラント長GLdを求める。
なお、時刻Tdsは、グラント長GLdが示すデータフレーム用バーストの最後尾の到着時刻をバースト終了時刻Teに一致するように配置した場合のデータフレーム用バースト送信開始時刻である。PON制御部36は、GATEリストをトラバースする際に、グラント長GLdが0でない場合にバースト終了時刻Teを更新する。
次に、PON制御部36は、GATEリストを先頭エントリまでトラバースすると、次の帯域割当周期の開始時刻Tsと最初のエントリのデータフレーム用バースト送信開始時刻Tdsとを比較する。PON制御部36は、時刻Tdsが時刻Tsより早い場合、すなわちデータフレーム送信期間がレポートフレーム送信期間と重なってしまう場合には、時刻Tdsを時刻Tsに遅らせる。この時刻Tdsをずらした時間をdTとすると、GATEリストのすべてのエントリの時刻TdsをdTだけ遅らせる。すなわち、PON制御部36は、データフレーム送信期間をレポートフレーム送信期間と重ならないように後ろにずらす。なお、この移動によってデータフレーム用バーストの到着時刻がデータフレーム送信終了時刻Tdeを超える場合には、PON制御部36は、データフレームの送信を一部中止する。すなわち、PON制御部36は、当該バーストの到着時刻が時刻Tdeを超えないように、当該エントリのグラント長GLdを減少させ、以降のエントリのグラント長GLdを0に変更する。
次に、PON制御部36は、各ONUへのゲートフレームを生成する(ステップS26)。
より詳細には、PON制御部36は、GATEリストを順にトラバースして、一つのエントリごとにゲートフレームを生成し、送信処理部34へ出力する。すなわち、PON制御部36は、このエントリのONU番号をjとすると、ONUjとの往復伝播時間RTTテーブルにおける往復伝播時間RTTjを参照する。PON制御部36は、ゲートフレームのレポート強制フラグを有効にし、レポートフレーム用グラントのONUへの送信開始時刻をTrs−RTTjとし、グラント長をGLrとする。グラント長GLdが0でない場合には、データフレーム用グラントを有効にし、データフレーム用グラントのONUへの送信開始時刻をTds−RTTjとし、グラント長をGLdとする。
次に、PON制御部36は、各ONUの累積割当量および累積割当周期を更新する(ステップS28)。
より詳細には、PON制御部36は、累積割当量acGjをグラント長GLd分加算し、バーストオーバーヘッド分減算することで更新する。そして、PON制御部36は、累積割当周期acTjに1を加える。さらに、PON制御部36は、レポートテーブルRTのREP1jが0であった場合、すなわちONUjからの帯域割り当て要求がなかった場合には、累積割当量acGjおよび累積割当周期acTjを0にする。
次に、PON制御部36は、次の割り当て周期のために各時刻変数を更新する(ステップS30)。
より詳細には、PON制御部36は、レポート受信終了時刻Treに次の帯域割当周期の開始時刻Tsを代入する。さらに、PON制御部36は、時刻Treを基準に、集約レポート生成時間、集線部13での処理時間、および集約グラント送信時間を考慮し、集約グラントを受信し終えるべき時刻Tgeを求める。そして、PON制御部36は、GATEリストの最初のエントリのレポート送信開始時刻Trsを参照し、その直前に終了割込が入るようにタイマ1をセットし、スリープする。
ここで、ONUの登録等の処理について説明する。PON制御部36は、間欠的にディスカバリ期間を設けるとともに、ディスカバリ期間に対応したディスカバリゲートフレームをPON回線に送信する。そして、PON制御部36は、ONUからレジスタ要求フレームを受信する。さらに、PON制御部36は、当該ONUへレジスタフレームおよびゲートフレームを送信する。最後に、PON制御部36は、当該ONUからレジスタ確認フレームを受信することにより、当該ONUを登録する。
以後、PON制御部36は、図5において説明したように、ゲートフレーム送信およびレポートフレーム受信を当該ONUと繰り返すことによって、当該ONUに上り帯域を割当てるとともに、他のONUが送信するフレーム(通信信号)と衝突しないようなアクセス制御を行なう。
PON制御部36は、ONUjからMPCPフレームを受信すると往復伝播時間RTTjを測定し、RTTテーブルのエントリjに記録する。さらに、PON制御部36は、登録されているONUとの間でOAM通信を行なうことにより、ONUの診断、設定および状態通知などを行なう。
このOAM通信の一例として、PON制御部36は、キューセット2のレポート量の閾値QTjをONUjに設定する。この閾値QTjは、帯域割当周期Tにおいて最低保証帯域minBjを達成するために送信されるべきデータ長とする。ただし、閾値QTjがONUから送信されるフレームの最大長より小さい場合には、閾値QTjをフレームの最大長相当の値とする。これにより、ONUにおいて送信すべき最大長のフレームが送信できなくなってしまうことを防ぐことができる。
PON制御部36は、ONUjからデレジスタフレームを受信した場合、所定時間ONUjからレポートフレームを受信しなかった場合、または往復伝播時間RTTjの変動が許容値を超えた場合には、ONUjの登録を抹消する。
以上のようなONUの登録および離脱ならびにOAM通信に関してONUとやりとりされるフレームはアップリンクへは流れない。したがって、これらに関する通信のための帯域は集約グラントの範囲外である。このため、PON制御部36は、これらに関する上り通信を、集約グラントの非対象期間、すなわちデータフレームの非送信期間であって、レポートフレームの非通信期間に割り当てる。なお、PON制御部36は、長い期間を割り当てる必要がある場合には、集約グラントの対象期間を含めて割り当ててもよい。
また、OSUの初期状態においては、OSUは、集約レポートを集線部13へ通知しなくても、帯域割り当て周期のたびに、データ送信許可時間Ld=0の記された集約グラントを集線部13から受け取る。OSUは、集約グラントから次の帯域割当周期の開始時刻Tsを求め、レポート受信終了時刻Treに代入する。さらに、OSUは、レポート受信終了時刻Treを基準に、集約レポート生成時間、集線部13での処理時間、および集約グラント送信時間を考慮し、集約グラントを受信し終えるべき時刻を求め、これを集約グラントの受信終了時刻Tgeとする。ここで、OSUの初期状態においては、ONUが登録されていないので、次の帯域割当周期の開始時刻Tsの直前に終了割込みが入るようタイマ1をセットし、スリープする。
なお、図5に示すフローチャートのステップS14において、PON制御部36は、現在時刻が時刻Tgeを経過した場合には、データ送信許可時間Ldをデフォルト値dfLdに設定したが、これに限定するものではない。PON制御部36は、直前の帯域割当周期におけるLd、または過去の帯域割当周期におけるLdのトレンド値などを用いてもよい。トレンド値としては、直近の複数周期におけるLdの平均値などが考えられる。
[集線制御部53の帯域割当処理]
集線制御部53は、制御部11によって集線部13の制御IF部54を介して、帯域割当周期T、アップリンクの総帯域upB、実装されているOSUiの集合I(i∈I)、PON回線iの総ユーザ帯域ponBi、集約グラント長のデフォルト値dfLd、および各PON回線におけるレポート収集期間(上限値)repGLが設定されている。ここで、PON回線の総ユーザ帯域とは、1帯域割当周期当りの典型的な総オーバーヘッド時間を、帯域割当周期Tから引いた固定値である。このオーバーヘッド時間は、MPCPおよびOAMなどのPON制御用通信、ならびにバースト間のオーバーヘッドを考慮して決められる。また、アップリンクの総帯域upBは、時間Tすなわち1帯域割当周期の間にアップリンクへ送信しうる総データ量を、PON回線速度で除した値である。各OSUからマルチプレクサ55を経由して出力される集約レポートフレームは、集線部13における集約レポートキューに蓄積される。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置における集線制御部が帯域割り当て処理を行なう際の動作手順を示すフローチャートである。図6は、集線制御部53が帯域割当周期ごとに行なう帯域割当処理を示している。
まず、集線制御部53は、帯域割り当ての初期処理を行なう(ステップS52)。より詳細には、集線制御部53は、OSU−ONU間の往復伝播時間RTTの最大値と、集線制御部53、OSUおよびONUの処理時間と、マージンとを現在時刻に加えたものを帯域割当の開始時刻pTsとして設定する。そして、集線制御部53は、OSUi(i∈I)に対して、集約グラントおよびそれを記した制御フレームを作成し、当該制御フレームをデマルチプレクサ52へ出力する。このとき、集約グラントの各パラメータを以下の式のように設定する。
pTs←Ts
pTde←pTs+dfLd
Ld←dfLd
そして、集線制御部53は、次の帯域割当周期の開始時刻Tsの直前に終了割込が入るようタイマ1をセットし、スリープする。
集線制御部53は、タイマ1終了を示す割込みが発生すると、集約レポートテーブルagRTと、集約レポート受信済を表すOSUのビットマップactOSUbmとをクリアする。そして、集線制御部53は、集約レポートキューに集約レポートフレームが存在するか否かを確認する(ステップS54)。
集線制御部53は、集約レポートキューに集約レポートフレームが存在する、すなわち集約レポートキューにエントリがある場合には(ステップS54でYES)、集約レポートキューの先頭の集約レポートフレームを取り出す(ステップS58)。
集線制御部53は、取り出した集約レポートフレームが示すレポート量を記録する(ステップS60)。より詳細には、集線制御部53は、集約レポートフレームがOSUiから送られたものであるとすると、集約レポート量agREP1iおよび集約レポート量agREP2iを集約レポートテーブルagRTのエントリiに記録する。また、集線制御部53は、ビットマップactOSUbmのOSUiに対応するビットをセットする。
次に、集線制御部53は、局側装置201に実装されているすべてのOSUから集約レポートフレームを受信したか否かを判定する(ステップS62)。より詳細には、集線制御部53は、局側装置201に実装されている各OSUに対応するビットマップactOSUbmのビットがすべて1であるか否かを判定する。集線制御部53は、集約レポートフレームを受信していないOSUが存在する場合には(ステップS62でNO)、集約レポートキューに集約レポートフレームが存在するか否かを再び確認する(ステップS54)。
集線制御部53は、集約レポートキューに集約レポートフレームが存在しない場合であって(ステップS54でNO)、現在時刻が帯域割り当て終了時刻pTsを経過していないときには(ステップS56でNO)、集約レポートキューに集約レポートフレームが存在するか否かを再び確認する(ステップS54)。
集線制御部53は、局側装置201に実装されているすべてのOSUから集約レポートフレームを受信した場合(ステップS62でYES)、または集約レポートキューに集約レポートフレームが存在しない場合であって(ステップS54でNO)現在時刻が帯域割り当て終了時刻pTsを経過したときには(ステップS56でYES)、各OSUへの帯域割り当て量Bi(i∈I)をクリアし、未割当帯域rmBにアップリンクの総帯域upBを代入し、ビットマップhgOSUbmにビットマップactOSUbmを代入する。
集線制御部53は、未割当帯域rmBが0ではなく、かつ帯域割り当て量を計算していない実装OSUが存在する場合には(ステップS64でNO)、未計算のOSUの集約レポート量の総和と未割当帯域rmBの比を算出する(ステップS66)。
より詳細には、集線制御部53は、未割当帯域rmBが0でなく、かつビットマップhgOSUbmのいずれかのビットが1である場合には、ビットマップhgOSUbmにおいて1であるビットに対応するすべてのOSUiの集約レポート量agREP2iを合計し、未割当帯域rmBとの比Rを求める。すなわち、以下の式のような処理を行なう。
R←rmB/ΣagREP2i(i∈H、HはhgOSUbmの対応するビットが1であるOSU番号の集合)
次に、集線制御部53は、OSUi(i∈H)への帯域割り当て量Biを算出し、未割当帯域rmBをクリアする(ステップS68)。より詳細には、集線制御部53は、以下の式のような処理を行なう。
Bi←Bi+R×agREP2i(i∈H)
次に、集線制御部53は、i∈Hの範囲で、帯域割り当て量BiをPON回線iの総ユーザ帯域ponBiでクリップし、クリップ分を未割当帯域rmBに蓄積する。すなわち、集線制御部53は、OSUiのPON回線の総ユーザ帯域ponBiよりOSUiへの帯域割り当て量Biが大きい場合には、BiをponBiとし、余剰分を未割当帯域rmBに蓄積する(ステップS70)。より詳細には、集線制御部53は、clpBi←Bi−ponBiとし、clpBiが正の場合には、Bi←ponBiとし、rmB←rmB+clpBiとするとともに、ビットマップhgOSUbmのOSUiに対応するビットをクリアする(i∈H)。
次に、集線制御部53は、i∈Hの範囲で、帯域割り当て量Biをキューセット1の集約レポート量agREP1iでクリップし、クリップ分を未割当帯域rmBに蓄積する。すなわち、集線制御部53は、集約レポート量agREP1iより帯域割り当て量Biが大きい場合には、BiをagREP1iとし、余剰分を未割当帯域rmBに蓄積する(ステップS72)。より詳細には、集線制御部53は、clpBi←Bi−agREP1iとし、clpBiが正の場合には、Bi←agREP1iとし、rmB←rmB+clpBiとするとともに、ビットマップhgOSUbmのOSUiに対応するビットをクリアする(i∈H)。
集線制御部53は、未割当帯域rmBが0であるか、またはすべての実装OSUへの帯域割り当て量を計算した場合、すなわち未割当帯域rmB=0であるか、またはビットマップhgOSUbmのすべてのビットが0である場合には(ステップS64でYES)、各OSUへ集約グラントを出力する(ステップS74)。より詳細には、集線制御部53は、OSUi(i∈I)に対して、集約グラントおよびそれを記した制御フレームを作成し、当該制御フレームをデマルチプレクサ52へ出力する。
このとき、集線制御部53は、集約グラントの各パラメータを、pTs←pTs+T、pTde←pTs(前式で更新後のpTs)+T−repGL、Ld←Biとする。
なお、集線制御部53は、各OSUから出力されるデータフレームの、集線部13への到着タイミングが周期Tにおいてなるべく分散するよう、pTdeを(pTs+Bi+ohB)から(pTs+T−repGL)の範囲で前後させてもよい。ここで、ohBは1バースト当りのオーバーヘッド時間である。
そして、集線制御部53は、次の帯域割当周期の開始時刻pTsの直前に終了割込が入るようにタイマ1をセットし、スリープする。
なお、図6に示すフローチャートにおいては、集線制御部53は、周期Tにおけるアップリンクの未割当帯域がなくなる、すなわちrmB=0となるか、あるいは、すべてのOSUからの帯域要求を満たす、すなわちBi=min(agREP1i、ponBi)(i∈H)となるまで、ステップS66からステップS72の処理を繰り返す構成であるとしたが、これに限定するものではない。集線制御部53は、処理時間の短縮を優先して、上記繰り返しの途中で処理を打ち切ってもよい。この場合、集線制御部53は、アップリンクの未割当帯域rmBを別のルールで配分する。たとえば、集線制御部53は、帯域要求のあった各OSUに対して、集約レポート量agREP1iの帯域を、複数の帯域割当周期にわたって順番に割り当てるようにしてもよい。
また、集線制御部53は、帯域要求が少ないOSUがあることを統計的に勘案し、比Rをα倍(α>1)するようにしてもよい。一方、アップリンク経由で上位装置からフロー制御フレームを受信した場合には、ポーズ期間においてαを小さくするようにしてもよい。
また、PON制御部36は、高優先トラフィックの遅延時間を小さくするために、ONUからのレポートに依らず、固定的な帯域を一部またはすべてのONUに与えてもよい。この場合、PON回線iの総ユーザ帯域ponBiは、この固定帯域を差し引いたものとすればよい。
また、ONUの固定帯域および/または最低保証帯域が小さい場合には、当該ONUに対して毎周期帯域を与える必要がないかもしれない。この場合、OSUは、帯域を与える必要がない周期において、レポートフレームを送出しない構成であってもよい。
また、集線制御部53は、集約グラントにデータ送信終了時刻pTdeを記さなくてもよい。この場合、PON制御部36は、次の帯域割当周期において、レポートフレームの通信期間を除いた期間にデータフレームの送信期間を配置すればよい。
ところで、特許文献1に記載の通信装置では、全親局の割当帯域の総量を制御する手段は存在しない。したがって、この通信装置が、限定された容量を有するアップリンクに接続され、各親局からのアップリンクへのデータを多重する場合、通信装置におけるアップリンクへのデータの輻輳を回避することは困難である。また、特許文献2に記載の局側集線装置では、EPON回線数が多くなると局側集線装置におけるアクセス制御部の処理量が多くなり、割り当てられたサイクル内に処理が終了しなくなってしまう。また、割り当てサイクルを延ばすと、遅延時間が長くなってしまう。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、各OSUにおけるPON制御部36は、対応のPON回線に接続された1または複数のONUから受けたレポートすなわち割り当て要求をまとめた集約レポートを作成して集線部13に通知する。集線部13における集線制御部53は、各PON制御部36から通知された各集約レポート、および上りフレームを送信するためにアップリンクにおいて使用可能な総帯域upBに基づいて、各PON回線における帯域の割り当て量を示す集約グラントを作成して各PON制御部36に通知する。そして、各OSUにおけるPON制御部36は、通知された集約グラントおよび対応のPON回線に接続された1または複数のONUから受けたレポートに基づいて、対応のPON回線における帯域を対応のPON回線に接続された1または複数のONUに割り当てる。
このように、アップリンク総帯域upBを考慮した上で各PON回線における帯域を割り当てる構成により、集線部13における上りフレームの輻輳を回避することができる。これにより、廃棄されるトラフィックが減少するので、ネットワーク全体の効率が向上するとともに、無駄なエネルギー消費を低減することができる。
また、集線制御部53は、局側装置201と通信を行なうすべてのONUの帯域要求に基づいて個々のONUへの帯域割当を行なうのではなく、OSU単位で集約された帯域要求に基づいて、OSUごとに集約した帯域割当を行なう。これにより、局側装置201と通信を行なうすべてのONUへの帯域割り当てを集線制御部53等が一括して行なう構成と比べて局側装置201における処理負荷が分散され、集線制御部53の処理量が少なくなる。したがって、帯域割り当て処理のサイクルを延ばすことなく局側装置201全体として処理可能なPON回線数を増加させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、各PON制御部36は、対応のPON回線に接続された1または複数のONUに閾値QTを設定する。そして、各受信処理部33は、対応のPON回線に接続された1または複数のONUからの閾値QTを上限とした割り当て要求すなわちキューセット2のレポートを受ける。
このような構成により、一部のONUからの突出した帯域要求を制限し、各ONUに最低限の帯域を保証することができるため、アップリンクの上り帯域を各ONUに公平に配分することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、各PON制御部36は、対応のPON回線に接続された1または複数のONUからの閾値QTを上限としないキューセット1のレポートをまとめた集約レポート1と、閾値QTを上限とした1または複数のONUからのキューセット2のレポートをまとめた集約レポート2とを作成する(図5のステップS4)。そして、集線制御部53は、各PON制御部36から通知された集約レポート1が示す割り当て要求量および集約レポート2が示す割り当て要求量、ならびにアップリンク総帯域upBに基づいて集約グラントを作成する。
このように、2種類のレポートを用いて帯域割り当てを行なう構成により、アップリンクの上り帯域をONUへ適切に配分することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、集線制御部53は、各PON制御部36から通知された集約レポート1が示す割り当て要求量および集約レポート2が示す割り当て要求量の小さい方に基づいて各PON回線における帯域の割り当て量を算出する。そして、集線制御部53は、上りフレームを送信するためにアップリンクにおいて使用可能な総帯域が、算出した各PON回線における帯域の割り当て量の総和に対して余る場合には、集約レポート1が示す割り当て要求量が集約レポート2が示す割り当て要求量よりも大きいPON回線(以下、割り当て不足PON回線とも称する。)について算出した割り当て量に、総帯域の余りの全部または一部を加えて集約グラントを作成する(図6のステップS72)。
このように、集約レポート量agREP1および集約レポート量agREP2の小さい方を選択する構成により、最低保証帯域よりも帯域要求量の少ないONUに、過剰に割り当てる帯域を少なくすることができる。さらに、集約レポート量agREP1が集約レポート量agREP2より大きいPON回線に余剰帯域を割り振るので、帯域要求が満たされたONUへさらに過剰に帯域を割り当てることを防ぐことができる。すなわちアップリンクにおいて未使用帯域が発生することを抑制することができる。また、アップリンクの上り帯域の余剰分を帯域要求量の多いONUへ適切に配分することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、集線制御部53は、アップリンク総帯域upBが、算出した各PON回線における帯域の割り当て量の総和に対して余る場合であって割り当て不足PON回線が複数存在するときには、各割り当て不足PON回線について算出した割り当て量に、各割り当て不足PON回線の集約レポート2が示す割り当て要求量の比に基づいて総帯域の余りの全部または一部を割り当て不足PON回線ごとに分けた帯域を加え、集約グラントを作成する(図6のステップS66およびS68)。
このような構成により、アップリンクの上り帯域の余剰分を帯域要求量の多いONUへさらに適切に配分することができ、ONU間のさらなる公平性を実現することができる。
また、特許文献2に記載の技術では、局側集線装置に接続されたすべてのEPON回線の帯域割当処理をアクセス制御部が行なうため、アクセス制御部に障害が発生すると、すべてのEPON回線の上りトラフィックが止まってしまい、障害に対して脆弱である。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、各PON制御部36は、集約レポートを通知してから所定時間経過するまでに集約グラントが通知されない場合には、過去の集約グラントまたは所定値と、対応のPON回線に接続された1または複数のONUから受けたレポートとに基づいて、対応のPON回線における帯域を対応のPON回線に接続された1または複数のONUに割り当てる(図5のステップS14)。
これにより、集線制御部53に障害が発生した場合でも、PON制御部36は、各ONUへの帯域割当を継続することができる。したがって、集線制御部53に障害が発生した場合でも上りデータトラフィックが停止することを防ぐことができるため、信頼性を向上させることができる。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部36が、対応のPON回線に接続された各宅側装置からの割り当て要求をまとめる方法として、各ONUからのレポート量を合算した値を集約レポート量として集線部13へ通知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。PON制御部36は、他の計算方法で集約レポート量を算出してもよく、たとえば、各ONUからのレポート量に何らかの重み付けを行なった上でこれらを合算する構成であってもよいし、各ONUからのレポートの一部を選択し、選択したレポート量を合算する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、集線制御部53は、アップリンクの総帯域upBの範囲内で各OSUに帯域を割り当てる構成であるとしたが、これに限定するものではない。上りフレームの輻輳が問題とならない範囲であれば、局側装置201におけるFIFOまたはキューに上りフレームを蓄積することは可能であるから、集線制御部53は、アップリンクの総帯域upBを多少上回る量を各OSUに配分する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部36は、集線制御部53からの集約グラントに記された帯域割り当て量を、対応のPON回線に接続された各宅側装置に配分する構成であるとしたが、これに限定するものではない。上りフレームの輻輳が問題とならない範囲であれば、局側装置201におけるFIFOまたはキューに上りフレームを蓄積することは可能であるから、PON制御部36は、集線制御部53からの集約グラントに記された帯域割り当て量を多少上回る量を各ONUに配分する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、集線制御部53は、各割り当て不足PON回線の集約レポート2が示す割り当て要求量すなわち集約レポート量agREP2の比に基づいて総帯域upBの余りを割り当て不足PON回線ごとに分ける構成であるとしたが、これに限定するものではない。各OSUの集約レポート量agREP2の比ではなく、たとえば集約レポート量agREP2の大きさが上位何番目かまでの各OSUに総帯域upBの余りを割り当てる等、各OSUの集約レポート量agREP2の大小関係に基づいて総帯域upBの余りを分ける構成であればよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、集線制御部53は、PON回線単位の帯域配分を示す集約グラントをPON回線ごとに作成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。局側装置201に接続されたすべてのPON回線における帯域割り当て量を示す1つの集約グラントを作成し、各OSUにブロードキャストする構成であってもよいし、集約グラントをPON回線ごとに作成して各OSUに1対1で通知する構成であってもよい。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るPONシステムと比べてONUのレポート内容を変更したPONシステムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るPONシステムと同様である。
[PON制御部36の帯域割当処理]
OSUのPON制御部36は、制御部11からOSUの制御IF部32を介して、帯域割当周期T、ONUjの最低保証帯域minBjおよびデフォルトでの割当量dfLdが設定されている。ここで、jは、ONUの番号を表し、1〜Mの値をとる。Mは1以上の整数である。また、minBjは、帯域割当周期Tにおいて割り当てられる時間として表される。
本発明の第2の実施の形態に係るONU202は、OSUへ送信するためのフレームを一時保存する複数のキューを含む。これらのキューには、それぞれ優先度が設定される。そして、ONU202は、これらのキューをまとめたキューセットについて、レポートフレームにキューセットのレポートを記す。ここで、ONU202は、実際に送信したいキューセットのデータ長をレポートに記す。なお、レポート量は、たとえばPON回線の占有時間として表される。
本発明の第2の実施の形態に係る局側装置におけるPON制御部が帯域割り当て処理を行なう際の動作手順を示すフローチャートは、本発明の第1の実施の形態における図5と同様であるため、以下では、図5を用いて説明する。
図5を参照して、この帯域割り当て処理は、タイマ1終了を示す割込みによって起動される。そして、PON制御部36は、レポートテーブルRT、集約レポート量agREP1、集約レポート量agREP2、およびレポート1選択ビットマップSR1bmをクリアする。
次に、PON制御部36は、ONUからのレポートフレームが到着するまで待機する(ステップS2)。
次に、受信処理部33が、対応のPON回線に接続された1または複数のONUから対応のPON回線における帯域の割り当て要求すなわちレポートフレームを受け、これをPON制御部36へ出力する。PON制御部36は、ONUからのレポートフレームが到着すると(ステップS2でYES)、レポート量を積算する(ステップS4)。
より詳細には、レポートフレームがONUjから送信されたものとすると、PON制御部36は、レポートフレームに記されたレポート量REPjを集約レポート量agREP1に加算する。
また、PON制御部36は、最低保証帯域minBjおよびレポート量REPjの小さい方を集約レポート量agREP2に加算する。この処理は、本発明の第1の実施の形態ではONUが行なう処理に相当する。
すなわち、PON制御部36は、以下の式のような処理を行なう。
agREP1←agREP1+REPj
agREP2←agREP2+min(minBj,REPj)
ここで、前述のようにキューセットのレポート量がONUにおける複数のキュー別に分けられている場合には、各キューの合計を加算する。
そして、PON制御部36は、レポート量REPjをレポートテーブルRTのエントリjに記録し、ONUからのレポートフレームが到着するまで再び待機する(ステップS2)。
PON制御部36は、ONUからのレポートフレームを待っている状態(ステップS2でNO)において、現在時刻がレポート受信終了時刻Treを経過すると(ステップS6でYES)、集約レポートすなわち集約レポート量agREP1および集約レポート量agREP2を記した制御フレーム(以下、集約レポートとも称する。)を作成し、集線IF部31経由で集線部13へ出力する(ステップS8)。
PON制御部36は、集線IF部31を介した集線部13からの集約グラントの記された制御フレームの到着、または、集約グラントの受信終了時刻Tgeの到来を待つ(ステップS10およびステップS12)。
PON制御部36は、集約グラントの記された制御フレームが到着した場合には(ステップS10でYES)、その到着時刻をT1として記録する。ここで、集線部13からの集約グラントの記された制御フレームには、後述するように、次の帯域割当周期の開始時刻pTs、データ送信終了時刻pTde、集約グラント量であるデータ送信許可時間Ld、およびタイムスタンプTSが記されている。ここで、時刻pTsは、すべてのOSUにわたって、ONUからのデータフレーム用バーストを最初に受信する時刻に相当する。
そして、PON制御部36は、時刻pTsおよび時刻pTdeを自身のMPCP時刻を基準にした時刻である時刻Tsおよび時刻Tdeにそれぞれ変換する。すなわち、以下の式のような処理を行なう。
Ts←pTs+T1−TS
Tde←pTde+T1−TS
一方、PON制御部36は、集約グラントの記された制御フレームが到着せずに(ステップS10でNO)、現在時刻が時刻Tgeを経過した場合には(ステップS12でYES)、異常用処理を行なう(ステップS14)。すなわち、帯域割り当て周期の開始時刻Tsおよびデータフレーム送信終了時刻Tdeをデフォルト設定する。すなわち、以下の式のような処理を行なう。
Ts←Ts+T
Ld←デフォルト値dfLd
Tde←Ts(上記式で更新後のTs)+T
次に、PON制御部36は、集約グラント量Ldと各ONUの最低保証帯域の総和とを比較する。すなわち、PON制御部36は、変数Lna←Ld−agREP2とし、Lna>0であるか否かを判定する。
PON制御部36は、集約グラント量の方が各ONUの最低保証帯域の総和よりも大きい場合には(ステップS18でYES)、集約グラント量の余剰分を最低保証帯域に応じて各ONUに配分する(ステップS20)。
より詳細には、PON制御部36は、レポート1選択ビットマップSR1bmをクリアする。そして、PON制御部36は、レポート量REPj>最低保証帯域minBjであるすべてのONUjに対し、累積割当量acGjと累積割当周期acTjの比を求め、これを平均割当帯域avBjとする。そして、PON制御部36は、平均割当帯域avBjと最低保証帯域minBjの比を求め、この比の小さい順に以下のような余剰帯域割り当て処理を繰り返す。ここでは、処理対象のONUをjとする。平均割当帯域avBjを用いることにより、統計的に割り当て量の少ないONUに余剰帯域が割り当てられる。
余剰帯域割り当て処理:
{レポート1選択ビットマップSR1bmのjに対応するビットを1にする。
次に、Lna←Lna+minBj−REPjとする。
Lna≦0の場合には、REPj←REPj+Lnaとして、レポートテーブルRTのREPjを更新し、余剰帯域割り当て処理を終了する。
Lna>0の場合には、jを次の順番のものに更新し、余剰帯域割り当て処理の先頭に戻る。}
一方、PON制御部36は、集約グラント量が各ONUの最低保証帯域の総和以下である場合には(ステップS18でNO)、レポート1選択ビットマップSR1bmの各ビットを0にクリアする。この場合、各ONUには、たとえば、集約グラント量に制限されることなく各ONUの最低保証帯域が割り当てられる。
次に、PON制御部36は、各ONUのレポート送信開始時刻Trsを設定する(ステップS22)。
より詳細には、PON制御部36は、ONU番号、レポートフレーム用グラントが示す開始時刻Trsおよびグラント長GLr、ならびにデータフレーム用グラントが示す開始時刻Tdsおよびグラント長GLdを要素とする構造体GATEを、登録されているONU分作成する。そして、PON制御部36は、これらの構造体GATEをゲートフレームの送出順に並べたGATEリストを作成する。ここで、レポートフレームのグラント長GLrは固定値である。
そして、PON制御部36は、GATEリストにおける最後のエントリに対応するレポートフレーム用バーストの最後尾の到着時刻が、次の帯域割当周期の開始時刻Tsにバースト間のオーバーヘッド時間を隔てて一致するよう、当該エントリのレポート送信開始時刻Trsを設定する。そして、PON制御部36は、GATEリストを順次逆方向にトラバースしながら、すなわちGATEリストの先頭エントリへ向かって移動しながら、すべてのエントリのレポート送信開始時刻Trsを設定する。このとき、PON制御部36は、各ONUからのレポートフレーム用バーストが最小のオーバーヘッドで時間軸上に稠密に並ぶように各ONUのレポート送信開始時刻Trsを設定する。これにより、データフレーム送信用の帯域をできるだけ多く確保することができる。
次に、PON制御部36は、GATEリストの先頭までトラバースすると、各ONUのデータフレーム用バースト送信開始時刻Tdsおよびデータフレームのグラント長GLdを設定する(ステップS24)。
より詳細には、PON制御部36は、バースト終了時刻Teをデータ送信終了時刻Tdeに初期化する。そして、PON制御部36は、GATEリストを最後のエントリから逆方向にトラバースしながら、すべてのエントリの時刻Tdsおよびグラント長GLdを設定する。
ここで、PON制御部36は、ステップS20において最低保証帯域を超えるグラント量が設定されたONUであるか否かを考慮しながら、ONUのグラント長GLdを求める。すなわち、PON制御部36は、現在参照しているエントリのONU番号をjとすると、レポート1選択ビットマップSR1bmのjに対応するビットを参照し、このビットが0のとき、min(minBj,REPj)を選択し、このビットが1のとき、レポートテーブルRTのレポート量REPjを選択する。そして、PON制御部36は、選択したレポート量が0でない場合には、当該レポート量にバーストオーバーヘッドを加味することによってグラント長GLdを求める。
なお、時刻Tdsは、グラント長GLdが示すデータフレーム用バーストの最後尾の到着時刻をバースト終了時刻Teに一致するように配置した場合のデータフレーム用バースト送信開始時刻である。PON制御部36は、GATEリストをトラバースする際に、グラント長GLdが0でない場合にバースト終了時刻Teを更新する。
次に、PON制御部36は、GATEリストを先頭エントリまでトラバースすると、次の帯域割当周期の開始時刻Tsと最初のエントリのデータフレーム用バースト送信開始時刻Tdsとを比較する。PON制御部36は、時刻Tdsが時刻Tsより早い場合、すなわちデータフレーム送信期間がレポートフレーム送信期間と重なってしまう場合には、時刻Tdsを時刻Tsに遅らせる。この時刻Tdsをずらした時間をdTとすると、GATEリストのすべてのエントリの時刻TdsをdTだけ遅らせる。すなわち、PON制御部36は、データフレーム送信期間をレポートフレーム送信期間と重ならないように後ろにずらす。なお、この移動によってデータフレーム用バーストの到着時刻がデータフレーム送信終了時刻Tdeを超える場合には、PON制御部36は、データフレームの送信を一部中止する。すなわち、PON制御部36は、当該バーストの到着時刻が時刻Tdeを超えないように、当該エントリのグラント長GLdを減少させ、以降のエントリのグラント長GLdを0に変更する。
次に、PON制御部36は、各ONUへのゲートフレームを生成する(ステップS26)。
より詳細には、PON制御部36は、GATEリストを順にトラバースして、一つのエントリごとにゲートフレームを生成し、送信処理部34へ出力する。すなわち、PON制御部36は、このエントリのONU番号をjとすると、ONUjとの往復伝播時間RTTテーブルにおける往復伝播時間RTTjを参照する。PON制御部36は、ゲートフレームのレポート強制フラグを有効にし、レポートフレーム用グラントのONUへの送信開始時刻をTrs−RTTjとし、グラント長をGLrとする。グラント長GLdが0でない場合には、データフレーム用グラントを有効にし、データフレーム用グラントのONUへの送信開始時刻をTds−RTTjとし、グラント長をGLdとする。
次に、PON制御部36は、各ONUの累積割当量および累積割当周期を更新する(ステップS28)。
より詳細には、PON制御部36は、累積割当量acGjをグラント長GLd分加算し、バーストオーバーヘッド分減算することで更新する。そして、PON制御部36は、累積割当周期acTjに1を加える。さらに、PON制御部36は、レポートテーブルRTのREPjが0であった場合、すなわちONUjからの帯域割り当て要求がなかった場合には、累積割当量acGjおよび累積割当周期acTjを0にする。
次に、PON制御部36は、次の割り当て周期のために各時刻変数を更新する(ステップS30)。
より詳細には、PON制御部36は、レポート受信終了時刻Treに次の帯域割当周期の開始時刻Tsを代入する。さらに、PON制御部36は、時刻Treを基準に、集約レポート生成時間、集線部13での処理時間、および集約グラント送信時間を考慮し、集約グラントを受信し終えるべき時刻Tgeを求める。そして、PON制御部36は、GATEリストの最初のエントリのレポート送信開始時刻Trsを参照し、その直前に終了割込が入るよう、タイマ1をセットし、スリープする。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るPONシステムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る局側装置では、各PON制御部36は、対応のPON回線に接続された1または複数のONUの最低保証帯域を記憶し、割り当て要求のあったONUの最低保証帯域をまとめた帯域を集約レポートとして作成する。
このような構成により、ONUは、閾値で制限されたレポート量を求める必要がないので、ONUの構成の簡易化を図ることができる。また、局側装置は、閾値の計算およびONUへの閾値設定が不要となるため、局側装置の処理の簡易化を図ることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る局側装置では、各PON制御部36は、対応のPON回線に接続された1または複数のONUからの最低保証帯域を上限としないレポートをまとめた集約レポート1と、割り当て要求のあったONUの最低保証帯域およびONUからのレポートが示す割り当て要求量の小さい方をまとめた集約レポート2とを作成する。
このように、2種類の集約レポートを用いて帯域割り当てを行なう構成により、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置と同様に、アップリンクの上り帯域をONUへ適切に効率よく配分することができる。
また、PON制御部36が、最低保証帯域minBjおよびレポート量REPjの小さい方を集約レポート量agREP2に加算する構成により、集線制御部53によるステップS66からステップS72のループ処理を早期に収束させることができるため、集線制御部53の処理量を低減し、局側装置201における処理負荷を分散させることができる。
なお、本発明の第2の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部36は、最低保証帯域minBjおよびレポート量REPjの小さい方を集約レポート量agREP2に加算する構成であるとしたが、これに限定するものではない。PON制御部36が単に最低保証帯域minBjを集約レポート量agREP2に加算する構成であっても、集線制御部53が帯域割り当て量Biを集約レポート量agREP1iでクリップし、クリップ分を未割当帯域rmBに蓄積する処理(図6のステップS72)によって同様の割り当て結果を得ることが可能である。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るPONシステムと比べてPON回線制御部の処理単位を変更したPONシステムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るPONシステムと同様である。
[構成および基本動作]
図7は、本発明の第3の実施の形態に係るPONシステムの概略構成を示すブロック図である。
図7を参照して、PONシステム302は、局側装置211と、光ファイバであるN本のPON回線1〜N(203−1〜203−N)と、N個の光カプラ204−1〜204−Nと、複数の宅側装置(ONU)202とを備える。局側装置211は、光回線ユニット(OSU)1〜M(22−1〜22−M)と、集線部13と、局側装置211の全体的な制御を行なう制御部11とを含む。ここで、MはNより小さい1以上の整数である。
ここでは、PONシステム302において、各PON回線は1ギガビット/秒の通信速度を実現するEPONであるGEPONに対応しており、アップリンクは10ギガビット/秒の通信速度を実現するイーサネット(登録商標)に対応すると仮定して説明する。また、MPCPフレームによってONUの登録、離脱、ONUへの帯域割当、およびONUからの帯域要求などが行なわれると仮定して説明する。
局側装置211は、GEPONを複数回線収容し、これらの回線からのデータを1本または少数の通信回線を有するアップリンクに多重する。また、局側装置211は、アップリンクの上り帯域を各PON回線すなわち各宅側装置に割り当てる。また、1本のPON回線には1または複数のONUが接続される。
具体的には、局側装置211は、N本のPON回線1〜Nに接続され、このN本のPON回線を終端する。すなわち、OSU1〜Mの各々が、対応の複数のPON回線を終端する。OSUは、複数の通信部としての機能を有し、この通信部は、PON回線に対応して設けられ、対応のPON回線に接続された1または複数のONUとフレームを送受信する。PON回線1〜Nは、光カプラ204−1〜204−Nにそれぞれ接続されており、これらの光カプラを介して各ONU202に接続されている。
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置におけるOSUの構成を示すブロック図である。
図8を参照して、OSU22は、1つの制御IF部42と、1つのPON制御部(回線制御部)46と、複数の集線IF(Interface)部31と、複数の受信処理部33と、複数の送信処理部34と、複数のPON送受信部35と、上りフレームを蓄積する複数のFIFO37と、下りフレームを蓄積する複数のFIFO38とを含む。すなわち、1つのPON回線に対応して、集線IF部31と、受信処理部33と、送信処理部34と、PON送受信部35と、FIFO37と、FIFO38とが設けられる。OSU22および集線部13間の通信路はPON回線ごとに設けられる。
PON制御部46は、複数のPON回線に対応して共通に設けられ、PON制御部36と同様の処理をこれら対応の複数のPON回線について行なう。また、制御IF部42は、複数のPON回線に対応して共通に設けられ、制御IF部32と同様の処理を対応の複数のPON回線について行なう。
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置における集線部の構成を示すブロック図である。
図9を参照して、集線部13の構成および動作は本発明の第1の実施の形態と同様であるが、1つのOSUとの間にPON回線ごとの通信路が複数設けられる点が異なる。
[動作]
[PON制御部46の帯域割当処理]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置が帯域割り当てを行なう際の動作について図面を用いて説明する。本発明の第3の実施の形態では、局側装置211を動作させることによって、本発明の第3の実施の形態に係る帯域割り当て方法が実施される。よって、本発明の第3の実施の形態に係る帯域割り当て方法の説明は、以下の局側装置211の動作説明に代える。また、帯域割り当て処理における具体的な計算方法等は本発明の第1の実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。なお、以下の説明においては、適宜図7〜図9を参照する。
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置におけるPON制御部が帯域割り当て処理を行なう際の動作手順を示すフローチャートである。
図10を参照して、まず、PON制御部46は、対応の各PON回線に接続された各ONUに閾値QTを設定する(ステップS82)。
次に、PON制御部46は、対応の各PON回線に接続された各ONUからの割り当て要求、具体的には最低保証帯域を上限としない各ONUからのキューセット1のレポートと、最低保証帯域を上限とした各ONUからのキューセット2のレポートとを各受信処理部33経由で受ける(ステップS84)。
次に、PON制御部46は、対応の各PON回線に接続された各ONUからのキューセット1のレポートをPON回線ごとにまとめた複数の集約レポート1と、最低保証帯域を上限とした各ONUからのキューセット2のレポートをPON回線ごとにまとめた複数の集約レポート2とを作成し、集線部13に通知する(ステップS86)。
次に、PON制御部46は、集約レポートを通知してから所定時間経過するまでに集線部13から集約グラントが通知されたPON回線ごとに、通知された集約グラントおよび当該PON回線に接続された1または複数のONUからのレポートに基づいて、当該PON回線における帯域を当該PON回線に接続された1または複数のONUに割り当て、この割り当て量すなわちグラントを示すゲートフレームを作成する(ステップS88)。
また、PON制御部46は、対応の各PON回線のうちの少なくともいずれか1つのPON回線について、集約レポートを通知してから所定時間経過するまでに集約グラントが通知されない場合には、時間切れとなった、すなわち集約グラントが通知されなかったPON回線ごとに、当該PON回線における過去の帯域割り当て量を示す集約グラントまたは所定値と、当該PON回線に接続された1または複数のONUからのレポートとに基づいて、当該PON回線における帯域を当該PON回線に接続された1または複数のONUに割り当て、この割り当て量すなわちグラントを示すゲートフレームを作成する(ステップS90)。
次に、PON制御部46は、作成した各ゲートフレームを各PON回線へ送信する(ステップS92)。
[集線制御部53の帯域割当処理]
図11は、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置における集線制御部が帯域割り当て処理を行なう際の動作手順を示すフローチャートである。図11は、集線制御部53が帯域割当周期ごとに行なう帯域割当処理を示している。
まず、集線制御部53は、PON回線ごとに、PON制御部46から通知された集約レポート1が示す割り当て要求量すなわち集約レポート量agREP1、および集約レポート2が示す割り当て要求量すなわち集約レポート量agREP2の小さい方を選択する(ステップS102)。
次に、集線制御部53は、PON回線ごとに選択した集約レポート量に基づいて各PON回線における帯域の割り当て量を算出する(ステップS104)。
次に、集線制御部53は、集約レポート1の示す割り当て要求量が集約レポート2の示す割り当て要求量よりも大きいPON回線である割り当て不足PON回線が存在しない場合には(ステップS106でYES)、ステップS104において算出した割り当て量を示す集約グラントを各OSUに通知する(ステップS116)。
一方、集線制御部53は、割り当て不足PON回線が存在する場合には(ステップS106でNO)、上りフレームを送信するためにアップリンクにおいて使用可能な総帯域upBが、算出した各PON回線における帯域の割り当て量の総和に対して余るか否かを判定する(ステップS108)。
集線制御部53は、アップリンクの総帯域upBが余らない場合には(ステップS108でNO)、ステップS104において算出した割り当て量を示す集約グラントを各OSUに通知する(ステップS116)。
一方、集線制御部53は、アップリンクの総帯域upBが余る場合であって(ステップS108でYES)、割り当て不足PON回線が1つだけ存在するときには(ステップS110でNO)、割り当て不足PON回線について算出した割り当て量に、総帯域の余りの全部または一部を加えて集約グラントを作成し(ステップS114)、作成した集約グラントを各OSUに通知する(ステップS116)。
また、集線制御部53は、アップリンクの総帯域upBが余る場合であって(ステップS108でYES)、割り当て不足PON回線が複数存在するときには(ステップS110でYES)、各割り当て不足PON回線の集約レポート量agREP2の比に基づいて総帯域の余りの全部または一部を割り当て不足PON回線ごとに分ける。そして、集線制御部53は、分けた帯域を、各割り当て不足PON回線について算出した割り当て量に加え、集約グラントを作成し(ステップS112)、作成した集約グラントを各OSUに通知する(ステップS116)。
ここで、集線制御部53は、ステップS112およびS114においては、図6に示すステップS70で説明したように、各割り当て不足PON回線について算出した割り当て量が当該PON回線の総ユーザ帯域よりも大きい場合には、当該割り当て量をこの総ユーザ帯域でクリップする。さらに、図6に示すステップS72で説明したように、各割り当て不足PON回線について算出した割り当て量が当該PON回線の集約レポート量agREP1よりも大きい場合には、当該割り当て量をこの集約レポート量agREP1でクリップする。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るPONシステムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、PON回線ごとに設けられたPON制御部36が、対応のPON回線に接続された各宅側装置からの割り当て要求をまとめた総合要求情報を作成して集線部13に通知する構成であったが、このような構成に限定するものではない。
すなわち、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部46が、複数のPON回線に対応して設けられ、各受信処理部33経由で各ONUから受けた割り当て要求をPON回線ごとにまとめた複数の集約レポートを作成して集線部13に通知する。そして、集線制御部53が、PON制御部46から通知された各集約レポート、および上りフレームを送信するためにアップリンクにおいて使用可能な帯域に基づいて、各PON回線における帯域の割り当て量を示す集約グラントを作成してPON制御部46に通知する。
このように、アップリンク総帯域upBを考慮した上で各PON回線における帯域を割り当てる構成により、集線部13における上りフレームの輻輳を回避することができる。これにより、廃棄されるトラフィックが減少するので、ネットワーク全体の効率が向上するとともに、無駄なエネルギー消費を低減することができる。
また、集線制御部53は、局側装置211と通信を行なうすべてのONUの帯域要求に基づいて個々のONUへの帯域割当を行なうのではなく、OSU単位で集約された帯域要求に基づいて、OSUごとに集約した帯域割当を行なう。これにより、局側装置211と通信を行なうすべてのONUへの帯域割り当てを集線制御部53等が一括して行なう構成と比べて局側装置211における処理負荷が分散され、集線制御部53の処理量が少なくなる。したがって、帯域割り当て処理のサイクルを延ばすことなく局側装置211全体として処理可能なPON回線数を増加させることができる。
本発明の第3の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部46は、対応の各PON回線に接続された各ONUに閾値QTを設定する。PON制御部46は、対応の各PON回線に接続された各ONUからの閾値QTを上限としたキューセット2のレポートを各受信処理部33経由で受ける。
このような構成により、一部のONUからの突出した帯域要求を制限し、各ONUに最低限の帯域を保証することができるため、アップリンクの上り帯域を各ONUに公平に配分することができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部46は、対応の各PON回線に接続された各ONUからのキューセット1のレポートをPON回線ごとにまとめた複数の集約レポート1と、閾値QTを上限とした各ONUからのキューセット2のレポートをPON回線ごとにまとめた複数の集約レポート2とを作成し、集線部13に通知する。そして、集線制御部53は、各集約レポート1が示す割り当て要求量、各集約レポート2が示す割り当て要求量、および上りフレームを送信するためにアップリンクにおいて使用可能な帯域に基づいて集約グラントを作成する。
このように、2種類のレポートを用いて帯域割り当てを行なう構成により、アップリンクの上り帯域をONUへ適切に配分することができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置では、集線制御部53は、PON回線ごとに、PON制御部46から通知された集約レポート1が示す割り当て要求量すなわち集約レポート量agREP1、および集約レポート2が示す割り当て要求量すなわち集約レポート量agREP2の小さい方を選択する。集線制御部53は、PON回線ごとに選択した集約レポート量に基づいて各PON回線における帯域の割り当て量を算出する。そして、集線制御部53は、アップリンクの総帯域upBが、算出した各PON回線における帯域の割り当て量の総和に対して余る場合には、割り当て不足PON回線について算出した割り当て量に、総帯域の余りの全部または一部を加えて集約グラントを作成する。
このように、集約レポート量agREP1および集約レポート量agREP2の小さい方を選択し、また、アップリンクの上り帯域の余剰分を割り当て不足PON回線に割り振る構成により、アップリンクにおいて未使用帯域が発生することを抑制することができ、また、アップリンクの上り帯域の余剰分を帯域要求量の多いONUへ適切に配分することができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置では、集線制御部53は、アップリンクの総帯域upBが、算出した各PON回線における帯域の割り当て量の総和に対して余る場合であって、割り当て不足PON回線が複数存在するときには、各割り当て不足PON回線の集約レポート量agREP2の比に基づいて総帯域の余りの全部または一部を割り当て不足PON回線ごとに分ける。そして、集線制御部53は、分けた帯域を、各割り当て不足PON回線について算出した割り当て量に加え、集約グラントを作成する。
このような構成により、アップリンクの上り帯域の余剰分を帯域要求量の多いONUへさらに適切に配分することができ、アップリンクの上り帯域の使用効率を高めるとともに、ONU間のさらなる公平性を実現することができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部46は、対応の各PON回線のうちの少なくともいずれか1つについて、集約レポートを通知してから所定時間経過するまでに集約グラントが通知されない場合には、通知されなかったPON回線ごとに、過去の集約グラントまたは所定値と、当該PON回線に接続された1または複数のONUから受けたレポートとに基づいて、当該PON回線における帯域を当該PON回線に接続された1または複数の各ONUに割り当て、この割り当て量すなわちグラントを示すゲートフレームを作成する。
これにより、集線制御部53に障害が発生した場合でも、PON制御部46は、各ONUへの帯域割当を継続することができる。したがって、集線制御部53に障害が発生した場合でも上りデータトラフィックが停止することを防ぐことができるため、信頼性を向上させることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第3の実施の形態に係るPONシステムと比べてONUのレポート内容を変更したPONシステムに関する。以下で説明する内容以外は第3の実施の形態に係るPONシステムと同様である。
[PON制御部46の帯域割当処理]
以下、本発明の第4の実施の形態に係る局側装置が帯域割り当てを行なう際の動作について図面を用いて説明する。本発明の第4の実施の形態では、局側装置211を動作させることによって、本発明の第4の実施の形態に係る帯域割り当て方法が実施される。よって、本発明の第4の実施の形態に係る帯域割り当て方法の説明は、以下の局側装置211の動作説明に代える。また、帯域割り当て処理における具体的な計算方法等は本発明の第1の実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。なお、以下の説明においては、適宜図7〜図9を参照する。
図12は、本発明の第4の実施の形態に係る局側装置におけるPON制御部が帯域割り当て処理を行なう際の動作手順を示すフローチャートである。なお、ステップS132〜S136の動作は、本発明の第3の実施の形態におけるステップS88〜S92の動作と同様である。
図12を参照して、まず、PON制御部46は、対応の各PON回線に接続された各ONUの最低保証帯域を記憶している(ステップS122)。
次に、PON制御部46は、対応の各PON回線に接続された各ONUからの割り当て要求、具体的には最低保証帯域を上限としない各ONUからのキューセットのレポートを各受信処理部33経由で受ける(ステップS124)。
次に、PON制御部46は、最低保証帯域を上限としない各ONUからのキューセットのレポートをPON回線ごとにまとめた複数の集約レポート1を作成する。具体的には、PON制御部46は、各ONUからのレポート量REPをまとめて集約レポート量agREP1を作成する(ステップS126)。
次に、PON制御部46は、割り当て要求のあったONUの最低保証帯域およびキューセット1のレポートが示す割り当て要求量すなわちレポート量REPの小さい方をPON回線ごとにまとめた複数の集約レポート2を作成する、すなわち集約レポート量agREP2を算出する(ステップS128)。
次に、PON制御部46は、PON回線ごとにまとめた複数の集約レポート1および複数の集約レポート2を集線部13に通知する(ステップS130)。
その他の構成および動作は第3の実施の形態に係るPONシステムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
以上のように、本発明の第4の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部46は、対応の各PON回線に接続された各ONUの最低保証帯域を記憶し、割り当て要求のあったONUの最低保証帯域をPON回線ごとにまとめた帯域を集約レポートとして作成する。
このような構成により、ONUは、閾値で制限されたレポート量を求める必要がないので、ONUの構成の簡易化を図ることができる。また、局側装置は、閾値の計算およびONUへの閾値設定が不要となるため、局側装置の処理の簡易化を図ることができる。
また、本発明の第4の実施の形態に係る局側装置では、PON制御部46は、対応の各PON回線に接続された最低保証帯域を上限としない各ONUからのキューセットのレポートをPON回線ごとにまとめた複数の集約レポート1と、割り当て要求のあったONUの最低保証帯域およびキューセット1のレポートが示す割り当て要求量すなわちレポート量REPの小さい方をPON回線ごとにまとめた複数の集約レポート2とを作成する。
このように、2種類の集約レポートを用いて帯域割り当てを行なう構成により、アップリンクの上り帯域をONUへ適切に効率よく配分することができる。
また、PON制御部46が、最低保証帯域minBjおよびレポート量REPjの小さい方を集約レポート量agREP2に加算する構成により、集線制御部53によるステップS66からステップS72のループ処理を早期に収束させることができるため、集線制御部53の処理量を低減し、局側装置211における処理負荷を分散させることができる。しかしながら、このような構成に限定するものではなく、PON制御部46が、割り当て要求のあったONUの最低保証帯域をPON回線ごとにまとめた複数の集約レポート2を作成する構成であってもよい。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[付記1]
各々が、通信回線に対応して設けられ、対応の前記通信回線に接続された1または複数の宅側装置と通信信号を送受信するための複数の通信部と、
前記複数の通信部経由で各前記宅側装置から受信した前記通信信号を上位ネットワークへ送信するための集線部とを備え、
各前記通信部は、
対応の前記通信回線に接続された前記1または複数の宅側装置から対応の前記通信回線における帯域の割り当て要求を受けるための受信部と、
前記受信部経由で前記1または複数の宅側装置から受けた前記割り当て要求をまとめた総合要求情報を作成して前記集線部に通知するための回線制御部とを含み、
前記集線部は、
前記各回線制御部から通知された各前記総合要求情報、および前記通信信号を送信するために前記上位ネットワークにおいて使用可能な帯域に基づいて、各前記通信回線における帯域の割り当て量を示す総合割り当て情報を作成して前記各回線制御部に通知するための集線制御部を含み、
前記各回線制御部は、通知された前記総合割り当て情報および対応の前記通信回線に接続された前記1または複数の宅側装置から受けた前記割り当て要求に基づいて対応の前記通信回線における帯域を対応の前記通信回線に接続された前記1または複数の宅側装置に割り当てる、局側装置。
[付記2]
前記各回線制御部は、さらに、対応の前記通信回線に接続された前記1または複数の宅側装置に前記割り当て要求の閾値を設定し、
各前記受信部は、対応の前記通信回線に接続された前記1または複数の宅側装置からの前記閾値を上限とした前記割り当て要求を受ける、付記1に記載の局側装置。
[付記3]
前記各回線制御部は、対応の前記通信回線に接続された前記1または複数の宅側装置からの前記閾値を上限としない第1の割り当て要求をまとめた第1の総合要求情報と、前記閾値を上限とした前記1または複数の宅側装置からの第2の割り当て要求をまとめた第2の総合要求情報とを作成し、
前記集線制御部は、前記各回線制御部から通知された前記第1の総合要求情報が示す割り当て要求量および前記第2の総合要求情報が示す割り当て要求量、ならびに前記通信信号を送信するために前記上位ネットワークにおいて使用可能な帯域に基づいて前記総合割り当て情報を作成する、付記2に記載の局側装置。
[付記4]
前記各回線制御部は、対応の前記通信回線に接続された前記1または複数の宅側装置の最低保証帯域を記憶し、前記割り当て要求のあった前記宅側装置の前記最低保証帯域をまとめた帯域を前記総合要求情報として作成する、付記1に記載の局側装置。
[付記5]
前記各回線制御部は、対応の前記通信回線に接続された前記1または複数の宅側装置からの前記最低保証帯域を上限としない第1の割り当て要求をまとめた第1の総合要求情報と、前記割り当て要求のあった前記宅側装置の前記最低保証帯域をまとめた第2の総合要求情報とを作成し、
前記集線制御部は、前記各回線制御部から通知された前記第1の総合要求情報が示す割り当て要求量および前記第2の総合要求情報が示す割り当て要求量、ならびに前記通信信号を送信するために前記上位ネットワークにおいて使用可能な帯域に基づいて前記総合割り当て情報を作成する、付記4に記載の局側装置。
[付記6]
前記各回線制御部は、対応の前記通信回線に接続された前記1または複数の宅側装置からの前記最低保証帯域を上限としない第1の割り当て要求をまとめた第1の総合要求情報と、前記割り当て要求のあった前記宅側装置の前記最低保証帯域および前記第1の割り当て要求が示す割り当て要求量の小さい方をまとめた第2の総合要求情報とを作成する、付記5に記載の局側装置。
[付記7]
前記集線制御部は、前記各回線制御部から通知された前記第1の総合要求情報が示す割り当て要求量および前記第2の総合要求情報が示す割り当て要求量の小さい方に基づいて前記各通信回線における帯域の割り当て量を算出し、前記通信信号を送信するために前記上位ネットワークにおいて使用可能な総帯域が、算出した前記各通信回線における帯域の割り当て量の総和に対して余る場合には、前記第1の総合要求情報が示す割り当て要求量が前記第2の総合要求情報が示す割り当て要求量よりも大きい前記通信回線である割り当て不足通信回線について算出した前記割り当て量に、前記総帯域の余りの全部または一部を加えて前記総合割り当て情報を作成する、付記3、5および6のいずれかに記載の局側装置。
[付記8]
前記集線制御部は、前記通信信号を送信するために前記上位ネットワークにおいて使用可能な総帯域が、算出した前記各通信回線における帯域の割り当て量の総和に対して余る場合であって前記割り当て不足通信回線が複数存在するときには、各前記割り当て不足通信回線について算出した前記割り当て量に、前記各割り当て不足通信回線の前記第2の総合要求情報が示す割り当て要求量の大小関係に基づいて前記総帯域の余りの全部または一部を前記割り当て不足通信回線ごとに分けた帯域を加え、前記総合割り当て情報を作成する、付記7に記載の局側装置。
[付記9]
前記各回線制御部は、前記総合要求情報を通知してから所定時間経過するまでに前記総合割り当て情報が通知されない場合には、過去の前記総合割り当て情報または所定値と、対応の前記通信回線に接続された前記1または複数の宅側装置から受けた前記割り当て要求とに基づいて、対応の前記通信回線における帯域を対応の前記通信回線に接続された前記1または複数の宅側装置に割り当てる、付記1から8のいずれかに記載の局側装置。