JP2011211190A - 積層構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁基板の材料として絶縁樹脂接着シートを使用して、信頼性の高い半導体モジュールを簡易な手法で製造できる手法を提供する。
【解決手段】積層構造体3は、半導体素子1と、接合層17を介して半導体素子1を支持するリードフレーム21と、リードフレーム21に接合層23を介して電気伝導可能かつ熱伝導可能に接合された第1の金属箔層25と、この第1の金属箔層25に接着した絶縁樹脂接着層27と、絶縁樹脂接着層27に接着した第2の金属箔層29と、この第2の金属箔層29に接合層31を介して熱伝導可能に接合され、ヒートシンクへの熱伝導を媒介する伝熱金属層としてのスペーサー33と、を備えている。
【選択図】図2
【解決手段】積層構造体3は、半導体素子1と、接合層17を介して半導体素子1を支持するリードフレーム21と、リードフレーム21に接合層23を介して電気伝導可能かつ熱伝導可能に接合された第1の金属箔層25と、この第1の金属箔層25に接着した絶縁樹脂接着層27と、絶縁樹脂接着層27に接着した第2の金属箔層29と、この第2の金属箔層29に接合層31を介して熱伝導可能に接合され、ヒートシンクへの熱伝導を媒介する伝熱金属層としてのスペーサー33と、を備えている。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えばIGBT素子を搭載した半導体パワーモジュールなどに使用可能な積層構造体及びその製造方法に関する。
制御用電力素子の大容量化に伴い、制御用モーターのみならず駆動用モーターも直流モーターから交流モーターへ変化している。交流モーターを用いることで、メンテナンスフリー、大容量化、きめ細かい制御が達成される。そのため、交流モーターは、例えば高速鉄道、ハイブリッド自動車、電気自動車への利用が進展している。交流モーターを制御する電力素子の中心となるIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)モジュールに使用される絶縁基板には、絶縁性と熱伝導性を併せ持つことが必要とされており、従来は、セラミック基板が中心に使用されていた。セラミック基板は、絶縁性と熱伝導性に優れており、信頼性を有するが、価格が高い、重い、構造が複雑になるといった欠点がある。このような欠点が、IGBTモジュールを例えば自動車用途へ利用する上で問題となっている。
これら欠点を解消するため、例えば、特許文献1では、パワーモジュールにおいて絶縁基板の材料として絶縁樹脂接着シートを用いることが提案されている。
絶縁基板の材料として、セラミックスの代わりに上記絶縁樹脂接着シートを使用する場合、IGBTモジュールの構造から、絶縁樹脂接着シートには、IGBT素子に電気的に接続される金属板(リードフレーム)と、放熱部材への熱伝導を媒介する金属板(スペーサー)との間の絶縁性を確保しながら、ある程度の伝熱性を有しており、さらに熱衝撃に耐える接着性が要求される。しかし、金属板であるリードフレームやスペーサーと絶縁樹脂接着シートとは、線熱膨張率が異なるため、強固な接着性を維持するためには、アンカー効果を付与させる目的で、金属板の表面をサンドブラスト処理のような機械的処理、粗化エッチングのような化学的処理により、表面粗化させておく必要がある。
また、IGBT素子のリードフレームのように小型で厚みのある部材と絶縁樹脂接着シートとのプレス加工による接着を行うためには、圧力むらの防止、位置決め精度の確保など、難易度の高い課題を個別の形状ごとに調整して解決する必要がある。例えば、絶縁性を確保するための沿面距離をとりながら、絶縁樹脂接着シート上にプレス加工により部分的にリードフレームを接着させる場合、リードフレームの厚みを吸収しながらプレスを行う必要があるため、圧力むらによる歪みが生じやすく、非常に難易度が高い。また、プレス圧力により、沿面距離部分への樹脂の流れ出しが起こりやすいので、加圧部分にボイド等の欠陥が発生しやすく、絶縁耐圧が低下するおそれがある。
さらに、電力素子として使用する場合、絶縁樹脂接着シートとリードフレームとの接合面が長期にわたり高温にさらされる。そのため、リードフレームの材質である銅が高温で絶縁樹脂接着シート層中へ拡散し、該接着シート層が脆弱になり、接着力が低下することも懸念される。
以上のように、IGBTモジュールの製造において、絶縁基板の材料として、セラミックスの代わりに絶縁樹脂接着シートを使用し、プレス加工による積層形成を行う場合には、多くの問題があり、現在も実用化に至っていない。
従って、本発明の目的は、絶縁基板の材料として絶縁樹脂接着シートを使用して、信頼性の高い半導体モジュールを簡易な手法で製造できる手法を提供することである。
本発明の積層構造体は、半導体モジュールに用いる積層構造体であって、
半導体素子と、
前記半導体素子を支持するリードフレームと、
前記リードフレームに電気伝導可能かつ熱伝導可能に接合された第1の金属箔層と、
前記第1の金属箔層に接着した絶縁樹脂接着層と、
前記絶縁樹脂接着層に接着した第2の金属箔層と、
前記第2の金属箔層に熱伝導可能に接合され、放熱部材への熱伝導を媒介する伝熱金属層と、
を備えている。
半導体素子と、
前記半導体素子を支持するリードフレームと、
前記リードフレームに電気伝導可能かつ熱伝導可能に接合された第1の金属箔層と、
前記第1の金属箔層に接着した絶縁樹脂接着層と、
前記絶縁樹脂接着層に接着した第2の金属箔層と、
前記第2の金属箔層に熱伝導可能に接合され、放熱部材への熱伝導を媒介する伝熱金属層と、
を備えている。
本発明の積層構造体は、前記リードフレームと第1の金属箔層との接合部分、及び、前記第2の金属箔層と伝熱金属層との接合部分に、それぞれ、金属接合層を備えていてもよい。
また、本発明の積層構造体は、前記第1の金属箔層の前記絶縁樹脂接着層と当接する側の面、及び前記第2の金属箔層の前記絶縁樹脂接着層と当接する側の面に、それぞれ表面処理層を有していてもよい。
また、本発明の積層構造体において、前記第1の金属箔層と、前記絶縁樹脂接着層と、前記第2の金属箔層と、が両面金属張積層体から加工されてなるものであってもよい。
また、本発明の積層構造体において、前記両面金属張積層体が、ポリイミド樹脂フィルム又はエポキシ樹脂フィルムの両面に銅箔を張り合わせてなる両面銅張積層体であってもよい。
本発明の積層構造体の製造方法は、半導体モジュールに用いる積層構造体の製造方法であって、
絶縁樹脂フィルムの両面に金属箔が積層された両面金属張積層体の片側の面の金属箔をエッチングにより部分的に除去し、複数のパターン化金属箔を形成する工程と、
前記エッチングを行った部位で、前記絶縁樹脂フィルムと他方の面の金属箔を切断し、少なくとも一つの前記パターン化金属箔を含む複数の積層体に分割する工程と、
前記積層体のパターン化金属箔の側にリードフレームとなる金属板を、前記積層体の他方の側に伝熱金属層となる金属板を、それぞれ接合する工程と、
前記リードフレームとなる金属板の外側に、さらに半導体素子を接合する工程と、
を備えている。
絶縁樹脂フィルムの両面に金属箔が積層された両面金属張積層体の片側の面の金属箔をエッチングにより部分的に除去し、複数のパターン化金属箔を形成する工程と、
前記エッチングを行った部位で、前記絶縁樹脂フィルムと他方の面の金属箔を切断し、少なくとも一つの前記パターン化金属箔を含む複数の積層体に分割する工程と、
前記積層体のパターン化金属箔の側にリードフレームとなる金属板を、前記積層体の他方の側に伝熱金属層となる金属板を、それぞれ接合する工程と、
前記リードフレームとなる金属板の外側に、さらに半導体素子を接合する工程と、
を備えている。
本発明の別の観点の積層構造体の製造方法は、半導体モジュールに用いる積層構造体の製造方法であって、
絶縁樹脂フィルムの両面に金属箔が積層された両面金属張積層体の片側の面の金属箔をエッチングにより部分的に除去し、複数のパターン化金属箔を形成する工程と、
前記エッチングを行った部位で、前記絶縁樹脂フィルムと他方の面の金属箔を切断し、少なくとも一つの前記パターン化金属箔を含む複数の積層体に分割する工程と、
前記積層体のパターン化金属箔の側にリードフレームとなる金属板を配置するとともに、前記積層体の他方の側に伝熱金属層となる金属板を配置し、さらに、前記リードフレームとなる金属板の外側に半導体素子を配置して、これらを同時に接合する工程と、
を備えている。
絶縁樹脂フィルムの両面に金属箔が積層された両面金属張積層体の片側の面の金属箔をエッチングにより部分的に除去し、複数のパターン化金属箔を形成する工程と、
前記エッチングを行った部位で、前記絶縁樹脂フィルムと他方の面の金属箔を切断し、少なくとも一つの前記パターン化金属箔を含む複数の積層体に分割する工程と、
前記積層体のパターン化金属箔の側にリードフレームとなる金属板を配置するとともに、前記積層体の他方の側に伝熱金属層となる金属板を配置し、さらに、前記リードフレームとなる金属板の外側に半導体素子を配置して、これらを同時に接合する工程と、
を備えている。
本発明の積層構造体の製造方法は、前記接合する工程を、ハンダ付け又はロウ付けにより行ってもよい。
本発明の積層構造体及びその製造方法では、絶縁樹脂接着層の上下に第1の金属箔層及び第2の金属箔層が接着した両面金属張積層体を用いることにより、他の部材との接合は、金属接合技術のみによって行うことができる。そのため、従来法でのプレス加工における技術課題を回避できるとともに、総工程数も削減できる。従って、本発明の積層構造体を組み込んだ半導体モジュールの信頼性を高めることができる。
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる積層構造体を備えた半導体モジュールの概略構成例を示す断面図である。図1に示すように、パワーモジュール100は、例えば絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、還流ダイオード(FWD)などの半導体素子1を有する積層構造体3と、外部電極端子(図示せず)に接続された導電部材5a,5bと、導電部材5a,5bにそれぞれ接続する中継基板7a,7bと、隣接する半導体素子1どうし、及び半導体素子1と中継基板7a,7bとを接続するボンディングワイヤ9と、これらを収容するケース11と、積層構造体3との間で熱交換を行う放熱部材としてのヒートシンク13と、を備えている。また、ケース11の内部には、例えばシリコーンゲル等の絶縁樹脂15が必要な量で充填され、硬化させることにより封止されている。
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる積層構造体を備えた半導体モジュールの概略構成例を示す断面図である。図1に示すように、パワーモジュール100は、例えば絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、還流ダイオード(FWD)などの半導体素子1を有する積層構造体3と、外部電極端子(図示せず)に接続された導電部材5a,5bと、導電部材5a,5bにそれぞれ接続する中継基板7a,7bと、隣接する半導体素子1どうし、及び半導体素子1と中継基板7a,7bとを接続するボンディングワイヤ9と、これらを収容するケース11と、積層構造体3との間で熱交換を行う放熱部材としてのヒートシンク13と、を備えている。また、ケース11の内部には、例えばシリコーンゲル等の絶縁樹脂15が必要な量で充填され、硬化させることにより封止されている。
なお、図1に例示したパワーモジュール100では、本実施の形態の特徴的構成部分である積層構造体3以外の構成は、様々な変形が可能である。
<積層構造体>
次に、第1の実施の形態にかかる積層構造体3の構成について、図2を参照しながら、詳細に説明する。積層構造体3は、半導体素子1と、接合層17を介して半導体素子1を支持するリードフレーム21と、リードフレーム21に接合層23を介して電気伝導可能かつ熱伝導可能に接合された第1の金属箔層25と、この第1の金属箔層25に接着した絶縁樹脂接着層27と、絶縁樹脂接着層27に接着した第2の金属箔層29と、この第2の金属箔層29に接合層31を介して熱伝導可能に接合され、ヒートシンク13への熱伝導を媒介する伝熱金属層としてのスペーサー33と、を備えている。図2における符号Lは、後述する沿面距離である。なお、図1では、スペーサー33は、ヒートシンク13に面接触して設けられているが、スペーサー33とヒートシンク13との間に、さらに熱伝導性の部材が介在していてもよい。
次に、第1の実施の形態にかかる積層構造体3の構成について、図2を参照しながら、詳細に説明する。積層構造体3は、半導体素子1と、接合層17を介して半導体素子1を支持するリードフレーム21と、リードフレーム21に接合層23を介して電気伝導可能かつ熱伝導可能に接合された第1の金属箔層25と、この第1の金属箔層25に接着した絶縁樹脂接着層27と、絶縁樹脂接着層27に接着した第2の金属箔層29と、この第2の金属箔層29に接合層31を介して熱伝導可能に接合され、ヒートシンク13への熱伝導を媒介する伝熱金属層としてのスペーサー33と、を備えている。図2における符号Lは、後述する沿面距離である。なお、図1では、スペーサー33は、ヒートシンク13に面接触して設けられているが、スペーサー33とヒートシンク13との間に、さらに熱伝導性の部材が介在していてもよい。
図2に示す半導体素子1、リードフレーム21、スペーサー33は、いずれも公知の構成である。リードフレーム21、スペーサー33としては、例えば厚みが0.5mm〜3mm程度の銅板、アルミニウム板などを用いることができる。
リードフレーム21と第1の金属箔層25とは、例えばハンダ、金属接着剤等によって接合されている。リードフレーム21と第1の金属箔層25との間には、導電性及び熱伝導性を有する金属材料からなる接合層23が設けられている。接合層23の材質としては、例えばハンダ材料として、錫を主成分とする、銀、銅、ニッケル、ゲルマニウム、アンチモン、インジウム又はビスマス等の合金が好適に使用できる。また、金属系接着剤としては、市販品が入手可能であり、例えばニホンハンダ株式会社製のMAX101(商品名)等が好適に使用できる。
また、第2の金属箔層29とスペーサー33も、例えばハンダ、金属接着剤等によって接合されている。第2の金属箔層29とスペーサー33との間には、熱伝導性を有する金属材料からなる接合層31が設けられている。
絶縁樹脂接着層27は、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、BTレジン、カルド樹脂(フルオレン樹脂)、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂などの絶縁性の樹脂材料によって形成することができる。また、絶縁樹脂接着層27には、出来るだけ耐熱性の高い絶縁材料を用いることが好ましい。このような観点から、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、BTレジンを用いることが好ましい。
絶縁樹脂接着層27の厚みは、必要な絶縁耐圧性能を確保しながら、熱伝導性を損なわない観点から、例えばポリイミド樹脂では、10μm〜200μmが好ましく、12μm〜100μmがより好ましく、18μm〜75μmが更に好ましい。また、例えばエポキシ樹脂では、50μm〜300μmが好ましく、80μm〜200μmがより好ましい。
第1の金属箔層25及び第2の金属箔層29としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、鉄箔、ニッケル箔、ベリリウム箔、亜鉛箔、インジウム箔、銀箔、金箔、スズ箔、ジルコニウム箔、ステンレス箔、タンタル箔、チタン箔、鉛箔、マグネシウム箔、マンガン箔及びこれらの合金箔が挙げられる。これらのなかでも、銅箔が好ましい。なお、ここでいう「銅箔」には、銅以外に、銅を主成分とする銅合金からなるものも含まれる。銅箔は、好ましくは銅含有率が90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。銅箔には、例えばクロム、ジルコニウム、ニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等の金属を含有していてもよい。
第1の金属箔層25及び第2の金属箔層29の厚みは、それぞれ、原料となる両面金属張積層体を形成する場合のプレス加工性を高めるため、例えば12μm〜150μmが好ましく、12μm〜70μmがより好ましい。
第1の金属箔層25及び第2の金属箔層29において、絶縁樹脂接着層27と接している側の面には、接着力の向上を目的として、化学的な表面処理を施しておくことが好ましい。そのような表面処理としては、例えば防錆処理、ニッケルめっき処理、粗化エッチング、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等による化学的処理を挙げることができる。この中でも、特に防錆処理を施しておくことが好ましい。防錆処理は、金属箔に例えば亜鉛めっき処理およびクロメート処理を順次施して防錆層を形成するものである(図4の符号41を参照)。亜鉛めっき処理およびクロメート処理は、公知の方法で行うことができる。第1の金属箔層25及び第2の金属箔層29に防錆処理を施しておくことにより、リードフレーム21及び第1の金属箔層25、又はスペーサー33及び第2の金属箔層29から、例えばCuイオン等の金属イオンが絶縁樹脂接着層27へ拡散することが防止される。従って、Cuイオン等の金属イオンの拡散が原因で、絶縁樹脂接着層27に脆弱層が形成されて劣化し、接着力が低下することを防止できる。以上のように、第1の金属箔層25及び第2の金属箔層29に表面処理を行なっておくことにより、絶縁樹脂接着層27の接着性が長期間に渡り維持される。従って、積層構造体3を、例えば図1のパワーモジュール100に組み込んだ場合に、パワーモジュール100の信頼性を高めることができる。このような観点から、回路配線基板等の電子材料用途に適用される銅箔を使用することが望ましい。防錆処理を施した市販の銅箔としては、例えば日本電解株式会社製のHL箔(商品名)、同USLP箔(商品名)、古河電工株式会社製のWS箔(商品名)、同GTS箔(商品名)、三井金属鉱山株式会社製のVLP箔(商品名)、日鉱金属株式会社製のHA箔(商品名)、同BHYA箔(商品名)等が挙げられ、これらは好適に利用できる。
図1に示すパワーモジュール100では、絶縁樹脂接着層27を境にして、半導体素子1側と、接地電位に置かれたヒートシンク13側とが電気的に絶縁されている必要がある。このような観点から、積層構造体3においては、半導体素子1とスペーサー33の間に高い絶縁耐圧性を有する絶縁樹脂接着層27を介在させている。また、半導体素子1が通電により発熱したまま放熱できないと故障の原因になるので、冷却を効率的に行う必要がある。そこで、半導体素子1に、絶縁性を確保する絶縁樹脂接着層27として比較的熱抵抗が低い樹脂材料の薄膜を用いるとともに、複数の金属層(第2の金属箔層29、接合層31、スペーサー33)を介してヒートシンク13を接続し、半導体素子1を積極的に冷却するようにしている。
[積層構造体の製造方法]
図3〜図9を参照しながら、積層構造体3の製造方法について説明する。本実施の形態の積層構造体の製造方法は、例えば、両面金属張積層体を準備する工程、エッチング工程、切断工程、接合工程及び実装工程を含むことができる。
図3〜図9を参照しながら、積層構造体3の製造方法について説明する。本実施の形態の積層構造体の製造方法は、例えば、両面金属張積層体を準備する工程、エッチング工程、切断工程、接合工程及び実装工程を含むことができる。
<両面金属張積層体>
まず、図3に示すような両面金属張積層体40を準備する。図4は、積層前の状態の一例を示している。両面金属張積層体40は、樹脂フィルム27A、金属箔25A及び金属箔29Aを含んでいる。樹脂フィルム27Aは、加工後に積層構造体3において上記絶縁樹脂接着層27となるものであり、絶縁樹脂接着層27と同様の材質で形成されている。金属箔25A,29Aは、加工後に積層構造体3において、それぞれ、上記第1の金属箔層25、上記第2の金属箔層29となるものであり、第1の金属箔層25、第2の金属箔層29と同様の材質で形成されている。金属箔25A,29Aの樹脂フィルム27Aに当接させる側の面には、図4に示すように、例えば防錆層などの表面処理層41を形成しておくことが好ましい。
まず、図3に示すような両面金属張積層体40を準備する。図4は、積層前の状態の一例を示している。両面金属張積層体40は、樹脂フィルム27A、金属箔25A及び金属箔29Aを含んでいる。樹脂フィルム27Aは、加工後に積層構造体3において上記絶縁樹脂接着層27となるものであり、絶縁樹脂接着層27と同様の材質で形成されている。金属箔25A,29Aは、加工後に積層構造体3において、それぞれ、上記第1の金属箔層25、上記第2の金属箔層29となるものであり、第1の金属箔層25、第2の金属箔層29と同様の材質で形成されている。金属箔25A,29Aの樹脂フィルム27Aに当接させる側の面には、図4に示すように、例えば防錆層などの表面処理層41を形成しておくことが好ましい。
この両面金属張積層体40は、例えば図4に示すように、樹脂フィルム27Aの両面に、それぞれ金属箔25Aと金属箔29Aを配置して、これらを張り合わせることにとって製造できる。樹脂フィルム27Aと金属箔25A,29Aとのラミネートは、公知の方法により行うことが出来る。例えば、通常のハイドロプレス、真空タイプのハイドロプレス、オートクレーブ加圧式真空プレス、連続式熱ラミネータ等により行うことができる。これらの中でも、十分なプレス圧力が得られ、金属箔25A,29Aの酸化を防止できる、といった利点が得られる真空ハイドロプレスや連続式熱ラミネータを用いることが好ましい。なお、連続式熱ラミネータを用いる場合、樹脂フィルム27Aと金属箔25A,29Aとのラミネートは、これらを長いフィルム状にした形態で、ロール・トゥ・ロール方式で行うことができるので、効率的である。
樹脂フィルム27Aと金属箔25A,29Aとを張り合わせる際には、例えば、樹脂フィルム27A又はその接着面が、熱可塑性ポリイミド樹脂で構成されている場合には、200〜400℃程度の範囲内の温度に加熱しながらプレスすることが好ましく、280〜400℃の範囲内がより好ましく、300〜400℃の範囲内の温度がさらに好ましい。また、プレス圧力については、使用するプレス機の種類にもよるが、100〜150Kgf/cm2程度が好ましい。また、例えば樹脂フィルム27A又はその接着面が、熱硬化性ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂で構成されている場合には、120〜250℃程度の範囲内の温度に加熱しながらプレスすることが好ましく、140〜220℃の範囲内がより好ましく、140〜200℃の範囲内の温度がさらに好ましく、プレス圧力は50〜150Kgf/cm2程度が好ましい。
また、図示は省略するが、両面金属張積層体40は、例えば、樹脂フィルム27Aと金属箔25A又は金属箔29Aとを積層した2層積層体の樹脂フィルム27A側に、残りの金属箔25A又は金属箔29Aのうちの片方を重ね合わせ、熱圧着することによって作製することもできる。さらに、両面金属張積層体40は、樹脂フィルムと金属箔25Aとを積層した2層積層体と、樹脂フィルムと金属箔29Aとを積層した2層積層体とを別々に準備し、金属箔25A及び29Aが外側になるように、樹脂フィルムどうしを貼り合わせるようにして重ね合わせ、熱圧着することによって作製することもできる。この場合は、2層の樹脂フィルムが積層されて樹脂フィルム27Aとなる。以上のいずれの場合においても、熱圧着の方法は特に制限されず、上述と同様のラミネート方法、ラミネート条件を採用することが出来る。
両面金属張積層体40としては、市販の両面金属張積層体を使用することもできる。この場合、特に電子材料用途に適した両面金属張積層体を使用することが好ましい。そのような市販品としては、例えば新日鐵化学株式会社製MB18−25−18CEG(商品名)、同MB18−12−18FR(商品名)、同MB12−12−12REG(商品名)、同SB18−25−18CE(商品名)などを好ましく用いることができる。
(ポリイミド樹脂の使用例)
次に、樹脂フィルム27Aがポリイミドフィルムである場合を例に挙げて両面金属張積層体40のより具体的な構成例について説明する。両面金属張積層体40の積層構造の代表例として、以下の積層構造1〜5を挙げることができる。ただし、両面金属張積層体40は、これらの積層構造に限定されるものではない。
次に、樹脂フィルム27Aがポリイミドフィルムである場合を例に挙げて両面金属張積層体40のより具体的な構成例について説明する。両面金属張積層体40の積層構造の代表例として、以下の積層構造1〜5を挙げることができる。ただし、両面金属張積層体40は、これらの積層構造に限定されるものではない。
積層構造1:M1/A/M2
積層構造2:M1/A1/B/A2/M2
積層構造3:M1/A1/B1/B2/B3/A2/M2
積層構造4:M1/A1/B1/B2/B3/A2/M2
積層構造5:M1/A1/B1/C/B2/A2/M2
積層構造2:M1/A1/B/A2/M2
積層構造3:M1/A1/B1/B2/B3/A2/M2
積層構造4:M1/A1/B1/B2/B3/A2/M2
積層構造5:M1/A1/B1/C/B2/A2/M2
積層構造1〜5において、M1、M2は金属箔(金属箔25A、金属箔29Aの順序は問わない)であり、A(A1、A2)は熱可塑性ポリイミド樹脂層、B(B1、B2、B3)は低熱膨張性ポリイミド樹脂層、Cはその他のポリイミド樹脂層を意味する。熱可塑性ポリイミド樹脂層A(A1およびA2)、ならびに低熱膨張性のポリイミド樹脂層B(B1、B2およびB3)は、それぞれ材質、厚みが同一であってもよく、一方(つまり、AまたはB)のみが異なる材質、厚みを有していてもよく、両者(つまり、AとB)が異なる材質、厚みを有していてもよい。また、熱可塑性ポリイミド樹脂層Aおよび低熱膨張性ポリイミド樹脂層Bの代わりに、これらのいずれにも該当しないその他のポリイミド樹脂層Cを用いることもできる。
積層構造1〜5において、各ポリイミド樹脂層の厚みは、低熱膨張性ポリイミド樹脂層B(複数層の場合はその合計)が全体の50%以上、好ましくは70%以上であることがよく、熱可塑性ポリイミド樹脂層Aは金属箔との接着性を確保できる厚みであればよい。
熱可塑性ポリイミド樹脂層A1およびA2には、金属箔25A又は金属箔29Aと良好な接着性を示す熱可塑性ポリイミド樹脂を用いることが好ましく、そのガラス転移温度(Tg)が例えば350℃以下であるものが好ましく、200〜320℃の範囲内にあるものがより好ましい。低熱膨張性ポリイミド樹脂層Bは、その線熱膨張係数が例えば1×10−6〜30×10−6(1/K)の範囲内であることが好ましく、1×10−6〜25×10−6(1/K)の範囲内がより好ましく、15×10−6〜25×10−6(1/K)の範囲内がさらに好ましい。
熱可塑性ポリイミド樹脂層Aおよび低熱膨張性ポリイミド樹脂層Bを構成するポリイミド樹脂は、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等の構造中にイミド基を有するポリマーからなる耐熱性樹脂を挙げることが出来る。これらは、公知のジアミンと酸無水物との反応によって合成できる。
低熱膨張性ポリイミド樹脂としては、一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミド樹脂が好ましい。一般式(1)において、Ar1は式(2)又は式(3)で表される4価の芳香族基を示し、Ar2は式(4)又は式(5)で表される2価の芳香族基を示し、R1は独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、X及びYは独立に単結合又は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、O、S、CO、SO、SO2若しくはCONHから選ばれる2価の基を示し、n1は独立に0〜4の整数を示し、qは構成単位の存在モル比を示し、0.1〜1.0の値である。
上記構造単位は、単独重合体中に存在しても、共重合体の構造単位として存在してもよい。構造単位を複数有する共重合体である場合は、ブロック共重合体として存在しても、ランダム共重合体として存在してもよい。このような構造単位を有するポリイミド樹脂の中で、好適に利用できるポリイミド樹脂は、非熱可塑性のポリイミド樹脂である。
ポリイミド樹脂は、一般に、ジアミンと酸無水物とを反応させて製造されるので、ジアミンと酸無水物を説明することにより、ポリイミド樹脂の具体例が理解される。上記一般式(1)において、Ar2はジアミンの残基ということができ、Ar1は酸無水物の残基ということができるので、好ましいポリイミド樹脂をジアミンと酸無水物により説明する。しかし、ポリイミド樹脂は、ここで説明するジアミンと酸無水物から得られるものに限定されることはない。
酸無水物としては、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物が好ましく例示される。また、酸無水物として、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物等も好ましく例示される。さらに、酸無水物として、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物等も好ましく例示される。
その他の酸無水物としては、例えば1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。
ジアミンとしては、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2’-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンズアニリド等が好ましく例示される。また、ジアミンとしては、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン等が好ましく例示される。
その他のジアミンとして、例えば2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、4,4''-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン等が挙げられる。
ジアミンおよび酸無水物は、それぞれ、その1種のみを使用することもできるし、あるいは2種以上を併用して使用することもできる。また、上記一般式(1)に含まれないその他の酸無水物又はジアミンを上記のジアミンまたは酸無水物と共に使用することもでき、この場合、上記一般式(1)に含まれないジアミンまたは酸無水物の使用割合は90モル%以下、好ましくは50モル%以下とすることがよい。ジアミンまたは酸無水物の種類や、2種以上のジアミンまたは酸無水物を使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移点(Tg)等を制御することができる。
前駆体の合成は、ほぼ等モルのジアミンおよび酸無水物を溶媒中で反応させることにより行うことができる。使用する溶媒については、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、n-メチルピロリジノン、2-ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上併用して使用することもできる。
ポリイミド樹脂として、熱可塑性のポリイミド樹脂を用いることもできる。熱可塑性のポリイミド樹脂に使用される前駆体としては、一般式(6)で表される構造単位を有する前駆体が好ましい。一般式(6)において、Ar4は式(7)、式(8)又は式(9)で表される2価の芳香族基を示し、Ar3は式(10)又は式(11)で表される4価の芳香族基を示し、R2は独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、V及びWは独立に単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、O、S、CO、SO2若しくはCONHから選ばれる2価の基を示し、m1は独立に0〜4の整数を示し、pは構成単位の存在モル比を示し、0.1〜1.0の値である。
上記一般式(6)において、Ar3はジアミンの残基ということができ、Ar4は酸無水物の残基ということができるので、好ましい熱可塑性のポリイミド樹脂をジアミンと酸無水物により説明する。しかし、熱可塑性のポリイミド樹脂は、ここで説明するジアミンと酸無水物から得られるものに限定されることはない。
熱可塑性のポリイミド樹脂の形成に好適に用いられるジアミンとしては、例えば、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2’-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンズアニリド等が挙げられる。その他、上記非熱可塑性のポリイミド樹脂の説明で挙げたジアミンを挙げることができる。この中でも、特に好ましいジアミン成分としては、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン(DANPG)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、パラフェニレンジアミン(p−PDA)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE34)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE44)から選ばれる1種以上のジアミンを挙げることができる。
熱可塑性のポリイミド樹脂の形成に好適に用いられる酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物が挙げられる。その他、上記非熱可塑性のポリイミド樹脂の説明で挙げた酸無水物を挙げることができる。この中でも、特に好ましい酸無水物としては、無水ピロメリット酸(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)から選ばれる1種以上の酸無水物が挙げられる。
熱可塑性のポリイミド樹脂の形成に好適に用いられるジアミンおよび酸無水物は、それぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。また、上記以外のジアミン及び酸無水物を併用することもできる。
熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体において、式(6)で表される構造単位は、単独重合体中に存在しても、共重合体の構造単位として存在してもよい。構造単位を複数有する共重合体である場合は、ブロック共重合体として存在しても、ランダム共重合体として存在してもよい。式(6)で表される構造単位は複数であるが、1種であっても2種以上であってもよい。有利には、式(6)で表される構造単位を主成分とすることであり、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上含む前駆体であることがよい。
合成されたポリイミド樹脂(熱可塑性のポリイミド樹脂を含む)の前駆体は溶液として使用される。通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリイミド前駆体樹脂は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。
このような有機溶媒としては特に限定されないが、具体的には、ジメチルスルフォキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルムアミド、フェノール、クレゾール、γ−ブチロラクトン、n−メチルピロリジノン、2−ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、これらは単独で、又は混合して用いることができる。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応よって得られるポリアミド酸樹脂溶液(ポリイミド前駆体溶液)の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。また、このような溶媒を用いた反応において用いるジアミンと酸無水物との配合割合は、全ジアミンに対して酸無水物のモル比が0.95から1.05の割合で使用することが好ましい。ジアミンと酸無水物との反応は、0℃から60℃の範囲内の温度条件で1〜24時間反応させることが好ましい。温度条件が前記下限(0℃)未満では、反応速度が遅くなって分子量の増加が進まない傾向にあり、他方、前記上限(60℃)を超えるとイミド化が進行して反応溶液がゲル化し易くなる傾向にある。上記範囲内の温度条件で反応させることで効率的にポリアミド酸樹脂溶液を得ることができる。また、重合して得られたポリアミド酸(ポリイミド前駆体)の樹脂粘度については、500cps〜35000cpsの範囲とするのが好ましい。
樹脂フィルム27Aとしてのポリイミドフィルムの形成方法については特に限定されないが、例えば、ポリイミド樹脂溶液(又はポリアミド酸樹脂溶液)を任意の基材上に塗布した後に熱処理(乾燥、硬化)を施して基材上にポリイミド樹脂層(又はポリアミド酸樹脂層)を形成した後、剥離してポリイミドフィルムとする方法を挙げることができる。ポリイミド樹脂溶液(又はポリアミド酸樹脂溶液)を基材上に塗布する方法としては特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。多層のポリイミド樹脂層の形成に際しては、ポリイミド樹脂溶液(又はポリアミド酸樹脂溶液)を基材に塗布、乾燥する操作を繰り返す方法が好ましい。
また、金属箔25A及び/又は金属箔29Aの片面(例えば、表面処理層41を形成した側の面)に、ポリイミド樹脂溶液(又はポリアミド酸樹脂溶液)を塗布し、熱処理(乾燥、硬化)を施すことにより、樹脂フィルム27Aを直接金属箔25A及び/又は金属箔29A上に形成することもできる。ポリイミド樹脂溶液(又はポリアミド酸樹脂溶液)を金属箔25A及び/又は金属箔29A上に塗布する方法としては特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。樹脂フィルム27Aが多層例えば3層以上のポリイミド樹脂層が積層されたものである場合も、3層以上のポリイミド樹脂層を金属箔25A又は金属箔29Aに直接形成することができる。多層のポリイミド樹脂層の形成に際しては、ポリイミド樹脂溶液(又はポリアミド酸樹脂溶液)を金属箔25A又は金属箔29Aに塗布、乾燥する操作を繰り返す方法が好ましい。
以上のように、任意の基材や、金属箔25A及び/又は金属箔29A上にポリイミド樹脂溶液(又はポリアミド酸樹脂溶液)を塗布し、乾燥してポリイミド樹脂層(又はポリアミド酸樹脂層)を形成させた後は、未硬化のポリイミド樹脂(又はポリアミド酸樹脂)を硬化(又はイミド化)させるために、通常、150℃以上の温度に加熱処理する。前記加熱処理(乾燥、硬化)の方法は特に制限されないが、例えば80℃〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間加熱するといった熱処理が好適に採用される。このような熱処理を行うことで、前記ポリアミド酸の脱水閉環反応が進行するため、任意の基材や金属箔25A及び/又は金属箔29A上にポリイミド樹脂層を形成することが出来る。特に、基材を用いず、金属箔25A及び/又は金属箔29Aに、ポリアミド酸樹脂溶液を塗布してイミド化することにより形成された両面金属張積層体40は、金属箔25A及び/又は金属箔29Aと樹脂フィルム27Aとの密着性が良好となる。
また、樹脂フィルム27Aとなるポリイミドフィルムとしては、市販のポリイミド樹脂又はポリイミドフィルムも好適に使用可能であり、例えば東レ・デュポン株式会社製のカプトンEN(商品名)、鐘淵化学株式会社製のアピカルNPI(商品名)、宇部興産株式会社製のユーピレックス(商品名)等が挙げられる。さらに、このような非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面又は両面に、1種類以上の熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液を塗布した後、熱処理して樹脂フィルム27Aを形成することもできる。市販の熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体溶液としては、例えば新日鐵化学株式会社製のSPI−200N(商品名)、同SPI−300N(商品名)、同SPI−1000G(商品名)、東レ株式会社製のトレニース#3000(商品名)等が挙げられる。
以上のように、両面金属張積層体40は種々の方法で準備することができるが、いずれの方法で作製した両面金属張積層体40についても、特に制限なく利用できる。
次に、耐熱性、寸法安定性に加え、熱伝導性を考慮した絶縁層について説明する。特に、ポリイミドフィルム(又はポリイミド樹脂層)を適用した場合について詳細に説明する。
本発明に好適に適用できる絶縁層は、ポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリイミド樹脂層を少なくとも1層有することが好ましい。本発明においては、このようなポリイミド樹脂層を有する片面又は両面に金属層を有する積層板を使用することが可能であり、また、該積層体から金属層を除去して得られる絶縁層のフィルムを使用することが可能である。
絶縁層はフィラー含有ポリイミド樹脂層のみからなってもよく、フィラーを含有しないポリイミド樹脂層を有してもよい。フィラーを含有しないポリイミド樹脂層を有する場合、その厚みはフィラー含有ポリイミド樹脂層の1/100〜1/2の範囲、好ましくは1/20〜1/3の範囲とすることがよい。フィラーを含有しないポリイミド樹脂層を有する場合、そのポリイミド樹脂層が金属層に接するようにすれば、金属層と絶縁層の接着性が向上する。
熱伝導性フィラーは、板状フィラーと球状フィラーとを含有し、フィラー含有ポリイミド樹脂層は、板状フィラーと球状フィラーとの合計量で好ましくは20〜95wt%、より好ましくは30〜90wt%、更に好ましくは60〜85wt%の割合で熱伝導性フィラーを含有することがよい。熱伝導性フィラーの含有割合が20wt%に満たないと、熱伝導特性が低くなり、放熱材料として十分な特性を得ることができない。95wt%を超えると、絶縁層が脆くなり、取り扱いにくくなるばかりでなく、絶縁層をポリアミド酸樹脂溶液から形成しようとする場合、ワニスの粘度が高くなり、作業性も低下する。また、熱伝導性フィラー中、球状フィラーの含有割合は、25〜70wt%の範囲とすることが好ましい。なお、フィラーを含有しないポリイミド樹脂層を有する場合、全絶縁層中の熱伝導性フィラーの含有率は好ましくは30〜90wt%の範囲、より好ましくは30〜85wt%、更に好ましくは30〜60wt%とすることがよい。
ここで、板状フィラーとは、フィラー形状が板状、燐片状のフィラーで、平均厚みが、表面部の平均長径又は平均短径より十分に小さいもの(好ましくは1/2以下)をいう。本発明で使用する板状フィラーは、平均長径DLが0.1〜15μmの範囲のものである。平均長径DLが0.1μmに満たないと、熱伝導率が低く、熱膨張係数が大きくなり、板状の効果が小さくなってしまう。15μmを超えると製膜時に配向させることは困難となる。ここで、平均長径DLとは板状フィラーの長手直径の平均値を意味する。板状フィラーの好ましい具体例を挙げると、窒化ホウ素、酸化アルミニウム(以下、「アルミナ」と記すことがある)が挙げられ、これらを単独で又は2種以上併用して使用することもできる。また、平均長径DLは、0.5〜10μmの範囲にあることが高熱伝導の点から好ましい。更に、ポリイミド樹脂層に銅箔が積層する積層体における耐電圧を向上させるという観点から、平均長径DLは、より好ましくは0.5〜5μmの範囲、更に好ましくは0.5〜3μmの範囲にあることがよい。このような範囲とすることで、ポリアミド酸樹脂の熱硬化によって生じるポリイミド樹脂の熱収縮に伴うフィラー表面の空隙を抑制できるものと考えられる。更にまた、板状フィラーの最適なものは、平均長径DLが0.5〜9μmの窒化ホウ素(より最適は平均長径DLが0.5〜5μmの窒化ホウ素)である。なお、平均径はメディアン径を意味し、モード径は上記範囲内で1つのピークであることがよく、これは球状フィラーについても同様である。
球状フィラーとは、フィラー形状が球状及び球状に近いもので、平均長径と平均短径の比が1又は1に近いもの(好ましくは0.8以上)をいい、平均粒径DRが0.05〜10μmの範囲のものをいう。平均粒径DRが0.05μmに満たないと、熱伝導向上の効果が小さくなり、10μmを超えると板状フィラーとの層間に入りづらくなる。ここで平均粒径DRとは、球状フィラー粒子の直径の平均値(メディアン径)を意味する。球状フィラーの好ましい具体例を挙げると、酸化アルミニウム、溶融シリカ、窒化アルミニウムが挙げられ、これらを単独で又は2種以上併用して使用することもできる。また、平均粒径DRは、0.1〜6μmの範囲にあることが充填性の点から好ましい。更に、ポリイミド樹脂層に銅箔が積層する積層体における耐電圧を向上させるという観点から、平均粒径DRは、より好ましくは0.5〜5μmの範囲、更に好ましくは0.5〜3μmの範囲にあることがよい。更にまた、球状フィラーの最適なものは、平均粒径DRが0.5〜3.0μmの酸化アルミニウムである。酸化アルミニウムは熱伝導率が劣るが、板状フィラーと球状フィラーの両方を使用することにより、この欠点は解消される。ただし、より高い熱伝導率を望む場合は、板状フィラーと球状フィラーのいずれか又は両方は、酸化アルミニウム以外のフィラーとすることが好ましい。なお、本発明でいう熱伝導性フィラーは、熱伝導率が1.0W/m・K以上であることがよい。
熱伝導性フィラーは、上記平均長径DLと平均粒径DRとの関係がDL>DR/2であり、30μm以上の熱伝導フィラーを含有しないことが好ましい。平均長径DLと平均粒径DRとの関係がDL>DR/2の要件を満たさないと、熱伝導率の低下を招くこととなる。また、30μm以上の熱伝導フィラーを含有すると、表面の外観不良が生じる傾向になる。平均長径DLと平均粒径DRとの関係はDL>DRであることがより好ましい。範囲としては、DRはDLの1/3〜5/3の範囲であることがよい。
また、使用する熱伝導性フィラー中の粒径9μm以上のフィラーが、全体の50wt%以下とすることが好ましく、特には、板状フィラー中における粒径9μm以上のフィラーの割合を50wt%以下とすることが好ましい。このことにより、絶縁層表面の凹凸がなくなり平滑な表面とすることができる。ここで、板状フィラーの場合の粒径は、長径を意味する。
ポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリイミド樹脂層を含む絶縁層は、上記の方法で形成することができる。最も代表的な例を示せば、絶縁層の原料である熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液を、金属層である銅箔等の金属箔上に直接流延塗布して150℃以下の温度である程度溶媒を乾燥除去し、その後更にイミド化のために100〜450℃、好ましくは300〜450℃の温度範囲で5〜40分間程度の熱処理を行って金属層上に熱伝導性フィラーを含有するポリイミド樹脂からなる絶縁層を形成する方法が一般的である。絶縁層を2層以上のポリイミド層とする場合、第一のポリアミド酸樹脂溶液を塗布、乾燥したのち、第二のポリアミド酸樹脂溶液を塗布、乾燥し、以降は同様にして第三のポリアミド酸樹脂溶液、第四のポリアミド酸樹脂溶液・・・というように、ポリアミド酸樹脂溶液を順次、塗布、乾燥したのち、まとめて300〜450℃の温度範囲で5〜40分間程度の熱処理を行って、イミド化を行うことがよい。熱処理の温度が100℃より低いとポリイミドの脱水閉環反応が十分に進行せず、反対に450℃を超えると、ポリイミド樹脂層及び銅箔が酸化等により劣化するおそれがある。
また、フィラー含有ポリイミド樹脂層を含む絶縁層を形成する別の方法として、例えば任意の支持基体上に絶縁層の原料である熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液を流延塗布してフィルム状に成型し、支持体上で加熱乾燥することにより自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体より剥離して、更に高温で熱処理してイミド化させてポリイミドフィルム(高熱伝導性ポリイミドフィルム)とする方法も挙げられる。このポリイミドフィルムを絶縁層として、金属層に積層させた積層体を形成するには、ポリイミドフィルムに直接、又は任意の接着剤を介して金属箔を加熱圧着する方法や、金属蒸着等によって金属層を形成する方法が一般的である。
上記絶縁層の形成において用いられる熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液は、ポリアミド酸樹脂溶液に熱伝導性フィラーを直接配合してもよいが、フィラー分散性を考慮し、原料(酸二無水物成分又はジアミン成分)の一方を投入した反応溶媒に予め熱伝導性フィラーを配合し、攪拌下に重合を進行させてもよい。
絶縁層は、単層からなるものであっても複数層からなるものであってもよいが、本発明の積層構造体を製造するにあたっての中間体(以下、絶縁層の片面又は両面に金属層を有するものを「中間体」を記すことがある)としての寸法安定性や、銅箔との接着強度を優れたものとするために、複数層とすることもできる。ここで、絶縁層を複数層とする場合には、すべての層に熱伝導性フィラーを含有させてフィラー含有ポリイミド樹脂層とすることがよい。なお、フィラー含有ポリイミド樹脂層と金属箔とを接着するための接着剤を用いることを除外するものではないが、絶縁層の両面に金属層を有する両面金属中間体において接着層を介在させる場合には、接着層の厚みは、全絶縁層の厚みの30%未満の範囲が好ましく、20%未満がより好ましい。また、絶縁層の片面のみに金属層を有する片面金属中間体においては、接着層の厚みは、全絶縁層の厚みの15%未満の範囲が好ましく、10%未満がより好ましい。そして、接着層は絶縁層の一部を構成するので、ポリイミド樹脂層であることが好ましい。
また、絶縁層の主体となるポリイミド樹脂層におけるポリイミド樹脂のガラス転移温度は、耐熱性の観点から300℃以上とすることが好ましい。ガラス転移温度を300℃以上とするには、上記したポリイミドを構成する酸二無水物やジアミン成分を適宜選択することで可能となる。
中間体の製造時における搬送時の金属箔のシワを抑制するという観点から、絶縁層の厚さは、好ましくは5〜200μmの範囲であることがよく、より好ましくは10〜50μmの範囲である。
また、中間体の製造時におけるカールを抑制したり、ハンドリング性を良好にする観点から、絶縁層の熱膨張係数(CTE)は、例えば10×10-6〜30×10-6/Kの範囲にあることが好ましく、より好ましくは15×10-6〜25×10-6/Kの範囲である。
絶縁層の熱伝導率は、厚み方向で0.5W/mK以上で、平面方向で1.0W/mK以上であることが有利であるが、更には、厚み方向で1.0W/mK以上で、平面方向で2.5W/mK以上であることが好ましい。この特性と絶縁層の他の諸特性を満たすことでより優れた中間体とすることができる。
また、絶縁層に、加工助剤、抗酸化剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、分散剤、沈降防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤など熱伝導性フィラー以外の他の有機添加剤又は無機フィラーなどの追加の添加物を含むことができる。
上記したとおり、中間体は、絶縁層の片面側のみに金属層を備えた中間体であってもよいことはもちろんのこと、絶縁層の両面に金属層を備えた中間体でもよい。なお、両面金属の中間体を得るためには、片面金属の中間体を形成した後、互いにポリイミド樹脂層を向き合わせて熱プレスによって圧着し形成することや、片面金属の中間体のポリイミド樹脂層に金属箔を圧着し形成すること等により得ることができる。
中間体の金属層は、上記したように金属箔からなるものであってもよいし、フィルムに金属蒸着したものであってもよい。熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液を直接塗布可能な点からは、金属箔が有利で、中でも銅箔が好ましい。金属箔の厚みは、5〜100μmの範囲が好ましく、9〜30μmの範囲がより好ましい。
また、中間体の構成部分として利用可能な高熱伝導性ポリイミドフィルムの製造方法は特に限定されるものではなく公知の手法を採用することができる。例えば、任意の支持基体上に絶縁層の原料である熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液を流延塗布してフィルム状に成形し、支持体上で加熱乾燥することにより自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体より剥離して、更に高温で熱処理してイミド化させてポリイミドフィルムとする方法が挙げられる。
(エポキシ樹脂の使用例)
次に、樹脂フィルム27Aがエポキシ樹脂フィルムである場合を例に挙げて両面金属張積層体40のより具体的な構成例について説明する。エポキシ樹脂フィルムを適用する利点としては、例えば比較的低温での熱プレスによる接着が可能であることや、比較的低温での熱プレスによるものなので接着加工時の寸法安定性を維持しやすいことなどが挙げられる。
次に、樹脂フィルム27Aがエポキシ樹脂フィルムである場合を例に挙げて両面金属張積層体40のより具体的な構成例について説明する。エポキシ樹脂フィルムを適用する利点としては、例えば比較的低温での熱プレスによる接着が可能であることや、比較的低温での熱プレスによるものなので接着加工時の寸法安定性を維持しやすいことなどが挙げられる。
エポキシ樹脂フィルムは、(a)成分のエポキシ系接着剤樹脂原料を含有する、接着剤樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」と略称することがあるが、(a)成分のエポキシ系接着剤樹脂原料とは区別する。)から形成される。ここで、(a)成分は、(イ)エポキシ樹脂、及び(ロ)硬化促進剤を必須成分として含有する。また、絶縁樹脂接着層27とした場合の熱伝導性及び耐電圧特性を向上させるという観点から、樹脂組成物には、上記(a)成分とともに、(b)成分の熱伝導性フィラーを含有することが好ましい。
(イ)成分のエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂フィルムとして十分な絶縁性、密着性、耐熱性、機械的強度、加工性等を備えるための有効な成分である。この(イ)成分としては、公知のエポキシ樹脂が特に制限なく使用できるが、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、テトラメチルビスフェノールA型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等のような芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
(ロ)成分の硬化促進剤は、エポキシ樹脂に十分な硬化速度、耐熱性、機械的強度等を与えるための有効な成分である。この(ロ)成分の硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン等の有機リン系化合物や、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、3級アミン、ルイス酸等を用いることができる。その配合率は、求められる硬化時間に応じて適宜選定されるが、一般的には、(a)成分のエポキシ系接着樹脂原料の不揮発成分100重量部に対し、例えば0.01〜15.0重量部の範囲内で使用することが好ましい。
(a)成分のエポキシ系接着剤樹脂原料として、上記の必須成分(イ)及び(ロ)成分の他に、必要に応じて、(ハ)硬化剤を含有してもよい。硬化剤は、エポキシ樹脂フィルムが十分な絶縁性、密着性、耐熱性、機械的強度等を備えるために有効な成分である。この(ハ)成分は、(イ)成分のエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものが適用でき、その1つとしてフェノール樹脂が挙げられる。このフェノール樹脂として、具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、フェノールフェニルアラルキル型樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型樹脂、ナフトールフェニルアラルキル型樹脂、ナフトールビフェニルアラルキル型樹脂等の3価以上のフェノール類、ビスフェノールA等の2価のフェノール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との縮合により得られる多価ヒドロキシ性化合物、フェノール類とトリアジン環含有化合物とアルデヒド類とから得られるトリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂等を例示することができる。その他にも、(ハ)成分として、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミン系硬化剤、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン系硬化剤、あるいは塩基性活性水素化合物であるジシアンジアミド、イミダゾール類等を例示することができる。
(イ)成分のエポキシ樹脂と(ハ)成分の硬化剤の好ましい割合については、硬化剤がフェノール樹脂、芳香族アミン系硬化剤、又は脂肪族アミン系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂/硬化剤の当量比が0.7〜1.3であり、より好ましくは0.8〜1.2である。また、(ハ)成分として、イミダゾール類を使用する場合、これは(ロ)成分の硬化促進剤でもあるので、(ロ)成分としても計算される。
樹脂組成物に含有してもよい(b)成分の熱伝導性フィラーとしては、例えば窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、マグネシア(酸化アルミニウム)、アルミナ(酸化アルミニウム)、結晶性シリカ(酸化ケイ素)、溶融シリカ(酸化ケイ素)等の絶縁性の無機フィラーが挙げられる。これらの熱伝導性フィラーは、エポキシ樹脂フィルムの熱伝導率を向上させるために、エポキシ樹脂フィルムに対する体積充填率が50%以上となるように配合することが一般的である。
上記の熱伝導性フィラーがアルミナ粉末である場合を例に挙げてより具体的な構成例について説明する。アルミナ粉末の利点としては、熱伝導性フィラーの中でも、比較的安価であることや、幅広い粒子サイズのものでも市販品で対応できることなどが挙げられる。
(b)成分の熱伝導性フィラーとしてアルミナ粉末を含有する場合、樹脂組成物の不揮発成分当たりのアルミナ粉末の含有率が好ましくは40〜95重量%、より好ましくは60〜93重量%であることがよい。樹脂組成物中のアルミナ粉末の含有率が多くなるほど高熱伝導化、低熱膨張化の観点から望ましく、樹脂組成物の不揮発成分におけるアルミナ粉末の含有率が40重量%より少ないと高熱伝導化が十分ではなく、十分な放熱性が発現しないのに加えて、低熱膨張化も十分でないため、半田耐熱性の低下を招く。反対に95重量%より多くなると、ワニスとした場合の粘度が増大し、または樹脂組成物を乾燥して得られる乾燥物又はフィルム状接着剤(以下、Bステージ状態組成物ともいう)としての溶融粘度が増大して、絶縁樹脂接着層27としての加工性、耐電圧特性、接着性が低下したり、表面状態が悪くなったりする。
ここで、樹脂組成物の不揮発成分とは、例えば樹脂組成物が所定の溶剤を含むワニスの場合、このワニスを用いて絶縁樹脂接着層27を形成する際、乾燥や硬化によって溶剤が除去された後に最終的に残る不揮発成分を意味する。すなわち、ここでのアルミナ粉末の含有率とは、この不揮発成分当たりに含まれるアルミナ粉末の重量%を表すものである。尚、樹脂組成物には必須成分である(イ)及び(ロ)成分、並びに(b)成分のほか、(ハ)成分及び、以下で説明するように、必要に応じてその他の成分が添加される場合もあるが、その場合には別途添加された成分についても含めて考えるものとする。樹脂組成物の不揮発成分とは、ワニスの場合も包括して規定するための表記である。ワニスとは、樹脂組成物の粘度を低減することにより、加工性を向上させることを目的として溶剤を含んでいるものである。しかし最終的に絶縁樹脂接着層27を形成した際には、溶剤は乾燥、硬化により、除去されている。樹脂組成物中での成分の含有率は、溶剤が除去され、最終的に絶縁樹脂接着層27を形成した段階で発明の効果を発揮する。したがって、樹脂組成物の不揮発成分に対する成分含有率を用いて規定した。
また、このアルミナ粉末の最大粒子径は、好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下がよい。最大粒子径が120μmより大きくなると絶縁樹脂接着層27としての加工性が十分ではなく、絶縁樹脂接着層27の表面状態が悪くなったりする傾向になる。ここで最大粒子径とは、アルミナ粒子の全体積を100%としたとき、粒子径の体積分率の分布カーブにおいて、ある粒子径以上で粒子の分布確率が全て0となるときの粒子径の最小値を示す。
更に、上記アルミナ粉末については、全アルミナ粉末中の好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上が結晶性の球状アルミナであることがよい。アルミナ粉末の種類としては結晶アルミナ、溶融アルミナ等が挙げられ、アルミナ粉末の形状としては球状または破砕状が挙げられるが、中でも最密充填による高熱伝導性の観点からは、結晶性の球状アルミナが最も適する。アルミナ粉末における結晶性の球状アルミナの含有率が90重量%より少ないと、ワニスとした場合の粘度、またはフィルム状接着剤としての溶融粘度が増大して、絶縁樹脂接着層27としての加工性、耐電圧特性、接着性が低下したり、表面状態が悪くなったりする傾向になる。ここで、結晶性のアルミナを用いることにより、溶融アルミナと比較して熱伝導率を高くする効果が得られる。また、球状アルミナを用いることによって、破砕アルミナと比較して、ワニスとした場合の粘度、またはフィルム状接着剤としての溶融粘度を低くする効果が得られる。
樹脂組成物は、所定の溶剤、例えばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等のアミド系溶剤、1−メトキシ−2−プロパノ−ル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤等の1種又は2種以上を混合したものに溶解又は分散させてワニスを形成するようにしてもよい。(ロ)硬化促進剤、(ハ)硬化剤、(b)成分としてのアルミナ粉末、その他必要により添加される添加剤のうちで無機充填剤、有機充填剤、着色剤等については、溶剤中に均一分散していれば、必ずしも溶剤に溶解していなくてもよい。
また、このワニスを支持材としてのベースフィルム上に塗布し、乾燥させることでフィルム状接着剤を形成してもよく、あるいはこのワニスを銅箔上又は銅板上に塗布し、乾燥させることによってフィルム状接着剤付き銅箔又は銅板を形成してもよい。ここで、硬化前のフィルム状接着剤、又は硬化前のフィルム状接着剤付き銅箔若しくは銅板のフィルム支持性については、溶剤残存率が高いほどフィルム支持性が良好な傾向にあるが、溶剤残存率が高すぎると、硬化前のフィルム状接着剤、又は硬化前のフィルム状接着剤付き銅箔若しくは銅板にタックが発生したり、硬化時に発泡が発生したりする。したがって、溶剤残存率は5重量%以下が好ましい。なお、ここでの溶剤残存率は、180℃雰囲気にて60分乾燥した際の、フィルム状接着剤部分の正味重量減少率の測定により求めた値である。また、上記フィルム状接着剤及びフィルム状接着剤付き銅箔若しくは銅板については、溶剤を含まない樹脂組成物を支持材としてのベースフィルム上に加熱溶融状態で塗布した後、冷却するようにして得てもよい。
フィルム状接着剤又はフィルム状接着剤付き銅箔若しくは銅板を形成する際に用いる支持材としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、銅箔、アルミ箔、離型紙等を挙げることができる。この支持材の厚みについては、例えば10〜100μmの範囲内とすることが一般的である。また、支持材として、例えば銅、アルミ等の金属箔若しくは金属板を用いることもでき、これらの製造方法は電解法でもよいし、圧延法でもよい。
また、フィルム状接着剤又はフィルム状接着剤付き銅箔は、支持材としてのベースフィルム上に貼り合わされた後、貼り合わされていないもう一方の面を、保護材としてのフィルムで覆い、ロール状に巻き取って保存することもできる。この際に用いられる保護材としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、離型紙等が挙げられ、この保護材の厚みについては例えば10〜100μmの範囲内とするのが一般的である。
樹脂組成物は、必須成分である(イ)及び(ロ)成分及び任意成分である(ハ)及び(b)成分のほかに、フィルム状接着剤又はフィルム状接着剤付き銅箔若しくは銅板とした際の可とう性向上の観点から、必要に応じて、ビスフェノ−ル型フェノキシ樹脂を添加することができる。具体的には、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂、フルオレン型フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノールF型フェノキシ樹脂等が挙げられる。使用するビスフェノ−ル型フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば10,000〜200,000が好ましく、20,000〜100,000であることがより好ましい。重量平均分子量が10,000より小さいと、樹脂組成物としての耐熱性、機械的強度、可とう性の低下を招くことがあり、200,000より大きいと有機溶剤への溶解性、エポキシ樹脂、硬化剤との相溶性等の作業性の低下を招くことがあり、加えて、ワニスとしての粘度、またはフィルム状接着剤としての溶融粘度が増大して、絶縁樹脂接着層27としての加工性や接着性が低下したり、表面状態が悪くなったりすることがある。尚、ここでの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)測定によるポリスチレン換算の値である。
このビスフェノ−ル型フェノキシ樹脂の含有率については、樹脂組成物の不揮発成分当たり、例えば60重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましい。ビスフェノ−ル型フェノキシ樹脂の含有率が60重量%より多くなると有機溶剤への溶解性が低下したり、(イ)エポキシ樹脂や(ハ)硬化剤との相溶性等の作業性の低下を招くことに加えて、ワニスとしての粘度やフィルム状接着剤としての溶融粘度が増大して、絶縁樹脂接着層27としての加工性、接着性が低下したり、表面状態が悪くなったりする。場合によっては耐熱性の低下を招く傾向になる。
また、樹脂組成物には、フィルム状接着剤又はフィルム状接着剤付き銅箔若しくは銅板とした際のフィルム支持性向上や絶縁樹脂接着層27としての低弾性化等の観点から、必要に応じて、ゴム成分を添加することができる。このようなゴム成分としては、例えばポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム等が挙げられる。使用するゴムの重量平均分子量については、例えば10,000〜1,000,000、好ましくは20,000〜500,000であるのがよい。重量平均分子量が10,000より小さいと樹脂組成物として、耐熱性、機械的強度、可とう性の低下を招くのに加えて、硬化前段階でのフィルム支持性の低下を招くことがある。重量平均分子量が1,000,000より大きいと有機溶剤への溶解性、エポキシ樹脂、硬化剤との相溶性等の作業性の低下を招くことがあるのに加えて、ワニスとしての粘度、またはフィルム状接着剤としての溶融粘度が増大して、絶縁樹脂接着層27としての加工性や接着性が低下したり、表面状態が悪くなったりする場合がある。なお、ここでの重量平均分子量は、GPC測定によるポリスチレン換算の値である。これらのゴムは1種又は2種以上を用いることができる。また、ゴム成分として用いるゴムの純度については、耐電圧特性、耐湿信頼性向上の観点から、イオン性不純物の少ないものがよい。
また、樹脂組成物には、ボイド低減や平滑性向上等の観点から、必要に応じて、例えばフッ素系、シリコーン系等の消泡剤、レベリング剤等を添加することができる。また、第1の金属箔層25及び第2の金属箔層29等の部材との密着性向上の観点から、樹脂組成物にシランカップリング剤、熱可塑性オリゴマー等の密着性付与剤を添加することができる。
更には、樹脂組成物には、(b)成分としてのアルミナ粉末以外の充填剤として、必要に応じて、アルミナ以外の無機充填剤、有機充填剤を添加してもよい。この場合の無機充填剤としては、例えばシリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を例に挙げることができ、また、有機充填剤としては、例えばシリコンパウダー、ナイロンパウダー、アクリロニトリル-ブタジエン系架橋ゴム等を例に挙げることができる。これらの充填剤についてはその1種又は2種以上を用いることができる。
更にまた、樹脂組成物には、必要に応じて、フタロシアニン・グリーン、フタロシアニン・ブルー、カーボンブラック等の着色剤を配合することができる。
<エッチング工程>
次に、図5に示すように、両面金属張積層体40の一方の側の金属箔(図5では、金属箔25A)を、エッチングによって所定のパターンに加工する。すなわち、両面金属張積層体40の片側の面の金属箔25Aをエッチングにより部分的に除去し、複数のパターン化金属箔25Bを形成する。エッチングは、フォトリソグラフィー技術を利用して実施できる。例えば、まず、両面金属張積層体の金属箔25Aに所定のレジストパターンを形成する。次に、塩化第二鉄又は塩化第二銅を主成分とする水溶液等のエッチング液を用いて露出した部分の金属箔25Aをエッチングし、その後レジストを剥離すればよい。
次に、図5に示すように、両面金属張積層体40の一方の側の金属箔(図5では、金属箔25A)を、エッチングによって所定のパターンに加工する。すなわち、両面金属張積層体40の片側の面の金属箔25Aをエッチングにより部分的に除去し、複数のパターン化金属箔25Bを形成する。エッチングは、フォトリソグラフィー技術を利用して実施できる。例えば、まず、両面金属張積層体の金属箔25Aに所定のレジストパターンを形成する。次に、塩化第二鉄又は塩化第二銅を主成分とする水溶液等のエッチング液を用いて露出した部分の金属箔25Aをエッチングし、その後レジストを剥離すればよい。
エッチングは、積層構造体3に加工した場合に第1の金属箔層25となるパターン化金属箔25Bの外側(つまり、周囲)に、樹脂フィルム27Aが露出するように行う。樹脂フィルム27Aの露出部分は、次の工程で樹脂フィルム27Aと金属箔29Aを切断する際の切断部位となる。
<切断工程>
次に、図6に示すように、エッチングによって片側の金属箔25Aが除去された領域内で、積層された樹脂フィルム27Aと金属箔29Aを切断し、少なくとも一つのパターン化金属箔25Bを含む複数の積層体50に分割する。切断の方法は、特に制限はなく、例えばプレス打ち抜き、回転ソー、ウォータージェット等を用いて行うことができる。
次に、図6に示すように、エッチングによって片側の金属箔25Aが除去された領域内で、積層された樹脂フィルム27Aと金属箔29Aを切断し、少なくとも一つのパターン化金属箔25Bを含む複数の積層体50に分割する。切断の方法は、特に制限はなく、例えばプレス打ち抜き、回転ソー、ウォータージェット等を用いて行うことができる。
このようにして、小片樹脂フィルム27Bと、この小片樹脂フィルム27Bの片側の面に張り合わされた小片金属箔29Bと、もう一方の面に張り合わされたパターン化金属箔25Bと、を備えた複数の積層体50が形成される。なお、一つの小片樹脂フィルム27B上には、分離した2つ以上のパターン化金属箔25Bが形成されていてもよい。
また、積層構造体3をパワーモジュールに組み込んだ場合に、絶縁樹脂接着層27が十分な絶縁性能と耐圧性能を確保できるようにするために、切り出された積層体50の横断方向(ここでは、積層方向に直交する方向を意味する)において、パターン化金属箔25Bの端部と、小片樹脂フィルム27Bの端部との間の距離(沿面距離)Lを十分に確保することが必要である。沿面距離Lは、パワーモジュールの種類や大きさ、半導体素子1とスペーサー33との間の電圧などに応じて決定することができるが、例えば1mm以上20mm以下とすることが好ましく、2mm以上10mm以下とすることがより好ましい。このように、本実施の形態では、金属箔25Aのエッチングと、樹脂フィルム27Aの切断によって、十分な絶縁性能を確保するための沿面距離Lを自由に調節できる。また、エッチングや切断は、高精度なフォトリソグラフィー技術と切断技術により可能であるため、プレス加工での位置決めにより沿面距離Lの精度が左右されていた従来方法に比べて、沿面距離Lをより高精度に規定できる。
<接合工程>
ここからの工程では、一つの積層体50を例に挙げて説明する。接合工程では、図7A〜7Cに示すように、積層体50に、リードフレーム21となる金属板21Aと、スペーサー33となる金属板33Aを接合する。この工程では、例えば図7Aに示すように、積層体50の上下両側に金属板21A及び金属板33Aを位置合わせして配置し、これら3つを同時に接合してもよい。また、図7Bに示すように、まず積層体50と金属板21Aを接合した後、金属板33Aを接合してもよい。あるいは、図7Cに示すように、まず積層体50と金属板33Aを接合した後、金属板21Aを接合してもよい。図7A〜図7Cは、接合の順序が異なるだけで接合方法は同じであり、いずれもハンダ付け、金属系接着剤等による金属接合技術によって実施できる。接合工程の回数を省略できるという観点では、図7Aに示すように金属板21Aと積層体50と金属板33Aを同時に接合することが好ましい。
ここからの工程では、一つの積層体50を例に挙げて説明する。接合工程では、図7A〜7Cに示すように、積層体50に、リードフレーム21となる金属板21Aと、スペーサー33となる金属板33Aを接合する。この工程では、例えば図7Aに示すように、積層体50の上下両側に金属板21A及び金属板33Aを位置合わせして配置し、これら3つを同時に接合してもよい。また、図7Bに示すように、まず積層体50と金属板21Aを接合した後、金属板33Aを接合してもよい。あるいは、図7Cに示すように、まず積層体50と金属板33Aを接合した後、金属板21Aを接合してもよい。図7A〜図7Cは、接合の順序が異なるだけで接合方法は同じであり、いずれもハンダ付け、金属系接着剤等による金属接合技術によって実施できる。接合工程の回数を省略できるという観点では、図7Aに示すように金属板21Aと積層体50と金属板33Aを同時に接合することが好ましい。
積層体50と、金属板21A及び金属板33Aを接合する工程では、図7A〜7Cに示すように、対向する接合面のどちらかにハンダペースト23A,31Aを塗布し、加熱して張り合わせる。なお、図7B及び図7Cに示す場合は、金属板21A−積層体50間、及び積層体50−金属板33A間に介在させるハンダの融点を変えて、融点の高いハンダから先に接合するようにすることが好ましい。この場合、相対的に高融点のハンダ材料としては、例えば、ニホンハンダ株式会社製のPF305(商品名)(融点;220℃)、同FNS(商品名)(融点;219℃)、同O3(商品名)(融点;221℃)、同24(商品名)(融点;240℃)、タムラ化研株式会社製のTFL−204−SIS(商品名)(融点;220℃)、同TFL−204−151(商品名)(融点;220℃)、同TFL−204−MDS(商品名)(融点;213℃)、株式会社日本スペリア製のSN100C P800(商品名)(融点;227℃)、同SN100CL(商品名)(融点;227℃)等、相対的に低融点のハンダ材料としては、例えば、タムラ化研株式会社製のTFL−801−17(商品名)(融点;195〜209℃)、同TFL−401−11(商品名)(融点;139℃)、株式会社日本スペリア社製のB157(商品名)(融点;139℃)、同SN88(商品名)(融点;198〜210℃)等を用いることができる。
以上のようにして、リードフレーム21と、接合層23と、第1の金属箔層25と、絶縁樹脂接着層27と、第2の金属箔層29と、接合層31と、スペーサー33が、上からこの順に積層された積層体60が形成される(図8参照)。
<実装工程>
次に、図8に示すように、積層体60の最上部の金属板21の上に、例えばIGBT素子やFWD素子などの半導体素子1を接合する。接合方法は、ハンダ付け、ロウ付け等の金属接合技術によって実施できる。図8では、ハンダペースト17Aを半導体素子1に塗布して、リードフレーム21に接合する方法を示している。なお、半導体素子1への配線の接続は常法によって行うことができるので、ここでは説明を省略する。
次に、図8に示すように、積層体60の最上部の金属板21の上に、例えばIGBT素子やFWD素子などの半導体素子1を接合する。接合方法は、ハンダ付け、ロウ付け等の金属接合技術によって実施できる。図8では、ハンダペースト17Aを半導体素子1に塗布して、リードフレーム21に接合する方法を示している。なお、半導体素子1への配線の接続は常法によって行うことができるので、ここでは説明を省略する。
以上のようにして、図2に示すように、半導体素子1、接合層17、リードフレーム21、接合層23、第1の金属箔層25、絶縁樹脂接着層27、第2の金属箔層29、接合層31、スペーサー33が、上からこの順に積層された積層構造体3を製造することができる。以後は、常法に従い、ヒートシンク13と接合し、モジュール化することによって、例えばパワーモジュール100を製造することができる。
<変形例>
以上の工程において、積層体60を作成せず、半導体素子1と、金属板21Aと、積層体50と、金属板33Aとを同時に接合することも可能である。すなわち、上記接合工程と実装工程とを同時に行うことができる。例えば、図9に示したように、半導体素子1、金属板21A、積層体50及び金属板33Aを、対向する接合面のいずれかにハンダペースト17A,23A,31Aを塗布した後、位置合わせして配置し、これら4つのパーツを同時に接合してもよい。
以上の工程において、積層体60を作成せず、半導体素子1と、金属板21Aと、積層体50と、金属板33Aとを同時に接合することも可能である。すなわち、上記接合工程と実装工程とを同時に行うことができる。例えば、図9に示したように、半導体素子1、金属板21A、積層体50及び金属板33Aを、対向する接合面のいずれかにハンダペースト17A,23A,31Aを塗布した後、位置合わせして配置し、これら4つのパーツを同時に接合してもよい。
さらに、図7A〜図7Cのいずれかの状態で、金属板21Aと半導体素子1が接合したものを用いることにより、上記実装工程と接合工程を同時に実施することも可能である。すなわち、図7Aにおいて、金属板21Aに接合層17を介して半導体素子1が接合されていてもよい。また、図7Bにおいて、金属板21Aに接合層17を介して半導体素子1が接合されていてもよい。この場合は、金属板21Aと積層体50とを接合する前、又は接合した後に、半導体素子1を接合することができる。さらに、図7Cにおいて、金属板21Aに接合層17を介して半導体素子1が接合されていてもよい。
以上述べたように、本実施の形態の積層構造体の製造方法では、両面金属張積層体40を用いることにより、絶縁樹脂接着層とその上下の金属板とのプレス加工による接着を省略できる。つまり、両面金属張積層体40を用いれば、積層構造体3における他の部材との接合による積層は、金属接合技術のみによって行うことができる。そのため、従来法でのプレス加工の技術課題を回避できるだけでなく、総工数削減も可能となる。
両面金属張積層体40の製造は、既に技術的に確立されているプリント基板等の電子材料用途の両面金属張積層体の製造と同じプロセスで実施が可能であり、例えばプレス加工やキャスト法など種々の方法で容易に行うことができる。この工程をプレス加工で行う場合でも、図4に示すように、薄い樹脂フィルム27Aと金属箔25A,29Aとの積層プレスとなるため、リードフレーム等の金属板の形状とは無関係に一定の条件で実施できる上、大面積でのプレスであるため、均一な接着が可能であり、圧力むらが生じにくい。また、リードフレーム等の金属板に対して個別にプレス加工を行う従来法に比べて工数も削減できる。さらに、樹脂フィルム27Aや金属箔25A,29A、さらに両面金属張積層体40として、調達が容易な市販品を用いることも可能である。特に、市販のプリント基板用金属箔やプリント基板用両面金属張積層体は、金属箔表面に粗化処理、防錆処理がされており、新たにこれらの処理を行う必要がない。また、防錆処理により、積層構造体3が長期に高温にさらされても、Cuイオン等の金属イオンの拡散が起こりにくく、接着力の低下が生じない。
また、絶縁樹脂接着層27における沿面距離Lの確保は、両面金属張積層体40のエッチングによる金属箔25Aの部分的な除去により行うことができるので、難易度の高いプレス加工による位置ずれなどの問題は起こりえない。すなわち、従来法で個別に条件出しが必要であったプレス工程での沿面距離Lの調整は不要になる。しかも、エッチング工程では、フォトリソグラフィー技術を利用できるため、沿面距離Lの精度の確保も容易である。
また、エッチング後の積層体50と、リードフレーム21となる金属板21A、スペーサー33となる金属板33Aとの接合も、小片樹脂フィルム27Bの両面に金属箔(パターン化金属箔25B、小片金属箔29B)が存在しているため、例えばハンダ付け、ロウ付け等の慣用の金属接合技術により、容易に行うことが出来る。
以上の優れた特長により、積層構造体3を組み込んだ半導体モジュールの信頼性を高めることができる。
[第2の実施の形態]
次に、図10及び図11を参照しながら、第2の実施の形態にかかる積層構造体とパワーモジュールの構成例について説明する。なお、図10及び図11において、第1の実施の形態(図1及び図2)と同じ構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
次に、図10及び図11を参照しながら、第2の実施の形態にかかる積層構造体とパワーモジュールの構成例について説明する。なお、図10及び図11において、第1の実施の形態(図1及び図2)と同じ構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図10は、異なる半導体素子が実装されている積層構造体3A,3Bを備えたパワーモジュール101を示している。例えば、積層構造体3AにはIGBT素子1Aが実装されており、積層構造体3BにはFWD素子1Bが実装されている。積層構造体3A,3Bは、それぞれ基本的に図1に例示したものと同様の構成と機能を有しているが、図11に拡大して示したように、二つの積層構造体3A,3Bにおいて、絶縁樹脂接着層27、第2の金属箔層29、接合層31、スペーサー33が共通化されている。換言すれば、リードフレーム21、接合層23、第1の金属箔層25は、IGBT素子1A側とFWD素子1B側で異なる電気的制御を受ける部分であるため、別々に分離させているが、絶縁樹脂接着層27より下層は、熱伝導機能が確保できればよいので共有されている。
このような構造の積層構造体3A,3Bは、エッチング工程でのパターン設計で十分な沿面距離Lが確保できるようにするとともに、切断工程で切り出される積層体50がそれぞれ2つのパターン化金属箔25Bを含むように切断する点以外は、第1の実施の形態と同様に製造することができる(図6参照)。積層構造体3A,3Bでは、最終的に一枚の小片樹脂フィルム27Bの上に、2つの半導体素子(IGBT素子1A、FWD素子1B)を実装しているが、リードフレーム21の積層に、プレス加工は必要とせず、ハンダ付けやロウ付けにより容易に接合を行なうことができるため、従来法のような問題は生じない。すなわち、図11のような構造を、金属板(リードフレーム21)をプレス加工により絶縁樹脂接着層27に圧着させることによって製造することは非常に難易度が高いが、両面金属張積層体40を用いることによって容易に製造できる。なお、共通化された絶縁樹脂接着層27の上には、2つに限らず、3つ以上の半導体素子でも制約なく簡単に実装できる。このように、絶縁樹脂接着層27を共有化して複数の半導体素子を容易に実装できることも、両面金属張積層体40を用いることの大きなメリットである。
本実施の形態にかかるパワーモジュール101及び積層構造体3A及び3Bの他の構成及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、図12を参照しながら、本発明の第3の実施の形態にかかる積層構造体を備えたパワーモジュールについて説明する。図12に示すように、パワーモジュール102は、2つの半導体素子として、IGBT素子1AとFWD素子1Bを備えている。IGBT素子1Aは、接合層17を介して2つの積層体60A,60Cに上下から挟持されるように実装されている。FWD素子1Bは、接合層17を介して2つの積層体60B,60Dに上下から挟持されるように実装されている。
次に、図12を参照しながら、本発明の第3の実施の形態にかかる積層構造体を備えたパワーモジュールについて説明する。図12に示すように、パワーモジュール102は、2つの半導体素子として、IGBT素子1AとFWD素子1Bを備えている。IGBT素子1Aは、接合層17を介して2つの積層体60A,60Cに上下から挟持されるように実装されている。FWD素子1Bは、接合層17を介して2つの積層体60B,60Dに上下から挟持されるように実装されている。
積層体60A,60B,60C,60Dの構成は、第1の実施の形態の図8に示したものと同様であるが、積層体60Aと60B、積層体60Cと60Dにおいて、それぞれ伝熱金属層としてのスペーサー33C,33Dが共通化されている。スペーサー33C,33Dは、第1及び第2の実施の形態よりも大型に形成されており、互いに対向するように配置されている。スペーサー33C,33Dは、図示しない放熱部材としてのヒートシンクへの熱伝導を媒介するように構成されている。なお、積層体60Aと60B、積層体60Cと60Dのそれぞれに、個別にスペーサー33を設けることもできる。
4つの積層体60A〜60Dの製造方法は、第1の実施の形態と同様である。そして、最終的にIGBT素子1Aを介して2つの積層体60A,60Cを、また、FWD素子1Bを介して積層体60B,60Dを、上下が逆になるように配置して接合することによって図12に示すような上下対称な構造にすることができる。
パワーモジュール102では、IGBT素子1A、FWD素子1B及び積層体60A,60B,60C,60Dを間に挟むように、大型のスペーサー33C,33Dを配置し、モールド樹脂71によって封止することにより、モジュール化されている。このような両面冷却構造のパワーモジュール102は、IGBT素子1AとFWD素子1Bの上下に設けられた放熱構造によって、素子の冷却効率に優れており、パワーモジュールとしての動作信頼性をさらに向上させることができる。
本実施の形態にかかるパワーモジュール102の他の構成及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
本実施例に用いた略号を以下に示す。m-TB:2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニルTPE-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンBAPP:2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンPMDA:ピロメリット酸二無水物BPDA:3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
[熱伝導率] 所定量のエポキシ樹脂のフィルム状接着剤を用いて、圧縮プレス成形機にて180℃で10分加熱し、プレスから取り出した後、さらに乾燥機中にて180℃で50分加熱することにより、直径50mm、厚さ5mmの円盤状試験片を得た。この試験片を、英弘精機製HC−110を用いて、定常法により熱伝導率を測定した。
[厚さ方向熱伝導率(λz)]
測定対象のポリイミドフィルム(絶縁フィルム、以下同じ)を20mm×20mmのサイズに切り出し、レーザーフラッシュ法による厚さ方向の熱拡散率(ブルカー・エイエックスエス製LFA 447 Nanoflash装置)、DSC(示差走査熱量測定)による比熱、気体置換法による密度をそれぞれ測定し、これらの結果をもとに熱伝導率を算出した。
測定対象のポリイミドフィルム(絶縁フィルム、以下同じ)を20mm×20mmのサイズに切り出し、レーザーフラッシュ法による厚さ方向の熱拡散率(ブルカー・エイエックスエス製LFA 447 Nanoflash装置)、DSC(示差走査熱量測定)による比熱、気体置換法による密度をそれぞれ測定し、これらの結果をもとに熱伝導率を算出した。
[熱膨張係数(CTE)]
3mm×15mmのサイズの絶縁フィルムを、熱機械分析(TMA)装置にて5gの荷重を加えながら一定の昇温速度(20℃/min)で30℃から260℃の温度範囲で引張り試験を行い、温度に対する絶縁フィルムの伸び量から線熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
3mm×15mmのサイズの絶縁フィルムを、熱機械分析(TMA)装置にて5gの荷重を加えながら一定の昇温速度(20℃/min)で30℃から260℃の温度範囲で引張り試験を行い、温度に対する絶縁フィルムの伸び量から線熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
絶縁フィルム(10mm×22.6mm)を動的熱機械分析装置にて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度(tanδ極大値:℃)を求めた。
絶縁フィルム(10mm×22.6mm)を動的熱機械分析装置にて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度(tanδ極大値:℃)を求めた。
[引き裂き伝播抵抗]
63.5mm×50mmの絶縁フィルムを準備し、試験片に長さ12.7mmの切り込みを入れ、東洋精機製の軽荷重引き裂き試験機を用い測定した。
63.5mm×50mmの絶縁フィルムを準備し、試験片に長さ12.7mmの切り込みを入れ、東洋精機製の軽荷重引き裂き試験機を用い測定した。
[接着強度]
接着力は、テンションテスターを用い、幅1mmの銅張品の樹脂側を両面テープによりアルミ板に固定し、銅を180°方向に50mm/minの速度で剥離してピール強度を求めた。
接着力は、テンションテスターを用い、幅1mmの銅張品の樹脂側を両面テープによりアルミ板に固定し、銅を180°方向に50mm/minの速度で剥離してピール強度を求めた。
[反り]
目視にて金属―絶縁樹脂積層体(サイズ10cm×10cm)の反り状況を判断した。反りが10mm未満で平坦なものは○(良好)とし、10mm以上曲がるものは×(不良)とした。
目視にて金属―絶縁樹脂積層体(サイズ10cm×10cm)の反り状況を判断した。反りが10mm未満で平坦なものは○(良好)とし、10mm以上曲がるものは×(不良)とした。
[半田耐熱性]
金属―絶縁樹脂基板を所定形状で回路加工を行い、400℃を上限として各温度の半田浴に30秒漬け膨れを確認した。膨れが生じていない温度を半田耐熱温度とした。
金属―絶縁樹脂基板を所定形状で回路加工を行い、400℃を上限として各温度の半田浴に30秒漬け膨れを確認した。膨れが生じていない温度を半田耐熱温度とした。
[耐電圧]
両面に銅箔を有する金属−絶縁樹脂基板を5cm×5cmのサイズでカットし、片側の銅箔を直径2cm円状に加工し、不要部分は銅箔エッチング液で除去した。JIS C2110に基づき、KIKUSUI製TOS 5101装置にて、段階昇圧法により、絶縁油中にて耐電圧を測定した。0.2kV刻みで電圧をステップ上昇させ、各電圧において20秒保持し、漏れ電流8.5mAとし、破壊した電圧の一つ前の値を初期耐電圧とした。
サンプルを120℃/95RH%湿度の環境に24時間保持後、測定した耐電圧を湿熱後耐電圧とした。
両面に銅箔を有する金属−絶縁樹脂基板を5cm×5cmのサイズでカットし、片側の銅箔を直径2cm円状に加工し、不要部分は銅箔エッチング液で除去した。JIS C2110に基づき、KIKUSUI製TOS 5101装置にて、段階昇圧法により、絶縁油中にて耐電圧を測定した。0.2kV刻みで電圧をステップ上昇させ、各電圧において20秒保持し、漏れ電流8.5mAとし、破壊した電圧の一つ前の値を初期耐電圧とした。
サンプルを120℃/95RH%湿度の環境に24時間保持後、測定した耐電圧を湿熱後耐電圧とした。
[外観]
金属―絶縁樹脂基板の金属層を除去した絶縁層表面の目視による判断を行った。表面に凝集体があり、凹凸が生じたサンプルは×(不良)とし、平滑なものは○(良好)とした。
金属―絶縁樹脂基板の金属層を除去した絶縁層表面の目視による判断を行った。表面に凝集体があり、凹凸が生じたサンプルは×(不良)とし、平滑なものは○(良好)とした。
合成例1
窒素気流下で、m−TB(12.73g、0.060mol)及びTPE−R(1.95g、0.007mol)を300mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc170g中に溶解させた。次いで、PMDA(11.46g、0.053mol)、BPDA(3.86g、0.013mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、茶褐色の粘稠なポリアミド酸樹脂溶液(P1)を得た。
窒素気流下で、m−TB(12.73g、0.060mol)及びTPE−R(1.95g、0.007mol)を300mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc170g中に溶解させた。次いで、PMDA(11.46g、0.053mol)、BPDA(3.86g、0.013mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、茶褐色の粘稠なポリアミド酸樹脂溶液(P1)を得た。
合成例2
窒素気流下で、BAPP(15.02g、0.037mol)を300mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc170g中に溶解させた。次いで、PMDA(17.73g、0.035mol)、BPDA(0.55g、0.002mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、茶褐色の粘稠なポリアミド酸樹脂溶液(P2)を得た。
窒素気流下で、BAPP(15.02g、0.037mol)を300mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc170g中に溶解させた。次いで、PMDA(17.73g、0.035mol)、BPDA(0.55g、0.002mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、茶褐色の粘稠なポリアミド酸樹脂溶液(P2)を得た。
合成例3
窒素気流下で、m−TB(10.38g、0.049mol)及びDAPE(8.01g、0.040mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc262.50g中に溶解させた。次いで、PMDA(19.10g、0.088mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、茶褐色の粘稠なポリアミド酸樹脂溶液(P3)を得た。
窒素気流下で、m−TB(10.38g、0.049mol)及びDAPE(8.01g、0.040mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc262.50g中に溶解させた。次いで、PMDA(19.10g、0.088mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、茶褐色の粘稠なポリアミド酸樹脂溶液(P3)を得た。
合成例4
窒素気流下で、BAPP(23.20g、0.057mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc264g中に溶解させた。次いで、PMDA(11.9473g、0.0548mol)、BPDA(0.8482g、0.0029mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、茶褐色の粘稠なポリアミド酸樹脂溶液(P4)を得た。
窒素気流下で、BAPP(23.20g、0.057mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc264g中に溶解させた。次いで、PMDA(11.9473g、0.0548mol)、BPDA(0.8482g、0.0029mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、茶褐色の粘稠なポリアミド酸樹脂溶液(P4)を得た。
作製例1 固形分濃度15wt%のポリアミド酸樹脂溶液(P1)200重量部と、板状フィラーとして窒化ホウ素(電気化学工業(株)社製、商品名:HGPE、鱗片形状、平均長径4.5μm)を分級機により30μm以上の粒子を取除いたもの15重量部と、球状フィラーとしてアルミナ(住友化学(株)社製、商品名:AA−3、球状、平均粒子径3μm)15重量部とを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P1’)を得た。このポリアミド酸樹脂溶液(P1’)を硬化後の厚みが25μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。その後、130〜360℃の温度範囲で、段階的に30分かけて昇温加熱して、防錆処理を施した厚さ12μmの電解銅箔上にポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーが分散した絶縁層を形成し、中間体1を作製した。この絶縁層における窒化ホウ素及びアルミナの含有量は各25wt%である。すなわち、絶縁層中における熱伝導性フィラーの合計の重量分率は50wt%である。また、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P1’)には、25μm以上の熱伝導性フィラーは含有されていなかった。この中間体1における絶縁層の構成を表1に示す。
得られた中間体1における絶縁層(フィルム)の特性を評価するために銅箔をエッチング除去して絶縁フィルム(F1)を作製し、CTE、引き裂き伝播抵抗、ガラス転移温度、熱伝導率をそれぞれ評価した。結果を表2に示す。更に、中間体1の特性評価結果を表3に示した。
得られた中間体1のフィルム面に金属原料が成膜されるように、RFマグネトロンスパッタリング装置にセットし、槽内を3×10−4Paまで減圧した後、アルゴンガスを導入し真空度を2×10−1Paとし、RF電源にてプラズマを発生した。このプラズマにてニッケル:クロムの合金層[比率8:2、99.9wt%、以下、ニクロム層(第一スパッタリング層)]が膜厚30nmとなるように成膜した。ニクロム層を成膜した後、同一雰囲気にて、このニクロム層上にさらにスパッタリングにより銅(99.99wt%)を0.2μm成膜して第二スパッタリング層を得た。次いで、上記スパッタ膜(第二スパッタリング層)を電極として電解めっき浴にて12μm厚の銅めっき層を形成した。電解めっき浴としては、硫酸銅浴(硫酸銅100g/L、硫酸220g/L、塩素40mg/L、アノードは含りん銅)を使用し、電流密度2.0A/dm2にてめっき膜を形成した。めっき後には十分な蒸留水で洗浄し乾燥を行った。このようにして両面金属の中間体1’を作製した。
作製例2
固形分濃度15wt%のポリアミド酸樹脂溶液(P1)200重量部と、板状フィラーとして窒化ホウ素(昭和電工(株)社製、商品名:UHP−1、鱗片形状、平均長径8μm)を分級機により25μm以上の粒子を取除いたもの15重量部と、球状フィラーとしてアルミナ(住友化学(株)社製、商品名:AA−3、球状、平均粒子径3μm)15重量部とを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P1”)を得た。
固形分濃度15wt%のポリアミド酸樹脂溶液(P1)200重量部と、板状フィラーとして窒化ホウ素(昭和電工(株)社製、商品名:UHP−1、鱗片形状、平均長径8μm)を分級機により25μm以上の粒子を取除いたもの15重量部と、球状フィラーとしてアルミナ(住友化学(株)社製、商品名:AA−3、球状、平均粒子径3μm)15重量部とを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P1”)を得た。
作製例1で用いたと同じ銅箔上に、フィラーを配合していないポリアミド酸樹脂溶液(P2)を硬化後の厚みが2μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。次に、その上に、上記の熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P1”)を硬化後の厚みが21μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。さらに、その上にフィラーを配合していないポリアミド酸樹脂溶液(P2)を硬化後の厚みが2μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去し、その後、130〜360℃の温度範囲で、段階的に30分かけて昇温加熱して、銅箔上に3層のポリイミド層からなる絶縁層を有する中間体2を作製した。この中間体2における絶縁層の構成を表1に示す。
得られた中間体2における絶縁層(フィルム)の特性を評価するために銅箔をエッチング除去して絶縁フィルム(F2)を作製し、CTE、引き裂き伝播抵抗、ガラス転移温度、熱伝導率をそれぞれ評価した。結果を表2に示す。更に、中間体2の特性評価結果を表3に示した。
得られた中間体2のフィルム面に金属原料が成膜されるように、RFマグネトロンスパッタリング装置にセットし、槽内を3×10−4Paまで減圧した後、アルゴンガスを導入し真空度を2×10−1Paとし、RF電源にてプラズマを発生した。このプラズマにてニッケル:クロムの合金層[比率8:2、99.9wt%、以下、ニクロム層(第一スパッタリング層)]が膜厚30nmとなるように成膜した。ニクロム層を成膜した後、同一雰囲気にて、このニクロム層上にさらにスパッタリングにより銅(99.99wt%)を0.2μm成膜して第二スパッタリング層を得た。次いで、上記スパッタ膜(第二スパッタリング層)を電極として電解めっき浴にて12μm厚の銅めっき層を形成した。電解めっき浴としては、硫酸銅浴(硫酸銅100g/L、硫酸220g/L、塩素40mg/L、アノードは含りん銅)を使用し、電流密度2.0A/dm2にてめっき膜を形成した。めっき後には十分な蒸留水で洗浄し乾燥を行った。このようにして両面金属の中間体2’を作製した。
作製例3
固形分濃度12.5wt%のポリアミド酸溶液(P3)72.71gと、板状フィラーとして窒化ホウ素(電気化学工業(株)社製、商品名:SP−3’、鱗片形状、平均長径2.2μm)を分級機により11μmを超える粒子を取除いたもの7.49gと、球状フィラーとしてアルミナ(住友化学(株)社製、商品名:AA−3、球状、平均粒子径3μm、最大粒子径11μm)19.80gとを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P3’)を得た。
固形分濃度12.5wt%のポリアミド酸溶液(P3)72.71gと、板状フィラーとして窒化ホウ素(電気化学工業(株)社製、商品名:SP−3’、鱗片形状、平均長径2.2μm)を分級機により11μmを超える粒子を取除いたもの7.49gと、球状フィラーとしてアルミナ(住友化学(株)社製、商品名:AA−3、球状、平均粒子径3μm、最大粒子径11μm)19.80gとを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P3’)を得た。
防錆処理を施した厚さ35μmの電解銅箔上に、フィラーを配合していないポリアミド酸樹脂溶液(P4)を硬化後の厚みが1.5μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。次に、その上に、上記の熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P3’)を硬化後の厚みが21μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。さらに、その上にフィラーを配合していないポリアミド酸樹脂溶液(P4)を硬化後の厚みが1.5μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去し、その後、130〜300℃の温度範囲で、段階的に20分かけて昇温加熱して、銅箔上に3層のポリイミド層からなる絶縁層を有する中間体3を作製した。この中間体3における絶縁層の構成を表4に示す。
得られた中間体3における絶縁層(フィルム)の特性を評価するために銅箔をエッチング除去して絶縁フィルム(F3)を作製し、CTE、引き裂き伝播抵抗、ガラス転移温度、熱伝導率をそれぞれ評価した。結果を表5に示す。更に、中間体3における絶縁層と銅箔との接着強度を表6に示す。
また、得られた中間体3の耐熱樹脂層の上に作製例1で用いたのと同じ、厚さ12μmの電解銅箔を最高380℃の温度でプレスを行い、両面金属の中間体3’を得た。これを耐電圧測定に使用した。結果を表6に示す。
作製例4
固形分濃度12.0wt%のポリアミド酸溶液(P4)74.54gと、板状フィラーとして窒化ホウ素(電気化学工業(株)社製、商品名:SP−3’、鱗片形状、平均長径2.2μm)を分級機により11μmを超える粒子を取除いたもの9.22gと、球状フィラーとしてアルミナ(住友化学(株)社製、商品名:AA−3、球状、平均粒子径3μm、最大粒子径11μm)16.24gとを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P4’)を得た。
固形分濃度12.0wt%のポリアミド酸溶液(P4)74.54gと、板状フィラーとして窒化ホウ素(電気化学工業(株)社製、商品名:SP−3’、鱗片形状、平均長径2.2μm)を分級機により11μmを超える粒子を取除いたもの9.22gと、球状フィラーとしてアルミナ(住友化学(株)社製、商品名:AA−3、球状、平均粒子径3μm、最大粒子径11μm)16.24gとを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P4’)を得た。
防錆処理を施した厚さ35μmの電解銅箔上に、フィラーを配合していないポリアミド酸樹脂溶液(P4)を硬化後の厚みが1.5μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。次に、その上に、上記の熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P4’)を硬化後の厚みが21μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。さらに、その上にフィラーを配合していないポリアミド酸樹脂溶液(P4)を硬化後の厚みが1.5μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去し、その後、130〜300℃の温度範囲で、段階的に20分かけて昇温加熱して、銅箔上に3層のポリイミド層からなる絶縁層を有する中間体4を作製した。この中間体4における絶縁層の構成を表4に示す。
得られた中間体4における絶縁層(フィルム)の特性を評価するために銅箔をエッチング除去して絶縁フィルム(F4)を作製し、CTE、引き裂き伝播抵抗、ガラス転移温度、熱伝導率をそれぞれ評価した。結果を表5に示す。更に、中間体4における絶縁層と銅箔との接着強度を表6に示す。
また、得られた中間体4の耐熱樹脂層の上に作製例1で用いたのと同じ、厚さ12μmの電解銅箔を最高380℃の温度でプレスを行い、両面金属の中間体4’を得た。これを耐電圧測定に使用した。結果を表6に示す。
作製例5
固形分濃度12.5wt%のポリアミド酸溶液(P3)57.60gと、板状フィラーとして窒化ホウ素(電気化学工業(株)社製、商品名:SP−3’、鱗片形状、平均長径2.2μm)を分級機により11μmを超える粒子を取除いたもの15.7gと、球状フィラーとしてアルミナ(住友化学(株)社製、商品名:AA−3、球状、平均粒子径3μm、最大粒子径11μm)3.1gとを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P3”)を得た。
固形分濃度12.5wt%のポリアミド酸溶液(P3)57.60gと、板状フィラーとして窒化ホウ素(電気化学工業(株)社製、商品名:SP−3’、鱗片形状、平均長径2.2μm)を分級機により11μmを超える粒子を取除いたもの15.7gと、球状フィラーとしてアルミナ(住友化学(株)社製、商品名:AA−3、球状、平均粒子径3μm、最大粒子径11μm)3.1gとを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P3”)を得た。
防錆処理を施した厚さ35μmの電解銅箔上に、フィラーを配合していないポリアミド酸樹脂溶液(P4)を硬化後の厚みが1.5μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。次に、その上に、上記の熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P3”)を硬化後の厚みが23μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。さらに、その上にフィラーを配合していないポリアミド酸樹脂溶液(P4)を硬化後の厚みが1.5μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去し、その後、130〜300℃の温度範囲で、段階的に20分かけて昇温加熱して、銅箔上に3層のポリイミド層からなる絶縁層を有する中間体5を作製した。この中間体における絶縁層の構成を表4に示す。
得られた中間体5における絶縁層(フィルム)の特性を評価するために銅箔をエッチング除去して絶縁フィルム(F5)を作製し、CTE、引き裂き伝播抵抗、ガラス転移温度、熱伝導率をそれぞれ評価した。結果を表5に示す。更に、中間体5における絶縁層と銅箔との接着強度を表6に示す。
また、得られた中間体5の耐熱樹脂層の上に作製例1で用いたのと同じ、厚さ12μmの電解銅箔を最高380℃の温度でプレスを行い、両面金属の中間体5’を得た。これを耐電圧測定に使用した。結果を表6に示す。
作製例6
固形分濃度12.5wt%のポリアミド酸溶液(P3)79.5gと、板状フィラーとして窒化ホウ素(電気化学工業(株)社製、商品名:SP−3’、鱗片形状、平均長径2.2μm)を分級機により11μmを超える粒子を取除いたもの8.4gと、球状フィラーとして窒化アルミニウム(トクヤマ(株)社製、商品名:AlN−H、球状、平均粒子径1.1μm)12.09gとを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P3''')を得た。
固形分濃度12.5wt%のポリアミド酸溶液(P3)79.5gと、板状フィラーとして窒化ホウ素(電気化学工業(株)社製、商品名:SP−3’、鱗片形状、平均長径2.2μm)を分級機により11μmを超える粒子を取除いたもの8.4gと、球状フィラーとして窒化アルミニウム(トクヤマ(株)社製、商品名:AlN−H、球状、平均粒子径1.1μm)12.09gとを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P3''')を得た。
防錆処理を施した厚さ35μmの電解銅箔上に、上記の熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸樹脂溶液(P3''')を硬化後の厚みが25μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。その後、130〜300℃の温度範囲で、段階的に20分かけて昇温加熱して、銅箔上に1層のポリイミド層からなる絶縁層を有する中間体6を作製した。この中間体6における絶縁層の構成を表4に示す。
得られた中間体6における絶縁層(フィルム)の特性を評価するために銅箔をエッチング除去して絶縁フィルム(F6)を作製し、CTE、引き裂き伝播抵抗、ガラス転移温度、熱伝導率をそれぞれ評価した。結果を表5に示す。更に、中間体6における絶縁層と銅箔との接着強度を表6に示す。
また、得られた中間体6の耐熱樹脂層の上に防錆処理を施した厚さ12μmの電解銅箔を最高380℃の温度でプレスを行い、両面金属の中間体6’を得た。これを耐電圧測定に使用した。結果を表6に示す。
[実施例1]
エポキシ高熱伝導樹脂接着シート(新日鐵化学株式会社製、商品名;NEX160、樹脂組成物の固形分当たりのアルミナ含有率93重量%、厚み120μm、熱伝導率6W/mk)を150mm×150mmに切断し、支持基材から剥離して、Bステージ状態のエポキシ樹脂フィルムを準備した。このフィルムを150mm×150mmに切断した2枚の銅箔(古河電気工業株式会社製、商品名;F2WS−18、厚さ18μm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=3.0)で挟み、大気下、温度180℃、圧力4MPa、時間10分間の条件で熱圧着後、180℃、60分間の熱オーブンによる加熱硬化を行い、銅箔層201a、絶縁層201b、及び銅箔層201cから構成される積層板201を作製した。このときの熱圧着は、2組のクッション材(クラフト紙2枚を、1.8mm厚みのステンレス板で挟んだもの)で積層板201を挟み、また、クッション材と、積層板201における銅箔層201a面及び銅箔層201c面のそれぞれの間に、離型シート(フッ素樹脂含浸クロス、中興化成工業株式会社製、商品名;ファブリック)を挟んで行った。
エポキシ高熱伝導樹脂接着シート(新日鐵化学株式会社製、商品名;NEX160、樹脂組成物の固形分当たりのアルミナ含有率93重量%、厚み120μm、熱伝導率6W/mk)を150mm×150mmに切断し、支持基材から剥離して、Bステージ状態のエポキシ樹脂フィルムを準備した。このフィルムを150mm×150mmに切断した2枚の銅箔(古河電気工業株式会社製、商品名;F2WS−18、厚さ18μm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=3.0)で挟み、大気下、温度180℃、圧力4MPa、時間10分間の条件で熱圧着後、180℃、60分間の熱オーブンによる加熱硬化を行い、銅箔層201a、絶縁層201b、及び銅箔層201cから構成される積層板201を作製した。このときの熱圧着は、2組のクッション材(クラフト紙2枚を、1.8mm厚みのステンレス板で挟んだもの)で積層板201を挟み、また、クッション材と、積層板201における銅箔層201a面及び銅箔層201c面のそれぞれの間に、離型シート(フッ素樹脂含浸クロス、中興化成工業株式会社製、商品名;ファブリック)を挟んで行った。
次に、積層板201にエッチング加工を施し、銅箔層201a’(縦×横×厚さ=50mm×50mm×18μm)を形成した。この銅箔層201a’より縦横がそれぞれ5mmずつ大きくなるよう絶縁層201b’と銅箔層201c’を切断し、銅箔層201a’(縦×横×厚さ=50mm×50mm×18μm)、絶縁層201b’(縦×横×厚さ=60mm×60mm×120μm)、及び銅箔層201c’(縦×横×厚さ=60mm×60mm×18μm)から構成される積層板201’を作製した(図13参照)。作製した積層板201’の銅箔層201a’及び銅箔層201c’の表面にハンダペースト(タムラ化研株式会社製、商品名;ソルダーペーストLFSOLDER TLF−204−151)を全面に塗布した後、それぞれの面に銅板201a’’(縦×横×厚さ=50mm×50mm×1mm)及び銅板201c’’(縦×横×厚さ=60mm×60mm×1mm)をそれぞれ重ね合わせ、310℃に予め設定した熱風オーブン内で20分間加熱してハンダペーストを溶解してハンダ接合し、金属張積層板201を作製した(図14参照)。
[実施例2]
銅箔層202a(厚さ18μm)、ポリイミド絶縁層202b(厚さ25μm)、及び銅箔層202c(厚さ18μm)から構成される積層板202(新日鐵化学株式会社製、商品名;MB18−25−18CEG、縦×横=150mm×150mm)を用意し、実施例1と同様にして、この積層板202にエッチング加工及び切断加工を施し、銅箔層202a’(縦×横×厚さ=50mm×50mm×18μm)、絶縁層202b’(ポリイミド樹脂層、縦×横×厚さ=60mm×60mm×25μm)、及び銅箔層202c’(縦×横×厚さ=60mm×60mm×18μm)から構成される積層板202’を作製した。次に、実施例1と同様にして、作製した積層板202’の両面に銅板202a’’及び銅板202c’’をそれぞれハンダ接合して、金属張積層板202を作製した。
銅箔層202a(厚さ18μm)、ポリイミド絶縁層202b(厚さ25μm)、及び銅箔層202c(厚さ18μm)から構成される積層板202(新日鐵化学株式会社製、商品名;MB18−25−18CEG、縦×横=150mm×150mm)を用意し、実施例1と同様にして、この積層板202にエッチング加工及び切断加工を施し、銅箔層202a’(縦×横×厚さ=50mm×50mm×18μm)、絶縁層202b’(ポリイミド樹脂層、縦×横×厚さ=60mm×60mm×25μm)、及び銅箔層202c’(縦×横×厚さ=60mm×60mm×18μm)から構成される積層板202’を作製した。次に、実施例1と同様にして、作製した積層板202’の両面に銅板202a’’及び銅板202c’’をそれぞれハンダ接合して、金属張積層板202を作製した。
[実施例3]
実施例2における積層板202の代わりに、作製例1の中間体1’を使用した以外は、実施例2と同様にして、金属張積層板を作製した。なお、エッチング加工は、厚さ12μmの銅箔層の側を行った。
実施例2における積層板202の代わりに、作製例1の中間体1’を使用した以外は、実施例2と同様にして、金属張積層板を作製した。なお、エッチング加工は、厚さ12μmの銅箔層の側を行った。
[実施例4]
実施例2における積層板202の代わりに、作製例2の中間体2’を使用した以外は、実施例2と同様にして、金属張積層板を作製した。なお、エッチング加工は、厚さ12μmの銅箔層の側を行った。
実施例2における積層板202の代わりに、作製例2の中間体2’を使用した以外は、実施例2と同様にして、金属張積層板を作製した。なお、エッチング加工は、厚さ12μmの銅箔層の側を行った。
[実施例5]
実施例2における積層板202の代わりに、作製例3の中間体3’を使用した以外は、実施例2と同様にして、金属張積層板を作製した。なお、エッチング加工は、厚さ12μmの銅箔層の側を行った。
実施例2における積層板202の代わりに、作製例3の中間体3’を使用した以外は、実施例2と同様にして、金属張積層板を作製した。なお、エッチング加工は、厚さ12μmの銅箔層の側を行った。
[実施例6]
実施例2における積層板202の代わりに、作製例4の中間体4’を使用した以外は、実施例2と同様にして、金属張積層板を作製した。なお、エッチング加工は、厚さ12μmの銅箔層の側を行った。
実施例2における積層板202の代わりに、作製例4の中間体4’を使用した以外は、実施例2と同様にして、金属張積層板を作製した。なお、エッチング加工は、厚さ12μmの銅箔層の側を行った。
[実施例7]
実施例2における積層板202の代わりに、作製例5の中間体5’を使用した以外は、実施例2と同様にして、金属張積層板を作製した。なお、エッチング加工は、厚さ12μmの銅箔層の側を行った。
実施例2における積層板202の代わりに、作製例5の中間体5’を使用した以外は、実施例2と同様にして、金属張積層板を作製した。なお、エッチング加工は、厚さ12μmの銅箔層の側を行った。
[比較例1]
エポキシ高熱伝導樹脂接着シート(新日鐵化学株式会社製、商品名;NEX160)を60mm×60mmに切断し、支持基材から剥離して、Bステージ状態のエポキシ樹脂フィルムを準備した。このフィルムの片側の面に、市販の無酸素銅板203(JIS C1020、縦×横×厚さ=60mm×60mm×1mm、表面粗化処理なし)を配置し、2枚のPETフィルムで樹脂側及び銅箔側を挟み込んだ後、真空ラミネート装置を使用し、減圧下、温度100℃、圧力0.4MPa、時間1分間の条件で仮圧着を行った。仮貼り付けした無酸素銅板付きエポキシ樹脂フィルムの樹脂側の面の中央部に、サイズの異なる市販の無酸素銅板203’(JIS C1020、縦×横×厚さ=50mm×50mm×1mm、表面粗化処理なし)を配置し、大気下、温度180℃、圧力4MPa、時間10分間の条件で熱圧着した後、180℃、60分間の熱オーブンによる加熱硬化を行い、金属張積層板203を作製した。このときの熱圧着は、実施例1と同様にして、クッション材及び離型シートを用いることによって行った。
エポキシ高熱伝導樹脂接着シート(新日鐵化学株式会社製、商品名;NEX160)を60mm×60mmに切断し、支持基材から剥離して、Bステージ状態のエポキシ樹脂フィルムを準備した。このフィルムの片側の面に、市販の無酸素銅板203(JIS C1020、縦×横×厚さ=60mm×60mm×1mm、表面粗化処理なし)を配置し、2枚のPETフィルムで樹脂側及び銅箔側を挟み込んだ後、真空ラミネート装置を使用し、減圧下、温度100℃、圧力0.4MPa、時間1分間の条件で仮圧着を行った。仮貼り付けした無酸素銅板付きエポキシ樹脂フィルムの樹脂側の面の中央部に、サイズの異なる市販の無酸素銅板203’(JIS C1020、縦×横×厚さ=50mm×50mm×1mm、表面粗化処理なし)を配置し、大気下、温度180℃、圧力4MPa、時間10分間の条件で熱圧着した後、180℃、60分間の熱オーブンによる加熱硬化を行い、金属張積層板203を作製した。このときの熱圧着は、実施例1と同様にして、クッション材及び離型シートを用いることによって行った。
[比較例2]
エポキシ高熱伝導樹脂接着シート(新日鐵化学株式会社製、商品名;NEX160)を60mm×60mmに切断し、支持基材から剥離して、Bステージ状態のエポキシ樹脂フィルムを準備した。このフィルムの片側の面に、予めサンドブラスト処理(処理条件;アルミナ#220、エア圧力0.4MPa)を施した市販の無酸素銅板204(JIS C1020、縦×横×厚さ=60mm×60mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=3.5)を配置し、2枚のPETフィルムで樹脂側及び銅箔側を挟み込んだ後、真空ラミネート装置を使用し、減圧下、温度100℃、圧力0.4MPa、時間1分間の条件で仮圧着を行った。仮貼り付けした無酸素銅板付きエポキシ樹脂フィルムの樹脂側の面の中央部に、上記と同様のサンドブラスト処理を施したサイズの異なる市販の無酸素銅板204’(JIS C1020、縦×横×厚さ=50mm×50mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=3.5)を配置し、大気下、温度180℃、圧力4MPa、時間10分間の条件で熱圧着した後、180℃、60分間の熱オーブンによる加熱硬化を行い、金属張積層板204を作製した。このときの熱圧着は、実施例1と同様にして、クッション材としてクラフト紙2枚をステンレス板で挟んだものを使用し、またクッション材及び離型シートを用いることによって行った。
エポキシ高熱伝導樹脂接着シート(新日鐵化学株式会社製、商品名;NEX160)を60mm×60mmに切断し、支持基材から剥離して、Bステージ状態のエポキシ樹脂フィルムを準備した。このフィルムの片側の面に、予めサンドブラスト処理(処理条件;アルミナ#220、エア圧力0.4MPa)を施した市販の無酸素銅板204(JIS C1020、縦×横×厚さ=60mm×60mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=3.5)を配置し、2枚のPETフィルムで樹脂側及び銅箔側を挟み込んだ後、真空ラミネート装置を使用し、減圧下、温度100℃、圧力0.4MPa、時間1分間の条件で仮圧着を行った。仮貼り付けした無酸素銅板付きエポキシ樹脂フィルムの樹脂側の面の中央部に、上記と同様のサンドブラスト処理を施したサイズの異なる市販の無酸素銅板204’(JIS C1020、縦×横×厚さ=50mm×50mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=3.5)を配置し、大気下、温度180℃、圧力4MPa、時間10分間の条件で熱圧着した後、180℃、60分間の熱オーブンによる加熱硬化を行い、金属張積層板204を作製した。このときの熱圧着は、実施例1と同様にして、クッション材としてクラフト紙2枚をステンレス板で挟んだものを使用し、またクッション材及び離型シートを用いることによって行った。
[比較例3]
エポキシ高熱伝導樹脂接着シート(新日鐵化学株式会社製、商品名;NEX160)を60mm×60mmに切断し、支持基材から剥離して、Bステージ状態のエポキシ樹脂フィルムを準備した。このフィルムの片側の面に、予めウェットブラスト処理(処理条件;アルミナ#320、エア圧力0.2MPa)を施した市販の無酸素銅板205(JIS C1020、縦×横×厚さ=60mm×60mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=2.0)を配置し、2枚のPETフィルムで樹脂側及び銅箔側を挟み込んだ後、真空ラミネート装置を使用し、減圧下、温度100℃、圧力0.4MPa、時間1分間の条件で仮圧着を行った。仮貼り付けした無酸素銅板付きエポキシ樹脂フィルムの樹脂側の面の中央部に、上記と同様のウェットブラスト処理を施したサイズの異なる市販の無酸素銅板205’(JIS C1020、縦×横×厚さ=50mm×50mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=2.0)を配置し、大気下、温度180℃、圧力4MPa、時間10分間の条件で熱圧着した後、180℃、60分間の熱オーブンによる加熱硬化を行い、金属張積層板205を作製した。このときの熱圧着は、実施例1と同様にして、クッション材及び離型シートを用いることによって行った。
エポキシ高熱伝導樹脂接着シート(新日鐵化学株式会社製、商品名;NEX160)を60mm×60mmに切断し、支持基材から剥離して、Bステージ状態のエポキシ樹脂フィルムを準備した。このフィルムの片側の面に、予めウェットブラスト処理(処理条件;アルミナ#320、エア圧力0.2MPa)を施した市販の無酸素銅板205(JIS C1020、縦×横×厚さ=60mm×60mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=2.0)を配置し、2枚のPETフィルムで樹脂側及び銅箔側を挟み込んだ後、真空ラミネート装置を使用し、減圧下、温度100℃、圧力0.4MPa、時間1分間の条件で仮圧着を行った。仮貼り付けした無酸素銅板付きエポキシ樹脂フィルムの樹脂側の面の中央部に、上記と同様のウェットブラスト処理を施したサイズの異なる市販の無酸素銅板205’(JIS C1020、縦×横×厚さ=50mm×50mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=2.0)を配置し、大気下、温度180℃、圧力4MPa、時間10分間の条件で熱圧着した後、180℃、60分間の熱オーブンによる加熱硬化を行い、金属張積層板205を作製した。このときの熱圧着は、実施例1と同様にして、クッション材及び離型シートを用いることによって行った。
[比較例4]
両面銅張ポリイミド積層板(新日鐵化学株式会社製、商品名;MB18−25−18CEG、縦×横=60mm×60mm)の両面の銅箔層をエッチングにより除去し、25μmの厚みのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの片側の面に、予めウェットブラスト処理(処理条件;アルミナ#320、エア圧力0.2MPa)を施した市販の無酸素銅板206(JIS C1020、縦×横×厚さ=60mm×60mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=2.0)を配置し、また反対側の面に、上記と同様のウェットブラスト処理を施したサイズの異なる市販の無酸素銅板206’(JIS C1020、縦×横×厚さ=50mm×50mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=2.0)を樹脂面の中央部に配置した後、大気下、温度390℃、圧力10MPa、時間25分間の条件で熱圧着して、金属張積層板206を作製した。このときの熱圧着は、金属張積層板206における銅板206側の面に、クッション材(1枚のザイロンシートを、2枚の1.8mm厚みのステンレスで挟んだもの)を配置し、クッション材と銅板206側の面の間に離型板(前記の両面銅張ポリイミド積層板)を挟み、また、金属張積層板206における銅板206’側の面に、無酸素銅板(JIS C1020、縦×横×厚さ=50mm×50mm×1mm、表面粗化処理なし)を配置し、無酸素銅板と銅板206’側の面の間に、離型板(前記の両面銅張ポリイミド積層板)を挟んで行った。
両面銅張ポリイミド積層板(新日鐵化学株式会社製、商品名;MB18−25−18CEG、縦×横=60mm×60mm)の両面の銅箔層をエッチングにより除去し、25μmの厚みのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの片側の面に、予めウェットブラスト処理(処理条件;アルミナ#320、エア圧力0.2MPa)を施した市販の無酸素銅板206(JIS C1020、縦×横×厚さ=60mm×60mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=2.0)を配置し、また反対側の面に、上記と同様のウェットブラスト処理を施したサイズの異なる市販の無酸素銅板206’(JIS C1020、縦×横×厚さ=50mm×50mm×1mm、フィルムと接する面の表面粗度Rz=2.0)を樹脂面の中央部に配置した後、大気下、温度390℃、圧力10MPa、時間25分間の条件で熱圧着して、金属張積層板206を作製した。このときの熱圧着は、金属張積層板206における銅板206側の面に、クッション材(1枚のザイロンシートを、2枚の1.8mm厚みのステンレスで挟んだもの)を配置し、クッション材と銅板206側の面の間に離型板(前記の両面銅張ポリイミド積層板)を挟み、また、金属張積層板206における銅板206’側の面に、無酸素銅板(JIS C1020、縦×横×厚さ=50mm×50mm×1mm、表面粗化処理なし)を配置し、無酸素銅板と銅板206’側の面の間に、離型板(前記の両面銅張ポリイミド積層板)を挟んで行った。
作製例7〜作製例11
エポキシ接着剤フィルム作製のために、樹脂組成物を得るために使用した原料と略号は以下の通りである。
エポキシ接着剤フィルム作製のために、樹脂組成物を得るために使用した原料と略号は以下の通りである。
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂(1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名;YD128、エポキシ当量189、液状)
エポキシ樹脂(1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名;YD128、エポキシ当量189、液状)
エポキシ樹脂(2):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名;YF−170、エポキシ当量170、液状)
エポキシ樹脂(3):o‐クレゾールノボラックエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名;EOCN−1020−55、エポキシ当量200、軟化点55℃)
(B)硬化剤
硬化剤(1):ジシアンアミド(活性水素当量21)
硬化剤(1):ジシアンアミド(活性水素当量21)
硬化剤(2):フェノールノボラック(群栄化学工業株式会社製、PSM−4261、フェノール性水酸基当量105、軟化点80℃)
(C)硬化促進剤
硬化促進剤(1):2−エチル−4−イミダゾール
硬化促進剤(1):2−エチル−4−イミダゾール
(D)フェノキシ樹脂
フェノキシ樹脂(1):ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製、YP−50)
フェノキシ樹脂(1):ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製、YP−50)
フェノキシ樹脂(2):ビスフェノールAF型フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製、YP−70)
フェノキシ樹脂(3):ビスフェノールS型フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製、YPS−007)
(E)アルミナ粉末
表7に示すアルミナ粉末(1)〜(3)を用いた。なお、表中の各項目については、以下に説明する通りにそれぞれ求めた。
表7に示すアルミナ粉末(1)〜(3)を用いた。なお、表中の各項目については、以下に説明する通りにそれぞれ求めた。
[アルミナ粉末の粒子径分布パラメータ]測定対象のアルミナ粉末を、分散媒である0.2wt%ヘキサメタりん酸ナトリウム溶液に試料濃度が0.04wt%になるように計量して混合し、超音波ホモジナイザーを用いて3分間分散させた。このアルミナ分散液を、粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300EX(日機装株式会社製)を用いて、波長780nmの半導体レーザの照射により得られた散乱光から粒子径分布を測定した。
最大粒子径は、前記測定法により得られた粒子径分布において、粒子の全体積を100%としたとき、粒子径の体積分率の分布カーブにおいて、ある粒子径以上で粒子の分布確率が全て0となるときの粒子径の最小値を示す。
平均粒子径D50は、前記測定法により得られた粒子径分布において、粒子の全体積を100%としたとき、粒子径の体積分率の累積カーブにおいて50%累積となるときの粒子径を示す。
上記で示した原料を用いて、表8に示す割合で配合した。まず、フェノキシ樹脂のみを、攪拌装置付きの容器中にて、メチルエチルケトン(MEK)に攪拌、溶解した。次に、この溶液に、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤を配合し、攪拌、溶解した。その後、ワニス中にアルミナ粉末を配合し、攪拌、分散させ、樹脂組成物ワニスを作製した。この樹脂組成物ワニスを、厚さ50μmの離型処理PETフィルム(三菱化学株式会社製、商品名;MR−50)に、乾燥後の樹脂層の厚さが150μmになるように塗布し、110℃で5分乾燥させた後、離型処理PETフィルムから剥離することにより、フィルム状接着シート(Bステージ状態のエポキシ樹脂フィルム)7〜11を作製した。なお、表8中の配合量の数値は、重量部を示す。
[実施例8]
実施例1におけるエポキシ高熱伝導樹脂接着シートの代わりに、作製例7で作製したフィルム状接着シート7(熱伝導率10W/mk)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板208を作製した。
実施例1におけるエポキシ高熱伝導樹脂接着シートの代わりに、作製例7で作製したフィルム状接着シート7(熱伝導率10W/mk)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板208を作製した。
[実施例9]
実施例1におけるエポキシ高熱伝導樹脂接着シートの代わりに、作製例8で作製したフィルム状接着シート8(熱伝導率10W/mk)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板209を作製した。
実施例1におけるエポキシ高熱伝導樹脂接着シートの代わりに、作製例8で作製したフィルム状接着シート8(熱伝導率10W/mk)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板209を作製した。
[実施例10]
実施例1におけるエポキシ高熱伝導樹脂接着シートの代わりに、作製例9で作製したフィルム状接着シート9(熱伝導率10W/mk)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板210を作製した。
実施例1におけるエポキシ高熱伝導樹脂接着シートの代わりに、作製例9で作製したフィルム状接着シート9(熱伝導率10W/mk)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板210を作製した。
[実施例11]
実施例1におけるエポキシ高熱伝導樹脂接着シートの代わりに、作製例10で作製したフィルム状接着シート10(熱伝導率10W/mk)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板211を作製した。
実施例1におけるエポキシ高熱伝導樹脂接着シートの代わりに、作製例10で作製したフィルム状接着シート10(熱伝導率10W/mk)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板211を作製した。
[実施例12]
実施例1におけるエポキシ高熱伝導樹脂接着シートの代わりに、作製例11で作製したフィルム状接着シート11(熱伝導率10W/mk)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板212を作製した。
実施例1におけるエポキシ高熱伝導樹脂接着シートの代わりに、作製例11で作製したフィルム状接着シート11(熱伝導率10W/mk)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板212を作製した。
(金属張積層板の評価)
1)熱圧着後の樹脂フロー(銅端部からの樹脂の盛り上がり)
比較例1〜3においては、いずれも各金属張積層板の製造過程において、サイズの異なる銅板を熱圧着した際に、銅板が絶縁層に押し込まれるのと同時に、絶縁層と接する銅板面の端部に樹脂のフロー(樹脂の盛り上がり)が生じていることを確認した(図15参照)。比較例4においては、樹脂のフローは確認されなかったが、銅板の絶縁層への沈み込みが確認された。これに対し、実施例1及び2においては、樹脂のフロー又は銅箔層の沈み込みは確認されず、問題はなかった。
1)熱圧着後の樹脂フロー(銅端部からの樹脂の盛り上がり)
比較例1〜3においては、いずれも各金属張積層板の製造過程において、サイズの異なる銅板を熱圧着した際に、銅板が絶縁層に押し込まれるのと同時に、絶縁層と接する銅板面の端部に樹脂のフロー(樹脂の盛り上がり)が生じていることを確認した(図15参照)。比較例4においては、樹脂のフローは確認されなかったが、銅板の絶縁層への沈み込みが確認された。これに対し、実施例1及び2においては、樹脂のフロー又は銅箔層の沈み込みは確認されず、問題はなかった。
2)絶縁層と銅箔層(又は銅板層)の密着力
比較例1〜4で作製した各金属張積層板を300℃に予め設定した熱風オーブン内に20分間放置後、取り出し常温環境下にて急冷することで、チップ実装時の熱衝撃を模擬した。処理後、図16(a)に示すように、絶縁層と銅板層とを剥離し、密着力を確認したところ、比較例1〜4の金属張積層板においては、いずれも容易に引き剥がすことができた。また、引き剥がした絶縁層表面を図16(b)に示すように目視にて観察したところ、比較例1〜3では、いずれも圧着ムラと考えられる絶縁層側の接着面の変色が確認され、また、大きいサイズの銅板層側における銅板端部の圧着不足が原因と考えられる剥離が確認された。
比較例1〜4で作製した各金属張積層板を300℃に予め設定した熱風オーブン内に20分間放置後、取り出し常温環境下にて急冷することで、チップ実装時の熱衝撃を模擬した。処理後、図16(a)に示すように、絶縁層と銅板層とを剥離し、密着力を確認したところ、比較例1〜4の金属張積層板においては、いずれも容易に引き剥がすことができた。また、引き剥がした絶縁層表面を図16(b)に示すように目視にて観察したところ、比較例1〜3では、いずれも圧着ムラと考えられる絶縁層側の接着面の変色が確認され、また、大きいサイズの銅板層側における銅板端部の圧着不足が原因と考えられる剥離が確認された。
実施例1及び2では、各金属張積層板の製造過程におけるハンダ接合時の熱履歴が、チップ装着時の熱衝撃の模擬とできるので、得られた金属張積層板における絶縁層と銅箔層との密着力を評価した。実施例1及び2の金属張積層板においては、いずれもそれぞれの銅箔層側における絶縁層と銅箔層との剥離が困難であり、剥離面はいずれもハンダ接合部であった。つまり、実施例1及び2では、絶縁層と銅箔層との密着性が極めて強固なものであることが確認された。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。当業者は本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を成し得、それらも本発明の範囲内に含まれる。
1…半導体素子、3…積層構造体、17…接合層、21…リードフレーム、23…接合層、25…第1の金属箔層、27…絶縁樹脂接着層、29…第2の金属箔層、31…接合層、33…スペーサー
Claims (8)
- 半導体モジュールに用いる積層構造体であって、
半導体素子と、
前記半導体素子を支持するリードフレームと、
前記リードフレームに電気伝導可能かつ熱伝導可能に接合された第1の金属箔層と、
前記第1の金属箔層に接着した絶縁樹脂接着層と、
前記絶縁樹脂接着層に接着した第2の金属箔層と、
前記第2の金属箔層に熱伝導可能に接合され、放熱部材への熱伝導を媒介する伝熱金属層と、
を備えている積層構造体。 - 前記リードフレームと第1の金属箔層との接合部分、及び、前記第2の金属箔層と伝熱金属層との接合部分に、それぞれ、金属接合層を備えている請求項1に記載の積層構造体。
- 前記第1の金属箔層の前記絶縁樹脂接着層と当接する側の面、及び前記第2の金属箔層の前記絶縁樹脂接着層と当接する側の面に、それぞれ表面処理層を有する請求項1又は2に記載の積層構造体。
- 前記第1の金属箔層と、前記絶縁樹脂接着層と、前記第2の金属箔層と、が両面金属張積層体から加工されてなるものである請求項1から3のいずれかに記載の積層構造体。
- 前記両面金属張積層体が、ポリイミド樹脂フィルム又はエポキシ樹脂フィルムの両面に銅箔を張り合わせてなる両面銅張積層体である請求項4に記載の積層構造体。
- 半導体モジュールに用いる積層構造体の製造方法であって、
絶縁樹脂フィルムの両面に金属箔が積層された両面金属張積層体の片側の面の金属箔をエッチングにより部分的に除去し、複数のパターン化金属箔を形成する工程と、
前記エッチングを行った部位で、前記絶縁樹脂フィルムと他方の面の金属箔を切断し、少なくとも一つの前記パターン化金属箔を含む複数の積層体に分割する工程と、
前記積層体のパターン化金属箔の側にリードフレームとなる金属板を、前記積層体の他方の側に伝熱金属層となる金属板を、それぞれ接合する工程と、
前記リードフレームとなる金属板の外側に、さらに半導体素子を接合する工程と、
を備えた積層構造体の製造方法。 - 半導体モジュールに用いる積層構造体の製造方法であって、
絶縁樹脂フィルムの両面に金属箔が積層された両面金属張積層体の片側の面の金属箔をエッチングにより部分的に除去し、複数のパターン化金属箔を形成する工程と、
前記エッチングを行った部位で、前記絶縁樹脂フィルムと他方の面の金属箔を切断し、少なくとも一つの前記パターン化金属箔を含む複数の積層体に分割する工程と、
前記積層体のパターン化金属箔の側にリードフレームとなる金属板を配置するとともに、前記積層体の他方の側に伝熱金属層となる金属板を配置し、さらに、前記リードフレームとなる金属板の外側に半導体素子を配置して、これらを同時に接合する工程と、
を備えた積層構造体の製造方法。 - 前記接合する工程を、ハンダ付け又はロウ付けにより行う請求項6又は7に記載の積層構造体の製造方法。
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