従来のウェハのハンドリング方式として、搬送ハンドにウェハを真空吸着する方式(真空吸着方式)、搬送ハンドでウェハの側面を挟み込んで把持する方式(メカチャック方式)、搬送ハンドにウェハを静電気によって吸引する方式(静電チャック方式)、圧縮空気の噴流によって擬似的に真空状態として搬送ハンドにウェハを吸引する方式(フロートチャック方式)、および搬送ハンドの凹部内にウェハを落とし込む方式(落とし込み方式)などが公知である。
まず、真空吸着方式を用いたハンドリングについて説明する。真空吸着方式を用いたハンドリングでは、搬送ハンドとして、吸着孔を備えた吸着パッド、セラミックなどのポーラス状(多孔質)の吸着板を利用したポーラスチャックを有する吸着パッド、または真空ポンプにつながる通気用の孔と吸着孔が搬送ハンドの内部に設けられた吸着パッドなどが用いられる。また、真空吸着方式を用いたハンドリングでは、ウェハのおもて面の、素子構造が形成された部分(以下、デバイス面とする)にキズや汚れを生じさせないように、ウェハのデバイス面に対して反対側の、素子構造が形成されない面(以下、ウェハ裏面とする)を搬送ハンドに吸着させるのが一般的である。
図21〜図23は、従来の真空吸着方式を用いたハンドリングについて示す説明図である。図21〜図23では、ウェハ1の平面図におけるウェハ1のデバイス面2の素子構造については図示省略する(以下、図1、図5〜図11および図24〜図27においても同様)。図21に示すハンドリングでは、搬送ハンド101として、吸着孔を備えた吸着パッドが用いられている。搬送ハンド101は、ウェハ1の径よりも短いU字状のフィンガ部をウェハ1を合わせる部分(以下、吸着面とする)として設けた略矩形状をした板状の本体と、ウェハ1を吸着するための複数のゴムパッド102とを有している。各ゴムパッド102はそれぞれ、搬送ハンド101の吸着面上の例えばフィンガ部の端部および各フィンガ部を連結する部分に設けられ、搬送ハンド101の吸着面をウェハ1の裏面(ウェハ裏面)3に合わせたときに、ちょうどウェハ1と重なる部分に位置している。また、ゴムパッド102は、真空引きするためのエアチューブなどの配管103で、真空ポンプやエジェクターなどの真空発生源104と連結されている。ゴムパッド102が配管103を介して真空引きされることで、ウェハ裏面3がゴムパッド102に吸着され、搬送ハンド101上にウェハ1が保持される。
図22に示すハンドリングでは、真空発生源104に配管103を介してつながる通気用の孔113が、搬送ハンド111の内部に設けられている。また、搬送ハンド111は、ウェハ1の表面を吸着するための複数の吸着孔112を有している。各吸着孔112の位置は、図21に示すゴムパッドと同様である。また、各吸着孔112は、通気用の孔113に接続されている。つまり、吸着孔112は、通気用の孔113に接続された配管103を介して真空発生源104と連結されている。そして、搬送ハンド111の内部、つまり吸着孔112および通気用の孔113の内部が真空引きされることで、ウェハ裏面3が吸着孔112に吸着され、搬送ハンド111上にウェハ1が保持される。それ以外の構成は、図21に示す真空吸着方式を用いたハンドリングと同様である。
図23に示すハンドリングでは、搬送ハンド121は、ウェハ1の径より長く、かつウェハ1の径よりも狭い略矩形状をした板状の本体と、セラミックや焼結金属などで形成されたポーラス状の板材であるポーラスチャック122とを有している。ポーラスチャック122は、その表面が搬送ハンド121の吸着面に露出するように、搬送ハンド121の凹部に嵌め込まれている。ポーラスチャック122は、配管103を介して真空発生源104と連結されている。そして、ポーラスチャック122が配管103を介して真空引きされることで、ウェハ裏面3がポーラスチャック122に吸着され、搬送ハンド121上にウェハ1が保持される。
つぎに、メカチャック方式を用いたハンドリングについて説明する。メカチャック方式を用いたハンドリングでは、エアシリンダやモーターなどのアクチュエータによって駆動する爪などのメカニカルチャックを有する搬送ハンドが用いられる。
図24は、従来のメカチャック方式を用いたハンドリングについて示す説明図である。図24に示すハンドリングでは、搬送ハンド131は、ウェハ1の径より長く、かつウェハ1の径よりも狭い略矩形状をした板状の本体と、ウェハ1を把持するための複数の爪(以下、把持用爪とする)132とを有している。把持用爪132は、搬送ハンド131の内部に埋め込まれた例えばエアシリンダやモーターなどのアクチュエータ133に接続されている。アクチュエータ133によって、把持用爪132は、ウェハ1表面に対して水平に駆動され、ウェハ1の側面を挟み込む。
把持用爪132は、中央部が上部側および下部側よりも凹んだ断面形状を有する例えば筒状または柱状をしている。このため、把持用爪132がウェハ1の側面を挟み込んだとき、ウェハ1の側面の上下端部134のみが把持用爪132に接した状態となる。これにより、ウェハ1表面に対して垂直方向への位置ズレを防止し、把持用爪132から外れてしまうことを防止する。また、ウェハ1の表面と搬送ハンド131との間に空間ができるように把持用爪132の断面形状を決定することで、ウェハ1を搬送ハンド131から浮かせた状態で把持することができるので、ウェハ1のデバイス面2を搬送ハンド131側に向けて、ウェハ1を把持することもできる。
つぎに、静電チャック方式を用いたハンドリングについて説明する。静電チャック方式を用いたハンドリングでは、静電気を発生させる静電チャック機構などを有する搬送ハンドが用いられる。静電チャック方式は、吸引保持力が高いのが特徴である。しかし、静電チャック機構は重く嵩張るため、搬送ハンド自体の厚みが増してしまう。このため、ウェハの搬送には用いられず、ウェハを固定して保持する際に用いられることが多い。
図25は、従来の静電チャック方式を用いたハンドリングについて示す説明図である。図25に示すハンドリングでは、搬送ハンド141は、ウェハ1の径より長く、かつウェハ1の径よりも狭い略矩形状をした板状の本体と、静電気を発生させる静電チャック142とを有している。静電チャック142は、その表面が搬送ハンド141の吸着面に露出するように、搬送ハンド141の凹部に嵌め込まれている。静電チャック142の内部には、マイナス電極143とプラス電極144とが互いに離れて設けられている。マイナス電極143に接し、静電チャック142の表面に露出する誘電体145が設けられている。またプラス電極144に接し、静電チャック142の表面に露出する誘電体146が設けられている。マイナス電極143および誘電体145と、プラス電極144および誘電体146との間には絶縁体147が充填され、電気的に絶縁されている。真空吸着方式を用いたハンドリングと同様の理由から、搬送ハンド141にウェハ裏面3を吸着するのが一般的である。
搬送ハンド141の吸着面にウェハ裏面3を吸着させるには、まず、マイナス電極143とプラス電極144の両電極に高い電圧を印加する。これにより、誘電体145,146の内部に誘電分極が生じる。つまり、マイナス電極143に接する誘電体145の内部では、マイナス電極143側でプラスの電荷に偏り、ウェハ1側でマイナスの電荷に偏った電荷分布となる。これにより、ウェハ1の内部では、誘電体145側でプラスの電荷に偏った電荷分布となる。一方、プラス電極144からウェハ1にかけて生じる電荷分布は、マイナス電極143側と対極する電荷分布となる。このような電荷分布によって、ウェハ裏面3と静電チャック142との間に静電気的な吸引力が発生し、ウェハ1と静電チャック142とが吸着され、搬送ハンド141上にウェハ1が保持される。
つぎに、フロートチャック方式を用いたハンドリングについて説明する。フロートチャック方式を用いたハンドリングでは、ベルヌーイの原理を用いた圧縮空気の噴流によって負圧を発生させるフロートチャックを有する搬送ハンドが用いられる。ウェハは負圧によって浮上した状態で維持されるため、ウェハと搬送ハンドとが接触しない。ただし、ウェハが回転しないように、ウェハ側面またはウェハ表面の一部をハンドと接触させる場合もある。
図26は、従来のフロートチャック方式を用いたハンドリングについて示す説明図である。図26に示すハンドリングでは、搬送ハンド151は、ウェハ1の径よりも長いU字状のフィンガ部をウェハの吸着面として設けた略矩形状をした板状の本体と、搬送ハンド151の吸着面から圧縮空気を噴流させるための通気用の孔152とを有している。通気用の孔152は、搬送ハンド151の内部に設けられている。搬送ハンド151の吸着面には、ウェハ裏面3を吸着する複数の噴出孔153が設けられている。
各噴出孔153の位置は、図21に示すゴムパッドと同様である。また、各噴出孔153は、通気用の孔152に接続され、搬送ハンド151の内部で連結されている。さらに、噴出孔153は、通気用の孔152に接続されたエアチューブなどの配管154で、コンプレッサーなどの圧縮空気発生源155と連結されている。
そして、噴出孔153は、円錐台をくりぬいた形状の側壁を有し、通気用の孔152を介して圧縮空気発生源155から流れてくる圧縮空気161が噴出孔153の側壁に沿って旋回して外部へ噴出される構造となっている。このように、圧縮空気161が旋回して流れ出ることによって、噴出孔153の中央部には負圧160が発生し、擬似的な真空状態となる。そして、負圧160によって引き寄せられるように、噴出孔153にウェハ裏面3が吸引され、搬送ハンド151上にウェハ1が浮いた状態で保持される。
また、ウェハ1の径よりも長いフィンガ部には、搬送ハンド151の吸着面をウェハ裏面3に合わせたときにウェハ1と重ならない部分に、ウェハ裏面3に対して水平方向への位置ズレを防止するガイドピン156が設けられている。図26の断面図では、ガイドピン156は図示省略する。
つぎに、落とし込み方式を用いたハンドリングについて説明する。落とし込み方式を用いたハンドリングでは、ウェハがちょうど収まる程度の凹部が設けられた搬送ハンドが用いられる。落とし込み方式では、上述した各方式とは異なり、ウェハは搬送ハンドの凹部に置かれているだけであるため、ウェハに外的保持力は発生していない。
図27は、従来の落とし込み方式を用いたハンドリングについて示す説明図である。図27に示すハンドリングでは、搬送ハンド171は、ウェハ1の径より長く、かつウェハ1の径よりも狭い略矩形状をした板状の本体と、ウェハ1を収容するための凹部172とを有している。凹部172は、ウェハ1がちょうど収まる程度の大きさを有する。凹部172内にウェハ1を収容する際には、ウェハ裏面3側が凹部172の底面に接するように、凹部172内にウェハ1を落とし込む。または、搬送ハンド171でウェハ1を掬い上げ、凹部172内にウェハ1を収める。これにより、搬送時の慣性力や遠心力によってウェハ1が落下しないように搬送することができる。
このような搬送ハンドを有するハンドリング装置として、次のような装置が提案されている。レチクルハンドリング装置は先端にU字型ホークを備える。U字型ホークのアーム部間の側壁に設けられた段部上と、各アーム部の先端上には、吸着部が形成されている。吸着部は環状の突部と凹部を有し、突部上にレチクルが載置される。吸着部は、レチクルの外周縁のほぼ均等に離れた3ヶ所の点(保持点)を吸着して保持する。これにより、レチクルを安定して保持でき、脱落しないように安全に搬送できる。凹部は、アーム部の内部の吸着ホールに連通している。そして、この吸着ホールは、アーム部の長さ方向に沿って埋設された真空引き通路につながっている。段部の吸着部の凹部も同様の吸着ホールを経て真空引き通路につながっている。各真空引き通路は、基部で合流して一つの通路となって、アーム外の真空源にバルブを介して接続している(例えば、下記特許文献1参照。)。
また、別の装置として、少なくともリストブロックと搬送ハンドとフィンガと爪とからなる円盤状物の把持型搬送装置において、リストブロックと搬送ハンドとは互いに固定され、リストブロックに水平面内で回動可能に連結された2つのフィンガの先端にそれぞれ取り付けられた爪と、搬送ハンドの先端に固設された少なくとも1つの爪とによって、円盤状物の周縁を把持して前記円盤状物を搬送するための把持型搬送装置であって、全ての前記爪が前記円盤状物に接触してその周縁を把持した状態で、回動する2つのフィンガの先端に取り付けられた爪の周縁に接する点における押圧方向が、前記円盤状物のほぼ中心方向である装置が提案されている(例えば、下記特許文献2参照。)。
また、ウェハを搬送する方法として、次のような方法が提案されている。キャリア内の半導体基板を扁平状の移送ハンド体で1枚ずつ取り出して、次工程の加工ステージに移送するにおいて、キャリア内における半導体基板の下方に、移送ハンド体における一対のフォーク部を、半導体基板の外周縁と両フォーク部の付け根部分の内径側との間に隙間が空くようにして挿入する。次いで、移送ハンド体を上昇させるかまたはキャリアを下降させて、取り出し対象の半導体基板の左右両外周縁に近い部位を両フォーク部で支持する。なお、両フォーク部の上面には、半導体基板を吸着保持するための上向き開口状の吸引穴がそれぞれ形成されている(例えば、下記特許文献3参照。)。
また、上述した真空吸着方式を用いたハンドリングでは、次に示すように、搬送ハンドにウェハが吸着されているか否か(以下、ウェハの吸着状態とする)を判定する。図28は、従来の真空吸着方式を用いたハンドリングにおけるウェハの吸着状態を判定する判定手段を示す説明図である。例えば、図22に示す搬送ハンド111にウェハ1を真空吸着する場合について説明する。図28に示すように、真空発生源104と搬送ハンド111内の通気用の孔113との間には、真空発生源104と直列に、切替部201およびフィルター202が接続されている。切替部201は、ウェハ1の搬送ハンド111への吸着およびウェハ1の搬送ハンド111からの離脱を切替える。フィルター202は、吸着孔112から吸い込まれた塵などが、真空発生源104に入り込むことを防止する。
また、真空発生源104と通気用の孔113との間には、真空発生源104と並列に、圧力センサ203が接続されている。圧力センサ203は、通気用の孔113の内部の圧力を測定する。圧力センサ203よって測定された圧力値は、圧力センサ203に接続された圧力表示器204に表示される。真空発生源104と通気用の孔113間に接続された切替部201、フィルター202、圧力センサ203および圧力表示器204は、それぞれ配管103によって接続されている。
図28に示す判定手段では、圧力センサ203によって測定された圧力値によって、真空漏れの有無を判断し、ウェハ1の吸着状態を判定する。具体的には、圧力センサ203によって測定された圧力が大気圧から所定の値以上減圧され、真空状態であるといえる場合に、真空漏れはないと判断し、ウェハ1と搬送ハンド111との間においてウェハ1が受けている吸着力(以下、吸着圧力とする)は強く、ウェハ1は搬送ハンド111に吸着されていると判定する。一方、圧力センサ203によって測定された圧力値では通気用の孔113の内部が真空状態であるとはいえない場合に、真空漏れがあると判断し、ウェハ1への吸着圧力は低く、ウェハ1は搬送ハンド111に吸着されていないと判定する。
このようにウェハの吸着状態を判定する判定手段として、次のような手段が提案されている。吸着ハンド内には空気通路が設けられ、この空気通路の開口部として吸着孔が吸着バンドの下面に設けられ、空気通路の末端が真空ポンプ等の吸気口に連通接続されている。また、空気通路の一部には吸気圧を検出するための圧力センサが設置され、この圧力センサの検出圧力が一定値以下になったとき、吸着ハンドがその下面にシリコンウェハを吸着したことが検出される(例えば、下記特許文献4参照。)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるウェハ搬送装置およびウェハ搬送方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかるハンドリングについて示す説明図である。ここでは、ウェハの裏面3側の外周端部の全周または一部を補強部(リブ部)12として残して、裏面3の中央部(裏面中央部)13を薄くし、裏面3側を段差形状としたウェハ(リブウェハ)10を用いて説明する(図19参照)。図1に示すハンドリングでは、搬送ハンド(搬送手段)20は、板状の本体とリブウェハ10を吸着するための吸着孔22とを有している。板状の本体のウェハカセット(不図示)への挿入方向の長さは、リブウェハ10の径より長いのが好適である。複数の吸着孔22を意図する箇所に設けることができるためであるが、この点については後述する。
また、板状の本体のウェハカセットへの挿入方向と直行する方向の長さ(幅)は、リブウェハ10の径よりも狭いのがよい。搬送ハンド20を図示省略するウェハカセットに挿入したときに、搬送ハンド20がウェハカセットに接触しないようにするためである。ウェハカセットの側壁から内側に向かってウェハを支持する部分が張り出している場合、搬送ハンド20は、このウェハカセット側壁のウェハを支持する部分にも接触しないような寸法を有するのが好ましい。搬送ハンド20の本体の内部には、第1通気用の孔21および第2通気用の孔23が設けられている。また、搬送ハンド20の本体は、リブウェハ10を合わせる部分(吸着面)の幅aが、リブウェハ10を合わせない部分の幅bに比べて広い形状となっている。
搬送ハンド20の吸着面には、リブウェハ10の素子構造が形成されない部分(デバイス面2以外の領域)11に接触してリブウェハ10を支持する段差部24(支持部)が設けられている。段差部24は、搬送ハンド20のうち、リブウェハ10のおもて面の素子構造が設けられた部分(デバイス面)2に対向する部分よりもリブウェハ10側に突出している。このため、搬送ハンド20のうち、リブウェハ10のおもて面の素子構造が設けられた部分2に対向する部分は、リブウェハ10に接触しない部分となっている。
つまり、段差部24は、搬送ハンド20をリブウェハ10に合わせたときに、リブウェハ10のおもて面の素子構造が形成されない部分11と重なり、リブウェハ10のおもて面の素子構造が設けられた部分(デバイス面)2とは重ならない。例えば、リブウェハ10では、おもて面の素子構造が形成されない部分11は、リブ部12となっている。すなわち、段差部24は、リブウェハ10のリブ部12と重なる位置に設けられている。
なお、段差部24のリブウェハ10と接触する面は、リブウェハ10を傷つけないように加工されている。この段差部24のリブウェハ10との接触面は、例えば研磨されているとよい。図1に示すように、突起状の段差部24を設けて、この段差部24でリブウェハ10を吸着する構成であれば、研磨する面積が少なくて済む。
また、図示省略するが、低発塵性の樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン)を段差部24のリブウェハ10との接触面(表面)に貼ってもよい。このようにすることで、段差部24にリブウェハ10のどちらの面を吸着させた場合であっても、リブウェハ10の表面を傷つけることがない。また、両者の密着度が向上するため、エア漏れを低減することができる。
段差部24には、吸着孔22が設けられている。第1通気用の孔21は、複数設けられている。そして、各第1通気用の孔21は、それぞれ少なくとも1つ以上の吸着孔22に接続されている。また、吸着孔22は、搬送ハンド20にリブウェハ10をバランスよく吸着できる位置に設けられるのが望ましい。また、吸着孔22は、できるだけ吸着面積が大きくなるように設けられるのがよい。
例えば、吸着孔22は、リブウェハ10の外周に沿った円弧形状を有する。具体的には、図1に示すように、吸着孔22は、リブウェハ10の外周に沿った周辺部を吸着することができる位置に、かつリブウェハ10の中心位置を挟んで向かい合うように複数箇所に設けられている。このとき、段差部24は、リブウェハ10の外周に沿った周辺部の全周の、少なくとも吸着孔22が設けられた位置に設けられていればよい。
各吸着孔22は、搬送ハンド20の内部に設けられた第1通気用の孔21によって接続され、搬送ハンド20の内部で連結されている。例えば、図1に示すように、第1通気用の孔21は、円弧形状を有する向かい合う吸着孔22の端部同士を接続する。つまり、図1では、吸着孔22および第1通気用の孔21によって形成される平面形状は、例えば略小判形状となる。このように、全ての吸着孔22および第1通気用の孔21は、ひとつながりになっている。
また、第1通気用の孔21には、吸着孔22を介して第2通気用の孔23が接続されている。第2通気用の孔23は、搬送ハンド20の内部に設けられている。また、第2通気用の孔23は、搬送ハンド20の外部に接続された真空引きするための配管25を介して、真空発生源(真空発生手段)26に連結されている。つまり、搬送ハンド20の内部には、吸着孔22と配管25をつなぐ、第1通気用の孔21および第2通気用の孔23によって形成され連続した孔(真空系統)が設けられている。搬送ハンド20は例えばクリーンルーム内で用いられることが多いため、配管25は、塵を発生させない材料で形成されていることが望ましい。
真空発生源26は、搬送ハンド20の内部、つまり吸着孔22、第1通気用の孔21および第2通気用の孔23の内部を真空引きする。搬送ハンド20の内部が真空引きされることで、リブウェハ10は、吸着孔22に吸着され、搬送ハンド20上に保持される。配管25は、エアチューブなどであってもよい。真空発生源26は、真空ポンプやエジェクターなどであってもよい。
搬送ハンド20の端部には、搬送ハンド20をリブウェハ10に合わせたときに、ちょうどリブウェハ10の側面に接する位置に、ガイドピン27が設けられている。ガイドピン27は、搬送ハンド20にリブウェハ10を吸着する位置を合わせる際の基準となる。つまり、ガイドピン27は、その側面がウェハの側面に接しているときに、搬送ハンド20上の所定の位置にウェハが配置されるような位置に設けられている。例えば、ガイドピン27は、リブウェハ10の側面と接しているときに、向かい合う円弧形状の吸着孔22の中心位置とリブウェハ10の中心位置とが一致するように設けられる。
また、ガイドピン27は、搬送ハンド20の前端に設けられている。つまり、ガイドピン27は、搬送ハンド20をウェハカセットへ挿し込む際に、搬送ハンド20の挿入方向前方の端部に設けられている。さらに、ガイドピン27は、リブウェハ10が接触する部分である段差部24よりも上方に突出している。例えば、ガイドピン27は、搬送ハンド20の先端に設けられた段差部24上に設けられている。このようにガイドピン27を設けることで、搬送ハンド20をウェハカセットから引き出したときに、リブウェハ10の側面にガイドピン27の側面が接する。これにより、搬送ハンド20上において、ウェハを所定の位置に合わせることができる。
具体的には、搬送ハンド20は、次のように動作する。例えば、ウェハカセットに挿入される直前の搬送ハンド20が、ウェハカセット内のリブウェハ(ここでは、単にウェハとする)とほぼ同じ高さに位置する場合について説明する。ウェハと同じ高さとは、搬送ハンド20をウェハの下に平行移動させたときに、ちょうど搬送ハンド20の段差部24上にウェハが置かれたような状態となる高さをいう。また、搬送ハンド20の吸着面は、上方を向いている。
まず、ウェハよりも下方に位置するまで、搬送ハンド20を降下させる。このとき、搬送ハンド20がウェハカセットに挿入されたときに、ガイドピン27の上端がウェハにぶつからない高さになるまで、搬送ハンド20を垂直方向に移動させる。ついで、搬送ハンド20をウェハカセットに挿し込み、搬送ハンド20がウェハの真下に位置するまで、搬送ハンド20を水平方向に移動させる。このとき、ガイドピン27の上端がウェハの表面と対向しない位置まで、搬送ハンド20をウェハカセットの奥に挿し込む。
ついで、搬送ハンド20の段差部24がウェハに接触するまで、搬送ハンド20を上昇させる。これにより、ガイドピン27の側面とウェハの側面とが対向する位置に、搬送ハンド20が移動する。上述したように、搬送ハンド20は、ガイドピン27の上端がウェハの表面と対向しない位置まで水平方向に移動しているため、このとき、ガイドピン27は、まだウェハに接していない。
ついで、搬送ハンド20をウェハカセットの挿入口から引き出す。このとき、ガイドピン27の側面がウェハの側面に接する。上述したように、ガイドピン27は、ウェハを吸着する位置合わせを行う基準となっている。このため、搬送ハンド20をウェハカセットから引き出すことによって、ウェハの位置合わせが行われる。搬送ハンド20にウェハを吸着する処理は、ウェハの位置合わせの直後に行ってもよいし、搬送ハンド20がウェハカセットの外部に移動された後に行ってもよい。これにより、ウェハカセットからウェハが取り出される。
上述した搬送ハンド20の移動経路は一例であり、半導体装置の製造工程に合わせて種々変更可能である。このとき、ウェハカセットは、搬送ハンド20が入出する1つの入出口を有していてもよいし、搬送ハンド20の移動経路に合わせて複数の入出口を有していてもよい。
また、搬送ハンド20の吸着面を下方に向けた状態で、ウェハカセットからウェハを取り出してもよい。この場合、搬送ハンド20の垂直方向の移動方向は、上述した搬送ハンド20の吸着面(段差部24が設けられている面)を上方に向けた場合と反対の方向となる。つまり、搬送ハンド20は、ウェハカセットに挿し込まれる前に、ウェハよりも上方に移動する。そして、搬送ハンド20は、ウェハカセット内では下方に移動し、ウェハに接触する。
図2は、実施の形態1にかかるハンドリングの別の一例について示す説明図である。ガイドピン27の側面を、ウェハのウェハカセット(不図示)の挿入口側の側面と接させることで、ウェハの位置合わせを行ってもよい。図2に示す搬送ハンド220では、ガイドピン27は、搬送ハンド220の先端よりも搬送ハンド220の内側に設けられている。例えば、ガイドピン27は、搬送ハンド220の内側に設けられた段差部24上に設けられている。搬送ハンド220の先端からガイドピン27までの距離は、ウェハの径と同じかそれ以上であるのがよい。このようにガイドピン27を設けることで、搬送ハンド220をウェハカセットに挿し込んだときに、リブウェハ10の側面にガイドピン27の側面が接する。これにより、搬送ハンド220上において、ウェハを所定の位置に合わせることができる。
また、搬送ハンド220は、搬送ハンド220の挿入方向の延長線上を移動する。つまり、搬送ハンド220は、ウェハカセットに挿入された後、挿入時の高さおよび進行方向を維持したまま、ウェハカセットから外部に抜け出る。このため、搬送ハンド220を用いる場合、ウェハカセットは、搬送ハンド220が挿入される挿入口と異なる位置に、搬送ハンド220が抜ける出口を有する形状となっているのがよい。例えば、ウェハカセットは、搬送ハンド220の挿入口に対向する奥側が出口として開口した筒形状を有する。それ以外の構成は、図1に示す搬送ハンド20と同様である。
具体的には、搬送ハンド220は、次のように動作する。まず、搬送ハンド220をウェハカセットに挿し込む。このとき、ウェハのウェハカセットの挿入口側の側面にガイドピン27の側面が接し、ウェハの位置合わせが行われる。そして、搬送ハンド220をウェハカセットに挿し込んだときの高さおよび進行方向を維持したまま、搬送ハンド220を水平方向に移動させる。これにより、搬送ハンド220がウェハカセットから外部へ抜け出し、ウェハが取り出される。
このように、搬送ハンド220を用いることで、搬送ハンド220がウェハの真下に移動する前において、ガイドピン27とウェハとの接触を避けるために行う搬送ハンド220の動作が必要なくなる。つまり、搬送ハンド220を垂直方向に移動させる動作が必要なくなる。このため、搬送ハンド220を水平方向に移動させ、ウェハカセット内を通過させるだけで、ウェハカセットからウェハを取り出すことができる。
図3は、実施の形態1にかかるハンドリングの別の一例について示す説明図である。搬送ハンドのうち、リブウェハ10のデバイス面2と対向する部分を凹んだ形状とすることで、搬送ハンド上に段差部を設けた構成としてもよい。図3に示す搬送ハンド230では、搬送ハンド230の前端に、段差部24が設けられている。また、搬送ハンド230のうち、前端側の段差部24が設けられた部分と、後端側のリブウェハ10に対向しない部分(以下、付け根部とする)は同じ厚さとなっている。つまり、段差部24と付け根部とによって、凹部が形成されている。搬送ハンド230の付け根部は、リブウェハ10のリブ部12の下の領域まで伸びており、リブ部12に接する。これにより、搬送ハンド230の付け根部は、段差部として機能する。それ以外の構成は、図1に示す搬送ハンド20と同様である。
図4は、実施の形態1にかかるハンドリングの別の一例について示す説明図である。搬送ハンド20にリブウェハ10の裏面3側を吸着させてもよい。図4に示すハンドリングでは、搬送ハンド20に、リブウェハ10のリブ部12の裏面(リブ裏面)14を吸着させている。段差部24は、リブウェハ10のリブ裏面14と重なる位置に設けられている。このとき、吸着孔22は、リブ裏面14によって完全に塞がれる位置に設けられているのがよい。それ以外の構成は、図1に示す搬送ハンド20と同様である。
以上、説明したように、実施の形態1によれば、搬送ハンド20には、搬送ハンド20をリブウェハ10に合わせたときに、リブウェハ10のおもて面の素子構造が形成されない部分(デバイス面2以外の領域)11と重なる位置に、段差部24が設けられている。また、吸着孔22は、段差部24に設けられている。このため、搬送ハンド20は、リブウェハ10のおもて面の素子構造が形成されない部分11またはリブ裏面14を吸着する。これにより、リブウェハ10のデバイス面2およびリブウェハ10の裏面3側に設けられた拡散層に、吸着孔22が接触しない。したがって、吸着孔22に接触することによるキズや、擦れ、汚れ、染みなどの吸着痕などを生じさせることなく、リブウェハ10を搬送することができる。また、搬送ハンド20にリブウェハ10のデバイス面2側を吸着させる場合、段差部24によって、リブウェハ10のデバイス面2は、搬送ハンド20と接触しない。このため、リブウェハ10のデバイス面2に吸着痕を生じさせることなく、リブウェハ10を搬送することができる。また、搬送ハンド20は、リブウェハ10の周辺部の厚く残したリブ部12のみ吸着する。このため、リブウェハ10が受ける吸着力(吸着圧力)が強くても、リブウェハ10が変形することを防止することができる。これにより、リブウェハ10に欠けや割れなどの損傷が生じることを防止することができる。
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2にかかるハンドリングについて示す説明図である。搬送ハンドの内部に、互いに独立した複数の第1通気用の孔を設けて、互いに独立した複数の吸着孔を別々に真空引きするようにしてもよい。
実施の形態2では、図5に示すように、吸着孔32の端部同士が、第1通気用の孔31によって接続されている箇所と、接続されていない箇所が存在する。すなわち、各第1通気用の孔31同士は連結されておらず、互いに独立している。
各第1通気用の孔31には、吸着孔32を介して異なる第2通気用の孔33が接続されている。また、各第2通気用の孔33は、別々の配管25を介して真空発生源26に連結されている。つまり、各吸着孔32は、第1通気用の孔31および第2通気用の孔33によって形成され互いに独立した複数の真空系統によって、それぞれ異なる配管25に連結されている。それ以外の構成は、実施の形態1と同様である。
図6〜図8は、搬送ハンドへのリブ部の吸着位置の一例を示す断面図である。図6〜図8では、図5に示す搬送ハンド30の段差部24に、リブ裏面14が吸着されている。リブウェハ10のデバイス面は図示省略する。図6では、吸着孔32がリブ裏面14によって完全に塞がれた状態で、リブウェハ10が保持されている。また、図7および図8では、吸着孔32がリブ裏面14によって一部塞がれておらず、隙間42が生じた状態で、リブウェハ10が保持されている。隙間42は、例えば、リブ部12の加工精度のバラツキなどによって、段差部24とリブ部12とを合わせる位置がずれることによって生じる。
図5に示す搬送ハンド30は、図6に示すような隙間のない状態に限らず、図7および図8に示すように隙間42が生じている状態でも、リブウェハ10を吸着して保持することができる。その理由は、次に示すとおりである。上述したように、各吸着孔32には、それぞれが独立して真空状態を維持することができる真空系統(第1通気用の孔31および第2通気用の孔33)が設けられている。このため、1つの吸着孔32で真空漏れが発生したとしても、リブウェハ10との間に隙間が生じていない他の吸着孔32で真空状態を維持することができるからである。
図9は、実施の形態2にかかるハンドリングの別の一例について示す説明図である。図5に示す搬送ハンド30に、ノッチ15を有するリブウェハ10を吸着させてもよい。図9に示すように、ノッチ15が吸着孔32に重なり、リブウェハ10と吸着孔32との間に隙間42が生じたとしても、搬送ハンド30は、リブウェハ10を吸着して保持することができる。その理由は、図7および図8に示すような隙間が生じている場合と同様である。
また、図5に示す搬送ハンドに、オリエンテーションフラットを有するリブウェハを吸着させてもよい。オリエンテーションフラットが吸着孔に重なり、リブウェハと吸着孔との間に隙間が生じたとしても、搬送ハンドは、リブウェハを吸着して保持することができる。その理由は、上述したノッチを有するリブウェハの場合と同様である。
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、複数の吸着孔32に対する真空系統が互いに独立して設けられているので、1つの吸着孔32で真空漏れが発生したとしても、リブウェハ10との間に隙間が生じていない他の吸着孔32で、リブウェハ10を吸着することができる。これにより、リブウェハ10を落下させることなく搬送することができる。また、搬送ハンド30にリブウェハ10を確実に吸着することができるため、リブウェハ10のおもて面と裏面の向きを反転させるように、リブウェハ10を搬送しても、リブウェハ10が落下することを低減することができる。したがって、リブウェハ10を損傷させることなく搬送することができる。
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3にかかるハンドリングについて示す説明図である。実施の形態2において、第1通気用の孔に、第2通気用の孔を直接接続してもよい。
実施の形態3では、図10に示すように、搬送ハンド50の内部では、吸着孔52を介さずに、第1通気用の孔51に第2通気用の孔53が直接接続されている。それ以外の構成は、実施の形態2と同様である。
以上、説明したように、実施の形態3によれば、実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態4)
図11は、実施の形態4にかかるハンドリングについて示す説明図である。吸着孔と配管をつなぐ真空系統を、吸着孔ごとに設けてもよい。
実施の形態4では、図11に示すように、各吸着孔62には、それぞれ異なる第2通気用の孔63が接続されている。また、吸着孔62同士はつながっていない。つまり、吸着孔62同士を接続する第1通気用の孔は設けられていない。また、各第2通気用の孔63には、それぞれ異なる配管25が接続されている。それ以外の構成は、実施の形態2と同様である。
以上、説明したように、実施の形態4によれば、実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態5)
図12は、実施の形態5にかかるウェハの吸着状態を判定する判定手段を示す説明図である。実施の形態2〜4に示す搬送ハンドに、リブウェハ10が搬送ハンドに吸着されているか否か(リブウェハの吸着状態)を判定する判定手段が備えられていてもよい。ここでは、実施の形態2に示す搬送ハンド(図5参照)を用いて説明する。
実施の形態5では、図12に示すように、真空発生源26と第2通気用の孔33との間に、真空発生源26と直列に、切替部71およびフィルター72が接続されている。切替部71は、リブウェハ10の搬送ハンド30への吸着および脱着を切替える。フィルター72は、吸着孔32から吸い込まれた塵などが、真空発生源26に入り込むことを防止する。
また、真空発生源26と第2通気用の孔33との間に、真空発生源26と並列に、流速センサ73が接続されている。流速センサ73は、搬送ハンド30の内部に独立して設けられた複数の真空系統ごとに設けられている。つまり、流速センサ73は、複数の配管25ごとに設けられている。流速センサ73は、真空発生源26によって真空引きされている搬送ハンド30の内部(第1通気用の孔31および第2通気用の孔32)に流れる空気の流速を測定する(流速測定手段)。また、流速センサ73は、測定した流速に基づいて、搬送ハンド30にリブウェハ10が吸着されているか否かを判定する(吸着判定手段)。流速センサ73によって測定された流速は、流速センサ73に接続された流速表示器74に表示される。真空発生源26と第2通気用の孔33の間に接続された切替部71、フィルター72、流速センサ73および流速表示器74は、それぞれ配管25によって接続されている。
図13は、搬送ハンドへのリブ部の吸着位置の一例を示す断面図である。図12に示す判定手段では、流速センサ73によって測定された流速によって、真空漏れの有無を判断し、リブウェハ10が搬送ハンド30に吸着されているか否か(リブウェハの吸着状態)を判定する。例えば、吸着孔32がリブ裏面14によって完全に塞がれ隙間のない状態(図6参照)や、吸着孔32がリブ裏面14によって一部塞がれておらず隙間が生じた状態(図7,8参照)、図13に示すように、吸着孔32がリブ裏面14によってまったく塞がれていない状態を判別する。
具体的には、流速センサ73によって測定された流速が予め設定した閾値以下の場合に、真空漏れはないと判断し、リブウェハ10と搬送ハンド30の間においてウェハ1が受けている吸着力(吸着圧力)は強く、リブウェハ10は搬送ハンド30に吸着されていると判定する。一方、流速センサ73によって流速が予め設定した閾値よりも大きい場合に、真空漏れがあると判断し、リブウェハ10への吸着圧力は弱く、リブウェハ10は搬送ハンド30に吸着されていないと判定する。
閾値は、搬送ハンド30の通気用の孔の内部に空気が流れ込んだとしても、リブウェハ10を吸着して保持する最低限の吸着圧力を維持することができる流速とする。つまり、閾値は、吸着孔32とリブ裏面14との間に隙間が生じている場合(図7,8参照)と、吸着孔32が全て開放されている場合(図13参照)とを判別する値である。例えば、閾値は、吸着孔32に生じた隙間の幅に基づいて、搬送ハンド30の通気用の孔の内部に流れ込む空気の流量などから決定されてもよい。
また、上述したような判定方法を、上述したように複数の配管25を有する搬送ハンドに適用し、各配管25ごとに流速センサ73を備えてもよいし、これに限らず、例えば実施の形態1のように、第2通気用の孔と真空発生源とを1つの配管25で連結した搬送ハンドに適用してもよい。第2通気用の孔と真空発生源とを1つの配管25で連結した搬送ハンドに適用する場合には、1つの配管25に1つの流速センサ73を備えて、ウェハの吸着状態を判定する。
以上、説明したように、実施の形態5によれば、実施の形態1〜4と同様の効果を得ることができる。また、搬送ハンド30の内部(第1通気用の孔31および第2通気用の孔32)に流れる空気の流速に基づいて、真空漏れの有無を判断し、リブウェハ10の吸着状態を判定する。このため、吸着孔32がリブ裏面14によって一部塞がれておらず隙間が生じているが十分な吸着力がある状態と、吸着孔32がリブ裏面14によってまったく塞がれていないため吸着力が不十分な状態とを判別することができる。これにより、搬送ハンド30にリブウェハ10が確実に吸着されている場合を判別して、リブウェハ10を搬送することができる。したがって、リブウェハ10が落下する可能性を低減することができ、リブウェハ10に損傷が生じることを軽減することができる。
(実施の形態6)
図14は、実施の形態6にかかるウェハ搬送機構部を示す説明図である。実施の形態5に示す搬送ハンドは、さらにリブウェハ10のデバイス面と裏面の向きを反転させる反転手段が備えられていてもよい。
実施の形態6では、図14に示すように、リブウェハ10の吸着状態を判定する判定手段を備えた搬送ハンド30(図12参照)は、ウェハ搬送ロボットなどのウェハ搬送機構部80に接続されている。ウェハ搬送機構部80は、搬送機構本体部81と、アーム部82と、反転機構部83と、ハンド取付部84と、制御部85とで構成されている。
アーム部82は、垂直方向に駆動可能で、かつ水平面内で回転駆動可能に、搬送機構本体部81に支持されている。さらに、アーム部82は、搬送機構本体部81に支持された端部の反対側の端部が、搬送機構本体部81に支持された端部の回転駆動とは別に、水平面内で回転駆動可能となっている。アーム部82の搬送機構本体部81に支持された端部の反対側の端部には、搬送ハンド30を垂直面内で回転させる反転機構部83が支持されている。反転機構部83は、搬送ハンド30を垂直面内で回転させることによって、搬送ハンド30のウェハが吸着された面(吸着面)と吸着面に対して反対側の面の向きを反転させる。
反転機構部83には、ハンド取付部84を介して搬送ハンド30が接続されている。制御部85は、搬送機構本体部81に接続され、アーム部82、反転機構部83、ハンド取付部84および搬送ハンド30を制御する。配管25は、ハンド取付部84の有する配管ポート(不図示)に接続されている。また、配管25は、アーム部82の側面を這うように、アーム部82に取り付けられていてもよい。この場合、配管25は、アーム部82の動作に追従可能な柔軟性を有する材料で形成されていることが望ましい。それ以外の構成は、実施の形態5と同様である。
以上、説明したように、実施の形態6によれば、実施の形態1〜5と同様の効果を得ることができる。また、搬送ハンド30にウェハを吸着させたまま、ウェハの移し替えや反転を容易に行うことができる。これにより、人為的ミスによってウェハが破損することを回避することができる。
(実施の形態7)
図15は、実施の形態7にかかるウェハ搬送装置を示す平面図である。図16は、実施の形態7にかかるウェハ搬送装置を示す断面図である。実施の形態6に示すウェハ搬送機構部をウェハ搬送装置に備えて、リブウェハの搬送を制御する構成としてもよい。
実施の形態7では、図15および図16に示すように、ウェハ搬送装置180は、ウェハ搬送機構部80と、ウェハカセット(ウェハ格納手段)91,92と、アライナー(ウェハ位置合わせ手段)93と、操作パネル181と、安全カバー182と、クリーンファンユニット183と、ウェハカセット搭載台184と、架台185と、制御ユニット186と、除電器187と、を備えている。
ウェハカセット91,92は、ウェハ搬送機構部80によって出し入れされるウェハが格納されている。ウェハカセット91,92には、例えば寸法や、形状、材質などが異なる種類のウェハカセットを用いてもよい。第1ウェハカセット91は、例えば製造工程に投入されるウェハが格納されている。第2ウェハカセット92は、製造工程の途中や完成後に、例えば第1ウェハカセット91やアライナー93から搬送されてきたウェハを格納する。アライナー93は、ウェハ搬送機構部80によって例えば第1ウェハカセット91から取り出されたウェハの位置合わせを行う。
操作パネル181は、ウェハカセット種類の搬送パターンや、ウェハの反転の有無による移動およびウェハ格納パターンなど、ウェハ搬送装置を制御する情報などを設定する。安全カバー182は、ウェハ搬送機構部80を覆い、ウェハに塵や埃が付着することを防止する。クリーンファンユニット183は、下降する気流を発生させて、ウェハ搬送機構部80の上方に舞う塵や埃を落とし、ウェハに塵や埃が付着することを防止する。ウェハカセット搭載台184には、ウェハカセット91,92が搭載される。また、ウェハカセット搭載台184は、ウェハカセット91,92の種類を識別するセンサが備えられている。
架台185は、ウェハ搬送機構部80やウェハカセット搭載台184など、ウェハ搬送装置180を構成する機材などを支持する。また、架台185は、ウェハ搬送装置180が移動可能なように例えば車輪などが備えられている。制御ユニット186は、ウェハ搬送装置を制御する制御プログラムなどを有し、ウェハ搬送装置を制御する。制御ユニット186には、例えばウェハ搬送機構部80に備えられた制御部(図15参照)などが含まれる。除電器187は、ウェハ搬送機構部80に備えられた搬送ハンドに帯電する静電気を除去し、ウェハに塵や埃が付着することを防止する。ウェハ搬送機構部80の構成は、実施の形態6と同様である(図14参照)。
このようなウェハ搬送装置180は、次に示すようにウェハを搬送する。まず、第1ウェハカセット91に格納されたウェハを、ウェハ搬送機構部80の搬送ハンドに設けられた吸着孔に真空吸着させ、第1ウェハカセット91から外部に取り出す。ついで、このウェハを、ウェハ搬送機構部80によってアライナー93へ搬送する。ついで、アライナー93に備えられた台にウェハを搭載し、ウェハの例えばノッチ位置などを合わせる。ついで、ウェハ搬送機構部80の搬送ハンドに設けられた吸着孔にウェハを真空吸着させ、ウェハをアライナー93の外部に取り出す。ついで、ウェハ搬送機構部80によって、アライナー93から第2ウェハカセット92にウェハを搬送して格納する。
上述した各工程において、搬送ハンドによってウェハを吸着した後、ウェハを搬送する前に、ウェハの吸着状態を判定してもよい。例えば、第1ウェハカセット91内のウェハを搬送ハンドに吸着させた後、第1ウェハカセット91から外部に取り出す前に、流速センサ(図12,14参照)によって、搬送ハンドの通気用の孔の内部に流れる空気の流速を測定する。ついで、流速センサによって、通気用の孔の内部の流速に基づいて、搬送ハンドにウェハが吸着されているか否かを判定する。ウェハの吸着状態を判定する方法は、実施の形態5と同様である。
また、上述した各工程において、次工程にウェハを搬送する前に、反転機構部(図14参照)によってウェハの向きを反転させてもよい。また、搬送ハンドによってウェハの外周に沿った周辺部を吸着して、ウェハを搬送してもよい。上述した搬送方法では、リブウェハ(図19参照)を搬送してもよい。この場合、搬送ハンドによってリブウェハのリブ裏面を吸着して、ウェハを搬送してもよい。
以上、説明したように、実施の形態7によれば、実施の形態1〜6と同様の効果を得ることができる。
(実施例)
図17は、搬送ハンドの内部に流れる流速とウェハの吸着状態との関係を示す特性図である。また、図18は、搬送ハンドの内部の圧力とウェハの吸着状態との関係を示す特性図である。まず、実施の形態1に従い、搬送ハンドにリブウェハのリブ裏面を吸着させ、搬送ハンドへのリブ部の吸着位置が異なる3種類の試料を準備した(以下、第1試料〜第3試料とする)。ここで、搬送ハンドの吸着孔の幅を2.0mmとしている。第1試料は、吸着孔がリブ裏面によって完全に塞がれ隙間のない状態とした(図6参照)。第2試料は、吸着孔がリブ裏面によって一部塞がれておらず、0.5mmの隙間が生じた状態とした(図7,8参照)。第3試料は、吸着孔がリブ裏面によってまったく塞がれていない状態とした(図13参照)。つまり、第3試料では、2.0mmの隙間が生じている状態となっている。
上述した各試料をそれぞれ複数作製し、実施の形態5に示す判定方法に従い、搬送ハンドの内部に流れる空気の流速を測定した(図12参照)。閾値を、リブウェハを吸着して保持する最低限の吸着圧力を維持することができる18.0〜18.3m/sとする。比較として、上述した同じ試料を用いて、従来の判定方法に従い、搬送ハンドの内部の圧力を測定した(図28参照)。
図17に示す結果より、第1試料および第2試料では、搬送ハンドの内部に流れる空気は、閾値以下の流速となった。また、第1試料および第2試料は、搬送ハンドに吸着されていた。これにより、搬送ハンドの内部に流れる流速に基づいて、ウェハの吸着状態を判定することができることがわかった。また、第2試料が示す結果より、搬送ハンドの内部に流れる流速に基づいて、吸着孔とリブ裏面との間に隙間が生じている場合でも、搬送ハンドにリブウェハを吸着することができることがわかった。
一方、第3試料では、搬送ハンドの内部に流れる空気は、閾値より大きい流速となった。また、第3試料は、搬送ハンドに吸着されていなかった。これにより、搬送ハンドの内部に流れる流速に基づいて、吸着孔とリブ裏面との間に隙間が生じている場合(第2試料)と、吸着孔が全て開放されている場合(第3試料)とを判別することができることがわかった。
それに対して、図18に示す結果では、第1試料は、吸着圧力が高くなった。さらに、第1試料は、第2試料および第3試料に比べて、吸着圧力が高いことが明確にわかる。また、第1試料は、搬送ハンドに吸着されていた。一方、第2試料および第3試料は、ほぼ同程度の吸着圧力となった。また、第2試料は、搬送ハンドに吸着されていた。第3試料は、搬送ハンドに吸着されていなかった。つまり、第1試料のように吸着孔がリブ裏面によって完全に塞がれている場合には、搬送ハンドの内部の圧力に基づいて、ウェハの吸着状態を判定することができる。しかしながら、第2試料および第3試料のように隙間の幅に寄らず真空漏れが生じている場合には、搬送ハンドの内部の圧力に明確な差がでないため、搬送ハンドの内部の圧力に基づいて、ウェハの吸着状態を判定することはできないことがわかる。
以上において本発明では、リブウェハのハンドリングを例に説明しているが、上述した実施の形態に限らず、平坦なウェハのハンドリングに適用することが可能である。また、ウェハの吸着状態の判定において、搬送ハンドの内部の流速を測定しているが、搬送ハンドの内部の流速を測定してもよい。