JP2011210438A - メタルハライドランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】 光学フィルターを用いることなく、ランプ単体で所望の波長領域の紫外線を効率よく照射することができるメタルハライドランプを提供する。
【解決手段】 ランプ発光管内に希ガスと金属水銀と金属ハロゲン化物とを封入しメタルハライドランプにおいて、該金属ハロゲン化物は、鉄のハロゲン化物、鉄とスズのハロゲン化物、鉄とタリウムのハロゲン化物、または鉄とインジウムのハロゲン化物のうちのいずれかから選択し、該発光管は、石英ガラスにチタン、セリウム、スズ、バナジウムの酸化物が少なくとも1種以上添加し、ランプ点灯時の発光管壁表面温度700℃以上の高温状態において波長320nmでの光透過率が5%以下であり、かつ波長340nmでの光透過率が50%以上であるように構成する。
【選択図】 図2
【解決手段】 ランプ発光管内に希ガスと金属水銀と金属ハロゲン化物とを封入しメタルハライドランプにおいて、該金属ハロゲン化物は、鉄のハロゲン化物、鉄とスズのハロゲン化物、鉄とタリウムのハロゲン化物、または鉄とインジウムのハロゲン化物のうちのいずれかから選択し、該発光管は、石英ガラスにチタン、セリウム、スズ、バナジウムの酸化物が少なくとも1種以上添加し、ランプ点灯時の発光管壁表面温度700℃以上の高温状態において波長320nmでの光透過率が5%以下であり、かつ波長340nmでの光透過率が50%以上であるように構成する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、波長350nm以下の紫外線照射が求められるプロセスに特に適したメタルハライドランプに関する。
近年液晶パネル製造プロセスなどにおいて、プロセスの短縮、高機能化などにより従来の波長365nmを中心とする紫外線よりもエネルギーの大きい短波長側の発光が求められるようになってきている。
一方で、水銀を含む放電ランプでは波長254nmや313nmなどに水銀に帰属される発光がおこるが、例えば液晶材料にこの波長の光を当てることは材料に大きなダメージを与えることが知られている。(特許文献1参照)
そこで従来のプロセスでは、ランプと被照射物の間に光学フィルターを配置し、波長320nm以下の光を従来の出力の1%以下になるよう透過波長制御が行われているが、光学フィルターでは斜入射された光の透過波長が、垂直入射の場合の特性に対し短波長側へずれることから、所定の波長域において所定の光透過率とするためには、結果として過剰な透過抑制をせねばならず、非常に非効率なプロセスとなっていた。
ところで、鉄のハロゲン化物、鉄とスズのハロゲン化物、鉄とタリウムのハロゲン化物、または鉄とインジウムのハロゲン化物を封入したメタルハライドランプは、図3に示すように、波長340−380nmの領域に上記プロセスに好適な発光分光分布を有する。しかしながら、このランプは、波長320nm以下の領域にも相当な発光成分を有しており、発光管が高純度の石英ガラスから構成される場合は、この波長域の紫外線が発光管を透過してしまう。そこで、この発光成分をカットするために、この波長領域の光を吸収する特性を持つチタン等の金属酸化物が少量添加された石英ガラス製発光管を使用する構成を採用することが考えられる。
しかしながら、これらの石英ガラスの透過率は温度依存性があり、特に高温状態では添加した金属酸化物による吸収端が長波長側にシフトする性質があるため、ランプが実際に点灯される際の高温状態では、必要とされる波長340−380nmの領域の光透過率が十分確保されない場合が生じる。そこで、酸化物の添加量を変えて作成した種々のランプを用いて、液晶表示装置製造における液晶配向制御工程での本発明のランプの使用の適否を検討した結果、紫外域の所定波長における当該石英ガラスの光透過率を規定すれば、好適なランプを提供できることが判明し、本発明を創出するに至った。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、波長320nm以下の光が制限され340−380nmの領域の光の照射が必要とされるプロセスに好適に用いることができると共に、エネルギーロスの原因となる光学フィルターは使用せずに直接、被照射物に紫外線照射することができるメタルハライドランプを提供することを目的とする。
本発明のメタルハライドランプは、主に紫外線を照射するためのメタルハライドランプであって、発光管内に希ガスと金属水銀と金属ハロゲン化物とが封入されてなり、該金属ハロゲン化物は、鉄のハロゲン化物、鉄とスズのハロゲン化物、鉄とタリウムのハロゲン化物、または鉄とインジウムのハロゲン化物のうちのいずれかから構成され、また、該発光管は、チタン、セリウム、スズ、バナジウムの酸化物が少なくとも1種以上添加された石英ガラスから構成され、ランプ点灯時の発光管壁表面温度700℃以上の高温状態において波長320nmでの光透過率が5%以下であり、かつ波長340nmでの光透過率が50%以上であることを特徴とする。
本発明によれば、波長340−380nmの領域の好適な発光分光分布を有する化合物を封入した発光管について、化学的組成とランプ点灯時の高温下での光透過率とを前述した条件に規定してあるので、光学フィルターを用いることなく、ランプ単体で所望の波長領域の光を効率よく照射することができるメタルハライドランプを提供することが出来る。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[実施例]
図1は本発明の実施の形態のメタルハライドランプの外観図である。図中、11は発光部を形成する発光管、12は電極、13はベース、14は電力導入線であり、1対の電極12、12の先端間の距離で規定されるこのランプの発光長は1100mm、ランプ電力は22kWであり、発光管11内部にはアルゴンガス1.3kPa、水銀1.4mg/cm3のほか、0.1mg/cm3のヨウ化鉄及び0.02mg/cm3のヨウ化スズが封入されている。
図1は本発明の実施の形態のメタルハライドランプの外観図である。図中、11は発光部を形成する発光管、12は電極、13はベース、14は電力導入線であり、1対の電極12、12の先端間の距離で規定されるこのランプの発光長は1100mm、ランプ電力は22kWであり、発光管11内部にはアルゴンガス1.3kPa、水銀1.4mg/cm3のほか、0.1mg/cm3のヨウ化鉄及び0.02mg/cm3のヨウ化スズが封入されている。
発光管の材質による特性比較を行なうため、発光管11は普通石英ガラス製のほかに、700℃において図2に示すような分光透過率特性を持つよう、普通石英ガラスに酸化チタン(TiO2)及び酸化スズ(SnO2)を合計数%オーダーで添加した材料から作製した発光管A、B、及びCを用意した。これら酸化物の合計添加量は発光管A、B、Cの順に増やした。図2では、透過率曲線のカットオフ波長域を、Aは太い長破線、Bは実線、Cは一点鎖線で示してある。
これらの発光管から4種類のランプを試作し、300−380nmの波長域を3つに分け、各波長域での発光強度を、普通石英ガラス製の場合の発光強度を100%として相対比較を行った。
その結果を、仕様ごとに各波長域での相対発光強度で表1に示す。
その結果を、仕様ごとに各波長域での相対発光強度で表1に示す。
各仕様の発光管を用いたメタルハライドランプの、紫外〜可視光短波長域での相対分光分布を図3〜6に示す。
本発明のメタルハライドランプでは、発光管を構成する石英ガラスに金属酸化物を添加することにより光の透過波長域を制御しているが、これらの石英ガラスの透過率は温度依存性があり、特に高温状態では吸収端が長波長側にシフトする性質があるため、このシフト分を見越して、ランプが実際に点灯される際の700℃の高温状態での光透過率が所望の値となるよう酸化物の添加量を調整した。なお、光透過率の測定には、市販品で適したものがなく、700℃程度の高温状態に耐える光透過率計を自作して使用した。
液晶配向制御工程では、重合反応に適した光の波長は、近紫外域の比較的狭い範囲に限られており、細かな透過波長制御が求められている(特許文献1参照)。この実施例では、液晶表示装置の製造における液晶配向制御工程での本発明のランプの使用の適否を検討した。その結果、仕様B及びCの発光管の場合、300−320nmの波長領域の光を1%以下に制限することは出来たが、仕様Cでは320−350nmの波長領域の強度が低すぎて、液晶配向制御に係る高分子重合反応が良好に進行しなかった。結局、仕様A〜Cの中では、仕様Bが当該プロセスに最も適していた。
これらの結果から、プロセスを効率的に進めるためには、石英ガラスの光透過率は波長320nmにおいて5%以下、かつ波長340nmにおいて50%以上となるように、石英ガラスに添加する酸化チタン(TiO2)及び酸化スズ(SnO2)の量を調整することが必要である。
仕様Bの場合の酸化チタン(TiO2)及び酸化スズ(SnO2)の添加量は、添加物を含んだ石英ガラスにおける重量比で、例えば酸化チタン0.7wt%、酸化スズ0.3wt%、合計1.0wt%とすればよいが、この他に、酸化チタンと酸化スズをそれぞれ0.1wt%オーダーで変化させたいくつかの重量比の組合せを採用することもできる。また、酸化物の組合せとしては、チタン、セリウム、スズ、バナジウムの酸化物のうち少なくとも1種以上からなる組合せを用いてもよい。
要するに、本発明においては、石英ガラスの光透過率が波長320nmにおいて5%以下、かつ波長340nmにおいて50%以上となるように、石英ガラスに対する酸化物の添加量を調整すればよい。本発明のランプを構成する発光管の典型的な分光透過特性は、図2中の実線(仕様B)で示される特性のものである。
なお、本発明では、発光管内に封入する金属ハロゲン化物の種類として、上記実施例の、鉄とスズのハロゲン化物に限定されることはなく、この他に、鉄単独のハロゲン化物、鉄とタリウムのハロゲン化物、鉄とインジウムのハロゲン化物のいずれかを選択することができる。
本発明において、所定波長における石英ガラスの光透過率の上限値、あるいは下限値を明示していないのは次の理由による。まず、波長320nmにおける光透過率の下限値を示していないのは、透過率0%に近付くにつれて測定誤差等により正確に0%とならないケースがあることを考慮したためであり、本発明では下限値として「0%以上」を意図している。また、波長340nmにおける光透過率の上限値を明示していないのは、いずれの波長においても光透過率の最大値は、使用する石英ガラスにより変動し一律に示せないためであり、本発明では上限値として、一般的な石英ガラスの波長340nm付近における最大光透過率「95%前後」を想定している。
なお従来、700℃程度の高温状態での所定波長の光透過率が明確に規定された発光管を使用したメタルハライドランプは知られていない。
本発明は、波長320−350nmの領域の紫外線照射が求められるプロセスに提供する紫外線ランプに利用可能である。
11…発光管
12…電極
13…ベース
14…電力導入線
12…電極
13…ベース
14…電力導入線
Claims (1)
- 主に紫外線を照射するためのメタルハライドランプであって、発光管内に希ガスと金属水銀と金属ハロゲン化物とが封入されてなり、該金属ハロゲン化物は、鉄のハロゲン化物、鉄とスズのハロゲン化物、鉄とタリウムのハロゲン化物、または鉄とインジウムのハロゲン化物のうちのいずれかから構成され、また、該発光管は、チタン、セリウム、スズ、バナジウムの酸化物が少なくとも1種以上添加された石英ガラスから構成され、ランプ点灯時の発光管壁表面温度700℃以上の高温状態において波長320nmでの光透過率が5%以下であり、かつ波長340nmでの光透過率が50%以上であることを特徴とするメタルハライドランプ。
Priority Applications (1)
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JP2010075118A JP2011210438A (ja) | 2010-03-29 | 2010-03-29 | メタルハライドランプ |
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Citations (3)
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---|---|---|---|---|
JPH06283136A (ja) * | 1993-03-25 | 1994-10-07 | Toshiba Lighting & Technol Corp | 高圧放電灯およびこれを用いた光源装置 |
JP2007273153A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Ushio Inc | ショートアーク型水銀ランプ |
JP2008116676A (ja) * | 2006-11-02 | 2008-05-22 | Au Optronics Corp | 液晶パネル製造装置及び液晶パネルの製造方法 |
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2010
- 2010-03-29 JP JP2010075118A patent/JP2011210438A/ja active Pending
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