JP2011208025A - ポリイミド前駆体及びポリイミド前駆体を用いた感光性樹脂組成物 - Google Patents

ポリイミド前駆体及びポリイミド前駆体を用いた感光性樹脂組成物 Download PDF

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JP2011208025A
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Koichiro Shimoda
浩一朗 下田
Akihiro Kato
明宏 加藤
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

【課題】高い折り曲げ耐性、少ない現像残渣のドライフィルムから、少ない反り、高い難燃性のフレキシブルプリント基板となるポリイミド前駆体及び感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】式1のポリイミド前駆体。式2の酸無水物及び/又は式3のジアミンから構成される。
Figure 2011208025

【選択図】なし

Description

本発明は、特定のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物及び/又は特定のエステル基含有ジアミンを導入したポリイミド前駆体、ポリイミド前駆体を用いた感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物を用いた感光性フィルム、及び該感光性フィルムを用いて得られた基板並びにその積層体に関する。
近年フレキシブルプリント基板(以下、「FPC」ともいう。)と呼ばれるフィルム状のプリント基板が活況を得ている。このフレキシブルプリント基板は、配線加工されたFCCL(Flexible Cupper Clad Laminate)上にポリイミドフィルムなどから構成されるカバーレイを具備した構造になっており、主に携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラなどの機器に用いられている。FPCは、折り曲げても機能を維持することから、機器の小型化、軽量化に向けて無くてはならない材料となっている。特に近年、ノート型パソコンに代表される電子機器の小型化、軽量化が進んでおり、このような製品にFPCを採用することで、当該機器の寸法及び重量減少、製品コストの低減並びに設計の単純化などに貢献している。
FPCの微細化、薄膜化に向けて、リソグラフィーによる微細加工を行うため感光性カバーレイの開発が精力的に行われている。この中でもポリイミド前駆体を用いた感光性カバーレイは、ポリイミド由来の折り曲げ耐性、耐熱性、電気絶縁性の観点から優れたカバーレイとして期待されている。
また、スクリーン印刷では溶媒除去のプロセスや両面加工の際には2回のプロセスが必要であるという工業プロセスの観点や、塗布膜厚の均一性という観点から感光性樹脂組成物をドライフィルム化することが望まれている。
このような感光性樹脂組成物としては、特定のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を含むポリイミド共重合体が提案されている(特許文献1)。特許文献1では、ポリイミド構造中のモノマー構造の選択による可溶性ポリイミドが開示されているが、感光性樹脂組成物については開示されていない。
また、ポリアミド酸構造のポリイミド前駆体を含む感光性樹脂組成物も提案されている(特許文献2)。特許文献2におけるポリイミド前駆体は、樹脂組成物を溶剤に溶解させたワニスの分子量低下、及びドライフィルム作成時におけるベーク(加熱乾燥)工程での分子量の低下が大きく、フィルムの靭性が低下し得られる感光性ドライフィルムを折り曲げた際に、感光層が割れてしまうという問題があった。また、ポリイミド前駆体の分子量が低下することで、リソグラフィーによりパターンを形成させる際、アルカリ水溶液を用いた現像において、現像時間の不安定化、残膜率の低下、パターン形状の歪みなどによる現像性が低下する傾向にあった。
また、ポリイミド前駆体からポリイミドに変換する工程おいて、脱溶媒や、ポリイミド前駆体のイミド化に伴う閉環反応に起因する応力から、FPCに反りが発生する場合がある。FPCに反りが生じると、FCCLとカバーレイの接着性不良や、FPCを具備した電子機器の駆動電力が高くなるなどの問題が生じる。このため、銅配線上にカバーレイを具備したFPCでは反りを改善することが求められている。
その他に、カバーレイは、UL規格のVTM試験に代表されるような難燃性試験で、難燃性を発現することが求められている。難燃性を発現するためには、カバーレイに難燃剤としてのハロゲン化合物を添加することが用いられている。しかしながら、環境保全の観点や生体毒性の観点から非ハロゲンで難燃性を発現することが望まれている。
特開2008−231420号公報 特開平05−158237号公報
本発明は、かかる点に鑑みて為されたものであり、折り曲げ耐性が高く、強靭な膜が形成されると共に、現像残渣が低減された良好な現像性を有するドライフィルムを実現でき、しかも焼成後の反りが少なく、難燃性が高いフレキシブルプリント基板を実現できるポリイミド前駆体、ポリイミド前駆体を用いた感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物及び/又は特定のエステル基含有ジアミンを導入したポリイミド前駆体、ポリイミド前駆体を用いた感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物を用いた感光性フィルム、及び感光性フィルムを用いて得られた基板並びにその積層体が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に示すものである。
本発明のポリイミド前駆体は、下記一般式(1)で表されるポリアミド酸構造を繰り返し構成単位として有するポリイミド前駆体であって、下記構造式(2)表されるテトラカルボン酸二無水物及び/又は下記一般式(3)で表わされるジアミンから構成されたことを特徴とする。
Figure 2011208025
(式(1)中、A1、Aは式(2)又は下記一般式(4)のテトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基を表す。Bは下記一般式(5)又は下記一般式(6)のジアミンに由来する2価の有機基を表し、Bは式(3)又は下記一般式(7)のジアミンに由来する2価の有機基を表す。また、式(1)中のa1、a2、b1、b2は各単位のmol%を表し、a1≧0、b1>0、b2≧0、a1+b2>0、0.80≦(a1+a2)/(b1+b2)≦1.20を満たす。)
Figure 2011208025
(式(4)中、Rは炭素数1〜炭素数30の4価の有機基を表す。)
Figure 2011208025
(式(5)中、kは3〜20の整数を表す。Xは炭素数2〜炭素数30のアルキレン基を有する2価の有機基である。)
Figure 2011208025
(式(6)中、R、R、R、R、R、R、R11、R12、R14、R15はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜炭素数20の1価の有機基を表し、同じであっても異なっていても良い。R、R、R10、R13、R16は炭素数1〜炭素数20の4価の有機基を表し、m、n、pはそれぞれ独立して0以上100以下の整数を表す。)
Figure 2011208025
(式(7)中、R17は炭素数1〜炭素数30の2価の有機基を表す。)
本発明の感光性樹脂組成物は、上記ポリイミド前駆体と、感光剤と、を含有することを特徴とする。
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記感光剤が、キノンジアジド化合物であることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記感光剤が、少なくとも2つ以上の光重合可能な不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレート化合物を含み、さらに光重合開始剤、を含むことが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、リン化合物を含むことが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記リン化合物が、リン酸エステル構造及びホスファゼン構造からなる群から選択された少なくとも1つの構造を有することが好ましい。
本発明の感光性フィルムは、上記感光性樹脂組成物と、支持フィルム層とを備えたことを特徴とする。
本発明のカバーレイは、上記感光性樹脂組成物をイミド化して得られたことを特徴とする。
本発明のフレキシブルプリント配線板は、配線を有する基材と、前記配線上において上記感光性樹脂組成物をイミド化して得られた構造であることを特徴とする。
本発明の感光性フィルムにおいては、片側全面にキャリアフィルムを有することが好ましい。
本発明の感光性フィルムにおいては、カバーフィルムを具備することが好ましい。
本発明の積層体は、上記カバーレイと銅張積層板と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、折り曲げ耐性が高く、強靭な膜が形成されると共に、現像残渣が低減された良好な現像性を有するドライフィルムを実現でき、しかも焼成後の反りが少なく、難燃性が高いフレキシブルプリント基板を実現できるポリイミド前駆体及びポリイミド前駆体を用いた感光性樹脂組成物を提供することができる。
本発明の実施の形態について、以下詳細に説明する。
(A)ポリイミド前駆体
本発明に係るポリイミド前駆体は、下記一般式(1)で表されるポリアミド酸構造を繰り返し構成単位として有するポリイミド前駆体であって、ポリイミド前駆体を構成するテトラカルボン酸二無水物及び/又はジアミンが、下記構造式(2)及び/又は下記一般式(3)を含む。
Figure 2011208025
(式(1)中、A、Aは式(2)又は下記一般式(4)のテトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基を表す。Bは下記一般式(5)又は、下記一般式(6)のジアミンに由来する2価の有機基を表し、Bは式(3)又は下記一般式(7)のジアミンに由来する2価の有機基を表す。また、式(1)中において、a1、a2、b1、及びb2は、各単位のmol%を表し、a1≧0、b1>0、b2≧0、a1+b2>0、0.80≦(a1+a2)/(b1+b2)≦1.20を満たす。)
Figure 2011208025
(式(4)中、Rは炭素数1〜炭素数30の4価の有機基を表す。)
Figure 2011208025
(式(5)中、kは3〜20の整数を表す。Xは炭素数2〜炭素数30のアルキレン基を有する2価の有機基である。)
Figure 2011208025
(式(6)中、R、R、R、R、R、R、R11、R12、R14、R15はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜炭素数20の1価の有機基を表し、同じであっても異なっていても良い。R、R、R10、R13、R16は炭素数1〜炭素数20の4価の有機基を表し、m、n、pはそれぞれ独立して0以上100以下の整数を表す。)
Figure 2011208025
(式(7)中、R17は炭素数1〜炭素数30の2価の有機基を表す。)
本発明に係るポリイミド前駆体は、上記構造式(2)及び上記一般式(4)からなる群から選択された少なくとも1つのテトラカルボン酸二無水物と、上記一般式(5)又は上記一般式(6)のいずれかのジアミンと、上記一般式(3)及び上記一般式(7)からなる群から選択されたジアミンと、を重合させることにより得ることができる。
本発明に係るポリイミド前駆体は、上記構造式(2)で表わされる酸二無水物及び/又は上記一般式(3)で表わされるジアミンを原料として用いて合成される。すなわち、本発明に係るポリイミド前駆体は、分子鎖の主鎖にオルトジ置換の芳香環成分を含有する。このように、分子鎖の主鎖にオルトジ置換の芳香環成分を含有することにより、自由体積が増大し、ポリマーの分子間相互作用が低減して現像液の浸透性が高まるので、現像性が良好で現像残渣が低減する効果が得られる。
また、本発明に係るポリイミド前駆体は、上記一般式(1)中、a1≧0、b1>0、b2≧0、a1+b2>0、0.80≦(a1+a2)/(b1+b2)≦1.20の範囲を満たす。このような範囲を満たすことにより、適正な分子量とアルカリ溶解速度と柔軟性を有するポリイミド前駆体が得られるので、現像性と現像後の残膜率が良好で焼成後の耐折性に優れた組成物を得ることができる。また、本発明に係るポリイミド前駆体は、現像性の観点から25<a1≦100及び/又は0.1≦b1/b2≦3.0であることが好ましい。
ポリイミド前駆体は、上記構造式(2)として、o−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下TACTと略称する)及び/又は上記一般式(3)としてo−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)(以下3−o−PABと略称する)、又はo−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)を含むことが好ましい。
上記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、エチレングリコールビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下、TMEGと略称する)、m−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ペンタンジオールビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、デカンジオールビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下、10−BTAと略称する)、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,3’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−1,4−フェニレンエステル、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、エチレンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステルなどの芳香族テトラカルボン酸二無水物に加え、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
上記一般式(5)で表されるジアミンとしては、上記一般式(5)で表される構造を有していれば限定されないが、X1がテトラメチレン、k=10〜20のイハラケミカル社製エラスマー1000Pなどが挙げられる。
上記一般式(6)で表されるジアミンとしては、上記一般式(6)で表される構造を有していれば限定されないが、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキシオクタンなどのポリオキシエチレンジアミン化合物、ハンツマン社製ジェファーミンEDR−148、EDR−176などのポリオキシアルキレンジアミン化合物、ジェファーミンD−230、D−400、D−2000、D−4000などのポリオキシプロピレンジアミン化合物、HK−511、ED−600、ED−900、ED−2003、XTJ−542などの異なるオキシアルキレン基を有する化合物などが挙げられる。m、n、pは、それぞれ独立して0以上100以下の整数である。m+n+p>5であることが好ましく、m+n+p>10であることがより好ましい。
上記一般式(5)、上記一般式(6)のオキシアルキレン基を有する骨格により、ポリイミドの焼成後のFPCの反りを低減させることができる。
上記一般式(7)で表されるジアミンとしては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、5−アミノ−1−(4−アミノメチル)−1,3,3−トリメチルインダン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、APBと略称する)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4、4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(以下、BAPPと略称する)、トリメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)(以下TMABと略称する)、4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエート、2−メチル−4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエート、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジアミノ安息香酸、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシベンゼン)などが挙げられる。この中で、ポリイミド前駆体の低Tg、現像性の観点から、APB、BAPP、TMABが好ましい。
本発明に係るポリイミド前駆体は、ポジ型感光性樹脂組成物として用いても、ネガ型として用いても効果を発揮する。ポリイミド前駆体としては、上記一般式(1)で表される構造を、構成単位として有していれば限定されないが、現像性と反りの観点から、0.1≦b1/b2≦3.0が好ましく、0.25≦b1/b2≦1.0が最も好ましい。さらに、現像性と反りの観点から、0.1≦a1/a2≦3.0であることがより好ましい。
ポリイミド前駆体の主鎖末端は、性能に影響を与えない構造であれば、特に限定されない。ポリイミド前駆体を製造する際に用いる酸二無水物、ジアミンに由来する末端でも良いし、その他の酸無水物、アミン化合物等により末端を封止することもできる。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、1000以上1000000以下であることが好ましい。ここで、重量平均分子量とは、既知の重量平均分子量のポリスチレンを標準として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される分子量をいう。重量平均分子量はポリイミド膜の強度の観点から、1000以上であることが好ましい。またポリイミド含有樹脂組成物の粘度、成型性の観点から、1000000以下であることが好ましい。重量平均分子量は5000以上、500000以下がより好ましく、10000以上300000以下が特に好ましく、25000以上、100000以下が最も好ましい。
(工程1)
ポリイミド前駆体を合成する工程(工程1)について説明する。
まずジアミンを重合溶媒に溶解及び/又は分散し、これに酸二無水物粉末を添加し、メカニカルスターラーを用い、0.5時間〜96時間好ましくは0.5時間〜30時間加熱撹拌する。重合温度については、0℃以上250℃以下が好ましく、0℃以上100℃以下が更に好ましく、0℃以上80℃以下が特に好ましい。
反応溶媒としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2以上炭素数9以下のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2以上炭素数6以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5以上炭素数10以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上炭素数10以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、γ―ブチロラクトン、安息香酸メチルのような炭素数3以上炭素数12以下のエステル化合物;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような炭素数1以上炭素数10以下の含ハロゲン化合物;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2以上炭素数10以下の含窒素化合物;ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物が挙げられる。
これらは必要に応じて1種、又は2種以上の混合物であっても良い。特に好ましい溶媒としては、炭素数2以上炭素数9以下のエーテル化合物、炭素数3以上炭素数12以下のエステル化合物、炭素数6以上炭素数10以下の芳香族炭化水素化合物、炭素数2以上炭素数10以下の含窒素化合物が挙げられる。これらは工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能である。
製造終了後のポリイミド前駆体は反応溶媒に溶かしたまま用いても良いし、以下の方法で回収・精製してもよい。製造終了後のポリイミド前駆体の回収は、反応溶液中の溶媒を減圧留去することに行うことができる。
ポリイミド前駆体の精製方法としては、反応溶液中の不溶解な酸二無水物及びジアミンを減圧濾過、加圧濾過などで除去する方法が挙げられる。また、反応溶液を貧溶媒に加え析出させる、いわゆる再沈殿による精製法を実施することができる。更に特別に高純度なポリイミド前駆体が必要な場合は超臨界二酸化炭素による抽出法も可能である。
(B)感光剤
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記ポリイミド前駆体及び感光剤を含有する。感光剤とは、光照射により構造が変化し、溶媒に対する溶解性が変化する性質を有する化合物を表す。このような化合物としては、光照射部位が溶解する、いわゆるポジ型と光照射部位が不溶化するいわゆるネガ型が挙げられる。
(B−1)2つ以上の光重合可能な不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレート化合物
ネガ型の感光剤としては、(B−1)2つ以上の光重合可能な不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレート化合物と(C)光重合開始剤との組み合わせが挙げられる。2つ以上の光重合可能な不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレート化合物としては、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、β―ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)−プロピルフタレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。その中で、焼成後の反りの観点から、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレートが好ましい。また、二重結合を2つ有する化合物と二重結合を3つ以上有する化合物の組合せであることが好ましい。2つ以上の光重合可能な不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレート化合物の量は、ポリイミド前駆体の量を100質量部とした場合、現像性の観点から5質量部以上60質量部以下が好ましく、10質量部以上40質量部以下がより好ましい。
(C)光重合開始剤
光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンのようなベンジルジメチルケタール類、ベンジルジプロピルケタール類、ベンジルジフェニルケタール類、ベンゾインメチルエーテル類、ベンゾインエチルエーテル、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−イソプロピルチオキサントン、2−フルオロチオキサントン、4−フルオロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの芳香族ケトン化合物、ロフィン二量体などのトリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジンなどのアクリジン化合物、α,α―ジメトキシ−α−モルホリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、N−アリール−α―アミノ酸などのオキシムエステル化合物、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、p−ジイソプロピルアミノ安息香酸、p−安息香酸エステル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンなどのα―ヒドロキシアルキルフェノン類、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホニル)フェニル]−1−ブタノンなどのα―アミノアルキルフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド類、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)などのオキシムエステル類などが挙げられる。これらの中で、感度の観点から、オキシムエステル類が好ましい。
光重合開始剤の量は、ポリイミド前駆体の量を100質量部とした場合、感度及び解像度の観点から、0.01質量部以上40質量部以下が好ましい。0.5質量部以上35質量部以下がより好ましい。
(B−2)キノンジアジド化合物
ポジ型の感光性を示す化合物として、キノンジアジド構造を含有する化合物、芳香族ジアゾニウム塩化合物、アジド構造を有する化合物などが挙げられる。溶解性コントラストの観点から、キノンジアジド構造を含有する化合物が好ましい。
上記キノンジアジド構造を含有する化合物としては、1,2−ベンゾキノンジアジドスルホン酸エステル類、1,2−ベンゾキノンジアジドスルホン酸アミド類、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸アミド類が挙げられる。具体的には、例えば、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどのトリヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類;2,2’,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2’,3’,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’,3’,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2’,3,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’,3,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどのテトラヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類;2,2’,3,4,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’,3,4,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどのペンタヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類;2,3’,4,4’,5’,6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3’,4,4’,5’,6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,3’,4,4’,5,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,3’,4,4’,5,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどのヘキサヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類;ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2’−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,5’,6,6’,7,7’−ヘキサノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,5’,6,6’,7,7’−ヘキサノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2,4−トリメチル−2’,4’,7−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2,4−トリメチル−2’,4’,7−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどの(ポリヒドロキシフェニル)アルカン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類などが挙げられる。溶解抑止能の観点から、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類が好ましく、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル類、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル類が感光性コントラストの観点からより好ましい。なかでも下記一般式(8)で示す化合物(Qは式(9)で表される構造又は水素原子である。)が特に好ましい。
Figure 2011208025
感光剤として、後述のPA−6は、上記一般式(8)における3個のQのうち、平均2.9個が上記一般式(9)で表される構造になっているものを指す。
感光性樹脂組成物におけるポジ型の感光剤の量としては、ポリイミド前駆体の量を100質量部とした場合、感光性コントラストの観点から、1質量部以上50質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以上30質量部以下である。1質量部以上であれば、未露光部の溶解抑止が充分である傾向にあるため好ましい。50質量部以下であれば、感度が充分に高い傾向にあるため好ましい。
(D)リン化合物
本発明に係る感光性樹脂組成物は、リン化合物を含有することが好ましい。リン化合物は、構造中にリン原子を含む化合物であれば限定されない。このような化合物として、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物などが挙げられる。
リン酸エステル化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリイソブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどの脂肪族炭化水素基を置換基とするリン酸エステル、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートなどの酸素原子を含む脂肪族有機基を置換基とするリン酸エステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)などの芳香族有機基を置換基とするリン酸エステル化合物などが挙げられる。これらの中で、現像性の観点からトリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリイソブチルホスフェートが好ましい。
ホスファゼン化合物としては、下記一般式(10)、下記一般式(11)で表される構造などが挙げられる。
Figure 2011208025
上記一般式(10)及び上記一般式(11)で表されるホスファゼン化合物におけるR18、R19、R20、R21は、炭素数1以上炭素数20以下の有機基であれば限定されない。炭素数1以上であれば、難燃性が発現する傾向にあるため好ましい。炭素数20以下であれば、ポリイミド前駆体と相溶する傾向にあるため好ましい。この中で、難燃性発現の観点から、炭素数6以上炭素数18以下の芳香族性化合物に由来する官能基が特に好ましい。このような官能基として、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基などのフェニル基を有する官能基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などのナフチル基を有する官能基、ピリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾールなどの含窒素複素環化合物に由来する官能基、などが挙げられる。これらの化合物は、必要に応じて1種類でも2種類以上の組み合わせで用いても良い。この中で、入手の容易さからフェニル基、3−メチルフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−シアノフェニル基、を有する化合物が好ましい。
上記一般式(10)で表されるホスファゼン化合物におけるvは、3以上25以下であれば限定されない。3以上であれば、難燃性を発現し、25以下であれば、有機溶剤に対する溶解性が高い。この中で特に、入手の容易さからvが3以上10以下であることが好ましい。
上記一般式(11)で表されるホスファゼン化合物におけるwは、3以上10000以下であれば限定されない。3以上であれば、難燃性を発現し、10000以下であれば、有機溶剤に対する溶解性が高い。この中で特に、入手の容易さから3以上100以下が好ましい。
上記一般式(11)で表されるホスファゼン化合物におけるD及びEは、炭素数3以上炭素数30以下の有機基であれば限定されない。この中で、Dは−N=P(OC、−N=P(OC(OCOH)、−N=P(OC)(OCOH)、−N=P(OCOH)、−N=P(O)(OC)、−N=P(O)(OCOH)が好ましい。
Eは−P(OC、−P(OC(OCOH)、−P(OC(OCOH)、−P(OC)(OCOH)、−P(OCOH)、−P(O)(OC、−P(O)(OCOH)、−P(O)(OC)(OCOH)などが好ましい。
リン化合物は、1種類でも2種類以上の組み合わせで用いても良い。
感光性樹脂組成物においてリン化合物の添加量は、ポリイミド前駆体の量を100質量部とした場合、現像性などの観点から、50質量部以下が好ましい。硬化体の難燃性の観点から、45質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。
(E)溶解抑止剤
本発明に係る感光性樹脂組成物には必要に応じて溶解抑止剤を配合することができる。溶解抑止剤を配合することで、ポリイミド前駆体のアルカリ水溶液からなる現像液への溶解を抑止することができる。本発明に係る溶解抑止剤とは、ポリイミド前駆体のカルボキシル基やフェノール性水酸基と水素結合する化合物をいう。ポリイミド前駆体のカルボキシル基やフェノール性水酸基が溶解抑止剤と水素結合することで現像液から遮蔽され、また、当該化合物の疎水性と相まって、ポリイミド前駆体の溶解を抑止することが可能となる。
カルボキシル基やフェノール性水酸基と水素結合する基を有する化合物としては、カルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物、アミド化合物、ウレア化合物などが挙げられる。アルカリ水溶液からなる現像液への溶解抑止効果及び保存安定性の観点より、下記一般式(12)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011208025
(式(12)中、R18及びR19は炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子の全て又は一部からなる有機基を表す。R18及びR19は同一でも異なっていても良い。)
アミド化合物としては、例えば、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジイソプロピルホルムアミド、N,N−ジメチルブチルアミド、N,N−ジブチルアセトアミド、N,N−ジプロピルアセトアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N,N−ジエチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N’−ジメトキシ−N,N’−ジメチルオキサミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、4−ヒドロキシフェニルベンズアミド、サリチルアミド、サリチルアニリド、アセトアニリド、2’−ヒドロキシアセトアニリド、3’−ヒドロキシアセトアニリド、4’−ヒドロキシアセトアニリドが挙げられる。
中でも、感光層及び当該感光層をベイクすることで得られるフィルムの低ガラス転移点化、アルカリ水溶液からなる現像液への溶解性の制御、高残膜率化の観点より、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、フェノール性水酸基を有するアミド化合物がより好ましい。具体的には、4−ヒドロキシフェニルベンズアミド、2U’−ヒドロキシアセトアニリド、3’−ヒドロキシアセトアニリド(以下3’HyAANと略称する)、4’−ヒドロキシアセトアニリドが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ウレア化合物としては、例えば、1,3−ジメチルウレア、テトラメチルウレア、テトラエチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、3−ヒドロキシフェニルウレアが挙げられる。中でも、アルカリ水溶液からなる現像液への溶解性の制御、高残膜率化、感光層及び当該感光層をベイクすることにより得られるフィルムの低ガラス転移点化の観点より、フェノール性水酸基を含有するウレア化合物がより好ましい。具体的には3−ヒドロキシフェニルウレアが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に係る感光性ポリイミド前駆体組成物には更なる溶解抑止向上の目的でフェノール化合物を配合することが出来る。
具体的には、ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジオキシフェノール、1,4−ビス−(3−ヒドロキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス−(4−ヒドロキシフェノキシ)−ベンゼン、1,5−ビス−(o−ヒドロキシフェノキシ)−3−オキサペンタン、α,α’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼンなどの2核体、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(ヒドロキシフェニル)エタン、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−α,α−ジメチルベンジル}フェノールなどの3核体、下記構造式(a)〜下記構造式(h)で示される多核体などが挙げられる。これらのフェノール化合物は単独で用いても2種類以上組み合わせて用いても良い。
Figure 2011208025
本発明に係るアミド、ウレア、フェノール化合物の配合量の総計は、ポリイミド前駆体100質量部に対して、1質量部〜30質量部が好ましく、5質量部〜20質量部がさらに好ましい。配合量が1質量部よりも少ないと、アルカリ水溶液からなる現像液への溶解性を抑止することが困難になり、30質量部よりも多いと、脱溶剤工程後に得られた感光性ドライフィルムの感光層が脆くなる。
(F)熱硬化性樹脂及びポリイミド前駆体からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂と反応性を有する化合物
焼成後のフィルムの靭性や耐溶剤性、耐熱性(熱安定性)を向上させる目的で、熱硬化性樹脂及びポリイミド前駆体からなる群から選択された少なくとも1つの樹脂と反応性を有する化合物を含有することができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサゾリン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、マレイミド化合物、ブロックイソシアネートなどがあげられる。
ポリイミド前駆体と反応性を有する化合物としては、ポリマー中のカルボキシル基、アミノ基や末端の酸無水物と反応し、三次元架橋構造を形成できる化合物などが挙げられる。その中で、加熱することで塩基であるアミノ基を発生する、いわゆる熱塩基発生剤化合物が好ましい。例えば、アミンなどの塩基化合物のアミノ基を、スルホン酸などの酸で塩構造を作る、ジカーボネート化合物により保護する、酸クロライド化合物により保護することにより得られる。それにより、室温では塩基性を発現せず安定であり、加熱により脱保護し、塩基を発生させる熱塩基発生剤とすることができる。
熱硬化性樹脂及びポリイミド前駆体からなる群から選択された少なくとも1つの樹脂と反応性を有する化合物の添加量は、ポリイミド前駆体の量を100質量部とした場合、現像性の観点から50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。
(G)その他化合物
感光性樹脂組成物には、その性能に悪影響を及ぼさない範囲で、その他化合物を含むことが出来る。具体的には、密着性向上のための複素環化合物やフィルムの着色を目的とした顔料や染料などが挙げられる。
複素環化合物とはヘテロ原子を含む環式化合物であれば限定されない。ここで、本発明におけるヘテロ原子には、酸素、硫黄、窒素、リンが挙げられる。具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールのようなイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾールのようなN−アルキル基置換イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールなどの芳香族基含有イミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどのシアノ基含有イミダゾール、イミダゾールシランなどのケイ素含有イミダゾールなどのイミダゾール化合物、5−メチルベンゾトリアゾール、1−(1’,2’−ジカルボキシエチルベンゾトリアゾール)、1−(2−エチルヘキシアミノメチルベンゾトリアゾール)などのトリアゾール化合物、2−メチル−5−フェニルベンゾオキサゾールなどオキサゾール化合物などが挙げられる。顔料や染料としては、フタロシアニン系化合物があげられる。
その他化合物の添加量は、0.01質量部以上、30質量部以下であれば限定されない。0.01質量部以上であれば十分に密着性やフィルムへの着色性が向上する傾向にあり、30質量部以下であれば感光性等への悪影響がない。
(H)有機溶剤
感光性樹脂組成物は、任意で、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、ポリイミド前駆体を均一に溶解及び/又は分散させうるものであれば限定されない。このような有機溶剤として、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2以上炭素数9以下のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2以上炭素数6以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5以上炭素数10以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上炭素数10以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、安息香酸メチルのような炭素数3以上炭素数9以下のエステル化合物;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような炭素数1以上炭素数10以下の含ハロゲン化合物;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2炭素数以上10以下の含窒素化合物;ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物が挙げられる。
これらは必要に応じて1種、又は2種以上の混合物であっても良い。特に好ましい有機溶剤としては、炭素数2以上炭素数9以下のエーテル化合物、炭素数3以上炭素数9以下のエステル化合物、炭素数6以上炭素数10以下の芳香族炭化水素化合物、炭素数2以上炭素数10以下の含窒素化合物が挙げられる。
また、必要に応じて、1種、又は2種以上の混合物であっても良い。ポリイミド前駆体の溶解性の観点から、トリエチレングリコールジメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
ポリイミド前駆体と有機溶剤とからなる樹脂組成物におけるポリイミド前駆体の濃度は、樹脂成型体を合成可能な濃度であれば、特に制限されない。作製する樹脂成型体の膜厚の観点からポリイミド前駆体の濃度が1質量%以上、樹脂成型体の膜厚の均一性からポリイミド前駆体の濃度が90質量%以下であることが好ましい。得られる樹脂成型体の膜厚の観点から、2質量%以上、80質量%以下がより好ましい。
(I)感光性フィルム
感光性樹脂組成物は感光性フィルムに好適に用いることができる。感光性フィルムを製造するという観点からは、感光性樹脂組成物におけるポリイミド前駆体の濃度は、1質量%以上、90質量%以下が好ましい。ポリイミド前駆体の濃度は、感光性フィルムの膜厚の観点から1質量%以上が好ましく、感光性樹脂組成物の粘度、膜厚の均一性の観点から90質量%以下が好ましい。得られる感光性フィルムの膜厚の観点から、2質量%以上、80質量%以下がより好ましい。
次に、感光性フィルムの製造方法について説明する。
まず、感光性樹脂組成物を基材にコートする。上記基材としては、感光性ドライフィルム形成の際に損傷しない基材であれば、限定されない。このような基材としては、シリコンウエハ、ガラス、セラミック、耐熱性樹脂、キャリアフィルムなどが挙げられる。キャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムや金属フィルムが挙げられる。取扱いの良さから、耐熱性樹脂及びキャリアフィルムが好ましく、基板圧着後の剥離性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
コート方法としてはバーコート、ローラーコート、ダイコート、ブレードコート、ディップコート、ドクターナイフ、スプレーコート、フローコート、スピンコート、スリットコート、はけ塗り、などが例示できる。コート後、必要に応じてホットプレートなどによりプリベークと呼ばれる加熱処理を行っても良い。
このように、感光性樹脂組成物で構成された感光性フィルムを用いる場合は、感光性樹脂組成物の溶液を任意の方法で任意の基材上に塗布後乾燥し、ドライフィルム化し、例えばキャリアフィルムと感光性フィルムとを有する積層フィルムとする。
また、感光性フィルム上に、任意の防汚用や保護用のカバーフィルムを少なくとも一層設けて積層フィルムとしても良い。本発明に係る積層フィルムおいて、カバーフィルムとしては、低密度ポリエチレンなど感光性フィルムを保護するフィルムであれば限定されない。
次いで、感光性フィルムを、配線を有する基材に上記配線を覆うように圧着し、アルカリ現像を行い、焼成を行うことによりフレキシブルプリント配線板を得ることができる。
フレキシブルプリント配線板における配線を有する基材としては、ガラスエポキシ基板、ガラスマレイミド基板などのような硬質基材、又は銅張積層板などのフレキシブルな基板などが挙げられる。この中で、折り曲げ可能の観点からフレキシブルな基板が好ましい。
上記フレキシブルプリント配線板の形成方法においては、上記感光性フィルムが配線を覆うように基材に形成されれば、限定されない。このような形成方法としては、上記配線を有する基材の配線側と本発明の感光性フィルムを接触させた状態で、熱プレス、熱ラミネート、熱真空プレス、熱真空ラミネート等を行う方法などが挙げられる。この中で、配線間への感光性フィルムの埋め込みの観点から、熱真空プレス、熱真空ラミネートが好ましい。
上記配線を有する基材上に感光性フィルムを積層する際の加熱温度は、感光性フィルムが基材に密着しうる温度であれば限定されない。基材への密着の観点や感光性フィルムの分解や副反応の観点から、30℃以上、400℃以下が好ましい。より好ましくは、40℃以上、150℃以下である。
上記配線を有する基材の整面処理は、特に限定されないが、塩酸処理、硫酸処理、過硫酸ナトリウム水溶液処理などが挙げられる。整面処理後、必要に応じて、金属表面に防錆処理を施しても良い。
感光性フィルムは、ポジ型の場合、光照射後、光照射部位をアルカリ現像にて溶解することにより、ポジ型のフォトリソグラフィーが可能である。また、ネガ型の場合、光照射後、光照射部位以外をアルカリ現像にて溶解することにより、ネガ型のフォトリソグラフィーが可能である。この場合において、光照射に用いる光源は、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯、タングステンランプ、半導体レーザー、UV−YAGレーザー、アルゴンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザーなどが挙げられる。この中で、高圧水銀灯、超高圧水銀灯が好ましい。
現像に用いるアルカリ水溶液としては、ポジ型の場合は光照射部位を、ネガ型の場合は光照射部位以外を、溶解しうる溶液であれば限定されない。このような溶液として、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液などが挙げられる。現像性の観点から、炭酸ナトリウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。現像方法としては、スプレー現像、浸漬現像、パドル現像などが挙げられる。
次いで、感光性フィルムを圧着したプリント配線板を焼成することによりプリント配線板を形成する。焼成は、溶媒の除去の観点や副反応や分解などの観点から、30℃以上、400℃以下の温度で実施することが好ましい。より好ましくは、100℃以上、300℃以下である。
上記焼成における反応雰囲気は、空気雰囲気下でも不活性ガス雰囲気下でも実施可能である。上記プリント配線板の製造において、上記焼成に要する時間は、反応条件によって異なるが、通常は24時間以内であり、特に好適には1時間〜8時間の範囲で実施される。
ポリイミド前駆体及び感光性樹脂組成物は、キュア後の反りが良好であり、かつ現像性も良好であり、硬化体とした際に耐薬品性を示すことから、エレクトロニクス分野で各種電子機器の操作パネル等に使用されるプリント配線板や回路基板の保護層形成、積層基板の絶縁層形成、半導体装置に使用されるシリコンウエハ、半導体チップ、半導体装置周辺の部材、半導体搭載用基板、放熱板、リードピン、半導体自身などの保護や絶縁及び接着に使用するための電子部品への膜形成用途に利用される。このように、シリコンウエハ、銅張積層板、プリント配線板などの上に形成された配線を保護する保護膜をカバーレイという。
また、ポリイミド前駆体及び感光性樹脂組成物は、フレキシブルプリント配線回路(FPC)用基板、テープオートメーションボンディング(TAB)用基材、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜及び液晶ディスプレー用基板、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレー用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にフレキシブルプリント配線回路用のカバーレイに好適に用いることができる。
(実施例)
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
<試薬>
以下の実施例及び比較例において、用いた試薬であるTACT(マナック社製)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(商標名:TAHQ(マナック社製))、TMEG(商標名:TMEG−100(新日本理化社製))、10BTA(黒金化成社製)、TMAB(商標名:CUA−4(イハラケミカル工業社製)、BAPP(和歌山精化工業社製)、APB(商標名:APB−N(三井化学社製))、エラスマー1000P(イハラケミカル工業社製)、3−o−PAB(日本純良薬品社製)、ジェファーミン(商標名:ジェファーミンXTJ−542(ハンツマン社製)、ジェファーミン(商標名:ジェファーミンED−900(ハンツマン社製)、ジェファーミン(商標名:ジェファーミンD−2000(ハンツマン社製)、1,2−ナフトキノンジアジド−5-スルホン酸エステル(商標名:PA−6、ダイトーケミックス社製:前述の化合物(8))、3’−ヒドロキシアセトアニリド(3‘HyAAn:和光純薬工業社製)、多価フェノール(商標名:TEP−TPA(上記構造式(e))、旭有機材工業社製)、ホスファゼン化合物(商標名:SPH(大塚化学社製)、及びFP−390:(伏見製薬所社製))、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(商標名:BPE−500(新中村化学工業社製))、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート(商標名:アロニックスM−306(東亞合成社製)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(商標名:IRGACURE OXE 02(チバ・ジャパン社製)、γ―ブチロラクトン(和光純薬工業社製)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(和光純薬工業社製)、炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製)は特別な精製を実施せずに反応に用いた。
<重量平均分子量測定>
重量平均分子量の測定法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)は、下記の条件により測定を行った。溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。
カラム:Shodex KD−806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)UV―2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
また、重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成した。
<膜厚測定>
硬化体の膜厚測定は、膜厚計(Mitutoyo社製、ID−C112B)を用いて行った。
<ドライフィルム製造方法>
感光性樹脂組成物のコートは、FILMCOATER(TESTER SANGYO社製、PI1210)を用いるドクターブレード法により行った。PETフィルム(ユニチカ社製、TR1−25)に上記感光性樹脂組成物を滴下し、クリアランス75μmでコートを行った。コートした上記フィルムを、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)を用いて95℃で30分間乾燥することにより、感光性ドライフィルムを得た。
<ラミネート条件>
本発明におけるラミネートは、真空プレス機(名機製作所製)を用いて行った。プレス温度80℃〜100℃、プレス圧0.5MPa、プレス時間30秒間にて行った。
<現像性評価>
現像性評価は、銅張積層板上に、感光性ドライフィルムを用いて、上記のラミネート条件でラミネートした後に、ポジ型感光性樹脂組成物の場合は、ポジ型マスクを用いて照射量1.0J/cmにて露光を行い、ネガ型感光性樹脂組成物の場合は、30−270mJ/cmにて露光を行い、続いて炭酸ナトリウム水溶液(1%:30℃)によるアルカリ現像処理と、硫酸(0.5%:室温)によるリンスと水洗を行い、乾燥後にパターンを光学顕微鏡にて評価することにより行った。マスクには100μm径の円形パターン(間隔100μmピッチ)を用いた。180秒以内の現像時間で銅面が現れる場合は○を残渣が残る場合及び解像度が劣る場合を△、銅面が現れない場合は×とした。また残膜率に関しては,銅面が現れるまでの時間の2倍時間現像し、残る画像の前後膜厚を比較する方法で評価し、80%以上の場合を○、80%未満の場合を×とした。
<焼成後の反り測定>
得られた感光性ドライフィルムを、カプトン(登録商標)に上記ラミネート条件にてラミネートした後に、120℃で1時間、続いて180℃で1時間焼成を行った。該フィルムを5cm角に切り出し、端部の浮き高さが10mm以内のものを○、それ以上に浮き高さがあるものを×とした。
<焼成後の折り曲げ試験>
キュア後に得られたフィルムを180度に折り曲げ(ハゼ折り)、カバーフィルムの割れ、剥れを目視にて観察した。割れ、剥れがない場合○、割れ、剥れがあった場合×とした。
<難燃性試験>
難燃性評価は、ポリイミドフィルム(Kapton EN−100 商品名 東レ・デュポン社製)上に、感光性ドライフィルムを用いて、上記のラミネート条件でラミネートした後に、120℃で1時間、続いて180℃で1時間焼成を行った。
得られたフィルムを幅1cm、長さ5cmに切り取った。次に試験片の一端に火を着け延焼する過程を目視にて観察した。途中で消炎した試料を○、全て燃えてしまった試料を×とした。
[合成例1]
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、エラスマー1000P(8.2mmol)、APB(12.6mmol)、γ−ブチロラクトン(36g)を入れ、均一溶液になるまで攪拌した。次にTACT(21.7mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリイミド前駆体(1)のγ−ブチロラクトン溶液を得た。重量平均分子量測定結果を下記表1に示す。
[合成例2]
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、エラスマー1000P(7.8mmol)、APB(11.9mmol)、γ−ブチロラクトン(36g)を入れ、均一溶液になるまで攪拌した。次にTACT(10.9mmol)、10BTA(10.9mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリイミド前駆体(2)のγ−ブチロラクトン溶液を得た。重量平均分子量測定結果を下記表1に示す。
[合成例3]
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、エラスマー1000P(7.8mmol)、3−o−PAB(11.9mmol)、γ−ブチロラクトン(37g)を入れ、均一溶液になるまで攪拌した。次にTACT(10.9mmol)、10BTA(10.9mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリイミド前駆体(3)のγ−ブチロラクトン溶液を得た。重量平均分子量測定結果を下記表1に示す。
[合成例4]
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、XTJ−542(7.8mmol)、3−o−PAB(11.9mmol)、γ−ブチロラクトン(34g)を入れ、均一溶液になるまで攪拌した。次にTMEG(7.6mmol)、10BTA(14.1mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリイミド前駆体(4)のγ−ブチロラクトン溶液を得た。重量平均分子量測定結果を下記表1に示す。
[合成例5]
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、エラスマー1000P(8.2mmol)、APB(12.6mmol)、γ−ブチロラクトン(37g)を入れ、均一溶液になるまで攪拌した。次にTAHQ(10.9mmol)、10BTA(10.9mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリイミド前駆体(5)のγ−ブチロラクトン溶液を得た。重量平均分子量測定結果を下記表1に示す。
[合成例6]
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、エラスマー1000P(7.4mmol)、APB(11.1mmol)、γ−ブチロラクトン(37g)を入れ、均一溶液になるまで攪拌した。次にTAHQ(10.9mmol)、10BTA(10.9mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリイミド前駆体(6)のγ−ブチロラクトン溶液を得た。重量平均分子量測定結果を下記表1に示す。
[合成例7]
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、XTJ−542(7.8mmol)、p−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)(以下、4−p−PABと略称する)(11.9mmol)、γ−ブチロラクトン(34g)を入れ、均一溶液になるまで攪拌した。次にTMEG(7.6mmol)、10BTA(14.1mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリイミド前駆体(7)のγ−ブチロラクトン溶液を得た。重量平均分子量測定結果を下記表1に示す。
[実施例1]
合成例1のポリイミド前駆体(1)100質量部に対して、PA−6(30質量部)、SPH(10質量部)、TEP−TPA(15質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験を行った。結果を下記表3に示す。
[実施例2]
合成例2のポリイミド前駆体(2)100質量部に対して、PA−6(25質量部)、SPH(10質量部)、3’HyAAn(5質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験を行った。結果を下記表3に示す。
[実施例3]
合成例3のポリイミド前駆体(3)100質量部に対して、PA−6(25質量部)、SPH(10質量部)、TEP−TPA(7質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験、を行った。結果を下記表3に示す。
[実施例4]
合成例4のポリイミド前駆体(4)100質量部に対して、PA−6(25質量部)、SPH(10質量部)、3’HyAAn(5質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験を行った。結果を下記表3に示す。
[実施例5]
合成例1のポリイミド前駆体(1)100質量部に対して、BPE−500(30質量部)、M−306(10質量部)、IRGACURE OXE 02(表2ではIRGACUREと表記する)(1質量部)、FP−390(20質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験を行った。結果を下記表3に示す。
[実施例6]
合成例2のポリイミド前駆体(2)100質量部に対して、BPE−500(30質量部)、M−306(10質量部)、IRGACURE OXE 02(1質量部)、FP−390(20質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験を行った。結果を下記表3に示す。
[実施例7]
合成例3のポリイミド前駆体(3)100質量部に対して、BPE−500(30質量部)、M−306(10質量部)、IRGACURE OXE 02(1質量部)、FP−390(20質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験を行った。結果を下記表3に示す。
[実施例8]
合成例4のポリイミド前駆体(4)100質量部に対して、BPE−500(30質量部)、M−306(10質量部)、IRGACURE OXE 02(1質量部)、FP−390(20質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験を行った。結果を下記表3に示す。
[比較例1]
合成例5のポリイミド前駆体(5)100質量部に対して、PA−6(30質量部)、SPH(10質量部)、3’HyAAn(15質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験を行った。結果を下記表3に示す。
[比較例2]
合成例6のポリイミド前駆体(6)100質量部に対して、PA−6(30質量部)、SPH(10質量部)、3’HyAAn(15質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験を行った。結果を下記表3に示す。
[比較例3]
合成例6のポリイミド前駆体(6)100質量部に対して、BPE−500(30質量部)、M−306(10質量部)、IRGACURE OXE 02(1質量部)、FP−390(20質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験を行った。結果を下記表3に示す。
[比較例4]
合成例7のポリイミド前駆体(7)100質量部に対して、BPE−500(30質量部)、M−306(10質量部)、IRGACURE OXE 02(1質量部)、FP−390(20質量部)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の組成を下記表2に示す。上記感光性樹脂組成物を1質量%炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ現像性及び現像後の残膜率の評価、焼成後の折り曲げ試験、焼成後のフィルムの反り測定、難燃性試験を行った。結果を下記表3に示す。
Figure 2011208025
Figure 2011208025
Figure 2011208025
表3に示すように、特定の酸二無水物及び特定のジアミンを用いた感光性樹脂組成物は、いずれも良好な評価結果が得られた(実施例1〜実施例8)。一方、モノマーとしてオルトジ置換体を用いなかった場合、現像性の低下(比較例1、比較例3、比較例4)や反りの低下(比較例1、比較例2)、折り曲げ試験の結果が悪化した(比較例2)。
本発明のポリイミド前駆体は、半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、及び再配線用絶縁膜、バンプ構造を有する装置の保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、並びに液晶配向膜等として好適に利用できる。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表されるポリアミド酸構造を繰り返し構成単位として有するポリイミド前駆体であって、下記構造式(2)表されるテトラカルボン酸二無水物及び/又は下記一般式(3)で表わされるジアミンから構成されたことを特徴とするポリイミド前駆体。
    Figure 2011208025
    (式(1)中、A1、Aは式(2)又は下記一般式(4)のテトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基を表す。Bは下記一般式(5)又は下記一般式(6)のジアミンに由来する2価の有機基を表し、Bは式(3)又は下記一般式(7)のジアミンに由来する2価の有機基を表す。また、式(1)中のa1、a2、b1、b2は各単位のmol%を表し、a1≧0、b1>0、b2≧0、a1+b2>0、0.80≦(a1+a2)/(b1+b2)≦1.20を満たす。)
    Figure 2011208025
    (式(4)中、Rは炭素数1〜炭素数30の4価の有機基を表す。)
    Figure 2011208025
    (式(5)中、kは3〜20の整数を表す。Xは炭素数2〜炭素数30のアルキレン基を有する2価の有機基である。)
    Figure 2011208025
    (式(6)中、R、R、R、R、R、R、R11、R12、R14、R15はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜炭素数20の1価の有機基を表し、同じであっても異なっていても良い。R、R、R10、R13、R16は炭素数1〜炭素数20の4価の有機基を表し、m、n、pはそれぞれ独立して0以上100以下の整数を表す。)
    Figure 2011208025
    (式(7)中、R17は炭素数1〜炭素数30の2価の有機基を表す。)
  2. 請求項1記載のポリイミド前駆体と、感光剤と、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
  3. 前記感光剤が、キノンジアジド化合物であることを特徴とする請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記感光剤が、少なくとも2つ以上の光重合可能な不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレート化合物を含み、さらに光重合開始剤、を含むことを特徴とする請求項3記載の感光性樹脂組成物。
  5. リン化合物を含むことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記リン化合物が、リン酸エステル構造及びホスファゼン構造からなる群から選択された少なくとも1つの構造を有することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  7. 請求項2から請求項6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物と、支持フィルム層とを備えたことを特徴とする感光性フィルム。
  8. 請求項2から請求項6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物をイミド化して得られたことを特徴とするカバーレイ。
  9. 配線を有する基材と、前記配線上において請求項2から請求項6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物をイミド化して得られた構造であることを特徴とするフレキシブルプリント配線版板。
  10. 片側全面にキャリアフィルムを有することを特徴とする請求項7に記載の感光性フィルム。
  11. カバーフィルムを具備することを特徴とする請求項10に記載の感光性フィルム。
  12. 請求項8に記載のカバーレイと、銅張積層板と、を具備することを特徴とする積層体。
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