JP2011209521A - ポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像性が良好であり、めっき耐性に優れる感光性フィルムを実現できるポジ型感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポジ型感光性樹脂組成物は、芳香環の連結基にエステル構造をそれぞれ有する酸二無水物成分及び/又はジアミン成分を含むポリイミド前駆体と、感光剤と、芳香環にアルキル基を置換基として有するトリアゾール化合物と、を含有してなることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】ポジ型感光性樹脂組成物は、芳香環の連結基にエステル構造をそれぞれ有する酸二無水物成分及び/又はジアミン成分を含むポリイミド前駆体と、感光剤と、芳香環にアルキル基を置換基として有するトリアゾール化合物と、を含有してなることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、長鎖アルキル構造を有するテトラカルボン酸二無水物及び/又はアルキルエーテル構造を有するジアミンを含むポリイミド前駆体及び感光剤に、特定のトリアゾール化合物を含有したポジ型感光性樹脂組成物、ポジ型感光性樹脂組成物を用いた感光性フィルム、及び感光性フィルムを用いて得られた基板並びにその積層体に関する。
近年フレキシブルプリント基板(以下、「FPC」ともいう。)と呼ばれるフィルム状のプリント基板が活況を得ている。この基板は配線加工されたFCCL(Flexible Cupper Clad Laminate)上にポリイミドフィルムなどから構成されるカバーレイを具備した構造になっており、主に携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラなどの機器に用いられている。FPCは折り曲げても機能を維持することから、機器の小型化、軽量化に向けて無くてはならない材料となっている。特に近年、ノート型パソコンに代表される電子機器の小型化、軽量化が進んでおり、このような製品にFPCを採用することで、当該機器の寸法及び重量減少、製品コストの低減並びに設計の単純化することなどに貢献している。
FPCの微細化、薄膜化に向けて、リソグラフィーによる微細加工を行うため感光性カバーレイの開発が精力的に行われている。この中でもポリイミド前駆体を用いた感光性カバーレイは、ポリイミド由来の折り曲げ耐性、耐熱性、電気絶縁性の観点から優れたカバーレイとして期待されている。
また、従来のスクリーン印刷では溶媒除去のプロセスや両面加工の際には2回のプロセスになる等の問題やスクリーン印刷の解像度が低く、工業プロセスの観点や解像度の観点から感光性樹脂組成物をドライフィルム化することが望まれている。
これを解決するための感光性樹脂組成物としては、ポリアミド酸構造を有するポリイミド前駆体を含む感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の感光性樹脂組成物では、感光性樹脂組成物を溶剤に溶解させたワニス中のポリイミド前駆体の分子量低下、及びドライフィルム作成におけるベーク(加熱乾燥)工程での分子量低下が大きく、フィルムの靭性が低下し得られる感光性ドライフィルムを折り曲げた際に、感光層が割れてしまうという問題があった。また、ポリイミド前駆体の分子量が低下することで、リソグラフィーによりパターンを形成させる際、アルカリ水溶液を用いた現像において、現像時間が安定しない、残膜率が低下する、パターン形状が歪むなどの現像性が低下する傾向にあった。
一方で、窒素を2個以上含む化合物を含有したジアゾキノンを用いたポジ型感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。特許文献2では、ジアゾキノンの添加により、金属との接着性が向上するが、感光性樹脂組成物の上述のリソグラフィーにおける露光部の現像時間における、未露光部の溶解抑止性が低い問題ある。このため、上記同様に現像時間が安定しない、残膜率が低下する、パターン形状が歪むなどの現像性が低下する傾向にあった。また、カルボキシベンゾトリアゾール化合物を含有したネガ型感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献3)。特許文献3では、カルボキシベンゾトリアゾール化合物の添加により、金属との接着性や、リソグラフィーにおける現像性が向上することが開示されているが、ポリイミド及びポリイミド前駆体のポリアミド酸を用いることについては開示されていない。さらに、トリアゾール化合物を含んだ感光性樹脂ポリイミド前駆体組成物も提案されている(特許文献4)。特許文献4では、トリアゾール化合物を含むことで、接着性が向上することが開示されている。
このように、従来から感光性樹脂組成物の開発が行われているが、近年のFPCの微細化、薄膜化に伴い、さらにリソグラフィー及び、耐めっき性に優れる感光性樹脂の開発が望まれている。
本発明は、かかる点に鑑みて為されたものであり、現像性が良好であり、めっき耐性に優れる感光性フィルムを実現できるポジ型感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、テトラカルボン酸二無水物及び/又はアルキルエーテル構造を有するジアミンを含むポリイミド前駆体及び感光剤に、特定のトリアゾール化合物を含有したポジ型感光性樹脂組成物を含有させることで、フレキシブルプリント基板(FPC)に用いた場合に、めっき耐性に優れるばかりでなく、現像時間を長くしても残膜率の減少がみられず、残渣を除去できるというリソグラフィー性能(過現像耐性)に優れるポジ型感光性樹脂組成物が得られることを見出した。また、ポジ型感光性樹脂組成物を用いた感光性フィルム、及び該感光性フィルムを用いて得られた基板並びにその積層体が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に示すものである。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される酸二無水物及び/又は下記一般式(2)で表されるジアミンを含むポリイミド前駆体と、感光剤と、下記一般式(3)で表されるトリアゾール化合物と、を含有してなることを特徴とする。
(式(1)中、Xは、炭素数が3から30のアルキレン基を有する2価の有機基である。R1は水素原子、炭素数が1から10の1価のアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン基を表す。)
(式(2)中、Yは、炭素数が2から20のアルキレン基を有する2価の有機基である。R2は水素原子、炭素数が1から10の1価のアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン基を表す。)
(式(3)中、Zは水素、アミノアルキル基、又はヒドロキシアミノアルキル基を表す。Uは炭素数1から10のアルキル基を表す。)
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、前記感光剤が、キノンジアジド化合物であることが好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、リン化合物を含むことが好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、前記リン化合物が、リン酸エステル構造及びホスファゼン構造からなる群から選択された少なくとも1つの構造を有することが好ましい。
本発明の感光性フィルムは、上記ポジ型感光性樹脂組成物と、支持フィルム層と、を含むことを特徴とする。
本発明の感光性フィルムにおいては、片側全面にキャリアフィルムを有することが好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、カバーフィルムを具備することが好ましい。
本発明のカバーレイは、上記ポジ型感光性樹脂組成物をイミド化して得られたことを特徴とする。
本発明のフレキシブルプリント配線板は、配線を有する基材と、前記基材上に設けられた上記カバーレイとを備えたことを特徴とする。
本発明の積層体は、上記カバーレイと、銅張積層板とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、現像性が良好であり、めっき耐性に優れる感光性フィルムを実現できるポジ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
(A)ポリイミド前駆体
ポリイミド前駆体のモノマーとしては、酸二無水物、ジアミンが用いられる。ポリイミド前駆体は、加熱を伴う脱溶剤により分子量が低下することが知られているが、分子量の低下を低減する観点から、ポリイミド前駆体に用いる酸二無水物としては、下記一般式(1)で表される酸二無水物を用いる。当該構造で表される酸無二水物であれば、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いても良い。
ポリイミド前駆体のモノマーとしては、酸二無水物、ジアミンが用いられる。ポリイミド前駆体は、加熱を伴う脱溶剤により分子量が低下することが知られているが、分子量の低下を低減する観点から、ポリイミド前駆体に用いる酸二無水物としては、下記一般式(1)で表される酸二無水物を用いる。当該構造で表される酸無二水物であれば、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いても良い。
これらのうち、脱溶剤工程での分子量低下を抑える観点から、下記一般式(4)で表される酸二無水物を用いることが好ましい。
上記一般式(4)で表される酸二無水物のうち、aは1から15が好ましく、bは5から20が好ましい。具体的には、ブタンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル、ペンタンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル、ヘプタンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル、デカンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル、イコサンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル、ポリプロピレンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル、ポリテトラメチレンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル等が挙げられる。これらの化合物は単独でも2種類以上組み合わせて用いても良い。
本発明に係るポリイミド前駆体には、上記酸二無水物に加えて、他の酸二無水物を用いることもできる。具体的には、芳香族テトラカルボン酸としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,3’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−1,4−フェニレンエステル、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、エチレンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステルなどが挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらの酸二無水物は、ベイク後の反りを低減する観点から、ポリイミド前駆体の酸二無水物全量に対して、0モル%から50モル%の範囲で用いることが好ましい。
ポリイミド前駆体に用いるジアミンとしては、下記一般式(2)で表されるジアミンを用いる。当該構造で表されるジアミンであれば、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いても良い。
これらの中でも、R2は水素原子又は炭素数が1から10の1価のアルキル基であることが好ましい。
具体的には、ジメチレン−ビス(2−アミノベンゾエート)、ジメチレン−ビス(3−アミノベンゾエート)、ジメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、トリメチレン−ビス(2−アミノベンゾエート)、トリメチレン−ビス(3−アミノベンゾエート)、トリメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、テトラメチレン−ビス(2−アミノベンゾエート)、テトラメチレン−ビス(3−アミノベンゾエート)、テトラメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、3−メチルテトラメチレン−ビス(2−アミノベンゾエート)、3−メチルテトラメチレン−ビス(3−アミノベンゾエート)、3−メチルテトラメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、ペンタメチレン−ビス(2−アミノベンゾエート)、ペンタメチレン−ビス(3−アミノベンゾエート)、ペンタメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、デカメチレン−ビス(2−アミノベンゾエート)、デカメチレン−ビス(3−アミノベンゾエート)、デカメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)などが挙げられる。これらのジアミンは単独で用いても2種類以上同時に用いても良い。さらに、これらの中でも、下記一般式(5)で表される化合物を用いることが好ましい。
具体的には、ポリジメチレンオキシド−ジ−o−アミノベンゾエート)、ポリジメチレンオキシド−ジ−m−アミノベンゾエート、ポリジメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリトリメチレンオキシド−ジ−o−アミノベンゾエート、ポリトリメチレンオキシド−ジ−m−アミノベンゾエート、ポリトリメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−o−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−m−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリ−3−メチルテトラメチレンオキシド−ジ−o−アミノベンゾエート、ポリ−3−メチルテトラメチレンオキシド−ジ−m−アミノベンゾエート、ポリ−3−メチルテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリペンタメチレンオキシド−ジ−o−アミノベンゾエート、ポリペンタメチレンオキシド−ジ−m−アミノベンゾエート、ポリペンタメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリデカメチレンオキシド−ジ−o−アミノベンゾエート、ポリデカメチレンオキシド−ジ−m−アミノベンゾエート、ポリデカメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリ(テトラメチレン/3−メチルテトラメチレンエーテル)グリコールビス(4−アミノベンゾエート)などが挙げられる。これらのジアミンは単独で用いても2種類以上同時に用いても良い。
さらに、これらのジアミンの配合量は、ベイク後の反りを低減される観点から、上記一般式(5)で表されるジアミンがポリイミド前駆体の全ジアミン成分のうち、25モル%から75モル%であることが好ましい。
また、上記ジアミンとそれ以外のジアミンを同時に用いることが可能である。具体的には1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,7−ジアミノ−ジメチルベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、5(6)−アミノ−1−(4−アミノメチル)−1,3,3−トリメチルインダン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,6−ジヒドロキシ−1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,5−ビス(4'−アミノフェノキシ)ペンタン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(γ−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン、下記一般式(6)で表されるジアミノシロキサン化合物などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上組み合わせて用いても良い。
これらのジアミンは、ベイク後の反りを低減する観点から、ポリイミド前駆体のジアミンの総モル数に対して、0モル%から50モル%の範囲で配合することが好ましい。
また本発明に係るポリイミド前駆体のカルボキシル基の一部を、アルコール化合物など公知の化合物、及び方法を用いてエステル化することも可能である。
ポリアミド酸の製造の際に使用される反応溶媒には、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシドが挙げられる。また、必要に応じて、これらの溶剤よりも低沸点である溶剤を配合することができる。低沸点溶剤を配合することにより、乾燥時の発泡を抑制することができる。低沸点溶剤としては、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルコール類、1,4−ジオキサン、トリオキサン、ジエチルアセタール、1,2−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、安息香酸メチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート等のエステル類、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン等の炭化水素類が挙げられる。
有機溶剤の配合量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して、25質量部から900質量部が好ましく、100質量部から400質量部がさらに好ましい。配合量が900質量部よりも多いと、塗工後に膜厚保持が困難になり、25質量部よりも少ないと、ポリイミド前駆体が完全に溶解しない。
(B)感光剤
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記ポリイミド前駆体及び感光剤を含有する。本発明における感光剤とは、光照射により構造が変化し、溶媒に対する溶解性が変化する性質を有する化合物を表す。中でもベンゾキノンジアジド化合物、ナフトキノンジアジド化合物など、キノンジアジド構造を含む化合物であることが好ましい。例えば米国特許第2797213号明細書、米国特許第3669658号明細書に記載のものを用いることができる。その中でも、溶解抑止能の観点から、フェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸又は、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸とのエステル化合物が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。なかでも下記一般式(7)で示す化合物(Qは下記構造式(8)で表される構造又は水素原子である。)が特に好ましい。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記ポリイミド前駆体及び感光剤を含有する。本発明における感光剤とは、光照射により構造が変化し、溶媒に対する溶解性が変化する性質を有する化合物を表す。中でもベンゾキノンジアジド化合物、ナフトキノンジアジド化合物など、キノンジアジド構造を含む化合物であることが好ましい。例えば米国特許第2797213号明細書、米国特許第3669658号明細書に記載のものを用いることができる。その中でも、溶解抑止能の観点から、フェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸又は、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸とのエステル化合物が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。なかでも下記一般式(7)で示す化合物(Qは下記構造式(8)で表される構造又は水素原子である。)が特に好ましい。
本発明に係る感光剤の配合量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して、5質量部から35質量部が好ましく、10質量部から30質量部がさらに好ましい。感光剤の配合量は、感光性の発現、及びアルカリ水溶液からなる現像液への溶解抑止の観点から5質量部以上、感度及びカバーレイの靭性発現の観点から35質量部以下が好ましい。
(C)トリアゾール化合物
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記ポリイミド前駆体、感光剤、及び下記一般式(3)で示すトリアゾール化合物を含有する。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記ポリイミド前駆体、感光剤、及び下記一般式(3)で示すトリアゾール化合物を含有する。
具体的には、5−メチルベンゾトリアゾール、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、1−N−ジブチルアミノメチルカルボキシベンゾトリアゾールなどが挙げられる。これらの中でも1−N,N−ジブチルアミノメチルカルボキシベンゾトリアゾールや、下記構造式(9)で示す1−[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾールが特に好ましい。
本発明におけるトリアゾール化合物の添加量は、ポリイミド100質量部に対して、0.1質量部から10質量部の範囲が好ましく、0.1質量部から5質量部の範囲がさらに好ましい。添加量が0.1質量部以上であれば接着性の改善効果が発現し、10質量部より多いと、現像性に悪影響を及ぼし良好な線像を得ることが困難になる。このように、本発明においては、上記一般式(3)で示すトリアゾール化合物を用いることにより、ポジ型感光性樹脂組成物の未露光部の溶解速度の制御が可能となり、過現像耐性の向上及び接着性が向上するため、現像性及び耐めっき性に優れたポジ型感光性樹脂組成物を実現することができる。
(D)リン化合物
感光性樹脂組成物は、リン化合物を含有することが好ましい。リン化合物は、構造中にリン原子を含む化合物であれば限定されない。このような化合物として、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物などが挙げられる。
感光性樹脂組成物は、リン化合物を含有することが好ましい。リン化合物は、構造中にリン原子を含む化合物であれば限定されない。このような化合物として、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物などが挙げられる。
リン酸エステル化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリイソブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどの脂肪族炭化水素基を置換基とするリン酸エステル、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートなどの酸素原子を含む脂肪族有機基を置換基とするリン酸エステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)などの芳香族有機基を置換基とするリン酸エステル化合物などが挙げられる。これらの中でも、現像性の観点からトリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリイソブチルホスフェートが好ましい。
ホスファゼン化合物としては、下記一般式(10)、下記一般式(11)で表される構造などが挙げられる。
上記一般式(10)及び上記一般式(11)で表されるホスファゼン化合物におけるR5、R6、R7、R8は、炭素数1以上炭素数20以下の有機基であれば限定されない。炭素数1以上であれば、難燃性が発現する傾向にあるため好ましい。炭素数20以下であれば、ポリイミド前駆体と相溶する傾向にあるため好ましい。この中でも、難燃性発現の観点から、炭素数6以上炭素数18以下の芳香族性化合物に由来する官能基が特に好ましい。このような官能基として、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基などのフェニル基を有する官能基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などのナフチル基を有する官能基、ピリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾールなどの含窒素複素環化合物に由来する官能基、などが挙げられる。これらの化合物は、必要に応じて1種類でも2種類以上の組み合わせで用いても良い。この中でも、入手の容易さからフェニル基、3−メチルフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−シアノフェニル基、を有する化合物が好ましい。
上記一般式(10)で表されるホスファゼン化合物におけるvは、3以上25以下であれば限定されない。3以上であれば、難燃性を発現し、25以下であれば、有機溶剤に対する溶解性が高い。この中で特に、入手の容易さからvが3以上10以下であることが好ましい。
上記一般式(11)で表されるホスファゼン化合物におけるwは、3以上10000以下であれば限定されない。3以上であれば、難燃性を発現し、10000以下であれば、有機溶剤に対する溶解性が高い。この中でも特に、入手の容易さから3以上100以下が好ましい。
上記一般式(11)で表されるホスファゼン化合物におけるD及びEは、炭素数3以上炭素数30以下の有機基であれば限定されない。この中でも、Dは−N=P(OC6H5)3、−N=P(OC6H5)2(OC6H4OH)、−N=P(OC6H5)1(OC6H4OH)2、−N=P(OC6H4OH)3、−N=P(O)(OC6H5)、−N=P(O)(OC6H4OH)が好ましい。
Eは−P(OC6H5)4、−P(OC6H5)3(OC6H4OH)、−P(OC6H5)2(OC6H4OH)2、−P(OC6H5)(OC6H4OH)3、−P(OC6H4OH)4、−P(O)(OC6H5)2、−P(O)(OC6H4OH)2、−P(O)(OC6H5)(OC6H4OH)などが好ましい。
リン化合物は、1種類でも2種類以上の組み合わせで用いても良い。
感光性樹脂組成物においてリン化合物の添加量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して、現像性などの観点から、50質量部以下が好ましい。硬化体の難燃性の観点から、45質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。リン化合物は、ポリイミド前駆体に対して、1質量部あれば難燃性などの効果を発揮する。
(E)その他化合物
本発明における感光性樹脂組成物には、その性能に悪影響を及ぼさない範囲で、その他化合物を含むことが出来る。具体的には、ポリイミド前駆体の現像液への溶解を抑止することができる溶解抑止剤やベイク後のフィルムと基板から成るシートの反りの低減及びアルカリ水溶液への溶解性を制御することができるフェノール化合物、ベイク後のフィルムの靭性を向上させることのできる熱塩基発生剤が挙げられる。
本発明における感光性樹脂組成物には、その性能に悪影響を及ぼさない範囲で、その他化合物を含むことが出来る。具体的には、ポリイミド前駆体の現像液への溶解を抑止することができる溶解抑止剤やベイク後のフィルムと基板から成るシートの反りの低減及びアルカリ水溶液への溶解性を制御することができるフェノール化合物、ベイク後のフィルムの靭性を向上させることのできる熱塩基発生剤が挙げられる。
本発明において、溶解抑止剤とは、ポリイミド前駆体のカルボキシル基やフェノール性水酸基と水素結合する化合物をいう。ポリイミド前駆体のカルボキシル基やフェノール性水酸基が溶解抑止剤と水素結合することで現像液から遮蔽され、また、当該溶解抑止剤の疎水性と相まって、ポリイミド前駆体の溶解を抑止することが可能となる。
カルボキシル基やフェノール性水酸基と水素結合する基を有する化合物としては、カルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物、アミド化合物、ウレア化合物などが挙げられる。これらの中でも、感光層及び当該感光層をベイクすることで得られるフィルムの低ガラス転移点化、アルカリ水溶液からなる現像液への溶解性の制御、高残膜率化の観点より、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、フェノール性水酸基を有するアミド化合物がより好ましい。具体的には、4−ヒドロキシフェニルベンズアミド、2’−ヒドロキシアセトアニリド、3’−ヒドロキシアセトアニリド、4’−ヒドロキシアセトアニリドが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に関わるフェノール化合物は下記一般式(12)で示される化合物又は下記一般式(13)の少なくとも1つの構造を含む化合物であることが望ましい。なお、これらの化合物としては、上述した溶解抑止剤に該当しないものを用いる。
具体的には、ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジオキシフェノール、1,4−ビス−(3−ヒドロキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス−(4−ヒドロキシフェノキシ)−ベンゼン、1,5−ビス−(o−ヒドロキシフェノキシ)−3−オキサペンタン、α,α’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼンなどの2核体、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(ヒドロキシフェニル)エタン、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−α,α−ジメチルベンジル}フェノールなどの3核体などが挙げられる。
また、下記構造式(14)や下記構造式(15)で示される多核体を用いてもよく、これらのフェノール化合物は単独で用いても2種類以上組み合わせて用いても良い。
本発明に係わるフェノール化合物の配合量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して、1質量部から30質量部が好ましく、5質量部から20質量部がさらに好ましい。配合量が1質量部よりも少ないと、アルカリ水溶液からなる現像液への溶解性を抑止することが困難になり、30質量部よりも多いと、脱溶剤工程後に得られた感光性ドライフィルムの感光層が脆くなる。
本発明に係わる熱塩基発生剤とは、加熱することで塩基を発生する化合物のことである。例えば、アミンなどの塩基化合物のアミノ基を、スルホン酸などの酸で塩構造を作る、ジカーボネート化合物により保護する、酸クロライド化合物により保護することにより得られる。それにより、室温では塩基性を発現せず安定であり、加熱により脱保護し、塩基を発生させる熱塩基発生剤とすることができる。また当該熱塩基発生剤を配合することで、ポリイミド前駆体のベイクの温度を比較的低温にすることも可能となる。
熱塩基発生剤としては、具体的にはU−CAT(登録商標) SA810、U−CAT SA831、U−CAT SA841、U−CAT SA851(以上商品名 サンアプロ社製)、N−(イソプロポキシカルボニル)−2,6−ジメチルピペリジン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−2,6−ジメチルピペリジン、N−(ベンジロキシカルボニル)−2,6−ジメチルピペリジン、芳香族ジアミンの両方のアミンを二炭酸ジブチルで保護した化合物などが挙げられる。これらのうち感光性ポリイミド前駆体組成物の保存安定性、脱溶剤による分子量安定性、アルカリ溶解性、イオンマイグレーション性の観点より、N−(イソプロポキシカルボニル)−2,6−ジメチルピペリジン、N−(tert−ブトキシカルボニル)−2,6−ジメチルピペリジン、N−(ベンジロキシカルボニル)−2,6−ジメチルピペリジン、4,4−ジアミノジフェニルエーテルの両方のアミノ基を二炭酸ジブチルで保護した化合物、3,4‘−ジアミノジフェニルエーテルの両方のアミノ基を二炭酸ジブチルで保護した化合物、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンの両方のアミノ基を二炭酸ジブチルで保護した化合物、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンの両方のアミノ基を二炭酸ジブチルで保護した化合物、トリメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)の両方のアミンを二炭酸ジブチルで保護した化合物、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタンの両方のアミノ基を二炭酸ジブチルで保護した化合物が好ましい。当該化合物は、例えばChmistry Letters Vol.34、No.10(2005)に記載の公知の方法により合成できる。
本発明に係わる熱塩基発生剤の配合量は、イミド化の促進及び現像性能の観点から、ポリイミド前駆体100質量部に対して1質量部から30質量部が好ましく、1質量部から20質量部がより好ましい。
(F)感光性フィルムの製造方法
次に、感光性フィルムの製造方法について説明する。
まず、感光性樹脂組成物を基材にコートする。基材としては、感光性ドライフィルム形成の際に損傷しない基材であれば、限定されない。このような基材としては、シリコンウエハ、ガラス、セラミック、耐熱性樹脂、キャリアフィルムなどが挙げられる。キャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムや金属フィルムが挙げられる。取扱いの良さから、耐熱性樹脂及びキャリアフィルムが好ましく、基板圧着後の剥離性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
次に、感光性フィルムの製造方法について説明する。
まず、感光性樹脂組成物を基材にコートする。基材としては、感光性ドライフィルム形成の際に損傷しない基材であれば、限定されない。このような基材としては、シリコンウエハ、ガラス、セラミック、耐熱性樹脂、キャリアフィルムなどが挙げられる。キャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムや金属フィルムが挙げられる。取扱いの良さから、耐熱性樹脂及びキャリアフィルムが好ましく、基板圧着後の剥離性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
コート方法としてはバーコート、ローラーコート、ダイコート、ブレードコート、ディップコート、ドクターナイフ、スプレーコート、フローコート、スピンコート、スリットコート、はけ塗り、などが例示できる。コート後、必要に応じてホットプレートなどによりプリベークと呼ばれる加熱処理を行っても良い。
このように、感光性樹脂組成物で構成された感光性フィルムを用いる場合は、感光性樹脂組成物の溶液を任意の方法で任意の基材上に塗布後乾燥してドライフィルム化し、例えばキャリアフィルムと感光性フィルムとを有する積層フィルムとする。キャリアフィルムとしては低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、エチレン/シクロデセン共重合体等を用いることができる。
また、感光性フィルム上に、任意の防汚用や保護用のカバーフィルムを少なくとも一層設けて積層フィルムとしても良い。本発明に係る積層フィルムおいて、カバーフィルムとしては、低密度ポリエチレンなど感光性フィルムを保護するフィルムであれば限定されない。
次いで、感光性フィルムを、配線を有する基材に、配線を覆うように圧着し、アルカリ現像を行い、焼成を行うことによりフレキシブルプリント配線板を得ることができる。
フレキシブルプリント配線板における配線を有する基材としては、ガラスエポキシ基板、マレイミド基板などのような硬質基材、あるいは銅張積層板などのフレキシブルな基板などが挙げられる。この中で、折り曲げ可能の観点からフレキシブルな基板が好ましい。
上記フレキシブルプリント配線板の製造方法としては、上記感光性フィルムが配線を覆うように基材に形成されれば、限定されない。このような製造方法としては、上記配線を有する基材の配線側に上記感光性フィルムを接触させた状態で、熱プレス、熱ラミネート、熱真空プレス、熱真空ラミネート等を行う方法などが挙げられる。この中で、配線間への感光性フィルムの埋め込みの観点から、熱真空プレス、熱真空ラミネートが好ましい。
上記配線を有する基材上に感光性フィルムを積層する際の加熱温度は、感光性フィルムが基材に密着しうる温度(ラミネート可能温度)であれば限定されない。基材への密着の観点や感光性フィルムの分解や副反応の観点から、40℃から130℃以下が好ましい。より好ましくは60℃から120℃に加熱しながら、0.2MPaから5MPaの圧力でラミネートすることが望ましい。なお、ラミネート可能温度とは、気泡残り等の問題がなく、パターンへの埋め込みが充分にできると同時に、感光性ポリイミド前駆体組成物が流れすぎてパターンの外に流れ出さない粘度に感光層を制御することが可能な温度を意味する。
また、感光層のガラス転移点(以下Tg)をラミネート温度より低くすることにより、感光性ドライフィルムのラミネートを好適に行うことが出来る。上記配線を有する基材の整面処理は、特に限定されないが、塩酸処理、硫酸処理、過硫酸ナトリウム水溶液処理などが挙げられる。
感光性フィルムは、光照射後、光照射部位をアルカリ現像にて溶解することにより、フォトリソグラフィーが可能である。この場合において、光照射に用いる光源は、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯、タングステンランプ、アルゴンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザーなどが挙げられる。この中で、高圧水銀灯、超高圧水銀灯が好ましい。
現像に用いるアルカリ水溶液としては、光照射部位を溶解しうる溶液であれば限定されない。このような溶液として、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液などが挙げられる。現像性の観点から、炭酸ナトリウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。現像方法としては、スプレー現像、浸漬現像、パドル現像などが挙げられる。また本工程では、現像液を加熱しながら現像を行うことが好ましい。現像温度を管理することで、現像時間をコントロールでき、得られる線像の形状を保持できる。これらの観点より現像液の温度は、20℃から60℃が好ましく、25℃から50℃がさらに好ましい。
現像後は、浸漬法、スプレー法などの公知の方法にて洗浄を行う。リンス液としては、水や水に有機溶剤を添加したものを用いることができる。本工程では、リンス液を適切な温度に保持することが好ましい。これにより現像後に基板や樹脂上の残渣を取り除くことが可能である。リンス液の温度としては残渣除去の観点から15℃から60℃が好ましく、20℃から50℃がさらに好ましい。リンス液での洗浄後、無機酸水溶液又は有機酸水溶液により洗浄を行っても良い。無機酸水溶液としては、具体的には塩酸水溶液、硫酸水溶液、リン酸水溶液、ホウ酸水溶液が挙げられる。有機酸水溶液としては、具体的にはギ酸水溶液、酢酸水溶液、クエン酸水溶液、乳酸水溶液などが挙げられる。無機酸水溶液又は有機酸水溶液での洗浄時間は、洗浄効率の観点から、5秒から120秒が好ましく、10秒から60秒がさらに好ましい。酸性水溶液でリンスを行う場合、その後、水により酸性水溶液を洗い流すことが好ましい。
リンス工程後、得られた線像の全面に活性光線を照射しても良い。本工程により感光剤を分解させることで、その後のキュア工程にかかる時間を短縮化することができる。さらにキュア工程後に得られる樹脂パターンの光線透過率を高めることが可能となる。
また、本工程により、感光剤由来の基板と感光層間にかかる残留応力を低減でき、樹脂パターン製造工程で得られるFPCや多層プリント配線板の反りを低減し、耐折性を高めることが可能となる。本工程で照射する露光量は、用いる感光剤の種類や感光層の膜厚により異なるが、通常100mJ/cm2から3,000mJ/cm2である。例えば感光剤にナフトキノンジアジド化合物を用い、感光層の膜厚が25μmの場合、感光剤の光分解の観点から500mJ/cm2以上が好ましい。この時使用される活性光線としては、例えばX線、電子線、紫外線、可視光線等が挙げられる。活性光線の光源としては低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ等を使用することができる。これらの中でも水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。また、必要に応じて、加熱をしながら活性光線を照射することが可能である。作業性の観点から加熱温度は30℃から130℃が好ましく、40℃から100℃がさらに好ましい。
次いで、感光性フィルムを圧着したプリント配線板を焼成することによりプリント配線板を形成する。焼成は、溶媒の除去の観点や副反応や分解などの観点から、30℃以上、400℃以下の温度で実施することが好ましい。より好ましくは、100℃以上、300℃以下である。
上記焼成における反応雰囲気は、空気雰囲気下でも不活性ガス雰囲気下でも実施可能である。上記プリント配線板の製造において、上記焼成に要する時間は、反応条件によって異なるが、通常は24時間以内であり、特に好適には1時間から8時間の範囲で実施される。
ポリイミド前駆体及び感光性樹脂組成物は、キュア後の反りが良好であり、かつ現像性も良好であり、硬化体とした際に耐薬品性を示すことから、エレクトロニクス分野で各種電子機器の操作パネル等に使用されるプリント配線板や回路基板の保護層形成、積層基板の絶縁層形成、半導体装置に使用されるシリコンウエハ、半導体チップ、半導体装置周辺の部材、半導体搭載用基板、放熱板、リードピン、半導体自身などの保護や絶縁及び接着に使用するための電子部品への膜形成用途に利用される。このように、シリコンウエハ、銅張積層板、プリント配線板などの上に形成された配線を保護する保護膜をカバーレイという。
また、ポリイミド前駆体及び感光性樹脂組成物は、フレキシブルプリント配線回路(FPC)用基板、テープオートメーションボンディング(TAB)用基材、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜及び液晶ディスプレー用基板、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレー用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にフレキシブルプリント配線回路用のカバーレイに好適に用いることができる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、イミド化することにより、カバーレイとして使用することができる。カバーレイとは、シリコンウェハ、銅張積層板、FPCなどの上に形成された配線を保護する保護膜をいう。なお、イミド化の方法としては、特に限定されず各種イミド化条件を用いることができる。
(実施例)
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
<重量平均分子量測定>
重量平均分子量の測定法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)は、下記の条件により測定を行った。溶媒としてN、N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。
カラム:Shodex KD−806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)、UV―2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
また、上記重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成した。
重量平均分子量の測定法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)は、下記の条件により測定を行った。溶媒としてN、N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。
カラム:Shodex KD−806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)、UV―2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
また、上記重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成した。
<ドライフィルム製造方法>
感光性樹脂組成物のコートは下記方法にて行った。塗工台(マツキ科学社製)にポリエステルフィルム(ユニチカ社製)を置き、真空吸着させることでポリエステルフィルムを貼り付けたのち、ポリエステルフィルム上に、ギャップが67.5μmのアプリケーター(マツキ科学社製)を用いて感光性ポリイミド前駆体組成物を塗布した。コートした上記フィルムを、乾燥機(ESPEC社製、SPH−20l)を用いて95℃で13分又は30分間乾燥することにより、脱溶剤を行い、感光性ドライフィルムを得た。
感光性樹脂組成物のコートは下記方法にて行った。塗工台(マツキ科学社製)にポリエステルフィルム(ユニチカ社製)を置き、真空吸着させることでポリエステルフィルムを貼り付けたのち、ポリエステルフィルム上に、ギャップが67.5μmのアプリケーター(マツキ科学社製)を用いて感光性ポリイミド前駆体組成物を塗布した。コートした上記フィルムを、乾燥機(ESPEC社製、SPH−20l)を用いて95℃で13分又は30分間乾燥することにより、脱溶剤を行い、感光性ドライフィルムを得た。
<膜厚測定>
硬化体の膜厚測定は、膜厚計(Mitutoyo社製、ID−C112B)を用いて行った。
硬化体の膜厚測定は、膜厚計(Mitutoyo社製、ID−C112B)を用いて行った。
<ラミネート条件>
ラミネートは、真空プレス機(SA−501 テスター産業社製)を用いて行った。15wt%の過硫酸ナトリウム水溶液により整面を行ったFCCLと脱溶剤工程で得られた感光性ドライフィルムをプレス温度100℃、プレス圧力0.5MPa、プレス時間1分の条件にて行った。
ラミネートは、真空プレス機(SA−501 テスター産業社製)を用いて行った。15wt%の過硫酸ナトリウム水溶液により整面を行ったFCCLと脱溶剤工程で得られた感光性ドライフィルムをプレス温度100℃、プレス圧力0.5MPa、プレス時間1分の条件にて行った。
<露光・現像条件>
露光及び現像は、下記条件にて行った。真空プレス工程で得られた積層体の支持フィルムを剥し、超高圧水銀灯(HMW−201KB オーク社製)を用いて露光量1.1J/cm2又は1.5J/cm2の条件で露光を行った。続いてスプレー型の現像機により、現像液に1wt%炭酸ナトリウム水溶液を用い、現像温度30℃、スプレー圧力0.18MPaの条件で、UV照射部分が完全に溶解するまでの時間(以下ブレークポイントと記載する)を計測した。次にブレークポイントの1.35倍もしくは1.5倍の現像時間で現像を行ったのち、スプレー式洗浄器にて蒸留水で現像時間×1/3の洗浄を行い、さらに5wt%硫酸水溶液により30秒の洗浄を行った。
露光及び現像は、下記条件にて行った。真空プレス工程で得られた積層体の支持フィルムを剥し、超高圧水銀灯(HMW−201KB オーク社製)を用いて露光量1.1J/cm2又は1.5J/cm2の条件で露光を行った。続いてスプレー型の現像機により、現像液に1wt%炭酸ナトリウム水溶液を用い、現像温度30℃、スプレー圧力0.18MPaの条件で、UV照射部分が完全に溶解するまでの時間(以下ブレークポイントと記載する)を計測した。次にブレークポイントの1.35倍もしくは1.5倍の現像時間で現像を行ったのち、スプレー式洗浄器にて蒸留水で現像時間×1/3の洗浄を行い、さらに5wt%硫酸水溶液により30秒の洗浄を行った。
<現像性評価>
現像性評価は、現像時間、残膜率及びパターン形状により判断した。現像時間が90秒以下であった感光性ポリイミド前駆体組成物を○、90秒を越えた感光性ポリイミド前駆体組成物を×と表記した。残膜率は現像前の感光層の膜厚をT1、現像後の感光層の膜厚をT2として下記式(1)により算出した。
残膜率 = T2/T1×100(%)…式(1)
現像性評価は、現像時間、残膜率及びパターン形状により判断した。現像時間が90秒以下であった感光性ポリイミド前駆体組成物を○、90秒を越えた感光性ポリイミド前駆体組成物を×と表記した。残膜率は現像前の感光層の膜厚をT1、現像後の感光層の膜厚をT2として下記式(1)により算出した。
残膜率 = T2/T1×100(%)…式(1)
リソグラフィー後のパターンは光学顕微鏡(ECLIPS LV100 ニコン社製)を用い、明視野、100倍の条件で100μmサークルパターンの形状観察を実施した。パターンの形状を保持している物を○、崩れてしまった物を×、また残渣が取り除かれている物を○、円孔淵に残渣が残っているものを×と表記した。また、上記現像性評価の結果から、総合評価を判定した。判定は、現像時間、残膜率、パターン形状、残渣の4項目がすべて良好な感光性ポリイミド前駆体をを○とし、上記4項目のうち一つでも不良な項目をもつ感光性ポリイミド前駆体を×とした。
<めっき耐性評価>
得られた感光性ドライフィルムを上記条件にてFCCLにラミネート、露光及び現像を行い、95℃で1時間、110℃で1時間、続いて160℃で1時間焼成を行った。その後、積層体に電解直金めっき処理を行った(クオルテック社にて依頼試験)。めっき処理を行った積層体の410μm部分の円孔を光学顕微鏡で観察し、金めっき耐性の評価を行った。
◎:めっき液のしみこみの幅が50μm未満であり、かつテープで円孔をはがすことができない。
○:めっき液のしみこみの幅は50μm未満であるが、テープで円孔をはがすことができる。
×:めっき液のしみこみの幅が50μm以上で、かつテープで円孔をはがすことができる。
得られた感光性ドライフィルムを上記条件にてFCCLにラミネート、露光及び現像を行い、95℃で1時間、110℃で1時間、続いて160℃で1時間焼成を行った。その後、積層体に電解直金めっき処理を行った(クオルテック社にて依頼試験)。めっき処理を行った積層体の410μm部分の円孔を光学顕微鏡で観察し、金めっき耐性の評価を行った。
◎:めっき液のしみこみの幅が50μm未満であり、かつテープで円孔をはがすことができない。
○:めっき液のしみこみの幅は50μm未満であるが、テープで円孔をはがすことができる。
×:めっき液のしみこみの幅が50μm以上で、かつテープで円孔をはがすことができる。
(ポリイミド前駆体の合成)
(合成例1)
三口セパラブルフラスコに窒素雰囲気下、トリメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)16.64g、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート21.87g、γ−ブチロラクトン175.3gを入れ、均一溶液になるまで攪拌した。次に、ペンタンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル17g、デカンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル19.62gを加え、50℃で8時間30分攪拌した。次に生成物を10μmのフィルターで加圧ろ過することでポリイミド前駆体(1)を得た。得られたポリイミド前駆体の重量平均分子量は58800g/molであった。
(合成例1)
三口セパラブルフラスコに窒素雰囲気下、トリメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)16.64g、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート21.87g、γ−ブチロラクトン175.3gを入れ、均一溶液になるまで攪拌した。次に、ペンタンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル17g、デカンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル19.62gを加え、50℃で8時間30分攪拌した。次に生成物を10μmのフィルターで加圧ろ過することでポリイミド前駆体(1)を得た。得られたポリイミド前駆体の重量平均分子量は58800g/molであった。
(合成例2)
三口セパラブルフラスコに窒素雰囲気下ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート6.15g、γ−ブチロラクトン48.7g、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン4.36gを加え、均一溶液になるまで攪拌した。次に、デカンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル7.0g、エチレンジオール−ビス−トリメリット酸エステル3.37gを加え、50℃で7時間攪拌した。次に生成物を10μmのフィルターで加圧ろ過することでポリイミド前駆体(2)を得た。得られたポリイミド前駆体の重量平均分子量46000g/molであった。
三口セパラブルフラスコに窒素雰囲気下ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート6.15g、γ−ブチロラクトン48.7g、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン4.36gを加え、均一溶液になるまで攪拌した。次に、デカンジオール−ビス−無水トリメリット酸エステル7.0g、エチレンジオール−ビス−トリメリット酸エステル3.37gを加え、50℃で7時間攪拌した。次に生成物を10μmのフィルターで加圧ろ過することでポリイミド前駆体(2)を得た。得られたポリイミド前駆体の重量平均分子量46000g/molであった。
(実施例1)
合成例1で製造したポリイミド前駆体(1)100質量部に対して、溶解抑止剤として、上記構造式(14)で表されるフェノール化合物(Tek−P;溶解抑止剤B)(12.5部)、難燃剤として、下記一般式(16)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤A)(10部)、熱塩基発生剤として、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルの両方のアミノ基を二炭酸ジブチルで保護した化合物(3,4’−ODAtBoc)(1.5質量部)、感光剤として、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(PA−6)(22.5質量部)、添加剤(トリアゾール化合物)として、1−[N,N-ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール(TT−LX)(0.56質量部)をミックスローター(MR−5 アズワン社製)により混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
合成例1で製造したポリイミド前駆体(1)100質量部に対して、溶解抑止剤として、上記構造式(14)で表されるフェノール化合物(Tek−P;溶解抑止剤B)(12.5部)、難燃剤として、下記一般式(16)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤A)(10部)、熱塩基発生剤として、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルの両方のアミノ基を二炭酸ジブチルで保護した化合物(3,4’−ODAtBoc)(1.5質量部)、感光剤として、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(PA−6)(22.5質量部)、添加剤(トリアゾール化合物)として、1−[N,N-ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール(TT−LX)(0.56質量部)をミックスローター(MR−5 アズワン社製)により混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
(実施例2)
合成例2で製造したポリイミド前駆体(2)100質量部に対して、溶解抑止剤として、3’−ヒドロキシフェニルアセトアニリド(溶解抑止剤A)(3質量部)、難燃剤として一般式(17)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤B)(10質量部)、感光剤として、PA−6(25質量部)、添加剤(トリアゾール化合物)として、TT−LX(0.5質量部)をミックスローターにより混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
合成例2で製造したポリイミド前駆体(2)100質量部に対して、溶解抑止剤として、3’−ヒドロキシフェニルアセトアニリド(溶解抑止剤A)(3質量部)、難燃剤として一般式(17)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤B)(10質量部)、感光剤として、PA−6(25質量部)、添加剤(トリアゾール化合物)として、TT−LX(0.5質量部)をミックスローターにより混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
(実施例3)
合成例2で製造したポリイミド前駆体(2)100質量部に対して、溶解抑止剤として、3’−ヒドロキシフェニルアセトアニリド(溶解抑止剤A)(3質量部)、難燃剤として、一般式(17)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤B)(10質量部)、感光剤として、PA−6(25質量部)、添加剤(トリアゾール化合物)として、TT−LX(0.75質量部)をミックスローターにより混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
合成例2で製造したポリイミド前駆体(2)100質量部に対して、溶解抑止剤として、3’−ヒドロキシフェニルアセトアニリド(溶解抑止剤A)(3質量部)、難燃剤として、一般式(17)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤B)(10質量部)、感光剤として、PA−6(25質量部)、添加剤(トリアゾール化合物)として、TT−LX(0.75質量部)をミックスローターにより混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
(実施例4)
合成例2で製造したポリイミド前駆体(2)100質量部に対して、溶解抑止剤として、3’−ヒドロキシフェニルアセトアニリド(溶解抑止剤A)(3質量部)、難燃剤として、下記一般式(17)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤B)(10質量部)、感光剤として、PA−6(25質量部)、添加剤(トリアゾール化合物)として、TT−LX(1.0質量部)をミックスローターにより混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
合成例2で製造したポリイミド前駆体(2)100質量部に対して、溶解抑止剤として、3’−ヒドロキシフェニルアセトアニリド(溶解抑止剤A)(3質量部)、難燃剤として、下記一般式(17)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤B)(10質量部)、感光剤として、PA−6(25質量部)、添加剤(トリアゾール化合物)として、TT−LX(1.0質量部)をミックスローターにより混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
(比較例1)
合成例1で製造したポリイミド前駆体(1)100質量部に対して、溶解抑止剤として、Tek−P(溶解抑止剤B)(12.5質量部)、難燃剤として、一般式(16)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤A)(10質量部)、塩基発生剤として、3,4’−ODAtBoc(1.5質量部)、感光剤として、PA−6(22.5質量部)をミックスローターにより混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
合成例1で製造したポリイミド前駆体(1)100質量部に対して、溶解抑止剤として、Tek−P(溶解抑止剤B)(12.5質量部)、難燃剤として、一般式(16)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤A)(10質量部)、塩基発生剤として、3,4’−ODAtBoc(1.5質量部)、感光剤として、PA−6(22.5質量部)をミックスローターにより混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
(比較例2)
合成例2で製造したポリイミド前駆体(2)100質量部に対して、溶解抑止剤として、3’−ヒドロキシフェニルアセトアニリド(溶解抑止剤A)(3質量部)、難燃剤として、一般式(17)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤B)(10質量部)、感光剤として、PA−6(25質量部)をミックスローターにより混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
合成例2で製造したポリイミド前駆体(2)100質量部に対して、溶解抑止剤として、3’−ヒドロキシフェニルアセトアニリド(溶解抑止剤A)(3質量部)、難燃剤として、一般式(17)で表されるホスファゼン化合物(難燃剤B)(10質量部)、感光剤として、PA−6(25質量部)をミックスローターにより混合し、感光性樹脂組成物を調製した。感光性樹脂組成物の組成を下記表1に示し、その評価結果を下記表2に示す。
表1及び表2から分かるように、特定のトリアゾール化合物(添加剤)を含有したポジ型感光性樹脂組成物で構成された感光性フィルム(実施例1から実施例4)では、添加しない感光性樹脂組成物で構築された感光性フィルム(比較例1、比較例2)と比較して、高い残膜率を維持したまま現像時の残渣除去性が改善され、過現像耐性が向上することが分かる。またトリアゾール化合物を含有した感光性樹脂組成物は、FCCLとカバーレイとの密着性が向上し、めっき耐性が良好となることが分かる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、及び再配線用絶縁膜、バンプ構造を有する装置の保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、並びに液晶配向膜等として好適に利用できる。
Claims (10)
- 下記一般式(1)で表される酸二無水物成分及び/又は下記一般式(2)で表されるジアミン成分を含むポリイミド前駆体と、感光剤と、下記一般式(3)で表されるトリアゾール化合物と、を含有してなることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記感光剤が、キノンジアジド化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- リン化合物を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記リン化合物が、リン酸エステル構造及びホスファゼン構造からなる群から選択された少なくとも1つの構造を有することを特徴とする請求項3に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物と、支持フィルム層と、を含むことを特徴とする感光性フィルム。
- 片側全面にキャリアフィルムを有することを特徴とする請求項5に記載の感光性フィルム。
- カバーフィルムを具備することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の感光性フィルム。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物をイミド化して得られたことを特徴とするカバーレイ。
- 配線を有する基材と、前記基材上に設けられた請求項8記載のカバーレイとを備えたことを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
- 請求項8に記載のカバーレイと、銅張積層板とを備えたことを特徴とする積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010077434A JP2011209521A (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | ポジ型感光性樹脂組成物 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010077434A JP2011209521A (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | ポジ型感光性樹脂組成物 |
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Publication Number | Publication Date |
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ID=44940652
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JP2010077434A Pending JP2011209521A (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | ポジ型感光性樹脂組成物 |
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JP (1) | JP2011209521A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015520523A (ja) * | 2012-06-22 | 2015-07-16 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーE.I.Du Pont De Nemours And Company | 回路基板 |
JP2019113582A (ja) * | 2017-12-20 | 2019-07-11 | 日立化成デュポンマイクロシステムズ株式会社 | 感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法、硬化膜、層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜及び電子部品 |
-
2010
- 2010-03-30 JP JP2010077434A patent/JP2011209521A/ja active Pending
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