JP2011207609A - 主ロープ交換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】交換対象の主ロープを緩めて交換するために、交換対象以外の主ロープに用いられる主ロープ交換装置を簡単な構成で提供することである。
【解決手段】主ロープ交換装置8は、主ロープの一方側に設けられ、乗りかごの昇降方向に沿って延伸した主ロープを摺動可能に保持する上側曲支点滑車部84と、乗りかごの昇降方向に沿って延伸した主ロープを摺動可能に保持する下側曲支点滑車部86と、主ロープの他方側に設けられる曲滑車部88であって、主ロープの一方側に移動させることで上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の主ロープの長さが上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の直線距離の長さよりも長くなるようにする曲滑車部88と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】主ロープ交換装置8は、主ロープの一方側に設けられ、乗りかごの昇降方向に沿って延伸した主ロープを摺動可能に保持する上側曲支点滑車部84と、乗りかごの昇降方向に沿って延伸した主ロープを摺動可能に保持する下側曲支点滑車部86と、主ロープの他方側に設けられる曲滑車部88であって、主ロープの一方側に移動させることで上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の主ロープの長さが上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の直線距離の長さよりも長くなるようにする曲滑車部88と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、主ロープ交換装置に係り、特に、巻上機を中心として当該巻上機のシーブに巻き架けられた複数の主ロープのうちの各一方端には1つの乗りかごが取り付けられ、各他方端には1つのカウンタウエイトが取り付けられたエレベータシステムにおいて、交換対象の主ロープを緩めて交換するために、交換対象以外の主ロープに用いられる主ロープ交換装置に関する。
現在、商業施設等の様々な場所において、エレベータシステムが設置されている。そして、エレベータシステムの中には、いわゆるつるべ式エレベータシステムとして、巻上機を中心として当該巻上機のシーブに巻き架けられた複数の主ロープのうちの各一方端には1つの乗りかごが取り付けられ、各他方端には1つのカウンタウエイトが取り付けられた構成を備えるものがある。このようなつるべ式エレベータシステムでは、長年に渡って使用されていると主ロープが劣化する可能性もあるため定期的に主ロープの交換が行われている。
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、昇降路頂部近傍に設置される巻上機と、上記昇降路内を昇降可能な乗かごおよびつり合いおもりと、一方が上記乗かごに、他方が上記つり合いおもりに連結されるか巻掛けられ、かつその中間部が上記巻上機のシーブに巻き掛けられる少なくとも1本の主ロープを備え、この主ロープを既設のものから新設のものへと交換することが開示されている。ここでは、上記乗かごおよび上記つり合いおもりを固定し、次いで、既設主ロープの一端に新設主ロープの一端を接続することが開示されている。この後、上記シーブと上記主ロープ間に上記主ロープの移動時に生じる摩擦力を低減するロープ案内手段を介設し、次に、引き込み手段により上記新設主ロープが接続された上記既設主ロープを他端側から順次引き込んで上記新設主ロープを掛け渡すことが開示されている。
他の本発明に関連する技術として、例えば、特許文献2には、巻上機のシーブに巻回されると共にその両端が昇降路の頂部に支持固定される複数本の主ロープと、この主ロープの一端と上記シーブとの間で該主ロープに乗かごプーリを係合させて支持される乗かごと、上記主ロープの他端と上記シーブとの間で該主ロープにカウンタプーリを係合させて支持されるカウンタウェートとを備えたエレベータで、既設の主ロープと新主ロープとを接続して上記カウンタプーリを経由させながら両主ロープを交換していくことが開示されている。そして、上記主ロープのうち上記カウンタプーリに巻かれている部分の近傍を該カウンタプーリの溝方向へと導く長尺穴と、この長尺穴を仕切って隣接する上記主ロープ同士の交差を防止する仕切り体とを有し、この仕切り体の仕切り幅を変位可能とした主ロープ交差防止手段とを備えることが開示されている。さらに、上記主ロープのうち上記カウンタプーリに巻かれている部分を複数箇所で該カウンタプーリの溝に沿って案内する複数の巻回部仕切り体を有し、この巻回部仕切り体の仕切り幅を変位可能とした主ロープ溝ずれ防止手段とを用いて、既設の主ロープを回収しながら新主ロープに交換していくことが開示されている。
本発明の目的は、交換対象の主ロープを緩めて交換するために、交換対象以外の主ロープに用いられる主ロープ交換装置を簡単な構成で提供することである。
本発明に係る主ロープ交換装置は、巻上機を中心として当該巻上機のシーブに巻き架けられた複数の主ロープのうちの各一方端には1つの乗りかごが取り付けられ、各他方端には1つのカウンタウエイトが取り付けられたエレベータシステムにおいて、交換対象の主ロープを緩めて交換するために、交換対象以外の主ロープに用いられる主ロープ交換装置であって、主ロープの一方側に設けられ、乗りかごの昇降方向に沿って延伸した主ロープを摺動可能に保持する上側曲支点滑車部と、主ロープの一方側であって上側曲支点滑車部よりも下側の高さ位置に設けられ、乗りかごの昇降方向に沿って延伸した主ロープを摺動可能に保持する下側曲支点滑車部と、上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の高さ位置に設けられ、主ロープの他方側に設けられる曲滑車部であって、主ロープの一方側に移動させることで上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の主ロープの長さが上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の直線距離の長さよりも長くなるようにする曲滑車部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る主ロープ交換装置において、上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間に跨って設けられ、上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の直線距離を一定に保持するための保持部を備えることが好ましい。
また、本発明に係る主ロープ交換装置において、曲滑車部を主ロープの一方側に移動させるための引っ張り棒部を備えることが好ましい。
また、本発明に係る主ロープ交換装置において、保持部は、引っ張り棒部の移動を案内するための案内貫通孔を有することが好ましい。
上記構成の主ロープ交換装置によれば、交換対象以外の主ロープにおいて、上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の主ロープの長さが上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の直線距離の長さよりも長くなるようにすることができる。これにより、交換対象以外の主ロープのうち上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の長さが、上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の直線距離の長さに比べて長くなった分だけ乗りかごが上昇する。したがって、乗りかごが上昇した分だけ交換対象の主ロープを緩められるため、新しい主ロープに交換することができる。
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。また、以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、本発明に係る実施の形態の主ロープ交換装置8が用いられるエレベータシステム10の構成を示す図である。エレベータシステム10は、巻上機14を中心として、巻上機14のシーブに巻き架けられた2本の主ロープ7a,7bのうちの各一方端には乗りかご2が取り付けられ、各他方端にはカウンタウエイト16が取り付けられている。そして、エレベータシステム10のシステム全体の制御は、図示しないエレベータ制御盤によって行われている。なお、エレベータシステム10は、2本の主ロープによって乗りかご2とカウンタウエイト16が接続されているものとして説明するが、2本以上の主ロープによって乗りかご2とカウンタウエイト16が接続されているものとしてもよい。
カウンタウエイト16は、釣合い錘とも呼ばれ、いわゆるつるべ式エレベータシステムで用いられる錘である。カウンタウエイト16は、全体の形状は扁平で縦に長く、非常に重い鉄の塊であり、主ロープ7a,7bの各一方端に接続されている乗りかご2との間でバランスを取っている。
巻上機14は、主ロープ7a,7bの折り返し中間地点に設置され、電動機(モータ)と、それに連結された滑車(シーブ)に掛かる摩擦力によって、乗りかご2とカウンタウエイト16を昇降(上昇下降)させる機能を有する。この方法によって乗りかご2の昇降を行うと、主ロープ7a,7bの両端の重量バランスが良いので、比較的小さい力で主ロープ7a,7bに吊るされた乗りかご2を昇降させることができる。
乗りかご2は、昇降路9内を昇降し、図示しない行先階設定手段によって設定された行先階まで乗客を移動させるための箱型の構造物である。
主ロープ交換装置8は、保守作業員4が主ロープ7a,7bを新しい主ロープに交換するために用いる装置である。ここで、エレベータシステム10において、主ロープ7a,7bは一本ずつ交換する必要がある。例えば、2つの主ロープ7a,7bのうち交換対象が主ロープ7aであるときは、主ロープ交換装置8は交換対象でない主ロープ7bに使用される。そして、2つの主ロープ7a,7bのうち交換対象が主ロープ7bであるときは、主ロープ交換装置8は交換対象でない主ロープ7aに使用される。
図2は、主ロープ交換装置8の正面図である。図3は、主ロープ交換装置8に主ロープ7bを取り付けている様子を示す図である。図4は、主ロープ交換装置8に主ロープ7bを取り付けて引っ張り棒部94を引っ張った後の様子を示す図である。主ロープ交換装置8は、上側曲支点滑車部84と、下側曲支点滑車部86と、曲滑車部88と、保持部90と、引っ張り棒部94とを含んで構成される。なお、図3では、主ロープ交換装置8には、主ロープ7bを取り付けた場合を例示して説明するが、もちろん、主ロープ交換装置8には、主ロープ7aを取り付けることも可能である。
上側曲支点滑車部84は、左上側曲支点滑車84aを含んで構成される。左上側曲支点滑車84aは、主ロープ7bの左側において、回転軸842a(回転軸842aは、保持部90に回転可能に取り付けられている)を軸として回転する滑車である。左上側曲支点滑車84aは、主ロープ7bが摺動可能な状態で回転するように設けられている。
曲滑車部88は、右側曲滑車88aを含んで構成される。右側曲滑車88aは、主ロープ7bの右側において、上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の高さ位置であり、回転軸882a(回転軸882aは、引っ張り棒部94に回転可能に取り付けられている)を軸として回転する滑車である。右側曲滑車88aは、左上側曲支点滑車84aの右斜め下側の高さ位置、かつ、左下側曲支点滑車86aの右斜め上側の高さ位置に設けられている。
下側曲支点滑車部86は、左下側曲支点滑車86aを含んで構成される。左下側曲支点滑車86aは、主ロープ7bの左側において、上側曲支点滑車部84及び曲滑車部88よりも低い高さ位置に設けられ、回転軸862a(回転軸862aは、保持部90に回転可能に取り付けられている)を軸として回転する滑車である。左下側曲支点滑車86aは、主ロープ7bが摺動可能な状態で回転するように設けられている。左下側曲支点滑車86aは、右側曲滑車88aの左斜め下側の高さ位置に設けられている。したがって、図3に示されるように、主ロープ7bを左上側曲支点滑車84aと右側曲滑車88aの間及び右側曲滑車88aと左下側曲支点滑車86aの間に通して、左上側曲支点滑車84a、右側曲滑車88a、左下側曲支点滑車86aによって主ロープ7bが保持されるようにしている。
保持部90は、上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の直線距離をLのまま保持するための保持部材である。保持部90は、第1延伸部901と、第2延伸部902と、第3延伸部903と、第4延伸部904とを含んで構成される。
第1延伸部901は、一方端には回転軸842aを介して左上側曲支点滑車84aが設けられ、他方端は第3延伸部903の一方端と接続される。
第2延伸部902は、一方端には回転軸862aを介して左下側曲支点滑車86aが設けられ、他方端は第3延伸部903の他方端と接続される。
第3延伸部903は、一方端は第1延伸部901の他方端が接続され、他方端は第2延伸部902の他方端が接続される。また、第3延伸部903は、ほぼ中央部付近に引っ張り棒部94の引っ張り移動を案内するための案内貫通孔93aが形成されている。
第4延伸部904は、一方端は第1延伸部901のほぼ中央部付近に接続され、他方端は第2延伸部902のほぼ中央部付近に接続される。また、第4延伸部904は、ほぼ中央部付近に引っ張り棒部94の引っ張り移動を案内するための案内貫通孔92aが形成されている。
引っ張り棒部94は、一方端には回転軸882aを介して右側曲滑車88aが設けられ、案内貫通孔92aを貫通しながら延伸した先端部である他方端は、案内貫通孔93aから左側に突出した状態となるように配置される棒部材である。そして、図3に示される状態から引っ張り棒部94を左側に引っ張ることで、図4に示されるように、右側曲滑車88aは左側に移動し、右側曲滑車88aは、左上側曲支点滑車84aの左斜め下側の高さ位置、かつ、左下側曲支点滑車86aの左斜め上側の高さ位置に位置することとなる。
上記構成の主ロープ交換装置8の動作について、図1〜図5を用いて説明する。図5は、エレベータシステム10において、保守作業員4が交換対象でない主ロープ7bに対して主ロープ交換装置8を用いた様子を示す図である。エレベータシステム10を使用していると定期的に主ロープ7a,7bを新しい主ロープへと交換する必要が生じる。このとき、主ロープ7a,7bを同時に取り替えることはできないため、1本ずつ交換する必要がある。例えば、主ロープ7aを新しい主ロープに交換する場合には、主ロープ7bに主ロープ交換装置8を用い、主ロープ7aを緩めて新しい主ロープと交換し、次に、主ロープ7bを新しい主ロープに交換する場合に、主ロープ7aと交換された新しい主ロープに主ロープ交換装置8を用い、主ロープ7bを緩めて新しい主ロープと交換する。
以下では、主ロープ7a(交換対象)を緩めて新しい主ロープに交換するために、主ロープ7b(交換非対象)に主ロープ交換装置8を用いる場合について説明する。交換作業を始めたときは、主ロープ交換装置8には主ロープ7bが挿入されていない状態(図2参照)である。そして、保守作業員4が最初に行う作業として、図3に示されるように、主ロープ7bを左上側曲支点滑車84aと右側曲滑車88aの間及び右側曲滑車88aと左下側曲支点滑車86aの間に通す。これにより、主ロープ7bは、左上側曲支点滑車84a、右側曲滑車88a、左下側曲支点滑車86aによって保持される
そして、保守作業員4は、引っ張り棒部94を左側に引っ張ることで、図4に示されるように、右側曲滑車88aを左側に移動させる。このように、引っ張り棒部94を用いて、主ロープ7bの右側に位置する右側曲滑車88aを左側に移動させることで、主ロープ7bが右側曲滑車88aに周囲に巻き込まれた状態となり、図4に示されるように、主ロープ7bのうち上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86の間の長さが、上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の直線距離の長さLよりも長くなる。
このように、主ロープ交換装置8を用いることで、主ロープ7bのうち上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86の間の長さが、上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の直線距離の長さLよりも長くなった分だけ、乗りかご2が上側に上昇することとなる。そして、乗りかご2が上昇した分だけ、主ロープ交換装置8が用いられていない主ロープ7aが図5に示されるように緩んだ状態となるため、新しい主ロープ7aに交換することができる。そして、次に主ロープ7bの交換を行う場合には、同様に交換対象でない新しい主ロープ7aに主ロープ交換装置8を用いて、交換対象の主ロープ7bを緩めて新しい主ロープへと交換することができる。
次に、本発明に係る実施の形態の主ロープ交換装置8の変形例である主ロープ交換装置11について説明する。図6は、主ロープ交換装置11の正面図であり、主ロープ7bを取り付けている様子を示す図である。図7は、主ロープ交換装置11に主ロープ7bを取り付けて引っ張り棒194a,194bを引っ張った後の様子を示す図である。主ロープ交換装置11は、上側曲支点滑車部84と、下側曲支点滑車部86と、曲滑車部88と、保持部90と、引っ張り棒部94とを含んで構成される。
上側曲支点滑車部84は、左上側曲支点滑車84aと右上側曲支点滑車84bを含んで構成される。左上側曲支点滑車84aは、主ロープ7b(巻上機14とカウンタウエイト16の間の部分)の左側において、回転軸842a(回転軸842aは、保持部90に回転可能に取り付けられている)を軸として回転する滑車である。左上側曲支点滑車84aは、主ロープ7bが摺動可能な状態で回転するように設けられている。
右上側曲支点滑車84bは、主ロープ7b(乗りかご2と巻上機14との間の部分)の右側において、回転軸842b(回転軸842bは、保持部90に回転可能に取り付けられている)を軸として回転する滑車である。右上側曲支点滑車84bは、主ロープ7bが摺動可能な状態で回転するように設けられている。
曲滑車部88は、右側曲滑車88aと左側曲滑車88bとを含んで構成される。右側曲滑車88aは、主ロープ7b(巻上機14とカウンタウエイト16の間の部分)の右側において、上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の高さ位置であり、回転軸882a(回転軸882aは、引っ張り棒部94の引っ張り棒194aに回転可能に取り付けられている)を軸として回転する滑車である。右側曲滑車88aは、左上側曲支点滑車84aの右斜め下側の高さ位置、かつ、左下側曲支点滑車86aの右斜め上側の高さ位置に設けられている。
左側曲滑車88bは、主ロープ7b(乗りかご2と巻上機14との間の部分)の左側において、上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の高さ位置であり、回転軸882b(回転軸882bは、引っ張り棒部94の引っ張り棒194bに回転可能に取り付けられている)を軸として回転する滑車である。左側曲滑車88bは、右上側曲支点滑車84bの左斜め下側の高さ位置、かつ、右下側曲支点滑車86bの左斜め上側の高さ位置に設けられている。
下側曲支点滑車部86は、左下側曲支点滑車86aと右下側曲支点滑車86bを含んで構成される。左下側曲支点滑車86aは、主ロープ7b(巻上機14とカウンタウエイト16の間の部分)の左側において、上側曲支点滑車部84及び曲滑車部88よりも低い高さ位置に設けられ、回転軸862a(回転軸862aは、保持部90に回転可能に取り付けられている)を軸として回転する滑車である。左下側曲支点滑車86aは、主ロープ7bが摺動可能な状態で回転するように設けられている。左下側曲支点滑車86aは、右側曲滑車88aの左斜め下側の高さ位置に設けられている。したがって、主ロープ7b(巻上機14とカウンタウエイト16の間の部分)を左上側曲支点滑車84aと右側曲滑車88aの間及び右側曲滑車88aと左下側曲支点滑車86aの間に通して、左上側曲支点滑車84a、右側曲滑車88a、左下側曲支点滑車86aによって主ロープ7bが保持されるようにしている。
右下側曲支点滑車86bは、主ロープ7b(乗りかご2と巻上機14との間の部分)の右側において、上側曲支点滑車部84及び曲滑車部88よりも低い高さ位置に設けられ、回転軸862b(回転軸862bは、保持部90に回転可能に取り付けられている)を軸として回転する滑車である。右下側曲支点滑車86bは、主ロープ7bが摺動可能な状態で回転するように設けられている。右下側曲支点滑車86bは、左側曲滑車88bの右斜め下側の高さ位置に設けられている。したがって、主ロープ7b(乗りかご2と巻上機14との間の部分)を右上側曲支点滑車84bと左側曲滑車88bの間及び左側曲滑車88bと右下側曲支点滑車86bの間に通して、右上側曲支点滑車84b、左側曲滑車88b、右下側曲支点滑車86bによって主ロープ7bが保持されるようにしている。
保持部90は、上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の直線距離をLのまま保持するための保持部材である。保持部90は、右側第1延伸部1901と、右側第2延伸部1902と、中心延伸部1903と、右側第3延伸部1904と、左側第1延伸部1905と、左側第2延伸部1906と、左側第3延伸部1907とを含んで構成される。
右側第1延伸部1901は、一方端には回転軸842aを介して左上側曲支点滑車84aが設けられ、他方端は中心延伸部1903の一方端と接続される。
右側第2延伸部1902は、一方端には回転軸862aを介して左下側曲支点滑車86aが設けられ、他方端は中心延伸部1903の他方端と接続される。
中心延伸部1903は、一方端は右側第1延伸部1901の他方端及び左側第1延伸部1905の他方端が接続され、他方端は右側第2延伸部1902の他方端及び左側第2延伸部1906の他方端が接続される。また、中心延伸部1903には、ほぼ中央部付近に引っ張り棒194bの引っ張り移動を案内するための案内貫通孔192bが形成されている。さらに、中心延伸部1903には、案内貫通孔192bよりも下側において、引っ張り棒194aの引っ張り移動を案内するための案内貫通孔192aが形成されている。
右側第3延伸部1904は、一方端は右側第1延伸部1901のほぼ中央部付近に接続され、他方端は右側第2延伸部1902のほぼ中央部付近に接続される。また、右側第3延伸部1904には、ほぼ中央部付近に引っ張り棒194bの引っ張り移動を案内するための案内貫通孔193bが形成されている。さらに、右側第3延伸部1904には、案内貫通孔193bよりも下側において、引っ張り棒194aの引っ張り移動を案内するための案内貫通孔193aが形成されている。
左側第1延伸部1905は、一方端には回転軸842bを介して右上側曲支点滑車84bが設けられ、他方端は中心延伸部1903の一方端と接続される。
左側第2延伸部1906は、一方端には回転軸862bを介して右下側曲支点滑車86bが設けられ、他方端は中心延伸部1903の他方端と接続される。
左側第3延伸部1907は、一方端は左側第1延伸部1905のほぼ中央部付近に接続され、他方端は左側第2延伸部1906のほぼ中央部付近に接続される。また、左側第3延伸部1907には、ほぼ中央部付近に引っ張り棒194bの引っ張り移動を案内するための案内貫通孔191bが形成されている。さらに、左側第3延伸部1907には、案内貫通孔191bよりも下側において、引っ張り棒194aの引っ張り移動を案内するための案内貫通孔191aが形成されている。
引っ張り棒部94は、引っ張り棒194aと引っ張り棒194bとを含んで構成される。引っ張り棒194aは、一方端には、回転軸882aを介して右側曲滑車88aが設けられ、案内貫通孔193aを貫通しながら延伸した先端部である他方端は、案内貫通孔192aから突出した状態(図6に示されるように、案内貫通孔191aからは突出していない状態)となるように配置される棒部材である。そして、図6に示される状態から引っ張り棒194aを左側に引っ張ることで、図7に示されるように、引っ張り棒194aの他方端が案内貫通孔191aから突出して右側曲滑車88aは左側に移動し、右側曲滑車88aは、左上側曲支点滑車84aの左斜め下側の高さ位置、かつ、左下側曲支点滑車86aの左斜め上側の高さ位置に位置することとなる。
引っ張り棒194bは、一方端には、回転軸882bを介して左側曲滑車88bが設けられ、案内貫通孔191bを貫通しながら延伸した先端部である他方端は、案内貫通孔192bから突出した状態(図6に示されるように、案内貫通孔193bからは突出していない状態)となるように配置される棒部材である。そして、図6に示される状態から引っ張り棒194bを右側に引っ張ることで、図7に示されるように、引っ張り棒194bの他方端が案内貫通孔193bから突出して左側曲滑車88bは右側に移動し、左側曲滑車88bは、右上側曲支点滑車84bの右斜め下側の高さ位置、かつ、右下側曲支点滑車86bの右斜め上側の高さ位置に位置することとなる。
上記構成の主ロープ交換装置11の動作について、図6〜図8を用いて説明する。図8は、エレベータシステム10において、保守作業員4が交換対象でない主ロープ7bに対して主ロープ交換装置11を用いた様子を示す図である。
以下では、主ロープ7a(交換対象)を緩めて新しい主ロープに交換するために、主ロープ7b(交換非対象)に主ロープ交換装置11を用いる場合について説明する。交換作業を始めたときは、主ロープ交換装置11には主ロープ7bが挿入されていない状態である。そして、保守作業員4が最初に行う作業として、図6に示されるように、主ロープ7b(巻上機14とカウンタウエイト16の間の部分)を左上側曲支点滑車84aと右側曲滑車88aの間及び右側曲滑車88aと左下側曲支点滑車86aの間に通す。これにより、主ロープ7b(巻上機14とカウンタウエイト16の間の部分)は、左上側曲支点滑車84a、右側曲滑車88a、左下側曲支点滑車86aによって保持される。
また、主ロープ7b(巻上機14と乗りかご2の間の部分)を右上側曲支点滑車84bと左側曲滑車88bの間及び左側曲滑車88bと右下側曲支点滑車86bの間に通す。これにより、主ロープ7b(巻上機14と乗りかご2の間の部分)は、右上側曲支点滑車84b、左側曲滑車88b、右下側曲支点滑車86bによって保持される。
次に、保守作業員4は、引っ張り棒194aを左側に引っ張ることで、図7に示されるように、右側曲滑車88aを左側に移動させる。このように、引っ張り棒194aを用いて、主ロープ7b(巻上機14とカウンタウエイト16の間の部分)の右側に位置する右側曲滑車88aを左側に移動させることで、主ロープ7b(巻上機14とカウンタウエイト16の間の部分)が右側曲滑車88aに周囲に巻き込まれた状態となり、図7に示されるように、主ロープ7b(巻上機14とカウンタウエイト16の間の部分)のうち上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86の間の長さが、上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の直線距離の長さLよりも長くなる。
そして、保守作業員4は、引っ張り棒194bを右側に引っ張ることで、図7に示されるように、左側曲滑車88bを右側に移動させる。このように、引っ張り棒194bを用いて、主ロープ7b(巻上機14と乗りかご2の間の部分)の左側に位置する左側曲滑車88bを右側に移動させることで、主ロープ7b(巻上機14と乗りかご2の間の部分)が左側曲滑車88bに周囲に巻き込まれた状態となり、図7に示されるように、主ロープ7b(巻上機14と乗りかご2の間の部分)のうち上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86の間の長さが、上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の直線距離の長さLよりも長くなる。
このように、主ロープ交換装置11を用いることで、主ロープ7b(巻上機14と乗りかご2の間の部分)のうち上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86の間の長さが、上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の直線距離の長さLよりも長くなった分だけ、乗りかご2が上側に上昇することとなる。さらに、主ロープ7b(巻上機14とカウンタウエイト16の間の部分)のうち上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86の間の長さが、上側曲支点滑車部84と下側曲支点滑車部86との間の直線距離の長さLよりも長くなった分だけ、カウンタウエイト16が上側に上昇することとなる。そして、乗りかご2及びカウンタウエイト16が上昇した分だけ、主ロープ交換装置11が用いられていない主ロープ7aが図8に示されるように緩んだ状態となるため、新しい主ロープ7aに交換することができる。そして、次に主ロープ7bの交換を行う場合には、同様に交換対象でない新しい主ロープ7aに主ロープ交換装置11を用いて、交換対象の主ロープ7bを緩めて新しい主ロープへと交換することができる。
4 保守作業員、7a,7b 主ロープ、8,11 主ロープ交換装置、9 昇降路、10 エレベータシステム、14 巻上機、16 カウンタウエイト、84 上側曲支点滑車部、84a 左上側曲支点滑車、84b 右上側曲支点滑車、86 下側曲支点滑車部、86a 左下側曲支点滑車、86b 右下側曲支点滑車、88 曲滑車部、88a 右側曲滑車、88b 左側曲滑車、90 保持部、92a,93a、191a,191b、192a,192b,193a,193b 案内貫通孔、94 引っ張り棒部、194a,194b 引っ張り棒、842a、842b、862a,862b,882a,882b 回転軸、901 第1延伸部、902 第2延伸部、903 第3延伸部、904 第4延伸部、1901 右側第1延伸部、1902 右側第2延伸部、1903 中心延伸部、1904 右側第3延伸部、1905 左側第1延伸部、1906 左側第2延伸部、1907 左側第3延伸部。
Claims (4)
- 巻上機を中心として当該巻上機のシーブに巻き架けられた複数の主ロープのうちの各一方端には1つの乗りかごが取り付けられ、各他方端には1つのカウンタウエイトが取り付けられたエレベータシステムにおいて、交換対象の主ロープを緩めて交換するために、交換対象以外の主ロープに用いられる主ロープ交換装置であって、
主ロープの一方側に設けられ、乗りかごの昇降方向に沿って延伸した主ロープを摺動可能に保持する上側曲支点滑車部と、
主ロープの一方側であって上側曲支点滑車部よりも下側の高さ位置に設けられ、乗りかごの昇降方向に沿って延伸した主ロープを摺動可能に保持する下側曲支点滑車部と、
上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の高さ位置に設けられ、主ロープの他方側に設けられる曲滑車部であって、主ロープの一方側に移動させることで上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の主ロープの長さが上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の直線距離の長さよりも長くなるようにする曲滑車部と、
を備えることを特徴とする主ロープ交換装置。 - 請求項1に記載の主ロープ交換装置において、
上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間に跨って設けられ、上側曲支点滑車部と下側曲支点滑車部との間の直線距離を一定に保持するための保持部を備えることを特徴とする主ロープ交換装置。 - 請求項2に記載の主ロープ交換装置において、
曲滑車部を主ロープの一方側に移動させるための引っ張り棒部を備えることを特徴とする主ロープ交換装置。 - 請求項3に記載の主ロープ交換装置において、
保持部は、
引っ張り棒部の移動を案内するための案内貫通孔を有することを特徴とする主ロープ交換装置。
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---|---|---|---|
JP2010078790A JP2011207609A (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | 主ロープ交換装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115231422A (zh) * | 2022-09-23 | 2022-10-25 | 南通中超欣和电缆有限公司 | 一种矿井提升设备中钢缆长度的修正设备 |
-
2010
- 2010-03-30 JP JP2010078790A patent/JP2011207609A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN115231422A (zh) * | 2022-09-23 | 2022-10-25 | 南通中超欣和电缆有限公司 | 一种矿井提升设备中钢缆长度的修正设备 |
CN115231422B (zh) * | 2022-09-23 | 2022-12-23 | 南通中超欣和电缆有限公司 | 一种矿井提升设备中钢缆长度的修正设备 |
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