JP2011207181A - 液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット、液体噴射装置及び液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット、液体噴射装置及び液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回路基板を確実に密封すると共に、分割された保持部材の接着位置ずれ及び流路の接続ずれを低減することができる液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】ヘッド本体1を保持する第1保持部材500、第2保持部材710を有する保持部材と、第1保持部材500と第2保持部材710との間の空間である回路基板保持部713に保持されてヘッド本体1の駆動配線が接続される回路基板600と、を具備し、該回路基板保持部713が、回路基板600に接続配線610が接続される領域以外の領域で接着剤900によって密封されていると共に、該保持部材の一方の外周の2以上の側面に設けられた係合爪714が他方に係合することで第1保持部材500と第2保持部材710とが固定され、且つ第1保持部材500と第2保持部材710とが、ねじ部材901で固定されている。
【選択図】図7

Description

本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドを有する液体噴射ヘッドユニット、液体噴射装置及び液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
液滴を吐出する液体噴射ヘッドの代表例としては、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。このインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、インク滴をノズル開口から吐出する複数のヘッド本体と、複数のヘッド本体に固定されてインクが貯留された液体貯留部材からのインクを各ヘッド本体に供給する共通の液体導入部材(保持部材に相当)とを具備するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、インクジェット式記録ヘッドには、ヘッド本体の圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子等の圧力発生手段に接続された回路基板を有するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2のインクジェット式記録ヘッドでは、流路ユニット(ヘッド本体に相当)を保持するケースと、導入針ユニットとの間に回路基板を保持している。
しかしながら、回路基板にインクが付着すると、回路基板に設けられた配線の短絡等が発生し、動作不良や故障が生じてしまう。
このため、回路基板に接続される接続配線が通る程度の開口を有するプラスチックケースに該回路基板を密封したものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、回路基板を絶縁膜や接着剤等でインクから保護したインクジェット式記録ヘッドが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2005−225219号公報 特開2006−272885号公報 特開2003−11383号公報 特開2009−978号公報
しかしながら、特許文献4のように、回路基板を絶縁膜や接着剤等でインクを保護する場合、回路基板全体を接着剤等で覆わなければならず、接着剤等の使用量が増大し、また、回路基板に接着剤等を設ける工程に時間がかかってしまうという問題がある。さらに、回路基板を接着剤で保護しても、回路基板に接続配線が接続されるコネクタ周辺は接着剤で保護することができず、保護が不完全となってしまうという問題がある。
また、特許文献2や特許文献3のように、回路基板が2分割される保持部材の保持空間内に保持されている場合、この保持空間を接着剤等でシールして、液体の侵入を抑制する必要があった。しかしながら、保持空間を接着剤等でシールすると、接着面に付着した異物によって接着不良や接着位置ずれが発生し、ヘッド本体と、保持部材と、保持部材に固定された針部材等の流路部材との流路の接続ずれが発生して液体の漏れが発生して、液体が内部に侵入してしまうという問題がある。
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、回路基板を確実に密封すると共に、分割された保持部材の接着位置ずれ及び流路の接続ずれを低減することができる液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット、液体噴射装置及び液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズル開口が設けられたヘッド本体と、該ヘッド本体を保持する第1保持部材、該第1保持部材の前記ヘッド本体とは反対側に接着剤を介して接着された第2保持部材を有し、前記ヘッド本体の液体流路に連通する保持部材流路を有する保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間の空間である回路基板保持部に保持されて前記ヘッド本体の駆動配線が接続される回路基板と、を具備し、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間の回路基板保持部が、前記回路基板に接続配線が接続される領域以外の領域で接着剤によって密封されていると共に、前記第1保持部材と前記第2保持部材との一方の外周の2以上の側面に設けられた係合爪が他方に係合することで前記第1保持部材と前記第2保持部材とが固定され、且つ前記第1保持部材と前記第2保持部材とが、ねじ部材で固定されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、第1保持部材と第2保持部材とを係合爪で係合させることで、接着剤が硬化する前で、且つねじ部材で固定される前の状態での両者の位置ずれを抑制することができる。また、係合爪の係合状態を視認するだけで、第1保持部材及び第2保持部材の当接面や接着面の異物の有無や隙間を把握することができる。
ここで、前記保持部材の前記ヘッド本体とは反対側には、前記保持部材流路と連通する導入孔が設けられた流路部材が固定されていることが好ましい。これによれば、第1保持部材と第2保持部材との位置ずれを抑制することができるため、保持部材と流路部材との流路の接続を良好に行って、液体の漏れを抑制することができる。
また、前記保持部材流路が、前記第1保持部材に設けられているのが好ましい。これによれば、第1保持部材のみに保持部材流路を設けることで、ヘッド本体の液体流路や流路部材の導入孔との接続箇所を低減して、液体漏れを抑制することができる。
また、前記保持部材には、前記ヘッド本体が固定された面とは交差する側面に、前記回路基板に接続される接続配線が挿通する接続配線挿通孔が設けられており、該挿通孔は、前記ヘッド本体が固定された面とは反対側に開口する保護部材によって覆われていることが好ましい。これによれば、回路基板保持部を外部配線が接続される以外の領域で密封して液体の侵入を抑制することができる。
また、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の一方の外周の一辺に設けられた前記係合爪は、他方と係合した際に0以下のクリアランスとなるように設けられ、他の辺に設けられた前記係合爪は他方と係合した際に0以上のクリアランスとなるように設けられていることが好ましい。これによれば、係合爪による係合を容易にして、組立性を向上することができる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットにある。
かかる態様では、組み立て精度を向上して液体漏れを抑制した液体噴射ヘッドユニットを実現できる。
また、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッド又は液体噴射ヘッドユニットを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、組み立て精度を向上して液体漏れを抑制した液体噴射装置を実現できる。
さらに、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズル開口を有するヘッド本体と、該ヘッド本体を保持する第1保持部材、該第1保持部材の前記ヘッド本体とは反対側に接着剤を介して接着された第2保持部材を有し、前記ヘッド本体の液体流路に連通する保持部材流路を有する保持部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間の空間である回路基板保持部に保持されて前記ヘッド本体の駆動配線が接続される回路基板と、を具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを接着剤を介して当接させた状態で、前記第1保持部材と前記第2保持部材との一方の外周の2以上の辺に設けられた係合爪を他方に係合させる工程と、前記第1保持部材と前記第2保持部材とを前記係合爪で係合させた状態で、前記第1保持部材と前記第2保持部材とをねじ部材で固定する工程と、を具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、第1保持部材と第2保持部材とを係合爪で係合させることで、接着剤が硬化する前で、且つねじ部材で固定される前の状態での両者の位置ずれを抑制することができる。また、係合爪の係合状態を視認するだけで、第1保持部材及び第2保持部材の当接面や接着面の異物の有無や隙間を把握することができる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係るヘッド本体の分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係るヘッド本体の平面図である。 本発明の実施形態1に係るヘッド本体の断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部平面図及び断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの識別状態を示す断面図である。 一実施形態に係るインクジェット式記録装置を示す概略図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。図1に示すように、インクジェット式記録ヘッドIは、インクを噴射するヘッド本体1と、ヘッド本体1が複数固定される供給路形成部材500と、供給路形成部材500のヘッド本体1とは反対側に設けられた回路基板600と、供給路形成部材500の回路基板600側に設けられた固定部材700と、ヘッド本体1の供給路形成部材500とは反対側に設けられたカバーヘッド800とを具備する。
まず、ヘッド本体1について図3〜図5を参照して詳細に説明する。なお、図3は、本発明の実施形態1に係るヘッド本体の分解斜視図であり、図4は、ヘッド本体の平面図であり、図5は、図4のA−A′線断面図である。
図示するように、ヘッド本体1を構成する流路形成基板10は、本実施形態ではシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、壁部11によって区画された複数の圧力発生室12がその幅方向に並設された列が2列設けられている。また、各列の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板30のマニホールド部31と連通して圧力発生室12の列毎に共通のインク室となるマニホールド100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、圧力発生室12の幅方向両側の壁部11を連通部13側に延設してインク供給路14と連通部13との間の空間を区画することで形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12の幅方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の幅方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の壁部11により区画されて設けられている。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。本実施形態では、流路形成基板10に圧力発生室12が並設された列を2列設けたため、1つのヘッド本体1には、ノズル開口21の並設されたノズル列が2列設けられている。なお、ノズルプレート20は、例えばガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とが順次積層形成されて、本実施形態の圧力発生素子である圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、流路形成基板10側の第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーター装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び第1電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される電気機械変換作用を示す圧電材料、特に圧電材料の中でもペロブスカイト構造の強誘電体材料からなる。圧電体層70は、ペロブスカイト構造の結晶膜を用いるのが好ましく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等が好適である。
また、圧電素子300の個別電極である各第2電極80には、絶縁体膜55上まで延設された例えば、金(Au)等からなるリード電極90(接続端子)が接続されている。リード電極90は、一端部が第2電極80に接続されていると共に、他端部側が圧電素子300が並設された列と列との間に延設されて、詳しくは後述するヘッド本体1の駆動配線であるフレキシブル配線部材(COF基板410)と接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、第1電極60、絶縁体膜55及びリード電極90上には、マニホールド100の少なくとも一部を構成するマニホールド部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このマニホールド部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成している。なお、本実施形態では、流路形成基板10にマニホールド100となる連通部13を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、マニホールド部31のみをマニホールドとしてもよい。また、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にマニホールドと各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する保持部である圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。なお、本実施形態では、圧電素子300が並設された列が2列設けられているため、圧電素子保持部32を圧電素子300の並設された各列に対応してそれぞれ設けるようにした。すなわち、保護基板30には、圧電素子保持部32が並設された圧電素子300の列が並ぶ列設方向に2つ設けられている。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。貫通孔33は、本実施形態では、2つの圧電素子保持部32の間に設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
圧電素子300を駆動するための駆動回路200は、可撓性の駆動配線であるCOF基板410に実装してある。ここで、COF基板410は、下端部がリード電極90に接続されるとともにほぼ垂直に立ち上げられて板状を有する支持部材400の側面に接着されている。すなわち、支持部材400は両側面が垂直面となっている直方体である。本実施形態では、これら支持部材400、COF基板410及び駆動回路200で配線基板が構成されている。
さらに詳言すると、本実施形態に係るヘッド本体1では、流路形成基板10に圧力発生室12が並設された列を2列設けたため、圧電素子300が圧力発生室12の幅方向(圧電素子300の幅方向)に並設された列が2列設けられている。すなわち、圧力発生室12、圧電素子300及びリード電極90の2列が相対向して設けられたものである。そして、下部が貫通孔33に挿入されている支持部材400の両側面には、それぞれCOF基板410が接着されており、各COF基板410は、それぞれの下端部が圧電素子300の各列のリード電極90の端部及び第1電極60に接続されるとともにほぼ垂直に立ち上げられている。本実施形態では、支持部材400の側面のそれぞれに1枚のCOF基板410を設けることで、1つの支持部材400に合計2枚のCOF基板410が設けられている。
なお、可撓性の配線基板であるCOF基板410は、単体で起立させようとしても撓み易いため、COF基板410を支えとなる剛性部材である支持部材400に接合することで、COF基板410の撓みを抑えて起立させることができるが、もちろん、支持部材400を設けずに、COF基板410のみを流路形成基板10の圧電素子300が設けられた面に対して直交する方向に直立するように設けるようにしてもよい。また、COF基板410を支持部材400の側面に接着するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、COF基板410が支持部材400に倒れ掛かるように保持されてもよい。
なお、図5に示すように、支持部材400の下端面とCOF基板410の下端部との間には、テフロン(登録商標)等で好適に形成し得る緩衝部材430が配設してある。また、COF基板410の下端部とリード電極90とは、導電性粒子(例えば、異方性導電膜(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)などの異方性導電材に含有されるもの)で電気的に接続されている。すなわち、支持部材400を圧下することでその下端面を介してCOF基板410をリード電極90側に押圧する。このことにより、導電性粒子を潰してCOF基板410とリード電極90との所定の電気的な接続を行う。この際、緩衝部材430はCOF基板410に対する押圧力を均一化するように機能する。ここで、支持部材400の下端面とCOF基板410の下端部、又は緩衝部材430と当接する支持部材400の下端面を、前記導電性粒子の粒子径の5倍以内の面精度とするのが好ましい。このことにより、緩衝部材430の存在とも相俟ってCOF基板410の下端部を介して導電性粒子に作用させる押圧力を均一化することができ、導電性粒子を確実に潰して良好な電気的接続が確保されるからである。もちろん、COF基板410の下端部とリード電極90との接続は、導電性粒子に限定されず、例えば、半田等の金属材料を溶融させて両者を接続するようにしてもよい。
また、支持部材400は、ヘッド本体1をその最高使用保証温度で使用した場合でも駆動回路200の温度がそのジャンクション温度未満になるように放熱させ得る熱伝導率を有するものとするのが望ましい。このことにより最も過酷な負荷条件で駆動回路を動作させても十分な放熱効果を発揮させることで駆動回路の長期安定的な駆動に資することができる。このため、本実施形態における支持部材400は不錆鋼(SUS)を材料として形成してある。この場合には、駆動回路200が発生する熱を支持部材400が流路形成基板10を介してその内部を流通するインクに吸収させることができる結果、駆動回路200が発生する熱を有効に放熱させることができる。同様の作用・効果は、SUS等の金属を材料としない場合でも流路形成基板10の表面と駆動回路200との距離を十分小さくすることによっても得ることができる。すなわち、駆動回路200と流路形成基板10の表面との距離を、ヘッド本体1をその最高使用保証温度で使用した場合でも駆動回路200の温度がそのジャンクション温度未満になるように放熱させ得る距離とすれば良い。
なお、このような支持部材400としては、詳しくは後述するヘッドケース110と線膨張係数が同等の材料で形成するのが好ましく、例えば、ステンレス鋼やシリコンなどが挙げられる。
さらに、図5に示すように、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってマニホールド部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、ステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
さらに、コンプライアンス基板40上には、ヘッドケース110が設けられている。図3に示すように、ヘッドケース110には、インク導入口44に連通してカートリッジ等の貯留手段からのインクをマニホールド100に供給するインク導入路111が設けられている。また、ヘッドケース110には、開口部43に対向する領域に凹形状の逃がし部112(図5参照)が形成され、開口部43のたわみ変形が適宜行われるようになっている。さらに、ヘッドケース110には、保護基板30に設けられた貫通孔33と連通する配線部材保持孔113が設けられており、COF基板410及び支持部材400は、配線部材保持孔113内に挿通された状態で、COF基板410の下端部がリード電極90と接続されている。そして、ヘッドケース110の配線部材保持孔113に挿通されたCOF基板410及び支持部材400は、ヘッドケース110と接着剤120を介して接着されている。ここで、ヘッドケース110とCOF基板410とを接着剤120を介して接着してもよいが、ヘッドケース110と支持部材400とを直接接着した方が、ヘッドケース110に支持部材400を確実に保持させることができる。すなわち、ヘッドケース110と支持部材400との剛体同士を接着することで、COF基板410とリード電極90とが確実に接続された状態を保持させることができ、COF基板410とリード電極90との接続が剥がれて断線する等の不具合を防止することができる。したがって、本実施形態では、COF基板410にリード電極90の並設方向に沿って、所定の間隔で厚さ方向に貫通する保持孔411を設け、この保持孔411を介してヘッドケース110と支持部材400とを接着剤120を介して接着するようにした。また、ヘッドケース110と支持部材400とを直接接着する際には、ヘッドケース110と支持部材400とを線膨張係数の同等な材料で形成するのが好ましい。本実施形態では、ヘッドケース110と支持部材400とをステンレス鋼で形成することで、ヘッド本体1が熱により膨張・収縮した際に、ヘッドケース110と支持部材400との線膨張係数の違いによる反りや破壊を防止することができる。ちなみに、ヘッドケース110と支持部材400とを、線膨張係数が違う材料を用いると、支持部材400が流路形成基板10を押圧してしまい、流路形成基板10にクラックが発生する虞がある。さらには、ヘッドケース110と支持部材400とは、これらの部材が固定される保護基板30とも略同一の線膨張係数である材料がより望ましい。
このようなヘッド本体1では、ノズル開口21が開口するインク吐出面とは反対側にCOF基板410が突出して設けられていることになる。
そして、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIは、図1及び図2に示すように、ヘッド本体1のCOF基板410側に設けられた供給路形成部材500と、供給路形成部材500のヘッド本体1とは反対側に設けられた回路基板600と、供給路形成部材500のヘッド本体1とは反対側に設けられた固定部材700とをさらに具備する。
供給路形成部材500について、さらに図6〜図9を参照して説明する。なお、図6はインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及びそのB−B′線断面を模式的に示した図であり、図7は図6のC−C′線断面を模式的に示した図であり、図8は図6のD−D′線断面を模式的に示した図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の第1保持部材である供給路形成部材500は、底面にヘッド本体1が複数、本実施形態では、ヘッド本体1のノズル列の列設方向に5個固定されている。
図1に示すように、供給路形成部材500には、隔壁502によって区画されて、供給路形成部材500の厚さ方向に貫通した貫通孔501が形成されている。貫通孔501には、各ヘッド本体1のCOF基板410及び支持部材400が挿入され、各貫通孔501の周縁部にヘッド本体1がそれぞれ固定される。
また、図6(b)に示すように、貫通孔501(図1参照)を画成する隔壁502には、ヘッド本体1のヘッドケース110に設けられたインク導入路111に連通してインクを供給する供給路503が設けられている。供給路503は、供給路形成部材500のヘッド本体1側に開口すると共に、固定部材700側に開口するように厚さ方向に貫通して設けられている。また、供給路503は、1つの隔壁502に対して複数、例えば2つ設けられている。さらに、供給路503の回路基板600側の開口は、突出した突出部503aの端面となるように設けられている。この突出部503aが、詳しくは後述する回路基板600の挿通孔603に挿通されることで、突出部503aの端面に開口する供給路503と後述する固定部材700の導入孔722とが連通される。
また、図1及び図2に示すように、供給路形成部材500に固定されたヘッド本体1のノズル開口21が開口するインク吐出面には、複数のヘッド本体1に共通するカバーヘッド800が設けられている。カバーヘッド800は、各ヘッド本体1のノズル開口21を露出する窓部801が設けられており、窓部801を介して露出されたノズル開口21からインク滴が吐出される。
さらに、図1及び図2に示すように、供給路形成部材500のヘッド本体1とは反対側には、回路基板600が保持されている。
回路基板600は、各種配線や電子部品が実装されたものであり、厚さ方向に貫通した接続孔602が設けられている。この接続孔602内に挿通されたヘッド本体1の駆動配線であるCOF基板410の先端部が屈曲されて回路基板600と電気的に接続されている。
また、図6(b)に示すように、回路基板600には、上述のように、供給路形成部材500の突出部503aが挿入される挿通孔603が設けられている。供給路形成部材500の突出部503aが挿通孔603内に挿通されることで、突出部503aに設けられた供給路503は、回路基板600の外側(供給路形成部材500とは反対側)に開口し、後述する固定部材700の導入孔722と接続される。
また、図7に示すように、回路基板600は、固定部材700の側面に固定された外部配線接続基板740と電気的に接続されている。外部配線接続基板740には、圧電素子300を駆動するための駆動信号等が入力される外部配線(図示なし)が電気的に接続されており、外部配線からの駆動信号等は、外部配線接続基板740及び回路基板600を介してヘッド本体1(COF基板410)に供給される。
図1及び図7に示すように、固定部材700は、供給路形成部材500のヘッド本体1とは反対側の面(回路基板600が固定された面)に固定されたベース部材710と、供給針730が複数配設された供給針ホルダー720と、ベース部材710の一側面に固定された外部配線接続基板740と、外部配線接続基板740を覆う保護部材750とを具備する。
ベース部材710は、本実施形態の第2保持部材であり、一方面が供給路形成部材500の回路基板600側に固定されて、供給路形成部材500との間で回路基板600を保持する。
また、図6(b)に示すように、ベース部材710には、供給路形成部材500の突出部503aが挿入される挿入連通孔711が設けられている。供給路形成部材500の突出部503aは、回路基板600に設けられた挿通孔603と、ベース部材710に設けられた挿入連通孔711とに挿通されることで、その端面に設けられた供給路503を供給針ホルダー720側に露出している。また、ベース部材710の挿入連通孔711と突出部503aとは、接着剤711aによって封止されており、挿入連通孔711と突出部503aとの間から回路基板600側にインクが侵入するのを抑制している。
なお、本実施形態では、ヘッド本体1を保持すると共に回路基板600を内方に保持する保持部材は、第1保持部材である供給路形成部材500と、第2保持部材であるベース部材710とで構成されている。すなわち、ヘッド本体1を保持する第1保持部材として供給路形成部材500が設けられ、第1保持部材(供給路形成部材500)との間で回路基板600を保持する第2保持部材としてベース部材710とが設けられている。
そして、保持部材に設けられた保持部材流路とは、第1保持部材である供給路形成部材500に設けられた供給路503のことである。なお、保持部材流路は、ヘッド本体1と供給針ホルダー720及び供給針730で構成される流路部材とを接続することができれば、第1保持部材のみに設けられていても、第2保持部材のみに設けられていても、またその両方に設けられていてもよい。すなわち、保持部材流路は、第1保持部材及び第2保持部材の何れか一方又は両方に設けられていればよいが、流路同士の接続箇所を減少させて接続箇所からのインクの漏れを抑制するためには、第1保持部材又は第2保持部材の何れか一方のみに設けるのが好適である。
また、図7に示すように、回路基板600は、供給路形成部材500とベース部材710との間に設けられた空間である回路基板保持部713に保持されている。
回路基板保持部713は、回路基板600に接続配線610が接続される側、すなわち、保護部材750側以外の領域で、接着剤900によって密封されている。そして、詳しくは後述する保護部材750は、回路基板保持部713の接着剤900によって接着されていない開口を覆い回路基板保持部713を密封する。すなわち、本実施形態では、回路基板保持部713は、保護部材750側に開口して接続配線610が挿通される接続配線挿通孔713aが設けられている。
さらに、図7及び図8に示すように、供給路形成部材500と固定部材700とは、ねじ部材901、902で固定されている。本実施形態では、供給路形成部材500と固定部材700とは、外周の後述する保持壁部712とは反対側の側面に設けられた2つのねじ部材901と、その側面の両側の側面(保持壁部712とは交差する側面)にそれぞれ1つずつ設けられた2つのねじ部材902の合計4個で固定されている。ここで、図7に示すように、外周の保持壁部712とは反対側に設けられた2つのねじ部材901は、供給路形成部材500及びベース部材710を貫通し、ベース部材710上に固定された供給針ホルダー720に螺合することで、供給路形成部材500と固定部材700とを固定する。また、図8に示すように、保持壁部712の両側面に設けられたねじ部材902は、供給路形成部材500を貫通し、ベース部材710に螺合することで供給路形成部材500と固定部材700とを固定している。
さらに、ベース部材710には、図1に示すように、外周の2以上の側面に供給路形成部材500の被係合部に係合する係合爪714、715が設けられている。
本実施形態では、図7に示すように、保持壁部712とは反対側の2つのねじ部材901が設けられた側の側面に2つの係合爪714を設け、図8に示すように、保持壁部712の両側面にそれぞれ1つずつ係合爪715を設けるようにした。すなわち、ベース部材710を上面視した際に、矩形状となるベース部材710の3辺に係合爪714、715を設けるようにした。
このような係合爪714、715は、図1に示すように、ベース部材710の外周の一部を切り欠くことで弾性変形可能に形成されており、その先端部に設けられた係合面714a、715aを供給路形成部材500の外周面のベース部材710とは反対側の面に当接させることで係合する。
供給路形成部材500には、係合爪714、715が係合される被係合部504、504が設けられている。本実施形態では、図7に示すように、被係合部504が係合爪714に係合し、図8に示すように、被係合部505が係合爪715に係合する。このような被係合部504、505は、供給路形成部材500のヘッド本体1側の外周の一部を切り欠くことで形成されている。この被係合部504、505のそれぞれのヘッド本体1側に設けられた被係合面504a、505aに係合爪714、715の係合面714a、715aが当接することで係合する。
ここで、本実施形態では、供給路形成部材500に対してベース部材710を傾斜させて、先に図7に示す係合爪714を供給路形成部材500の被係合部504に係合させた後、図8に示す係合爪715を供給路形成部材500の被係合部505に係合させている。このため、図7に示す係合爪714の係合面714aは、被係合部504の被係合面504aとの間のクリアランスが0以下となるように形成されている。これは、例えば、係合爪714の係合面714aと被係合部504の被係合面504aとのクリアランスがマイナスとなって干渉する場合、係合爪714を係合させようとすることで、樹脂等の材料からなる係合爪714が変形し、係合面714aと被係合面504aとのクリアランスを0として、先に隙間なく係合させることができるからである。
また、本実施形態では、図8に示す係合爪715の係合面715aは、被係合部505の被係合面505aとの間のクリアランスが0以上となるように形成されている。これは、例えば、図8に示す係合爪715の係合面715aと被係合部505の被係合面505aとのクリアランスをマイナス(干渉)させると、係合が困難になり組み立て性が低下してしまうからである。後で係合させる係合爪715を被係合部505に対して0以上のクリアランスとすることで、係合し易くして組み立て性を向上することができる。
また、図1及び図7に示すように、ベース部材710のヘッド本体1とは反対側には、供給針ホルダー720が固定されている。
さらに、ベース部材710の一側面(供給路形成部材500及び供給針ホルダー720が固定された面とは交差する面)には、保持壁部712を有し、保持壁部712の外側に外部配線接続基板740が固定されている。
外部配線接続基板740は、回路基板600と接続配線610を介して接続されている。また、外部配線接続基板740には、上端部(回路基板600とは反対側)にコネクター741が設けられており、このコネクター741に制御装置からの制御ケーブル等の外部配線が電気的に接続される。
供給針ホルダー720は、ベース部材710の供給路形成部材500とは反対側にゴム等からなるシール部材770を介して固定されるものであり、ベース部材710に固定された面とは反対側にインクを貯留した貯留手段であるインクカートリッジが装着されるカートリッジ装着部721を有する。
また、図2及び図6(b)に示すように、供給針ホルダー720の底面には、一端がカートリッジ装着部721に開口し、他端がベース部材710側に開口する複数の導入孔722がそれぞれ形成された管状の供給連通路形成部723が突設されている。そして、導入孔722は、シール部材770に設けられた供給連通路771を介して供給路503と接続される。
また、供給針ホルダー720の上面側、すなわち、カートリッジ装着部721の導入孔722の開口部分には、インクカートリッジに挿入される複数の供給針730が、インク内の気泡や異物を除去するためのフィルター731(図2参照)を介して固定されている。
これら各供給針730は、導入孔722に連通する貫通路(図示無し)をそれぞれ内部に有する。そして、供給針730がインクカートリッジに挿入されることで、インクカートリッジ内のインクは供給針730の貫通路を介して供給針ホルダー720の導入孔722に供給される。なお、導入孔722に導入されたインクは、シール部材770に設けられた供給連通路771を介して供給路503に供給され、供給路503を介してヘッド本体1のインク導入路111に供給される。
この供給針ホルダー720及び供給針730が、本実施形態では、保持部材である供給路形成部材500及びベース部材710の保持部材流路(供給路503)にインクを供給する導入孔722を有する供給部材として設けられている。
保護部材750は、図7に示すように、保持壁部712の外側に設けられた一側面及び上面が開口する箱形状を有し、上述のように保持壁部712に固定された外部配線接続基板740を覆うように保持部材であるベース部材710及び供給路形成部材500の側面に固定されている。
保護部材750は、外部配線接続基板740のコネクター741側(上部側)が開口することで、コネクター741が外部配線と接続可能となっている。
この保護部材750によって外部配線接続基板740を保護することによって、外部配線接続基板740に外部から物がぶつかることによる破損や、インクや埃などの異物が付着して短絡する等の不具合を防止することができると共に、回路基板600とCOF基板410とを接続している空間である回路基板保持部713を、上方に存在するコネクター741周辺の一部領域を除いて接着剤900で封止することで、内部にインクが侵入するのを抑制することができる。ちなみに、インクジェット式記録ヘッドIは、インク吐出面が図1の下側、すなわち、外部配線接続基板740のコネクター741とは反対側の面となっているため、コネクター741側が開口していても、インクは内部に入り難い。また、このコネクター741の周囲の開口を樹脂等で塞ぐようにすれば、さらに確実にインクの浸入を防止できるものである。
ここで、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIの製造方法、特に、供給路形成部材とベース部材との組み立て方法について説明する。なお、図9は、組み立て方法を示すD−D′線の要部を拡大した断面図である。また、図9に示す例では、係合爪715について説明しているが、係合爪714についても同様である。
まず、図9(a)に示すように、供給路形成部材500に回路基板600を載置した状態で、ベース部材710に接着剤を塗布して、ベース部材710を供給路形成部材500側に嵌合させる。このとき、ベース部材710の係合爪715が、弾性変形することにより、係合爪715が広がって、供給路形成部材500の外周に移動する。
次に、図9(b)に示すように、ベース部材710の係合爪715を被係合部505に係合させる。このとき、上述したように、図7に示す係合爪714を先に被係合部504に係合させた後、図8に示す係合爪715を被係合部505に係合させる。
このように係合爪715によって供給路形成部材とベース部材とを係合させることで一体化される。
その後は、図9(c)に示すように、供給路形成部材500とベース部材710とをねじ部材902によって固定する。なお、同時に図7に示すように、ねじ部材901によっても供給路形成部材500とベース部材710とを固定する。
このように、供給路形成部材500とベース部材710とを係合爪714、715によって係合させることで、ねじ部材901、902によって固定するまでの間に、供給路形成部材500とベース部材710との位置ずれが発生し、位置ずれが発生した状態で接着剤900が硬化してしまう不具合を抑制することができる。
また、供給路形成部材500とベース部材710とを係合爪714、715によって係合させることで、接着剤900によって接着された接着面や、その他の両者が当接する面に異物が入り込んでいるのを識別することができる。すなわち、図10に示すように、供給路形成部材500とベース部材710との接着面に異物Xが存在する場合、係合爪715が被係合部505に係合しない。このため、係合爪715(係合爪714も含む)の係合状態を視認するだけで、両者の接着面や当接面に異物Xが存在するか識別することができる。もちろん、異物Xが存在していなくても、供給路形成部材500とベース部材710との押圧不足によってクリアランスがばらつくのを係合爪715(係合爪714も含む)の係合状態を視認するだけで把握して、クリアランスの制御を容易に行うことができる。ちなみに、供給路形成部材500とベース部材710とに異物Xやその後の工程などによって位置ずれが発生すると、供給路形成部材500には、供給路503が設けられ、供給路503にシール部材770を介して供給針ホルダー720の導入孔722が連通されるため、供給路形成部材500の供給路503と供給針ホルダー720の導入孔722との接続不良が発生し、インクが回路基板600等に侵入する虞が発生するなどの不具合が生じる。また、供給路形成部材500とベース部材710との位置ずれによって、その他の部材、例えば、供給針ホルダー720や保護部材750等を固定できなくなるなどの不具合も生じる。
本実施形態では、保持部材を構成する供給路形成部材500とベース部材710とを接着剤900で接着すると共に、保持部材の一方であるベース部材710に設けられた係合爪714、715を、他方の供給路形成部材500の被係合部504、505に係合させることで、接着剤900が硬化する前やねじ部材901、902で両者を固定する前の位置ずれを抑制することができると共に、係合爪714、715の係合状態を把握するだけで、両者の当接面や接着面などの異物Xの有無やクリアランスの制御を容易に行うことができる。
また、本実施形態では、回路基板600は、供給路形成部材500と固定部材700との間で、ヘッド本体1のCOF基板410と接続され、COF基板410と接続された回路基板600は、供給路形成部材500とは異なる部材である固定部材700に設けられた外部配線接続基板740に接続されている。
そして、ヘッド本体1を保持する供給路形成部材500と、外部配線接続基板740を保持する固定部材700とが別部材からなるため、回路基板600とCOF基板410とは、供給路形成部材500と固定部材700とを接合する前に、ヘッド本体1と供給路形成部材500とを接合した状態で接続することができる。これにより、COF基板410と回路基板600との接続を容易に行うことができると共に、回路基板600と外部配線接続基板740との接続を容易に行うことができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIでは、供給路形成部材500と固定部材700とを別部材とし、供給路形成部材500と固定部材700との間で回路基板600とCOF基板410とを接続するようにした。これにより、回路基板600の取り回しを容易にして、複数のヘッド本体1を1つの回路基板600に容易に接続することができ、インクジェット式記録ヘッドIを小型化することができると共にコストを低減することができる。ちなみに、供給路形成部材500と固定部材700とが一体的に形成されていると、一つの回路基板600に複数のヘッド本体1を接続することが容易にはできない。これは、供給路形成部材500と固定部材700とを成型により形成した際に、隔壁502の上方に空間を画成することが実質的に困難であるため、供給路形成部材500と固定部材700との間の回路基板600を保持する空間を形成できないことから各ヘッド本体1毎に区画された貫通孔しか設けることができず、複数のヘッド本体1の数と同じ数だけ分割された回路基板が必要になってしまうからである。そして、各ヘッド本体1毎に回路基板をそれぞれ設けると、部品点数が増えて高コストとなってしまう。また、供給路形成部材500と固定部材700とが一体的に形成されていると、ヘッド本体1と供給路形成部材500とを接着する際に、各ヘッド本体1に個別の回路基板を接続した状態で、ヘッド本体1と回路基板とを貫通孔内に挿入しなくてはならず、ヘッド本体1と供給路形成部材500とを接着する接着剤が、回路基板等に付着し易く、余分な接着剤によって回路基板と外部配線接続基板との接続不良や、ヘッド本体1と供給路形成部材500とを接着する接着剤が不足して接着不良が発生する虞がある。なお、本実施形態であっても、各ヘッド本体1毎や、複数個のヘッド本体1群毎に回路基板600を設けるようにしても、回路基板600の取り回しを容易にして、回路基板600とCOF基板410とを確実に接続することができるという効果を奏する。
このような構成のインクジェット式記録ヘッドIでは、インクカートリッジからのインクを導入孔722、供給連通路772、供給路503、インク導入路111及びインク導入口44を介してマニホールド100内に取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまでの流路内をインクで満たした後、外部配線接続基板740から回路基板600及びCOF基板410を介して供給された記録信号に従って、各圧力発生室12に対応する各圧電素子300に電圧を印加して圧電素子300と共に振動板をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まり各ノズル開口21からインク滴が噴射される。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態1では、係合爪714、715を第2保持部材であるベース部材710に設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、係合爪714、715を第1保持部材である供給路形成部材500に設けるようにしてもよい。
また、上述した実施形態1では、支持部材400の両側面にそれぞれCOF基板410を設けるようにしたが、各側面に2つ以上のCOF基板410を設けるようにしてもよい。また、例えば、支持部材400の片側の側面のみにCOF基板410を設けるようにしてもよく、さらに、両側面のCOF基板410として連続した1枚のCOF基板を用いるようにしてもよい。また、これらとは違って駆動回路200を異なる場所に設け、COF基板ではなく、回路を搭載しない配線基板としてもよい。また、支持部材400を設けずに、COF基板410のみを設けるようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態1では、流路形成基板10に圧力発生室12が並設された列を2列設けたものであるが、この場合の列数には特別な制限はない。一列であっても、3列以上であっても構わない。複数列の場合には少なくとも2列一組を相対向させて設ければよい。
また、上述した実施形態1では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生素子として、薄膜型の圧電素子300を有するアクチュエーター装置を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のアクチュエーター装置や、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型のアクチュエーター装置などを使用することができる。また、圧力発生素子として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、これら実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備するインクジェット式記録ヘッドヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図11は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図11に示すインクジェット式記録装置IIにおいて、複数のインクジェット式記録ヘッドIを有するインクジェット式記録ヘッドユニット2(以下、ヘッドユニット2とも言う)は、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、このヘッドユニット2を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット2は、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、ヘッドユニット2を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
また、上述したインクジェット式記録装置IIでは、インクジェット式記録ヘッドI(ヘッドユニット2)がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッドIが固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 1 ヘッド本体、 2 インクジェット式記録ヘッドユニット(液体噴射ヘッドユニット)、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 15 連通路、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 32 圧電素子保持部、 33 貫通孔、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 90 リード電極(接続端子)、 100 マニホールド、 110 ヘッドケース、 113 配線部材保持孔、 120 接着剤、 200 駆動回路、 300 圧電素子、 400 支持部材、 410 COF基板、 430 緩衝部材、 500 供給路形成部材(第1保持部材)、 504、505 被係合部、 600 回路基板、 610 接続配線、 700 固定部材、 710 ベース部材(第2保持部材)、 720 供給針ホルダー、 730 供給針、 740 外部配線接続基板、 750 保護部材、 800 カバーヘッド

Claims (9)

  1. 液体を噴射するノズル開口が設けられたヘッド本体と、
    該ヘッド本体を保持する第1保持部材、該第1保持部材の前記ヘッド本体とは反対側に接着剤を介して接着された第2保持部材を有し、前記ヘッド本体の液体流路に連通する保持部材流路を有する保持部材と、
    前記第1保持部材と前記第2保持部材との間の空間である回路基板保持部に保持されて前記ヘッド本体の駆動配線が接続される回路基板と、を具備し、
    前記第1保持部材と前記第2保持部材との間の回路基板保持部が、前記回路基板に接続配線が接続される領域以外の領域で接着剤によって密封されていると共に、前記第1保持部材と前記第2保持部材との一方の外周の2以上の側面に設けられた係合爪が他方に係合することで前記第1保持部材と前記第2保持部材とが固定され、且つ前記第1保持部材と前記第2保持部材とが、ねじ部材で固定されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記保持部材の前記ヘッド本体とは反対側には、前記保持部材流路と連通する導入孔が設けられた流路部材が固定されていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記保持部材流路が、前記第1保持部材に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記保持部材には、前記ヘッド本体が固定された面とは交差する側面に、前記回路基板に接続される接続配線が挿通する接続配線挿通孔が設けられており、該接続配線挿通孔は、前記ヘッド本体が固定された面とは反対側に開口する保護部材によって覆われていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 前記第1保持部材及び前記第2保持部材の一方の外周の一辺に設けられた前記係合爪は、他方と係合した際に0以下のクリアランスとなるように設けられ、他の辺に設けられた前記係合爪は他方と係合した際に0以上のクリアランスとなるように設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドユニット。
  7. 請求項6記載の液体噴射ヘッドユニットを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  8. 請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  9. 液体を噴射するノズル開口を有するヘッド本体と、
    該ヘッド本体を保持する第1保持部材、該第1保持部材の前記ヘッド本体とは反対側に接着剤を介して接着された第2保持部材を有し、前記ヘッド本体の液体流路に連通する保持部材流路を有する保持部材と、
    前記第1保持部材と前記第2保持部材との間の空間である回路基板保持部に保持されて前記ヘッド本体の駆動配線が接続される回路基板と、を具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    前記第1保持部材と前記第2保持部材とを接着剤を介して当接させた状態で、前記第1保持部材と前記第2保持部材との一方の外周の2以上の辺に設けられた係合爪を他方に係合させる工程と、
    前記第1保持部材と前記第2保持部材とを前記係合爪で係合させた状態で、前記第1保持部材と前記第2保持部材とをねじ部材で固定する工程と、を具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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