JP2011206900A - リーマ - Google Patents
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Abstract
【課題】ワークの加工孔の真円度および面粗度を向上させ得るリーマを提供する。
【解決手段】リーマ50の切削部14は、本体12の回転軸R方向に並ぶ第1〜第4切れ刃26,28,42,46から構成される。第1〜第4切れ刃26,28,42,46の一端は、半径方向に突出すると共に食付き角θ1〜θ4が設けられる。また、第2〜第4切れ刃28,42,46の最大突出量L2,L3,L4は、先端側12aに隣接する第1〜第3切れ刃26,28,42の最大突出量L1,L2,L3より大きくなっている。更に、第2〜第4切れ刃28,42,46の食付き角θ2,θ3,θ4は、先端側12aに隣接する第1〜第3切れ刃26,28,42の食付き角θ1,θ2,θ3より小さくなっている。
【選択図】図4
【解決手段】リーマ50の切削部14は、本体12の回転軸R方向に並ぶ第1〜第4切れ刃26,28,42,46から構成される。第1〜第4切れ刃26,28,42,46の一端は、半径方向に突出すると共に食付き角θ1〜θ4が設けられる。また、第2〜第4切れ刃28,42,46の最大突出量L2,L3,L4は、先端側12aに隣接する第1〜第3切れ刃26,28,42の最大突出量L1,L2,L3より大きくなっている。更に、第2〜第4切れ刃28,42,46の食付き角θ2,θ3,θ4は、先端側12aに隣接する第1〜第3切れ刃26,28,42の食付き角θ1,θ2,θ3より小さくなっている。
【選択図】図4
Description
この発明は、リーマに関し、更に詳細には、ワークに穿設された加工孔の面粗度や、真円度の向上を図るリーマに関するものである。
例えば、ドリルによって金属ブロック等のワークに穿設された加工孔を正確に仕上げるにあたり、切削時に生じた加工孔の端縁部に生じたバリを除去したり、孔内の面粗度や真円度を向上させたりするため、所謂リーマ加工を施すのが一般的である。特許文献1に示すリーマは、所定長を有する本体の一端側に、回転軸方向に離間して第1の切刃と第2の切刃とからなる2つの切刃で構成された切削部が形成されている。これらの切刃は、本体の一端側から他端側に向けて径が大きくなるように食付き角を設けて構成されている。そして、ワークの加工孔に回転するリーマを挿入することで、各切れ刃が加工孔の内面を切削し、加工孔の端縁部に付着するバリを除去すると共に、加工孔の面粗度や真円度を向上させ得るものである。
このように、従来技術に係るリーマは、加工孔の端縁部のバリ取りに加え、加工孔内面の面粗度や真円度を改善することを目的とするものの、その加工品質に限界があり、加工孔をより高品質とする仕上げが要求される場合がある。そのため、リーマ加工後の加工孔に対して、更にローラ・バニッシングやポリッシング等の仕上げ加工を行って、該加工孔の面粗度を向上させる必要があった。その結果、仕上げ加工に時間や手間を要し、加工コストの嵩む要因になっていた。
そこで本発明は、従来のリーマに内在する前記問題を好適に解決するべく提案されたものであって、加工孔の真円度および面粗度の更なる向上を図り得るリーマを提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1に係るリーマは、
本体の一端側に切削部が形成されたリーマであって、
前記切削部は、前記本体の回転軸方向に離間する複数の切れ刃から構成され、
前記切れ刃は、半径方向に突出すると共に前記本体の一端側から他端側に向けて前記回転軸から離間するよう傾斜して食付き角が設けられ、
前記本体の一端側から他端側へ2つ目以降の前記切れ刃における半径方向への最大突出量は、当該切れ刃に対し前記本体の一端側に隣接する切れ刃の半径方向への最大突出量より大きくなるよう構成され、
前記本体の一端側から他端側へ2つ目以降の前記切れ刃における食付き角は、当該切れ刃に対し前記本体の一端側に隣接する切れ刃の食付き角より小さくなるよう構成されたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、切れ刃の食付き角を、一端側から他端側に向かうにつれて次第に小さくなるようにしたので、切れ刃による加工孔への負荷を段階的に小さくし得る。従って、加工孔の真円度および面粗度を向上させることができ、リーマ加工後の仕上げ加工を不要とすることが可能となる。また、加工孔に対して仕上げ加工をする場合であっても、リーマ加工によって加工孔の面粗度が向上されていることから、仕上げ加工に要する時間や労力を軽減することが可能となり、加工コストを抑制し得る。
本体の一端側に切削部が形成されたリーマであって、
前記切削部は、前記本体の回転軸方向に離間する複数の切れ刃から構成され、
前記切れ刃は、半径方向に突出すると共に前記本体の一端側から他端側に向けて前記回転軸から離間するよう傾斜して食付き角が設けられ、
前記本体の一端側から他端側へ2つ目以降の前記切れ刃における半径方向への最大突出量は、当該切れ刃に対し前記本体の一端側に隣接する切れ刃の半径方向への最大突出量より大きくなるよう構成され、
前記本体の一端側から他端側へ2つ目以降の前記切れ刃における食付き角は、当該切れ刃に対し前記本体の一端側に隣接する切れ刃の食付き角より小さくなるよう構成されたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、切れ刃の食付き角を、一端側から他端側に向かうにつれて次第に小さくなるようにしたので、切れ刃による加工孔への負荷を段階的に小さくし得る。従って、加工孔の真円度および面粗度を向上させることができ、リーマ加工後の仕上げ加工を不要とすることが可能となる。また、加工孔に対して仕上げ加工をする場合であっても、リーマ加工によって加工孔の面粗度が向上されていることから、仕上げ加工に要する時間や労力を軽減することが可能となり、加工コストを抑制し得る。
請求項2に係るリーマでは、本体の最も他端側に位置する切れ刃の食付き角は、20°以下に設定される。
請求項2の発明によれば、本体の最も他端側に位置する切れ刃の食付き角を20°以下としたので、加工孔に対し最終的な切削を行う切れ刃による該加工孔への負荷を小さくできる。従って、加工孔の真円度および面粗度の向上を図ることができる。
請求項2の発明によれば、本体の最も他端側に位置する切れ刃の食付き角を20°以下としたので、加工孔に対し最終的な切削を行う切れ刃による該加工孔への負荷を小さくできる。従って、加工孔の真円度および面粗度の向上を図ることができる。
請求項3に係るリーマでは、本体の一端側からn番目の切れ刃の半径方向への最大突出量をLnとした場合に、以下の関係を満たすよう構成した。
Ln+1−Ln>Ln+2−Ln+1
請求項3の発明によれば、切れ刃の半径方向への突出量の差を一端側から他端側に向かうにつれて段階的に小さくなるようにしたので、切れ刃による加工孔に対する負荷を徐々に小さくして、該加工孔の真円度および面粗度を更に向上させることが可能となる。
Ln+1−Ln>Ln+2−Ln+1
請求項3の発明によれば、切れ刃の半径方向への突出量の差を一端側から他端側に向かうにつれて段階的に小さくなるようにしたので、切れ刃による加工孔に対する負荷を徐々に小さくして、該加工孔の真円度および面粗度を更に向上させることが可能となる。
本発明に係るリーマによれば、加工孔の真円度および面粗度の更なる向上を図り得る。
次に、本発明に係るリーマにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下説明する。
図1(a)は、実施例1に係るリーマ10を示す全体図である。実施例1に係るリーマ10は、本体12と、該本体12の一端側12a(図1(a)では、下端側)に設けられた切削部14と、本体12の他端側12b(図1(a)では、上端側)に形成されたシャンク部16とから基本的に構成される。なお、以下の説明では、本体12の一端側を先端側12a、他端側をシャンク部側12bと指称する場合がある。
前記本体12は、超硬合金を材質とし、回転軸R方向に沿って所定長さを有する棒状に形成されている。本体12には、切削部14の先端側12aからシャンク部16の下端に到来するまでの領域に、回転軸R方向に沿って排出溝18が周方向に離間して4つ凹設され、該排出溝18を介してワーク切削時の切削屑を排出するようになっている。前記シャンク部16は、切削部14に比べて大径の円柱形状をなしており、図示しないボール盤等の主軸に取付けられるようになっている。なお、本体12におけるシャンク部16を除く外周部の全体には、先端側12aからシャンク部側12bに向けて、回転軸Rに近接する方向へ僅かに傾斜したバックテーパ20が付されており、加工時に本体12の外周部がワークの加工孔と干渉しないよう構成されている。
前記切削部14は、図1(b)に示すように、前記本体12に凹設した設置部22にろう付けした4つの硬質チップ24で構成され、これら硬質チップ24は、回転軸Rを中心に相互に90°の位相角をもって配設されている。実施例1では、硬質チップ24としてダイヤモンド焼結体が使用されている。図2に示すように、前記硬質チップ24には、回転軸R方向に並ぶ2つの切れ刃が形成されている(先端側12aからシャンク部側12bへ、順に第1切れ刃26,第2切れ刃28という)。第1切れ刃26は、本体12の先端面に形成され、所定の食付き角を有している。
第1切れ刃26の半径方向への突出量は、ドリルで穿設された加工孔の半径よりも僅かに大きく設定され、実施例では、例えば最大で2.6mmとなっている。ここで、第1切れ刃26の半径方向への突出量とは、該第1切れ刃26と回転軸Rとの離間距離を意味する。従って、第1切れ刃26の半径方向への突出量は、該第1切れ刃26におけるシャンク部側12bの端部P1が最大になる。そこで、以下の説明では、各切れ刃におけるシャンク部側12bの端部P1の突出量を最大突出量(図2のL1,L2参照)と指称する。また、第1切れ刃26の食付き角θ1は、70°に設定されている。
前記硬質チップ24における第1切れ刃26のシャンク部側12bには、第1凹部30が設けられている。そして、第2切れ刃28は、この第1凹部30を挟んで第1切れ刃26からシャンク部側12bへ離間して設けられている。具体的には、第2切れ刃28は、第1切れ刃26のシャンク部側12bの端部P1から、第2切れ刃28のシャンク部側12bの端部P1が2.0mmだけ離間するよう設けられる。また、第2切れ刃28における先端側12aの端部P2は、第1切れ刃26のシャンク部側12bの端部P1より内側(回転軸R側)に位置するよう形成される。なお、第2切れ刃28における先端側12aの端部P2は、第1切れ刃26のシャンク部側12bの端部P1から離間しており、第2切れ刃28は、第1切れ刃26に対し不連続(回転軸R方向に離間)に形成される。
前記第2切れ刃28は、第1凹部30の最深部からシャンク部側12bへ向けて回転軸Rから離間するよう食付き角を有している。第2切れ刃28の最大突出量L2は、2.7mmとなっている。すなわち、第2切れ刃(本体の一端側から他端側へ2つ目以降の切れ刃)28の最大突出量L2は、第1切れ刃(本体の一端側に隣接する切れ刃)26の最大突出量L1より0.1mmだけ大きく設定されている。更に、第2切れ刃(本体の最も他端側に位置する切れ刃)28の食付き角θ2は、20°に設定されている。すなわち、第2切れ刃28の食付き角θ2は、第1切れ刃26の食付き角θ1よりも小さく設定されている。
次に、実施例1に係るリーマ10で加工孔を加工する場合について、以下説明する。先ず、リーマ10のシャンク部16をボール盤の主軸に固定し、次いでドリルでワークに予め穿設した加工孔を該リーマ10の下方に位置させる。そして、ワークの加工孔に向け軸線を整列させて回転中のリーマ10を降下させ、該リーマ10の切削部14を加工孔に挿入する。すると、第1切れ刃26が加工孔の内面に接触して切削を行なう。更にリーマ10を降下させると、第1切れ刃26が切削した加工孔に対し、更に第2切れ刃28による切削が行なわれる。
このとき、第2切れ刃28の最大突出量L2は、第1切れ刃26の最大突出量L1より大きいので、第1切れ刃26で切削された加工孔の内面が第2切れ刃28により更に切削される。これにより、加工孔の内面や端縁部に付着したバリは、確実に除去される。しかも、第2切れ刃28の食付き角θ2は第1切れ刃26より小さく設定されているので、該第2切れ刃28により加工孔に与えられる切削時の負荷は軽微なものになる。従って、第2切れ刃28の切削により加工孔の真円度を向上させ得ると共に、加工孔の内面が滑らかに整えられ、該加工孔の面粗度の向上も図られる。
加工孔に対しリーマ10を更に降下させ、第2切れ刃28が加工孔を通過することで、リーマ10による加工は終了する。このとき、リーマ10の本体12の外周部には、前述したように回転軸Rの側へ近接する方向に僅かに傾斜したバックテーパ20が付されているので、第2切れ刃28が加工孔を通過した際に、該本体12の外周部が加工孔に接触するのが防止される。
このように、実施例1に係るリーマ10は、(1) 第1切れ刃26および第2切れ刃28の最大突出量L1,L2を、第1切れ刃26、第2切れ刃28の順序で段階的に大きくすると共に、(2) 両切れ刃26,28の食付き角θ1,θ2を、第1切れ刃26、第2切れ刃28の順序で段階的に小さくしたので、ワークに対する切削時の負荷を徐々に小さくし得るものである。従って、ワークの加工孔の真円度を向上させ得ると同時に、該加工孔の面粗度も向上させることができ、これによりワークの仕上げ加工を不要として、加工コストを抑制し得る利点がある。また、仕上げ加工をする場合であっても、リーマ10によって加工孔の面粗度は向上されているため、仕上げ加工に要する時間や労力を節約することが可能となり、加工コストの低減を実現することができる。しかも、加工孔に対し最終的な加工を行う第2切れ刃28の食付き角θ2を20°以下としたので、加工孔に対する切削時の負荷が抑制され、加工孔の真円度や面粗度を更に向上させることが可能になる。
次に、実施例2に係るリーマについて説明する。なお、実施例2の説明では、実施例1と相違する部分についてのみ説明を行い、実施例1と同じ部分については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図3は、実施例2に係るリーマ40の切削部14を示す拡大図である。実施例2では、切削部14の各硬質チップ24に、回転軸R方向に並ぶ3つの切れ刃が形成されている(先端側12aからシャンク部側12bへ順に、第1切れ刃26、第2切れ刃28、第3切れ刃42という)。第1切れ刃26は、実施例1と同様な構成となっている。前記第2切れ刃28も、実施例1と基本的に同様な構成であって、第2切れ刃28の食付き角θ2は、第1切れ刃26の食付き角θ1より小さい45°に設定されている。
前記第3切れ刃42は、硬質チップ24における第2切れ刃28のシャンク部側12bに設けた第2凹部44を挟んで、該第2切れ刃28からシャンク部側12bへ離間して設けられている。具体的には、第3切れ刃42は、シャンク部側12bの端部P1が第2切れ刃28のシャンク部側12bの端部P1から3.0mm離間するよう設けられる。また、第3切れ刃42の先端側12aの端部P2は、第2切れ刃28のシャンク部側12bの端部P1よりも内側(回転軸R側)に位置するよう形成される。なお、第3切れ刃42の先端側12aの端部P2は、第2切れ刃28のシャンク部側12bの端部P1から離間しており、第3切れ刃42は、第2切れ刃28に対し不連続(回転軸R方向に離間)となるよう形成される。
前記第3切れ刃(本体の一端側から他端側へ2つ目以降の切れ刃)42の最大突出量L3は、第2切れ刃(本体の一端側に隣接する切れ刃)28の最大突出量L2よりも0.04mmだけ大きい2.74mmに設定されている。また、第3切れ刃42の食付き角θ3は、第2切れ刃28の食付き角θ2より小さい20°に設定されている。すなわち、最もシャンク部側12bに位置する第3切れ刃42の食付き角θ3が、20°に設定されている。
ここで、第1切れ刃26、第2切れ刃28および第3切れ刃42の最大突出量L1,L2,L3に注目すると、第2切れ刃28の最大突出量L2は、第1切れ刃26に対し0.1mm大きくなっている。一方、第3切れ刃42の最大突出量L3は、第2切れ刃28に対し0.04mm大きくなっている。すなわち、隣接し合う切れ刃の最大突出量の差(図3のd1,d2参照)は、先端側12aからシャンク部側12bに向けて段階的に小さくなっている。従って、第1〜第3切れ刃26,28,42の最大突出量L1,L2,L3は、下記の関係を満たしている。
L2−L1>L3−L2(すなわち、d1>d2)
L2−L1>L3−L2(すなわち、d1>d2)
このように、実施例2に係るリーマ40は、第1〜第3切れ刃26,28,42の最大突出量L1,L2,L3が、第1切れ刃26、第2切れ刃28、第3切れ刃42の順序で段階的に大きくなるよう設定されている。一方、第1〜第3切れ刃26,28,42の食付き角θ1,θ2,θ3は、第1切れ刃26、第2切れ刃28、第3切れ刃42の順序で段階的に小さくなるよう設定されている。従って、ワークの加工孔に対する切削時の負荷を徐々に小さくし得るため、該加工孔の真円度を向上させ得ると同時に、該加工孔の面粗度の向上も図ることができる。これにより、リーマ40による加工後、加工孔に対する仕上げ加工を不要とし、また仕上げ加工をする場合であっても、これに要する時間や労力を軽減することができる。しかも、実施例2では、第3の切れ刃42を有して、実施例1より切れ刃を多く備えるので、加工孔への段階的な切削が可能となって、真円度および面粗度の何れをもより向上させることができる。なお、実施例2に係るリーマ40を用いてワークの加工孔の加工をする際には、第3切れ刃42が加工孔を通過するまでリーマ40を降下させて行われる。
次に、実施例3に係るリーマについて説明する。なお、実施例3の説明では、実施例2と相違する部分についてのみ説明を行い、実施例2と同じ部分については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図4は、実施例3に係るリーマ50の要部を示す拡大図である。実施例3に係るリーマ50は、実施例2のリーマ40の各硬質チップ24に、4つ目の切れ刃(以下、第4切れ刃46という)が更に形成された構成となっている。すなわち、硬質チップ24における第3切れ刃42のシャンク部側12bに第3凹部48が設けられ、第4切れ刃46が、該第3凹部48を挟んで第3切れ刃42のシャンク部側12bに離間して形成されている。具体的には、第4切れ刃46は、シャンク部側12bの端部P1が第3切れ刃42のシャンク部側12bの端部P1から4.0mmだけ離間して設けられる。
また、第4切れ刃46の先端側12aの端部P2は、第3切れ刃42のシャンク部側12bの端部P1より内側(回転軸R側)に位置するよう形成される。なお、第4切れ刃46の先端側12aの端部P2は、第3切れ刃42のシャンク部側12bの端部P1から離間しており、第4切れ刃46は、第3切れ刃42に対し不連続(回転軸R方向に離間)に形成される。更に、第4切れ刃(本体の一端側から他端側へ2つ目以降の切れ刃)46の最大突出量L4は、第3切れ刃(本体の一端側に隣接する切れ刃)42の最大突出量L3より0.01mm大きい2.75mmに設定されている。また、第4切れ刃46の食付き角θ4は、第3切れ刃42の食付き角θ3より小さな5°に設定されている。すなわち、最もシャンク部側12bに位置する第4切れ刃46の食付き角θ4は、20°以下となっている。
ここで、実施例3のリーマ50においては、隣接する第1〜第4切れ刃26,28,42,46の最大突出量L1,L2,L3,L4の差(図4のd1,d2,d3参照)は、第1切れ刃26および第2切れ刃28では0.1mm、第2切れ刃28および第3切れ刃42では0.04mm、第3切れ刃42および第4切れ刃46では0.01mmとなっている。すなわち、隣接する切れ刃の最大突出量の差は、実施例2と同様に、先端側12aからシャンク部側12bに向けて段階的に小さくなっており、第1〜第4切れ刃26,28,42,46の各最大突出量L1,L2,L3,L4は、以下の関係を満たしている。
L2−L1>L3−L2>L4−L3(すなわち、d1>d2>d3)
L2−L1>L3−L2>L4−L3(すなわち、d1>d2>d3)
このように、実施例3に係るリーマ50は、第1〜第4切れ刃26,28,42,46の最大突出量L1,L2,L3,L4が、第1切れ刃26、第2切れ刃28、第3切れ刃42、第4切れ刃46の順序で段階的に大きくなると共に、第1〜第4切れ刃26,28,42,46の食付き角θ1,θ2,θ3,θ4が、第1切れ刃26、第2切れ刃28、第3切れ刃42、第4切れ刃46の順序で段階的に小さくなるよう設定されている。従って、ワークに対して切削時の負荷を小さくし得るので、加工孔の真円度および面粗度の向上を図ることができる。これにより、リーマ50による加工後の仕上げ加工を不要としたり、また、仕上げ加工をする場合であっても、加工に要する時間や労力を軽減でき、加工コストを低減することができる。しかも、実施例3に係るリーマ50は、第4切れ刃46を備えており、実施例2より切れ刃を多く有しているため、加工孔に対する段階的な切削が可能となる。従って、実施例3に係るリーマ50によれば、実施例2のリーマ40よりも更に真円度・面粗度の向上を図ることが可能となる。なお、実施例3に係るリーマ50を用いてワークの加工をする際には、第4切れ刃46が加工孔を通過するまでリーマ50を加工孔に挿入させて行われる。
次に、実施例1〜3に係るリーマ10,40,50の効果を確認するために、次の実験を行った。アルミ合金からなるワークに対しドリルで加工孔を穿設した後、ワークに対してリーマ10,40,50による加工を行った。また、比較例として、硬質チップに2つの切れ刃を軸方向に離間して備えると共に各切れ刃の食付き角を同一とした従来技術に係るリーマ(以下、比較例という)を採用し、比較例に係るリーマを用いてワークを加工した。
(実験例1)
実験例1では、実施例1に係るリーマ10と、比較例に係るリーマとの比較実験を行った。切削後、加工孔の真円度および面粗度を測定した。その結果を表1に示す。なお、表中の面粗度は、JIS規格である十点平均粗さ(Rz)で表したものである。この十点平均粗さとは、加工孔の内面の所定部位における最も高い山頂(ピーク)から5番目までの山頂の高さの絶対値の平均値と、最も低い谷底(ボトム)から5番目までの谷底の深さの絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表したものである。
表1から明らかなように、実施例1のリーマ10では、真円度および面粗度が、何れも比較例より向上していることが分かる。すなわち、実施例1のリーマ10によれば、加工孔の真円度を向上させ得ると同時に、面粗度を向上させることができる。
実験例1では、実施例1に係るリーマ10と、比較例に係るリーマとの比較実験を行った。切削後、加工孔の真円度および面粗度を測定した。その結果を表1に示す。なお、表中の面粗度は、JIS規格である十点平均粗さ(Rz)で表したものである。この十点平均粗さとは、加工孔の内面の所定部位における最も高い山頂(ピーク)から5番目までの山頂の高さの絶対値の平均値と、最も低い谷底(ボトム)から5番目までの谷底の深さの絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表したものである。
(実験例2)
実験例2では、実施例2および3に係るリーマ40,50と、比較例に係るリーマとの比較実験を行った。比較例については、リーマによる加工後、更に、ワークに対してローラ・バニッシングによる仕上げ加工を行っている。その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例2,3のリーマ40,50で加工した場合は、ローラ・バニッシング加工をした比較例よりも、真円度および面粗度が何れも向上していることが分かる。従って、実施例2,3のリーマ40,50によって加工した後は、ワークに対する仕上げ加工をする必要性は全くないか、または殆どない。特に、実施例3のリーマ50については、実施例2のリーマ40よりも優れた結果を示している。これは、実施例3のリーマ50は、実施例2のリーマ40より切れ刃を多く有しており、複数の切れ刃による段階的な切削によって、ワークに対する負荷が軽減されたことが要因と考えられる。
実験例2では、実施例2および3に係るリーマ40,50と、比較例に係るリーマとの比較実験を行った。比較例については、リーマによる加工後、更に、ワークに対してローラ・バニッシングによる仕上げ加工を行っている。その結果を表2に示す。
なお、実施例1〜3では、最大で4つの切れ刃を設けた場合を示したが、5つ以上の切れ刃を設けてもよい。すなわち、切れ刃の食付き角が、当該切れ刃に対し本体の先端側に隣接する切れ刃より小さくなるよう設定すれば、5つ以上の切れ刃を設けることも可能である。換言すれば、本体の一端側からn番目の切れ刃の食付き角をθnとした場合に、θn>θn+1の関係を満たしさえすれば、切れ刃の数を更に増加させることも可能である。また、切れ刃の最大突出量については、本体の一端側からn番目の切れ刃の最大突出量をLnとした場合に、Ln+1−Ln>Ln+2−Ln+1の関係を満たすようにすればよい。
実施例1〜3では、超硬合金からなる本体にダイヤモンド焼結体からなる硬質チップをろう付けした場合を例示した。しかし、例えば、硬質チップとして、CBNチップ(立方晶窒化ホウ素)を採用してもよい。また、必ずしも硬質チップを用いることは要件ではなく、本体を研磨加工して、該本体に切れ刃を直接形成するようにしてもよい。
実施例1〜3では、回転軸方向に延在する硬質チップに複数の切れ刃を形成した場合を例示した。しかし、硬質チップに切れ刃を1つ形成し、この硬質チップを回転軸方向に複数並べてもよい。また、各切れ刃は、必ずしも回転軸方向に直線的に並んで設けなくても、各切れ刃を周方向に離間して設けてもよい。
12 本体 12a 先端側(一端側),12b シャンク部側(他端側)
14 切削部,26 第1切れ刃(切れ刃),28 第2切れ刃(切れ刃)
42 第3切れ刃(切れ刃),46 第4切れ刃(切れ刃),R 回転軸
L1,L2,L3,L4 最大突出量,θ1,θ2,θ3,θ4 食付き角
14 切削部,26 第1切れ刃(切れ刃),28 第2切れ刃(切れ刃)
42 第3切れ刃(切れ刃),46 第4切れ刃(切れ刃),R 回転軸
L1,L2,L3,L4 最大突出量,θ1,θ2,θ3,θ4 食付き角
Claims (3)
- 本体(12)の一端側(12a)に切削部(14)が形成されたリーマであって、
前記切削部(14)は、前記本体(12)の回転軸(R)方向に離間する複数の切れ刃(26,28,42,46)から構成され、
前記切れ刃(26,28,42,46)は、半径方向に突出すると共に前記本体(12)の一端側(12a)から他端側(12b)に向けて前記回転軸(R)から離間するよう傾斜して食付き角(θ1,θ2,θ3,θ4)が設けられ、
前記本体(12)の一端側(12a)から他端側(12b)へ2つ目以降の前記切れ刃(28,42,46)における半径方向への最大突出量(L2,L3,L4)は、当該切れ刃(28,42,46)に対し前記本体(12)の一端側(12a)に隣接する切れ刃(26,28,42)の半径方向への最大突出量(L1,L2,L3)より大きくなるよう構成され、
前記本体(12)の一端側(12a)から他端側(12b)へ2つ目以降の前記切れ刃(28,42,46)における食付き角(θ2,θ3,θ4)は、当該切れ刃(28,42,46)に対し前記本体(12)の一端側(12a)に隣接する切れ刃(26,28,42)の食付き角(θ1,θ2,θ3)より小さくなるよう構成された
ことを特徴とするリーマ。 - 前記本体(12)の最も他端側(12b)に位置する切れ刃(28,42,46)の食付き角(θ2,θ3,θ4)は、20°以下に設定された請求項1記載のリーマ。
- 前記本体(12)の一端側(12a)からn番目の切れ刃(26,28,42,46)の半径方向への最大突出量(L1,L2,L3,L4)をLnとした場合に、以下の関係を満たすよう構成された請求項1または2記載のリーマ。
Ln+1−Ln>Ln+2−Ln+1
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