JP2011206013A - 魚釣用リール - Google Patents
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Abstract
【課題】様々なキャスティング条件(投入方法、使用ルアー、風向きなど)に対応すべく、キャスティング初期から後期までの制動力を調整可能で、飛距離や操作性(バックラッシュ防止)の向上を図ることができるとともに、スペース的にも問題がなく、制動力の設計自由度を高めた魚釣用リールを提供すること。
【解決手段】魚釣用リール10は、スプール軸14に回り止めされた非磁性の導電体50がスプール18の回転に伴う遠心力によりスプール軸14の軸方向に沿ってスプールから離れる方向に移動可能であり、導電体が対向する磁石74,76間の磁界内にあるときに導電体を介してスプールの回転を磁気制動する磁気制動装置40を有する。そして、導電体50は、それぞれ異なる導電率を有する2つの領域52,54を有し、2つの領域は磁石74,76間の磁界内に配設可能である。
【選択図】 図3
【解決手段】魚釣用リール10は、スプール軸14に回り止めされた非磁性の導電体50がスプール18の回転に伴う遠心力によりスプール軸14の軸方向に沿ってスプールから離れる方向に移動可能であり、導電体が対向する磁石74,76間の磁界内にあるときに導電体を介してスプールの回転を磁気制動する磁気制動装置40を有する。そして、導電体50は、それぞれ異なる導電率を有する2つの領域52,54を有し、2つの領域は磁石74,76間の磁界内に配設可能である。
【選択図】 図3
Description
この発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールに制動力を付与して釣糸放出操作時のバックラッシュを防止する磁気制動装置を備えた魚釣用リールに関する。
魚釣用リールの釣糸放出操作時のバックラッシュを防止する磁気制動装置において、キャスティング初期と終期において、制動力を変化させる技術が公知例として存在する。
例えば、特許文献1の魚釣用リールはキャスティングの初期や終期におけるスプール回転速度の抑制を無くして、仕掛けの飛距離増大とバックラッシュ発生防止とを図るべく、スプールの回転速度に応じて遠心力ラーの径方向移動を軸方向に変換し、遠心カラーに設けられた導電体を付勢力に抗してリール本体内の磁界内に進退可能としている。そして、スプールが低速で回転している間は、付勢力の作用により導電体が磁界の外側に配置されるため、スプールに対して制動カが発生しない。そのため、キャスティング初期の立ち上がりにおいては不要なスプール回転の抑制が無くなり、立ち上がりがスムーズとなって、従来の磁気制動装置に比べて飛距離の向上を図ることができる。
また、特許文献2の魚釣用リールには、キャスティングの初期においてはスプールをスムーズに回転させて仕掛けの飛距離の向上を図ることができるとともに、キャスティングの終期においては飛距離を不必要に低下させることなくスプールに適度な制動力を付与してバックラッシュを効果的に防止できる方法として、スプールの回転による導電体の軸方向移動に伴って導電体と磁石との間の径方向の対向間隙を変化させている。
例えば、特許文献1の魚釣用リールはキャスティングの初期や終期におけるスプール回転速度の抑制を無くして、仕掛けの飛距離増大とバックラッシュ発生防止とを図るべく、スプールの回転速度に応じて遠心力ラーの径方向移動を軸方向に変換し、遠心カラーに設けられた導電体を付勢力に抗してリール本体内の磁界内に進退可能としている。そして、スプールが低速で回転している間は、付勢力の作用により導電体が磁界の外側に配置されるため、スプールに対して制動カが発生しない。そのため、キャスティング初期の立ち上がりにおいては不要なスプール回転の抑制が無くなり、立ち上がりがスムーズとなって、従来の磁気制動装置に比べて飛距離の向上を図ることができる。
また、特許文献2の魚釣用リールには、キャスティングの初期においてはスプールをスムーズに回転させて仕掛けの飛距離の向上を図ることができるとともに、キャスティングの終期においては飛距離を不必要に低下させることなくスプールに適度な制動力を付与してバックラッシュを効果的に防止できる方法として、スプールの回転による導電体の軸方向移動に伴って導電体と磁石との間の径方向の対向間隙を変化させている。
特許文献1の魚釣用リールは、キャスティングの終期においては導電体を磁界内から遠ざける方向に付勢力が作用するためスプールの回転速度が低下すると導電体が急激に磁界外へ戻され、導電体を介したスプールへの制動カが作用しなくなってしまう。
また、特許文献2の魚釣用リールで導電体と磁石との隙間量を変化させるには、スペース的に十分に大きな空間が必要になる。また、特に、導電体の基部側を薄肉とした場合、導電体の剛性が不足してスプールの回転による遠心力で導電体が変形し磁石に接触するおそれがある。その場合、導電体と磁石との間に更なるスペースが必要になる。よって、設計自由度に制限がある。
また、特許文献2の魚釣用リールで導電体と磁石との隙間量を変化させるには、スペース的に十分に大きな空間が必要になる。また、特に、導電体の基部側を薄肉とした場合、導電体の剛性が不足してスプールの回転による遠心力で導電体が変形し磁石に接触するおそれがある。その場合、導電体と磁石との間に更なるスペースが必要になる。よって、設計自由度に制限がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、様々なキャスティング条件(投入方法、使用ルアー、風向きなど)に対応すべく、キャスティング初期から後期までの制動力を調整可能で、飛距離や操作性(バックラッシュ防止)の向上を図ることができるとともに、導電体と磁石との間のスペースにも問題がなく、制動力の設計自由度を高めた魚釣用リールを提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明に係る魚釣用リールは、スプール軸上に回り止めされた非磁性の導電体がスプールの回転に伴う遠心力によりスプール軸の軸方向に沿って前記スプールから離れる方向に移動可能であり、前記導電体が対向する磁石間の磁界内にあるときに前記導電体を介して前記スプールの回転を磁気制動する磁気制動装置を有し、前記導電体はそれぞれ異なる導電率を有する少なくとも2つの領域を有し、前記少なくとも2つの領域は前記磁石間の磁界内に配設可能であることを特徴とする。
また、前記導電体は、前記スプールに近接する側の領域の導電率を、前記スプールから離隔する側の領域の導電率よりも高くしたことが好適である。
また、前記導電体は、前記スプールに近接する側の領域の比重を前記スプールから離隔する側の領域の比重よりも高くしたことが好適である。
また、前記導電体は円筒状であり、前記スプールに近接する側から離隔する側にかけて配置された第1の導電性部材と、前記第1の導電性部材のうち前記スプールから離隔する側の外側に配設された第2の導電性部材とを有し、前記導電体は、前記第1の導電性部材のうち前記スプールに近接する側から前記第2の導電性部材のうち前記スプールに近接する側の端部の範囲に規定される第1の領域と、前記第1および第2の導電性部材が重ね合わせられた範囲内に規定される第2の領域とを形成し、それぞれの領域内で導電率を一定としたことが好適である。
また、前記対向する磁石は、前記導電体の移動方向にそれぞれ幅を有し、前記導電体が前記スプールから離れる方向に移動したときに、前記導電体のうち前記スプールから離隔する側が前記対向する磁石の磁界内を突き抜けて前記磁石の幅よりも奥側に移動可能であることが好適である。
また、前記磁気制動装置は、前記対向する磁石を前記スプール軸の軸方向に移動可能に保持する軸方向移動保持機構をさらに有することが好適である。
また、前記導電体は、前記スプールに近接する側の領域の導電率を、前記スプールから離隔する側の領域の導電率よりも高くしたことが好適である。
また、前記導電体は、前記スプールに近接する側の領域の比重を前記スプールから離隔する側の領域の比重よりも高くしたことが好適である。
また、前記導電体は円筒状であり、前記スプールに近接する側から離隔する側にかけて配置された第1の導電性部材と、前記第1の導電性部材のうち前記スプールから離隔する側の外側に配設された第2の導電性部材とを有し、前記導電体は、前記第1の導電性部材のうち前記スプールに近接する側から前記第2の導電性部材のうち前記スプールに近接する側の端部の範囲に規定される第1の領域と、前記第1および第2の導電性部材が重ね合わせられた範囲内に規定される第2の領域とを形成し、それぞれの領域内で導電率を一定としたことが好適である。
また、前記対向する磁石は、前記導電体の移動方向にそれぞれ幅を有し、前記導電体が前記スプールから離れる方向に移動したときに、前記導電体のうち前記スプールから離隔する側が前記対向する磁石の磁界内を突き抜けて前記磁石の幅よりも奥側に移動可能であることが好適である。
また、前記磁気制動装置は、前記対向する磁石を前記スプール軸の軸方向に移動可能に保持する軸方向移動保持機構をさらに有することが好適である。
この発明によれば、導電体はそれぞれ異なる導電率を有する少なくとも2つの領域を有し、これら領域が磁石間の磁界内に配設可能であることによって、制動力の大きさに差を与え、領域ごとに異なる制動性能を発揮させることができる。このため、導電体の領域ごとに制動性能を様々なキャスティング条件(投入方法、使用ルアー、風向きなど)に対応して設定することによって、キャスティング初期から後期までの制動力を調整可能で、飛距離や操作性(バックラッシュ防止)の向上を図ることができるとともに、スペース的にも問題がなく、制動力の設計自由度を高めることができる。
また、スプールに近接する側の領域の導電率をスプールから離隔する側の領域の導電率よりも高くすることによって、初期状態からスプールの回転速度の上昇とともに導電体を磁石間に移動させていったときに、徐々に制動力を強くすることができる。
また、スプールに近接する側の領域の比重をスプールから離隔する側の領域の比重よりも高くしたことによって、スプールから離隔する側の重量を低く抑えて導電体の軽量化を図ることができるとともに、慣性モーメントを小さくすることができ、良好な制動性能を得ることができる。
スプールに近接する側に第1の導電性部材で第1の領域を形成し、スプールに離隔する側に第1及び第2の導電性部材で第2の領域を形成することによって、各領域の制動性能を容易に設定することができる。
導電体が磁石の範囲を超えてスプール軸の軸方向に移動するようにしたことによって、種々の導電率を有する領域を磁石間に配置し易くすることができる。
軸方向移動保持機構によって、導電体に対する磁石の初期位置を接離させることができるので、キャスティング条件に合わせて種々の導電率を有する領域を磁石間に配置し易くすることができる。
また、スプールに近接する側の領域の導電率をスプールから離隔する側の領域の導電率よりも高くすることによって、初期状態からスプールの回転速度の上昇とともに導電体を磁石間に移動させていったときに、徐々に制動力を強くすることができる。
また、スプールに近接する側の領域の比重をスプールから離隔する側の領域の比重よりも高くしたことによって、スプールから離隔する側の重量を低く抑えて導電体の軽量化を図ることができるとともに、慣性モーメントを小さくすることができ、良好な制動性能を得ることができる。
スプールに近接する側に第1の導電性部材で第1の領域を形成し、スプールに離隔する側に第1及び第2の導電性部材で第2の領域を形成することによって、各領域の制動性能を容易に設定することができる。
導電体が磁石の範囲を超えてスプール軸の軸方向に移動するようにしたことによって、種々の導電率を有する領域を磁石間に配置し易くすることができる。
軸方向移動保持機構によって、導電体に対する磁石の初期位置を接離させることができるので、キャスティング条件に合わせて種々の導電率を有する領域を磁石間に配置し易くすることができる。
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための形態について説明する。
第1の実施の形態について図1から図3を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る魚釣用リールとしての両軸受型リール10は、左右側板10a,10bと、両側板10a,10bによって覆われた左右のフレーム12a,12bとを有するリール本体を備えている。左右のフレーム12a,12b間にはスプール軸14が1対の軸受16a,16bを介して回転可能に支持されており、スプール軸14の外周の軸上には釣糸が巻回されるスプール18が一体的に固定されている。
第1の実施の形態について図1から図3を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る魚釣用リールとしての両軸受型リール10は、左右側板10a,10bと、両側板10a,10bによって覆われた左右のフレーム12a,12bとを有するリール本体を備えている。左右のフレーム12a,12b間にはスプール軸14が1対の軸受16a,16bを介して回転可能に支持されており、スプール軸14の外周の軸上には釣糸が巻回されるスプール18が一体的に固定されている。
右フレーム12bから突出するスプール軸14の端部には、スプール軸14の軸方向に沿って移動可能なピニオンギヤ20が取り付けられている。ピニオンギヤ20にはドライブギヤ22が噛合しており、ドライブギヤ22に取り付けられリール本体12の右側板10bに回転自在に支えられたハンドル軸24の一端にはハンドル26が取り付けられている。したがって、ハンドル26を回転操作すると、ハンドル軸24を介してドライブギヤ22を回転させ、ピニオンギヤ20が回転される。
このピニオンギヤ20は、外側板10a,10b間に配置したクラッチレバー28に連動した図示しない公知の切換手段によって、スプール軸14と係合してスプール軸14と一体に回転する係合位置(動力伝達状態)と、スプール軸14との係合状態が解除される非係合位置(動力遮断状態)との間で移動される。例えば、図1に示すスプール軸14と嵌合した位置から、クラッチレバー28を押し下げると、クラッチ板28aが図1の右方に移動し、ピニオンギヤ20をスプール軸14から分離することができる。また、分離状態でハンドル26を回転させると、図示しない公知の復帰機構を介して、ピニオンギヤ20がスプール軸14に嵌合して元の状態(巻取状態)に復帰し、スプール軸14と一体化されているスプール18及びピニオンギヤ20が一体的に回転する。
このピニオンギヤ20は、外側板10a,10b間に配置したクラッチレバー28に連動した図示しない公知の切換手段によって、スプール軸14と係合してスプール軸14と一体に回転する係合位置(動力伝達状態)と、スプール軸14との係合状態が解除される非係合位置(動力遮断状態)との間で移動される。例えば、図1に示すスプール軸14と嵌合した位置から、クラッチレバー28を押し下げると、クラッチ板28aが図1の右方に移動し、ピニオンギヤ20をスプール軸14から分離することができる。また、分離状態でハンドル26を回転させると、図示しない公知の復帰機構を介して、ピニオンギヤ20がスプール軸14に嵌合して元の状態(巻取状態)に復帰し、スプール軸14と一体化されているスプール18及びピニオンギヤ20が一体的に回転する。
左右のフレーム12a,12b間には、スプール18の釣糸繰出し方向側に、公知のレベルワインド装置30が配設されている。このレベルワインド装置30は、ハンドル26を回転操作することで、釣糸が挿通する釣糸案内体32が左右に移動するよう構成されており、釣糸の巻き取り操作に伴ってスプール18に釣糸を均等に巻回する。
本実施形態では、左側板10a側に、釣糸放出動作の際にスプール18の過回転を防止する磁気制動装置40が配設されている。
磁気制動装置40は、スプール軸14の外周面に配設され、軸方向に沿って移動可能でスプール軸14の外周の軸上に回り止め嵌合された筒状の移動体42を有している。移動体42の外周面には、所定間隔をおいて径方向に伸張して形成された切り欠き状の支持部材42aが形成されており、各支持部材42aには、スプール軸14の軸方向に直交する径方向に移動可能となるように、遠心カラー(径方向移動部材)44が支持されている。これらの遠心カラー44は、スプール軸14(および移動体42)がスプール18と共に回転した際、支持部材42aに対して遠心力によって径方向外方に移動する。
磁気制動装置40は、スプール軸14の外周面に配設され、軸方向に沿って移動可能でスプール軸14の外周の軸上に回り止め嵌合された筒状の移動体42を有している。移動体42の外周面には、所定間隔をおいて径方向に伸張して形成された切り欠き状の支持部材42aが形成されており、各支持部材42aには、スプール軸14の軸方向に直交する径方向に移動可能となるように、遠心カラー(径方向移動部材)44が支持されている。これらの遠心カラー44は、スプール軸14(および移動体42)がスプール18と共に回転した際、支持部材42aに対して遠心力によって径方向外方に移動する。
移動体42の支持部材42aの一方側(左フレーム12a側)、すなわちハンドル26と反対側には、非磁性の導電性材料で形成された円筒状の導電体50が固定支持されている。この導電体50は、移動体42がスプール軸14の軸方向に移動するのに伴って、スプール軸14の軸方向に沿って移動可能となっている。
スプール18の釣糸巻回面の裏面側には、左フレーム12a側に向けて次第に拡径する軸方向変換制御部としてのテーパ面(案内面)18aが形成されている。このテーパ面18aは、遠心カラー44が径方向外側に移動する際に、遠心カラー44の外面に形成された傾斜面44aと面接触(係合)して、遠心カラー44の移動を案内する。すなわち、移動体42の支持部材42aに支持された遠心カラー44は、スプール軸14(スプール18)の回転に伴う遠心力により、傾斜面44aとの係合作用によって径方向に移動すると共に、テーパ面18aに沿って案内され、これにより、環状の導電体50が支持された移動体42を、スプール軸14の軸方向に沿って左フレーム12a側に移動させる(遠心カラー44の径方向の移動が移動体42の軸方向の移動へ変換される)ようになっている。
スプール軸14の一端部に固定されたリテーナ46と移動体42との間には、移動体42をスプール18側方向に向けて常時付勢するバネ部材48が介挿されている。このため、導電体50を、後述する磁石74,76間の高磁束密度範囲αの磁界から離れる方向(スプール18側)に常時付勢している。なお、この実施形態においては、移動体42、リテーナ46及びバネ部材48は、図3(C)に示すように、バネ部材48が最も縮んだときに移動体42の支持部材42aに対する導電体50の遠位端部が磁石74,76の左側端部よりも左側(左側板10a側)に抜けることを防止している。すなわち、磁石74,76の幅(スプール軸14の軸方向に沿った磁石74,76の長さ)Lは移動体42の移動可能距離に略等しい。
導電体50は、移動体42の支持部材42aから左側板10aに向かって延出された円筒状の第1の領域52と、第1の領域52のうち支持部材42aから遠位側に形成された円筒状の第2領域54とを規定する。なお、この実施形態では第1及び第2の領域52,54は同一厚さを有し、第1の領域52と第2の領域54との境界部分は例えば嵌合や接着又はこれらの組み合わせ等、種々の手段により固定されている。導電体50は非磁性の導電性材料で形成されるが、導電体50のうち、移動体42の支持部材42aに近い第1の領域52と、移動体42の支持部材42aから離れた第2の領域54とで導電率が異なる。第1の領域52は第2の領域54に比べて導電率が高い素材が用いられる。第1の領域52には、例えば以下の表1に示すCu合金(JIS C1220T、導電率86(IACS)、比重8.94、ヤング率11800(kgf/mm2))が用いられる。第2の領域54には例えばAl合金(JIS A2011−T3、導電率39(IACS)、比重2.82、ヤング率7200(kgf/mm2))が用いられる。
なお、第1の領域52及び第2の領域54の導電率の関係を維持できれば、例えば表1に示す他の材料を用いても良いことはもちろんである。すなわち、例えば第1の領域52に表1に示すCu合金を用い第2の領域54にMg合金を用いたり、第1の領域52に表1に示すAl合金を用い第2の領域54にMg合金を用いることも可能である。また、表1に示す材料以外の材料を適宜に用いても良い。
なお、第1の領域52及び第2の領域54の導電率の関係を維持できれば、例えば表1に示す他の材料を用いても良いことはもちろんである。すなわち、例えば第1の領域52に表1に示すCu合金を用い第2の領域54にMg合金を用いたり、第1の領域52に表1に示すAl合金を用い第2の領域54にMg合金を用いることも可能である。また、表1に示す材料以外の材料を適宜に用いても良い。
磁気制動装置40は、導電体50に対向する左側板10aの内面側に対して、軸受16aを介してスプール軸14の端部を回転自在に支える支持板60を備え、支持板60は左側板10aに対して例えば複数本のねじで強固に固定されている。この支持板60は、軸受16aを収容する中央開口62と同軸状に、先端側すなわちスプール18側から小径部64と大径部66とを順に形成した段付き構造の支持台部68を有し、この支持台部68の周部に、後述する磁石ホルダ72を収容する環状溝70を形成してある。
この支持板60の小径部64には、磁場を径方向に配向させるN極とS極とを周方向に沿って複数対を交互に逆向きに着磁させた内側リング磁石74を固定してある。また、大径部66には、環状溝70内に配置した磁石ホルダ72が周方向に摺動自在に装着され、この磁石ホルダ72の内周側には、内側リング磁石74と逆方向に着磁された外側リング磁石76が固定されている。すなわち、磁石74,76の間隙には、高磁束密度範囲αが形成される。これらの内側リング磁石74と外側リング磁石76との間に形成される環状間隙内に対して進退可能に上述した導電体50が配置され、磁気制動装置40を形成する。
これにより、釣糸を放出するスプール18の回転に伴い、導電体50を内側リング磁石74と外側リング磁石76との間の間隙内で回転すると、この導電体50内に生じる渦電流によってスプール18の回転方向とは逆方向の力が制動力として作用し、導電体50を回り止めしているスプール18を磁気制動する。
なお、磁石74,76の幅Lは両者で異なっていても良く、その場合、磁石74,76同士が幅方向(スプール軸14の軸方向)に対して対向する範囲が高磁束密度範囲αとなる。
これにより、釣糸を放出するスプール18の回転に伴い、導電体50を内側リング磁石74と外側リング磁石76との間の間隙内で回転すると、この導電体50内に生じる渦電流によってスプール18の回転方向とは逆方向の力が制動力として作用し、導電体50を回り止めしているスプール18を磁気制動する。
なお、磁石74,76の幅Lは両者で異なっていても良く、その場合、磁石74,76同士が幅方向(スプール軸14の軸方向)に対して対向する範囲が高磁束密度範囲αとなる。
スプール18に作用する制動力を調節するため、磁石ホルダ72の外周側の少なくとも一部には歯78(図2参照)が形成され、この歯78に対して支持板60の開口60aを通して配設された中間歯車80を介して噛合い係合する小歯車84を回転する制動力調節ツマミ82が、本実施形態では左外側板10aに配置してある。
制動力調節ツマミ82を回転させると、小歯車84及び中間歯車80を介して磁石ホルダ72が大径部66の内周面に沿って回転し、内側リング磁石74に対する外側リング磁石76の極性関係(N−N,N−S)が変化する。これにより、導電体50を挟んで配置される内側リング磁石74と外側リング磁石76とで形成される高磁束密度範囲αの磁界の強さを、例えば制動力を全く形成しないゼロ制動の状態から、最大制動力を形成する全制動の状態まで連続的に変化させることができる。
制動力調節ツマミ82を回転させると、小歯車84及び中間歯車80を介して磁石ホルダ72が大径部66の内周面に沿って回転し、内側リング磁石74に対する外側リング磁石76の極性関係(N−N,N−S)が変化する。これにより、導電体50を挟んで配置される内側リング磁石74と外側リング磁石76とで形成される高磁束密度範囲αの磁界の強さを、例えば制動力を全く形成しないゼロ制動の状態から、最大制動力を形成する全制動の状態まで連続的に変化させることができる。
制動力調節ツマミ82は、支持板60を貫通するように配置され、リテーナ86によって抜け止めされると共に、ツマミ82に形成された複数の凹部82aと支持板60との間に介在される付勢部材88(係合ピン88aとバネ88bで構成)によって回転方向に節度が付与されている。そして、この調節ツマミ82の回転による制動力の大きさは、調節ツマミ82の回転位置に応じて、例えば10段階あるいは20段階毎の目盛(図示しない)で設定することができる。すなわち、この調節ツマミ82は各目盛位置に配置するときに各目盛位置において、クリック節度感が得られる。
次に、上記した構成の両軸受型リール10の作用について説明する。
スプール軸14及びスプール18が停止している場合、図3(A)に示すように、導電体50の第2領域54の遠位端(先端)は磁石74,76の間隙の高磁束密度範囲(磁石74,76間の領域)αには入っておらず、外側にある。すなわち、導電体50の全体が高磁束密度範囲αの外側にある。
スプール軸14及びスプール18が停止している場合、図3(A)に示すように、導電体50の第2領域54の遠位端(先端)は磁石74,76の間隙の高磁束密度範囲(磁石74,76間の領域)αには入っておらず、外側にある。すなわち、導電体50の全体が高磁束密度範囲αの外側にある。
例えばキャスティングによってスプール18が回転すると、導電体50もスプール18と一体回転する。キャスティング開始直後の初期において、スプール18の回転速度が所定の大きさに到達するまでの間は、遠心カラー44に作用する遠心力が弱いため、スプール18のテーパ面18aに対する遠心カラー44の押圧力の軸方向分力は、バネ部材48の付勢力よりも小さい。したがって、導電体50は、図3(A)に示すように、スプール軸14に対して軸方向に殆ど移動することなく、導電体50は、内側磁石74及び外側磁石76間に形成された環状空間である高磁束密度範囲αに突入しない。
その後、スプール18の回転速度が上昇して遠心カラー44に作用する遠心力が所定の大きさを超えると、すなわち、スプール18のテーパ面18aに対する遠心カラー44の押圧力の軸方向分力がバネ部材48の付勢力よりも大きくなると、導電体50は遠心カラー44とテーパ面18aとの係合案内作用により、バネ部材48の付勢力に抗してスプール軸14に対して移動し始める。すなわち、スプール18の回転に伴って遠心カラー44に加えられる遠心力が大きくなるにつれて、導電体50が次第に図3(B)中の左側に移動する。そして、この移動によって、導電体50が高磁束密度範囲α内(磁石74,76による磁界内)に侵入すると、導電体50には、その範囲α内への侵入量(移動量)と回転速度とに応じた力を磁界から受ける。したがって、導電体50と一体で回転するスプール18にもこの力に伴う制動力が作用する。つまり、スプール18にはその回転速度に応じた磁気制動力が増減可能に作用し、その結果、スプール18の過回転が防止され、バックラッシュ現象が抑止される。
なお、この実施の形態において、第2領域54の導電性部材は第1領域52の導電性部材に比べて比重が小さい。このため、第2領域54の慣性モーメントを第1領域52の慣性モーメントに比べて小さくすることができる。非磁性で導電率の小さい材料は非磁性で導電率が高い材料に比べて選択範囲が広い。このため、第2領域54に対して低比重の材料を用いることによって導電体50の慣性モーメントを小さくすることができ、制動力に対してスプール18の回転速度の応答を良好にすることができる。また、第2領域54の導電性部材に比重が小さい材料を用いることによって、導電体50全体として軽量化を図ることができる。
また、スプールユニット(スプール18、導電体50、スプール軸14等のユニット)としての重心位置が左側板10a側となる傾向を抑えることが可能となり、スプールユニットを支える両軸受16a,16bへの負荷バランスが向上する。
また、第1領域52の導電性部材は第2領域54の導電性部材よりもヤング率が大きい。このため、導電体50全体におけるスプール軸14方向のうち曲げモーメントが大きい側のヤング率が大きい。したがって、導電体50の変形を抑えることができ、導電体50と磁石74,76との間の距離を近くしても良くなる等、設計自由度を高くすることができる。
また、スプールユニット(スプール18、導電体50、スプール軸14等のユニット)としての重心位置が左側板10a側となる傾向を抑えることが可能となり、スプールユニットを支える両軸受16a,16bへの負荷バランスが向上する。
また、第1領域52の導電性部材は第2領域54の導電性部材よりもヤング率が大きい。このため、導電体50全体におけるスプール軸14方向のうち曲げモーメントが大きい側のヤング率が大きい。したがって、導電体50の変形を抑えることができ、導電体50と磁石74,76との間の距離を近くしても良くなる等、設計自由度を高くすることができる。
図3(B)に示す状態では、導電体50の第2領域54全体だけが高磁束密度範囲α内に入っている。このため、導電体50の回転、すなわち、スプール18の回転に対してブレーキ力を発生させることができるが、第2領域54の導電率は第1領域52の導電率よりも低いので、第2の領域54だけが高磁束密度範囲α内に配設されたときのブレーキ力は、第2領域54だけでなく第1領域52が高磁束密度範囲α内に配設された状態(図3(C)参照)よりも弱い。
そして、スプール18の回転がさらに高速になると、図3(C)に示すように、バネ部材48の付勢力に抗して導電体50の第2領域54だけでなく、それよりも高い導電率を有する第1領域52が高磁束密度範囲α内に配設される。このとき、第1領域52は第2領域54よりも磁石74,76の影響を強く受ける。したがって、導電体50の回転、すなわち、スプール18の回転に対するブレーキ力を、第2領域54だけが高磁束密度範囲α内に配置された状態よりも大きくすることができる。特に、導電体50の第2領域54と第1領域52との境界部分が磁石74,76間の右側端部に配設されたときから導電体50が磁石74,76に対して左側に移動するにつれて制動力は大きく上昇していく。すなわち、第2の領域54だけが磁石74,76間に配置された状態と、第1及び第2の領域52,54の両者が磁石74,76間に配置された状態とで、制動力に大きな差を与えることができる。そして、スプール18が回転しながら図3(C)に示す状態を維持する場合、制動力が最も上昇した状態で一定の状態を維持する。
そして、スプール18の回転がさらに高速になると、図3(C)に示すように、バネ部材48の付勢力に抗して導電体50の第2領域54だけでなく、それよりも高い導電率を有する第1領域52が高磁束密度範囲α内に配設される。このとき、第1領域52は第2領域54よりも磁石74,76の影響を強く受ける。したがって、導電体50の回転、すなわち、スプール18の回転に対するブレーキ力を、第2領域54だけが高磁束密度範囲α内に配置された状態よりも大きくすることができる。特に、導電体50の第2領域54と第1領域52との境界部分が磁石74,76間の右側端部に配設されたときから導電体50が磁石74,76に対して左側に移動するにつれて制動力は大きく上昇していく。すなわち、第2の領域54だけが磁石74,76間に配置された状態と、第1及び第2の領域52,54の両者が磁石74,76間に配置された状態とで、制動力に大きな差を与えることができる。そして、スプール18が回転しながら図3(C)に示す状態を維持する場合、制動力が最も上昇した状態で一定の状態を維持する。
キャスティングの終期においては、スプール18の回転速度が低下して遠心カラー44に作用する遠心力が弱くなる。このため、スプール18のテーパ面18aに対する遠心カラー44の押圧力の軸方向分力がバネ部材48の付勢力よりも小さくなり、導電体50がバネ部材48の付勢力によって初期位置(図3(A)参照)へ向かって戻され始める。これにより、導電体50は、高磁束密度範囲α内から徐々に抜け出し、磁界から受ける力が次第に小さくなる。すなわち、導電率が大きく磁石74,76により大きな制動力を受ける第1領域52が高磁束密度範囲α内から先に抜け出す。このとき、第1領域52が高磁束密度範囲α内から抜け出すので、その間は制動力は急激に小さくなるが、第2の領域54が高磁束密度範囲α内に入った状態を維持するので、導電体50に対する制動力が加えられた状態を維持することができる。このように、導電体50に対する制動力が第1領域52が高磁束密度範囲α内に配設された強い状態から、制動力が全く加えられなくなる状態に急激に変化させるのではなく、第2領域54が高磁束密度範囲α内に配設された状態となるので、低回転速度域における急激で大幅なブレーキ力の変化を防止することができる。したがって、導電体50にそれぞれ導電率が異なる第1及び第2の領域52,54を設けることによってスプール18に対して2段階にブレーキ力を変化させることができるので、キャスティング終期において、飛距離を不必要に低下させることなく、スプール18に適度な制動力を付与してバックラッシュを効果的に防止できる。
このように、導電体50の第1領域52、第2領域54で異なる導電率を有することによって、各領域52,54が磁石74,76間に配設されるごとにスプール18に対して異なる制動性能を発揮させることができる。
また、本実施形態では、制動力調節ツマミ82を回転操作することで、内側磁石74に対して外側磁石76が回転され、これにより対向する内側磁石74との間で極性関係(N−N,N−S)を変化させることが可能となっている。このため、内側磁石74、及び外側磁石76間に形成された磁界の大きさを調整することができ、幅の広い制動特性の変更・設定が可能になる。
また、本実施形態では、制動力調節ツマミ82を回転操作することで、内側磁石74に対して外側磁石76が回転され、これにより対向する内側磁石74との間で極性関係(N−N,N−S)を変化させることが可能となっている。このため、内側磁石74、及び外側磁石76間に形成された磁界の大きさを調整することができ、幅の広い制動特性の変更・設定が可能になる。
次に、第2実施形態について図4(A)から図4(C)を用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例である。
スプール18が停止状態のとき、図4(A)に示すように、導電体50の第2領域54は磁石74,76による影響を受ける高磁束密度範囲α内にある。図4(B)に示すように、第2領域54の軸方向長さは磁石74,76の幅Lと略同一である。バネ部材48が最も縮んだとき、図4(C)に示すように、遠心カラー44に対する導電体50の遠位端部は磁石74,76の左側端部よりも左側(左側板10a側)に抜ける。
スプール18が停止状態のとき、図4(A)に示すように、導電体50の第2領域54は磁石74,76による影響を受ける高磁束密度範囲α内にある。図4(B)に示すように、第2領域54の軸方向長さは磁石74,76の幅Lと略同一である。バネ部材48が最も縮んだとき、図4(C)に示すように、遠心カラー44に対する導電体50の遠位端部は磁石74,76の左側端部よりも左側(左側板10a側)に抜ける。
図4(A)に示すように、導電体50の第2の領域54は常に磁石74,76間の高磁束密度範囲α内にある。このため、キャスティング開始直後の初期においても、スプール18にはその回転速度に応じた磁気制動力が増減可能に作用し、その結果、スプール18の過回転が防止され、バックラッシュ現象が抑止される。
そして、スプール18の回転速度が上昇して遠心カラー44に作用する遠心力が所定の大きさを超え、スプール18の回転に伴って遠心カラー44に加えられる遠心力が大きくなるにつれて、導電体50が次第に図4(B)中の左側に移動する。この移動によって、導電体50の第2領域54の全体が高磁束密度範囲α内(磁石74,76による磁界内)に侵入する。このため、導電体50には、その侵入量(移動量)と回転速度とに応じた力を磁界から受ける。この場合、第2の領域54の遠位端から第1領域52との境界部分までの導電率は一定であるが、高磁束密度範囲α内への第2の領域54の侵入量が異なるので、初期状態(図4(A)に示す状態)よりも次第に大きな制動力が作用する。
さらにスプール18の回転速度が上昇して遠心カラー44に作用する遠心力が所定の大きさを超え、スプール18の回転に伴って遠心カラー44に加えられる遠心力が大きくなるにつれて、導電体50が次第に図4(C)中の左側に移動する。この移動によって、導電体50の第2領域54だけでなく、第1領域52が高磁束密度範囲α内(磁石74,76による磁界内)に侵入する。第2領域54と第1領域52の境界部分が高磁束密度範囲α内に入ると、制動力が急激に上昇する。しかし、導電体50は、第2の領域54が磁石74,76の左端を突き抜けて左側(奥側)に移動する。このため、この突き抜けた部分の制動力分が減少させられるが、導電体50の遠位端が磁石74,76の左側端部を越えても制動力を上昇させ続けることができる。
一方、キャスティングの最終期には、第2領域54が磁石74,76間に配設された状態を維持することができるので、キャスティングの初期から終期まで、終始スプール18に対してスプール18の回転速度に応じた制動力を与え続けることができる。
次に、第3の実施の形態について図5(A)から図5(C)を用いて説明する。この実施の形態は第1および第2の実施の形態の変形例である。
図5(A)から図5(C)に示すように、導電体50は、移動体42の支持部材42aに近い第1領域52、第1の領域52の先端側(遠位側)の第2領域54に加えて、第2の領域54の先端側(遠位側)の第3の領域56を有する。この実施形態では第1の領域52、第2の領域54及び第3の領域56の肉厚が同一であり、第1の領域52と第2の領域54との間、第2の領域54と第3の領域56との間の内周面及び外周面は面一である。また、第1の領域52と第2の領域54との間、第2の領域54と第3の領域56との間は接着や嵌合等、適宜の手段により固定されている。
なお、第1領域52には例えばCu合金(JIS C1220T、導電率86(IACS)、比重8.94、ヤング率11800(kgf/mm2))が、第2領域54には例えばAl合金(JIS A2011−T3、導電率39(IACS)、比重2.82、ヤング率7200(kgf/mm2))が、第3領域56には例えばMg合金(JIS AZ31、導電率17(IACS)、比重1.78、ヤング率4500(kgf/mm2))が用いられる。すなわち、第1領域52が最も導電率が高く、第2領域54、第3領域56の順に導電率が低くなっている。また、比重は第1の領域52が最も高く、第2領域54、第3領域56の順に低くなっているので、導電体50の軽量化を図って慣性モーメントを小さくすることができ、制動の応答性を良好にすることができる。また、スプールユニットとしての重心位置もスプール軸14の中央側に近づけることができるので、バランスが良くなり、スプールユニットを支える両軸受16a,16bへの負荷バランスが向上する。
図5(A)から図5(C)に示すように、導電体50は、移動体42の支持部材42aに近い第1領域52、第1の領域52の先端側(遠位側)の第2領域54に加えて、第2の領域54の先端側(遠位側)の第3の領域56を有する。この実施形態では第1の領域52、第2の領域54及び第3の領域56の肉厚が同一であり、第1の領域52と第2の領域54との間、第2の領域54と第3の領域56との間の内周面及び外周面は面一である。また、第1の領域52と第2の領域54との間、第2の領域54と第3の領域56との間は接着や嵌合等、適宜の手段により固定されている。
なお、第1領域52には例えばCu合金(JIS C1220T、導電率86(IACS)、比重8.94、ヤング率11800(kgf/mm2))が、第2領域54には例えばAl合金(JIS A2011−T3、導電率39(IACS)、比重2.82、ヤング率7200(kgf/mm2))が、第3領域56には例えばMg合金(JIS AZ31、導電率17(IACS)、比重1.78、ヤング率4500(kgf/mm2))が用いられる。すなわち、第1領域52が最も導電率が高く、第2領域54、第3領域56の順に導電率が低くなっている。また、比重は第1の領域52が最も高く、第2領域54、第3領域56の順に低くなっているので、導電体50の軽量化を図って慣性モーメントを小さくすることができ、制動の応答性を良好にすることができる。また、スプールユニットとしての重心位置もスプール軸14の中央側に近づけることができるので、バランスが良くなり、スプールユニットを支える両軸受16a,16bへの負荷バランスが向上する。
例えば初期状態(図5(A)参照)では第3領域56だけが磁束密度範囲α内(磁石74,76による磁界内)に侵入している。第3領域56は導電率が低いため、スプール18の回転による制動作用は小さい。
スプール18が回転していくにつれて、図5(B)に示すように、第3領域56に加えて第2領域54も磁束密度範囲α内(磁石74,76による磁界内)に侵入する。ここで、第3領域56よりも第2領域54の方が導電率が高いので、制動力は図5(A)に示す状態よりも強められる。
さらにスプール18の回転速度が増すと、図5(C)に示すように、第3領域56が高磁束密度範囲α内から左側に突出し、第2領域54全体と第1領域52の一部が磁束密度範囲α内(磁石74,76による磁界内)に配置される。ここで、第3領域56よりも第2領域54の方が導電率が高く、かつ、第2領域54よりも第1領域52の方が導電率が高いので、制動力は図5(B)に示す状態よりも強められる。
スプール18が回転していくにつれて、図5(B)に示すように、第3領域56に加えて第2領域54も磁束密度範囲α内(磁石74,76による磁界内)に侵入する。ここで、第3領域56よりも第2領域54の方が導電率が高いので、制動力は図5(A)に示す状態よりも強められる。
さらにスプール18の回転速度が増すと、図5(C)に示すように、第3領域56が高磁束密度範囲α内から左側に突出し、第2領域54全体と第1領域52の一部が磁束密度範囲α内(磁石74,76による磁界内)に配置される。ここで、第3領域56よりも第2領域54の方が導電率が高く、かつ、第2領域54よりも第1領域52の方が導電率が高いので、制動力は図5(B)に示す状態よりも強められる。
このように、導電体50にそれぞれ異なる導電率が異なる第1から第3の領域52,54,56を設けることによって3段階にブレーキ力を変化させることができるので、キャスティング終期において、飛距離を不必要に低下させることなく、スプール18に適度な制動力を付与してバックラッシュを効果的に防止できる。
また、この実施形態のおける導電体50はその一部が常に高磁束密度範囲α内にあるので、キャスティングの初期から終期まで終始制動力を付与することができる。
また、この実施形態のおける導電体50はその一部が常に高磁束密度範囲α内にあるので、キャスティングの初期から終期まで終始制動力を付与することができる。
なお、本実施形態においても、各領域52,54,56のヤング率はスプール18側の材料ほど高くなっている。そのため、導電体50全体におけるスプール軸14方向のうち曲げモーメントが大きい側のヤング率が大きいので、導電体50の変形を抑制することができ、導電体50と磁石74,76との間の距離を小さくすることが可能となる等の設計自由度を高めることができる。
次に、第4の実施の形態について図6から図12を用いて説明する。この実施の形態は第1から第3実施形態の変形例である。
図6から図8に示すように、この実施形態の磁気制動装置40の支持板60にはスプール軸14の左端部を囲うように小径部64が突出形成されている。この小径部64の外周には、小径部64に対して軸方向に移動可能となるように回り止め嵌合された磁石保持体(軸方向移動保持機構)110が設けられている。この場合、磁石保持体110は、内側環状壁112と、外側環状壁114とを備えており、内側環状壁112が小径部64に対して軸方向に移動可能に回り止め嵌合されている。そして、内側環状壁112の外周にはホルダ116を介在させて内側磁石74が取り付けられており、外側環状壁114の内周側にはホルダ118を介在させて外側磁石76が回転可能に配設されている。
図6から図8に示すように、この実施形態の磁気制動装置40の支持板60にはスプール軸14の左端部を囲うように小径部64が突出形成されている。この小径部64の外周には、小径部64に対して軸方向に移動可能となるように回り止め嵌合された磁石保持体(軸方向移動保持機構)110が設けられている。この場合、磁石保持体110は、内側環状壁112と、外側環状壁114とを備えており、内側環状壁112が小径部64に対して軸方向に移動可能に回り止め嵌合されている。そして、内側環状壁112の外周にはホルダ116を介在させて内側磁石74が取り付けられており、外側環状壁114の内周側にはホルダ118を介在させて外側磁石76が回転可能に配設されている。
図7および図8に示すように、内側環状壁112には、スプール18側に向けて開口する環状凹所(切欠部)112aが形成されており、小径部64の先端に取り付けられたリテーナ64aとの間に付勢バネ112bを介在させて磁石保持体110をスプール18と反対方向に付勢している。また、内側環状壁112には、スプール18と反対側に向けて開口すると共に、環状で周方向に沿って高低差を具備した螺旋状のカム面120が形成されている。
支持板60には外部に露出するようにツマミ130が、支持板60に装着される左側板10aの開口縁部11に入り込むようにして回転可能に装着されている。このツマミ130は開口縁部11にフランジ130aが対向することで抜け止めされている。また、ツマミ130には、上述した高低差を具備した螺旋状のカム面120に係合する係合突起132が一体的に突出形成されており(図9参照)、カム面120と係合突起132とは、付勢バネ112bの付勢力により常時、係合関係が維持されている。
この調節ツマミ130は、ツマミ130に形成された複数の凹部130bと支持板60との間に介在される付勢部材134(係合ピン134aとバネ134bで構成)によって回転方向に節度が付与されている。そして、この調節ツマミ130の回転による制動力の大きさは、調節ツマミ130の回転位置に応じて設定することができる。すなわち、この調節ツマミ82は各回転位置に配置するときにクリック節度感が得られる。
上記した構成により、ツマミ130を回転操作することで、図9に模式的に示すように、カム面120と係合突起132との作用により、付勢バネ112bの付勢力に抗して、磁石保持体110をスプール軸14の軸方向に沿ってスプール18側(図9中の矢印方向)に移動させることができる。また、ツマミ130を逆方向に回転操作することで、カム面120と係合突起132との作用及び付勢バネ112bの付勢力により、磁石保持体110をスプール軸14の軸方向に沿ってスプール18と反対側に移動させることができる。この場合、磁石保持体110を軸方向に沿って移動させることで、それに装着された内側磁石74と外側磁石76の導電体50に対する初期設定位置を変えることができ、両者の間に位置する導電体50に作用する初期の磁気制動力及び終期の磁気制動力を調整することが可能となる。なお、図8は、図7に示す磁石保持体110を軸方向に沿ってスプール18側に移動させた状態を示している。
また、本実施形態では、図10に示すように、上述した磁石保持体110に保持される磁石74,76のうち、外側磁石76(ホルダ118)を制動力調節ツマミ82によって回転可能に構成している。具体的には、外側磁石76を取り付けるホルダ118の外周面に中間歯車80を装着(ホルダ118の外周に一体形成しても良い)しておくと共に、磁石保持体110の外側環状壁114に、軸方向に延出する開口部114aを形成しておき、この開口部114aを介して支持板60に回転可能に支持された中間歯車80を噛合させている。
さらに、第1実施形態で説明した構成により、制動力調節ツマミ82を回転操作することで、図10に模式的に示すように、上記した歯車の連結構造により小歯車84から中間歯車80を介してホルダ118を回転させ、すなわち外側磁石76を回転可能にしている。この場合、外側磁石76を回転操作することで、内側磁石74との間で極性関係(N−N,N−S)が変化するため、その間に位置する導電体50に作用する磁気制動力を調整することが可能となる。
図11(A)に示すように、導電体50は、第1領域52の導電性部材の肉厚t1が、第2領域54の導電性部材の肉厚t2よりも厚肉に形成されている。なお、この実施形態では第1領域52の内周面と第2領域54の内周面とは面一に形成されている。すなわち、第2領域54は薄肉に形成され、外側磁石76からの距離が遠くなる。このため、第2領域54が高磁束密度範囲α内に配設されたときの制動力は弱められる。一方、第2領域52は厚肉に形成され、外側磁石76からの距離は第2領域54よりも近くなる。このため、第1領域52が高磁束密度範囲α内に配設されたときの制動力は強められる。また、第2領域54を薄肉にすることによって軽量化を図ることができる。
例えば、図7及び図11(A)に示す状態の場合に、キャスティングによってスプール18が回転すると、移動体42もスプール18と一体回転する。その後、スプール18の回転速度が上昇して遠心カラー44に作用する遠心力が所定の大きさを超えると、図11(B)に示すように、導電体50の第2領域54が内側磁石74及び外側磁石76間に形成された高磁束密度範囲α内に配置される。このとき、第2領域54の導電性部材は導電率が低く薄肉に形成されているので、小さい制動力を付与することができる。
さらにスプール18を高速回転させると、図11(C)に示すように、導電体50の第2領域54全体が内側磁石74及び外側磁石76間に形成された高磁束密度範囲α内に配置される。このとき、磁石74,76間の高磁束密度範囲α内に配置されているのは第2領域54だけで、第1領域52は配設されないので、導電体50に付与される制動力はスプール18のどの回転域においても小さくかけることができる。なお、第2の領域54が磁石74,76間に配設される量にしたがって、次第に制動力は上昇している。
このため、図7及び図11に示す状態で使用する場合、重量が比較的軽いルアーをキャスティングする場合や追い風時のキャスティングに好適である。
このため、図7及び図11に示す状態で使用する場合、重量が比較的軽いルアーをキャスティングする場合や追い風時のキャスティングに好適である。
そして、磁気制動装置40は、ツマミ130を操作して、磁石74,76の位置を図7に示す位置から図8に示す位置に移動させる。
このとき、高磁束密度範囲α内には第2領域54の一部が配設されているので、キャスティングの初期状態(図12(A)参照)から導電体50に弱い制動力が付与される。
このとき、高磁束密度範囲α内には第2領域54の一部が配設されているので、キャスティングの初期状態(図12(A)参照)から導電体50に弱い制動力が付与される。
その後、スプール18の回転速度が上昇して遠心カラー44に作用する遠心力が所定の大きさを超えると、図12(B)に示すように、導電体50の第2領域54全体が内側磁石74及び外側磁石76間に形成された高磁束密度範囲α内に配置される。このとき、第2領域54の導電性部材は薄肉に形成されているので、小さい制動力をかけることができる。
さらにスプール18を高速回転させると、図12(C)に示すように、導電体50の第2領域54だけでなく、第1領域52が内側磁石74及び外側磁石76間に形成された高磁束密度範囲α内に配置される。このとき、第1領域52は導電率が高く、厚肉に形成されているので、高磁束密度範囲α内に配設されたときの制動力は強められる。したがって、第1領域52が高磁束密度範囲α内に配設されると、急激に制動力が増加する。
このため、図8及び図12に示す状態で使用する場合、重量が比較的重いルアーをキャスティングする場合や向かい風時のキャスティングに好適である。
このため、図8及び図12に示す状態で使用する場合、重量が比較的重いルアーをキャスティングする場合や向かい風時のキャスティングに好適である。
この実施形態によれば、ツマミ130を回転操作して磁石保持体110を動かすことによって、図7に示す状態から図8に示す状態に磁石74,76をスプール18に近接させたり、図8に示す状態から図7に示す状態に磁石74,76をスプール18に離隔させたりすることができる。このとき、スプール18の回転の初期から中期、中期から終期における制動特性の変更・設定が可能になるため、釣場の様々な状況変化に応じて、ショートキャストからロングキャストまで幅広く対応することが可能になる。このように、磁石保持体110によって内側磁石74及び外側磁石76の初期設定位置を変更することが可能であるため、様々なキャスティング条件(投入方法、使用ルアー、風向きなど)に合わせて制動特性を最適な状態に設定することができる。
また、第1実施形態で説明したツマミ82を併せて操作することにより、ショートキャストからロングキャストまでより細かく対応することが可能である。
また、第1実施形態で説明したツマミ82を併せて操作することにより、ショートキャストからロングキャストまでより細かく対応することが可能である。
次に、第5の実施の形態について図13を用いて説明する。この実施の形態は第1から第4実施形態の変形例である。
図13に示すように、この実施形態の導電体50は、第1の導電性部材92と、第2の導電性部材94とを有する。第1の導電性部材92は第2の導電性部材94よりも導電率が高いものが用いられる。例えば、第1の導電性部材92にはCu合金(JIS C1220T、導電率86(IACS)、比重8.94、ヤング率11800(kgf/mm2))が用いられ、第2の導電性部材94にはAl合金(JIS A2011−T3、導電率39(IACS)、比重2.82、ヤング率7200(kgf/mm2))が用いられる。
図13に示すように、この実施形態の導電体50は、第1の導電性部材92と、第2の導電性部材94とを有する。第1の導電性部材92は第2の導電性部材94よりも導電率が高いものが用いられる。例えば、第1の導電性部材92にはCu合金(JIS C1220T、導電率86(IACS)、比重8.94、ヤング率11800(kgf/mm2))が用いられ、第2の導電性部材94にはAl合金(JIS A2011−T3、導電率39(IACS)、比重2.82、ヤング率7200(kgf/mm2))が用いられる。
第1の導電性部材92は円筒状であり、移動体42の支持部材42aに支持され、スプール18に近接する側から磁石74,76間に向かって延出されている。第1の導電性部材92の外周面には円環状の凹部92aが形成されている。第2の導電性部材94は円筒状に形成され、第1の導電性部材92の外周面の凹部92aに配設されている。第2の導電性部材94は例えば接着により第1の導電性部材92の凹部92aに固定される。
なお、この実施形態では第1の導電性部材92のうち凹部92a以外の部分の外周面と第2の導電性部材94の外周面とは面一である。また、第1の導電性部材92のうちスプール18に対する遠位端部と、第2の導電性部材94のうちスプール18に対する遠位端部とは略面一である。
なお、この実施形態では第1の導電性部材92のうち凹部92a以外の部分の外周面と第2の導電性部材94の外周面とは面一である。また、第1の導電性部材92のうちスプール18に対する遠位端部と、第2の導電性部材94のうちスプール18に対する遠位端部とは略面一である。
そして、第1の導電性部材92のうち、移動体42の支持部材42aに支持された部分から第2の導電性部材94の近位端部までの領域を第1の領域52として規定する。第1の導電性部材92と第2の導電性部材94とが重ね合わせられた範囲を第2の領域54として規定する。
すなわち、この実施形態に係る導電体50は、それぞれ円筒状の第1及び第2領域52,54を有する。ここで、第1領域52は単一素材で形成されているので、導電率は一定である。そして、第2領域54のうち、第1領域52と同じ素材(第1の導電性部材92)の導電率をσ1とし、肉厚をt1とする。第2領域54のうち、第2の導電性部材94の導電率をσ2とし、肉厚をt2とする。そうすると、第2領域54の導電率σは以下のように求めることができる。
σ=(t1σ1+t2σ2)/(t1+t2)
なお、第2の領域54の導電率σは第2領域54の範囲内で一定である。そして、第2の導電性部材94の導電率は第1の導電性部材92の導電率よりも低いので、第2の領域54の導電率σは第1の領域52の導電率に比べて小さい。
この実施形態の作用は第1実施形態で説明したのと同様であるので、詳しい説明を省略する。
すなわち、この実施形態に係る導電体50は、それぞれ円筒状の第1及び第2領域52,54を有する。ここで、第1領域52は単一素材で形成されているので、導電率は一定である。そして、第2領域54のうち、第1領域52と同じ素材(第1の導電性部材92)の導電率をσ1とし、肉厚をt1とする。第2領域54のうち、第2の導電性部材94の導電率をσ2とし、肉厚をt2とする。そうすると、第2領域54の導電率σは以下のように求めることができる。
σ=(t1σ1+t2σ2)/(t1+t2)
なお、第2の領域54の導電率σは第2領域54の範囲内で一定である。そして、第2の導電性部材94の導電率は第1の導電性部材92の導電率よりも低いので、第2の領域54の導電率σは第1の領域52の導電率に比べて小さい。
この実施形態の作用は第1実施形態で説明したのと同様であるので、詳しい説明を省略する。
このように、第1及び第2の導電性部材92,94を形成することによって、導電体50を高い精度で容易に作製することができる。
なお、第1の導電性部材92の外周面の凹部92aに配設される第2の導電性部材94は嵌合等により着脱可能としても良い。そうすると、第2の導電性部材94を適宜に選択して第2の領域54の導電率を適宜に設定することができる。
なお、第1の導電性部材92の外周面の凹部92aに配設される第2の導電性部材94は嵌合等により着脱可能としても良い。そうすると、第2の導電性部材94を適宜に選択して第2の領域54の導電率を適宜に設定することができる。
次に、第6の実施の形態について図14を用いて説明する。この実施の形態は第5実施形態の変形例である。
例えば、図14に示す第1の導電性部材92にはCu合金(JIS C1220T、導電率86(IACS)、比重8.94、ヤング率11800(kgf/mm2))が用いられ、第2の導電性部材94にはAl合金(JIS A2011−T3、導電率39(IACS)、比重2.82、ヤング率7200(kgf/mm2))が用いられる。
この実施形態では第1の導電性部材92のうちスプール18に対する遠位端部の位置は、第2の導電性部材94のうちスプール18に対する遠位端部に対してスプール18から離れた位置(遠位側)にある。
例えば、図14に示す第1の導電性部材92にはCu合金(JIS C1220T、導電率86(IACS)、比重8.94、ヤング率11800(kgf/mm2))が用いられ、第2の導電性部材94にはAl合金(JIS A2011−T3、導電率39(IACS)、比重2.82、ヤング率7200(kgf/mm2))が用いられる。
この実施形態では第1の導電性部材92のうちスプール18に対する遠位端部の位置は、第2の導電性部材94のうちスプール18に対する遠位端部に対してスプール18から離れた位置(遠位側)にある。
そして、第1の導電性部材92のうち、移動体42の支持部材42aに支持された部分から第2の導電性部材94の近位端部までの領域を第1の領域52として規定する。第1の導電性部材92と第2の導電性部材94とが重ね合わせられた範囲を第2の領域54として規定する。第1の導電性部材92のうち第2の導電性部材94の遠位端部から第1の導電性部材92の遠位端部までの領域を第3の領域56として規定する。
すなわち、この実施形態に係る導電体50は、それぞれ円筒状の第1から第3領域52,54,56を有する。ここで、第1領域52及び第3領域56は単一素材で形成されているので、導電率は一定である。第2領域54の導電率σは第5実施形態で説明したように求めることができ、第2領域54の範囲内で一定である。
すなわち、この実施形態に係る導電体50は、それぞれ円筒状の第1から第3領域52,54,56を有する。ここで、第1領域52及び第3領域56は単一素材で形成されているので、導電率は一定である。第2領域54の導電率σは第5実施形態で説明したように求めることができ、第2領域54の範囲内で一定である。
ここで、第1領域52及び第3領域56の導電率は共に第1の導電性部材92が用いられているので同一であるが、第1領域52の方が第3領域56よりも厚肉である。このため、内側磁石74と導電体50の第1及び第3領域52,56との間の距離は同じであるが、外側磁石76と導電体50の第3領域56との間の距離は、外側磁石76と導電体50の第1領域52との間の距離に比べて大きくなる。すなわち、導電体50の第3領域56は外側磁石76との関係において、第1領域52よりも遠い。
このように、外側磁石76と導電体50の第3領域56との間の距離が、外側磁石76と導電体50の第1領域52との間の距離に比べて大きくなると、導電体50を通る磁束密度が小さくなる。したがって、導電体50に作用する磁力、すなわち、スプール18に作用する磁気制動力も第3の領域56の方が、第1の領域52よりも小さくなる。したがって、第1領域52および第3領域56の肉厚が同一であるとすると、第3領域56の導電率が第1領域52の導電率に比べて低いことと同じこととなる。
なお、この実施形態では、第2の領域54に第2の導電性部材94を用いる場合について説明したが、第3の領域56に図示しない別の導電性部材(第2の導電性部材94よりも例えば導電率が低い)を配置しても良い。
以上のように説明したスプール軸14の軸方向に沿った方向に複数の領域を有する導電体50を用いることによって、ブレーキ特性を種々に設定することができ、様々なキャスティングシーンに対応することができる。また、第1から第6実施形態に係る魚釣用リール10は、スプール18を交換可能とすることができ、種々の導電体50を有するスプール18を用いることができる。そうすると、より様々なキャスティングシーンに柔軟に対応することができる。
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
10…魚釣用リール、10a,10b…側板、12…リール本体、12a,12b…フレーム、14…スプール軸、16a,16b…軸受、18…スプール、18a…テーパ面、40…磁気制動装置、42…移動体、42a…支持部材、44…遠心カラー、44a…傾斜面、46…リテーナ、48…バネ部材、50…導電体、52…第1領域、54…第2領域、60…支持板、60a…開口、62…中央開口、64…小径部、66…大径部、68…支持台部、70…環状溝、72…磁石ホルダ、74…内側リング磁石、76…外側リング磁石、78…歯、80…中間歯車、82…制動力調節ツマミ、84…小歯車。
Claims (6)
- スプール軸上に回り止めされた非磁性の導電体がスプールの回転に伴う遠心力によりスプール軸の軸方向に沿って前記スプールから離れる方向に移動可能であり、前記導電体が対向する磁石間の磁界内にあるときに前記導電体を介して前記スプールの回転を磁気制動する磁気制動装置を有する魚釣用リールにおいて、
前記導電体は、それぞれ異なる導電率を有する少なくとも2つの領域を有し、
前記少なくとも2つの領域は前記磁石間の磁界内に配設可能であることを特徴とする魚釣用リール。 - 前記導電体は、前記スプールに近接する側の領域の導電率を、前記スプールから離隔する側の領域の導電率よりも高くしたことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
- 前記導電体は、前記スプールに近接する側の領域の比重を前記スプールから離隔する側の領域の比重よりも高くしたことを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の魚釣用リール。
- 前記導電体は円筒状であり、前記スプールに近接する側から離隔する側にかけて配置された第1の導電性部材と、前記第1の導電性部材のうち前記スプールから離隔する側の外側に配設された第2の導電性部材とを有し、
前記導電体は、
前記第1の導電性部材のうち前記スプールに近接する側から前記第2の導電性部材のうち前記スプールに近接する側の端部の範囲に規定される第1の領域と、
前記第1および第2の導電性部材が重ね合わせられた範囲内に規定される第2の領域と
を形成し、それぞれの領域内で導電率を一定としたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1に記載の魚釣用リール。 - 前記対向する磁石は、前記導電体の移動方向にそれぞれ幅を有し、
前記導電体が前記スプールから離れる方向に移動したときに、前記導電体のうち前記スプールから離隔する側が前記対向する磁石の磁界内を突き抜けて前記磁石の幅よりも奥側に移動可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1に記載の魚釣用リール。 - 前記磁気制動装置は、前記対向する磁石を前記スプール軸の軸方向に移動可能に保持する軸方向移動保持機構をさらに有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1に記載の魚釣用リール。
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