JP2011204822A - リチウムイオンキャパシタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リチウムイオンキャパシタは、リチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質からなる正極と、リチウムイオンを可逆的に担持可能な物質からなる負極と、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解質溶液とを備えたリチウムイオンキャパシタであって、前記正極及び負極がそれぞれ貫通孔を有する集電体を備えかつセパレータを介して積層または捲回されて電極ユニットを形成しており、負極及び/又は正極とリチウムイオン供給源との電気化学的接触によってリチウムイオンが負極及び/又は正極にドーピングされ、電解液に下記式(1)で表される化合物を電解液に対し2〜20vol%含む事を特徴とする。
【選択図】なし
Description
(1)リチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質からなる正極と、リチウムイオンを可逆的に担持可能な物質からなる負極と、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解質溶液とを備えたリチウムイオンキャパシタであって、前記正極及び負極がそれぞれ貫通孔を有する集電体を備えかつセパレータを介して積層または捲回されて電極ユニットを形成しており、負極及び/又は正極とリチウムイオン供給源との電気化学的接触によってリチウムイオンが負極及び/又は正極にドーピングされ、電解液に下記式(1)で表される化合物を電解液に対して2〜20vol%含む事を特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
本発明に係るリチウムイオンキャパシタでは、リチウム極をセル中に局所的に配置した場合も、負極および/または正極にリチウムイオンを均一にドープすることができる。
したがって、正極および負極を積層または巻回した大容量のセルの場合も、最外周または最外層のセルの一部にリチウム極を配置することにより、負極および/または正極に、スムーズかつ均一にリチウムイオンをドープすることができる。
本発明に係るリチウムイオンンキャパシタの電解液には、式(1)で表される化合物が添加されたリチウム塩の非プトロン性有機溶媒電解質溶液が用いられる。式(1)で表される化合物を2〜20vol%の範囲で添加することで、電解液の急激な分解や発熱を抑制し、過充電下においても発火を抑制する事ができる。
電解液に用いられる非プロトン性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル、スルホラン等の環状スルホン、ジオキソラン等の環状エーテル、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステル、ジメトキシエタン等の鎖状エーテル等が挙げられる。これらのうちの2種以上を混合した混合溶媒を用いてもよく、特に、電解液の粘度上昇を抑制し、解離度を高め、イオン伝導度の向上を図る観点から、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合物を用いることが好ましい。前記環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒における混合比率は、1:99〜80:20であることが好ましく、10:90〜60:40であることがより好ましい。
また、正極活物質には、リチウムイオンおよび/またはテトラフルオロボレート等のアニオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な物質が用いられ、例えば、活性炭粉末が挙げられる。この活性体粉末の粒度は、D50が2μm以上であることが好ましく、より好ましくは、2〜50μm、特に、2〜20μmが好適である。また、平均細孔径が10nm以下であるものが好ましく、また、比表面積が600〜3000m2 /gであることが好ましく、より好ましくは、1300〜2500m2 /gである。
一方、負極活物質には、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能である物質が用いられ、例えば、グラファイト、ハードカーボン、コークス等の炭素材料、ポリアセン系物質(PAS)、黒鉛、表面にピッチをコーティングした黒鉛等が挙げられる。これらのうち、特に、高容量が得られることから、PASが好適に用いられる。
このPASは、フェノール樹脂等の芳香族系縮合ポリマーを400〜800℃で熱処理を行い、粉砕することにより得られる。尚、黒鉛材料として、ピッチをコーティングした複合材料が特に好ましい。
上記のような正極活物質を有する正極および負極活物質を有する負極の作製は、通常用いられる既知の方法によって、いずれも同様に行うことができる。
例えば、負極を作製する場合、負極活物質粉末と、バインダと、必要に応じて、導電材、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤とを、水または有機溶媒に加えて混合し、得られたスラリーを集電体に塗布する、あるいはまた、前記スラリーをシート状に成形したものを集電体に貼付することにより、負極を作製することができる。
また、前記導電材としては、例えば、アセチレンブラック、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。
前記バインダおよび導電材の各添加量は、活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、通常、活物質に対して2〜40重量%であることが好ましい。
これらのキャパシタセルの構造は、特開2004−266091号公報等により既知であり、本発明においても、既存のキャパシタセルと同様の構成とすることができる。
(負極の作製)
平均粒径4μmの黒鉛粉末100重量部と軟化点110℃、メタフェーズ量(QI量)13%の光学的等方性ピッチ50重量部を加熱ニーダーで混捏し、これを非酸化性雰囲気下800℃で焼成した。これを平均粒子径8μmに粉砕し、再度非酸化性雰囲気下で1000℃で焼成し、負極活物質を得た。
前記負極活物質92重量部、アセチレンブラック粉末6重量部、SBR5重量部、CMC3重量部、水200重量部を撹拌混合し、スラリーを調製した。
得られたスラリーを、気孔率57%、厚さ32μmの銅製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)からなる負極集電体の両面にロールコーターにて塗工した後、真空乾燥し、全厚さ80μmの負極を得た。
このようにして得られた、集電体前駆体の一部分に負極層が形成されてなる材料を、負極層が形成されてなる部分(以下、負極板について「塗工部」という。)が100mm×128mm、負極層が形成されてない部分(以下、負極板について「未塗工部」という。)が100mm×15mmになるように、100×143mmの大きさに切断することにより、負極板を作製した。
比表面積2000m2 /gの市販の活性炭粉末92重量部、アセチレンブラック粉末6重量部、アクリル系樹脂バインダ7重量部、CMC4重量部、水200重量部を撹拌混合し、スラリーを調製した。
気孔率47%、厚さ38μmのアルミニウム製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)の両面に非水系のカーボン系導電塗料をロールコーターにて塗工した後、真空乾燥し、導電層が形成された全厚さ52μmの正極集電体を得た。この正極集電体の貫通孔は、導電塗料によりほぼ閉塞された。
この正極集電体の両面に、前記スラリーをロールコーターにて塗工した後、真空乾燥し、全厚さ200μmの正極を得た。
このようにして得られた、集電体前駆体の一部分に導電層および正極層が積層されてなる材料を、導電層および正極層が積層されてなる部分(以下、正極板について「塗工部」ともいう。)が98mm×126mm、いずれの層も形成されてない部分(以下、正極板について「未塗工部」ともいう。)が98mm×15mmとなるように、98mm×141mmの大きさに切断することにより、正極板を作製した。
先ず、正極板10枚、負極板11枚、厚みが50μmのセパレータ22枚を用意し、正極板と負極板とを、それぞれの塗工部は重なるが、それぞれの未塗工部は反対側になり重ならないよう、セパレータ、負極板、セパレータ、正極板の順で積重し、積重体の4辺をテープにより固定することにより、電極積層ユニットを作製した。
次いで、厚み100μmのリチウム箔を切断し、厚さ40μmのステンレス網に圧着することにより、リチウムイオン供給部材を作製し、このリチウムイオン供給部材を電極積層ユニットの上側に負極と対向するよう配置した。
そして、作製した電極積層ユニットの10枚の正極板の各々の未塗工部に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した、幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmのアルミニウム製の正極用電源タブを重ねて超音波溶接した。一方、電極積層ユニットの11枚の負極板の各々の未塗工部およびリチウムイオン供給部材の各々に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmの銅製の負極用電源タブを重ねて抵抗溶接した。以上のようにして、リチウムイオンキャパシタ要素を作製した。
次いで、ポリプロピレン(PP)層、アルミニウム層およびナイロン層が積層されており、寸法が125mm(縦幅)×160mm(横幅)×0.15mm(厚み)で、中央部分に、105mm(縦幅)×140mm(横幅)の絞り加工が施された上部外装フィルム(接合部となる外周縁部の幅が10mm)と、PP層、アルミニウム層およびナイロン層が積層されており、寸法が125mm(縦幅)×160mm(横幅)×0.15mm(厚み)の下部外装フィルムとを作製した。
次いで、下部外装フィルム上における収容部となる位置に、リチウムイオンキャパシタ要素を、その正極用電源タブおよび負極用電源タブの各々が、下部外装フィルムの端部から外方に突出するよう配置し、このリチウムイオンキャパシタ要素に、上部外装フィルムを重ね合わせ、上部外装フィルムおよび下部外装フィルムの外周縁部における3辺(正極用電源タブおよび負極用電源タブが突出する2辺および長手方向の1辺)を熱融着することにより、当該3辺に収容部を取り囲む接合部を形成した。
次いで、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート(体積比で3:1:4)の混合溶媒に式(2)で表わされるホスファゼン化合物を5vol%加え、1.2mol/LのLiPF6 を含むように電解液を調製し、ラミネート外装フィルムの開口部よりエレメント収容部に注入し、減圧下で開口部の端部を熱融着してリチウムイオンキャパシタを合計で11セル作製した。
セル組み立て後20日間放置後に1セル分解したところ、リチウム金属はいずれも完全に無くなっていたことから、負極活物質にリチウムイオンが予備充電されたと判断した。
続いて、残り10セルに対し、10Aの定電流でセル電圧が3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を0.5時間行った。次いで、10Aの定電流でセル電圧が2.2Vになるまで放電した。この3.8V−2.2Vのサイクルを繰り返し、10回目の放電におけるセル容量を測定したところ480mAhと高い容量が得られた。ただし、データは10セルの平均である。
上記リチウムイオンキャパシタに10セルに対し、菊水電子工業製の直流安定化電源装置を用いてそれぞれ100A、20Vの過充電試験を実施した結果、10セル全てで破裂したものの、発火しなかった。
ホスファゼン系化合物の濃度を10vol%とした以外は実施例1と同様の方法により、フィルム型キャパシタセルを11セル作製した。
1セル分解し、リチウム金属が無くなっていることを確認した後、容量確認したところ、10セルの平均で480mAhの高い容量が得られた。
続いて、100A,20Vの過充電試験を行った結果、10セル全てで破裂したものの、発火しなかった。
PCに、式(2)で表されるホスファゼン系化合物を15vol%となるように添加し、1.2mol/LのLiPF6 を含むように調製した溶液を電解液として用いた以外は実施例1と同様の方法により、フィルム型キャパシタセルを11セル作製した。
1セル分解し、リチウム金属が無くなっていることを確認した後、容量確認したところ、10セルの平均で475mAhの高い容量が得られた。
続いて、100A,20Vの過充電試験を行った結果、10セル全てで破裂したものの、発火しなかった。
添加剤を用いない電解液を使用した以外は実施例1と同様の方法により、フィルム型キャパシタセルを11セル作製した。
1セル分解し、リチウム金属が無くなっていることを確認した後、容量確認したところ、10セルの平均で485mAhの高い容量が得られた。
続いて、100A,20V過充電試験を行った結果、10セル全てで破裂し、3セルが発火した。これは、過充電によりガス発生し、セルが膨張し破裂する際にセル内部にて正極と負極が短絡し火花が発生して電解液の蒸気に引火したものと考えられる。
EC、PCおよびDECを体積比で3:1:4とした混合溶媒に式(2)で表されるホスファゼン系化合物を30vol%となるように添加し、LiPF6 の濃度を1.2mol/Lとした電解液の調製を試みたが、リチウム塩が充分に溶解せず、電解液を調製できなかった。
ホスファゼン系化合物の濃度を混合溶媒に対し1vol%とした以外は実施例1と同様の方法により、フィルム型キャパシタセルを11セル作製した。1セル分解し、リチウム金属が無くなっていることを確認した後、容量確認したところ、10セルの平均で480mAhの高い容量が得られた。続いて、100A,20V過充電試験を行った結果、10セル全てで破裂し、2セルが発火した。比較例1と同様に、内部短絡による火花が電解液の蒸気に引火したものと考えられるが、ホスファゼン系化合物の濃度が1vol%では抑止できないことがわかった。
Claims (1)
- リチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質からなる正極と、リチウムイオンを可逆的に担持可能な物質からなる負極と、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解質溶液とを備えたリチウムイオンキャパシタであって、前記正極及び負極がそれぞれ貫通孔を有する集電体を備えかつセパレータを介して積層または捲回されて電極ユニットを形成しており、負極及び/又は正極とリチウムイオン供給源との電気化学的接触によってリチウムイオンが負極及び/又は正極にドーピングされ、電解液に下記式(1)で表される化合物を電解液に対し2〜20vol%含む事を特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
〔式中、R1 〜R6 は、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、アシル基、カルボン酸エステル、アリール基(以上の置換基はいずれも、水素の一部または全部をハロゲンで置換してもよい)、水素、またはハロゲンであり、R1 〜R6 は一部または全部が同じであっても、あるいは全て異なってもよい。〕
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