JP2011202125A - 粘着剤およびそれを用いた粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスの発生量が少なく、かつ被着体に対する粘着物性や凝集力に優れた粘着剤を提供する。
【解決手段】下記の(A)および(B)を含有する粘着剤樹脂組成物[I]が下記の架橋剤(B)により架橋されてなる粘着剤である。そして、下記の官能基含有重合開始剤(b)の有する官能基量の、酸性基以外の官能基を有するモノマー(a2)の有する官能基量に対する比〔(b)/(a2)〕が、モル比で、(b)/(a2)=0.0001〜1の範囲である。
(A)下記の(a1)および(a2)を含有してなる、酸性基を有する化合物を含まない共重合成分(a)を、官能基含有重合開始剤(b)の存在下で重合してなるアクリル系樹脂。
(a1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー。
(a2)酸性基以外の官能基を有するモノマー。
(B)架橋剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤、およびそれを用いた粘着シートに関するものである。詳しくは、電子部材や光学部材用の粘着剤、およびそれを用いた粘着シートに関するものである。
従来から、各種分野において粘着剤組成物が多用されている。上記粘着剤組成物において、強粘着性を示すものは、通常、酸を多く導入することにより粘着力が付与されているが、粘着対象物に対する腐食等の問題により酸を用いないタイプ(酸フリー)の用途も多く求められている。特に、電子部品用途には、良好な粘着性はもちろん、動作不良を生起する原因となるガスの発生が抑制され、このガス発生の抑制により電子部材を腐食し外観不良を引き起こすことのない粘着剤組成物が求められている。
上記電子部材、特に精密電子部材に貼り合わせて用いられる情報ラベルや電子部材固定用の粘着剤および粘着シートは、塵のような異物を発生しないことは大前提であるが、上記粘着剤および粘着シートに含まれる、低分子量成分、低沸点揮発成分、重合開始剤や残存溶剤に由来するガス(アウトガス)も異物の一種であり、これらが電子部材の動作不良の原因となっている。すなわち、精密な電子部材を備えた電子機器内部は使用時には高温雰囲気となるため、このような雰囲気下でのガス発生量を低く抑える必要がある。このようなアウトガスの発生量を低減する方法として、酸性基を含有しないアクリル系共重合体を粘着剤に用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。また、カルボキシル基を含有しないアクリル系共重合体を用いることにより、低金属付着性および低アウトガス性の実現を図り、モルフォリン系不飽和化合物を共重合させることにより高い粘着力を発揮させる方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2003−268335号公報 特開2008−222967号公報
しかしながら、上記特許文献1のような水酸基等の酸性基以外の官能基を導入したアクリル系重合体を用いた粘着剤では、ある程度の低アウトガスタイプの粘着シートは得られるものの用途によっては充分であるとは言い難く、また酸性基が導入されていないため粘着力が不充分なものであった。また、上記特許文献2のようなカルボキシル基を含有しないアクリル系共重合体を用いた粘着剤では、ある程度のアウトガス量の低減効果は得られるが、やはり電子機器等に用いるにはアウトガスの低減効果が未だ充分なものではなかった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ガスの発生量が少なく、しかも粘着物性や凝集力に優れた粘着剤およびそれを用いた粘着シートの提供をその目的とする。
そこで本発明者らは、粘着剤から発生するガスの発生量を抑制し、腐食による外観不良を引き起こすことがなく、粘着物性や凝集力に優れた粘着剤を得るために鋭意検討を重ねた。そこで、まず、ガス発生の発生要因について検討した結果、つぎのような知見を得た。すなわち、(1)アクリル系樹脂の重合反応において、残存するモノマー、反応時に生成する低分子量成分、未反応の重合開始剤等が粘着剤中に揮発成分として存在し、これがガスの発生要因となる、(2)粘着剤中の酸成分が他の構成成分を分解することによりガスが発生する、という知見を得た。このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、アクリル系樹脂の重合反応に際して、上記官能基含有重合開始剤(b)を用いると、アウトガスの発生量が抑制されることを突き止めた。すなわち、
(1)通常のアクリル系樹脂の重合反応では、構成モノマーとして官能基含有モノマーを用いた場合でも、一定量の官能基非含有の低分子量成分が発生する。この官能基非含有の低分子量成分は、官能基を有していないため架橋剤とは反応することができず、粘着剤の架橋構造には取り込まれないことから、揮発成分としてアウトガスの原因となる場合がある。
本発明では、官能基含有の重合開始剤を使用することにより、重合反応時に重合開始剤と反応した構成モノマーには必ず官能基が導入されることとなり、上述の一定量発生する低分子量成分も官能基を含有するものとなる。
したがって、官能基を有する低分子量成分は架橋剤と反応することができ架橋構造に取り込まれるため、架橋後の低分子量成分の残存を減らすことが可能となり、結果、アウトガスの発生が抑制される。
(2)通常のアクリル系樹脂の重合反応では、全ての重合開始剤が重合反応に使用されるものではなく重合開始剤が残存してしまう場合があり、この残存する重合開始剤が揮発成分としてアウトガスの原因となる場合もある。
本発明では、官能基含有の重合開始剤を使用することから、残存した重合開始剤は官能基を介して架橋剤と反応し架橋構造に取り込まれるために、重合開始剤由来のアウトガスの発生を減らすことが可能となる。
なお、上記架橋剤との反応性の点に関して、アクリル系樹脂のポリマー側鎖の官能基と重合開始剤の官能基を比較すると、低分子量である重合開始剤の有する官能基が優先的に反応すると推測されるため、残存した重合開始剤は殆どが架橋剤と反応すると考えられる。
したがって、例えば、重合開始剤の官能基としてカルボキシル基を含有するものを使用した場合でも、残存する重合開始剤の有するカルボキシル基による悪影響は殆ど生じないと考えられ、仮に残存しても量的に非常に少量であるためその悪影響は少ないと推測される。
このようなことから、酸性基を有する化合物を含まない共重合成分(a)を、官能基含有重合開始剤の存在下で重合してなるアクリル系樹脂(A)と、架橋剤(B)を含有する粘着剤組成物[I]が架橋剤(B)により架橋されてなる粘着剤を用いると、アウトガスの発生量を抑制することが可能となり、さらに、上記官能基含有重合開始剤と官能基含有モノマーの官能基量比を特定の割合とすることで凝集力に優れることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記の(A)および(B)を含有する粘着剤組成物[I]が下記の架橋剤(B)により架橋されてなる粘着剤であって、下記の官能基含有重合開始剤(b)の有する官能基量の、酸性基以外の官能基を有するモノマー(a2)の有する官能基量に対する比〔(b)/(a2)〕が、モル比で、(b)/(a2)=0.0001〜1である粘着剤を第1の要旨とする。
(A)下記の(a1)および(a2)を含有してなる、酸性基を有する化合物を含まない共重合成分(a)を、官能基含有重合開始剤(b)の存在下で重合してなるアクリル系樹脂。
(a1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー。
(a2)酸性基以外の官能基を有するモノマー。
(B)架橋剤。
また、本発明は、支持基材の片面または両面に、上記粘着剤からなる粘着剤層が形成されてなる粘着シートを第2の要旨とする。
このように、本発明は、前記酸性基を有する化合物を含まない共重合成分(a)を、官能基含有重合開始剤(b)の存在下で重合してなる特定のアクリル系樹脂(A)および架橋剤(B)を含有してなる粘着剤組成物[I]が架橋剤(B)により架橋されてなる粘着剤である。このため、粘着物性や凝集力に優れるとともに、アウトガスの発生量が抑制され、結果、腐食による被着体の外観不良の発生が防止される。したがって、上記粘着剤を用いて支持基材に粘着剤層を形成してなる粘着シートとした場合、発生ガスに起因する動作不良や被着体の腐食による外観不良の発生が防止されることから、電子部材用途や光学部材用途に好適に用いられる。
そして、上記アクリル系樹脂の重量平均分子量が10万〜200万であると、一般的な粘着物性の確保や塗工作業性の向上効果が得られる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る粘着剤組成物[I]は、特定のアクリル系樹脂(A)と、架橋剤(B)とを用いて得られる。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸あるいはメタクリル酸を、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味する。
上記特定のアクリル系樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)および酸性基以外の官能基を有するモノマー(a2)を含有してなる、酸性基を有する化合物を含まない共重合成分(a)を用い、これらを官能基含有重合開始剤(b)の存在下で重合することにより得られる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)としては、アルキル基の炭素数が、通常1〜20、特には1〜12、さらには1〜8、殊には4〜8であることが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等があげられる。これらは単独であるいは2種以上を併せて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の中でも、共重合性、粘着物性、取り扱い易さおよび原料入手のし易さの点で、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、さらに好ましくは耐熱性に優れる点でn−ブチル(メタ)アクリレートが用いられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の含有量は、共重合成分(a)全体に対して、50〜99.9重量%であることが好ましく、特に好ましくは60〜99.8重量%、さらに好ましくは70〜99.7重量%、殊に好ましくは80〜99.6重量%である。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の含有量が多すぎると、官能基を有するモノマーの導入量が少なくなり、凝集力が不足する傾向があり、少なすぎると、粘着剤が硬くなりすぎ、タック不足となる傾向がある。
上記酸性基以外の官能基を有するモノマー(a2)としては、例えば、水酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー等があげられる。これらの中でも、酸性基以外の官能基としては、水酸基、アミノ基、アミド基およびグリシジル基から選ばれる少なくとも1種であることが架橋剤との反応性の点で好ましい。中でも特に、効率的に架橋反応ができる点で水酸基含有モノマーが好ましく用いられる。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーをあげることができる。
上記水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤との反応性に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましい。さらには、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートを使用することが、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で特に好ましい。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等があげられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等があげられる。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等があげられる。
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等があげられる。
上記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等があげられる。
これら官能基含有モノマー(a2)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記官能基含有モノマー(a2)の含有量は、共重合成分(a)全体に対して、0.1〜30重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.2〜20重量%、さらに好ましくは0.3〜10重量%、殊に好ましくは0.4〜5重量%である。上記官能基含有モノマー(a2)の含有量が多すぎると、粘着剤のガラス転移温度が高くなりすぎ製造し難くなる傾向があり、少なすぎると、凝集力が不足する傾向がある。
さらに、上記(a1)および(a2)以外の、共重合成分として、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化o−フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香環含有モノマー、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、(メタ)アクリロイルモルホリン等を用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記(a1)および(a2)以外の共重合成分の含有量は、通常、共重合成分全体に対して40重量%以下であることが好ましい。より好ましくは30重量%以下である。すなわち、上記(a1)および(a2)以外の共重合成分の含有量が多すぎると、粘着剤が硬くなり過ぎる場合があり、良好な粘着物性が得られ難くなる傾向があるからである。
上記(a1)および(a2)、さらには(a1)および(a2)以外の共重合成分を含有する、酸性基を有する化合物を含まない共重合成分(a)を所定の割合で配合し、これに官能基含有重合開始剤(b)の存在下、各種重合方法に従って共重合させることにより、アクリル系樹脂を作製することができる。上記重合方法としては、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法等があげられる。例えば、有機溶媒中に、上記共重合成分(a)および上記官能基含有重合開始剤(b)を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜98℃にて2〜20時間重合反応を行なうことによりアクリル系樹脂を作製することができる。
上記官能基含有重合開始剤(b)としては、例えば、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸(ACVA)、2,2′−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミド等のカルボキシル基含有重合開始剤、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔2−(1−ヒドロキシブチル)〕−プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕等の水酸基含有重合開始剤、アミノ基含有重合開始剤、シアノ基含有重合開始剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記官能基含有重合開始剤(b)としては、中でも、カルボキシル基含有重合開始剤、水酸基含有重合開始剤が好ましく、特にはカルボキシル基含有重合開始剤が好ましく、さらには製品の入手し易さという点から、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸(ACVA)が好ましく用いられる。また、官能基含有重合開始剤(b)としては、アゾ系の重合開始剤であることも溶剤への溶解性の点で好ましい。
上記官能基含有重合開始剤(b)の配合量としては、上記共重合成分(a)100重量部に対して、0.001〜10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.005〜5重量部、更に好ましくは0.01〜3重量部である。上記官能基含有重合開始剤(b)の配合量が多すぎると分子量が低くなりすぎ、凝集力不足となる傾向があり、少なすぎると分子量が高くなりすぎ、製造が困難になる傾向がある。
そして、上記官能基含有重合開始剤(b)の有する官能基量の、上記酸性基以外の官能基を有するモノマー(a2)の有する官能基量に対する比〔(b)/(a2)〕が、モル比で、(b)/(a2)=0.0001〜1である必要がある。特に好ましくは0.0005〜0.8、さらに好ましくは0.001〜0.5である。モル比〔(b)/(a2)〕が上記範囲を外れ小さすぎると、アクリル系樹脂(A)の分子量が高くなりすぎ、製造が困難になる傾向があり、また、モル比〔(b)/(a2)〕が上記範囲を外れ大きすぎると、アクリル系樹脂(A)の分子量が小さくなりすぎ、凝集力が不足する傾向がある。
また、上記有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等があげられ、使用するモノマーに合わせて適宜選択して用いることができる。これらの溶剤は、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
得られるアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量については、通常、10万〜200万、好ましくは20万〜180万、特に好ましくは30万〜150万である。重量平均分子量が小さすぎると、凝集力不足となる傾向があり、重量平均分子量が大きすぎると、希釈溶剤を大量に必要とし、塗工性やコストの面で好ましくない傾向となる。
上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、 カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定される。
このようにして作製されたアクリル系樹脂(A)と、架橋剤(B)とを配合することにより粘着剤組成物[I]となり、加熱等の所定の条件にて架橋処理が施され本発明の粘着剤として使用に供される。
上記架橋剤(B)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等があげられる。これらの中でも、支持基材との密着性を向上させる点やベースポリマーとの反応性の点で、イソシアネート系架橋剤が好適に用いられる。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等があげられる。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エテレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシングリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等があげられる。
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等があげられる。
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等があげられる。
上記アルデヒド系架橋剤としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等があげられる。
上記アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等があげられる。
上記金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の多金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等があげられる。
そして、これら架橋剤(B)は、単独もしくは2種以上併せて用いられる。
上記架橋剤(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましくは0.1〜2.5重量部である。上記架橋剤(B)の含有量が少なすぎると、凝集力が不足し、充分な耐久性が得られ難い傾向がみられ、逆に上記架橋剤(B)の含有量が多すぎると、柔軟性および粘着力が低下して各種用途に使用することが困難となる傾向がみられるからである。
さらに、本発明に係る粘着剤組成物[I]には、本発明の効果を損なわない範囲において、帯電防止剤、その他のアクリル系粘着剤、その他の粘着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の各種添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができる。また、上記添加剤の他にも、粘着剤樹脂組成物[I]の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。これら添加量は所望する物性が得られるように適宜設定すればよい。
なお、本発明に係る粘着剤組成物[I]としては、前記特定のアクリル系樹脂(A)を主成分とするものであることが好ましく、ここで「主成分とする」とは、上記アクリル系樹脂(A)が粘着剤組成物[I]全量に対して、通常、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含有することを意味する。なお、上限としては通常99.9重量%である。
つぎに、上記粘着剤組成物[I]を用いて粘着剤層を形成することにより粘着シートを作製することができる。すなわち、上記粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。まず、所定の厚みとなるように支持基材の片面もしくは両面に上記粘着剤組成物[I]を塗工し、加熱乾燥することにより粘着剤層を形成する。ついで、必要に応じて上記粘着剤層面に剥離シートを貼り合わせることにより粘着シートを作製することができる。また、得られた粘着シートには、必要に応じて、エージング処理を行なった後、使用時には、上記剥離シートを粘着剤層から剥離して使用に供される。このようにして、支持基材の片面もしくは両面に粘着剤層が形成され、さらにこの粘着剤層面に必要に応じて剥離シートが設けられた粘着シートが得られる。
上記支持基材としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄等の金属箔;ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂フィルムまたはシート、上質紙、グラシン紙等の紙、硝子繊維、天然繊維、合成繊維等から選択される単層体または複層体があげられる。
さらに、上記剥離シートとしては、例えば、上記支持基材で例示した各種合成樹脂シート、紙、布、不織布等に離型処理したものを使用することができる。
上記粘着剤組成物[I]の塗工に際しては、この粘着剤組成物[I]を溶剤に希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、好ましくは5〜75重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。また、上記溶剤としては、粘着剤組成物[I]を溶解させるものであればよく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンが好適に用いられる。
また、上記粘着剤組成物[I]の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法があげられる。
そして、上記加熱乾燥条件としては、粘着剤組成物[I]を乾燥させることが可能であればよく、例えば、50〜150℃で1〜5分間程度の条件があげられる。
上記エージング処理は、粘着物性のバランスをとるために行なうものであり、エージングの条件としては、温度は、通常室温(25℃±5℃)〜70℃、時間は通常1日〜30日であり、具体的には、例えば23℃で1日〜20日間、40℃で1日〜7日間等の条件で行なえばよい。
さらに、得られる粘着シートにおける粘着剤層の厚みは、通常5〜250μmが好ましく、より好ましくは5〜150μm、特に好ましくは5〜100μmである。この粘着剤層の厚みが薄すぎると粘着物性が安定しにくい傾向があり、厚すぎると乾燥が困難となり、アウトガス量が増加する傾向がある。
このようにして得られる粘着シートの厚みは、用途に応じ適宜設定されるが、例えば、30〜300μmの範囲に設定することが好ましい。また、支持基材の厚みは、15〜125μmの範囲に設定することが好ましい。
本発明における粘着シートの利用に際し、被着体の種類として、例えば、各種金属面を有する物品;ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、シートまたは板があげられる。
上記金属面を有する物品としては、金属面を有しており、この金属面に、直接、上記粘着シートが、少なくとも部分的に(部分的にまたは全面的に)貼り合わせられている。このような金属面を有する物品において、上記粘着シートが貼り合わせられる被着体(「金属面含有被着体」と称する場合がある)としては、少なくとも部分的に金属面を有していれば特に制限されない。このような金属面含有被着体において、金属面が形成されている部位は、上記粘着シートを直接貼付することが可能な部位であれば特に制限されず、外側の面であってもよく、また、内側の面等であってもよい。なお、1つの金属面含有被着体に金属面が複数形成されている場合、これらの複数の金属面は同一の金属材料により形成された面であってもよく、異なる金属材料により形成された面であってもよい。
上記金属面含有被着体における金属面は、金属材料により形成された金属面含有被着体の表面であってもよく、また各種材料により形成された基材(または構造体)の表面に形成された金属層表面(特に、金属薄膜層表面)であってもよい。上記金属面は、いずれにせよ、金属材料による表面であればよい。
上記金属薄膜層等の金属層は、各種材料により構成された基材(または構造体)の表面の所定の部位に形成することができる。このような金属層において、金属薄膜層の厚みとしては、金属面含有被着体の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上であってもよい。なお、金属薄膜層の厚みの上限としては、一般的に薄膜層とみなされる厚みであれば特に制限されない。
上記金属面を形成するための金属材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、銅、鉄、チタン、白金、ニッケル等の金属単体による金属材料;金合金(例えば、金−銅合金等)、銅合金〔例えば、銅−亜鉛合金(真鍮)、銅−アルミニウム合金等〕、アルミニウム合金(例えば、アルミニウム−モリブデン合金、アルミニウム−タンタル合金、アルミニウム−コバルト合金、アルミニウム−クロム合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−白金合金等)、ニッケル合金(例えば、ニッケル−クロム合金、銅−ニッケル合金、亜鉛−ニッケル合金等)、スズ合金、ステンレス等の各種合金による金属材料等があげられる。これら金属材料は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、金属材料は、金属元素のみを含有する金属材料であってもよく、金属元素とともに非金属元素を含有する金属材料〔例えば、金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物(塩化物等)、オキソ酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等)等の金属系化合物〕であってもよい。
具体的には、上記金属面含有被着体としては、例えば、少なくとも部分的に金属面(金属薄膜層面等)を有している窓材またはこの窓材を構成するための部材や、金属薄膜層により形成された電磁波シールド層を有する光学的製品またはこの光学的製品を構成するための部材等があげられる。上記電磁波シールド層を有する光学的製品としては、例えば、電子ディスプレイ(プラズマディスプレイ等)等の光学機器や、デジタル万能ディスク等の光学的に記録可能なディスク(光学的記録ディスク)等があげられる。
また、本発明の粘着剤は、コンピュータ、携帯電話、薄型テレビ等各種電子部材、精密電子部材に貼り合せて用いられる情報ラベルや電子部材の固定用の光学部材、電子基板等の一時表面保護用粘着剤として用いることも可能である。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
〔実施例1〕
「アクリル系樹脂溶液の調製」
温度計、攪拌機、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた反応器内に酢酸エチル40部を仕込み、攪拌しながら昇温し、78℃とした。ついで、これに、ブチルアクリレート88部、メチルアクリレート10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート2部に、官能基含有重合開始剤として4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸(ACVA)0.12部を溶解させた混合物を2時間にわたって滴下した。さらに、重合途中に、酢酸エチル10部にACVA0.01部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチルで希釈して、アクリル系樹脂〔重量平均分子量(Mw)85万〕の35%溶液を作製した。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定に関しては、前述の方法に従って測定した。
つぎに、上記アクリル系樹脂溶液に55%のイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、コロネートL55E)を3部添加して粘着剤組成物を調製した。
〔実施例2、比較例1〜3〕
後記の表1に示すモノマー成分(共重合成分)および重合開始剤を同表に示す配合量で用いた。それ以外は実施例1と同様にしてアクリル系樹脂の35%溶液を作製した。また、各アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)を前述の方法に従って測定し、その結果を後記の表1に併せて示す。
つぎに、上記アクリル系樹脂溶液に55%のイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、コロネートL55E)を3部添加して粘着剤組成物を調製した。
このようにして得られた粘着剤組成物を用い、下記の方法に従って特性評価(粘着力、アウトガス量、凝集力)を行なった。その結果を後記の表1に併せて示す。
「粘着シートの作製」
支持基材として、厚み25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(パナック社製、ルミラーT−25)を用いた。一方、剥離シートには、厚み25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(パナック社製、SEPA100)を用いた。そして、上記支持基材の片面に、乾燥後の厚みが25μmとなるように、アプリケーターを用いて上記粘着剤組成物を塗布し、100℃で2分間加熱乾燥させて粘着剤層を形成した。ついで、この粘着剤層面に上記剥離シートを貼り合わせることにより粘着シートを作製した。
〔粘着力〕
各粘着シートを裁断して、25mm×120mmの大きさの試験片を作製し、この試験片から剥離シートを剥がした後、被着体としてのステンレス板に2kgのローラーを1往復させる方法で圧着した。そして、24時間放置後、23℃×50%RHの雰囲気下、剥離速度0.3m/minでの180°剥離力を測定し、これを粘着力とした。
〔アウトガス量〕
上記粘着シートに形成された粘着剤層から各粘着剤20cm2を採取し、バイアル瓶に入れて密封した後に、120℃で1時間加熱した際のガス1mlをガスクロマトグラフィー(GC)測定に供した。なお、ヘッドスペース法ガスクロマトグラフィー/質量分析測定(HS−GC/MS)から各ピークの定性分析を行なった。つぎに、既知の濃度のデカンを含むアセトン溶液1μlを供して、同様にヘッドスペース法ガスクロマトグラフィー測定(HS−GC)を行い、これにより検量線を作成した。得られた検量線に基づいて、各粘着剤のヘッドスペース法ガスクロマトグラフィー測定(HS−GC)の各ピークからアウトガス量(ng/cm2)を求めた。
〔凝集力〕
JIS Z 2037に準拠し、各粘着シートから剥離シートを剥がした後、これをステンレス板に25×25mmの面積が接する様に貼り付け、温度40℃の条件で1kg荷重を掛け、24時間後のズレの有無を目視により観察し、下記に示す基準にて評価した。
○:ズレが全く確認されなかった。
×:ズレが確認された。
Figure 2011202125
上記結果から、実施例品は、適度な粘着力を有しながら、アウトガス量が少なく、アウトガスの発生が効果的に抑制されていることがわかる。さらに、凝集力に関してもズレが見られず問題のないものであった。
これに対して、官能基含有重合開始剤であるACVAの有する官能基量の、HEAの有する官能基量に対する比が2.48と特定の範囲を大きく外れた配合となる比較例1品は、アウトガスの発生は少なかったが、凝集力の評価においてズレが確認され、粘着剤としての使用に劣るものであった。また、重合開始剤として従来から一般的に用いられているAIBNを用いた比較例2,3品は、粘着力および凝集力とも問題はなかったが、アウトガスの発生量が多かった。特に、モノマー成分としてアクリル酸を用いた比較例3品は、AIBNの残存成分とともに、アクリル酸(Aac)の使用により生じた他の構成成分の加水分解による揮発成分の形成により、より多くのアウトガスが発生した。
本発明の粘着剤は、粘着シートの粘着剤層形成材料等として各種用途に用いられる。そして、上記粘着剤を用いて、支持基材面に粘着剤層を形成してなる粘着シートは、情報ラベルや電子部材の固定シート等に有用である。

Claims (6)

  1. 下記の(A)および(B)を含有する粘着剤組成物[I]が下記の架橋剤(B)により架橋されてなる粘着剤であって、下記の官能基含有重合開始剤(b)の有する官能基量の、酸性基以外の官能基を有するモノマー(a2)の有する官能基量に対する比〔(b)/(a2)〕が、モル比で、(b)/(a2)=0.0001〜1であることを特徴とする粘着剤。
    (A)下記の(a1)および(a2)を含有してなる、酸性基を有する化合物を含まない共重合成分(a)を、官能基含有重合開始剤(b)の存在下で重合してなるアクリル系樹脂。
    (a1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー。
    (a2)酸性基以外の官能基を有するモノマー。
    (B)架橋剤。
  2. 上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が10万〜200万である請求項1記載の粘着剤。
  3. 上記酸性基以外の官能基を有するモノマー(a2)の有する官能基が、水酸基、アミノ基、アミド基およびグリシジル基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の粘着剤。
  4. 上記官能基含有重合開始剤(b)の含有する官能基が、カルボキシル基または水酸基である請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤。
  5. 上記官能基含有重合開始剤(b)が、アゾ系重合開始剤である請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着剤。
  6. 支持基材の片面または両面に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着剤からなる粘着剤層が形成されてなる粘着シート。
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