JP2011202057A - ポリシルセスキオキサン化合物、光素子封止材及びその用途 - Google Patents

ポリシルセスキオキサン化合物、光素子封止材及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】ガス透過性が低いポリシルセスキオキサン化合物及び光素子封止材を提供する。
【解決手段】式(A)で表される繰り返し単位を有するラダー型構造のポリシルセスキオキサン化合物であって、式(A)においてR1〜R8は、同一又は異なって、炭素数3〜8のアルキル基;アミノ基およびグリシドキシ基からなる置換基群より選択される任意の基で置換された炭素数3〜8のアルキル基;又は脂環式の置換基を示し、R9およびR10は、同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基;アミノ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基;オキサシクロプロピル基;又は脂環式の置換基を示し、ただし、R1〜R10は、化合物内にアミノ基、グリシドキシ基およびオキサシクロプロピル基が同時に存在することがないように選択され、nおよびmは、同一又は異なって、1以上21以下の奇数を表し、lは1以上の整数を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガス透過性が低いポリシルセスキオキサン化合物、このポリシルセスキオキサン化合物を含む光素子封止材に関する。
光素子には、半導体レーザーや発光ダイオード(LED)等における発光素子、受光素子、複合光素子、光集積回路等がある。このような光素子は、発光または受光の効率を改善することが求められている。
例えば、LEDにおいては、光取り出し効率を高めるために、光半導体素子に電気的に接続している金属電極の少なくとも一部に、光反射材としての機能を持たせる場合がある。具体的には、LEDの場合、電極の表層に銀メッキを施したものが使用されることが多い。銀メッキは、反射率が高いことから、発光素子から発生した光を良好に外部へ取り出すことができる。
ところが、金属には、空気中に微量に含まれる水蒸気や酸化性のガス、あるいは樹脂封止材中に含まれる反応性物質によって変色、黒色化し、その光沢が失われて反射率が低下するという欠点がある。そのため、LED等において光反射材としての機能を兼ねる電極についても、銀メッキ部の変色、黒色化を抑制することが課題として挙げられている。
この課題を解決すべく、特許文献1には、封止材と接する金属電極の表面の一部または全部に酸化イットリウム等の金属酸化物や窒化シリコン等の窒化物からなる保護膜を設けることにより、封止材と金属電極との反応を防ぐことが提案されている。しかし、この方法では、金属酸化物や窒化物からなる薄膜を気相法、液相法、スパッタ法などにより金属電極上に形成する工程が必要になり、LED等の製造工程を複雑化してしまう。
そこで、このような保護膜を形成することなく銀メッキ部の変色、黒色化を抑制する方法として、封止材自体に金属電極との反応を抑制する機能を持たせることが考えられる。
LEDに一般的に用いられる封止材として、エポキシ樹脂系封止材とシリコーン系封止材が知られている。しかしながら、エポキシ樹脂系封止材は低波長の光に対する耐久性の点で問題がある。一方、シリコーン系封止材は耐久性に優れ、樹脂自体はほとんど変色しないものの、ガス透過性が高いことが知られている(特許文献2)。ガス透過性が高いと、水蒸気や酸化性のガスに曝された場合に、これらが封止材の内部に拡散して金属電極表面に到達し、銀メッキ部を変色、黒色化してしまう。
特開2007−109915号公報 特開2004−2783号公報
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、ガス透過性が低いポリシルセスキオキサン化合物及び低ガス透過性光素子封止材を提供する。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、後述する式(A)で表される構造を有するラダー型シルセスキオキサン化合物がガス透過性の点で著しく優れること、すなわちガス透過性が低いことを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明によれば、次のポリシルセスキオキサン化合物、光素子封止材、および発光デバイスが提供される。
(1)以下の式(A)で表される繰り返し単位を有するラダー型構造のポリシルセスキオキサン化合物:
Figure 2011202057
式(A)中、
R1〜R8は、同一又は異なって、炭素数3〜8のアルキル基;アミノ基およびグリシドキシ基からなる置換基群より選択される任意の基で置換された炭素数3〜8のアルキル基;又は脂環式の置換基を示し、
R9およびR10は、同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基;アミノ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基;オキサシクロプロピル基;又は脂環式の置換基を示し、
ただし、R1〜R10は、化合物内にアミノ基、グリシドキシ基およびオキサシクロプロピル基が同時に存在することがないように選択され、
nおよびmは、同一又は異なって、1以上21以下の奇数を表し、かつ
lは1以上の整数を表す。
(2)式(A)中、R1〜R8は、同一又は異なって、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アミノプロピル基、グリシドキシプロピル基、又はフェニル基を示し、R9およびR10は、同一又は異なって、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アミノメチル基、オキサシクロプロピル基又はフェニル基を示す、上記(1)のポリシルセスキオキサン化合物。
(3)上記(1)又は(2)のポリシルセスキオキサン化合物を含む光素子封止材。
(4)蛍光体を含有する上記(3)の光素子封止材。
(5)上記(3)又は(4)の光素子封止材と、当該光素子封止材により封止された発光素子とを有する発光デバイス。
本発明のポリシルセスキオキサン化合物は、水蒸気や酸化性ガスの透過を抑制することができる。そのため、当該ポリシルセスキオキサン化合物を光素子封止材に用いると、これによって封止される金属電極の表面に水蒸気や酸化性ガスが到達することを抑制でき、その結果、金属電極表面の変色、黒色化が抑制され、金属電極の光反射材としての機能劣化を低減することができる。また、当該光素子封止材により封止された発光素子を有する発光デバイスは、輝度が劣化しにくく、長期間にわたる製品寿命を確保することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
<ポリシルセスキオキサン化合物>
本発明のポリシルセスキオキサン化合物は、式(A)で表される繰り返し単位:
Figure 2011202057
を有するラダー型構造のポリシルセスキオキサン化合物である。
式(A)において、R1〜R8は、同一又は異なって、炭素数3〜8のアルキル基;アミノ基およびグリシドキシ基からなる置換基群より選択される任意の基で置換された炭素数3〜8のアルキル基;又は脂環式の置換基を示す。好ましくは、R1〜R8は、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アミノプロピル基、グリシドキシプロピル基又はフェニル基を示す。さらに好ましくは、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、又はフェニル基を示し、特に好ましくは、イソプロピル基又はイソブチル基を示す。
式(A)において、R9およびR10は、同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基;アミノ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基;オキサシクロプロピル基;又は脂環式の置換基を示す。好ましくは、R9、R10はメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アミノメチル基、オキサシクロプロピル基又はフェニル基を示す。さらに好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、又はフェニル基を示し、特に好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はイソブチル基を示す。
ただし、R1〜R10は、ポリシルセスキオキサン化合物の分子内に、アミノ基、グリシドキシ基およびオキサシクロプロピル基が同時に存在することがないように選択される。ポリシルセスキオキサン化合物内にアミノ基、グリシドキシ基およびオキサシクロプロピル基が同時に存在すると、後に述べるヒドロシリル化反応のときに、同時にアミノ基とグリシドキシ基又はオキサシクロプロピル基が反応してしまい、式(A)に示すような構造体を得ることが困難となる場合がある。
式(A)において、nおよびmは、同一又は異なって、1以上21以下、より好ましくは1以上9以下の奇数を表す。nおよびmがこの数値範囲内であれば、生産性の点で好適である。
式(A)において、lは1以上の整数を表す。lは、後述する式(C)に示されるビニル基含有化合物と式(D)に示されるSi−H基含有化合物の配合量によって変動し、適宜調節することができる。
<n、mが1である場合のポリシルセスキオキサン化合物の製造方法>
以下に、n、mが1である場合について、式(A)に示したポリシルセスキオキサン化合物の製造方法を各製造段階に分けて説明する。
[1.式(B)で示される化合物とその製造方法]
ポリシルセスキオキサン化合物の前駆体として、R1〜R8の置換基を有するシラン化合物を加水分解反応させ、下記式(B)で示される化合物を製造する。
Figure 2011202057
R1〜R8の置換基を有するシラン化合物としては、イソプロピルトリクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、t−ブチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロオクチルトリクロロシラン、又はフェニルトリクロロシラン等のクロロシラン類、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロオクチルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン又はフェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類がある。これらの中でも、取り扱い容易性等の観点から、イソプロピルトリクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシランが好ましい。これらシラン化合物は、単体又は複数種の組み合わせであってもよい。
R1〜R8の置換基を有するシラン化合物がクロロシラン類である場合に、これを加水分解反応するには、使用するクロロシランを有機溶媒に相溶させ、それを水に加える。有機溶媒としては、アセトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等があり、好ましくはアセトンである。有機溶媒の使用量は、水100モルに対して0.5〜5モル、好ましくは1〜3モルの範囲であり、水の使用量は、クロロシラン1モルに対して250〜600モル、好ましくは350〜500モルである。加水分解反応温度は、0℃〜常温の範囲である。反応時間は、1〜7日である。反応終了後は、ろ過、乾燥を行うことにより、式(B)に示される化合物を得ることができる。
R1〜R8の置換基を有するシラン化合物がアルコキシシラン類である場合に、これを加水分解反応するには、2工程で行う。第1工程として、使用するアルコキシシランを、水、有機溶媒、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム中に加える工程を採用する。第2工程として、第1工程の生成物をろ過、乾燥したものを、有機溶媒と酢酸又は塩酸に加える工程を採用する。
〔第1工程〕
アルコキシシラン類を加水分解反応する際に用いる有機溶媒としては、ヘキサン、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール等がある。有機溶媒の使用量は、特に規定はないが、使用するアルコキシシランの体積に対して5倍以上の体積であればよい。水の使用量は、使用するアルコキシシランと等モルであり、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの使用量もアルコキシシランと等モルである。反応温度は常温であり、時間は12〜48時間で終了する。反応終了後は、ろ過、乾燥する。ここで得られる粉末は、ナトリウム塩又はカリウム塩である。
〔第2工程〕
第2工程で使用する有機溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等がある。反応温度は0℃〜常温であり、反応時間は1〜3時間である。酢酸の使用量は、上述で得られたナトリウム塩又はカリウム塩1モルに対して4〜6モルである。反応終了後は、スラリー状になっているので、有機溶媒、水を添加して、抽出、洗浄を行い、有機相を取り出し、有機相を乾燥する。乾燥後、有機相を留去して、結晶が得られる。使用する有機溶媒は、上述した反応で得られる生成物を溶解できるものを選択する。得られた結晶は、この結晶を溶解できる有機溶媒と溶解できない有機溶媒を用いて、再結晶化し、ろ過、乾燥を行い、式(B)で示した化合物を得ることができる。
[2.式(C)で示される化合物とその製造方法]
上記式(B)で示される化合物に、R9の置換基とビニル基とを有するジクロロシラン化合物(以下「ジクロロビニルR9シラン」と言う)を反応させて、下記式(C)で示される化合物を製造する。
Figure 2011202057
ジクロロビニルR9シランとしては、ジクロロビニルメチルシラン、ジクロロビニルエチルシラン、ジクロロビニルn−プロピルシラン、ジクロロビニルn−ブチルシラン、ジクロロビニルイソプロピルシラン、ジクロロビニルイソブチルシラン、ジクロロビニルt−ブチルシラン、ジクロロビニルシクロペンチルシラン、ジクロロビニルシクロヘキシルシラン、ジクロロビニルシクロオクチルシラン、ジクロロビニルアミノメチルシラン、ジクロロビニルオキサシクロプロピルシラン又はジクロロビニルフェニルシラン等がある。これらの中でも、取り扱い容易性等の観点からジクロロビニルメチルシラン、ジクロロビニルエチルシラン、ジクロロビニルイソプロピルシラン、ジクロロビニルイソブチルシランが好ましい。
式(C)で示される化合物は、上記式(B)で示される化合物とジクロロビニルR9シランとを有機溶媒中で反応させることによって製造される。この製造時における反応温度は0℃〜常温であり、反応時間は3〜24時間である。
ジクロロビニルR9シランの使用量は、式(B)で示される化合物1モルに対して2モルである。有機溶媒としては、ピリジン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン等がある。好ましくはピリジンである。ピリジンは、反応中に発生する塩化水素を塩酸塩として分離できるからである。
反応終了後、有機溶媒を留去して固形物を得る。この固形物を飽和塩化アンモニウム水溶液と有機溶媒で洗浄し、抽出する。抽出したものは有機溶媒に溶解したままである。溶解したままの抽出物を乾燥し、有機溶媒を留去して、式(C)で示される化合物を得る。洗浄、抽出に用いる有機溶媒は、反応終了後に得られる固形物が溶解するものであればよく、非水溶性溶媒が好ましい。この溶媒は、後工程で留去するため沸点が低いほうが望ましい。
[3.式(D)で示される化合物とその製造方法]
上記式(B)で示される化合物に、R10の置換基を有するジクロロシラン化合物(以下「ジクロロR10シラン」と言う)を反応させて、下記式(D)に示される化合物を製造する。
Figure 2011202057
ジクロロR10シランとしては、ジクロロメチルシラン、ジクロロエチルシラン、ジクロロn−プロピルシラン、ジクロロn−ブチルシラン、ジクロロイソプロピルシラン、ジクロロイソブチルシラン、ジクロロt−ブチルシラン、ジクロロシクロペンチルシラン、ジクロロシクロヘキシルシラン、ジクロロシクロオクチルシラン、ジクロロアミノメチルシラン、ジクロロオキサシクロプロピルシラン又はジクロロフェニルシラン等が挙げられる。これらの中でも、取り扱い容易性等の観点からジクロロメチルシラン、ジクロロエチルシラン、ジクロロイソプロピルシラン、ジクロロイソブチルシランが好ましい。
式(D)で示される化合物は、上記式(B)で示される化合物とジクロロR10シランとを有機溶媒中で反応させて製造する。この反応には、上記式(C)で示される化合物の製造方法と同様の方法を用いることができる。
[4.式(A)で示されるポリシルセスキオキサン化合物(n、m=1)の製造方法]
上記方法によって得られた式(C)および式(D)で示される化合物を、白金族金属系ヒドロシリル化触媒で硬化反応させ、式(A)に示されるポリシルセスキオキサン化合物を製造する。
式(C)で示される化合物と式(D)で示される化合物の配合比は、式(C)で示される化合物のビニル基の当量:式(D)で示される化合物のSi−H基のHの当量=1:1〜1:1.5、好ましくは1:1.1〜1:1.3である。配合比がこの範囲から外れると、得られる式(A)で示されるポリシルセスキオキサン化合物の硬化物が、熱、UV光等で変色する場合がある。
式(A)で示されるポリシルセスキオキサン化合物は、式(C)で示される化合物中のビニル基と式(D)で示される化合物中のSi−H基をヒドロシリル化触媒を用いて硬化させて得られる。硬化は、50〜180℃、好ましくは70〜150℃で加熱して行う。加熱時間は、0.5〜15時間、特に1〜10時間が好ましい。得られる硬化物は、無色透明である。
白金族金属系ヒドロシリル化触媒としては、ビニル基とSi−H基とのヒドロシリル化付加反応を促進するものが好ましく、単種又は2種以上の併用であってもよい。白金族金属系ヒドロシリル化触媒の具体例としては、白金族金属、白金族金属化合物があり、好ましくは白金族金属化合物である。白金族金属としては、白金、ロジウムがある。白金族金属化合物としては、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムがある。
ヒドロシリル化触媒の配合量は、触媒としての有効量でよく、式(C)で示される化合物と式(D)で示される化合物の合計質量に対して白金族金属元素の質量換算で0.1〜1000ppmの範囲であり、好ましくは1〜500ppmの範囲である。配合量がこの範囲内にあると、付加反応が十分に促進されやすく、また、硬化が十分となりやすく、更に、該配合量の増加に応じて付加反応の速度が向上しやすいので、経済的にも有利となりやすい。
ポリシルセスキオキサン化合物を製造する際に、発明の目的を損なわない範囲で、付加反応制御剤、酸化防止剤、光安定剤及びシランカップリング剤等を配合することができる。
付加反応制御剤を配合することによって、式(C)で示される化合物および式(D)で示される化合物にヒドロシリル化触媒を配合した後のポットライフを確保することができる。付加反応制御剤は、ヒドロシリル化触媒に対して硬化抑制効果を有する化合物であればよい。具体的には、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレンアルコール類(例えば、1−エチニルシクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール)等のアセチレン系化合物;アルケニル基を2個以上含む化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体がある。付加反応制御剤による硬化抑制効果は、その付加反応制御剤の化学構造によって異なる。よって、採用する付加反応制御剤に応じて、添加量を調整することが好ましい。最適な量の付加反応剤を添加することにより、室温で長期保存安定性及び加熱硬化性に優れたものとなる。
また、酸化防止剤を配合することによって、生成される式(A)で示されるポリシルセスキオキサン化合物の着色、白濁、酸化劣化等の発生を抑えることができる。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールがある。
さらに、光安定剤を配合することによって、光劣化に対する抵抗性を付与することができる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤等がある。
また、シランカップリング剤を配合することによって、光素子を封止するときのパッケージ材とその他の材料に対する密着性を向上させることができる。シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロリルトリエトキシシラン等がある。
<n、mが1より大きい場合のポリシルセスキオキサン化合物の製造方法>
以下、n、mが1より大きい場合の例として、n、mが3である式(A)に示したポリシルセスキオキサン化合物の製造方法を説明する。
この方法では、まず、以下の式(E)で示される化合物を準備する。
[1.式(E)で示される化合物とその製造方法]
Figure 2011202057
式(E)のR11、R12は、上記R1〜R8と同様の基を示す。
式(E)で示される化合物を製造するには、5工程で行う。
〔第1工程〕
フェニルトリクロロシランを有機溶媒中で、R11(R12)マグネシウムクロリドと反応させる。この反応に用いる有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等がある。有機溶媒の使用量は、特に規定はないが、使用するフェニルトリクロロシランの体積に対して5倍以上の体積であればよい。反応温度は、R11(R12)マグネシウムクロリドを添加している時は0℃とし、添加終了後は常温及び還流温度とする。反応の終点は、ガスクロマトグラフによって確認する。
〔第2工程〕
上述で得られた生成物に、水素化リチウムアルミニウムを少量ずつ添加して、反応させる。水素化リチウムアルミニウムの使用量は、生成物1モルに対して0.5〜1モルである。反応温度は0℃とし、ガスクロマトグラフで反応が確認できたらメタノールを添加し、その後濃縮する。濃縮したものに有機溶媒と氷水を添加、攪拌し、水相を有機溶媒で抽出し、有機相を水で洗浄する。抽出物が溶解している有機溶媒を乾燥する。乾燥後、濃縮、減圧蒸留を行う。使用する有機溶媒は、非水溶性で生成物が溶解するものでよく、好ましくは、濃縮、減圧蒸留を効率的に行うために、沸点の低いものが良い。
〔第3工程〕
塩化第2銅と有機溶媒に、第2工程で得られた生成物を添加し、攪拌する。そこにヨウ化銅を添加する。反応の確認は、ガスクロマトグラフで行う。反応確認後、シュレンクろ過、濃縮を行う。この反応は、常温で行う。塩化第2銅の使用量は、第2工程で得られた生成物1モルに対して、2倍モル、ヨウ化銅の使用量は、第2工程で得られた生成物1モルに対して、0.05倍モルである。有機溶媒としては、ジエチルエーテル等、非水溶性で沸点が低いものが良い。使用量は、特に規定はないが、第2工程で得られた生成物の体積に対して5倍以上の体積であればよい。
〔第4工程〕
水と有機溶媒の混合液に、第3工程で得られた生成物を添加し、常温にて攪拌し、反応させる。このとき発熱を伴う。発熱が収まり、常温に戻ったところでガスクロマトグラフにて反応を確認する。確認後、水と有機溶媒を添加し、水相を有機溶媒で抽出し、有機相を水で洗浄する。抽出物が溶解している有機溶媒を乾燥する。乾燥後、ショートカラムでろ過し、ろ液を濃縮、減圧蒸留を行う。前記混合液に使用する有機溶媒は、第3工程で得られた生成物及び第4工程で得られる生成物を溶解することができ、非水溶性で沸点が低いものが良い。水と有機溶媒の割合は、体積で1:1であり、水と有機溶媒の使用量は、第3工程で得られた生成物の体積に対して2倍以上の体積であればよい。抽出に使用する有機溶媒は、第4工程で得られる生成物を溶解することができ、非水溶性で沸点が低いものが良い。
〔第5工程〕
常温にて、四塩化炭素に塩化パラジウムを添加し、そこに、第4工程で得られた生成物を滴下し、反応させる。このとき発熱を伴う。発熱が収まり、常温に戻ったところでガスクロマトグラフにて反応を確認する。確認後、濃縮、減圧蒸留を行い、式(E)で示した化合物を得ることができる。
[2.式(A)で示されるポリシルセスキオキサン化合物(n、m=3)の製造方法]
上記方法によって得られた式(E)で示される化合物と、上記式(B)で示される化合物とを有機溶媒中で反応させる。
式(E)で示される化合物の使用量は、式(B)で示される化合物1モルに対して2モルである。有機溶媒としては、ピリジン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン等がある。好ましくはピリジンである。ピリジンは、反応中に発生する塩化水素を塩酸塩として分離できるからである。
係る反応時の反応温度は0℃〜常温であり、反応時間は5〜24時間である。反応終了後は、有機溶媒を留去し、これを水と有機溶媒で洗浄、抽出する。抽出物は有機溶媒に溶解しているので、乾燥し、有機溶媒を留去する。洗浄、抽出に用いる有機溶媒としては、反応終了後に得られる固形物が溶解するものであれば良く、非水溶性溶媒が好ましい。この溶媒は、後工程で留去するため沸点が低いほうが望ましい。
次に、有機溶媒中で塩化水素ガスをバブリングさせながら、上記生成物を無水塩化アルミニウムと反応させる。使用する有機溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系のものがある。無水塩化アルミニウムの使用量は、生成物1モルに対して2〜4モルである。反応温度は0℃〜常温であり、反応時間は1〜3時間である。反応終了後、水を無水塩化アルミニウム1モルに対して8モル添加する。その後、不活性ガスを30分以上バブリングし、ろ過する。ろ液を、飽和塩化アンモニウム水溶液と有機溶媒で洗浄、抽出する。抽出物は有機溶媒に溶解している。有機溶媒に溶解している抽出物を乾燥し、有機溶媒を留去する。
有機溶媒を留去した生成物1モルに対して、4モルの水と4モルのピリジンとを、非水溶性有機溶媒中で反応させる。反応温度は0℃〜常温であり、反応時間は2〜10時間である。反応終了後は、飽和塩化アンモニウム水溶液と非水溶性有機溶媒で洗浄、抽出する。抽出物は前述の非水溶性有機溶媒に溶解している。非水溶性溶媒としては、有機溶媒を留去した生成物が溶解するものでよく、好ましくは、後工程で留去するため沸点の低いものが良い。
非水溶性有機溶媒に溶解した抽出物を乾燥し、有機溶媒を留去することにより、上記式(A)においてn、mが3である場合の前駆体に相当する以下の式(F)で示される化合物を得る。n、mが3より大きい場合は、上述した方法を繰り返す。
Figure 2011202057
次いで、n、mが1である場合と同様に、式(F)で示される前駆体化合物を、ジクロロビニルR9シランおよびジクロロR10シランとそれぞれ反応させて、上記式(C)および(D)に対応する化合物を製造し、これらを白金族金属系ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることにより、式(A)に示されるポリシルセスキオキサン化合物が製造される。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例の記載内容に限定されるものではない。
ここでは、ポリシルセスキオキサン化合物の製造例および実施例を示すと共に、その硬化物のガス透過性および光透過性について市販のシリコーン系封止材及びエポキシ樹脂系封止材と比較する。
[製造例1]クロロシラン類からの式(B)で示される化合物(式(A)で示される化合物の前駆体)の製造
攪拌子を入れた1000mlの三口フラスコに、水800mlを入れ、氷浴にて5℃まで冷却し、そこに攪拌しながらイソブチルトリクロロシラン(東京化成工業製)20gをアセトン(国産化学社製)40mlに相溶させた溶液を滴下ロートで添加した。添加後、5℃の状態で1日反応させ、その後、常温で5日間反応させた。反応終了後、吸引ろ過して、白色の結晶を得た。
[製造例2]アルコキシシラン類からの式(B)で示される化合物(式(A)で示される化合物の前駆体)の製造
〔第1工程〕
攪拌子を入れた500mlの三口フラスコに、ヘキサン(和光純薬社製)140ml、水酸化ナトリウム(和光純薬社製)5.61g(0.14mol)、水2.52g(0.14mol)を入れ、常温で攪拌しながらイソブチルトリメトキシシラン(アルドリッチ製)26.8ml(0.14mol)を滴下ロートで添加した。添加後、常温で48時間反応させた。反応後、吸引ろ過して、白色のナトリウム塩の粉末を得た。
〔第2工程〕
攪拌子を入れた500mlのナス型フラスコに、ジエチルエーテル(アルドリッチ社製)150ml、酢酸(和光純薬社製)4.32g(0.072mol)を入れ、常温で攪拌しながらナトリウム塩10g(0.018mol)を0.5gずつ添加した。添加後、常温で2時間反応させた。反応後はスラリー状であった。そこに水を100ml添加して、攪拌、洗浄を30分行い、有機相を取り出し、もう一度水を50ml添加して、攪拌、洗浄を30分行い、有機相を取り出し、無水硫酸マグネシウム(和光純薬社製)を添加し、乾燥した。乾燥後、有機相をエバポレーターで留去して、結晶が得られた。この結晶が溶解するまで、ジエチルエーテルを添加し、次に結晶が僅かに析出するまでヘキサンを添加して、それを冷凍庫に2時間入れた。2時間後、析出した結晶を、ろ過、乾燥を行い、白色の結晶を得た。
[製造例3]R9がメチル基の場合の式(C)で示される化合物の製造
攪拌子を入れた300mlの三口フラスコに、製造例1又は製造例2で得られた結晶5g(0.01mol)、ピリジンを140g入れ、三口フラスコ内に窒素を流しながら、常温で攪拌しながらジクロロビニルメチルシラン(東京化成工業社製)2.99g(0.02mol)を滴下ロートで添加した。添加後、20時間反応させた。反応後、エバポレーターでピリジンを留去し、固形物が得られた。その固形物に飽和塩化アンモニウム水溶液を150mlとヘキサン50mlを添加し、30分攪拌した。攪拌後、有機相を取り出し、そこに飽和塩化アンモニウム水溶液を150ml添加して、30分攪拌した。これを3回繰り返した。繰り返し、取り出した有機相に無水硫酸マグネシウムを15g添加して、3時間乾燥を行った。その後、有機相をエバポレーターで留去し、無色透明な液体を得た。下記結果により、R9がメチル基の式(C)で示される化合物であることを確認した。
H NMR(300MHz,CDCl) δ=0.24−0.32(m,6H),0.66−0.72(m,8H),0.98−1.12(m,24H),1.89−1.95(m,4H),5.86−6.12(m,6H).
29Si NMR(99.25MHz,CDCl) δ=−55.29−−55.05(m),−22.49−−22.05(m).
MS(70eV)m/z(%)551(M−i−Bu,100),537(35),495(19),439(12),383(26).
IR(KBr)3057,3018,2955,2930,2907,2872,1597,1466,1406,1383,1367,1333,1259,1229,1057,1018,962,837,815,787,744,694,528cm−1
[製造例4]R10がエチル基の場合の式(D)で示される化合物の製造
攪拌子を入れた300mlの三口フラスコに、製造例1又は製造例2で得られた結晶5g(0.01mol)、ピリジンを140g入れ、三口フラスコ内に窒素を流しながら、常温で攪拌しながらジクロロエチルシラン(東京化成工業社製)2.73g(0.02mol)を滴下ロートで添加した。添加後、20時間反応させた。反応後、エバポレーターでピリジンを留去し、固形物が得られた。その固形物に飽和塩化アンモニウム水溶液を150mlとヘキサン50mlを添加し、30分攪拌した。攪拌後、有機相を取り出し、そこに飽和塩化アンモニウム水溶液を150ml添加して、30分攪拌した。これを3回繰り返した。繰り返し、取り出した有機相に無水硫酸マグネシウムを15g添加して、3時間乾燥を行った。その後、有機相をエバポレーターで留去し、無色透明な液体を得た。次の結果により、R10がエチル基の式(D)で示される化合物であることを確認した。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=0.65(br),0.98(br),1.88(br,4H),4.73(br,2H).
MS(70eV)m/z(%) 527(M−i−Bu,100),555(M−Et,23),471(9),359(15).
IR(KBr)2955,2935,2907,2878,2627,2162,1466,1400,1383,1367,1333,1231,1097,1068,1040,1011,970,860,837,771,744,712cm−1
[製造例5]R10がイソブチル基の場合の式(D)で示される化合物の製造
攪拌子を入れた300mlの三口フラスコに、製造例1又は製造例2で得られた結晶5g(0.01mol)、ピリジンを140g入れ、三口フラスコ内に窒素を流しながら、常温で攪拌しながらジクロロイソブチルシラン(Gelest社製)3.33g(0.02mol)を使用する以外、製造例4と同一操作で、無色透明な液体を得た。次の結果により、R10がイソブチル基の式(D)で示される化合物であることを確認した。
H NMR(300MHz,CDCl)δ=0.67(br,12H),0.99(br,36H),1.91(br,6H),4.77(br,2H).
MS(70eV)m/z(%)640(M−i−Bu,100),527(9),497(21).
IR(KBr)2955,2928,2903,2870,2162,1466,1400,1383,1367,1333,1229,1167,1097,1067,1024,881,837,770,741,619cm−1
[実施例1]
製造例3で得られた液体0.5gと製造例4で得られた液体0.62gを混合、攪拌し、そこにヒドロシリル化触媒(白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体 環状メチルビニルシロキサン溶液 白金濃度2〜2.5質量%含有 Gelest社製)0.0015gを添加し、攪拌した。これを、真空乾燥機で脱泡して、φ20mm、厚さ0.7mmの型(水蒸気透過性評価用)とφ20mm、厚さ2mmの型(光透過性評価用)にそれぞれ流し込み、80℃で2時間その後130℃で3時間硬化させた。厚さ0.7mmの型で作製した硬化体は、厚みが0.67mmであった。
[実施例2]
製造例3で得られた液体0.5gと製造例5で得られた液体0.68gを混合、攪拌し、そこにヒドロシリル化触媒(白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体 環状メチルビニルシロキサン溶液 白金濃度2〜2.5質量%含有 Gelest社製)0.0016gを添加し、攪拌した。これを、真空乾燥機で脱泡して、φ20mm、厚さ0.7mmの型(水蒸気透過性評価用)とφ20mm、厚さ2mmの型(光透過性評価用)にそれぞれ流し込み、80℃で2時間その後130℃で3時間硬化させた。厚さ0.7mmの型で作製した硬化体は、厚みが0.65mmであった。
[比較例1]
市販のLED用シリコーン封止材(インヴィジシルIVS4632 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル製)を、φ20mm、厚さ0.7mmの型(水蒸気透過性評価用)とφ20mm、厚さ2mm(光透過性評価用)の型にそれぞれ流し込み、150℃で1時間硬化させた。厚さ0.7mmの型で作製した硬化体は、厚みが0.65mmであった。
[比較例2]
jER YX8000(ジャパンエポキシレジン社製、登録商標)70gとCEL−2021P(ダイセル化学社製)30gに、硬化剤としてHN−5500(日立化成工業社製)を90.2g、硬化触媒としてヒシコーリンPX−4ET(日本化学立化成工業社製、登録商標)を0.5g添加し、混合、攪拌して、真空乾燥機で脱泡して、φ20mm、厚さ0.7mmの型(水蒸気透過性評価用)とφ20mm、厚さ2mmの型(光透過性評価用)にそれぞれ流し込み、100℃で3時間その後150℃で5時間硬化させた。
実施例1および実施例2で得られたポリシルセスキオキサン化合物からなる硬化体と比較例1のシリコーン系封止材からなる硬化体および比較例2のエポキシ樹脂系封止材について、以下の方法により、ガス透過性および光透過率を評価した。比較例2のエポキシ樹脂系封止材硬化体は、初期の光透過性が実施例1、2及び比較例1より著しく低かったため、水蒸気透過性の評価を行わなかった。このため、実施例1および2並びに比較例1で得られた硬化体についてのみ、結果を以下の表1に示す。
<評価方法>
[ガス透過性]
ガス透過性については、水蒸気透過性を測定して評価した。
装置:差圧ガス・蒸気透過率測定装置(GTR−30XAD2、G2700T・F)
GTRテック社製・ヤナコテクニカルサイエンス社製
条件:40℃・90%RH
透過面積:3.14×10−4(φ2.0×10−2m)
[光透過性]
装置:紫外可視分光光度系(UV−1600)
島津製作所社製
条件:波長400nmにおける初期の光透過率及びUV照射後の光透過率保持率
UV照射装置:スポットキュア(SP−500)
ウシオ電機社製
UV照射条件:出力 1W/cm、100時間照射
光透過率保持率:UV照射後の光透過率/初期の光透過率×100
Figure 2011202057
表1に示されるように、実施例1、2のポリシルセスキオキサン化合物は、比較例1と比べて、水蒸気透過性に格段に優れる硬化体を形成できることがわかる。
一方、比較例1のLED用シリコーン封止材は、光透過性において若干優れるものの、水蒸気透過性が実施例1、2より著しく劣っていることがわかる。
上記実施例1または実施例2で得られたポリシルセスキオキサン化合物に、発光素子から放出される色調を変更するための蛍光体を配合して光素子封止材を製造した。この光素子封止材を用いて発光素子とそれに電気的に接続されている金属電極とを封止したところ、長期にわたって金属電極表面の変色、黒色化を抑えることができた。
また、上記実施例1または実施例2で得られたポリシルセスキオキサン化合物を含む光素子封止材を用いて封止した発光素子を有する発光デバイスを製造した。この発光デバイスは、輝度が劣化しにくく、長期間にわたる製品寿命を確保することができた。

Claims (5)

  1. 以下の式(A)で表される繰り返し単位を有するラダー型構造のポリシルセスキオキサン化合物:
    Figure 2011202057
    式(A)中、
    R1〜R8は、同一又は異なって、炭素数3〜8のアルキル基;アミノ基およびグリシドキシ基からなる置換基群より選択される任意の基で置換された炭素数3〜8のアルキル基;又は脂環式の置換基を示し、
    R9およびR10は、同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基;アミノ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基;オキサシクロプロピル基;又は脂環式の置換基を示し、
    ただし、R1〜R10は、化合物内にアミノ基、グリシドキシ基およびオキサシクロプロピル基が同時に存在することがないように選択され、
    nおよびmは、同一又は異なって、1以上21以下の奇数を表し、かつ
    lは1以上の整数を表す。
  2. 式(A)中、R1〜R8は、同一又は異なって、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アミノプロピル基、グリシドキシプロピル基、又はフェニル基を示し、R9およびR10は、同一又は異なって、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アミノメチル基、オキサシクロプロピル基又はフェニル基を示す、請求項1記載のポリシルセスキオキサン化合物。
  3. 請求項1又は2記載のポリシルセスキオキサン化合物を含む光素子封止材。
  4. 蛍光体を含有する請求項3記載の光素子封止材。
  5. 請求項3又は4記載の光素子封止材と、当該光素子封止材により封止された発光素子とを有する発光デバイス。
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