JP2011200952A - 保持材 - Google Patents

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Abstract

【課題】被研磨物の端部形状を改善し平坦性を向上させることができる保持材を提供する。
【解決手段】保持材10は、湿式凝固法により作製されたウレタンシート2を有している。ウレタンシート2は、一面側に被研磨物を保持するための保持面Sを有している。保持面S側には枠材6が固着されている。枠材6は、被研磨物を挿入するための保持穴が形成された円環状に形成されており、保持穴を画定する内壁面6aを有している。ウレタンシート2の裏面側には接着剤層7aを介して基材8の一面側が貼り合わされている。基材8は、可塑性を有するシート状の主材部8aと、主材部8aより小さなショア硬度を有する副材部8bとを有している。副材部8bは、枠材6の内壁面6aの位置に対応するように配置されている。応力集中が緩和される。
【選択図】図1

Description

本発明は保持材に係り、特に、湿式凝固法により形成され一面側に被研磨物を保持するための保持面を有する軟質プラスチックシートと、軟質プラスチックシートの一面側に固着され被研磨物を挿入可能な貫通穴が形成された枠材と、軟質プラスチックシートの他面側に配された基材と、軟質プラスチックシートおよび基材を貼り合わせる接着剤層と、を備えた保持材に関する。
従来、半導体ウエハ、ディスプレイ用ガラス基板等の材料(被研磨物)では、高精度な平坦性が要求されるため、研磨パッドを使用した研磨加工が行われている。これらの被研磨物の研磨加工では、被研磨物を片面ずつ研磨加工する片面研磨機が使用されることがある。この片面研磨機では、被研磨物が保持用定盤に保持され、研磨用定盤に装着された研磨パッドで研磨加工される。研磨加工時には、研磨粒子を含む研磨液(スラリ)が循環されつつ供給される。
一般に、片面研磨機を使用した研磨加工では、被研磨物を保持用定盤に保持させることで生じるキズ等を抑制するため、保持用定盤に軟質プラスチックシート等を有する保持シートが装着される。保持シートは、被研磨物を保持するための保持面を有しており、この保持面に被研磨物を当接させる。保持シートの装着によりキズの発生を回避することはできるが、保持シートおよび被研磨物間の固定性(保持力)や静摩擦が不十分なとき、すなわち、保持シートの被研磨物保持性が不十分なときは、研磨加工中に被研磨物の横ずれが生じるため、被研磨物を平坦に研磨加工することが難しくなる。被研磨物を固定する手段として、ワックスを使用することもあるが、研磨加工後にワックスを洗浄、除去することが必要となる。これに対して、ワックスを使用しないワックスレス法により研磨加工することもある。例えば、半導体ウエハの研磨加工では、湿式凝固法により形成された軟質の樹脂シートを用いた保持シートが使用され、被研磨物の横ずれを抑制するために、被研磨物を挿入するための貫通穴(保持穴)が形成された枠材が保持シートの保持面に固着される。枠材が固着された保持材では、枠材の保持穴の部分に半導体ウエハが配置される。研磨加工時には、半導体ウエハに研磨圧がかけられるとともに、研磨スラリが供給され、保持用定盤ないし研磨用定盤を相対的に回転させる。
軟質プラスチックシートの形成に用いられる湿式凝固法では、樹脂を水混和性の有機溶媒に溶解させた樹脂溶液がシート状の成膜基材に塗布され、水系凝固液中で樹脂を凝固再生させることで製造されている。得られた軟質プラスチックシートは、表面側に厚み数μm程度に亘って形成された緻密な微多孔状のスキン層を有している。スキン層の表面が被研磨物との接触性に優れるため、スキン層に水等の液体を含ませておくことで液体の表面張力等により被研磨物の保持が可能となる。その反面、スキン層が緻密なため、被研磨物が密着しすぎて研磨加工後に被研磨物を取り外すことが難しくなる。これを回避するために、軟質プラスチックシートのスキン層側にバフ処理が施され、内部に形成されたセルの開孔を形成させることもある。
ところが、保持材を使用した研磨加工では、研磨時にかけられる研磨圧により被研磨物が保持シート側に沈み込むことがあり、また、定盤の回転に伴う力が作用するため、被研磨物の端部(外縁部)に応力が集中しやすくなる。このため、研磨加工後の被研磨物では、端部が中央部より過研磨された縁ダレ形状となることがある。被研磨物に対する平坦性の要求度が高まりつつあり、例えば、半導体ウエハでは、端部の平坦性が製品の歩留(収率)に大きく左右するため、外縁近傍までフラットな仕上がりが望まれている。このような端部形状の改善のために、種々の改善が試みられている。例えば、半導体ウエハの片面側を研磨加工するときに用いる保持材として、枠材の保持穴を画定する内周面に沿って保持シートの保持面側にリング状溝を形成させた保持材の技術が開示されている(特許文献1参照)。また、枠材と保持シートとを接着するときに、枠材の内周面近傍の部分に接着剤を介在させず外縁側のみを接着し、研磨圧力の分布ムラを小さくする技術が開示されている(特許文献2参照)。
特許第2849533号公報 特開2000−42910号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、保持面側に形成されたリング状溝により応力集中が緩和されるが、溝形成時に120〜140℃に熱したリング状金型を保持面に押し当てるため、保持シートが弱くなるおそれがある。また、枠材に形成される保持穴のサイズを被研磨物のサイズにあわせて変える必要があるため、保持穴のサイズ毎に金型を要し、高コスト化を招く、という欠点がある。さらに、溝形成時に金型を押し当てられた部分が変形し、保持用定盤に接着する面側に凸部が形成される可能性がある。保持用定盤に接着する面側が平坦に形成されていないと、接着性が損なわれ、研磨加工時に剥離することもある。一方、特許文献2の技術では、枠材の外縁側のみが保持シートと接着されるが、枠材の内周面近傍で保持面との間に隙間が形成され、その分だけ接着面積が減少するため、枠材が保持面から剥離してしまうおそれがある。また、内周面近傍の隙間に研磨屑や保持シートの摩耗屑等の異物が堆積し、被研磨物の側面等にスクラッチを与えてしまうこともある。
本発明は上記事案に鑑み、被研磨物の端部形状を改善し平坦性を向上させることができる保持材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、湿式凝固法により形成され一面側に被研磨物を保持するための保持面を有する軟質プラスチックシートと、前記軟質プラスチックシートの一面側に固着され被研磨物を挿入可能な貫通穴が少なくとも1箇所に形成された枠材と、前記軟質プラスチックシートの他面側に配された基材と、前記軟質プラスチックシートおよび基材を貼り合わせる接着剤層と、を備え、前記基材は、可塑性を有するシート状の主材と、前記主材より小さなショア硬度を持つ少なくとも1つの副材とを有しており、前記副材が前記枠材に形成された貫通穴の内壁面の位置に対応するように前記主材に配置され、一面側が前記接着剤層に当接したことを特徴とする保持材である。
本発明では、基材の一面側が接着剤層に当接したことで、軟質プラスチックシートと基材との剥離を抑制することができるとともに、主材より小さなショア硬度の副材が枠材に形成された貫通穴の内壁面の位置に対応するように配置されたため、研磨加工時に被研磨物の端部にかかる応力集中が副材の配置された部分で緩和されるので、被研磨物の端部形状を改善し平坦性を向上させることができる。
この場合において、基材では、主材の一面側に副材が配置されており、主材および副材の一面側が同一平面を形成していることが好ましい。基材は、主材に少なくとも1つの溝が形成されており、溝に副材が充填されていてもよい。このとき、溝が枠材に形成された貫通穴の内壁面の位置に対応する位置を含むように1.5mm〜30mmの範囲の幅を有して形成されてもよい。また、副材の接着剤層に当接する面からの厚さを基材の厚さに対して50%〜100%の範囲としてもよい。基材の厚さを50μm〜2000μmの範囲とすることができる。基材は、主材をポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびポリプロピレンから選択される少なくとも1種とし、副材をエラストマとしてもよい。軟質プラスチックシートをポリウレタン樹脂製とすることができる。このとき、軟質プラスチックシートの厚さを200μm〜2000μmの範囲としてもよい。また、軟質プラスチックシートは、該軟質プラスチックシートの厚さが一様となるように保持面と反対の面側ないし保持面側にバフ処理が施されていてもよい。
本発明によれば、基材の一面側が接着剤層に当接したことで、軟質プラスチックシートと基材との剥離を抑制することができるとともに、主材より小さなショア硬度の副材が枠材に形成された貫通穴の内壁面の位置に対応するように配置されたため、研磨加工時に被研磨物の端部にかかる応力集中が副材の配置された部分で緩和されるので、被研磨物の端部形状を改善し平坦性を向上させることができる、という効果を得ることができる。
本発明を適用した実施形態の保持材を模式的に示す断面図である。 保持材を構成する部材を模式的に示す斜視図であり、(A)は保持面に貼着される枠材、(B)は保持面を有するウレタンシート、(C)は円環状の副材部が主材部に配置された基材をそれぞれ示す。 保持材の枠材が貼着された部分を拡大して模式的に示し、枠材と基材の副材部との位置関係を説明する説明図である。 従来の保持材を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明を適用した保持材の実施の形態について説明する。
<構成>
図1に示すように、本実施形態の保持材10は、湿式凝固法により作製されたポリウレタン樹脂製の軟質プラスチックシートとしてのウレタンシート2を有している。
ウレタンシート2は、湿式凝固法による作製時に一面側に形成されたスキン層がバフ処理で除去されている。スキン層が除去された表面が被研磨物を保持するための保持面Sを構成している。ウレタンシート2の内部には、厚さ方向(図1の縦方向)に沿って縦長で丸みを帯びた円錐状(断面縦長三角状)のセル(気孔)3が略均等に分散した状態で形成されている。セル3の縦長方向の長さには、ウレタンシート2の厚さの範囲でバラツキが生じている。セル3は、保持面S側の孔径が保持面Sと反対の面側(以下、保持面Sと反対の面を裏面と呼称する。)の孔径より小さく形成されている。すなわち、セル3は保持面S側が裏面側より縮径されている。セル3の間のポリウレタン樹脂は、セル3より小さい孔径の図示しない微多孔が形成されたミクロポーラス状に形成されている。セル3および図示しない微多孔は、不図示の連通孔で網目状に連通している。すなわち、ウレタンシート2は連続発泡構造を有している。
また、ウレタンシート2では、バフ処理されスキン層が除去されて形成された保持面Sでセル3が開孔しており、開孔4が形成されている。図2(B)に示すように、ウレタンシート2は円板状に形成されており、セル3が略均等に分散した状態で形成されているため、保持面Sでは開孔4が略均等に分散し形成されている。ウレタンシート2の厚さT1は、図3に示すように、湿式凝固時やバフ処理時の条件で調整することができ、200〜2000μmの範囲に調整されている。このようなウレタンシート2ではショアA硬度が5〜60度の範囲を示す。
図1に示すように、保持材10では、研磨加工時に被研磨物の横ずれを抑制するために、保持面S側に枠材6が固着されている。枠材6は、接着剤層7cを介して保持面Sに貼着されている。接着剤層7cの接着剤としては、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の接着剤を用いることができるが、本例では、アクリル系接着剤が用いられている。枠材6は、図2(A)に示すように、被研磨物を挿入可能な保持穴(貫通穴)が形成された円環状に形成されている。また、枠材6は、保持穴を画定する内壁面6aを有している。枠材6が保持面S側に固着されたことで、保持材10では、枠材6の保持穴が窪み状に形成されることとなる。枠材6の材質としては、ガラスエポキシ樹脂やカーボンエポキシ樹脂等の繊維強化樹脂を用いることができるが、本例では、ガラスエポキシ樹脂が用いられている。図1に示すように、枠材6は、外径がウレタンシート2の外径と同じに形成されており、内径が研磨加工の対象とする被研磨物の外径より大きくなるように形成されている。
また、保持材10では、ウレタンシート2の裏面側に接着剤層7aを介して基材8の一面側が貼り合わされている。基材8は、他面側に、研磨機(研磨装置)に保持材10を装着するために、接着剤層7bを有している。接着剤層7bは、基材8と反対の面が剥離紙9で覆われている。接着剤層7a、7bの接着剤には、いずれも接着剤層7cの接着剤と同様に、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の接着剤(感圧型)を用いることができるが、本例では、接着剤層7a、7bともにアクリル系接着剤が用いられている。接着剤層7a、7b、7cでは、同じ接着剤を用いてもよく、異なるようにしてもよい。なお、本例では、基材8が保持材10の全体を支持する機能も兼ねている。
基材8は、可塑性を有する樹脂製でシート状の主材部8a(主材)と、主材部8aより小さなショアA硬度を有する樹脂で形成された副材部8b(副材)とを有している。副材部8bは、枠材6の内壁面6aの位置に対応するように配置されている。主材部8aにはポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)、ポリエチレン(PE)およびポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)から選択される少なくとも1種の可撓性フィルムを用いることができ、副材部8bにはエラストマを用いることができる。エラストマとしては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、シリコンゴム、フッ素系樹脂等を挙げることができる。また、エラストマに発泡剤を混合させ発泡体とすることも可能である。ショアA硬度は、主材部8aが70〜100度程度、副材部8bが10〜80度程度である。本例では、主材部8aとしてPET製フィルム、副材部8bとしてシリコンゴムがそれぞれ用いられている。また、主材部8aには、ウレタンシート2と貼り合わされる面側に円環状の溝が形成されており、この溝に副材部8bを形成する樹脂が充填されている。図2(C)に示すように、基材8は円板状に形成されており、基材8のウレタンシート2と貼り合わされる面側では主材部8aに円環状の副材部8bが配置されている。
図3に示すように、主材部8aおよび副材部8bの一面側が接着剤層7aに当接している(図1も参照)。基材8は、厚さT2が50〜2000μmの範囲を有している。つまり、主材部8aの厚さが基材8の厚さT2と同じとなる。副材部8bは、接着剤層7aに当接する面からの厚さtが基材8の厚さT2に対して50〜100%の範囲に調整されている。このような主材部8aと副材部8bとを有する基材8では、接着剤層7aに当接する面側が同一平面を形成している。副材部8bの幅(主材部8aに形成される溝の幅)Wは、枠材6の内壁面6aの位置に対応する位置を含むように1.5〜30mmの範囲に調整されている。すなわち、内壁面6aの位置に対応する位置から中心方向に1.5〜20mmの範囲、外縁方向に0〜10mmの範囲に調整されている。また、主材部8aに溝を形成するときに、接着剤層7aに当接する面からの深さ、溝の幅を調整することで、副材部8bの厚さt、幅Wをそれぞれ調整することができる。
<製造>
保持材10は、湿式凝固法により作製したウレタンシート2にバフ処理を施した後、別に作製した基材8、ウレタンシート2および枠材6を貼り合わせることで製造される。湿式凝固法では、ポリウレタン樹脂溶液を調製する準備工程、ポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、水系凝固液中でポリウレタン樹脂溶液を凝固させてポリウレタン樹脂をシート状に再生させる再生工程、再生したポリウレタン樹脂を洗浄し乾燥させる洗浄・乾燥工程を経てウレタンシート2を作製する。基材8の作製では、主材部8aのシートに円環状の溝を形成し、この溝に副材部8bの樹脂を充填する。以下、ウレタンシート2の作製、基材8の作製、貼り合わせの順に説明する。
(ウレタンシート2の作製)
準備工程では、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒および添加剤を混合してポリウレタン樹脂を溶解させる。有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)やN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等を用いることができるが、本例では、DMFを用いる。ポリウレタン樹脂には、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から、100%モジュラスが20MPa以下のものを選択して用い、例えば、ポリウレタン樹脂が30重量%となるようにDMFに溶解させる。添加剤としては、セル3の大きさや量(個数)を制御するカーボンブラック等の顔料、セル形成を促進させる親水性活性剤およびポリウレタン樹脂の再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。得られた溶液を減圧下で脱泡しポリウレタン樹脂溶液を調製する。
再生工程では、準備工程で調製したポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、水系凝固液中でポリウレタン樹脂溶液を凝固させてポリウレタン樹脂をシート状に再生させる。ポリウレタン樹脂溶液を、塗布装置により常温下で帯状の成膜基材に均一な厚さとなるように塗布する。塗布装置として、本例では、ナイフコータを用いる。このとき、ナイフコータと成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、ポリウレタン樹脂溶液の塗布厚さ(塗布量)を調整する。本例では、得られるウレタンシートの厚さを上述した範囲とするため、塗布厚さを500〜2000μmの範囲に調整する。成膜基材には、可撓性フィルム、不織布、織布等を用いることができるが、本例では、成膜基材をPET製フィルムとして説明する。
成膜基材に塗布されたポリウレタン樹脂溶液を、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液(水系凝固液)中に案内する。凝固液としては、水にDMFやDMAc等の有機溶媒を混合しておくこともできるが、本例では、水を用いる。凝固液中では、まず、塗布されたポリウレタン樹脂溶液の表面側にスキン層を構成する微多孔が厚さ数μm程度にわたって形成される。その後、ポリウレタン樹脂溶液中のDMFと凝固液との置換の進行によりポリウレタン樹脂がシート状に再生する。DMFがポリウレタン樹脂溶液から脱溶媒し、DMFと凝固液とが置換することにより、スキン層より内側のポリウレタン樹脂中にセル3および図示しない微多孔が形成され、セル3および図示しない微多孔を網目状に連通する不図示の連通孔が形成される。このとき、成膜基材のPET製フィルムが水を浸透させないため、ポリウレタン樹脂溶液の表面側(スキン層側)で脱溶媒が生じて成膜基材側が表面側より大きなセル3が形成される。
洗浄・乾燥工程では、再生した帯状(長尺状)の成膜樹脂を洗浄した後乾燥させる。すなわち、成膜樹脂を、成膜基材から剥離した後、水等の洗浄液中で洗浄して成膜樹脂中に残留するDMFを除去する。洗浄後、成膜樹脂を乾燥させる。成膜樹脂の乾燥には、本例では、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機を使用する。成膜樹脂がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。乾燥後の成膜樹脂をロール状に巻き取る。
バフ処理を行うときは、洗浄・乾燥工程で乾燥させた成膜樹脂のスキン層側の面にバフ処理を施す。湿式凝固法により形成された成膜樹脂では、ポリウレタン樹脂溶液の塗布時やポリウレタン樹脂の再生時に厚さバラツキが生じている。成膜樹脂のスキン層と反対側の表面に、表面が平坦な圧接治具を圧接することで、スキン層側に凹凸が出現する。この凹凸をバフ処理で除去する。本例では、連続的に製造された成膜樹脂が帯状のため、圧接ローラを圧接しながら、連続的にバフ処理を施す。成膜樹脂がバフ処理されて形成されたウレタンシート2では、厚さが均一化されており、バフ処理された面、つまり保持面Sに開孔4が形成されている。
(基材8の作製)
基材8の作製では、主材部8aとして厚さT2のPET製フィルムを準備する。この主材部8aの一面側に円環状の溝を形成する。溝の形成には、例えば、下端部がヤスリ状に形成された棒状の研削治具の上端部を把持して当該研削治具を回転させながら3次元に移動可能な溝形成装置を用いることができる。研削治具の径により溝の幅を調整することができ、上下方向の移動量により溝の深さを調整することができる。また、水平面内での移動により円環状の溝を形成することができる。主材部8aに形成された溝に、主材部8aより小さなショアA硬度を有する副材部8bとしてシリコン樹脂を充填する。溝への樹脂の充填では、例えば、樹脂の熱による溶融体や溶剤による溶液を溝に流し込み、冷却や溶剤気化により固化させる。得られた基材8では、幅W、厚さtの副材部8bが主材部8aに配置されることとなる。
(貼り合わせ)
ウレタンシート2の裏面側と、基材8の主材部8aに副材部8bが配置された面側とを貼り合わせる。このとき、ウレタンシート2または基材8に接着剤層7aを形成し、ウレタンシート2および基材8を貼り合わせる。ウレタンシート2および基材8を貼り合わせた後、基材8のウレタンシート2と反対の面側に接着剤層7bを形成しその表面を剥離紙9で覆う。基材8が貼り合わされたウレタンシート2の保持面S側に枠材6を貼着する。このとき、枠材6に接着剤層7cを形成し、ウレタンシート2の保持面と枠材6とを接着剤層7cを介して貼り合わせる。枠材6、接着剤層7c、ウレタンシート2、接着剤層7a、基材8、接着剤層7bおよび剥離紙9を2つの平坦な治具間で挟み込み加圧することで確実に貼り合わせることができる。そして、キズや汚れ、異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い、保持材10を完成させる。
保持材10で被研磨物の研磨加工を行うときは、例えば、保持用定盤および研磨用定盤が対向するように配置された片面研磨機が使用される。保持用定盤には保持材10を貼着し、研磨用定盤には研磨パッドを装着する。保持用定盤に保持材10を貼着するときは、剥離紙9を取り除き露出した接着剤層7bで貼着する。被研磨物を保持させるときは、枠材6の保持穴内で露出している保持面Sに水を吹き付け、被研磨物を保持材10側に押し付ける。被研磨物は水の表面張力により保持面Sに密着することとなる。被研磨物の加工面と研磨パッド間に研磨粒子を含む研磨液を循環供給するとともに、被研磨物に研磨圧をかけながら保持用定盤ないし研磨用定盤を回転させることで、被研磨物(加工面)を研磨加工する。
<作用等>
次に、本実施形態の保持材10の作用等について説明する。
ここで保持材10での説明をわかりやすくするために、従来の保持材について説明する。図4に示すように、従来の保持材20では、ウレタンシート2が一様な材質の基材18と貼り合わされている。このため、研磨加工時に研磨圧がかけられると、ウレタンシート2が均等に押圧され、被研磨物30に一様な押圧力(図の矢印A)がかかる。この押圧力のため、被研磨物30が保持材20側に沈み込むこととなる。通常、枠材6の内径が被研磨物30の外径より大きく形成されており、枠材6の内壁面6aと被研磨物30との間には隙間が形成されている。研磨加工時に定盤を回転させることで被研磨物30が保持穴内で移動するため、被研磨物30の端部に応力が集中しやすくなり、枠材6の内壁面6a近傍のウレタンシート2に歪みが生じることがある。結果として、被研磨物30の端部で沈み込みが制限されることから、加工面側が過研磨され、被研磨物30に端部ダレが生じて端部形状が損なわれることとなる。端部形状が損なわれると、例えば、半導体ウエハの研磨加工では、端部近傍から製品を得ることが難しくなり、歩留や生産性を低下させる。被研磨物30に対する平坦性の要求度が高まるにつれ、外縁近傍までフラットな仕上がり、つまり、端部形状の改善が望まれている。本実施形態は、これらの問題を解決することができる保持材10である。
本実施形態では、保持材10が枠材6とウレタンシート2と基材8とが貼り合わされ構成されている。基材8は、主材部8aと副材部8bとを有しており、副材部8bが主材部8aより小さなショアA硬度を有している。基材8では、副材部8bが枠材6の内壁面6aの位置に対応する位置に配置されている。主材部8aと副材部8bとでショアA硬度が異なるため、研磨圧がかけられると、保持面S側にかかる押圧力が基材8の主材部8aの部分と、副材部8bが配置された部分とで異なることとなる。すなわち、図3に示すように、研磨圧がかけられると、主材部8aの部分で保持面S側にかかる押圧力(図3の矢印A)と比べて、副材部8bが配置された部分で保持面S側にかかる押圧力(図3の矢印B)が小さくなる。このため、主材部8aの部分では、保持面Sで保持された被研磨物30の加工面側を確実に研磨加工することができる。これに対して、副材部8bが配置された部分では、研磨加工時に被研磨物30が移動しても、枠材6の内壁面6a近傍での応力集中が緩和され、歪みが生じにくくなる。これにより、被研磨物30の端部で沈み込みが制限されることなく、加工面側の過研磨が抑制されるので、被研磨物30の端部形状を改善することができ、加工面の平坦性を向上させることができる。
また、本実施形態では、副材部8bの接着剤層7aに当接する面からの厚さtが基材8の厚さT2に対して50〜100%の範囲に調整されている。厚さtの厚さT2に対する割合が50%より小さいと、研磨圧がかけられても、保持面S側にかかる押圧力の差(図3の矢印Aと矢印Bとの大きさの差)が小さくなり、応力集中の緩和が不十分となる。厚さtの割合を調整することで、主材部8aより小さなショアA硬度を有する、つまり主材部8aより柔軟な副材部8bにより応力集中を緩和しやすくすることができる。また、副材部8bでは、内壁面6aの位置に対応する位置から中心方向に1.5〜20mmの範囲、外縁方向に0〜10mmの範囲の合計1.5〜30mmの範囲の幅Wを有するように調整されている。内壁面6aの位置に対応する位置から中心方向に配される溝幅が1.5mmに満たない場合は、枠材と被研磨物との間に形成される隙間より小さい溝幅となるため、被研磨物にかかる押圧力を軽減することが難しくなり、反対に、溝幅が20mmを超える場合は、被研磨物を支持する領域が柔らかくなりすぎてしまい高度な平坦化を達成することが難しくなる。また、内壁面6aの位置に対応する位置から外縁方向に配される溝幅が10mmを超えると、枠材が定盤側へ沈み込むことで枠材自体の平坦性を保てなくなるおそれがあり、却って被研磨物の平坦性を損なうこととなる。幅Wを1.5〜30mmの範囲とすることで、主材部8aより柔軟な副材部8bの幅が確保されるので、被研磨物30の平坦性向上を図ることができる。副材部8bの幅Wは、形成のしやすさを考慮すれば、5〜30mmの範囲とすることが好ましい。研磨加工時に被研磨物の平坦性を一層向上させるためには、幅Wを、内壁面6aの位置に対応する位置から中心方向に1.5〜5mmの範囲、外縁方向に0.5〜1mmの範囲の合計2〜6mmとすることが好ましい。また、本実施形態では、主材部8aおよび副材部8bが接着剤層7aに当接している。このため、基材8の全面が接着剤層7aを介してウレタンシート2と貼り合わされるので、研磨加工時に基材8とウレタンシート2との剥離を抑制することができる。
更に、本実施形態では、基材8の厚さT2が50〜2000μmの範囲、ウレタンシート2の厚さT1が200〜2000μmの範囲に調整されている。基材8の厚さT2が50μmより小さくなると、基材8に配置される副材部8bの厚さtが小さくなるため、上述した応力集中を緩和することが難しくなる。反対に、基材8の厚さT2が2000μmより大きくなると、保持材10の全体厚さが大きくなるため、好ましくない。また、ウレタンシート2の厚さT1が200μmより小さいと、湿式凝固法により作製しても形成されるセルの大きさが厚さT1で制限されるため、研磨加工時に十分なクッション性を発揮することが難しくなる。反対にウレタンシート2の厚さT1が2000μmより大きくなると、湿式凝固法による作製時にポリウレタン樹脂溶液の凝固が不十分となり、発泡構造の形成やウレタンシート自体の形成が不十分となる可能性がある。従って、基材8の厚さT2、ウレタンシート2の厚さT1を上述した範囲とすることで、作製時に不都合を生じることなく、研磨加工時に十分な効果を発揮することができる。
また更に、本実施形態では、基材8に副材部8bを配置するため、ウレタンシート2に溝が形成されることがなく、溝形成に伴う熱履歴を経ることもない。このため、軟質なウレタンシート2を一様な材質のまま使用することができ、保持面Sで被研磨物を保持させることができる。これにより、研磨加工時に被研磨物のウレタンシート2側(保持材10側)への沈み込みが確保されるので、被研磨物の平坦性向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、1つの保持穴が形成された枠材6を例示し、基材8として、シート状の主材部8aに形成した円環状の1つの溝に副材部8bの樹脂を充填する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。枠材としては、同時に研磨加工する被研磨物の数にあわせて複数の保持穴を形成するようにしてもよい。複数の保持穴が形成された枠材にあわせて、基材8にも複数の副材部8bを配置するようにしてもよい。また、矩形状の被研磨物を研磨加工の対象とする場合は、円形状の保持穴に代えて、矩形状の保持穴を形成するようにしてもよく、この保持穴にあわせて副材部8bを矩形状に形成することも可能である。ウレタンシート2、基材8を矩形板状とし、枠材6を矩形枠状としてもよいことはもちろんである。更に、本実施形態では、内壁面6aの延長線上に副材部8bの幅の中心が位置する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、内壁面6aの延長線が副材部8bの幅の範囲内に位置していればよい。
また、本実施形態では、主材部8aおよび副材部8bの接着剤層7aに当接する面が同一平面を形成する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。主材部8aに形成した溝に樹脂を流し込み副材部8bを形成することを考慮すれば、副材部8bで樹脂が若干盛り上がることも予想される。この場合でも、接着剤層7aを介してウレタンシート2と貼り合わせることで、接着剤層7aの弾性により副材部8bの盛り上がりを吸収することができる。このような副材部8bの形成に際し、本実施形態では、主材部8aに形成した溝に樹脂を流し込む例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、予め溝形状に適合するリング状の副材部8bを形成しておき、主材部8aの溝に嵌合させるようにしてもよい。更に、本実施形態では、副材部8bの厚さtを基材8の厚さT2に対して50〜100%の範囲とする例を示した。厚さtが厚さT2に対して100%の場合は、副材部8bが主材部8aの厚さ全体にわたり存在することとなる。この場合、例えば、円環状および円板状の2つの主材部8aと、円環状の副材部8bとの大きさを調整し、交互に組み合わせることで基材8とすることも可能である。また、本実施形態では、同一平面を形成した主材部8aおよび副材部8bの一面側とウレタンシート2の裏面側とを接着剤層7aを介して貼り合わせる例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。副材部8bを主材部8aのウレタンシート2と反対の面側(保持定盤側)に配置するようにしてもよい。このことは、例えば、ウレタンシート2の裏面側に主材部となるPET製フィルムを接着剤層7aを介して貼り合わせた後、主材部のウレタンシート2と反対の面側に溝を形成し副材部の樹脂を充填することで実現することができる。主材部および副材部が同一平面を形成することが好ましいことはもちろんである。同一平面を形成した主材部および副材部が接着剤層7bに当接することとなる。この場合、副材部の接着剤層7bに当接する面からの厚さtを基材(主材部)の厚さT2に対して70%以上とすることが好ましい。
更に、本実施形態では、1つの副材部8bが1つの樹脂で形成される例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。副材部8bとしては主材部8aより小さいショア硬度を有していればよく、例えば、複数の副材部8bを配置する場合に、それぞれ異なる樹脂を充填するようにすることができる。主材部8aと副材部8bとのショア硬度の差異により応力集中を緩和させることから、副材部8bとして複数の樹脂を用いても本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、基材8が保持材10の全体を支持する機能を兼ねる例を示したが、基材8と別に支持材を貼り合わせるようにしてもよい。この場合は、支持材を基材8のウレタンシート2と反対の面側に貼り合わせればよい。支持材の材質としては、保持材10の全体を支持する機能を発揮することができれば、特に制限されるものではない。
また更に、本実施形態では、湿式凝固法により作製された成膜樹脂のスキン層側の面にバフ処理を施した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、研磨加工の対象とする被研磨物30の種類等により、スキン層を残したまま、裏面側にバフ処理を施すようにしてもよい。このようにすれば、緻密な微多孔状のスキン層が残されることで被研磨物30との密着性を高めることができ、被研磨物保持性を向上させることができる。スキン層側と裏面側との両面にバフ処理を施すようにしてもよいことはもちろんである。
更にまた、本実施形態では、湿式凝固法により作製したポリウレタン樹脂製のウレタンシート2を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリウレタン樹脂以外に、ポリエチレン樹脂等を用いることも可能であり、湿式凝固法により発泡構造が形成される樹脂であれば、いずれのものも使用することができる。更に付言すれば、軟質プラスチックについては、日本工業規格(JIS K6900−1994 プラスチック−用語)に、「指定条件のもとで、曲げ試験、またはそれが適用できない場合には引張試験における弾性率が、70MPaより大きくないプラスチック」と定められていることから、この条件を満たすものであればよい。
また、本実施形態では、ウレタンシート2と基材8とを貼り合わせる接着剤層7a(接着剤層7b、7cも同様。)をアクリル系接着剤で形成する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。接着剤としては、アクリル系以外に、ウレタン系やエポキシ系等の接着剤を用いてもよい。また、接着剤層7a、7b、7cとして、例えば、支持基材を有することなく接着剤のみが2枚の剥離紙に挟まれた両面テープであるノンサポートテープを用いることも可能である。
次に、本実施形態に従い製造した保持材10の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例の保持材についても併記する。
(実施例1)
実施例1では、基材8の主材部8aを次のように作製した。まず、厚さ188μmのPET製フィルム(ショアA硬度95度)に枠材6の内径より2mm大きな内径の貫通穴が形成されるように円形状に切り抜き、切り抜いた円形状のフィルムを外径が貫通穴の内径より10mm小さくなるように裁断した。別に準備した厚さ188μmのPET製フィルム(ショアA硬度95度)に、貫通穴が形成されたフィルムと、外径を小さくした円形状フィルムとを貼付した。すなわち、貫通穴が形成されたフィルムの貫通穴の内側に、円形状フィルムの中心が貫通穴の中心と一致するように貼付した。得られた主材部8aは、厚さT2が376μmであり、幅6mm、深さ188μmの円環状の溝が形成されたものとなる。この溝に、副材部8bを形成する樹脂であるシリコンゴム(ショアA硬度10度)を充填した。つまり、副材部8bでは、幅Wが6mm、厚さtが188μmとなり、厚さtが主材部8aの厚さT2に対して50%となる。また、枠材6の内壁面6aの位置に対して、中心方向に5mm、外縁方向に1mmとなる。作製した基材8と、バフ処理により表面に開孔を形成させた厚さT1が0.8mmのウレタンシート2とを貼り合わせ、保持材10を得た。
(比較例1)
比較例1では、基材18として、厚さが188μmの2枚のPET製フィルムを貼り合わせたもの(厚さが376μm)を用いること以外は実施例1と同様にし、保持材20を得た。
(研磨性能評価)
各実施例および比較例の保持材を用いて、以下の研磨条件でハードディスク用アルミニウム基板の研磨加工を行い、ロールオフにより研磨性能を評価した。ロールオフは、被研磨物の外縁部が中心部より過度に研磨加工されることで生じ、平坦性を評価するための測定項目の1つである。測定方法としては、例えば、光学式表面粗さ計にて外周端部から中心に向かい0.5mmの位置より半径方向に1.5mmの範囲で2次元プロファイル像を得る。得られた2次元プロファイル像において、半径方向をX軸、厚み方向をY軸としたときに、外周端部からX=0.5mmおよびX=1.5mmの座標位置のY軸の値がY=0となるようにレベリング補正し、このときの2次元プロファイル像のX=0.5〜1.5mm間におけるPV値を求めた。ロールオフの測定には、表面粗さ測定機(Zygo社製、型番New View 5022)を使用し、平均値(Avg)および最大値(Max)を求めた。ロールオフの測定結果を下表1に示す。
(研磨条件)
使用研磨機:スピードファム社製、9B−5Pポリッシングマシン
回転数:(定盤)30r/m
研磨圧力:90g/cm
研磨剤:コロイダルシリカスラリ(平均粒子径:0.05μm)
被研磨物:95mmφハードディスク用アルミニウム基板
研磨時間:300秒間
Figure 2011200952
表1に示すように、比較例1の保持材20では、ロールオフの平均値が18.1nm、最大値が29.8nmを示しており、高精度な平坦性の要求に応えることが難しい。これに対して、実施例1の保持材10では、ロールオフの平均値が6.2nm、最大値が10.4nmと大きく向上しており、高精度な平坦性要求に対しても十分に応えることができる。また、アルミニウム基板に対するスクラッチも認められず、優れた研磨性能を示すことが明らかとなった。
本発明は被研磨物の端部形状を改善し平坦性を向上させることができる保持材を提供するものであるため、保持材の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
S 保持面
2 ウレタンシート(軟質プラスチックシート)
6 枠材
6a 内壁面
7a 接着剤層
8 基材
8a 主材部(主材)
8b 副材部(副材)
10 保持材

Claims (10)

  1. 湿式凝固法により形成され一面側に被研磨物を保持するための保持面を有する軟質プラスチックシートと、
    前記軟質プラスチックシートの一面側に固着され被研磨物を挿入可能な貫通穴が少なくとも1箇所に形成された枠材と、
    前記軟質プラスチックシートの他面側に配された基材と、
    前記軟質プラスチックシートおよび基材を貼り合わせる接着剤層と、
    を備え、
    前記基材は、可塑性を有するシート状の主材と、前記主材より小さなショア硬度を持つ少なくとも1つの副材とを有しており、前記副材が前記枠材に形成された貫通穴の内壁面の位置に対応するように前記主材に配置され、一面側が前記接着剤層に当接したことを特徴とする保持材。
  2. 前記基材は、前記主材の一面側に前記副材が配置されており、前記主材および副材の一面側が同一平面を形成していることを特徴とする請求項1に記載の保持材。
  3. 前記基材は、前記主材に少なくとも1つの溝が形成されており、前記溝に前記副材が充填されていることを特徴とする請求項2に記載の保持材。
  4. 前記溝は、前記枠材に形成された貫通穴の内壁面の位置に対応する位置を含むように1.5mm〜30mmの範囲の幅を有して形成されたことを特徴とする請求項3に記載の保持材。
  5. 前記副材は、前記接着剤層に当接する面からの厚さが前記基材の厚さに対して50%〜100%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の保持材。
  6. 前記基材は、厚さが50μm〜2000μmの範囲であることを特徴とする請求項5に記載の保持材。
  7. 前記基材は、前記主材がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびポリプロピレンから選択される少なくとも1種であり、前記副材がエラストマであることを特徴とする請求項1に記載の保持材。
  8. 前記軟質プラスチックシートは、ポリウレタン樹脂製であることを特徴とする請求項7に記載の保持材。
  9. 前記軟質プラスチックシートは、厚さが200μm〜2000μmの範囲であることを特徴とする請求項8に記載の保持材。
  10. 前記軟質プラスチックシートは、該軟質プラスチックシートの厚さが一様となるように前記保持面と反対の面側ないし前記保持面側にバフ処理が施されていることを特徴とする請求項9に記載の保持材。
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