JP2011198873A - 多孔質バルブ金属電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 バルブ金属箔上にバルブ金属多孔質層が形成された多孔質バルブ金属電極を製造する際に、バルブ金属箔とバルブ金属多孔質層との間で良好な密着性が安定して得られ、高性能で長期使用が可能な多孔質バルブ金属電極の製造方法を提供する。
【解決手段】 表面の算術平均粗さRaが0.040μm以上0.10μm以下のバルブ金属箔を準備し、その表面上にバルブ金属と異相成分とからなる混合薄膜を形成し、真空中又は不活性ガス雰囲気中において熱処理を施した後、混合薄膜中の異相成分のみを除去する。
【選択図】 なし
【解決手段】 表面の算術平均粗さRaが0.040μm以上0.10μm以下のバルブ金属箔を準備し、その表面上にバルブ金属と異相成分とからなる混合薄膜を形成し、真空中又は不活性ガス雰囲気中において熱処理を施した後、混合薄膜中の異相成分のみを除去する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、固体電解コンデンサに用いる多孔質バルブ金属電極、特にタンタルまたはニオブからなる多孔質バルブ金属電極の製造方法に関するものである。
タンタル電解コンデンサ及びニオブ電解コンデンサなどの固体電解コンデンサは、小型且つ大容量で、高い信頼性を有するため、携帯電話やノートパソコンに代表される小型電子機器に必要不可欠な電子部品である。また、従来のタンタル電解コンデンサやニオブ電解コンデンサとしては、サブミクロンのタンタル粉末あるいはニオブ粉末にワイヤを埋め込んで圧粉焼結し、得られた多孔質ペレットを陽極体として用いたものが知られている。
近年では、小型電子機器の更なる小型低背化と高機能化に伴って、タンタル電解コンデンサ及びニオブ電解コンデンサに対しても小型低背化と等価直列抵抗(ESR)の低減が強く求められている。コンデンサの小型低背化及びESR低減の観点から、陽極体については、薄いこと、多孔質構造が細かいこと、陽極体とリードとの接触面積が大きいことなどが求められる。具体的には、タンタル箔やニオブ箔をリードとし、リード上に比表面積の大きな薄型の多孔質体が形成された箔状の陽極体が理想的である。
かかる箔状の陽極体を得る方法として、特許文献1及び非特許文献1には、タンタルやニオブのようなバルブ金属と、これらと相溶性を持たない銅などの金属または酸化物からなる異相成分とを、スパッタリング法などによりバルブ金属箔の上に混合成膜し、真空中または不活性ガス中で熱処理して粒成長させた後、異相成分のみを選択的に除去する方法が提案されている。
小向哲史,大迫敏行,「多孔質タンタル箔電極の作製およびその陽極体特性」,第73回大会学術講演要旨集,社団法人電気化学会,平成18年4月1日,p.287
上記特許文献1及び非特許文献1に記載された方法によれば、バルブ金属箔の上に薄く且つ多孔質構造が細かいバルブ金属の多孔質層を具えた箔状の陽極体(多孔質バルブ金属電極)が得られるため、固体電解コンデンサの小型化及び低背化を図るために有効な方法といえる。
しかしながら、上記方法により製造された多孔質バルブ金属電極は、バルブ金属箔と、その上に形成されたバルブ金属多孔質層との間で、密着性にばらつきが生じやすいことが分ってきた。この密着性のばらつきが電気特性である静電容量に影響を与えることは少ないものの、密着性の劣る多孔質バルブ金属電極では使用中における体積や温度の変化によってバルブ金属箔とバルブ金属多孔質層とが剥離する可能性が高まり、寿命に影響を及ぼす恐れがあった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、バルブ金属箔上にバルブ金属多孔質層が形成された多孔質バルブ金属電極を製造する際に、バルブ金属箔とバルブ金属多孔質層との間で十分満足すべき密着性を安定して得ることができ、高性能で長期使用が可能な多孔質バルブ金属電極の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、バルブ金属箔とバルブ金属多孔質層との密着性について検討した結果、バルブ金属箔のバルブ金属多孔質層が形成されるべき表面の算術平均粗さRaを一定値以上に制御することによって、バルブ金属箔のとバルブ金属多孔質層との剥離を抑制することができ、良好で且つ安定した密着性を得ることが可能であるとの知見を得て、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明が提供する多孔質バルブ金属電極の製造方法は、バルブ金属箔上にバルブ金属多孔質層を具えた多孔質バルブ金属電極の製造方法であって、表面の算術平均粗さRaが0.040μm以上0.10μm以下のバルブ金属箔を準備し、その表面上にバルブ金属と該バルブ金属との相溶性を有しない異相成分とからなる混合薄膜を形成し、真空中又は不活性ガス雰囲気中において熱処理を施した後、混合薄膜中の異相成分のみを除去してバルブ金属多孔質層を得ることを特徴とする。
本発明によれば、バルブ金属箔とバルブ金属多孔質層との間で優れた密着性を有する多孔質バルブ金属電極を安定して製造することができる。従って、小型低背化や静電容量など固体電解コンデンサとしての性能上の要求を満たすだけでなく、バルブ金属箔とバルブ金属多孔質層とが長期に剥離することがないため、高性能で長期使用が可能な多孔質バルブ金属電極を提供することができる。
本発明による多孔質バルブ金属電極の製造方法は、(1)表面の算術平均粗さRaが0.040μm以上0.10μm以下のバルブ金属箔を準備する工程、(2)バルブ金属箔上にバルブ金属と異相成分とからなる混合薄膜を形成する工程、(3)真空中又は不活性ガス雰囲気中において熱処理を行う工程、(4)混合薄膜中の異相部分のみを除去する工程を具えている。この方法により得られる多孔質バルブ金属電極は、バルブ金属箔上に密着性に優れたバルブ金属多孔質層を具えたものとなる。
混合薄膜の構成成分の1つであって、バルブ金属多孔質層を形成するバルブ金属としては、Ti又はTi合金、Al又はAl合金、Ta又はTa合金、Nb又はNb合金など種々のものが考えられる。しかしながら、Tiは陽極酸化皮膜の絶縁性に問題があり、Alは陽極酸化皮膜の誘電率が小さく容量密度が小さいので、電解コンデンサの陽極体としての実用性を考慮するとTa又はTa合金あるいはNb又はNb合金のいずれかが好ましい。
また、上記バルブ金属と共に混合薄膜を構成する異相成分としては、バルブ金属と相溶性を有さず、バルブ金属に対して熱力学的に安定な金属あるいは酸化物などから選択することができる。具体的には、Ag、Cuなどの金属、MgO、CaOなどの酸化物を用いることができるが、経済性、成膜及び溶解除去の容易性などを考慮するとCuが最も好ましい。
バルブ金属箔を構成するバルブ金属は、上記したTa又はTa合金、Nb又はNb合金から選択されることが好ましいが、他のバルブ金属であってもよい。また、バルブ金属箔のバルブ金属はバルブ金属多孔質層のバルブ金属と同一材質であれば工程上扱いやすいため望ましいが、異なる材質の組み合わせ(例えば、Nb箔とTa多孔質層)であってもよい。
次に、本発明による多孔質バルブ金属電極の製造方法を、上記した(1)〜(4)の各工程に従って説明する。
(1)バルブ金属箔の準備工程
本発明で用いるバルブ金属箔の算術平均粗さRaは、成膜基材である金属箔と混合薄膜との密着性を高めるために、0.040μm以上となっていることが必要である。また、バルブ金属箔の厚さは通常1〜500μm程度であり、その表面上に形成する混合薄膜の膜厚は1〜200μmの範囲で設定することが一般的であるから、その設定された膜厚の中で局所的な膜厚の差をできるだけ抑えるために、バルブ金属箔のRaは0.10μm以下となっていることが好ましい。
本発明で用いるバルブ金属箔の算術平均粗さRaは、成膜基材である金属箔と混合薄膜との密着性を高めるために、0.040μm以上となっていることが必要である。また、バルブ金属箔の厚さは通常1〜500μm程度であり、その表面上に形成する混合薄膜の膜厚は1〜200μmの範囲で設定することが一般的であるから、その設定された膜厚の中で局所的な膜厚の差をできるだけ抑えるために、バルブ金属箔のRaは0.10μm以下となっていることが好ましい。
そのため、混合薄膜の形成工程に供給するバルブ金属箔については、その算術平均粗さRaを測定し、Raが0.040〜0.10μmの範囲内に入っていない場合には、バルブ金属箔の表面粗さを上記Raの範囲内に調整する必要がある。表面粗さの調整方法としては、研磨紙やエメリー紙などで機械的研磨を行うか、フッ酸などの薬剤を用いて化学的研磨を行うことができる。また、バルブ金属箔として圧延品を用いる場合には、圧延の際に使用するロールの表面粗さを制御することによってバルブ金属箔の表面を粗化させることも可能である。
バルブ金属箔の算術平均粗さRaの測定には、触針式表面粗さ測定器のような触針式測定法や、オプティカルプロファイラーのような光干渉式測定法を用いることができる。その中でもオプティカルプロファイラーは、内蔵ソフトウェアにより波形分解を行って長周期波長をうねりと判断し、この長周期波形を除去することができる。そのため、厚さが1〜500μm程度と薄く、金属箔自体にうねりがあるバルブ金属箔でも、うねりを除去した正味の算術平均粗さRaを求めることができるため特に好ましい。
(2)混合薄膜の形成工程
表面の算術平均粗さRaを0.040〜0.10μmの範囲内に調整したバルブ金属箔に対し、その表面(片面又は両面)にバルブ金属及び該バルブ金属と相溶性を有しない異相成分で構成される混合薄膜を成膜する。混合薄膜中の異相成分の割合は、電解コンデンサの用途に応じて適宜決定されるが、好ましくは30〜70体積%の範囲とする。
表面の算術平均粗さRaを0.040〜0.10μmの範囲内に調整したバルブ金属箔に対し、その表面(片面又は両面)にバルブ金属及び該バルブ金属と相溶性を有しない異相成分で構成される混合薄膜を成膜する。混合薄膜中の異相成分の割合は、電解コンデンサの用途に応じて適宜決定されるが、好ましくは30〜70体積%の範囲とする。
異相成分の割合が30体積%未満になると、混合薄膜から異相成分を除去して得られるバルブ金属多孔質層の空隙率が30体積%より小さくなり、バルブ金属多孔質層の表面積が著しく減少し、電解コンデンサとしたときの静電容量が不足してしまう。また、異相成分の割合が70体積%を超える場合には、得られるバルブ金属多孔質層の強度が低下するため好ましくない。
バルブ金属箔上への混合薄膜の成膜方法としては、CVD(化学蒸着)法、スパッタリング法、真空蒸着法などがあり、スパッタ源又は蒸着源の組成を調整したり、成膜条件を変更調整したりすることにより、混合薄膜中の異相成分の割合を変えることができる。また、バルブ金属粒子と異相成分粒子を揮発性のバインダーに分散させ、塗布後にバインダー成分を蒸発させて固着させる印刷法を用いることもできる。印刷法の場合も、バルブ金属と異相成分との粒子の混合割合を変えることによって、混合薄膜中の異相成分の割合を変えることが可能である。
本発明においては、上記した混合薄膜の成膜方法の中でも、バルブ金属と異相成分の同時スパッタリング又は同時蒸着により混合薄膜を形成することが好ましい。同時スパッタリング又は同時蒸着では、バルブ金属と異相成分について各々独立したスパッタ源又は蒸着源を配置し、例えば、各スパッタリング源又は蒸発源への投入電力を調整する等の方法によりスパッタリング速度又は蒸着速度を変えることによって、バルブ金属と異相成分が所定の割合に混合された混合薄膜を形成することができる。
(3)熱処理工程
前述の工程により混合薄膜を成膜した後、その混合薄膜を成膜したバルブ金属箔全体を不活性雰囲気中又は真空中において熱処理する。この熱処理により、バルブ金属粒子同士の焼結、バルブ金属粒子とバルブ金属箔の間の焼結を進めると同時に、異相成分の結晶粒も成長させる。
前述の工程により混合薄膜を成膜した後、その混合薄膜を成膜したバルブ金属箔全体を不活性雰囲気中又は真空中において熱処理する。この熱処理により、バルブ金属粒子同士の焼結、バルブ金属粒子とバルブ金属箔の間の焼結を進めると同時に、異相成分の結晶粒も成長させる。
上記熱処理の雰囲気としては、真空若しくは不活性雰囲気を用いる。バルブ金属がTa又はTa合金若しくはNb又はNb合金の場合、酸化によって漏れ電流特性などが悪化するため、できるだけ酸化が起こらない条件、具体的には高真空中又はAr雰囲気中で熱処理することが好ましい。
また、上記熱処理の温度は、バルブ金属と異相成分の種類、最終的に得られるバルブ金属多孔質層の粒子径に基づいて決定される。即ち、熱処理温度が高いほどバルブ金属と異相成分の粒成長が進行し、最終的に得られるバルブ金属多孔質層の粒子径が粗くなるので、所望の粒成長の程度及び所望のバルブ金属多孔質層の粒子径となるように熱処理温度を予め実験的に定めることが望ましい。
例えば、異相成分がCuの場合、400℃〜1050℃の熱処理温度が好ましい。熱処理温度が400℃未満では、バルブ金属及び異相成分の粒成長は起こるものの、バルブ金属粒子とバルブ金属箔との焼結が十分に進行せず、最終的に得られるバルブ金属多孔質層とバルブ金属箔(集電体)の密着性が低下する。また、熱処理温度が1050℃を超えると、異相成分であるCuの融点以上になるため好ましくない。
(4)異相部分の除去工程
上記熱処理工程が終了した後、バルブ金属と異相成分とからなる混合薄膜中の異相成分のみを除去して、バルブ金属多孔質層を形成する。異相成分の除去方法としては、種々の方法を用いることができるが、操作の簡便さなどの理由から酸などを用いて溶解除去する方法が好ましい。酸などの種類としては、バルブ金属を残して異相成分のみを選択的に溶解するものを使用すればよい。
上記熱処理工程が終了した後、バルブ金属と異相成分とからなる混合薄膜中の異相成分のみを除去して、バルブ金属多孔質層を形成する。異相成分の除去方法としては、種々の方法を用いることができるが、操作の簡便さなどの理由から酸などを用いて溶解除去する方法が好ましい。酸などの種類としては、バルブ金属を残して異相成分のみを選択的に溶解するものを使用すればよい。
例えば、バルブ金属がTa又はTa合金あるいはNb又はNb合金であって、異相成分としてCuやAgを使用した場合には、硝酸、過酸化水素などを使用することができ、MgOやCaOを使用した場合には塩酸などを用いることができる。これらの溶液で混合薄膜中の異相成分を溶解除去した後、水洗、乾燥処理を行うことによって、バブル金属箔上にバルブ金属多孔質層を具えた多孔質バルブ金属電極が得られる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。尚、以下の実施例では薄膜コンデンサとして実用性の高いNb又はTaをバルブ金属箔及びバルブ金属多孔質層に用いているが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
圧延処理した厚さ50μmのTa箔を用意し、その表面粗さをオプティカルプロファイラー(Zygo社製、NewView6200)を用いて測定した結果、算術平均粗さRaは0.040μm未満であった。
圧延処理した厚さ50μmのTa箔を用意し、その表面粗さをオプティカルプロファイラー(Zygo社製、NewView6200)を用いて測定した結果、算術平均粗さRaは0.040μm未満であった。
このTa箔の両面を研磨紙(リファインテック製、カーボマックペーパー#1500)を用いて研磨し、Raを0.045μmに調整した。尚、測定した表面粗さRaは、試料のうねり分を差し引いた正味のRaであり、オプティカルプロファイラーに内蔵されたソフトウェアによって算出された値である。
次に、上記のごとく両面のRaを0.045μmに調整したTa箔を、多元スパッタ装置(株式会社アルバック製、SH−450)の基板ホルダーに設置すると共に、ターゲットとして純度が共に99.99%のTaターゲット及びCuターゲット(いずれも直径152.4mm、高純度化学研究所製)を配置した。
装置内を5×10−5Paまで真空排気し、次にArガスを導入してArガス圧を1Paとした後、膜組成がTa−60体積%CuとなるようにTaターゲットとCuターゲットに対するターゲット投入電力を調整して、同時スパッタリングにより片面に膜厚が10μmのTa−60体積%Cu混合薄膜を形成した。引き続き、Ta箔を裏返し、他方の面にも同様に膜厚が10μmのTa−60体積%Cu混合薄膜を形成した。
その後、両面にTa−60体積%Cu混合薄膜を形成したTa箔を高温真空炉(株式会社東京真空製、turbo−vac)に装入し、真空度5×10−3Pa以上で加熱を開始して、660℃×60分の熱処理を行った。熱処理の終了したTa−60体積%Cu混合薄膜付きTa箔を、縦横10mmの大きさに切断して素子片を作製した。
得られた素子片を、2.3mol/lの硝酸に浸漬することにより、Ta−60体積%Cu混合薄膜中のCuを選択的に溶解除去した。その後、純水で洗浄し、真空乾燥を行って、Ta箔の両面に厚み10μmのTa多孔質層を有する多孔質バルブ金属電極を得た。
(密着性の評価)
上記実施例1で得られた多孔質バルブ金属電極(縦横10mm)について、テープ引き剥がし試験により密着性の評価を行った。即ち、試験片(多孔質バルブ金属電極)の片方の面を、両面テープ(NW−10、ニチバン株式会社製)を用いて平らなプラスチック板に貼り付けた。次に、他方の面の全面に幅1cmの粘着テープ(ポリイミドテープKA00H、電子通商株式会社製)を貼り付け、粘着テープの他端を持って強く引き剥がすことによって、バルブ金属多孔質層が剥離して粘着テープに付着するか否かを調べた。
上記実施例1で得られた多孔質バルブ金属電極(縦横10mm)について、テープ引き剥がし試験により密着性の評価を行った。即ち、試験片(多孔質バルブ金属電極)の片方の面を、両面テープ(NW−10、ニチバン株式会社製)を用いて平らなプラスチック板に貼り付けた。次に、他方の面の全面に幅1cmの粘着テープ(ポリイミドテープKA00H、電子通商株式会社製)を貼り付け、粘着テープの他端を持って強く引き剥がすことによって、バルブ金属多孔質層が剥離して粘着テープに付着するか否かを調べた。
上記テープ引き剥がし試験を試験片である多孔質バルブ金属電極の両面について実施した結果、100個の多孔質バルブ金属電極(両面で試験数は200個)の全てについて、バルブ金属多孔質層がバルブ金属箔から剥がれて粘着テープに付着することはなかった。
(静電容量の評価)
上記実施例1で得られた多孔質バルブ金属電極の静電容量を測定した。まず、試料の多孔質バルブ金属電極にスポットウエルダで直径0.2mmのNbワイヤーを取り付け、電気伝導度10mS/cm、80℃のリン酸水溶液中において、初期電流密度0.01mA/μFV、電圧10V、時間6hの定電圧化成を行って、誘電体となるTa2O5を形成した。
上記実施例1で得られた多孔質バルブ金属電極の静電容量を測定した。まず、試料の多孔質バルブ金属電極にスポットウエルダで直径0.2mmのNbワイヤーを取り付け、電気伝導度10mS/cm、80℃のリン酸水溶液中において、初期電流密度0.01mA/μFV、電圧10V、時間6hの定電圧化成を行って、誘電体となるTa2O5を形成した。
次に、40質量%の硫酸中において、LCRメータ(Agilent製、4263B)を用い、印加バイアス1.5V、周波数120Hz、実効値1.0Vrmsで静電容量を測定した。測定した静電容量と化成電圧、成膜後に求めたスパッタリングによるTa付着重量から静電容量を求めた結果、試料の多孔質バルブ金属電極の静電容量は240kCV/gであった。
[実施例2]
圧延処理した50μmのTa箔を用意し、上記実施例1と同様に表面粗さを測定した結果、算術平均粗さRaは0.040μm未満であった。そこで、このTa箔の両面を、研磨紙(リファインテック製、カーボマックペーパー#1500)を用いて研磨し、Raを0.040μmに調整した。研磨後のTa箔を上記実施例1と同様の方法により処理して、Ta箔の両面に厚み10μmのTa多孔質層を有する多孔質バルブ金属電極を製造した。
圧延処理した50μmのTa箔を用意し、上記実施例1と同様に表面粗さを測定した結果、算術平均粗さRaは0.040μm未満であった。そこで、このTa箔の両面を、研磨紙(リファインテック製、カーボマックペーパー#1500)を用いて研磨し、Raを0.040μmに調整した。研磨後のTa箔を上記実施例1と同様の方法により処理して、Ta箔の両面に厚み10μmのTa多孔質層を有する多孔質バルブ金属電極を製造した。
得られた実施例2の多孔質バルブ金属電極(縦横10mm)について、上記実施例1と同様に、テープ引き剥がし試験により密着性を評価すると共に、静電容量を測定した。その結果、試験数200個の多孔質バルブ金属電極の全てについて、バルブ金属多孔質層が剥がれて粘着テープに付着することはなかった。また、多孔質バルブ金属電極の静電容量は230kCV/gであった。
[実施例3]
圧延処理した50μmのNb箔を用意し、上記実施例1と同様に表面粗さを測定した結果、算術平均粗さRaは0.040μm未満であった。そこで、このNb箔の両面を、研磨紙(リファインテック製、カーボマックペーパー#1500)を用いて研磨し、Raを0.048μmに調整した。研磨後のNb箔を上記実施例1と同様の方法により処理して、Nb箔の両面に厚み10μmのTa多孔質層を有する多孔質バルブ金属電極を製造した。
圧延処理した50μmのNb箔を用意し、上記実施例1と同様に表面粗さを測定した結果、算術平均粗さRaは0.040μm未満であった。そこで、このNb箔の両面を、研磨紙(リファインテック製、カーボマックペーパー#1500)を用いて研磨し、Raを0.048μmに調整した。研磨後のNb箔を上記実施例1と同様の方法により処理して、Nb箔の両面に厚み10μmのTa多孔質層を有する多孔質バルブ金属電極を製造した。
得られた実施例3の多孔質バルブ金属電極(縦横10mm)について、上記実施例1と同様に、テープ引き剥がし試験により密着性を評価すると共に、静電容量を測定した。その結果、試験数200個の多孔質バルブ金属電極の全てについて、バルブ金属多孔質層が剥がれて粘着テープに付着することはなかった。また、多孔質バルブ金属電極の静電容量は250kCV/gであった。
[比較例1]
圧延処理した50μmのTa箔を用意し、上記実施例1と同様に表面粗さを測定した結果、算術平均粗さRaは0.018μmであった。このNb箔を研磨することなく使用し、上記実施例1と同様の方法により処理してTa箔の両面に厚み10μmのTa多孔質層を有する多孔質バルブ金属電極を製造した。
圧延処理した50μmのTa箔を用意し、上記実施例1と同様に表面粗さを測定した結果、算術平均粗さRaは0.018μmであった。このNb箔を研磨することなく使用し、上記実施例1と同様の方法により処理してTa箔の両面に厚み10μmのTa多孔質層を有する多孔質バルブ金属電極を製造した。
得られた比較例1の多孔質バルブ金属電極(縦横10mm)について、上記実施例1と同様に、テープ引き剥がし試験により密着性を評価すると共に、静電容量を測定した。その結果、試験数200個の多孔質バルブ金属電極のうち、62個はバルブ金属多孔質層が剥がれて粘着テープに付着した。また、多孔質バルブ金属電極の静電容量は230kCV/gであった。
[比較例2]
圧延処理した50μmのTa箔を用意し、上記実施例1と同様に表面粗さを測定した結果、算術平均粗さRaは0.031μmであった。このTa箔を研磨することなく使用し、上記実施例1と同様の方法により処理してTa箔の両面に厚み10μmのTa多孔質層を有する多孔質バルブ金属電極を製造した。
圧延処理した50μmのTa箔を用意し、上記実施例1と同様に表面粗さを測定した結果、算術平均粗さRaは0.031μmであった。このTa箔を研磨することなく使用し、上記実施例1と同様の方法により処理してTa箔の両面に厚み10μmのTa多孔質層を有する多孔質バルブ金属電極を製造した。
得られた比較例2の多孔質バルブ金属電極(縦横10mm)について、上記実施例1と同様に、テープ引き剥がし試験により密着性を評価すると共に、静電容量を測定した。その結果、試験数200個の多孔質バルブ金属電極のうち、18個はバルブ金属多孔質層が剥がれて粘着テープに付着していた。また、多孔質バルブ金属電極の静電容量は230kCV/gであった。
[比較例3]
圧延処理した50μmのNb箔を用意し、上記実施例1と同様に表面粗さを測定した結果、算術平均粗さRaは0.020μmであった。このNb箔を研磨することなく使用し、上記実施例1と同様の方法により処理してNb箔の両面に厚み10μmのTa多孔質層を有する多孔質バルブ金属電極を製造した。
圧延処理した50μmのNb箔を用意し、上記実施例1と同様に表面粗さを測定した結果、算術平均粗さRaは0.020μmであった。このNb箔を研磨することなく使用し、上記実施例1と同様の方法により処理してNb箔の両面に厚み10μmのTa多孔質層を有する多孔質バルブ金属電極を製造した。
得られた比較例3の多孔質バルブ金属電極(縦横10mm)について、上記実施例1と同様に、テープ引き剥がし試験により密着性を評価すると共に、静電容量を測定した。その結果、試験数200個の多孔質バルブ金属電極のうち、56個はバルブ金属多孔質層が剥がれて粘着テープに付着していた。また、多孔質バルブ金属電極の静電容量は230kCV/gであった。
上記した実施例1〜3及び比較例1〜3について、金属箔の材質と算術平均粗さRa、多孔質層の材質と厚み、テープ引き剥がし試験による密着性評価の結果、及び静電容量を、下記表1にまとめて示す。
Claims (3)
- バルブ金属箔上にバルブ金属多孔質層を具えた多孔質バルブ金属電極の製造方法であって、表面の算術平均粗さRaが0.040μm以上0.10μm以下のバルブ金属箔を準備し、その表面上にバルブ金属と該バルブ金属との相溶性を有しない異相成分とからなる混合薄膜を形成し、真空中又は不活性ガス雰囲気中において熱処理を施した後、混合薄膜中の異相成分のみを除去してバルブ金属多孔質層を得ることを特徴とする多孔質バルブ金属電極の製造方法。
- 前記バルブ金属箔の表面を機械的研磨又は化学的研磨することにより、表面の算術平均粗さRaを0.040μm以上0.10μm以下に調整することを特徴とする、請求項1に記載の多孔質バルブ金属電極の製造方法。
- 前記バルブ金属箔及び前記バルブ金属多孔質層がTa又はTa合金、Nb又はNb合金からなり、前記異相成分がCuであって、前記混合薄膜中のCuの割合が30〜70体積%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多孔質バルブ金属電極の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010061825A JP2011198873A (ja) | 2010-03-18 | 2010-03-18 | 多孔質バルブ金属電極の製造方法 |
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