(第1実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態が説明される。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパや画像形成処理を受ける他のシート材料を意味する。「シートの先頭縁」との用語は、シートの搬送方向において、先頭に位置するシートの縁を意味する。以下の説明で用いられる「上流」、「下流」及びこれらに類する用語は、シートの搬送方向における「上流」、「下流」及びこれらに類する概念を意味する。
図1は、画像形成装置の内部構造を概略的に示す。図1に示される画像形成装置は、プリンタであるが、他の実施形態において、複写機、ファクシミリ装置やこれらの機能を備える複合機といった画像を形成するための任意の装置が画像形成装置として用いられてもよい。
画像形成装置1は、シートに画像を形成するための様々な装置(例えば、後述される画像形成部410)と、これら装置を収容する筐体2と、筐体2の下方に配設される搬送装置600と、を備える。本実施形態において、筐体2の下方には2つの搬送装置600が配設されているが、他の実施形態において、1つの搬送装置600が筐体2の下方に配設されてもよい。更に他の実施形態において、3以上の搬送装置600が筐体2の下方に配設されてもよい。尚、本実施形態において、最も下方に配設される搬送装置600は、便宜的に、第1搬送装置610と称され、筐体2と第1搬送装置610との間に配設される搬送装置600は、第2搬送装置620と称される。
画像形成装置1は、外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ(図示せず))から画像形成処理に係る制御信号を受信し、制御信号に基づき、画像形成処理に必要な様々な動作を行う。画像形成装置1は、第1搬送装置610内に挿脱自在に収容される第1カセット631、第2搬送装置620内に挿脱自在に収容される第2カセット632及び筐体2の下部に挿脱自在に収容される第3カセット633を含む。例えば、第1カセット631、第2カセット632及び第3カセット633内に収容されるシートが互いに異なる寸法である場合、画像形成装置1は、制御信号によって指定されるシートの大きさに応じて、シートの供給源となるカセット631,632,633を選択する。画像形成装置1は、更に、トレイ510を備える。トレイ510は、筐体2に対して上下に回動可能である。使用者は、トレイ510を下方に回動させ、シートをトレイ510上に載置してもよい。外部装置からの制御信号が、シートの供給源として、トレイ510を指定するならば、トレイ510上のシートを筐体2内に引き込む。
搬送装置600の下面には、シートが導入される導入口641が形成される。また、搬送装置600の上面には、シートが排出される排出口642が形成される。本実施形態において、搬送装置600の下面は、便宜的に、第1面643と称される。また、搬送装置600の上面(即ち、第1面643と反対側の面)は、便宜的に、第2面644と称される。搬送装置600内には、導入口641と排出口642との間で延びる接続搬送路645が形成される。第1搬送装置610の第2面644に第2搬送装置620の第1面643が隣接する。また、第1搬送装置610の排出口642は、第2搬送装置620の導入口641に連通する。かくして、第1搬送装置610内に形成された接続搬送路645と、第2搬送装置620内に形成された接続搬送路645は、連続的に繋がることとなる。
カセット631,632,633それぞれは、カセット631,632,633内に収容されたシートの先頭縁を押し上げるためのリフト板634を備える。搬送装置600は、リフト板634の下流端(図1中、右端)の上方に配設されたピックアップローラ646を備える。ピックアップローラ646は、リフト板634によって押し上げられたシートの先頭縁と接触する。ピックアップローラ646の回転によって、シートは、カセット631,632から取り出され、下流へ搬送される。
搬送装置600は、給紙ローラ647及び給紙ローラ647に対向して配設されるリタードローラ648を備える。ピックアップローラ646は、給紙ローラ647とリタードローラ648との間にシートを送り込む。給紙ローラ647は、シートを更に下流へ送り出すように回転する。リタードローラ648の回転は、トルクリミッタ(図示せず)により制御される。ピックアップローラ646が2以上のシートを給紙ローラ647とリタードローラ648との間に送り込んだとき、トルクリミッタが作動し、リタードローラ648を回転不能にする。この結果、リタードローラ648は、最上位にあるシート(給紙ローラ647と直接的に接触するシート)以外のシートの搬送に抗する摩擦力を与えることとなる。ピックアップローラ646が1枚のシートを給紙ローラ647とリタードローラ648との間に送り込んだとき、トルクリミッタは作動せず、リタードローラ648はシートの搬送に従って回転する。この結果、シートは1枚ずつ下流へ送り込まれることとなる。
搬送装置600は、排出口642に取り付けられた搬送ローラ対649を備える。第1搬送装置610の搬送ローラ対649は、第1搬送装置610の給紙ローラ647によって送り出されたシートを、排出口642を通じて、第2搬送装置620の導入口641に送り込む。第2搬送装置620の搬送ローラ対649は、第2搬送装置620の給紙ローラ647によって送り出されたシート又は第1搬送装置610の搬送ローラ対649によって送り出されたシートを第2搬送装置620外へ排出する。
筐体2の下面には、導入口650が形成される。また、筐体2の内部には、導入口650を基端として、上方に延びる導入搬送路651が形成される。第2搬送装置620の搬送ローラ対649によって、送り出されたシートは、筐体2の導入口650を通じて、導入搬送路651内に導入される。かくして、搬送装置600は、シートを筐体2内に好適に搬送することができる。
画像形成装置1は、第3カセット633のリフト板634の下流端(図1中、右端)の上方に配設されるピックアップローラ311を備える。ピックアップローラ311は、リフト板634によって押し上げられたシートの先頭縁と接触する。ピックアップローラ311の回転によって、シートは、第3カセット633から取り出され、下流へ搬送される。
画像形成装置1は、給紙ローラ312及び給紙ローラ312に対向して配設されるリタードローラ313を備える。ピックアップローラ311は、給紙ローラ312とリタードローラ313との間にシートを送り込む。給紙ローラ312は、シートを更に下流へ送り出すように回転する。リタードローラ313の回転は、トルクリミッタ(図示せず)により制御される。ピックアップローラ311が2以上のシートを給紙ローラ312とリタードローラ313との間に送り込んだとき、トルクリミッタが作動し、リタードローラ313を回転不能にする。この結果、リタードローラ313は、最上位にあるシート(給紙ローラ312と直接的に接触するシート)以外のシートの搬送に抗する摩擦力を与えることとなる。ピックアップローラ311が1枚のシートを給紙ローラ312とリタードローラ313との間に送り込んだとき、トルクリミッタは作動せず、リタードローラ313はシートの搬送に従って回転する。したがって、この結果、シートは1枚ずつ下流へ送り込まれることとなる。
画像形成装置1は、レジストローラ対320を備える。レジストローラ対320は、画像形成部410が実行する画像形成処理とタイミングを合わせて、画像形成部410にシートを送り出す。筐体2内には、給紙ローラ312によって送り出されたシートをレジストローラ対320まで案内する第1給紙搬送路310が形成される。レジストローラ対320と給紙ローラ312との間において、第1給紙搬送路310を通過するシートを搬送するための搬送ローラ対315が配設される。導入搬送路651に導入されたシート又は第3カセット633から送り出されたシートは、搬送ローラ対315によって、レジストローラ対320へ搬送される。
画像形成装置1は、トレイ510上のシートを筐体2内に引き込む給紙構造体520を備える。給紙構造体520は、筐体2に向けて下方に傾斜したトレイ510上のシートの先頭縁を押し上げるリフト板521と、リフト板521によって押し上げられたシートの先頭縁と接触可能に配設された給紙ローラ522と、給紙ローラ522の下方に配設された分離パッド523とを含む。給紙ローラ522が回転すると、シートは、給紙ローラ522と分離パッド523との間を通過する。分離パッド523は、給紙ローラ522と分離パッド523との間を通過するシートに対して摩擦力を与える。したがって、給紙ローラ522が複数枚のシートを筐体2内へ引き込もうとするとき、分離パッド523は最上位にあるシート(給紙ローラ522と直接的に接触するシート)以外のシートに搬送方向と逆方向に作用する摩擦力を与え、筐体2内に引き込まれることを妨げる。この結果、シートは1枚ずつ筐体2内へ送り込まれることとなる。
筐体2内には、トレイ510からのシートを案内するための第2給紙搬送路530が形成される。第2給紙搬送路530は、第3カセット633の上方で、筐体2の背面壁24に向けて延び、その後、上方へ徐々に湾曲しつつ、レジストローラ対320へ向かう。第2給紙搬送路530は、レジストローラ対320の上流で、第1給紙搬送路310と合流する。上方へ湾曲する前の第2給紙搬送路530の略直線状の区間には、3つの搬送ローラ対360が配設される。これら搬送ローラ対360は、第2給紙搬送路530中のシートをレジストローラ対320に向けて搬送する。
筐体2内には、レジストローラ対320から定着部430までの区間、シートを案内する主搬送路330と、定着部430から排出部450までの区間、シートを案内する排出搬送路340とが形成される。レジストローラ対320に到達したシートは、主搬送路330及び排出搬送路340を通過する間に、画像形成部410によって画像形成処理を受け、定着部430によってトナー画像の定着処理を受ける。その後、使用者が片面印刷を画像形成装置1にさせるならば、シートは、排出搬送路340に設けられた排出部450を通じて、筐体2の上面の一部をなす排紙トレイ23上に排出される。排出されたシートは、排紙トレイ23上に積層されることとなる。
使用者が両面印刷を画像形成装置1にさせるとき、排出部450は、定着部430から排出搬送路340へ送り出されたシートを所定量だけ筐体2外へ送り出した後、筐体2内へ引き戻すスイッチバック動作を行う。搬送路は更に、排出部450によって引き戻されたシートを案内するための戻し搬送路350を含む。戻し搬送路350は、排出部450から筐体2の背面壁24へ向かって延び、その後、下方に向けて延びる。更にその後、戻し搬送路350は、第1給紙搬送路310に向けて延び、搬送ローラ対360の上流で第1給紙搬送路310と合流する。戻し搬送路350の適所には、これら搬送路に案内されるシートを搬送するための搬送ローラ対360が配設される。
画像形成部410は、イエロー用トナーコンテナ900Y、マゼンタ用トナーコンテナ900M、シアン用トナーコンテナ900C、ブラック用トナーコンテナ900Kを含む。これらコンテナの下方には、YMCK各色に対応する現像装置10Y、10M、10C、10Kがそれぞれ配設される。画像形成部410は、これらトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kに収容されたトナーを用いて、シートに画像を形成する。
画像形成部410は、各色のトナー像を担持する感光体ドラム17(電子写真方式で潜像が形成される感光体)を含む。感光体ドラム17として、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。各感光体ドラム17には、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kからそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが供給される。
感光体ドラム17の周囲には、帯電器16、現像装置10(10Y、10M、10C、10K)、転写器(転写ローラ)19及びクリーニング装置18が配置される。帯電器16は、感光体ドラム17の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム17の表面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。露光ユニット94は、例えば、外部装置からの画像信号(画像情報を含む信号)に基づき、レーザ光を照射する。現像装置10Y、10M、10C、10Kは、それぞれトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kから供給される各色のトナーを用いて、各々の感光体ドラム17上に形成された静電潜像を現像(可視像化)する。転写ローラ19は、中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム17とニップ部を形成し、感光体ドラム17上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置18は、トナー像転写後の感光体ドラム17の周面を清掃する。
各現像装置10Y、10M、10C、10Kは、現像筐体20を備える。現像筐体20の内部には、磁性キャリアとトナーとを有する2成分現像剤が収納される。また、現像筐体20内には、現像筐体20の底部近傍に長手方向を軸方向として並列に2本の攪拌ローラ11、12(現像剤攪拌部材)が回転可能に配置される。
現像筐体20の内部底面には、現像剤の循環経路が設定されており、攪拌ローラ11、12は循環経路内に配設される。攪拌ローラ11、12の間の軸方向には、現像筐体20の底部から立設された仕切り壁201が設けられる。仕切り壁201は、循環経路を区画する。仕切り壁201の周囲を周回するように、循環経路が形成される。2成分現像剤は、循環経路を攪拌ローラ11及び12によって攪拌、搬送されながら帯電される。
2成分現像剤は、攪拌ローラ11及び12によって攪拌されつつ現像筐体20内を循環し、トナーが帯電される。攪拌ローラ11上の2成分現像剤は、上側に位置する磁気ローラ14に吸引されて搬送される。吸引された2成分現像剤は、磁気ローラ14上に磁気ブラシ(図示せず)を形成する。磁気ブラシは、ドクターブレード13によって層厚規制される。現像ローラ15上のトナー層は、磁気ローラ14と現像ローラ15との間の電位差によって形成される。トナー層によって感光体ドラム17上の静電潜像が現像される。
露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成部410の各々に設けられた感光体ドラム17の周面に、画像信号に基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラ922及び従動ローラ923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム17からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、カセット631,632,633又はトレイ510から供給されるシートに二次転写部98において二次転写される。中間転写ベルト921を周回駆動させる駆動ローラ922及び従動ローラ923は、筐体2によって回転自在に支持される。
レジストローラ対320から送り出されたシートは、二次転写部98を構成する中間転写ベルト921及び転写ローラ981との間に供給される。その後、シートは二次転写部98によって転写されたトナー画像を担持しつつ、定着部430へ送り出される。
定着部430は、ヒータ431を内蔵する加熱ローラ432と、加熱ローラ432に圧接される加圧ローラ433とを含む。二次転写部98から送り出されたシートは、加熱ローラ432と加圧ローラ433との間に送り込まれる。シート上のトナーは加熱ローラ432からの熱エネルギを受け溶融し、加圧ローラ433からの圧力を受けることにより、シートに定着されることとなる。定着部430は、シートにトナーを定着した後、排出搬送路340を介してシートを排出部450へ送る。
排出部450は、排出ローラ対451を含む。排出ローラ対451は正転・逆転可能に形成される。これにより、上述のスイッチバック動作が達成されることとなる。
図2は、搬送装置600を示す。図2(a)は、搬送装置600の平面図である。図2(b)は、搬送装置600の斜視図である。図2と併せて、図1を参照しつつ、搬送装置600が説明される。
搬送装置600は、略四角筒状の枠体660を備える。枠体660は、画像形成装置1の筐体2の正面壁25に連なる第3面661と、画像形成装置1の筐体2の背面壁24に連なる第4面662とを形成する。また、枠体660は、第3面661及び第4面662それぞれの両端の間で延びる一対の側壁663を含む。第1搬送装置610及び第2搬送装置620の第3面661それぞれは、第1カセット631及び第2カセット632を挿入するために用いられる。
搬送装置600は、枠体660内に形成された接続搬送路645中で詰まったシートを除去するための外カバー670を備える。外カバー670は、第3面661の反対側の第4面662を形成する壁部に回動可能に接続され、第4面662の一部を形成する。外カバー670の外面には、使用者の指が挿入されるように凹設された取手部671が形成される。使用者は、取手部671に指を挿入し、外カバー670の下縁を軸に、外カバー670を上下に回動させることができる。
搬送装置600は、枠体660の上面に形成された開口部を部分的に閉塞する第1天板681、第2天板682、第3天板683及び第4天板684を備える。第1天板681、第2天板682、第3天板683及び第4天板684は、図1に関連して説明された搬送装置600の第2面644を形成する。第1天板681は、一対の側壁663それぞれの上縁間で延び、第1天板681の縁部は、排出口642を形成する。第1天板681の下面には、図1に関連して説明されたピックアップローラ646、給紙ローラ647、搬送ローラ対649を形成する駆動ローラ732及びこれらを駆動するための駆動装置(図示せず)が接続される。第1天板681の上面には、第1搬送装置610と第2搬送装置620との間或いは第2搬送装置620と画像形成装置1の筐体2との間で電気を導電させるための第2導電部692が取り付けられる。かくして、第2導電部692は、搬送装置600の第2面644に露出する。第2導電部692は、導電性材料からなる細長い板材であり、第1天板681の上面で、一対の側壁663間で延びる。
第2天板682は、第1天板681と第3面661の上縁との間に配設される。第1搬送装置610及び第2搬送装置620それぞれの第2天板682の下面には、第1カセット631及び第2カセット632内へ気流を送り込むためのファン685を含む。ファン685からの気流によって、第1カセット631及び第2カセット632内のシート間の吸着力が低減し、シートの重送が抑制される。第3天板683及び第4天板684それぞれは、第1天板、第2天板682及び一対の側壁663の上縁で囲まれる領域を閉塞するように配設される。
図3は、第1天板681及び第2天板682が除去された搬送装置600の斜視図である。図3(a)及び図3(b)の搬送装置600は、それぞれ異なる角度から描かれている。図3と併せて、図1及び図2を参照しつつ、搬送装置600が更に説明される。
第1搬送装置610及び第2搬送装置620の第3面661それぞれには、第1カセット631及び第2カセット632が挿入される開口部664が形成される。また、第1搬送装置610及び第2搬送装置620の枠体660内には、第1カセット631及び第2カセット632が収容される空間が形成される。使用者は、開口部664を通じて、第1搬送装置610及び第2搬送装置620それぞれに、第1カセット631及び第2カセット632を挿入することができる。
側壁663の内面には、ファン686が取り付けられる。ファン686は、図2に関連して説明された第2天板682に取り付けられたファン685と同様に、第1カセット631及び第2カセット632内へ気流を送り込む。ファン686からの気流によって、第1カセット631及び第2カセット632内のシート間の吸着力が低減し、シートの重送が抑制される。
搬送装置600は、枠体660内に配設された案内部700を含む。案内部700は、一対の側壁663の内面間で延びる。案内部700は、接続搬送路645を形成する第1案内面711を形成する第1案内板710を含む。第1案内面711は、図1に関連して説明された如く、導入口641から排出口642へ向かうシートを案内する。第1搬送装置610及び第2搬送装置620それぞれの案内部700は更に、第1カセット631及び第2カセット632からピックアップローラ646によって取り出されたシートを案内する第2案内面721を形成する第2案内板720を含む。第1搬送装置610及び第2搬送装置620それぞれの第2案内板720は、第1カセット631及び第2カセット632から送り出されたシートを、排出口642に向けて案内する。第1案内板710及び第2案内板720は、シートの搬送方向に沿って延びるリブを含み、比較的複雑な形状をなすので、樹脂から成型されることが好ましい。
外カバー670と第1案内板710との間に内カバー730が配設される。内カバー730は、案内部700と同様に、一対の側壁663の内面間で延びる。内カバー730は、外カバー670と連動して、上下に回動する。したがって、使用者が、外カバー670の取手部671に指を挿入し、外カバー670を回動させると、内カバー730の下縁を軸にして、内カバー730も回動する。かくして、第1案内面711が外部に露出し、接続搬送路645内で詰まったシートが好適に除去されることとなる。
内カバー730の下縁と案内部700の下縁との間に、図1に関連して説明された導入口641が形成される。内カバー730の上縁と案内部700の上縁との間に、図1及び図2に関連して説明された排出口642が形成される。案内部700の第1案内面711に対向する内カバー730の内面734は、第1案内面711と協働して、接続搬送路645を形成し、排出口642へ向かうシートを案内する。内面734が搬送されるシートを案内する内カバー730の位置は、本実施形態において、便宜的に第1位置と称される。内カバー730が第1位置に存する間、外カバー670は、第4面662を部分的に形成する。内カバー730の外側に配設される外カバー670に向けて内カバー730が回動された位置は、本実施形態において、便宜的に第2位置と称される。上述の如く、内カバー730は、外カバー670と連動して、枠体660の外方に回動可能である。
搬送装置600は、内カバー730の上部で支持されるシャフト731と、シャフト731に支持される一対の従動ローラ733を備える。従動ローラ733は、搬送ローラ対649の駆動ローラ732に圧接され、駆動ローラ732とともに回転する。したがって、駆動ローラ732及び従動ローラ733は、第1案内面711によって案内されるシートを排出口642に向けて搬送する搬送ローラとして用いられる。
搬送装置600は、一対の側壁663間でシートの幅方向に延びる補強板740を備える。補強板740の断面は略L字形状をなす。補強板740は、案内部700に接続される接続部741と、枠体660の下面(即ち、搬送装置600の第1面643)に露出する第1導電部742とを含む。補強板740は、案内部700の機械的強度の増大及び導電機能を両立させるため、導電性を有する金属材料から形成されることが好ましい。
第2搬送装置620の第1導電部742は、第1搬送装置610の第2導電部692に接触する。かくして、第1導電部742と第2導電部692との間の電気的接続が確立され、第1搬送装置610から第2搬送装置620への導電が図られる。
図4は、案内部700の斜視図である。図4(a)及び図4(b)の案内部700はそれぞれ異なる角度から描かれている。図4と併せて、図1を参照しつつ、案内部700が説明される。
案内部700は、上述の如く、第1案内板710と第2案内板720とを含む。第1案内板710は、上述の如く、接続搬送路645を形成する第1案内面711と、第1案内面711と反対側の補強面712とを含む。補強面712には、補強板740の接続部741が接続される。かくして、第1案内板710の変形が抑制されることとなる。第1案内板710は、第1案内面711から突出する複数のリブ713を含む。リブ713は、接続搬送路645中のシートの搬送方向に沿って延びる。
第2案内板720の下面はリブ713に接続される。第2案内板720は緩やかに上方に向けて湾曲する。第2案内板720の中央に形成された凹部に、図1に関連して説明されたリタードローラ648及びリタードローラ648の回転を制御するトルクリミッタ481が埋設される。
図5は、外カバー670と内カバー730との間の接続構造を示す側面図である。図5を参照しつつ、外カバー670と内カバー730との間の接続構造が説明される。
外カバー670と内カバー730との間には、外カバー670の回動に連動して、内カバー730を回動させるリンク要素として用いられるリンク棒750が配設される。リンク棒750の一端部は、外カバー670に回動可能に接続される。リンク棒750の他端部は、内カバー730に回動可能に接続される。内カバー730の側面の下部から回動シャフト735が突出する。また、外カバー670の側面の下部から回動シャフト672が突出する。
図6は、第2位置へ回動された内カバー730及び外カバー670の斜視図である。図6と併せて、図5を参照しつつ、内カバー730及び外カバー670の回動が説明される。
側壁663は、枠体660の側外面を形成する外壁665と、枠体660の内部で第3面661と第4面662との間で延びる内壁666とを含む。内カバー730の回動シャフト735及び外カバー670の回動シャフト672は、内壁666に形成された凹部又は開口部に回転可能に挿入される。かくして、内カバー730及び外カバー670の側面に隣接して配設された内壁666は、内カバー730及び外カバー670を回動可能に支持することとなる。内壁666には、内カバー730を第1位置に位置決めするための位置決め機構760が構築される。
図7は、内壁666に形成された位置決め機構760を示す。図7と併せて、図5及び図6を参照しつつ、位置決め機構760が説明される。
上述の如く、内壁666には、内カバー730の回動シャフト735が挿入される凹部667が形成される。また、内壁666には、凹部667よりも外方に開口部669が形成される。上述の如く、外カバー670の回動シャフト672は、開口部669に挿入される。内カバー730及び外カバー670は、内壁666に形成された凹部667及び開口部669に挿入された回動シャフト735,672を軸に回動される。
位置決め機構760は、回動シャフト735の上方において、内カバー730の側面から内壁666に向けて突出するピン761を含む。図6及び図7に示される如く、内壁666には、内カバー730が回動している間にピン761が描く弧状の軌跡に沿って、溝部762が凹設される。溝部762によって、ピン761と内壁666との干渉が防がれる。位置決め機構760は、溝部762を形成する溝壁763を含む。本実施形態において、ピン761が描く弧状の軌跡の下方に位置する弧状の溝壁763は、第1溝壁764と便宜的に称される。また、第1溝壁764の上方において、ピン761が描く弧状の軌跡に沿う溝壁763は、第2溝壁765と便宜的に称される。更に、第1溝壁764と第2溝壁765との間で、溝部762の底面を形成する溝壁763は、便宜的に、第3溝壁766と称される。
位置決め機構760は、内壁666に回動可能に取り付けられた略J字形状のフック要素767を備える。フック要素767は、第1溝壁764に対向して配設される。フック要素767は、第1溝壁764と協働して、第1位置に存する内カバー730のピン761を取り囲んで係合するための略C字形状の輪郭を有する空間を形成する。
位置決め機構760は、フック要素767を第1溝壁764に向けて付勢する付勢部材として用いられるコイルバネ768を含む。コイルバネ768の上端は、内壁666の上縁から内方に向けて延出する上縁壁691に接続される。コイルバネ768の下端は、フック要素767の略五角形状の先端部769の上面に接続される。内カバー730が第2位置から第1位置に向けて移動するとき、ピン761は溝部762に沿って移動する。ピン761は、フック要素767の先端部769をコイルバネ768に抗して押し上げつつ、先端部769と接続されるフック要素767の基端部770に接触する位置に到達する。フック要素767の先端部769は、このとき、コイルバネ768の復元によって、押し下げられる。この結果、ピン761は、第1溝壁764に向けて突出するフック要素767の先端部769によって係合され、内カバー730は、第1位置に位置決めされる。
図8は、第1位置に存する内カバー730及び外カバー670を示す斜視図である。図8と併せて、図5及び図6を参照しつつ、内カバー730及び外カバー670が更に説明される。
外カバー670は、内カバー730に向けて突出する略T字形状の突出片673を備える。突出片673は、内カバー730に対向する外カバー670の内面の上縁から内カバー730に向けて突出する本体部674と、本体部674より幅狭に形成される嵌入部675とを含む。嵌入部675は、本体部674の先端縁から更に内カバー730に向けて突出する。
内カバー730は、突出片673を受けるための受け部736を備える。受け部736は、内カバー730の内面734と反対側の外面737の上部で、外カバー670に向けて隆起する。受け部736には、上下方向に延びる凹部738が形成される。凹部738は、突出片673の嵌入部675の幅に対して相補的な幅を有し、嵌入部675は、凹部738に嵌入される。本実施形態において、凹部738と嵌入部675との間の噛み合いはシートの幅方向中心位置に沿う位置で達成されるが、他の位置で、凹部738と嵌入部675との間の噛み合いが形成されてもよい。
図9は、第2位置から第1位置へ向かう途中の内カバー730及び外カバー670を示す斜視図である。尚、図9に示される内カバー730のピン761は、図7に関連して説明されたフック要素767と係合する直前の位置にある。図9と併せて、図5乃至図7を参照しつつ、凹部738と突出片673との間の噛み合いの効果が説明される。
使用者が、例えば、外カバー670の中央に形成された取手部671よりも右方で外力F1を加え、外カバー670を上方に回動させようとすると、フック要素767から受ける抗力及び外力F1が外カバー670に伝達され、外カバー670が捻れるように変形しようとする。この結果、突出片673を左方に移動させようとする力が外カバー670に働く。図9に示される如く、第2位置から第1位置へ向かう途中で、突出片673の嵌入部675は、凹部738に嵌入される。凹部738を形成する面は、内カバー730及び/又は外カバー670の回動中心軸に沿う方向で嵌入部675の縁部(側縁)と当接するので、外カバー670の変形が抑制されることとなる。
嵌入部675が凹部738に嵌入されたとき、本体部674の先端縁は内カバー730の受け部736に当接する。かくして、突出片673は、リンク棒750と協働して、内カバー730を第1位置に押し込む役割を担うこととなる。
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る外カバーと内カバーの斜視図である。図10に示される内カバー及び外カバーは、第1位置に存する。第2実施形態の内カバー及び外カバーは、突出片及び凹部の形成において、第1実施形態と異なるが、他の構造や形状は第1実施形態に従う。以下、第1実施形態との相違点が説明される。
図10に示される如く、突出片673Aは、内カバー730Aから外カバー670Aに向けて突出してもよい。本実施形態において、外カバー670Aに凹部738Aが形成される。第1実施形態の突出片673と同様に、突出片673Aは略T字状に形成され、内カバー730Aから外カバー670Aに向けて突出する本体部674Aと、本体部674Aから突出する嵌入部675Aとを含む。嵌入部675Aは、第1実施形態と同様に、凹部738Aに嵌入される。
図10に示される突出片673A及び凹部738Aの構造によっても、内カバー730Aが第2位置に向かう途中で、嵌入部675Aは凹部738Aに嵌入され、外カバー670Aの変形が好適に抑制されることとなる。また、嵌入部675Aが凹部738Aに嵌入されている間、本体部674Aの先端縁は、外カバー670Aに当接し、外カバー670Aに加えられた使用者からの外力F1を内カバー730Aに好適に伝達することができる。