JP2011196190A - 密閉型圧縮機および冷凍装置 - Google Patents

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賢治 金城
Ko Inagaki
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Abstract

【課題】吸入経路における冷媒ガスの流路抵抗による吸入損失を低減することによって、体積効率を向上させるとともに、低周波数域の冷媒ガス脈動成分を減衰させ、冷凍装置の配管振動を小さく抑え、騒音を低減できる密閉型圧縮機を提供する。
【解決手段】吸入マフラー151に、冷媒ガス105をマフラー本体157へ導入する第一尾管153と第二尾管155を設け、第一尾管153の第一吸入口167を、コネクタ165を介して密閉容器101に設けられた吸入管107の開口部106と接続し、第二尾管155を密閉容器101内空間と連通したことにより、吸入経路における吸入損失を低減し、体積効率の向上をはかるとともに、低周波数域の冷媒ガス脈動成分を第二尾管155から密閉容器101内へ逃がし、減衰させることで、冷凍装置の配管振動を小さく抑え、騒音を低減する。
【選択図】図3

Description

本発明は、家庭用電気冷凍冷蔵庫やショーケースなどに使用される密閉型圧縮機の吸入マフラーに関するものである。
近年、地球環境保護に対する要求はますます強まってきており、冷蔵庫やその他の冷凍サイクル装置などにおいても、特に高効率化が強く要望されている。
従来、この種の密閉型圧縮機としては、密閉容器内外を連通する吸入管と圧縮機の吸入マフラーの吸入口とを可撓性材料でできた管状コネクタで接続し吸入経路を形成し、冷凍装置を循環して戻ってきた低温で密度の大きい冷媒ガスを密閉容器内に開放することなく圧縮室に吸入するとともに、吸入マフラーに均圧チャンバーを備え、吸入経路と密閉容器内空間との圧力差を小さくしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
図14は、特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機の縦断面図、図15は、同特許文献に記載された従来の吸入マフラーの概略断面図である。
図14および図15に示すように、従来の密閉型圧縮機は、密閉容器1の底部にオイル3を貯留するとともに冷媒ガス5が充填され、圧縮機本体7がサスペンションスプリング9によって、密閉容器1内に弾性的に支持されている。
圧縮機本体7は、電動要素11と、電動要素11の上方に配設される圧縮要素13とを備え、電動要素11は、ステータ15およびロータ17を有している。
圧縮要素13は、偏心軸19と主軸21とを備えたクランクシャフト23と、圧縮室25を形成するシリンダ27を一体に形成したブロック29と、シリンダ27内を往復運動するピストン31と、シリンダ27の端面を封止するバルブプレート33と、バルブプレート33に形成された吸入孔35(図15)と、この吸入孔35を開閉する吸入バルブ37(図15)と偏心軸19とピストン31とを連結する連結手段39を備えている。
さらに、吸入マフラー43は、シリンダ27の端面に取り付けられたバルブプレート33と、バルブプレート33を介してシリンダ27に取り付けられたシリンダヘッド41によって挟持され、固定されている。
吸入マフラー43は、PBT等の樹脂で成型されるとともに、図15に示す如く、消音空間45を形成するマフラー本体47と、マフラー本体47に設けられた吸入口49と、可撓性材料で形成された管状コネクタ51で構成されている。
管状コネクタ51は、一端が吸入口49に連通し、他端が密閉容器1に設けられた容器内外を連通する吸入管53の開口部を包囲するように密閉容器1の内壁面に弾性をもって接触かつ押圧している。
また、マフラー本体47は、均圧チャンバー55を備えている。この均圧チャンバー55の一端は、密閉容器1内と連通する開口部57であり、他端には、消音空間45と連通する均圧孔59を有したオリフィス61を備えている。
特表2005−520083号公報
しかしながら、上記従来の構成は、吸入管53の開口部と吸入マフラー43の吸入口49とが管状コネクタ51で直接接続された吸入経路を形成していることにより、冷凍装置(図示せず)から戻ってきた冷媒ガス5を、低温かつ密度の大きい状態で圧縮室25内に導くことができるため、高効率化ができるものの、吸入経路を形成する管状コネクタ51が冷媒ガス5の流路抵抗となり、その結果、吸入損失が生じ、体積効率が低下するという課題を有していた。
また、ピストン31の往復運動によって冷媒ガス5が圧縮室25内に吸入される際には、吸入バルブ37の開閉に伴って発生する冷媒ガス5の脈動成分が、吸入マフラー43内へと伝わり、この冷媒ガス5の脈動成分のうち、エネルギーの大きい低周波数域の冷媒ガス5の脈動成分は、消音空間45の容積では十分に減衰しきれず、吸入経路を介して直接冷凍装置に伝わっていた。
その結果、冷凍装置の配管振動を増幅させ、騒音が大きくなるという課題も有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、吸入経路における冷媒ガスの流路抵抗による吸入損失を低減することによって、体積効率を向上させ、また、消音空間内の低周波数域の冷媒ガスの脈動成分を減衰させることによって、冷凍装置等の配管振動を小さく抑え、騒音が低減できる密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機は、吸入マフラー本体に、冷媒ガスを導入する第一尾管と第二尾管を設け、前記第一尾管の第一吸入口を吸入管の密閉容器内の開口部と接続し、前記第二尾管の開口端面である第二吸入口を密閉容器内空間に開口したものである。
これによって、前記第二尾管から密閉容器内の冷媒ガスをマフラー本体へ導入することができるため、吸入経路における冷媒ガスの流路抵抗が大きくなることで生じていた圧縮室内へ導入される冷媒ガスの不足を、第二尾管から吸入し、補うことができる。
また、吸入バルブの開閉により発生した冷媒ガスの脈動についても、吸入マフラー内で十分に減衰しきれない低周波数域の冷媒ガス脈動成分を、前記第二尾管の第二吸入口から密閉容器内へ逃がすことが可能となる。その結果、冷媒ガスの脈動を減衰して直接冷凍装置等の外部機器(部材)へ伝わることを抑制することができ、冷凍装置の配管等の振動を小さく抑えることができる。
本発明は、冷媒ガスをマフラー本体へ導入する第一尾管と第二尾管を備えた吸入マフラーとすることにより、吸入経路において生じた冷媒ガスの不足を、第二尾管から補うことが可能となり、その結果、圧縮作用における体積効率の向上をはかることができる。
また、冷媒ガスの脈動における低周波数域の脈動成分を、第二尾管の第二吸入口から密閉容器内へ放出し、減衰させることで、密閉型圧縮機の外部へ伝播する振動を抑制することができ、この密閉型圧縮機を搭載した冷凍装置等の機器においては、その配管振動を小
さく抑え、騒音を低減することができる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機の横断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機の吸入マフラーの概略断面図 本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態2における密閉型圧縮機の横断面図 同実施の形態2における密閉型圧縮機の吸入マフラーの概略断面図 本発明の実施の形態3における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態3における密閉型圧縮機の横断面図 同実施の形態3における密閉型圧縮機の吸入マフラーの概略断面図 同実施の形態3における密閉型圧縮機の吸入マフラーの側面図 本発明の実施の形態4における密閉型圧縮機の横断面図 同実施の形態4における密閉型圧縮機の吸入マフラーの概略断面図 本発明の実施の形態5における冷凍装置の模式図 従来の密閉型圧縮機の縦断面図 従来の吸入マフラーの概略断面図
請求項1に記載の発明は、密閉容器内に、電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、さらに、前記密閉容器に、一端が前記密閉容器内空間に開口した吸入管と、前記圧縮要素で圧縮された冷媒を密閉容器外へ導く吐出管を設け、前記圧縮要素に、前記吸入管からの戻り冷媒ガスを前記圧縮要素の圧縮室内へ導く吸入マフラーを設け、前記吸入マフラーを、消音空間を形成するマフラー本体と、前記消音空間と前記圧縮要素の圧縮室を連通する連通管と、前記冷媒ガスを前記マフラー本体内へ導入する第一尾管と、前記マフラー本体内と前記密閉容器内空間とを連通する第二吸入口を設けた第二尾管を備える構成とし、さらに、前記第一尾管の一端に設けた第一吸入口を、コネクタを介して前記密閉容器内空間における吸入管の開口部と連結したものである。
かかる構成とすることにより、前記第一尾管の第一吸入口と吸入管の開口部とをコネクタを介して接続した吸入経路において、前記コネクタによる冷媒ガスの流路抵抗が大きくなることで生じた圧縮室内へ導入される冷媒ガスの不足を、前記第二尾管から密閉容器内の冷媒ガスをマフラー本体へ導入することで補うことができる。その結果、吸入損失を低減することができ、体積効率を向上することができる。さらに、前記圧縮要素を構成する吸入バルブの開閉に伴って発生した冷媒ガスの脈動成分において、吸入マフラー内で十分に減衰しきれない低周波数域の冷媒ガス脈動成分を、前記第二尾管の第二吸入口から密閉容器内へ逃がすことができ、これにより低周波数域の脈動を減衰し、密閉容器に接続された配管振動を小さく抑え、騒音を低減することができる。
請求項2に記載の発明は、密閉容器内に、電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、さらに、前記密閉容器に、一端が前記密閉容器内空間に開口した吸入管と、前記圧縮要素で圧縮された冷媒を密閉容器外へ導く吐出管を設け、前記圧縮要素に、前記吸入管からの戻り冷媒ガスを前記圧縮要素の圧縮室内へ導く吸入マフラーを設け、前記吸入マフラーを、消音空間を形成するマフラー本体と、前記消音空間と前記圧縮要素の圧縮室を連通する連通管と、前記冷媒ガスを前記マフラー本体内へ導入する第一尾管と、前記マフラー本体内と前記密閉容器内空間とを連通する第二尾管を備えた構成とし、さらに、前記吸入管を、第一吸入管と第二吸入管の分岐構成とし、前記密閉容器内空間に開口する前記第一吸入管の第一開口部を、コネクタを介して前記第一尾管の第一吸入口と連結し、さらに、前記密閉容器内空間に開口する前記第二吸入管の第二開口部を、前記第
二尾管の前記密閉容器内空間に開口する第二吸入口と対向、かつ接近して配置したものである。
かかる構成とすることにより、前記第二吸入管から、低温かつ密度の大きい冷媒ガスを前記第二尾管の第二吸入口近傍に導き、第二尾管から吸入される冷媒ガスの温度を下げることができる。したがって、さらに体積効率を向上させることができ、密閉型圧縮機の性能向上が期待できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第一尾管および第二尾管の連通するマフラー本体内を、前記消音空間としたものである。
かかる構成とすることにより、前記圧縮要素を構成する吸入バルブの開閉に伴って発生した冷媒ガスの脈動成分において、高周波数域の冷媒ガス脈動成分を消音空間内で減衰することができる。また、消音空間内で十分に減衰しきれずに残った低周波数域の冷媒ガス脈動成分は、前記第二尾管の第二吸入口から、消音空間よりも十分に容積のある密閉容器内空間へ逃がすことで減衰することができる。したがって、高周波数域の冷媒ガス脈動成分による密閉容器の共振を抑えるとともに、低周波数域の冷媒ガス脈動成分による配管振動を小さく抑えることができ、さらに騒音を低減することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記第二尾管を前記マフラー本体より上方に延出し、その先端部側面に、前記第二吸入口を設けたものである。
かかる構成とすることにより、圧縮機の起動時等に発泡した冷媒が密閉容器内を上昇しても、発泡した冷媒の吸い込みを抑制することができ、これに起因する吸入バルブ等の折損や破損を防止して密閉型圧縮機の信頼性を高めることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記第二尾管の第二吸入口を、前記密閉容器内の壁面に沿って流れる冷媒ガスの流動方向と対向しない面としたものである。
かかる構成とすることにより、前記圧縮要素を構成するクランクシャフトの偏心軸上端から飛散したオイルや密閉容器の内側上部に付着し落下したオイルが、冷媒ガスの流動方向に流されても、前記第二吸入口から前記オイルを吸入することが抑制できる。その結果、多量のオイルが吸入マフラー内に導入され、さらに圧縮室に流入することを防止し、冷凍装置への吐出オイル循環量を低減することができる。したがって、冷凍装置の冷却性能の低下を抑制することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記第二尾管の第二吸入口の天面を、第二吸入口側が高く、反第二吸入口側が低くなるように傾斜させたものである。
かかる構成とすることにより、前記クランクシャフトの偏心軸上端から飛散したオイルや密閉容器の内側上部に付着したオイルが第二吸入口の天面に滴下しても、前記天面の傾斜により、オイルを第二吸入口の反対側に導くことができる。その結果、第二吸入口から吸入マフラー内に多量のオイルが導入されることを防止し、さらに密閉型圧縮機の信頼性を高めることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記第二吸入口の天面に、上方に突出する板状の突出部を設け、前記突出部の面積が広い面を、前記冷媒ガスの流動
方向と対向させたものである。
かかる構成とすることにより、前記突出部がオイルフェンスとなり、クランクシャフトの偏心軸上端から飛散したオイルが第二尾管を飛び越えて第二吸入口まで到達することを防止することができる。その結果、密閉型圧縮機の信頼性をさらに高めることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明において、前記第一尾管から前記消音空間を介して前記連通管へ導入される冷媒ガス量を、前記第二尾管から連通管へ導入される冷媒ガス量よりも多くなるようにしたものである。
かかる構成とすることにより、前記第一尾管から導入された低温で密度の大きい冷媒ガスを主として圧縮室内へ導入することができる。したがって、前記第一尾管の第一吸入口と吸入管の開口部をコネクタにより接続したことに伴い、吸入経路の冷媒ガスの流路抵抗が大きくなることで生じた冷媒ガスの不足分を、前記第二尾管から導入するように制御することができる。その結果、前記密閉容器内に滞留する高温で密度の小さい冷媒ガスが多量に第二尾管から圧縮室内へ流入することを抑制し、圧縮室内に吸入される冷媒ガスの温度が極端に上昇することを防止することができ、さらに体積効率を効果的に向上することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明において、前記第一尾管の管内断面積を、前記第二尾管の管内断面積よりも広くしたものである。
かかる構成とすることにより、前記第一尾管および第二尾管の管内断面積を設定することで第二尾管から吸入マフラー本体内へ吸入する密閉容器内の高温かつ密度の小さい冷媒ガス量を少なくすることができ、圧縮室内に吸入される冷媒ガスの極端な加熱を簡単な構成によって抑制することができる。その結果、圧縮機の体積効率をさらに効果的に向上することができるとともに、前記第二尾管からの放射音によって密閉容器が共振することを抑制することができ、圧縮機の騒音を低減することができる。
請求項10に記載の発明は、貯蔵空間を有する本体に、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を環状に配管接続した冷凍サイクル装置を設け、前記圧縮機を、請求項1から9のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機としたものである。
かかることにより、体積効率が向上した密閉型圧縮機の搭載によって冷凍装置の消費電力を低減し、省エネルギー化を実現することができる。また、低周波数域の冷媒ガス脈動成分が直接冷凍装置へ伝わることを防止できるので、配管振動を小さく抑えることができ、その配管振動を考慮した圧縮機の設置容積(スペース)の小容積化を可能にするとともに、騒音の低い冷凍装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図である。図2は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の横断面図である。図3は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の吸入マフラーの概略断面図である。
図1から図3において、密閉型圧縮機は、鉄板の絞り成型によって形成された密閉容器101の内部に、電動要素111と、この電動要素111によって駆動される圧縮要素109を主体とする圧縮機本体113を配置している。この圧縮機本体113は、サスペン
ションスプリング115によって弾性的に支持されている。
さらに、密閉容器101内には、例えば、地球温暖化係数の低い炭化水素系のR600aなどの冷媒ガス105が封入され、また、内底部には、潤滑用のオイル103が封入されている。
また、密閉容器101には、密閉容器101外からの戻り冷媒が流れる吸入管107が設けられ、この吸入管107の一端は、密閉容器101内に連通する開口部106(図3)となっている。
圧縮要素109は、クランクシャフト117、ブロック119、ピストン121、連結手段123等で構成されており、クランクシャフト117は、偏心軸125と主軸127を備えている。また、クランクシャフト117には、オイル103に浸漬される主軸127の下端から偏心軸125の上端までを連通する給油機構129を備え、その途中は、主軸127表面に設けられた螺旋状の溝等によって構成されている。
また、圧縮要素109には、圧縮された冷媒105を密閉容器101に固定された吐出管160へ流す高圧管160aが接続されている。
電動要素111は、ブロック119の下方に、ボルト(図示せず)によって固定されたステータ131と、ステータ131の内側で、ステータ131と同軸上に配置され、かつ主軸127に焼き嵌め固定されたロータ133で構成されている。
ブロック119には、圧縮室135を形成するシリンダ137が一体に形成され、また、主軸127を回転自在に軸支する軸受部139を備えている。
また、シリンダ137の端面には、吸入孔141と吐出孔(図示せず)を備えたバルブプレート143と、吸入孔141を開閉する吸入バルブ145と、バルブプレート143を塞ぐシリンダヘッド147が、ヘッドボルト149によって、シリンダ137の端面を封止するように共締め固定されている。さらに、バルブプレート143とシリンダヘッド147により、吸入マフラー151が挟持されて固定されている。
吸入マフラー151は、主にガラス繊維を添加したPBT等の合成樹脂で成型され、図3に示す如く、冷媒ガス105を吸入マフラー151内に導く第一尾管153と第二尾管155を一体に成型したマフラー本体157と、吸入マフラー151内の冷媒ガス105を圧縮室135内に導く連通管159を備えたカバー161の組合せ構成で一体化されており、内部に消音空間163を形成している。
第一尾管153は、一端が消音空間163内に開口しており、他端に、冷媒ガス105を吸入マフラー151内に導入するコネクタ165を備えた第一吸入口167を有している。
コネクタ165は、例えば、ゴム材等の可撓性材料で伸縮可能なように蛇腹状に形成され、一端が第一尾管153の第一吸入口167に固定されており、他端は、吸入管107の開口部106を包囲するように、密閉容器101の内壁面に自身の弾性を利用して圧接している。
第二尾管155は、一端が、第一尾管153と連通管159の間に形成される冷媒ガス105の流路169から離れた位置の消音空間163に開口し、他端は、密閉容器101内の空間に開口した第二吸入口171となっている。
さらに、第一尾管153の管内断面積(内径)は、第二尾管155の管内断面積(内径)よりも大きく設定されており、消音空間163を介して第一尾管153から連通管159へ導入される冷媒ガス105の量が、第二尾管155から連通管159へ導入される冷媒ガス105の量よりも多くなるように構成されている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
密閉型圧縮機は、その吐出管160と吸入管107が、周知の構成からなる冷凍装置(図示せず)に接続され、冷凍サイクルを構成している。
その構成において、電動要素111に通電することにより、ステータ131に電流を流して磁界を発生させ、主軸127に固定されたロータ133が回転する。その回転により、クランクシャフト117が回転し、偏心軸125に回転自在に取り付けられた連結手段123を介して、ピストン121がシリンダ137内を往復運動する。
そして、このピストン121の往復運動に伴い、冷媒ガス105は吸入マフラー151を介して圧縮室135内へ吸入され、圧縮された後、密閉容器101内の高圧管160aを流れ、この高圧管160aに接続された吐出管160へと流れる。そして、冷凍装置の配管経路(図示せず)を循環する。
次に、密閉型圧縮機の吸入行程について説明する。
ピストン121が、圧縮室135の容積を増加する方向に動作すると、圧縮室135内の冷媒ガス105が膨張する。そして、圧縮室135内の圧力が吸入圧力を下回ると、圧縮室135内の圧力と吸入マフラー151内の圧力との差により、吸入バルブ145が開き始める。
この動作に伴い、冷凍装置から戻った温度の低い冷媒ガス105は、密閉容器101内に拡散することなく、吸入管107から直接コネクタ165を経て、第一尾管153に流入し、消音空間163内に導入される。そして、導入された冷媒ガス105は、連通管159を経て、圧縮室135内に流入する。
その後、ピストン121の動作が下死点から圧縮室135内の容積が減少する方向に転じると、圧縮室135内の圧力は上昇し、さらにその圧力が上昇すると、圧縮室135内の圧力と吸入マフラー151内の圧力との差によって、吸入バルブ145は閉じる。
ここで、第一尾管153の第一吸入口167と吸入管107の開口部106は、コネクタ165によって直接接続され、吸入経路を形成している。その結果、冷凍装置から吸入管107を介して戻った低温で密度の大きい冷媒ガス105を、直接的に圧縮室135内に供給することができ、体積効率を向上することができる。
その反面、吸入経路においてコネクタ165による冷媒ガス105の流路抵抗が大きくなるため、冷媒ガス105の吸入損失が発生する。
しかしながら、本実施の形態1においては、吸入マフラー151に設けた第二尾管155によって、その吸入損失を抑制することができる。
すなわち、吸入マフラー151は、密閉容器101内の空間と連通する第二尾管155を具備しているため、第一尾管153を介して冷凍装置からの冷媒ガス105を消音空間
163内に導入すると同時に、第二尾管155からも密閉容器101内の空間に滞留する冷媒ガス105を消音空間163内に導入することができる。
その結果、第一尾管153を経由する吸入経路において、コネクタ165に伴う流路抵抗の増加で生じた圧縮室135内へ導入される冷媒ガス105の不足分を補うことができるため、実質的に質量流量を増加させ、体積効率を向上させることができる。
換言すると、第二尾管155は、消音空間163内において、第一尾管153と連通管159との間に形成される冷媒ガス105の流路169から離れた位置に開口しており、また、その管内断面積が、第一尾管153の管内断面積よりも小さいため、消音空間163を介して第一尾管153から連通管159へ導入される冷媒ガス105の量が、第二尾管155から連通管159へ導入される冷媒ガス105の量より多くなる。
これにより、密閉容器101内の加熱された高温で密度の小さい冷媒ガス105が圧縮室135内へ多量に流入することを抑制し、圧縮室135内に吸入される冷媒ガス105の温度が極端に上昇することを防止することができる。その結果、さらに体積効率の低下を効果的に抑制することができる。
また、吸入マフラー151は、熱伝導率の小さい樹脂で形成されることで、吸入マフラー151内を通過する冷媒ガス105の温度が、電動要素111の発熱等の影響を受けて上昇することを抑制することができる。したがって、密度の大きい冷媒ガス105を圧縮室135内に吸入させることができ、さらに体積効率の低下を抑制することができる。
さらに、ピストン121の往復運動に伴う吸入バルブ145の開閉により、冷媒ガス105がシリンダ137の圧縮室135内に吸入される際に発生する冷媒ガス105の脈動についても、この冷媒ガス105の脈動成分のうち、高周波数域の冷媒ガス105の脈動成分は、吸入マフラー151の消音空間163内で十分に減衰させることができるが、エネルギーの大きい低周波数域の冷媒ガス105の脈動成分は、吸入マフラー151の消音空間163内の容積では十分に減衰しきれない場合がある。
そして、低周波数域の冷媒ガス105の脈動を十分減衰しきれない場合は、第一尾管153からコネクタ165を介して密閉容器101へ伝わり、吸入管107から冷凍装置の配管へと伝わって配管振動を増幅させることになる。
しかしながら、本発明の実施の形態1における吸入マフラー151は、第二尾管155の第二吸入口171を密閉容器101内の空間に開口し、消音空間163と密閉容器101内を連通しているため、低周波数域の冷媒ガス105の脈動成分を、消音空間163よりも十分に容積の大きい密閉容器101内の空間へ逃がし、減衰させることができる。
換言すると、密閉容器101内の空間を消音空間に利用することにより、特に振動要因として作用する低周波数域の冷媒ガス105の脈動成分を吸収し、冷凍装置の配管振動を小さく抑え、騒音を低減することができる。
さらに、本実施の形態1の構成は、第二尾管155の一端を、高周波数域の冷媒ガス105の脈動成分が消音空間163内で十分に減衰された下流側に、すなわち、第一尾管153の出口および連通管159の入口と離れた位置に開口させ、かつ第二尾管155の管内断面積を、第二尾管155から漏出する高周波数域の冷媒ガス105の脈動成分を抑制するように第一尾管153の管内断面積よりも小さく設定しているため、高周波数域に固有値を持つ密閉容器101の共振発生を防止し、騒音を低減することができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図である。図5は、同実施の形態2における密閉型圧縮機の横断面図である。図6は、同実施の形態2における密閉型圧縮機の吸入マフラーの概略断面図である。なお、先の実施の形態1と同じ構成要件については、同一の符号を付し、ここでは、先の実施の形態1と相違する内容を主体に説明する。
図4において、密閉型圧縮機は、密閉容器101内に開口するように接続された吸入配管構成が異なり、図5に示すように、密閉容器101の手前で、吸入管107を第一吸入管207と第二吸入管208に分岐し、吸入マフラー251を挟む位置で、かつ密閉容器101内に開口した第一開口部209(図6)と第二開口部210を有している。
また、密閉容器101内には、圧縮要素111と電動要素112を備えた圧縮機本体113がサスペンションスプリング115によって弾性的に支持されて収納されている。この圧縮機本体113の構成は、実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
吸入マフラー251は、主にガラス繊維を添加したPBTなどの合成樹脂で成型され、図6に示すように、冷媒ガス105を吸入マフラー251内に導く第一尾管253と第二尾管255を一体に成型したマフラー本体257と、吸入マフラー251内の冷媒ガス105を圧縮室135内に導く連通管259を備えたカバー261の組み合わせ構成で一体化されており、内部に消音空間263を形成している。
第一尾管253は、一端が消音空間263内に開口しており、他端に、冷媒ガス105を吸入マフラー251内に導入するコネクタ265を備えた第一吸入口267を有している。
コネクタ265は、例えばゴム材等の可撓性材料で伸縮可能なように蛇腹状に形成され、一端が第一尾管253の第一吸入口267に固定されており、他端は、第一吸入管207の第一開口部209を包囲するように密閉容器101の内壁面に自身の弾性を利用して圧接している。
第二尾管255は、一端が、連通管259寄りで、かつ第一尾管253と連通管259との間に形成される冷媒ガス105の流路269から離れた位置の消音空間263に開口し、他端は、密閉容器101内の空間に開口した第二吸入口271となっている。
さらに、第一尾管253の管内断面積(内径)は、第二尾管255の管内断面積(内径)よりも大きく設定されており、消音空間263を介して第一尾管253から連通管259へ導入される冷媒ガス105の量が、第二尾管255から連通管259へ導入される冷媒ガス105の量よりも多くなるように構成されている。
また、第二吸入管208の第二開口部210と第二尾管255の第二吸入口271は、相対向し、かつ接近した配置となっている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
密閉型圧縮機は、その吐出管160と吸入管107が、周知の構成からなる冷凍装置(図示せず)に接続され、冷凍サイクルを構成している。
その構成において、電動要素111に通電することにより、ステータ131に電流を流して磁界を発生させ、主軸127に固定されたロータ133が回転する。その回転により
、クランクシャフト117が回転し、偏心軸125に回転自在に取り付けられた連結手段123を介して、ピストン121がシリンダ137内を往復運動する。
そして、このピストン121の往復運動に伴い、冷媒ガス105は吸入マフラー251を介して圧縮室135内へ吸入され、圧縮された後、密閉容器101内の高圧管160aを流れ、この高圧管160aに接続された吐出管160へと流れる。そして、冷凍装置の配管経路(図示せず)を循環する。
次に、密閉型圧縮機の吸入行程について説明する。
ピストン121が、圧縮室135の容積を増加する方向に動作すると、圧縮室135内の冷媒ガス105が膨張する。そして、圧縮室135内の圧力が吸入圧力を下回ると、圧縮室135内の圧力と吸入マフラー251内の圧力との差により、吸入バルブ145が開き始める。
この動作に伴い、冷凍装置から戻り、吸入管107を流れる冷媒ガス105は、温度が低い状態にある。その冷媒ガス105の一部は、吸入管107から第一吸入管207に分流する。そして、コネクタ265を経て、直接第一尾管253に流入し、消音空間263内に導入される。
また、冷凍装置から吸入管107を流れる残りの冷媒ガス105は、第二吸入管208から密閉容器201内に一旦開放され、その後、第二尾管255を経て、消音空間263内に導入される。
そして、それぞれ消音空間263内に導入された冷媒ガス105は、連通管259を経て、圧縮室135内に流入する。
その後、ピストン121の動作が下死点から圧縮室135内の容積が減少する方向に転じると、圧縮室135内の圧力は上昇し、さらにその圧力が上昇すると、圧縮室135内の圧力と吸入マフラー251内の圧力との差によって、吸入バルブ245は閉じる。
ここで、第一尾管253の第一吸入口267と第一吸入管207の第一開口部209は、コネクタ265によって直接接続され、吸入経路を形成している。その結果、冷凍装置から吸入管107へ流れ、第一吸入管207を介して戻った低温で密度の大きい冷媒ガス105を、直接的に圧縮室235内に供給することができ、体積効率を向上することができる。
その反面、吸入経路においてコネクタ265による冷媒ガス105の流路抵抗が大きくなるため、冷媒ガス105の吸入損失が発生する。
しかしながら、本実施の形態2においては、吸入マフラー251に設けた第二尾管255によって、その吸入損失を抑制することができる。
すなわち、吸入マフラー251は、密閉容器101内の空間と連通する第二尾管255を具備しているため、第一尾管253を介して冷凍装置からの冷媒ガス105を消音空間263内に導入すると同時に、第二尾管255からも密閉容器201内の空間に滞留する冷媒ガス105を消音空間263内に導入することができる。
その結果、第一尾管253を経由する吸入経路において、コネクタ265に伴う流路抵抗の増加で生じた圧縮室135内へ導入される冷媒ガス105の不足分を補うことができ
るため、実質的に質量流量を増加させ、体積効率の低下を抑制することができる。
換言すると、第二尾管255は、消音空間263内において、第一尾管253と連通管259との間に形成される冷媒ガス105の流路269から離れた位置に開口しており、また、その管内断面積が、第一尾管253の管内断面積よりも小さいため、消音空間263を介して第一尾管253から連通管259へ導入される冷媒ガス105の量が、第二尾管255から連通管259へ導入される冷媒ガス105の量より多くなる。
これにより、密閉容器101内の加熱された高温で密度の小さい冷媒ガス105が圧縮室135内へ多量に流入することを抑制し、圧縮室135内に吸入される冷媒ガス105の温度が極端に上昇することを防止することができる。その結果、さらに体積効率の低下を効果的に抑制することができる。
また、第二吸入管208の第二開口部210が、第二尾管255の第二吸入口271と対向、かつ接近した配置構成であるため、第二吸入管208から開放された低温で密度の大きい冷媒ガス105のほとんどを、密閉容器201内に拡散することなく、第二吸入口271を介して消音空間263内に供給することができる。
さらに、かかる構成は、密閉容器101内で流動する電動要素112の発熱等の影響を受けた高温で密度の小さい冷媒ガス105が、吸入マフラー251へ混入することを最小限に抑えることができるため、冷媒ガス105の質量流量をさらに増加させ、体積効率を向上させることができる。
また、第二吸入管208から密閉容器101内へ開放され、第二尾管255によって吸入しきれなかった冷媒ガス105が、密閉容器101内に滞留する高温で密度の小さい冷媒ガス105と混ざり合うことにより、密閉容器101内に滞留する冷媒ガス105の温度を低下し、吸入マフラー251周辺の温度を低下させることができる。これと合わせて、吸入マフラー251が、熱伝導率の小さい樹脂材料によって形成されているため、吸入マフラー251内を通過する冷媒ガス105の温度が、電動要素112の発熱等の影響を受け、上昇することを低減することができる。
かかることから、本実施の形態2の密閉型圧縮機は、密度の大きい冷媒ガス105を圧縮室135内に吸入させることができるため、さらに体積効率を向上させることができる。
さらに、ピストン121の往復運動に伴う吸入バルブ145の開閉によって発生する冷媒ガス105の脈動(特に、低周波数域の脈動)についても、実施の形態1と同様に減衰させることができる。
すなわち、第二尾管255の第二吸入口271を密閉容器201内の空間に開口し、消音空間263密閉容器101内を連通しているため、低周波数域の冷媒ガス105の脈動成分を消音空間163よりも十分に容積の大きい密閉容器101内の空間へ逃がし、減衰させることができる。
したがって、実施の形態1と同様に、密閉容器101内の空間を消音空間に利用することにより、特に振動要因として作用する低周波数域の冷媒ガス105の脈動成分を吸収し、冷凍装置の配管振動を小さく抑え、騒音を低減することができる。
また、本実施の形態2の構成は、第二尾管255の一端を、高周波数域の冷媒ガス105の脈動成分が消音空間263内で十分に減衰された下流側に、すなわち、第一尾管25
3の出口および連通管259の入口と離れた位置に開口させ、かつ第二尾管255の管内断面積を、第二尾管255から漏出する高周波数域の冷媒ガス105の脈動成分を抑制するように第一尾管253の管内断面積よりも小さく設定しているため、高周波数域に固有値を持つ密閉容器201の共振発生を防止し、騒音を低減することができる。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における密閉型圧縮機の縦断面図である。図8は、同実施の形態3における密閉型圧縮機の横断面図である。図9は、同実施の形態3における密閉型圧縮機の吸入マフラーの概略断面図である。図10は、同実施の形態3における密閉型圧縮機の吸入マフラーの側面図である。なお、本実施の形態3の密閉型圧縮機は、先の実施の形態1の構成を基調としており、先の実施の形態1と同じ構成要件については、同一の符号を付し、ここでは、先の実施の形態1と相違する吸入マフラーの内容を主体に説明する。
本実施の形態3における吸入マフラー351は、主にガラス繊維を添加したPBT等の合成樹脂で成型され、図9に示す如く、冷媒ガス105を吸入マフラー351内に導く第一尾管353を一体に成型したマフラー本体357と、吸入マフラー351内の冷媒ガス105を圧縮室135内に導く連通管359と密閉容器101内の冷媒ガス105を吸入マフラー351内に導く第二尾管355を備えたカバー361の組合せ構成で一体化されており、内部に消音空間363を形成している。
第一尾管353は、一端が消音空間363内に開口しており、他端に、冷媒ガス105を吸入マフラー351内に導入するコネクタ365を備えた第一吸入口367を有している。
コネクタ365は、例えば、ゴム材などの可撓性材料で伸縮可能なように蛇腹状に形成され、一端が第一尾管353の第一吸入口367に固定されており、他端は、吸入管107の開口部106を包囲するように、密閉容器101の内壁面自身の弾性を利用して圧接している。
第二尾管355は、一端が第一尾管353と連通管359の間に形成される冷媒ガス105の流路369から離れた位置の消音空間363に開口し、他端は、密閉容器101内の空間において上方に向かって延出し、第二尾管355の上端近傍側面で、かつ密閉容器101内の空間に開口する第二吸入口371を設けている。この第二吸入口371は、図8に示すように、冷媒ガス105の流動方向Xと対面しないように、流動方向Xの下流側に位置し、略水平方向に開口している。
さらに、第一尾管353の管内断面積(内径)は、第二尾管355の管内断面積(内径)よりも大きく設定されており、消音空間363を介して第一尾管353から連通管359へ導入される冷媒ガス105の量が、第二尾管355から連通管359へ導入される冷媒ガス105の量よりも多くなるように構成されている。
また、第二吸入口371は、冷媒ガス105の流動方向Xにおいて、上流側に側壁373(図10)が設けられ、また、その天面375が、第二吸入口371の開口側面から反開口側面に向かって下方に傾斜して形成されている。
さらに、第二吸入口371の天面375には、上方に向かって突出する突出部377が設けられている。この突出部377は、その面積を広くした面が、冷媒ガス105の流動方向Xと対向するように形成されている。
なお、上記構成の吸入マフラー351を備えた密閉型圧縮機の運転動作、およびこの運転に伴って吸入マフラー351の第一尾管353を流れる冷媒ガス105の経路、および第二尾管353を流れる冷媒ガス105の経路については、実質的に実施の形態1と同じであるため、実施の形態1の説明を援用してここでの説明を省略する。
したがって、以上のように構成された吸入マフラー351は、第一尾管353に加えて第二尾管355を設けたことにより、実施の形態1と同様に、冷媒ガス105の吸入経路においてコネクタ365による吸入損失を抑制し、体積効率の低下を効果的に抑制することができる。
また、吸入マフラー351を、熱伝導率の小さい樹脂で成型しているため、実施の形態1と同様に、密度の大きい冷媒ガス105を圧縮室135内に吸入させることができ、さらに体積効率の低下を抑制することができる。
さらに、ピストン121の往復運動に伴う吸入バルブ145の開閉により、冷媒ガス105がシリンダ137の圧縮室135内に吸入される際に発生する冷媒ガス105の脈動における低周波域の脈動成分についても、実施の形態1と同様に、減衰させることができる。
すなわち、第二尾管355の第二吸入口371を密閉容器101内の空間に開口し、消音空間363と密閉容器101内を連通したことにより、低周波数域の冷媒ガス105の脈動成分を、消音空間363よりも十分に容積の大きい密閉容器101内の空間へ逃がし、減衰させることができる。したがって、特に振動要因として作用する低周波数域の冷媒ガス105の脈動成分を吸収し、冷凍装置の配管振動を小さく抑え、騒音を低減することができる。
また、本実施の形態3の構成についても、第二尾管355の一端を、高周波数域の冷媒ガス105の脈動成分が消音空間363内で十分に減衰された下流側に、すなわち、第一尾管353の出口および連通管359の入口と離れた位置に開口させ、かつ第二尾管355の管内断面積を、第二尾管355から漏出する高周波数域の冷媒ガス105の脈動成分を抑制するように第一尾管353の管内断面積よりも小さく設定しているため、高周波数域に固有値を持つ密閉容器101の共振発生を防止し、騒音を低減することができる。
さらに、本実施の形態3は、密閉型圧縮機の起動時に発生し易い冷媒のフォーミング現象についても、その対応をはかった構成となっている。
すなわち、本実施の形態3の吸入マフラー351は、第一尾管353の第一吸入口367と吸入管107の開口部106を、コネクタ365によって直接連通させ、さらに、第二尾管355を密閉容器101内の空間の上部まで上方に向かって延出した構成であるため、密閉型圧縮機の起動に伴ってオイル103と冷媒(冷媒ガス105)が混合した泡が密閉容器101内の空間の底部から上昇しても、第一吸入口367および第二吸入口371から吸入することを防止できる。
その結果、液圧縮による故障が発生し難く、信頼性の高い密閉型圧縮機を提供することができる。
また、本実施の形態3は、密閉型圧縮機の運転中に発生するオイル103の飛散についても、その対応をはかった構成となっている。
すなわち、密閉型圧縮機の運転中において、密閉容器101内底部に貯留されたオイル
103は、周知の如く、クランクシャフト117の回転により得た遠心力や、摺動部で生じる粘性摩擦力を利用した給油機構129により、圧縮要素109の上部へ搬送され、クランクシャフト117と軸受部139等の摺動部を潤滑した後、クランクシャフト117の上端より飛散する。
そして、密閉容器101内の空間に飛散したオイル103の一部は、密閉容器101内に誘起されたガス流動Xに付勢され、吸入マフラー351の第二吸入口371付近にも飛散する。
しかしながら、第二吸入口371は、冷媒ガス105の流動方向Xの下流側で開口し、流動方向Xと対面しないように上流側に側壁373を備えているため、飛散したオイル103が第二吸入口371から直接吸入されることを抑制した構成となっている。
したがって、多量のオイル103が吸入マフラー351を介して圧縮室135内に流入することを防止することができ、冷凍装置(図示せず)へのオイル吐出量を低減することができる。その結果、冷凍装置の冷却性能を向上させることができる。
また、密閉容器101の天井内面に付着したオイル103が、第二吸入口371の天面375に滴下したとしても、天面375が第二吸入口371の開口側面から反開口側面に向かって下方に傾斜し、かつ天面375に、上方に向かって突出する突出部377を備えていることにより、第二吸入口371からマフラー本体357内へオイル103が流入することを防止できる。
特に、突出部377は、その面積を広くした面が、冷媒ガス105の流動方向Xと対向しているため、冷媒ガス105中に混入するオイル成分を捕集し易く、捕集したオイル103を円滑に天面375へ導き、天面375の傾斜によって第二吸入口371から離れる方向へ速やかに案内することができる。
その結果、多量のオイル103が、圧縮室135内に流入することを防止でき、さらに信頼性の高い密閉型圧縮機を提供することができる。
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4における密閉型圧縮機の横断面図である。図12は、同実施の形態4における密閉型圧縮機の吸入マフラーの概略断面図である。なお、本実施の形態4の密閉型圧縮機は、先の実施の形態2の構成を基調としており、密閉型圧縮機の縦断面図については、図7を援用し、また、先の実施の形態2と同じ構成要件については、同一の符号を付し、ここでは、先の実施の形態2と相違する吸入マフラーの内容を主体に説明する。
図11および図12において、本実施の形態4の吸入マフラー451は、第二尾管455をマフラー本体457の上面から上方へ延出し、その先端側面に第二吸入口471を設けた構成が、実施の形態2の吸入マフラー251と相違する。ここで、吸入マフラー451を構成する他の部位構成については、図6と同一の符号を付して説明を省略する。
したがって、密閉型圧縮機においても、第二吸入管208の第二開口部210の開口位置を、第二尾管455の第二吸入口471と対向する位置としている。
かかる構成においても、実施の形態2と同様に、冷媒ガス105の吸入経路においてコネクタ265による吸入損失を抑制し、体積効率の低下を効果的に抑制することができる。
また、吸入マフラー451を、熱伝導率の小さい樹脂で成型しているため、実施の形態2と同様に、密度の大きい冷媒ガス105を圧縮室135内に吸入させることができ、さらに体積効率の低下を抑制することができる。
さらに、ピストン121の往復運動に伴う吸入バルブ145の開閉により、冷媒ガス105がシリンダ137の圧縮室135内に吸入される際に発生する冷媒ガス105の脈動における低周波域の脈動成分についても、実施の形態1と同様に、第二尾管455の第二吸入口471を密閉容器101内の空間に開口し、低周波数域の冷媒ガス105の脈動成分を、消音空間263よりも十分に容積の大きい密閉容器101内の空間へ逃がし、減衰させることができる。その結果、冷凍装置(図示せず)の配管振動を小さく抑え、騒音を低減することができる。
また、第二尾管455の一端を、高周波数域の冷媒ガス105の脈動成分が消音空間263内で十分に減衰された下流側に、すなわち、第一尾管253の出口および連通管259の入口と離れた位置に開口させ、かつ第二尾管455の管内断面積を、第二尾管455から漏出する高周波数域の冷媒ガス105の脈動成分を抑制するように第一尾管253の管内断面積よりも小さく設定しているため、高周波数域に固有値を持つ密閉容器101の共振発生を防止し、騒音を低減することができる。
さらに、本実施の形態4は、第二尾管455の第二吸入口471をマフラー本体457よりも上方に位置させているため、実施の形態3で説明したように、密閉型圧縮機の起動時に発生し易い冷媒のフォーミング現象にも対応できる構成となっている。
また、第二尾管455の先端部側面に第二吸入口471を開口形成したことにより、実施の形態3で説明したように、密閉容器101内を冷媒ガス105の流動方向Xに沿いながら飛散するオイル103の吸入マフラー451内への混入を抑制し、多量のオイル103が、圧縮室135内に流入することを防止することができ、密閉型圧縮機の信頼性を高めることができる。
さらに、第二尾管455の第二吸入口471の天面475を傾斜させ、その天面475に突出部477を設けた構成であるため、実施の形態3の第二尾管355と同様に、密閉容器101内を飛散するオイル103を捕集し、天面475から円滑に第二吸入口471より遠ざかるように導くことができ、オイル103の吸入マフラー451内への混入を抑制し、多量のオイル103が、圧縮室135内に流入することを防止することができ、密閉型圧縮機の信頼性を高めることができる。
(実施の形態5)
図13は、本発明の実施の形態5における冷凍装置の構成を示す模式図である。ここでは、冷凍サイクル装置に、実施の形態1の密閉型圧縮機を搭載した構成とし、冷凍装置の基本構成の概略について説明する。
図13において、冷凍装置は、一面が開口した断熱性の箱体とその開口を開閉する扉体構成の本体Aと、本体Aの内部を、物品の貯蔵空間Bと機械室Cに区画する区画壁Dと、貯蔵空間B内を冷却する冷凍サイクル装置Eを具備している。
冷凍サイクル装置Eは、実施の形態1で説明した密閉型圧縮機Fと、凝縮器Gと、減圧器Hと、蒸発器Iを環状に配管接続した構成となっている。
そして、蒸発器Iは、送風機(図示せず)を具備した貯蔵空間B内に配置されている。
蒸発器Iの冷却熱は、矢印で示すように、送風機によって貯蔵空間内を循環するように撹拌される。
したがって、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機Fを搭載した冷凍装置は、密閉型圧縮機Fの体積効率の向上により、冷凍装置の消費電力を低減し、省エネルギー化を実現することができる。また、低周波数域の冷媒ガス105の脈動成分が直接冷凍装置の配管へ伝わることを抑制する構成であるため、配管振動を小さく抑え、騒音の低い冷凍装置を提供することができるとともに、配管の振動による当り防止のために確保する圧縮機周辺の空間も小さくすることができ、圧縮機設置スペースをコンパクトにすることができる。
なお、これらの作用効果は、実施の形態2乃至実施の形態4の密閉型圧縮機を搭載した場合も、同様に期待できる。
以上のように、本発明にかかる密閉型圧縮機および冷凍装置は、冷媒の吸入効率を高め、圧縮機の効率を向上することができるとともに、騒音の低減化が可能となり、電気冷蔵庫、あるいはエアーコンディショナー等の家庭用に限らず、業務用ショーケース、自動販売機などの冷凍装置に広く適用することができる。
101 密閉容器
105 冷媒ガス
106 開口部
107 吸入管
109 圧縮要素
111 電動要素
135 圧縮室
151 吸入マフラー
153 第一尾管
155 第二尾管
157 マフラー本体
159 連通管
163 消音空間
165 コネクタ
167 第一吸入口
171 第二吸入口
207 第一吸入管
208 第二吸入管
209 第一開口部
210 第二開口部
251 吸入マフラー
253 第一尾管
255 第二尾管
257 マフラー本体
259 連通管
263 消音空間
265 コネクタ
267 第一吸入口
271 第二吸入口
351 吸入マフラー
353 第一尾管
355 第二尾管
357 マフラー本体
359 連通管
363 消音空間
365 コネクタ
367 第一吸入口
371 第二吸入口
375 天面
377 突出部
451 吸入マフラー
455 第二尾管
457 マフラー本体
471 第二吸入口
475 天面
477 突出部
A 本体
B 貯蔵空間
E 冷凍サイクル装置
F 密閉型圧縮機
G 凝縮器
H 減圧器
I 蒸発器
X 流動方向

Claims (10)

  1. 密閉容器内に、電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、さらに、前記密閉容器に、一端が前記密閉容器内空間に開口した吸入管と、前記圧縮要素で圧縮された冷媒を密閉容器外へ導く吐出管を設け、前記圧縮要素に、前記吸入管からの戻り冷媒ガスを前記圧縮要素の圧縮室内へ導く吸入マフラーを設け、前記吸入マフラーを、消音空間を形成するマフラー本体と、前記消音空間と前記圧縮要素の圧縮室を連通する連通管と、前記冷媒ガスを前記マフラー本体内へ導入する第一尾管と、前記マフラー本体内と前記密閉容器内空間とを連通する第二吸入口を設けた第二尾管を備える構成とし、さらに、前記第一尾管の一端に設けた第一吸入口を、コネクタを介して前記密閉容器内空間における吸入管の開口部と連結した密閉型圧縮機。
  2. 密閉容器内に、電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、さらに、前記密閉容器に、一端が前記密閉容器内空間に開口した吸入管と、前記圧縮要素で圧縮された冷媒を密閉容器外へ導く吐出管を設け、前記圧縮要素に、前記吸入管からの戻り冷媒ガスを前記圧縮要素の圧縮室内へ導く吸入マフラーを設け、前記吸入マフラーを、消音空間を形成するマフラー本体と、前記消音空間と前記圧縮要素の圧縮室を連通する連通管と、前記冷媒ガスを前記マフラー本体内へ導入する第一尾管と、前記マフラー本体内と前記密閉容器内空間とを連通する第二尾管を備えた構成とし、さらに、前記吸入管を、第一吸入管と第二吸入管の分岐構成とし、前記密閉容器内空間に開口する前記第一吸入管の第一開口部を、コネクタを介して前記第一尾管の第一吸入口と連結し、さらに、前記密閉容器内空間に開口する前記第二吸入管の第二開口部を、前記第二尾管の前記密閉容器内空間に開口する第二吸入口と対向、かつ接近して配置した密閉型圧縮機。
  3. 前記第一尾管および第二尾管の連通するマフラー本体内を、前記消音空間とした請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
  4. 前記第二尾管を前記マフラー本体より上方に延出し、その先端部側面に、前記第二吸入口を設けた請求項1から3のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  5. 前記第二尾管の第二吸入口を、前記密閉容器内の壁面に沿って流れる冷媒ガスの流動方向と対向しない面とした請求項4に記載の密閉型圧縮機。
  6. 前記第二尾管の第二吸入口の天面を、第二吸入口側が高く、反第二吸入口側が低くなるように傾斜させた請求項4または5に記載の密閉型圧縮機。
  7. 前記第二吸入口の天面に、上方に突出する板状の突出部を設け、前記突出部の面積が広い面を、前記冷媒ガスの流動方向と対向させた請求項6に記載の密閉型圧縮機。
  8. 前記第一尾管から前記消音空間を介して前記連通管へ導入される冷媒ガス量を、前記第二尾管から連通管へ導入される冷媒ガス量よりも多くなるようにした請求項1から4のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  9. 前記第一尾管の管内断面積を、前記第二尾管の管内断面積よりも広くした請求項5に記載の密閉型圧縮機。
  10. 貯蔵空間を有する本体に、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を環状に配管接続した冷凍サイクル装置を設け、前記圧縮機を、請求項1から9のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機とした冷凍装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105464942A (zh) * 2015-12-28 2016-04-06 常州中进医疗器材有限公司 制氧机的u型走向散热减噪通道

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