JP2011195709A - 白色樹脂成形体及びled用リフレクタ - Google Patents

白色樹脂成形体及びled用リフレクタ Download PDF

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Abstract

【課題】150℃以上の高温の環境や光に長時間曝露されても変色しにくい高い耐熱劣化性と耐光劣化性を有し、さらに加工しやすく生産性に優れる等、LEDのリフレクタ部を構成する材料として好適な特性を有する白色樹脂成形体及びこの白色樹脂成形体からなるLED用リフレクタを提供する。
【解決手段】炭素−水素結合を有するフッ素樹脂(A)、該フッ素樹脂(A)100重量部に対して、酸化チタン(B)5〜100部を含有する樹脂組成物からなる成形体に、電離放射線を10kGy〜1500kGy照射した事を特徴とする白色樹脂成形体及びこの白色樹脂成形体からなるLED用リフレクタ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、白色の樹脂成形体に関し、特にLED用リフレクタ等、電子機器部品用の白色の部材として好適に用いられる、耐熱性を有する白色樹脂成形体に関する。
LEDは小型で省電力であり、かつ長寿命であるので、携帯電話機やディスプレイ等の電子機器や他の電気機器に幅広く使用されている。さらに、近年は輝度の高いLEDが安価に製造できるようになってきたため、蛍光灯や白熱電球に替わる光源として、さまざまな用途への展開が期待されている。
LEDが、光源として使用される場合や小型化へ対応する場合等は、大きな照度が求められる。そこで、光を所定方向に反射させるリフレクタを外囲器として配置する方式が多用されている。
リフレクタを構成する材質には、高い白色度とともに、LEDの生産性を高くするためリフレクタへの加工がしやすいとの性質、LEDチップを実装する際の加熱に耐えうる耐熱性、長期の使用により劣化しないとの性質等が求められる。近年は生産効率の良いハンダリフローによる実装が行われ、融点の高い鉛フリーハンダが使用されるので、鉛フリーハンダによるハンダリフローに耐える高い耐熱性が求められている。
リフレクタを構成する材質としては、酸化チタン等のフィラーを添加した光反射性の樹脂や、アルミナ等のセラミックを挙げることができる。セラミックは、耐熱性が高くまた寿命も優れている点では有利であるが、加工しにくいとの問題がある。一方、耐熱樹脂は加工しやすいのでLEDの生産性の点では有利である。そして例えば、大量生産が容易な熱可塑性樹脂であって、ハンダリフローによる実装に耐えうる融点260℃以上の樹脂の使用が考えられており、具体的には、液晶ポリエステル樹脂組成物(特許文献1)やポリアミド組成物(特許文献2)の使用が提案されている。
特開2008−231368号公報 特開2004−75994号公報
しかし、液晶ポリエステル樹脂組成物やポリアミド組成物は、その融点以下でも150℃以上の高温に曝露され続けると表面酸化が進行し、黄色化、褐色化が発生するとの問題がある。特許文献2では熱や光による変色の防止に関して述べられているが、150℃以上の高温に長時間曝露されても変色しないような高い耐熱劣化性を有する樹脂は開示されていない。すなわち、特許文献2の実施例では170℃2時間程度の曝露しか実施しておらず、150℃以上の高温に長時間曝露されても変色が発生しない高い耐熱劣化性を有しているとは言いがたい。
このように従来は、LEDのリフレクタ部を構成する材料として好適な特性を有するとともに、150℃以上の高温の環境や光に長時間曝露されても変色しにくい白色樹脂成形体は知られておらず、これらの特性を併せ持つ白色樹脂成形体の開発が望まれていた。本発明は、150℃以上の高温の環境や光に長時間曝露されても変色しにくい高い耐熱劣化性と耐光劣化性を有し、さらに加工しやすく生産性に優れる等、LEDのリフレクタ部を構成する材料として好適な特性を有する白色樹脂成形体を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の問題について鋭意検討した結果、炭素−水素結合を有するフッ素樹脂(A)と酸化チタン(B)からなる樹脂組成物の成形体に電離放射線を照射することにより、高い耐熱劣化性と耐光劣化性を併せ持つ白色樹脂成形体が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、炭素−水素結合を有するフッ素樹脂(A)及び酸化チタン(B)からなる樹脂組成物の成形体であって、前記フッ素樹脂(A)が、電離放射線照射により架橋されていることを特徴とする白色樹脂成形体(請求項1)を提供する。
本発明は、成形体を構成する材料であるフッ素樹脂(A)が電離放射線照射により架橋されていることを特徴とする。従って、フッ素樹脂(A)は、電離放射線の照射により架橋が可能なフッ素樹脂であり、このようなフッ素樹脂(A)として、炭素−水素結合を有するフッ素樹脂を主体とするものが用いられる。「主体とする」とは、後述のように、本発明の趣旨を損ねない範囲で、他の樹脂が含まれてもよいことを意味する。
炭素−水素結合を有するフッ素樹脂としては、具体的には、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、エチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンターポリマー等を挙げることができる。
又、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー等の共重合体等の場合は、さらに、本発明の趣旨を損ねない範囲で、他のモノマーの一種類以上を共重合させてもよい。この他のモノマーとして、具体的には、プロピレン、ブテン等のα−オレフィン類、CH2=CX(CY2)nZ(ここで、X、Y、及びZは、それぞれ独立に、水素又はフッ素原子、nは1〜8の整数である。)で表される化合物、その他パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)等の不飽和基に水素原子を有しないフルオロオレフィン(ただし、TFEを除く。)等が挙げられる。
本発明に用いられるフッ素樹脂(A)としては、反応性官能基を、主鎖末端及び/又は側鎖末端に有するものを用いることもできる。ここで、反応性官能基としては、カルボニル基、カルボニル基を有する基、例えばカルボニルジオキシ基又はハロホルミル、水酸基及びエポキシ基等を挙げることができる。
フッ素樹脂(A)には、本発明の趣旨を損ねない範囲で、電離放射線の照射により架橋がされない樹脂、炭素−水素結合を有しないフッ素樹脂が含まれていてもよい。
本発明に用いられる酸化チタン(B)とは、酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン、二酸化チタン等のチタンの酸化物を含む意味である。前記例示したもののいずれも酸化チタン(B)として使用できるが、中でも二酸化チタンが好ましい。
フッ素樹脂(A)と酸化チタン(B)との配合割合は、フッ素樹脂(A)100重量部に対し、酸化チタン(B)5重量部以上、100重量部以下の範囲が好ましい。5重量部未満ではフッ素樹脂(A)の組成によっては、半透明となり、リフレクタに求められる十分な白色が得られない場合がある。一方、100重量部より酸化チタン(B)の添加量が多い場合は、流動性が損なわれ、成形が困難となり、生産性が低下する場合がある。なお、「樹脂組成物がフッ素樹脂(A)及び酸化チタン(B)からなる」とは、樹脂組成物は、フッ素樹脂(A)及び酸化チタン(B)を主な構成成分とするが、後述のように、本発明の趣旨を損ねない範囲で他の成分が含まれていてもよいことを意味する。
本発明の白色樹脂成形体は、フッ素樹脂(A)が、電離放射線照射により架橋されていることを特徴とする。フッ素樹脂(A)の架橋に用いられる電離放射線の照射量は、10kGy以上、1500kGy以下が好ましい。より好ましくは50kGy以上、1000kGy以下である。10kGy未満では架橋が不十分であり、ハンダリフロー時に溶融が発生しやすくなる場合がある。一方、1500kGyよりも多い照射線量では架橋する以上の分解が発生し、架橋による効果が得られにくい場合がある。
電離放射線源としては、加速電子線やガンマ線、X線、α線、紫外線等を例示することができる。線源利用の簡便さや電離放射線の透過厚み、架橋処理の速度等、制御のしやすさ等の工業的利用性の観点から加速電子線が好ましく利用できる。
本発明の白色樹脂成形体の材料である樹脂組成物を構成するフッ素樹脂(A)は、電離放射線の照射による架橋前は熱可塑性を有するので、容易に成形体を得られる。一方、電離放射線の照射により架橋された後は、熱可塑性樹脂を材料としているにも係わらず、優れた耐熱性を有する成形体となる。
請求項2に記載の発明は、前記樹脂組成物が、分子量が1000以下であり、炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2つ以上有している多官能性モノマー(C)を、フッ素樹脂(A)100重量部に対し、0.5重量部以上、40重量部以下含有することを特徴とする請求項1に記載の白色樹脂成形体である。電離放射線の照射による架橋効率を向上させるため、前記多官能性モノマー(C)を樹脂組成物に添加する事が効果的であり、その添加量は、前記の範囲が好ましい。
添加量が0.5重量部未満の場合は、未添加と比較して架橋効率に差異が見られない。一方、40重量部より添加量が多い場合、混練時の取り扱いが困難となる、成形品より添加剤がブリードアウトする、等の問題が生ずる場合があり、特性の低下を引き起こす可能性がある。しかし、0.5重量部以上40重量部以下とすることで、少ない照射線量で、ハンダリフローに耐えるような耐熱性を発現でき、さらに樹脂組成物内への添加が容易であり、かつブリードアウト等の発生も抑制できる。より好ましくは1重量部以上20重量部以下である。
多官能性モノマー(C)の分子量は、1000以下である。フッ素樹脂との混練を容易に実施できる程度の粘度を有する、又添加剤自体の着色が少ないものが多い等の理由から、分子量1000以下のものが好ましく使用される。
多官能性モノマー(C)としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、1,3,4−トリビニルシクロヘキサン、1,6−ジビニル(パーフルオロヘキサン)等を挙げることができる。中でも、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。
請求項3に記載の発明は、前記樹脂組成物が、補強材(D)を、フッ素樹脂(A)100重量部に対し、2重量部以上、50重量部以下含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の白色樹脂成形体である。前記樹脂組成物には、寸法精度を向上させるため、又は弾性率を向上させるために、補強材(D)を添加することが効果的であり、その添加量は、前記の範囲が好ましい。2重量部未満では未添加と比較して弾性率や寸法精度に差異が見られない。一方、50重量部より添加量が多い場合は、樹脂組成物の流動性が著しく損なわれ成形が困難となる。
補強材(D)の例としては、繊維状充填材や針状充填材が好ましい。繊維状充填材としてはガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維などが挙げられ、針状充填材としてはチタン酸カリウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、ホウ酸アルミウィスカー、炭酸カリウムウィスカーなどが挙げられる。他に、タルク、マイカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、ワラストナイト、モンモリロナイトなどの粉末状充填材を含有していてもよい。これらの充填材は、シランカップリング剤や高級脂肪酸で表面処理されたものでもよいし、未処理のものでも良い。
請求項4に記載の発明は、前記樹脂組成物が、熱伝導度の高い無機フィラー(E)を、フッ素樹脂(A)100重量部に対し、5重量部以上、80重量部以下含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の白色樹脂成形体である。前記樹脂組成物には、成形体の放熱性向上のため、熱伝導度の高い無機フィラー(E)を添加することが効果的で、その添加量は前記の範囲が好ましい。5重量部未満では未添加と比較して熱伝導度に差異が見られない。80重量部より添加量が多い場合は、樹脂組成物の流動性が著しく損なわれ成形が困難となる。
上記無機フィラーの例としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、リン化ホウ素、リン化アルミニウム、窒化ガリウム、リン化ガリウム等を挙げることができる。
前記樹脂組成物には、混合時や成形時、使用時などの高温に曝露される段階や電離放射線およびγ線の照射時に少量でもフッ酸を発生させる可能性があり得るため、フッ酸をトラップできる塩基性フィラーを添加しても良い。上記塩基性フィラーの例としては、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト等を挙げることができる。
前記樹脂組成物には、前記の成分に加えて、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤等の各種添加剤を混合することができる。さらに、本発明の趣旨を損ねない範囲で、例えば、フッ素を含有しない樹脂を含んでも良い。
本発明の白色樹脂成形体の構成材料である前記樹脂組成物は、前記の構成材料をオープンロール、加圧ニーダー、単軸混合機、2軸混合機等の既知の混合装置を用いて混合することにより作製することができる。使用するフッ素樹脂(A)の融点以上の温度で溶融混合することが好ましい。
本発明の白色樹脂成形体は、電離放射線の照射により成形体を構成する樹脂組成物が架橋されているので、ハンダリフローに耐える耐熱性を有する。さらに、高温や長時間の加熱に対しても変色を起こさないとの特徴を有する。そこで本発明は、前記本発明の白色樹脂成形体であって、白色度90以上であり、かつ280℃で10分の熱曝露や200℃24時間の熱曝露後も白色度90以上を維持できることを特徴とする白色樹脂成形体(請求項5)を提供する。ここで白色度とは色差測定より得られた明度、赤色度、黄色度より算出した値を言う。
次に上記にて作製した樹脂組成物の成形方法について説明する。
本発明の白色樹脂成形体を製造するための、樹脂組成物の成形方法としては、射出成形、プレス成形、押出成形等、既存の成形方法として広く用いられている方法を採用することができる。特に生産性の観点から射出成形又は押出成形が好ましい。請求項6に記載の発明は、前記樹脂組成物の成形体が、射出成形又は押出成形により成形されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の白色樹脂成形体である。
この製造に使用される樹脂組成物を構成するフッ素樹脂は、樹脂を構成するモノマー比率により融点を調節することが可能である。融点が300℃未満であるフッ素樹脂を使用する場合は前記の既存の成形方法を容易に適用することができる。また、融点300℃以上であるフッ素樹脂を使用する場合は、フッ化水素による機械の腐食を考慮して、機械等にメッキ処理を施すことが好ましい。
成形の際には、材料表面に金型・成形ロール面が転写しやすく、粗い面が転写されると光の散乱を誘発し反射率を低下させる原因となり得るので、直接成形体と接する設備の金型や成形ロール面は面粗度Ra=1.6aレベルに調整されていることが好ましい。
前記のようにして製造される本発明の白色樹脂成形体は、高い白色度、加工しやすさとともに、鉛フリーハンダによるハンダリフローに耐える高い耐熱性、及び150℃以上の高温や光に長時間曝露されても変色が発生しない高い耐熱劣化性や耐光劣化性を有する。従って、LED用リフレクタ等の部材として好適に用いられ、又、本発明の白色樹脂成形体からなるLED用リフレクタを使用する素子は、高い耐熱性を有するので回路基板等へハンダリフローで実装することができ、寿命も長い等の優れた性質を有する。そこで、本発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の白色樹脂成形体からなることを特徴とするLED用リフレクタを提供する(請求項7)
図1は、本発明のLED用リフレクタが使用されているLEDモジュールの一例の断面図(a)及び平面図(b)を示す。図中、1はアルミ基板であり、2はLEDチップであり、3はボンディングワーヤーであり、4はLED用リフレクタである。図に示されるように、LEDチップ2(光源)は、アルミ基板1上に搭載されボンディングワーヤー3により電極と接続されている。LED用リフレクタは、このLEDチップ2を囲むように載置される。LED用リフレクタの大きさ、形状はLEDモジュールにより種々であるが、例えば数mm×数mmの略四角形の枠状のものが用いられる。図の例のLED用リフレクタ4も、LEDモジュールの周囲に略四角形の枠状のものとして設けられている。
本発明の白色樹脂成形体は、高い白色度、加工しやすさとともに、高い耐熱性、及び高い耐熱劣化性や耐光劣化性を有する。
本発明のLED用リフレクタが使用されているLEDモジュールの一例の断面図(a)及び平面図(b)である。
次に本発明を実施するための形態を、実施例により説明する。なお、本発明の範囲はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々の変更が可能である。
先ず、下記の実施例、比較例で行った、樹脂組成物ペレット及び評価用プレートの作製について説明する。
(樹脂組成物ペレットの作製)
表1〜3に示す配合処方の材料を、二軸混合機(30mmφ、L/D=30)を使用し、バレル温度を樹脂融点より20℃高温に設定し、スクリュー回転数100rpmで溶融混合して樹脂組成物を作製した。その後、ストランドカットペレタイザで樹脂組成物ペレットを作製した。
(評価用プレートの作製)
評価用プレートは、上記で得られた樹脂組成物ペレットを用いて、以下に示す射出成形又は押出成形を行い、得られた成形体(プレート)に表1〜3に示す電子線量を照射することにより作製した。
(1)射出成形
樹脂組成物ペレットを型締力40tクラスの射出成形機(日精樹脂社製)に投入し、面粗度Ra=1.6aレベルで無電解ニッケルめっきされた金型を用いて、射出成形を実施し、肉厚1mmのプレートを作製した。
(2)押出成形
樹脂組成物ペレットを20mmφ押出機(東洋機械社製の単軸タイプ)に投入し、10mm幅、1.5mm厚のダイス孔より、1.0mm厚のプレートとなるように調整して押出した。
(3)電子線照射
上記成形により作製したプレートに、加速電圧2000kVの加速電子線を、表1〜3に記載の所定線量で照射した。
[シートの評価方法]
次に、上記のようにして得られた評価用プレートの評価方法について説明する。
(1)色差測定
上記プレートを用い、分光測色計(CM−2600d コニカミノルタ社製)を用いて、明度(L値)、赤色度(a値)、黄色度(b値)を求めた。また以下の式(1)に従って、白色度を算出した。式(1)中、aは赤色度、bは黄色度、Lは明度を表す。
W=100−〔(100−L)+a+b0.5 (1)
(2)280℃曝露
表1〜3に記載の処方で作製したプレートを、280℃に設定した恒温槽(熱風循環型)に投入し、槽内温度が280℃となってから30分間曝露した。取り出してから室温になるまで冷却したプレートにて色差を測定し、白色度を算出した。
(3)200℃曝露
表1〜3に記載の処方で作製したプレートを、200℃設定の恒温槽(熱風循環型)に投入し、槽内温度が200℃となってから24時間曝露した。取り出してから室温になるまで冷却したプレートにて色差を測定し、白色度を算出した。
(4)UV照射
表1〜3に記載の処方で作製したプレートを、室温下、UV光(アズワン社製のUVハンディーライトSUV−4を使用:波長254nm、UV照度610μW/cm)を、24時間毎に変色を目視で確認しつつ照射した。照射は、変色が確認できるまで行い、変色が確認できない場合は96時間行った。変色が確認できた段階、又は96時間の照射後にプレートの色差を測定し、白色度を算出した。UV積算光量は、以下の式(2)より算出した。なお、96時間の照射の場合のUV積算光量は、210J/cmである。
UV積算光量(μJ/cm)=UV照度(μW/cm)×照射時間(秒) (2)
上記評価にて形状を維持し、色差測定より算出した白色度にて90以上を良好とした。
次に、下記の実施例、比較例で使用した材料を以下に示す。
[フッ素樹脂]
テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(以下、ETFEと表す。)
ETFE(低融点1):フルオンLM−730AP 旭硝子社製 融点225℃
ETFE(低融点2):ネオフロンRP4020 ダイキン社製 融点170℃
ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの共重合体(以下FEPと表す。):ネオフロンFEP NP−101 ダイキン社製 融点255℃
[添加剤]
酸化チタン:FTR700 堺化学社製 一次粒子径 0.2μm
多官能性モノマー:トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート TAICROS エボニックデグサ社製
強化材(エポキシシラン処理されたガラス繊維):ECS−187 日本電気硝子社製 径13mmφ、繊維長3mm
窒化ホウ素:HP−40 水島合金鉄社製 平均粒径5〜40μm
[その他樹脂]
ポリエチレン:ノバテックHJ580N 日本ポリエチレン社製 融点134℃
ナイロン9Tコンパウンド:ジェネスタTA112 クラレ社製LED反射板用銘柄(強熱減量62%)
実施例1〜8
表1〜3に示す配合及び条件にて上記方法により評価用プレートを作製し、この評価用プレートを用いて上記評価方法を実施した。280℃30分、200℃24時間の曝露後も変形が全くみられなかった。白色度は90以上であり、目視でも着色は確認できなかった。この結果より、高い白色度、優れた耐熱劣化性、耐光劣化性(光に対する安定性)が確認された。
比較例1
照射をまったく行わなかった事以外は、実施例1と同様にして評価用プレートを作製し評価を実施した。樹脂の融点以上である280℃30分の曝露にて成形品の溶融が確認され、形状を維持していなかった。この点から、ハンダリフローに耐えることができないと判断した。
比較例2
フッ素樹脂として、炭素−水素結合を有さないFEPを用いた以外は、実施例1と同様にして評価用プレートを作製したが、照射による分解が発生し、評価プレートが脆く取り扱いが困難な成形品となってしまったため、実際の使用にも耐えないと判断した。
比較例3
フッ素樹脂の代わりに、フッ素を有さない樹脂である高密度ポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様にして評価用プレートを作製したが、280℃30分、200℃24時間の曝露にて形状は維持するものの、目視にて茶色に変色し、白色度も90以下となっていたため、白色成形体としての使用は困難であると判断した。
比較例4
市販のLED用リフレクタ用材料を用いて評価を実施したところ、280℃30分、200℃24時間の曝露にて形状は維持するものの、目視にて茶色に変色し、白色度も90以下となった。また、UV光照射にても24時間照射後に黄変が確認され、白色度は90以下となったため、高い白色度が要求される用途では使用が困難であると判断した。
Figure 2011195709
Figure 2011195709
Figure 2011195709
表1〜3に示された結果より明らかなように、本発明例である実施例1〜8で得られた白色樹脂成形体は、高い白色度、優れた耐熱劣化性、耐光劣化性を有し、良好と判断できる。そのため、LED用リフレクタとして使用する場合に、光源からの距離を短くでき、LEDモジュールを小型化できる。また光量を増やすことも可能となる。
なお、実施例2は、成形方法を押出成形とした場合であるが、射出成形の場合の他の実施例と同様な結果が得られており、前記の優れた効果は押出成形でも得られることが示されている。実施例3は、酸化チタンの添加量をフッ素樹脂100重量部に対して5重量部とした場合であり、実施例4は、酸化チタンの添加量をフッ素樹脂100重量部に対して100重量部とした場合であるが、いずれも酸化チタンの添加量が30重量部の場合と同様な結果が得られており、前記の優れた効果は酸化チタンの添加量5〜100重量部の範囲で得られることが示されている。
又、実施例5は、フッ素樹脂(A)の種類を変えた場合であるが、同様な結果が得られており、前記の優れた効果はフッ素樹脂(A)の種類によらず得られることが示されている。実施例6は、多官能性モノマーを添加し、かつ照射線量が低い場合であるが、同様な結果が得られており、多官能性モノマーを添加すれば低い照射線量でも、前記の優れた効果が得られることが示されている。
実施例7は、強化剤を添加した場合であるが、同様な結果が得られており、前記の優れた効果は強化剤を添加しても得られることが示されている。実施例8は、熱伝導度の高いフィラーを添加した場合であるが、同様な結果が得られており、前記の優れた効果は熱伝導度の高いフィラーを添加しても得られることが示されている
一方、電離放射線の照射を行わなかった比較例1は、ハンダリフローに耐える耐熱性は得られず、フッ素樹脂として炭素−水素結合を有さないFEPを用いた比較例2は、脆く実際の使用にも耐えない成形品しか得られない。又、フッ素樹脂の代わりに、フッ素を有さない樹脂である高密度ポリエチレンを用いた比較例3では、280℃30分、200℃24時間の曝露で変色し、白色成形体としての使用は困難である。又、市販品(比較例4)も、耐熱劣化性、耐光劣化性が低く、高い白色度が要求される用途では使用が困難であることが比較例4の結果より明らかである。
1. アルミ基板
2. LEDチップ
3. ボンディングワーヤー
4. LED用リフレクタ

Claims (7)

  1. 炭素−水素結合を有するフッ素樹脂(A)及び酸化チタン(B)からなる樹脂組成物の成形体であって、前記フッ素樹脂(A)が、電離放射線照射により架橋されていることを特徴とする白色樹脂成形体。
  2. 前記樹脂組成物が、分子量が1000以下であり、炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2つ以上有している多官能性モノマー(C)を、フッ素樹脂(A)100重量部に対し、0.5重量部以上、40重量部以下含有することを特徴とする請求項1に記載の白色樹脂成形体。
  3. 前記樹脂組成物が、補強材(D)を、フッ素樹脂(A)100重量部に対し、2重量部以上、50重量部以下含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の白色樹脂成形体。
  4. 前記樹脂組成物が、熱伝導度の高い無機フィラー(E)を、フッ素樹脂(A)100重量部に対し、5重量部以上、80重量部以下含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の白色樹脂成形体。
  5. 白色度90以上であり、かつ280℃で10分の熱曝露や200℃24時間の熱曝露後も白色度90以上を維持できることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の白色樹脂成形体。
  6. 前記樹脂組成物の成形体が、射出成形又は押出成形により成形されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の白色樹脂成形体。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の白色樹脂成形体からなることを特徴とするLED用リフレクタ。
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