JP2011194595A - クリア塗装鋼板 - Google Patents

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隆秀 林田
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Abstract

【課題】フッ素樹脂系クリア塗膜を有するクリア塗装ステンレス鋼板であって、耐候性に優れたクリア塗装ステンレス鋼板を提供すること。
【解決手段】ステンレス鋼板の表面にアミノ基を有するシランカップリング剤のみからなる塗装前処理皮膜を形成し、塗装前処理皮膜の表面にポリフッ化ビニリデンおよびアクリル樹脂を含むクリア塗膜を形成する。シランカップリング剤からなる塗装前処理皮膜は、地表に到達する紫外線によってはほとんど分解されないため、本発明のクリア塗装ステンレス鋼板は耐候性に優れている。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐候性、耐食性および意匠性に優れるクリア塗装鋼板に関する。
ステンレス鋼板は、優れた外観を生かして、内装材や厨房機器などの広範な用途で使用されている。ステンレス鋼板は、指紋や汚れの付着などが非常に目立ちやすいため、クリア塗装されることが多い。特に、フッ素樹脂系のクリア塗料を塗装されたステンレス鋼板は、耐食性や意匠性、耐傷付き性などに優れている。
ステンレス鋼の表面は、不動態皮膜に覆われているため不活性である。また、フッ素樹脂は、表面自由エネルギーが小さい。このように、ステンレス鋼およびフッ素樹脂はいずれも難接着性の材料であるため、ステンレス鋼板とフッ素樹脂系クリア塗膜との密着性は低い。そこで、ステンレス鋼板の表面にフッ素樹脂系クリア塗膜を形成する際には、塗膜密着性および耐食性を向上させるために、防食皮膜を形成させるための金属(クロムやチタン、ジルコニウムなど)化合物や有機樹脂などを含む塗装前処理皮膜を形成するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ステンレス鋼板の表面にクロメート皮膜を形成し、このクロメート皮膜の上にポリフッ化ビニリデンおよびアクリル樹脂からなるクリア塗膜を形成することが記載されている。
一方、めっき鋼板やステンレス鋼板などに対する塗膜密着性および耐食性を向上させるために、有機樹脂およびシランカップリング剤を含む塗装前処理皮膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献2〜5参照)。
特開2000−70844号公報 特開2003−55776号公報 特開2004−18887号公報 特開2009−248460号公報 特開2009−275287号公報
フッ素樹脂は紫外線を吸収しないため、フッ素樹脂系クリア塗膜は耐候性に優れているといわれている。しかしながら、従来、フッ素樹脂系クリア塗膜を形成したクリア塗装鋼板が屋外で使用されることはほとんど無かった。
前述の通り、従来のクリア塗装鋼板では、塗膜密着性および耐食性を向上させるために、水への可溶成分である金属化合物や有機樹脂などを含む塗装前処理皮膜が形成されていた。
フッ素樹脂系の塗膜は、撥水性は高いものの、ガラス転移点以上の温度では透水性が高まると考えられる。したがって、塗装前処理皮膜が水への可溶成分を含む場合、クリア塗装鋼板をガラス転移点以上の温度になる屋外で使用すると、塗装前処理皮膜中の可溶成分がフッ素樹脂系塗膜を通過してきた水分に溶解してしまい、塗膜密着性が大きく低下してしまう。
また、クリア塗装鋼板を太陽光があたる屋外で使用すると、紫外線はフッ素樹脂系クリア塗膜を透過して、塗装前処理皮膜に吸収される。したがって、塗装前処理皮膜が有機樹脂を含む場合、塗装前処理皮膜は紫外線により徐々に分解され、塗膜密着性が大きく低下してしまう。
このように、従来のクリア塗装ステンレス鋼板は、耐水性および/または耐UV性に劣るという問題があり、屋外での使用に耐えうるものではなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、フッ素樹脂系クリア塗膜を有するクリア塗装鋼板であって、耐候性に優れたクリア塗装鋼板を提供することを目的とする。
本発明者は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含み、かつ水への可溶成分(金属成分)および有機樹脂を含まない塗装前処理皮膜を形成し、その上にポリフッ化ビニリデンおよびアクリル樹脂を主樹脂とするクリア塗膜を形成することで、上記課題を解決しうることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の塗装鋼板に関する。
[1]ステンレス鋼板およびクロム含有鋼板からなる群から選択される塗装原板と;前記塗装原板の表面に形成され、アミノ基を有するシランカップリング剤を含み、かつ金属成分および有機樹脂を含まない塗装前処理皮膜と;前記塗装前処理皮膜の表面に形成され、ポリフッ化ビニリデンおよびアクリル樹脂を含むクリア塗膜とを有するクリア塗装鋼板。
[2]前記塗装前処理皮膜は、アミノ基を有するシランカップリング剤のみからなる、[1]に記載のクリア塗装鋼板。
[3]前記クリア塗膜中の前記ポリフッ化ビニリデンと前記アクリル樹脂との質量比は、6:4〜9:1の範囲内である、[1]または[2]に記載の塗装鋼板。
[4]前記アクリル樹脂の酸価は、0.1〜100KOHmg/gの範囲内である、[1]〜[3]のいずれかに記載の塗装鋼板。
[5]前記塗装前処理皮膜の付着量は、5〜500mg/mの範囲内である、[1]〜[4]のいずれかにに記載の塗装鋼板。
[6]外装材用のプレコート鋼板である、[1]〜[5]のいずれかに記載のクリア塗装鋼板。
本発明によれば、耐候性、耐食性および意匠性に優れるクリア塗装鋼板を提供することができる。本発明のクリア塗装鋼板は、例えば外装材用のプレコート鋼板として有用である。
本発明のクリア塗装鋼板は、塗装原板と、塗装原板の表面に形成された塗装前処理皮膜と、塗装前処理皮膜の表面に形成されたクリア塗膜とを有する。本発明のクリア塗装鋼板は、塗装前処理皮膜がアミノ基を有するシランカップリング剤を含み、かつ水への可溶成分(金属成分)および有機樹脂を含まないことを一つの特徴とする。
[塗装原板]
塗装原板としては、耐食性および意匠性に優れるステンレス鋼板またはクロム含有鋼板が使用される。本発明のクリア塗装鋼板では、塗装前処理皮膜に防錆効果のある金属化合物などを添加しないため、耐食性に優れた塗装原板を使用することが好ましい。また、本発明のクリア塗装鋼板では、塗装原板の外観を生かしたクリア塗膜を形成することから、意匠性に優れる塗装原板を使用することが好ましい。なお、本明細書において「クロム含有鋼板」とは、ステンレス鋼板に該当しない含有量のクロムを含む鋼板を意味する。
塗装原板としてステンレス鋼板を使用する場合、ステンレス鋼板の鋼種や表面仕上げの種類、硬さなどは、特に限定されない。ステンレス鋼板の鋼種の例には、SUS304、SUS430、SUS316などが含まれる。また、ステンレス鋼板の表面仕上げの種類の例には、BA、2B、2D、No.4、HLなどが含まれる。
塗装原板としてクロム含有鋼板を使用する場合、クロム含有鋼板のクロムの含有量は、耐食性の観点から、9〜11質量%の範囲内が好ましい。また、クロム含有鋼板は、Cr以外にも、P、Ni、Cuなどを含んでいてもよい。
[塗装前処理皮膜]
塗装前処理皮膜は、塗装原板の表面に形成されており、クリア塗膜の密着性を向上させる。塗装前処理皮膜は、塗装原板の片面にのみ形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。
塗装前処理皮膜は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含み、かつ水への可溶成分(金属成分)および有機樹脂を含まない。好ましくは、塗装前処理皮膜は、アミノ基を有するシランカップリング剤のみからなる。アミノ基は、クリア塗膜中のアクリル樹脂のカルボキシル基と脱水縮合することで、クリア塗膜との結合に寄与する。アミノ基を有するシランカップリング剤の例には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが含まれる。
塗装前処理皮膜の付着量は、特に限定されないが、5〜500mg/mの範囲内が好ましい。付着量が5mg/m未満の場合、塗膜密着性を十分に向上させることができない。また、付着量が500mg/m超の場合、皮膜厚の増大に伴って加工時に皮膜の凝集破壊が発生しやすくなり、塗装前処理皮膜の効果が低下してしまう。
塗装前処理皮膜は、公知の方法で形成されうる。たとえば、アミノ基を有するシランカップリング剤の水溶液を塗装原板の表面に塗布し、水洗することなく50〜220℃で乾燥すればよい。このようにすることで、シランカップリング剤のシラノール基と塗装原板表面の水酸基が脱水縮合するとともに、シランカップリング剤のシラノール基同士も脱水縮合して、塗装前処理皮膜が形成される。アミノ基は、塗装前処理皮膜の表層に濃化していると推測される。塗装前処理液の塗布方法は、特に限定されず、プレコート鋼板の製造に使用されている方法から適宜選択すればよい。そのような塗布方法の例には、ロールコート法、フローコート法、カーテンフロー法、スプレー法などが含まれる。
本発明のクリア塗装鋼板は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含み、かつ水への可溶成分(金属成分)および有機樹脂を含まないことを一つの特徴とする。前述の通り、従来のクリア塗装鋼板では、クリア塗膜の密着性および耐食性を向上させるために、水への可溶成分(クロムやチタン、ジルコニウムなど)や有機樹脂などを含む塗装前処理皮膜が形成されていたが、これらの塗装前処理皮膜は、耐水性および/または耐UV性に劣るという問題があった。これに対し、本発明者は、耐水性および耐UV性を両立するため、アミノ基を有するシランカップリング剤を含み、かつ水への可溶成分(金属成分)および有機樹脂を含まない皮膜(好ましくはアミノ基を有するシランカップリング剤のみからなる皮膜)を塗装前処理皮膜とした。
まず、アミノ基を有するシランカップリング剤を主成分とする塗装前処理皮膜は、水への可溶成分を含まないため、水分と接触しても塗膜密着性が低下せず、耐水性に優れている。
また、アミノ基を有するシランカップリング剤を主成分とする塗装前処理皮膜は、シロキサン結合(Si−O−Si)を主骨格とする。このシロキサン結合の結合解離エネルギーは、444kJ/molであり、これは269.7nmの波長の光の光子エネルギーに相当する(表1参照;「化学便覧基礎編」(日本化学会編、丸善)および「高分子の光安定化技術」(大澤善次郎著、シーエムシー出版)より抜粋)。一方、地表には波長280nm未満の光は到達しないため、シロキサン結合は地表に到達する紫外線(波長280〜400nm)によってはほとんど分解されない。このように、アミノ基を有するシランカップリング剤を主成分とする塗装前処理皮膜は、地表に到達する紫外線によっては分解されず、耐UV性を有する。
Figure 2011194595
[クリア塗膜]
クリア塗膜は、塗装前処理皮膜の表面に形成されている。クリア塗膜は、フッ素樹脂をベースとし、アクリル樹脂を含有する。アクリル樹脂のカルボキシル基は、塗装前処理皮膜のアミノ基と脱水縮合することで、塗膜密着性の向上に寄与する。
フッ素樹脂としては、耐久性や耐薬品性、耐熱性、耐摩耗性、対汚染性などに優れるフッ素樹脂の中でも、高い加工性および機械的強度を有するポリフッ化ビニリデンが使用される。ポリフッ化ビニリデンは、紫外線を吸収しないため、耐候性にも優れている。
アクリル樹脂としては、ポリフッ化ビニリデンと相溶性を有する熱可塑性アクリル樹脂および/または熱硬化性アクリル樹脂が使用される。使用できるアクリル樹脂の例には、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸エチル(EA)、アクリル酸ブチル(BA)、メタクリル酸ブチル(BMA)などからなるポリマーおよびコポリマーが含まれる。使用できるアクリル樹脂の市販品としては、例えばアクリロイド(Acryloid)B−44(Rohm & Haas社)が挙げられる。
アクリル樹脂の酸価は、0.1〜100KOHmg/gの範囲内が好ましい。酸価が0.1KOHmg/g未満の場合、塗膜の密着性および加工性が低下してしまう。一方、酸価が100KOHmg/g超の場合、塗膜の耐水性が低下してしまう。
クリア塗膜中のポリフッ化ビニリデンとアクリル樹脂との質量比は、6:4〜9:1の範囲内が好ましい。ポリフッ化ビニリデンの割合が6割未満の場合、耐候性や耐食性、耐汚染性などのフッ素樹脂の特性を十分に発揮させることができない。また、ポリフッ化ビニリデンの割合が9割超の場合、塗膜の密着性および加工性が低下する。
クリア塗膜は、塗装原板の表面光沢を活用することから、透明度が高いほど好ましい。クリア塗膜の透明度は、遊離させたクリア塗膜の全光線透過率として、JIS K 7361−1に準拠して評価することができる。この方法で測定される全光線透過率が50%以上の塗膜をクリア塗膜と評価する。遊離塗膜は、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)樹脂層を有する基板上に塗料を塗布し、乾燥させて得られた乾燥塗膜を、基板から剥離させることによって得ることができる。遊離塗膜の厚さは、本発明のクリア塗装ステンレス鋼板の塗膜厚と同程度とすればよい。
クリア塗膜は、無色透明のクリア塗膜であってもよいが、任意の着色顔料を含有するカラークリア塗膜であってもよい。着色顔料の例には、酸化チタン、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、ベンガラ、チタンイエロー、コバルトブルー、コバルトグリーン、アニリンブラック、フタロシアニンブルーなどが含まれる。また、クリア塗膜は、パール顔料や、アルミやステンレス、ニッケルなどの金属粉からなるメタリック顔料などを含有していてもよい。
クリア塗膜は、耐食性を向上させる観点から、防錆顔料を含有していてもよい。防錆顔料の例には、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸亜鉛マグネシウム、リン酸マグネシウム、亜リン酸マグネシウム、シリカ、カルシウムイオン交換シリカ、リン酸ジルコニウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、酸化亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなどが含まれる。また、クリア塗膜は、体質顔料を含有していてもよい。体質顔料の例には、硫酸バリウム、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウムなどが含まれる。
さらに、クリア塗膜は、塗膜硬度および耐摩耗性を向上させる観点または塗膜表面に凹凸を付与し外観を向上させる観点から、鱗片状無機質添加材や無機質繊維、粒状または塊状の有機骨材、粒状または塊状の無機骨材、つや消し材などを含有していてもよい。鱗片状無機質添加材の例には、ガラスフレーク、硫酸バリウムフレーク、グラファイトフレーク、合成マイカフレーク、合成アルミナフレーク、シリカフレーク、雲母状酸化鉄(MIO)などが含まれる。無機質繊維の例には、チタン酸カリウム繊維、ウォラスナイト繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、アルミナシリケート繊維、シリカ繊維、ロックウール、スラグウール、ガラス繊維、炭素繊維などが含まれる。有機骨材の例には、アクリルビーズ、ポリアクリロニトリルビーズなどが含まれる。無機骨材、つや消し剤の例には、ガラスビース、シリカ粉などが含まれる。
いずれの顔料を配合する場合であっても、クリア塗装鋼板の全光線透過率が50%以上となるように顔料を配合することが好ましい。
クリア塗膜の膜厚は、2〜30μmの範囲内が好ましい。膜厚が2μm未満の場合、耐候性や耐食性、耐汚染性などのフッ素樹脂の特性を十分に発揮させることができない。一方、膜厚が30μm超の場合、焼き付けの際にワキが発生しやすくなり、塗膜表面が柚子肌状になるおそれがある。
クリア塗膜は、公知の方法で形成されうる。たとえば、ポリフッ化ビニリデンおよびアクリル樹脂を含むクリア塗料を塗装前処理皮膜の表面に塗布し、焼き付ければよい。クリア塗料の塗布方法は、特に限定されず、プレコート鋼板の製造に使用されている方法から適宜選択すればよい。塗布方法の例には、ロールコート法、フローコート法、カーテンフロー法、スプレー法などが含まれる。焼き付け条件は、例えば、到達板温240〜300℃で30〜120秒間焼き付ければよい。また、クリア塗膜の硬度を向上させるために、140℃以下の温度で再加熱処理をしてもよい(特許文献1参照)。
以上のように、本発明のクリア塗装鋼板は、アミノ基を有するシランカップリング剤を主成分とする塗装前処理皮膜の上に、ポリフッ化ビニリデンおよびアルカリ樹脂を主樹脂とするクリア塗膜を有するため、優れた耐候性、耐食性および意匠性を有している。
本発明のクリア塗装鋼板は、耐候性、耐食性および意匠性に優れているため、例えば外装材用のプレコート鋼板として好適である。
以下、本発明を実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
1.クリア塗装ステンレス鋼板の作製
塗装原板として、板厚0.4mmステンレス鋼板(SUS430)を準備した。準備した鋼板の表面をアルカリ脱脂し、水洗した。各鋼板の片面に、表2に示す組成の塗装前処理液をバーコーターで塗布し、100℃で乾燥させて、塗装前処理皮膜を形成した。各塗装前処理液は、ビーカーに所定量のシランカップリング剤、金属化合物および有機樹脂を入れ、合計量が1Lとなるように純水を加え、攪拌することで調製した。
表2に示されるシランカップリング剤について、3−アミノプロピルトリエトキシシランは、KBE−903(信越化学工業株式会社)を使用した。また、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシランは、KBM−602(信越化学工業株式会社)を使用した。N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランは、KBM−603(信越化学工業株式会社)を使用した。3−アミノプロピルトリメトキシシランは、KBM−903(信越化学工業株式会社)を使用した。3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランは、KBM−403(信越化学工業株式会社)を使用した。3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランは、KBE−403(信越化学工業株式会社)を使用した。
表2に示される有機樹脂について、加水分解型タンニン酸は、Hiタンニン酸(大日本住友製薬株式会社)を使用した。また、アクリル樹脂は、アルマテックスE208(三井化学株式会社)を使用した。レゾール型フェノール樹脂は、レヂトップPL−4667(群栄化学工業株式会社)を使用した。フェニルメチルシリコーンレジンは、Polon MF−28(信越化学工業株式会社)を使用した。
各塗装前処理ステンレス鋼板の塗装前処理皮膜中のSiおよび各種金属含有量を蛍光X線分析装置を用いて測定し、測定されたSiおよび各種金属含有量から塗装前処理皮膜の付着量を算出した。また、各種樹脂の付着量は、赤外線分光法の吸光度法により測定した。各塗装前処理ステンレス鋼板の塗装前処理皮膜の付着量を表2に示す。
Figure 2011194595
塗装前処理をした各ステンレス鋼板の表面に、ポリフッ化ビニリデン(カイナー500;アトケム株式会社)およびアクリル樹脂(アクリロイドB−44;Rohm & Haas社)を質量比8:2で含む混合樹脂塗料を塗布し、250℃で1分間焼き付け、直後に水冷して、膜厚20μmの非晶質のクリア塗膜を形成した。次いで、クリア塗膜の硬度を実用的なレベルにするために、非晶質のクリア塗膜を形成した各ステンレス鋼板を120℃で4分間加熱し、直後に水冷して、クリア塗膜中のフッ素樹脂を結晶化させた。
2.耐水密着性試験
各クリア塗装ステンレス鋼板(実施例1〜8、比較例1〜18)から試験片を切り出し、耐水密着性試験を実施した。クリア塗膜の表面からステンレス鋼素地に達するX字型の切り込み(クロスカット部)を各試験片にカッターナイフを用いて形成した。クロスカット部を形成した各試験片を沸騰水に2時間浸漬し、直後に冷水に浸漬した。各試験片を2時間乾燥させた後、塗膜表面に粘着テープを貼り付け、瞬時にテープを引き剥がした。テープ剥離後、各試験片について、塗膜の残存率を計測した。
3.耐候性試験
各クリア塗装ステンレス鋼板(実施例1〜8、比較例1〜18)から試験片を切り出し、耐候性試験を実施した。耐水密着性試験と同様に、各試験片にクロスカット部を形成した。クロスカット部を形成した各試験片について、「JIS K 5400:1990、塗料一般試験方法、9.8促進耐候性、9.8.1サンシャインカーボンアーク灯式」に準拠して、2000時間耐候性試験を行った。この試験では、サンシャインカーボンアーク灯の光を照射しながら、120分間の照射中に18分間水を噴射した。試験後、各試験片について、クロスカット部からの塗膜の最大剥離幅を計測した。
4.耐食性試験
各クリア塗装ステンレス鋼板(実施例1〜8、比較例1〜18)から試験片を切り出し、耐食性試験を実施した。耐水密着性試験と同様に、各試験片にクロスカット部を形成した。クロスカット部を形成した各試験片について、「JIS K 5600−7−9:2006、塗料一般試験方法、第7部:塗膜の長期耐久性、第9節:サイクル腐食試験方法 サイクルA」に準拠して、2000時間(250サイクル)サイクル腐食試験を行った。試験後、各試験片について、クロスカット部からの最大腐食幅を計測した。
5.分析結果
各クリア塗装ステンレス鋼板の耐水密着性試験、耐候性試験および耐食性試験の結果を表3に示す。
Figure 2011194595
アミノ基を有しないシランカップリング剤のみからなる塗装前処理皮膜を形成した比較例1、2のクリア塗装ステンレス鋼板では、耐水密着性、耐候性および耐食性のすべてにおいて良好な結果を得られなかった。これは、シランカップリング剤がアミノ基を有していないため、塗装前処理皮膜とクリア塗膜との密着性が低かったためと考えられる。
また、アミノ基を有するシランカップリング剤および金属化合物の混合物からなる塗装前処理皮膜を形成した比較例3〜7のクリア塗装ステンレス鋼板、および金属化合物のみからなる塗装前処理皮膜を形成した比較例8〜12のクリア塗装ステンレス鋼板でも、耐水密着性、耐候性および耐食性のすべてにおいて良好な結果を得られなかった。耐水密着性および耐食性について良好な結果を得られなかったのは、塗装前処理皮膜中の金属化合物が水分によって溶出したためと考えられる。また、耐候性について良好な結果を得られなかったのは、塗装前処理皮膜中の金属化合物が水分によって溶出して塗膜密着性が低下した状態で、光照射による温度上昇によりクリア塗膜が変形することによって、クリア塗膜の剥離が進行したためと考えられる。
また、アミノ基を有するシランカップリング剤および有機樹脂の混合物からなる塗装前処理皮膜を形成した比較例13、14のクリア塗装ステンレス鋼板でも、耐候性について良好な結果を得られなかった。耐候性について良好な結果を得られなかったのは、塗装前処理皮膜中の有機樹脂が紫外線を吸収して分解したためと考えられる。
また、有機樹脂からなる塗装前処理皮膜を形成した比較例15〜18のクリア塗装ステンレス鋼板でも、耐水密着性(加水分解型タンニン酸を除く)、耐候性および耐食性のすべてにおいて良好な結果を得られなかった。耐候性について良好な結果を得られなかったのは、塗装前処理皮膜中の有機樹脂が紫外線を吸収して分解したためと考えられる。また、耐水密着性および耐食性について良好な結果を得られなかったのは、塗装前処理皮膜とクリア塗膜との密着性が低かったためと考えられる。
一方、アミノ基を有するシランカップリング剤のみからなる塗装前処理皮膜を形成した実施例1〜8のクリア塗装ステンレス鋼板では、耐水密着性、耐候性および耐食性のすべてにおいて良好な結果を得られた。これは、塗装前処理皮膜が紫外線により分解されず、かつ塗装前処理皮膜がステンレス鋼板およびクリア塗膜に強固に結合していたためと考えられる。
以上の結果から、実施例1〜8の塗装ステンレス鋼板は、耐水密着性、耐候性および耐食性に優れていることがわかる。
本発明の塗装ステンレス鋼板は、耐候性、耐食性および意匠性に優れているため、屋根材、壁材などの外装材用のプレコート鋼板として有用である。

Claims (6)

  1. ステンレス鋼板およびクロム含有鋼板からなる群から選択される塗装原板と、
    前記塗装原板の表面に形成され、アミノ基を有するシランカップリング剤を含み、かつ金属成分および有機樹脂を含まない塗装前処理皮膜と、
    前記塗装前処理皮膜の表面に形成され、ポリフッ化ビニリデンおよびアクリル樹脂を含むクリア塗膜と、
    を有するクリア塗装鋼板。
  2. 前記塗装前処理皮膜は、アミノ基を有するシランカップリング剤のみからなる、請求項1に記載のクリア塗装鋼板。
  3. 前記クリア塗膜中の前記ポリフッ化ビニリデンと前記アクリル樹脂との質量比は、6:4〜9:1の範囲内である、請求項1に記載のクリア塗装鋼板。
  4. 前記アクリル樹脂の酸価は、0.1〜100KOHmg/gの範囲内である、請求項1に記載のクリア塗装鋼板。
  5. 前記塗装前処理皮膜の付着量は、5〜500mg/mの範囲内である、請求項1に記載のクリア塗装鋼板。
  6. 外装材用のプレコート鋼板である、請求項1に記載のクリア塗装鋼板。
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