JP2011192751A - 電磁ソレノイド装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プランジャー8の往路P1と復路P2との間で生じるヒステリシスを低減することが可能となり、プランジャー8の制御性が向上して使い勝手が良い電磁ソレノイド装置1を提供する。
【解決手段】コイル体5への通電時、プランジャー8の拡開筒部8bに流れる磁束φ1がプランジャー8の拡開筒部8bの軸方向Jに沿い、薄肉筒部3eに流れる磁束φ2がステータコア3の径大部3aの軸方向Kに沿うようになるため、プランジャー8がステータコア3から真横に受けるサイドフォースが緩和されて摺動抵抗が減少する。このため、コイル体5への通電時にプランジャー8に対する往路P1での吸引力と復路P2での吸引力との間に大きな差がなくなり、プランジャー8の往路P1と復路P2との間で生じるヒステリシスが低減する。
【選択図】図1
【解決手段】コイル体5への通電時、プランジャー8の拡開筒部8bに流れる磁束φ1がプランジャー8の拡開筒部8bの軸方向Jに沿い、薄肉筒部3eに流れる磁束φ2がステータコア3の径大部3aの軸方向Kに沿うようになるため、プランジャー8がステータコア3から真横に受けるサイドフォースが緩和されて摺動抵抗が減少する。このため、コイル体5への通電時にプランジャー8に対する往路P1での吸引力と復路P2での吸引力との間に大きな差がなくなり、プランジャー8の往路P1と復路P2との間で生じるヒステリシスが低減する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両搭載用の電装部品を駆動する電磁ソレノイド装置に係り、とりわけプランジャーが軸方向に往復移動する電磁ソレノイド装置に関する。
一般に、電磁ソレノイド装置の往復動機能は、各種のバルブ開閉機構をはじめ、ディスチャージ形前照灯のロー・ハイを配光制御するシェード、照射方向を上下調節するレベライザー、照射方向を左右に調整するAFS、および自動変速機を搭載した車両(AT車)のシフトレバーロック装置等に適用されている。
電磁ソレノイド装置のなかでも、自動車の自動変速機のライン圧制御に用いる比例電磁弁では、プランジャーの一端をコア側に存する収容部の突出端部に収容移動させる構成になっている(例えば、特許文献1、2参照)。
この突出端部は、収容部の開口縁に近づくほど断面積が減少するテーパ状を成し、磁気回路におけるコアとプランジャーとの間の磁気受渡し部を構成している。突出端部のテーパ角を所定に設定し、プランジャーがコアから離間するに従ってプランジャーに働くコアの吸引力が大きくなるようにしている。
これにより、ソレノイドに供給されるパルス幅変調式(PWM)における駆動電流の周波数を低くしなくても、通電時にプランジャーが弁開閉方向に微変動することを抑制し、プランジャーの移動過程で生じるヒステリシスの悪化を最小限に止めて弁開閉の制御特性を改善している。
これにより、ソレノイドに供給されるパルス幅変調式(PWM)における駆動電流の周波数を低くしなくても、通電時にプランジャーが弁開閉方向に微変動することを抑制し、プランジャーの移動過程で生じるヒステリシスの悪化を最小限に止めて弁開閉の制御特性を改善している。
すなわち、特許文献1、2では、プランジャーの作動位置が移動限界付近にある時(弁全開あるいは弁全閉状態に近づいた時)、コアの突出端部からプランジャーに大きな吸引力を働かすようにしたもので、駆動電圧のパルス幅を変化させてソレノイドに供給する比例電磁弁に特有の課題を解決思想としている。
このため、特許文献1、2は、通電時のコイル体による電磁吸引力とともに、プランジャーに磁気吸引力を付与して作動位置への移動力を増強する磁石を設けるソレノイドとは別異の構成となる。
磁石を設けるソレノイドでは、作動位置でプランジャーにサイドフォースが摺動抵抗として働き、プランジャーの吸引側と戻り側での吸引力に大きな差をもたらし、プランジャーの往路と復路との間でヒステリシスが生じ、プランジャーの制御性が悪化して使い勝手が悪くなる。このヒステリシスの低減化を目指すには、特許文献1、2とは別な観点から改良を図る余地があると考えられる。
磁石を設けるソレノイドでは、作動位置でプランジャーにサイドフォースが摺動抵抗として働き、プランジャーの吸引側と戻り側での吸引力に大きな差をもたらし、プランジャーの往路と復路との間でヒステリシスが生じ、プランジャーの制御性が悪化して使い勝手が悪くなる。このヒステリシスの低減化を目指すには、特許文献1、2とは別な観点から改良を図る余地があると考えられる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、プランジャーに磁気吸引力を付与する磁石を設けながらも、コイル体への通電時にプランジャーの往路と復路との間で生じるヒステリシスを低減することが可能となり、プランジャーの制御性が改善されて使い勝手が良くなり品質の向上に貢献する電磁ソレノイド装置を提供することにある。
(請求項1について)
電磁ソレノイド装置におけるステータコアは、内側に短筒部を有している。磁性材製のスリーブは、ステータコアの短筒部に同芯的に連結配置されている。コイル体は、ステータコアの外周部からスリーブの外周部にわたって巻装されている。磁石は、ステータコアの短筒部とスリーブとの間に設けられている。プランジャーは、ステータコア、磁石およびスリーブ内で軸方向に往復移動可能に設けられている。
プランジャーは、コイル体への通電に伴って、プランジャーとステータコアとの間に働く電磁吸引力および磁石の磁気吸引力により、プランジャーの先端部が初期位置から磁石を通過し、ステータコアの短筒部と重なる作動位置に移動し、コイル体への無通電に伴い、戻し手段により作動位置から初期位置に戻る。
プランジャーの先端部に第1磁気飽和部を設けるとともに、ステータコアの短筒部に第2磁気飽和部を設けている。コイル体への通電時に第1磁気飽和部に流れる磁束がプランジャーの先端部の軸方向に沿い、第2磁気飽和部に流れる磁束がステータコアの短筒部の軸方向に沿うように構成している。
電磁ソレノイド装置におけるステータコアは、内側に短筒部を有している。磁性材製のスリーブは、ステータコアの短筒部に同芯的に連結配置されている。コイル体は、ステータコアの外周部からスリーブの外周部にわたって巻装されている。磁石は、ステータコアの短筒部とスリーブとの間に設けられている。プランジャーは、ステータコア、磁石およびスリーブ内で軸方向に往復移動可能に設けられている。
プランジャーは、コイル体への通電に伴って、プランジャーとステータコアとの間に働く電磁吸引力および磁石の磁気吸引力により、プランジャーの先端部が初期位置から磁石を通過し、ステータコアの短筒部と重なる作動位置に移動し、コイル体への無通電に伴い、戻し手段により作動位置から初期位置に戻る。
プランジャーの先端部に第1磁気飽和部を設けるとともに、ステータコアの短筒部に第2磁気飽和部を設けている。コイル体への通電時に第1磁気飽和部に流れる磁束がプランジャーの先端部の軸方向に沿い、第2磁気飽和部に流れる磁束がステータコアの短筒部の軸方向に沿うように構成している。
コイル体への通電時、第1磁気飽和部に流れる磁束がプランジャーの先端部の軸方向に沿い、第2磁気飽和部に流れる磁束がステータコアの短筒部の軸方向に沿うようになるため、プランジャーがステータコアから真横に受けるサイドフォース(横力)が緩和されて摺動抵抗が減少する。
このため、コイル体への通電・無通電に伴って、プランジャーが作動位置と初期位置との間で往復移動するものの、コイル体への通電時にプランジャーが往路で受ける吸引力と復路で受ける吸引力との間に大きな差がなくなり、プランジャーの往路と復路との間で生じるヒステリシスを低減することが可能となる。
ヒステリシスの低減化に伴い、通電量に対するプランジャーの制御性が改善され、使い勝手が良くなり、電磁ソレノイド装置としての品質を向上させることができる。
このため、コイル体への通電・無通電に伴って、プランジャーが作動位置と初期位置との間で往復移動するものの、コイル体への通電時にプランジャーが往路で受ける吸引力と復路で受ける吸引力との間に大きな差がなくなり、プランジャーの往路と復路との間で生じるヒステリシスを低減することが可能となる。
ヒステリシスの低減化に伴い、通電量に対するプランジャーの制御性が改善され、使い勝手が良くなり、電磁ソレノイド装置としての品質を向上させることができる。
(請求項2について)
第1磁気飽和部は、プランジャーの先端部が先端ほど断面積が減少する拡開筒部から成り、第2磁気飽和部は、ステータコアの短筒部を部分的に薄肉化した薄肉筒部から成っている。
この場合、新たな別部材を付与することなく、第1磁気飽和部は拡開筒部として、第2磁気飽和部は薄肉筒部として形成しているので、請求項1と同様な効果を簡素な構造でコスト的に有利に実現することができる。
第1磁気飽和部は、プランジャーの先端部が先端ほど断面積が減少する拡開筒部から成り、第2磁気飽和部は、ステータコアの短筒部を部分的に薄肉化した薄肉筒部から成っている。
この場合、新たな別部材を付与することなく、第1磁気飽和部は拡開筒部として、第2磁気飽和部は薄肉筒部として形成しているので、請求項1と同様な効果を簡素な構造でコスト的に有利に実現することができる。
(請求項3について)
拡開筒部の内周面は、先端ほど径大となるテーパ錐面を形成しているため、簡素な構成で請求項1と同様な効果が得られる。
拡開筒部の内周面は、先端ほど径大となるテーパ錐面を形成しているため、簡素な構成で請求項1と同様な効果が得られる。
(請求項4について)
テーパ錐面は、テーパ方向に沿って多段に起伏する階段状になっているため、請求項1と同様な効果を奏する他、テーパ錐面における形状の多様化にも寄与する。
テーパ錐面は、テーパ方向に沿って多段に起伏する階段状になっているため、請求項1と同様な効果を奏する他、テーパ錐面における形状の多様化にも寄与する。
(請求項5について)
拡開筒部の内周面は、先端ほど径大となる円錐曲面を形成しているため、簡素な形状の円錐曲面で請求項1と同様な効果が得られる。
拡開筒部の内周面は、先端ほど径大となる円錐曲面を形成しているため、簡素な形状の円錐曲面で請求項1と同様な効果が得られる。
本発明では、コイル体への通電・無通電に伴って、プランジャーが作動位置と初期位置との間で往復移動するものの、コイル体への通電時にプランジャーが往路で受ける吸引力と復路で受ける吸引力との間に大きな差がなくなり、プランジャーの往路と復路との間で生じるヒステリシスを低減することが可能となる。ヒステリシスの低減化に伴い、プランジャーの制御性が向上して使い勝手が良くなり、電磁ソレノイド装置としての品質が向上し、車両搭載用の電磁ソレノイド装置として好適となる。
〔実施例1の構成〕
図1(a)、図2ないし図6は本発明の実施例1を示す。図1(a)における電磁ソレノイド装置1は、各種のバルブの開閉を行うアクチュエータをはじめ、ディスチャージ形前照灯のロー・ハイを配光制御するシェード、照射方向を上下調節するレベライザー、照射方向を左右に調整するAFS、および自動変速機を搭載した車両(AT車)のシフトレバーロック装置等に使用される。
図1(a)、図2ないし図6は本発明の実施例1を示す。図1(a)における電磁ソレノイド装置1は、各種のバルブの開閉を行うアクチュエータをはじめ、ディスチャージ形前照灯のロー・ハイを配光制御するシェード、照射方向を上下調節するレベライザー、照射方向を左右に調整するAFS、および自動変速機を搭載した車両(AT車)のシフトレバーロック装置等に使用される。
電磁ソレノイド装置1は、外殻のハウジングとして筒状のヨーク2を有している。ヨーク2における一方の開口端部には、環状の蓋体2aが取り付けられ、他方の開口端部には、環状のカバー2bが一体的に延出形成されている。
ステータコア3は、径大部3aと径小部3bとから段付き筒状に形成されており、径大部3aを内側としてヨーク2内に配置されている。径小部3bは、蓋体2aの開口部2c内に嵌合固定され、径大部3aは、短筒部としてヨーク2内に同芯的に配置されている。磁性材製のスリーブ4は、カバー2bの開口部2d内に嵌合固定され、ヨーク2内で径大部3aに同芯的に連結配置されている。
コイル体5は、スプール6に配設されたもので、スプール6を介してステータコア3の外周部からスリーブ4の外周部にわたって巻装されている。ステータコア3の径大部3aとスリーブ4との間には、厚み方向に磁化されたリング状の磁石7が挟入されている。
磁石7は、例えばネオジウム磁石から形成され、自らの磁気力によりステータコア3およびスリーブ4と同軸的に吸引保持されている。磁石7と径大部3aとの間や磁石7とスリーブ4との間には、接着剤(図示せず)を介在させて磁石7に対する保持を強化してもよい。
磁石7は、例えばネオジウム磁石から形成され、自らの磁気力によりステータコア3およびスリーブ4と同軸的に吸引保持されている。磁石7と径大部3aとの間や磁石7とスリーブ4との間には、接着剤(図示せず)を介在させて磁石7に対する保持を強化してもよい。
ステータコア3の径大部3a、磁石7およびスリーブ4内には、棒状のプランジャー8が軸方向Wに往復移動可能に設けられている。
プランジャー8は、磁石7からの磁気吸引力およびコイル体5への通電に伴ってステータコア3に働く電磁吸引力により、プランジャー8の先端部8aが初期位置H1から磁石7を通過し、ステータコア3の径大部3aと長手方向に重なる作動位置H2に移動する。 コイル体5への無通電に伴い、プランジャー8は、ばね等の戻し手段(図示せず)により作動位置H2から初期位置H1に復帰する。
なお、初期位置H1および作動位置H2については、使用状況や適用対象に応じて随意に設定することができる。
プランジャー8は、磁石7からの磁気吸引力およびコイル体5への通電に伴ってステータコア3に働く電磁吸引力により、プランジャー8の先端部8aが初期位置H1から磁石7を通過し、ステータコア3の径大部3aと長手方向に重なる作動位置H2に移動する。 コイル体5への無通電に伴い、プランジャー8は、ばね等の戻し手段(図示せず)により作動位置H2から初期位置H1に復帰する。
なお、初期位置H1および作動位置H2については、使用状況や適用対象に応じて随意に設定することができる。
プランジャー8の先端部8aには、先端ほど断面積が減少する拡開筒部8bを第1磁気飽和部として形成している。拡開筒部8bの内周面は、先端ほど径大となるテーパ錐面8cを形成している。
ステータコア3の径大部3aには、径大部3aの外周部を部分的に肉取りすることにより薄肉化した薄肉筒部3eを第2磁気飽和部として形成している。
ステータコア3の径大部3aには、径大部3aの外周部を部分的に肉取りすることにより薄肉化した薄肉筒部3eを第2磁気飽和部として形成している。
コイル体5への無通電時には、図1(a)の中心線Mよりも下方に示すように、磁石7からスリーブ4、カバー2b、ヨーク2、蓋体2aおよびステータコア3の径大部3aに巡る磁気回路Φrが生じる。
コイル体5に通電してプランジャー8を作動位置H2に移動した時、図1(a)の中心線Mよりも上方に示すように、ヨーク2からカバー2b、スリーブ4、プランジャー8、径大部3aおよび蓋体2aに巡る磁気回路Φnが生じる。磁石7の磁気回路Φrは、磁気回路Φnによる影響を受け、磁石7からスリーブ4、プランジャー8およびステータコア3に巡る磁気回路Φmを生じる。
コイル体5に通電してプランジャー8を作動位置H2に移動した時、図1(a)の中心線Mよりも上方に示すように、ヨーク2からカバー2b、スリーブ4、プランジャー8、径大部3aおよび蓋体2aに巡る磁気回路Φnが生じる。磁石7の磁気回路Φrは、磁気回路Φnによる影響を受け、磁石7からスリーブ4、プランジャー8およびステータコア3に巡る磁気回路Φmを生じる。
この場合、プランジャー8の拡開筒部8bには、磁気飽和により磁気回路Φnの磁束φ1が広い通路領域を求めてプランジャー8の先端部8aである拡開筒部8bの軸方向Jに沿って流れる。また、ステータコア3の薄肉筒部3eには、磁気飽和により磁気回路Φnの磁束φ2が広い通路領域を求めてステータコア3の径大部3aの軸方向Kに沿って流れる。
これに対して、図1(b)に示す比較例のように、ステータコア3に薄肉筒部3eやプランジャー8に拡開筒部8bを有しない場合には、磁気回路Φnの磁束φ1、φ2がプランジャー8からステータコア3に真横から略垂直に流入し、プランジャー8に対してサイドフォース(横力)が摺動抵抗として生じる。
このため、比較例では、図2の特性曲線に細い実線で示すように、コイル体5への通電時にプランジャー8の往路P1と復路P2との間に大きな履歴幅Δ1を有するヒステリシスが生じる。
この点、本発明では、図2に太い実線で示すように、プランジャー8の往路P1と復路P2との間に小さな履歴幅Δ2を有するヒステリシスが生じる。履歴幅Δ1と履歴幅Δ2とを比較することにより、本発明では比較例に対してヒステリシスが略60%程度減少することが分かる。
この点、本発明では、図2に太い実線で示すように、プランジャー8の往路P1と復路P2との間に小さな履歴幅Δ2を有するヒステリシスが生じる。履歴幅Δ1と履歴幅Δ2とを比較することにより、本発明では比較例に対してヒステリシスが略60%程度減少することが分かる。
なお、図1(a)、(b)では、便宜上の理由から中心線Mの上方および下方に同一符号を重複して付した。図1(b)の比較例では、本発明の電磁ソレノイド装置1と同一部分には同一符号を付して示した。
また、図2の特性曲線では、横軸をストロークとし、縦軸を吸引力としているが、この吸引力は、往路P1および復路P2ともにコイル体5による電磁吸引力と磁石7による磁気吸引力である。
また、図2の特性曲線では、横軸をストロークとし、縦軸を吸引力としているが、この吸引力は、往路P1および復路P2ともにコイル体5による電磁吸引力と磁石7による磁気吸引力である。
〔実施例1の効果〕
上記構成では、コイル体5への通電時、図1(a)に示すように、プランジャー8の拡開筒部8bに流れる磁束φ1が拡開筒部8bの軸方向Jに沿い、薄肉筒部3eに流れる磁束φ2が径大部3aの軸方向Kに沿うようになるため、プランジャー8がステータコア3の真横から受けるサイドフォースが緩和されて摺動抵抗が減少する。
上記構成では、コイル体5への通電時、図1(a)に示すように、プランジャー8の拡開筒部8bに流れる磁束φ1が拡開筒部8bの軸方向Jに沿い、薄肉筒部3eに流れる磁束φ2が径大部3aの軸方向Kに沿うようになるため、プランジャー8がステータコア3の真横から受けるサイドフォースが緩和されて摺動抵抗が減少する。
このため、コイル体5への通電・無通電に伴って、プランジャー8が初期位置H1と作動位置H2との間で往復移動するものの、コイル体5への通電時にプランジャー8が往路P1で受ける吸引力と復路P2で受ける吸引力との間に大きな差がなくなり、プランジャー8の往路P1と復路P2との間で生じるヒステリシスが低減する。
ヒステリシスの低減化に伴い、通電量に対するプランジャー8の制御性が改善され、使い勝手が良くなり、電磁ソレノイド装置1としての品質を向上させることができる。
ヒステリシスの低減化に伴い、通電量に対するプランジャー8の制御性が改善され、使い勝手が良くなり、電磁ソレノイド装置1としての品質を向上させることができる。
〔プランジャー8に働く吸引力とサイドフォースについて〕
図3(a)は、プランジャー8における拡開筒部8bの寸法変更箇所を示し、拡開筒部8bの寸法変更箇所により、プランジャー8に働く吸引力(電磁吸引力+磁気吸引力)とサイドフォースとの関係を調べたものである。
図3(a)において、拡開筒部8bの高さ寸法を深さLとし、先端厚みを幅Gとし、底部の溝幅を内径Dとする。
図3(a)は、プランジャー8における拡開筒部8bの寸法変更箇所を示し、拡開筒部8bの寸法変更箇所により、プランジャー8に働く吸引力(電磁吸引力+磁気吸引力)とサイドフォースとの関係を調べたものである。
図3(a)において、拡開筒部8bの高さ寸法を深さLとし、先端厚みを幅Gとし、底部の溝幅を内径Dとする。
図3(b)および図4(a)、(b)においては、拡開筒部8bの深さL、幅Gおよび内径Dを一つずつ順に変化させ、他の寸法要素を一定に保った場合、プランジャー8に働く吸引力とサイドフォースとが変化する様子を示す。
図3(b)は、深さLを変化させる例であり、深さLを増やしてゆくと、吸引力はサイドフォースとともに低下するが、吸引力の緩慢な低下に対してサイドフォースは急激に低下することを示す。よって、サイドフォースの緩和を重視する場合は、深さLを増やすことが有利と考えられる。
図4(a)は、幅Gを変化させる例であり、幅Gを増やしてゆくと、吸引力はサイドフォースとともに上昇するが、吸引力がサイドフォースを次第に上回る状態で増加することを示す。よって、大きな吸引力を確保する場合は、幅Gを大きく設定する必要があることが分かる。
図4(b)は、内径Dを変化させる例であり、内径Dを増やしてゆくと、吸引力はサイドフォースを上回っているものの、サイドフォースとともに比較的早く降下することを示す。よって、サイドフォースを緩和して吸引力を高める場合は、他の寸法要素である深さLや幅Gの大きさを考慮して設定する必要がある。
図5(a)は、ステータコア3における径大部3aの寸法変更箇所を示し、径大部3aの寸法変更箇所によりプランジャー8に働く吸引力(電磁吸引力+磁気吸引力)とサイドフォースとの関係を調べたものである。
図5(a)において、薄肉筒部3eの遠側端3hから先端3gまでの長さを絞り距離Aとし、薄肉筒部3eの幅寸法を絞り長さBとし、薄肉筒部3eの肉取り深さを絞り深さCとする。
図5(b)および図6(a)、(b)においては、薄肉筒部3eの絞り距離A、絞り長さBおよび絞り深さCのうち一つを順に変化させ、他の寸法要素を一定に保った場合、プランジャー8に働く吸引力とサイドフォースとが変化する様子を示す。
図5(a)において、薄肉筒部3eの遠側端3hから先端3gまでの長さを絞り距離Aとし、薄肉筒部3eの幅寸法を絞り長さBとし、薄肉筒部3eの肉取り深さを絞り深さCとする。
図5(b)および図6(a)、(b)においては、薄肉筒部3eの絞り距離A、絞り長さBおよび絞り深さCのうち一つを順に変化させ、他の寸法要素を一定に保った場合、プランジャー8に働く吸引力とサイドフォースとが変化する様子を示す。
図5(b)は、絞り距離Aを変化させる例であり、絞り距離Aを増やしてゆくと、サイドフォースが吸引力を上回りながら、吸引力とともに緩慢に低下し、絞り距離Aがある点になると、両者が略同一値となることを示す。よって、サイドフォースを抑えて吸引力を優先するには、絞り長さBや絞り深さCとの関係を考慮して絞り距離Aを決める必要がある。
図6(a)は、絞り長さBを変化させる例であり、絞り長さBを増やしてゆくと、サイドフォースが吸引力を上回りながら、吸引力とともに比較的早く低下する傾向を示す。よって、サイドフォースを抑制しながら比較的高い吸引力を確保する場合には、絞り距離Aや絞り深さCを配慮しながら絞り長さBを設定する必要がある。
図6(b)は、絞り深さCを変化させる例であり、絞り深さCを増やしてゆくと、吸引力はサイドフォースとともに低下するが、吸引力はサイドフォースに比べて急激に低下することを示す。よって、吸引力の急落を抑制するには、絞り距離Aや絞り長さBとの関係を考慮しながら絞り深さCを小さめに設定することが望ましい。
〔実施例2〕
図7(a)は本発明の実施例2を示す。
実施例2が実施例1と異なるところは、テーパ錐面8cに代わって、拡開筒部8bの内周面を先端ほど径大となる円錐曲面8f(楕円面、双曲面、放物面)により形成したことである。円錐曲面8fは、外部に対して凸面状を呈するように設定されている。
実施例2でも、拡開筒部8bの内周面が簡素な曲面で形成できる他、実施例1と同様な効果が得られる。
図7(a)は本発明の実施例2を示す。
実施例2が実施例1と異なるところは、テーパ錐面8cに代わって、拡開筒部8bの内周面を先端ほど径大となる円錐曲面8f(楕円面、双曲面、放物面)により形成したことである。円錐曲面8fは、外部に対して凸面状を呈するように設定されている。
実施例2でも、拡開筒部8bの内周面が簡素な曲面で形成できる他、実施例1と同様な効果が得られる。
〔実施例3〕
図7(b)は本発明の実施例3を示す。
実施例3が実施例2と異なるところは、円錐曲面8Fを外部に対して凹面状となるように設定したことである。実施例3でも、実施例1と同様な効果が得られる。
図7(b)は本発明の実施例3を示す。
実施例3が実施例2と異なるところは、円錐曲面8Fを外部に対して凹面状となるように設定したことである。実施例3でも、実施例1と同様な効果が得られる。
〔実施例4〕
図7(c)は本発明の実施例4を示す。
実施例4が実施例1と異なるところは、テーパ錐面8cをテーパ方向に沿って多段に起伏する階段状に形成したことである。
実施例4でも、実施例1と同様な効果が得られる他、テーパ錐面8cが段差部8g、8h、8i、8j、8kを形成するため、テーパ錐面8cにおける形状の多様化に寄与することができる。
図7(c)は本発明の実施例4を示す。
実施例4が実施例1と異なるところは、テーパ錐面8cをテーパ方向に沿って多段に起伏する階段状に形成したことである。
実施例4でも、実施例1と同様な効果が得られる他、テーパ錐面8cが段差部8g、8h、8i、8j、8kを形成するため、テーパ錐面8cにおける形状の多様化に寄与することができる。
〔実施例5〕
図7(d)は本発明の実施例5を示す。
実施例5が実施例1と異なるところは、ステータコア3の径大部3aを肉取りして薄肉筒部3eを形成する際、外部にテーパ状に拡開するように肉取りしたことである。
実施例5でも、実施例1と同様な効果が得られる他、テーパ状の肉取りにより生じたテーパ面3nやテーパ角θをプランジャー8に対する吸引力やサイドフォースに影響を与える要素として追加することができる。
図7(d)は本発明の実施例5を示す。
実施例5が実施例1と異なるところは、ステータコア3の径大部3aを肉取りして薄肉筒部3eを形成する際、外部にテーパ状に拡開するように肉取りしたことである。
実施例5でも、実施例1と同様な効果が得られる他、テーパ状の肉取りにより生じたテーパ面3nやテーパ角θをプランジャー8に対する吸引力やサイドフォースに影響を与える要素として追加することができる。
〔実施例6〕
図7(e)は本発明の実施例6を示す。
実施例6が実施例5と異なるところは、ステータコア3の径大部3aを肉取りして薄肉筒部3eを形成する際、内部にテーパ状に拡開する蟻溝状に肉取りしたことである。
実施例6でも、実施例1の効果に加えて、テーパ状の肉取りにより生じたテーパ面3mやテーパ角ωをプランジャー8に対する吸引力やサイドフォースに影響を与える要素として考慮することができる。
図7(e)は本発明の実施例6を示す。
実施例6が実施例5と異なるところは、ステータコア3の径大部3aを肉取りして薄肉筒部3eを形成する際、内部にテーパ状に拡開する蟻溝状に肉取りしたことである。
実施例6でも、実施例1の効果に加えて、テーパ状の肉取りにより生じたテーパ面3mやテーパ角ωをプランジャー8に対する吸引力やサイドフォースに影響を与える要素として考慮することができる。
実施例1における磁石7としては、ネオジウム磁石を用いたが、ネオジウム磁石に代わって、KS鋼、MK鋼、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、バインダーとしてのゴムにフェライト粉末を配合分散させたゴム磁石、あるいは磁石と磁性体とを組み合わせた磁石を用いてもよい。
本発明では、コイル体への通電・無通電に伴って、プランジャーが作動位置と初期位置との間で往復移動するものの、プランジャーの先端部に第1磁気飽和部を設けるとともに、ステータコアの短筒部に第2磁気飽和部を設けたことにより、コイル体への通電時にプランジャーが往路で受ける吸引力と復路で受ける吸引力との間に大きな差がなくなり、プランジャーの往路と復路との間で生じるヒステリシスを低減することが可能となる。これにより、通電量に対するプランジャーの制御性が改善され、使い勝手が良くなり、電磁ソレノイド装置としての品質が向上し、車両搭載用の電磁ソレノイド装置として好適であり、車両関連事業からの需要を喚起し、部品の流通を介して機械産業に適用することができる。
1 電磁ソレノイド装置
2 ヨーク
3 ステータコア
3a 径大部(短筒部)
3e 薄肉筒部(第2磁気飽和部)
4 スリーブ
5 コイル体
7 磁石
8 プランジャー
8a プランジャーの先端部
8b 拡開筒部(第1磁気飽和部)
8c 拡開筒部のテーパ錐面
8f、8F 円錐曲面
8g〜8k テーパ錐面の段差部
P1 往路
P2 復路
W プランジャーの軸方向
H1 初期位置
H2 作動位置
J 拡開筒部の軸方向
K 径大部の軸方向
2 ヨーク
3 ステータコア
3a 径大部(短筒部)
3e 薄肉筒部(第2磁気飽和部)
4 スリーブ
5 コイル体
7 磁石
8 プランジャー
8a プランジャーの先端部
8b 拡開筒部(第1磁気飽和部)
8c 拡開筒部のテーパ錐面
8f、8F 円錐曲面
8g〜8k テーパ錐面の段差部
P1 往路
P2 復路
W プランジャーの軸方向
H1 初期位置
H2 作動位置
J 拡開筒部の軸方向
K 径大部の軸方向
Claims (5)
- 内側に短筒部を有するステータコアと、
前記ステータコアの前記短筒部に同芯的に連結配置された磁性材製のスリーブと、
前記ステータコアの外周部から前記スリーブの外周部にわたって巻装されたコイル体と、
前記ステータコアの前記短筒部と前記スリーブとの間に設けられた磁石と、
前記ステータコア、前記磁石および前記スリーブ内で軸方向に往復移動可能に設けられたプランジャーとを備え、
前記プランジャーは、前記コイル体への通電に伴って、前記プランジャーと前記ステータコアとの間に働く電磁吸引力および前記磁石の磁気吸引力により、前記プランジャーの先端部が初期位置から前記磁石を通過し、前記ステータコアの前記短筒部と重なる作動位置に移動し、前記コイル体への無通電に伴い、戻し手段により前記作動位置から前記初期位置に戻る電磁ソレノイド装置であって、
前記プランジャーの前記先端部に第1磁気飽和部を設けるとともに、前記ステータコアの前記短筒部に第2磁気飽和部を設け、前記コイル体への通電時に前記第1磁気飽和部に流れる磁束が前記プランジャーの前記先端部の軸方向に沿い、前記第2磁気飽和部に流れる磁束が前記ステータコアの前記短筒部の軸方向に沿うように構成したことを特徴とする電磁ソレノイド装置。 - 前記第1磁気飽和部は、前記プランジャーの前記先端部が先端ほど断面積が減少する拡開筒部から成り、前記第2磁気飽和部は、前記ステータコアの前記短筒部を部分的に薄肉化した薄肉筒部から成ることを特徴とする請求項1に記載の電磁ソレノイド装置。
- 前記拡開筒部の内周面は、先端ほど径大となるテーパ錐面を形成していることを特徴とする請求項2に記載の電磁ソレノイド装置。
- 前記テーパ錐面は、テーパ方向に沿って多段に起伏する階段状になっていることを特徴とする請求項3に記載の電磁ソレノイド装置。
- 前記拡開筒部の内周面は、先端ほど径大となる円錐曲面を形成していることを特徴とする請求項2に記載の電磁ソレノイド装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010056437A JP2011192751A (ja) | 2010-03-12 | 2010-03-12 | 電磁ソレノイド装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010056437A JP2011192751A (ja) | 2010-03-12 | 2010-03-12 | 電磁ソレノイド装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011192751A true JP2011192751A (ja) | 2011-09-29 |
Family
ID=44797381
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010056437A Pending JP2011192751A (ja) | 2010-03-12 | 2010-03-12 | 電磁ソレノイド装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011192751A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101875901B1 (ko) * | 2017-04-21 | 2018-07-06 | 한국하이테크공업(주) | 하부 자기제어각이 플렌저에 형성되는 비례 솔레노이드와 그 제조방법 |
-
2010
- 2010-03-12 JP JP2010056437A patent/JP2011192751A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101875901B1 (ko) * | 2017-04-21 | 2018-07-06 | 한국하이테크공업(주) | 하부 자기제어각이 플렌저에 형성되는 비례 솔레노이드와 그 제조방법 |
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