以下、実施の形態を説明する。
先ず、画像形成装置の実施の1形態としての「カラープリンタ」の概略を、図1を参照して説明する。
図1に示すカラープリンタ2000は、「ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのトナー画像を重ね合わせてフルカラー画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタ」である。
カラープリンタ2000は、光走査装置2010、4つの感光体ドラム2030a、2030b、2030c、2030d、4つのクリーニングユニット2031a、2031b、2031c、2031d、4つの帯電装置2032a、2032b、2032c、2032d、4つの現像ローラ2033a、2033b、2033c、2033d、4つのトナーカートリッジ2034a、2034b、2034c、2034d、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、センサ装置2245及び、上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
以下において、図1に示すように「XYZの3次元直交座標系」を想定し、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向(図1の図面に直交する方向)、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
「ドラム状に形成された感光体」である感光体ドラム2030a〜2030dは何れも、表面に感光層が形成され、その表面が光走査装置2010による光走査の「被走査面」となっている。感光体ドラム2030a〜2030dは、図示されない回転機構により、図1の面内で矢印方向(時計回り)に回転する。
感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが、感光体ドラム2030aを囲繞するように配置されている。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、ブラック画像を形成する画像形成ステーション(以下「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030bと、その回転方向に沿って感光体ドラム2030bを囲繞するように配置された、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bは、シアン画像を形成する画像形成ステーション(以下「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030cと、その回転方向に沿って感光体ドラム2030cを囲繞するように配置された、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cは、マゼンタ画像を形成する画像形成ステーション(以下「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030dと、その回転方向に沿って感光体ドラム2030dを囲繞するように配置された、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dは、イエロー画像を形成する画像形成ステーション(以下「Yステーション」ともいう)を構成する。
上記帯電装置2032a〜2032dは「帯電手段」を構成し、光走査装置2010とともに「静電潜像形成手段」を構成する。
帯電装置2032a〜2032dは、対応する感光体ドラム2030a〜2030dの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、前記「上位装置」からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づき、色画像情報毎に変調された光束により、対応する感光体ドラムの表面を、Y方向に光走査する。
これにより、各感光体ドラム2030a〜2030dにそれぞれ「各色画像情報に対応した静電潜像」が形成される。形成された静電潜像は所謂「ネガ潜像」であり、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの側に移動する。
光走査装置2010については後述する。
トナーカートリッジ2034aに格納されたブラックトナーは現像ローラ2033aに供給され、トナーカートリッジ2034bに格納されたシアントナーは現像ローラ2033bに供給される。
トナーカートリッジ2034cに格納されたマゼンタトナーは現像ローラ2033cに供給され、トナーカートリッジ2034dに格納されたイエロートナーは現像ローラ2033dに供給される。
現像ローラ2033a〜2033dが回転し、対応するトナーカートリッジからの各色トナーが表面に薄く均一に塗布される。
各現像ローラ表面に塗布されたトナーは、対応する感光体ドラム表面に形成されている静電潜像を「ネガ現像」し、トナー画像として可視化する。
感光体ドラムごとに形成された「互いに色の異なるトナー画像」は、感光体ドラムの回転に伴って移動する。
転写ベルト2040は「中間転写ベルト」であり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー画像は、感光体ドラム2030a〜2030dから、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、互いに重ね合わされてカラー画像を形成する。
この実施の形態においては、中間転写ベルトである転写ベルト2040が「テストパターンを形成される支持部材」であり、転写ベルト2040の回転に伴いトナー画像の移動する方向が「副方向」であり、副方向に直交する方向(Y軸方向)が「主方向」である。
給紙トレイ2060に格納された「シート状記録媒体」としての記録紙は、給紙コロ2054により給紙トレイ2060から1枚ずつ給紙され、レジストローラ対2056により、所定のタイミングで「転写ベルト2040と転写ローラ2042の間」に向けて送られる。転写ローラ2042は、記録紙表面に前記カラー画像を転写する。
カラー画像を転写された記録紙は、定着ローラ2050により熱と圧力を加えられてカラー画像を定着される。カラー画像を定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070上に排紙されて順次スタックされる。
トナー画像転写後の各感光体ドラム表面の残留トナーは、クリーニングユニット2031a〜2031dにより除去される。
次に、光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置の実施の1形態としての光走査装置2010は、図2〜図5に示すように、光源2200a、2200b、2200c、2200d、カップリングレンズ2201a、2201b、2201c、2201d、開口板2202a、2202b、2202c、2202d、シリンドリカルレンズ2204a、2204b、2204c、2204d、ポリゴンミラー2104、fθレンズ2105a、2105b、2105c、2105d、折返しミラー2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d、トロイダルレンズ2107a、2107b、2107c、2107d、光検知センサ2205a、2205b、2205c、2205d、光検知用ミラー2207a、2207b、2207c、2207d、図示されない走査制御装置などを備えている。
これらは、図5に示すように、光学ハウジング2300(図2〜図4では図示していない。)の所定位置に組み付けられている。
以下、光走査の主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と言う。
カップリングレンズ2201a及びカップリングレンズ2201bの、光軸に沿った方向を「w1方向」、光源2200a及び光源2200bからポリゴンミラー2104に至る光路上での主走査対応方向を「m1方向」とする。
カップリングレンズ2201c及びカップリングレンズ2201dの、光軸に沿った方向を「w2方向」、光源2200c及び光源2200dからポリゴンミラー2104に至る光路上での主走査対応方向を「m2方向」とする。
なお、光源2200a及び光源2200bからポリゴンミラー2104に至る光路上での副走査対応方向、光源2200c及び光源2200dからポリゴンミラー2104に至る光路上での副走査対応方向は、いずれもZ軸方向と同方向である。
光源2200bと光源2200cは、X軸方向に関して離れた位置に配置され、光源2200aは光源2200bの「−Z」側に配置され(図3参照)、光源2200dは光源2200cの「−Z」側に配置されている(図4参照)。
カップリングレンズ2201a〜2201dは、対応する光源2200a〜2200dから射出した光束の光路上に配置され、入射してくる光束を略平行光束とする。
開口板2202a〜220dはそれぞれ、開口部を有し、対応するカップリングレンズ2201a〜2201dからの光束を整形する。
シリンドリカルレンズ2204a〜2204dはそれぞれ、開口板2202a〜2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍に「副走査対応方向」に関して結像する。
ポリゴンミラー2104は、偏向反射面を4面持つ4面鏡を「Z方向に2段に重ねた構造」を有し、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204a、2204dからの光束をそれぞれ偏向し、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204b、2204cからの光束をそれぞれ偏向するように配置されている。
1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、回転軸の周りに互いに45度をなしてずれており、回転の位相が45°ずれ、偏向走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
シリンドリカルレンズ2204a、2204bからの光束はポリゴンミラー2104の「−X」側において偏向され、シリンドリカルレンズ2204c、2204dからの光束はポリゴンミラー2104の「+X」側において偏向される。
fθレンズ2105a〜2105dはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム2030a〜2030dの表面(被走査面)上で光スポットが主走査方向に等速で移動するような光学特性を有する非円弧面形状を有している。
fθレンズ2105a、2105bはポリゴンミラー2104の「−X」側に配置され、fθレンズ2105c、2105dはポリゴンミラー2104の「+X」側に配置されている。
図5に示すように、fθレンズ2105aと2105bとはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105aは1段目の4面鏡に、fθレンズ2105bは2段目の4面鏡にそれぞれ対向している。fθレンズ2105cと2105dもZ軸方向に積層され、fθレンズ2105cは2段目の4面鏡に、fθレンズ2105dは1段目の4面鏡にそれぞれ対向している。
シリンドリカルレンズ2204aからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105a、折返しミラー2106a、トロイダルレンズ2107a、折返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030a上に光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴い、感光体ドラム2030aを長手方向(Y方向)に光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aに対する「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aに対する「副走査方向」である。
シリンドリカルレンズ2204bからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105b、折返しミラー2106b、トロイダルレンズ2107b、折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴い、感光体ドラム2030bを長手方向に光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bに対する「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bに対する「副走査方向」である。
シリンドリカルレンズ2204cからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105c、折返しミラー2106c、トロイダルレンズ2107c、折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cを長手方向に光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cに対する「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cに対する「副走査方向」である。
シリンドリカルレンズ2204dからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105d、折返しミラー2106d、トロイダルレンズ2107d、折返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴い、感光体ドラム2030dを長手方向に光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dに対する「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dに対する「副走査方向」である。
個々の感光体ドラムにおいて画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は「有効走査領域」あるいは「画像形成領域」と呼ばれているが、この明細書においては「有効画像領域」とも呼ぶ。
上記各折返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致し、感光体ドラムへの光束の入射位置及び入射角が「感光体相互で等しく」なるように、それぞれ配置されている。
また「fθレンズとそれに対応するトロイダルレンズ」とにより、ポリゴンミラーの偏向点とそれに対応する感光体ドラム表面とを「副走査対応方向に共役関係とする面倒れ補正光学系」が構成されている。
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は「走査光学系」とも呼ばれる。
説明中の実施の形態では、fθレンズ2105aとトロイダルレンズ2107aと折り返しミラー2106a、2108aとにより「Kステーションの走査光学系」が、fθレンズ2105bとトロイダルレンズ2107bと折り返しミラー2106b、2108bとにより「Cステーションの走査光学系」がそれぞれ構成されている。
同様に、fθレンズ2105cとトロイダルレンズ2107cと折り返しミラー2106c、2108cとにより「Mステーションの走査光学系」が、fθレンズ2105dとトロイダルレンズ2107dと折り返しミラー2106d、2108dとにより「Yステーションの走査光学系」がそれぞれ構成されている。
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Kステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207aを介して入射する。
光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Cステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207bを介して入射する。
光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Mステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207cを介して入射する。
光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Yステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207dを介して入射する。
光検知センサ2205a〜2205dは、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
図示されない「走査制御装置」は、各光検知センサの出力信号に基づいて、対応する感光体ドラムでの走査開始タイミングを決定し、光走査装置2010は、決定されたタイミングで各感光体ドラムに対する「光走査による画像書き込み」を開始する。
以下、静電潜像の形成、現像、トナー画像の転写・定着を経て転写紙の排出に至る工程が実行される。
図6を参照して、テストパターンとテストパターンによるトナー濃度検出と、位置検知との概略を説明する。
図6は、支持部材である転写ベルト2040上にテストパターンが形成された状態を説明図的に示している。説明図であるので、各部の相対的なサイズは、実際とは異なっていることを付記しておく。
図6に示す如く、図の下方が「副方向」であり、転写ベルト2040の表面は、ベルト回転により副方向へ移動する。
符号201は「トナー濃度検出用のテストパターン」を示す。テストパターン201は4種のテストパターン201K、201M、201C、201Yにより構成される。
テストパターン201Kは「ブラックトナーのトナー濃度を検知するためのテストパターン」であり、テストパターン201Mは「マゼンタトナーのトナー濃度を検知するためのテストパターン」、テストパターン201Cは「シアントナーのトナー濃度を検知するためのテストパターン」、テストパターン201Yは「イエロートナーのトナー濃度を検知するためのテストパターン」である。
これらテストパターン201K〜201Yは何れも「トナー濃度による階調が、副方向に逆行する側へ低濃度から高濃度へ5段階に変化する5個のパッチ」により構成される。
各パッチは「副方向に長い矩形形状」である。
テストパターン201K〜201Yは、図の如く、中間転写ベルト2040の「主方向(図の左右方向)の中央部付近」に、副方向へ1列に形成される。
図6における符号201L、201CT、201Rは「位置検知用のテストパターン」を示している。テストパターン201Lは、転写ベルト2040の主方向の左端部側の位置検知に用いられ、テストパターン201CTは、転写ベルト2040の主方向の中央部の位置検知に用いられ、テストパターン201Rは、転写ベルト2040の主方向の右端部側の位置検知に用いられる。
テストパターン201L等による位置検知については後述する。
図1に符号2445で示した「センサ装置」は、図6に示すように3つの反射型光学センサ2445a、2005b、2445cにより構成されている。
これら3個の反射型光学センサ2445a〜2445cのうち、反射型光学センサ2245bはテストパターン201Lによる位置検知に用いられ、反射型光学センサ2245cはテストパターン201Lによる位置検知に用いられる。
また、反射型光学センサ2445aはテストパターン201による各色トナーのトナー濃度の検出およびテストパターン201CTによる位置検知に用いられる。
説明中の例においては、反射型光学センサ2445a〜2445cは、同一構造のものであるが、反射型光学センサ2245b、2245cでは「トナー濃度」の検知を行なう訳ではないので、これら反射型光学センサ2245b、2245cは、より簡単な構成のもの、例えば特許文献1に開示されたものに置き換えても良い。
図7(a)〜(c)を参照して、反射型光学センサを説明する。
反射型光学センサ2245aを例にとって説明する。
図7(a)は、反射型光学センサ2245を「主方向から見た状態」を概念的に示している。
反射型光学センサ2245aは、11個の発光源E1〜E11を主方向へ等間隔に配列一体化した「発光源アレイ」、11個の照射用マイクロレンズLE1〜LE11を主方向に配列一体化した「照射用マイクロレンズアレイ」、11個の光源変換部D1〜D11を主方向へ配列一体化した「光電変換部アレイ」、11個の受光用マイクロレンズLD1〜LD11を主方向へ配列一体化した「受光用マイクロレンズアレイ」及び、図示されない「処理装置」を有している。
発光源アレイは、例えばLEDアレイであり、11個の発光源L1〜L11は、主方向に所定のピッチ:Pで配列されている。
照射用マイクロレンズアレイは、11個の照射用マイクロレンズLE1〜LE11を、発光源のピッチ:Pと同一のピッチで、且つ、発光源E1〜E11と対応するように配置されている。
光電変換部アレイは、例えばPDアレイであり、11個の光電変換部D1〜D11が、発光源のピッチ:Pと同一のピッチで主方向に配列されている。
受光用マイクロレンズアレイは、11個の受光用マイクロレンズLD1〜LD11を、発光源のピッチ:Pと同一ピッチで主方向に配列されている。
図7(b)に、反射型光学センサ2245aの、発光源E1〜E11と、光電変換部D1〜D11の対応関係を示す。
発光源の任意の1つを発光源Ei、照射用マイクロレンズの任意の1つを照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズの任意の1つをLDi、光電変換部の任意の一つをDiとすると、これらにおいて「i=1〜11」である。
図7(c)の上の図は、発光源Ei(i=1〜11)から放射された光が、対応する照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)を介して中間転写ベルト2040の表面を照射する状態を示している。
図7(c)の下の図は、発光源Ei(i=1〜11)から放射された光が(対応する照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)を介して)、中間転写ベルト2040の表面に光スポットSi(i=1〜11)として照射される状態を示している。
中間転写ベルト2040により反射された光は、図7(a)に示すように、受光用マイクロレズLDi(i=1〜11)を介して光電変換部Di(i=1〜11)に入射する。
即ち、図7(a)〜(c)に示すように、発光源Ei、照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズLDi、光電変換部Diが、i=1〜11について、副方向において同位置にあり、これらがピッチ:Pで主方向に配列されている。従って、光スポットSi(i=1〜11)も、主方向にピッチ:Pで配列する。
従って、発光源Eiと照射用マイクロレンズLEiは反射型光学センサにおける「発光源」を構成し、これら発光源の全体が「照射系」を構成する。また、光電変換部Diと受光用マイクロレンズLDiは「受光部」を構成し、これらの全体が「受光系」を構成している。受光用マイクロレンズLDiは、対応する光電変換部Diへの光の集光性を高めて検知精度を高めるのに有効であるが、原理的には省略することも可能である。
図7に示した反射型光学センサの具体例を説明すると、11個の発光源E1〜E11はLEDであり、主方向に沿ってピッチ:P=0.4mmで等間隔に配置されてLEDアレイとなっている。発光源Eiの大きさ(発光面の大きさ)は主・副方向とも0.04mmであり、中心発光波長は850nmである。
照射用マイクロレンズLE1〜LE11は、それぞれ発光源E1〜E11に個別に対応し、主方向に反って配列ピッチ:P=0.4mmで配列一体化されてマイクロレンズアレイを構成している。
照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)は、対応する発光部Eiよりも「受光部側(図7(a)で左方)」に配置され、発光部Eiから放射された光束を、中間転写ベルト2040の表面に向けて集光的に導く。
なお、説明を簡単にするため、発光部Ei(i=1〜11)から放射された光は、対応する照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)のみを通過して集光されて検出用光となり光スポットSi(i=1〜11)として、中間転写ベルト2040を照射するものとする。
また、中間転写ベルト2040の表面は滑らかで、その表面に照射された光の殆どが正反射する。そして、光電変換部Di(i=1〜11)は、発光源Ei(i=1〜11)からの「検出用光」が中間転写ベルト2040に照射されたとき、受光部D1〜D11が、発光源E1〜E11からの検出用光の正反射光のみを受光するようになっている。
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイは一体化され、一体化により「これらマイクロレンズアレイを検出センサに組み付ける際の作業性」を向上させることができ、また「マイクロレンズ間の配置精度」を高めることができる。各マイクロレンズのレンズ面は、フォトリソグラフィやモールド成形などの加工法を用いてガラス基板や樹脂基板上に形成できる。
各照射用マイクロレンズ及び各受光用マイクロレンズには、主方向及び副方向に関して集光機能を有する球面レンズや、副方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ、主方向と副方向のパワーが異なるアナモフィックレンズなどを用いることができる。
各光電変換部DiはPD(フォトダイオード)であり、受光面の大きさは主・副方向とも0.35mmで、受光感度のピーク波長は850nm付近にある。各光電変換部Diは受光量に応じた光電変換信号を出力する。
発光源Eiの発光波長と、光電変換部Diのピーク感度波長を略一致させることにより、出力光電変換信号のレベルを最大限に高めることができる。
図7に示した反射型光学センサに用いられている照射用マイクロレンズアレイを構成する11個の照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)は「レンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚が同一」である。
同様に、受光用マイクロレンズアレイを構成する11個の受光用マイクロレンズLDi(i=1〜11)も「レンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚が同一」である。
しかし、照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiとでは、レンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚は全て異なる。
説明中の具体例では、照射用マイクロレンズLEiでは、レンズ径:0.613mm、レンズ面曲率半径:0.430mm、レンズ厚:0.129mmであり、受光用マイクロレンズLDiでは、レンズ径:0.750mm、レンズ面曲率半径:0.380mm、レンズ厚:0.319mmである。
図7(a)に示したように、照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)の光軸は、発光源Eiからの検出用光の反射光を、有効に受光部に導くため、発光源Eiの中心を通り発光源Eiに垂直な軸に対して平行に、「受光系側」へΔd=0.035mmずれている。
受光用マイクロレンズLDi(i=1〜11)の光軸は、より多くの反射光を受光するため、対応する光電変換部Di(i=1〜11)の受光面の中心を通り該受光面に垂直な軸に対して平行に「照射系側」へΔd’=0.020mmずれている。
副方向における照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの間隔は、0.445mmである。また、発光源Eiと、それに対応する光電変換部Diの「副方向における間隔」は0.500mmである。
発光源Eiから照射用マイクロレンズLEiまでの光軸方向の距離は0.800mmであり、この距離は以下に示す全ての例において当てはまる。また、マイクロレンズアレイの裏面から被験物までの光軸方向の距離は5mmである。
上述のように、隣接する光スポットの中心間隔は発光源のピッチ:Pと同じく0.4mmである。即ち、上述の光学レイアウトにおいて、各検出用光が中間転写ベルト2040の表面に形成する光スポットSi(i=1〜11)の大きさは、直径で0.4mm程度であり、発光源のピッチと同一である。
受光用マイクロレンズLDiのレンズ径を「照射用マイクロレンズLEi」のレンズ径より大きくすることで、光電変換部Diで反射光をより多く受光できるようにしている。
また、受光用マイクロレンズLDiのレンズ面曲率半径を、照射用マイクロレンズLEiのレンズ面曲率半径に比して小さくすることにより、レンズ内部における全反射が増えるため光電変換部Diにおける正反射受光量を減らすことが可能であると考えられる。
受光用マイクロレンズLDiのレンズ面曲率半径を小さくすることにより、点灯させる発光源Eiに対応する光電変換部Diに隣接する光電変換部Di±1に、対応する受光用マイクロレンズLDi±1を通過後の光線を大きく屈折させることが可能となり、後述するように「パッチからの拡散反射光を受光できる光電変換部が増え」て、拡散反射受光量も増加することが期待できる。
説明中の例では、上記の如く個々のマイクロレンズLEi、LDiは「球面レンズ」で、図7(a)に示すように「平凸レンズ」であり、照射用マイクロレンズLEiは、レンズ入射面が集光パワーを有し、射出面は集光パワーを有さない。各受光用マイクロレンズLDiは、レンズ入射面は集光パワーを有さず、射出面は集光パワーを有する。
説明中のカラープリンタの電気的な回路構成を示すブロック図を図8に示す。
図8に示すように、カラープリンタは、コンピュータ構成の上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090を備え、前述の如く、プリンタ制御装置2009が、各部を統括的に駆動制御する。
破線で囲んだプリンタ制御部2090は、各種演算や各部の駆動制御を実行するCPU402にバスライン409を介して、コンピュータプログラム等の固定的データを予め記憶するROM405と、各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM403とが接続され、各種のアナログ入力信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路401を有して成る。
ROM405には、テストパターンを発生させるために必要なテストパターンの形成位置や濃度情報、テストパターンの階調を形成するためのバイアス条件、テストパターンのトナー濃度を推定するための反射型光学センサ出力の濃度変換情報が格納されている。
プリンタ制御装置2090には、プリントコントローラ410が接続され、PC411やスキャナ412、FAX413等の上位装置からの画像情報をプリンタ制御装置2090に「一元化した画像データ」として送信する。
また、モータやクラッチ417を駆動する駆動回路415、画像形成に必要な電圧を発生する高圧発生装置416も接続されている。
例えば、PC411からの画像情報のプリントを行う場合、PC411のプリンタドライバを用いて画像情報を送信する。プリントコントローラ410は、プリンタドライバからのプリント情報をCPU402に送り、CPU402は駆動回路415を介して駆動部の駆動を行い、画像形成ステーション418に信号を送り、画像形成ステーション418は前述の画像形成プロセスを実行する。
次に、プリンタ制御装置2090のCPU402が「コンピュータプログラムに基づいて行う画像プロセス制御」を図9に基づいて説明する。
図9は画像プロセス制御の実行の流れを示すフローチャートである。
「画像プロセス制御」は、画像形成装置本体の電源スイッチがパワーオンされた時や、印刷が開始されたときに制御の必要の有無を判断し、必要であれば実行される(S502、S503)。
パワーオン直後には、定着ヒーターの昇温時間や、プリントコントローラ410の準備時間が必要であり、かつはまた、それまで画像形成プロセスが実行されないままに放置された可能性や、使用環境が変化している可能性があるため、画像プロセス制御を実施することがある。
また印刷時(プリント時)には「トナーの補給や消費」、感光体ドラムや中間転写ベルトの特性の変化が生じる可能性があり、画像プロセス制御を実施することがある。
パワーオン直後は、感光体ドラムの回転停止時間が6時間以上あるか、または、装置内温度が10℃以上変化したか、さらには装置内の相対湿度が50%以上変化した場合に、画像プロセス制御を実行する。
上記のうち、感光体ドラムの回転停止時間は以下のように求める。
図8において、感光体ドラムの回転が停止したら、プリントコントローラ410の保持しているリアルタイムクロックから時刻情報を取得し、RAM403に保存する。パワーオン時に同様にリアルタイムクロックから時刻情報を取得し、その差分から感光体停止時間を求める。
また温度や湿度の変化の求め方は、感光体ドラム停止時に温湿度センサ414から温度情報・相対湿度情報を取得するとともに、パワーオン時にも同様に温湿度センサ414から温度情報・相対湿度情報を取得し、その差分から「温度変化量、相対湿度変化量」を求める。
印刷時には、プリント枚数が所定の枚数に達したら印刷動作を中止して「テストパターンの作成」を行う。この場合のプリント枚数は、予め実験等により求められるプロセス変動量によって決められる。またプリント枚数の他に、現像スリーブ305や中間転写ベルト105の走行距離等を敷居値にしてもよい。
次に、画像プロセス制御を必要と判断したらテストパターンを形成する(S504)。
即ち、CPU402によりテストパターン発生装置を制御するとともに、画像形成ステーション418を制御して、先に図6に示したようなテストパターンを形成する。
上述の如く、図6に示したテストパターンのうちトナー濃度検出用のテストパターン201は、ブラック・マゼンタ・シアン・イエローの4色につき「色毎に5階調のパッチ」が形成され、計20個のパッチでテストパターン201が構成される。
テストパターン201の下流側には、位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rが、中間転写ベルト2040の主方向における有効画像領域内の中央部および両端付近に形成される。
画像プロセス制御には、画像濃度を維持するための画像濃度制御(現像ポテンシャル制御や階調制御)、画像位置を合わせるための画像位置補正制御などがあり、どの制御を行うかによって、テストパターンの形成条件は異なる。
現像ポテンシャル制御では、所望の画像濃度(例えばベタ濃度)を確保するために、現像ポテンシャル(現像バイアス−ベタ露光電位)の制御を行う。
テストパターン201を検知して得られたトナー濃度と現像ポテンシャルとの関係より「現像γと現像開始電圧:Vk」を求める。
即ち、必要な現像ポテンシャルを「−kV」単位で、所望の画像濃度(トナー濃度)および現像ガンマを共に「mg/cm2]単位で、現像開始電圧:Vkを「−kV」単位でそれぞれ表し、次式:
[必要な現像ポテンシャル]=[所望の画像濃度/現像γ]+[現像開始電圧:Vk]
を用い「所望の画像濃度を確保するのに必要な現像ポテンシャル」を決定し、これに基づき作像条件(露光パワー、帯電バイアス、現像バイアス)を決定する。
トナー帯電量と現像ポテンシャルが一定であれば、現像γは「ほぼ維持」されるが、温湿度変化のある環境では「トナー帯電量の変化」が避けられず、中間調領域の階調性が変化する。これを補正するために「階調制御」が行われる。階調制御も「現像ポテンシャル制御と同等のテストパターン」を用いることができる。
光走査の光源が半導体レーザ(LD)である場合には、LDパワーを固定しておき、発光デューティを可変とすることで、テストパターン内のパッチ毎のトナー濃度を異ならせることができる。
階調制御では、得られた階調性と「目標とする階調性」との偏差がなくなるように「階調補正用ルックアップテーブル(LUT)」が適宜変更される。具体的には、その都度新しいLUTに書き換える方法や、予め用意した複数のLUTから最適なものを選択して切り換える方法などがある。
テストパターン201の各パッチは、主方向:1mm、副方向:2mmの大きさに形成される。副方向に並んだパッチの中心間隔は3mmである。このように、各パッチの主方向の大きさ(1.0mm)は、反射型光学センサの主方向の発光部ピッチ(P=0.4mm)と中間転写ベルト2040上に照射される光スポットの主方向の大きさ(SD=0.4mm)との和(0.8mm)よりも大きくなっている。
パッチの主方向の大きさを1.0mmとしたことにより、従来のパッチの大きさ15mm以上に比べて、1/15の不寄与トナー消費量低減が可能である。
テストパターン201の各パッチの「副方向の大きさ」は、後述するように受光部出力を取得する平均化回数に応じて決定されるが、上記のように2mmに設定するなら、副方向も含めた小パッチ化により、合わせて1/100程度の不寄与トナー消費量低減が可能となる。
「トナー画像の位置を補正するための制御」は、図9に示す「トナー位置検知」として行なわれる(S506)。
このための位置検知用のテストパターンは、図6のテストパターン201CT、201L、201Rであるが、これらは以下に述べる「同一の作像条件」で、中間転写ベルト2040の有効画像領域内の中央部と両端付近に形成される。
位置検知用のテストパターン201CT等は「高濃度」であることが検知精度の観点から望ましい。例えば、前述の現像ポテンシャル制御で得られる「ベタ濃度が得られる作像条件」で形成するのがよい。
位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rは、何れも同一パターンであり、主方向に1.0mm、副方向に0.5mmの大きさを持つ「ラインパターン」と、同様のものを副方向に45°傾けた「斜めラインパターン」をK(ブラック)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)の順に形成する。副方向のライン間隔は1mmである。
上記のようにトナー濃度検知用および位置検知用のテストパターンが形成されたら、反射型光学センサによるセンサ装置2445を用い、まず、テストパターン201のトナー濃度検知を行う(S505)。
「トナー濃度検知」では、反射型光学センサ2245aの受光部出力からテストパターン201の各パッチのトナー濃度を算出する。
反射型光学センサ2245aを用いる「トナー濃度検知の工程」についての詳細は後述する。
次に、反射型光学センサ2245a〜2245cを用いて、位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rによる「トナー位置検知」を行う(S506)。
トナー位置検知の工程については後述する。
続いて、反射型光学センサ2245a等の検知結果から「各特性値を求めるための演算処理」が実行される(S507)。
「演算処理」では、各パッチのトナー濃度の算出結果から、前述の「現像γや現像開始電圧Vk」を決定するための演算が実行される。これらを求めるための直線近似には「最小2乗法」が適用できる。また、LUTを変更するための演算処理も実行される。
また、算出されたトナー位置により「画像位置補正に関する演算処理」が実行される。即ち、各色の「レジストずれ」や走査線傾き、色ズレなどの補正である。
色ズレは、ある色(例えばK:ブラック)を基準としたときの、それ以外の色(説明中の例でM:マゼンタ、C:シアン、Y:イエロー)のズレとして定義される。
演算処理の後、作像条件、LUT、および画像位置補正量などの画像プロセス条件が決定される(S508)。
以下に、トナー濃度検知を行う工程を図10を参照して説明する。
トナー濃度検知が開始されたら、まず反射型光学センサで検知するテストパターンの主方向の位置を認識する(「テストパターン位置認識」 S102)。
図7(c)に示したように、照射系から射出された直径:0.4mmの光スポットSiが11個並んでおり、両端の発光部間の長さは4mmある。テストパターン201の書くパッチの「主方向の大きさ」は1mmである。
テストパターン201の「主方向の位置」は、狙いとしては「11個の光スポットの中心位置(光スポットS6の中心位置)と重なる」ことが好ましいが、パッチの主方向の位置誤差(パッチ形成位置ずれや、感光体ドラム周面やや中間転写ベルト周面の蛇行などによって発生する。)があるため、必ずしもその通りにはならない。
そこで、テストパターンの主方向の位置を予め認識する「テストパターン位置認識」が必要となる。
この認識のため、請求項2においては「最後に行なったトナー濃度検知の情報」、つまり前回テストパターン201を検知したときの情報を基に、テストパターン201の主方向の位置を推定する。
例えば、メモリ等に記憶された「前回テストパターンを検知したときの受光部出力の結果」から、今度は「主方向のどの位置にテストパターンがくるかを推定する」ことも可能である。
具体的には、発光源Eiが発光したときに、対応する光電変換部Diの出力から判断できる。即ち、発光源Ei(i=1〜11)が発光したとき、光電変換部Diで受光する「中間転写ベルト2040からの正反射光と、中間転写ベルト2040上のパッチからの正反射光の出力差:ΔDi」が最も大きい発光部Eiの主方向位置に、テストパターン201が存在する。
図11(a)に示す「マゼンタのベタパッチ」は、図6に示したマゼンタトナーによるテストパターン202Mのうちの最も濃度の高いパッチ(テストパターン201Mのうちで副方向の最も上流側に形成される。)である。
図12(a)は「マゼンタのベタパッチの主方向の中心位置」が、発光源E6の主方向位置にある場合の「光スポットとベタパッチの配置関係」を示している。このとき、ベタパッチの主方向の大きさは1mmで「光スポットSi(i=1〜11)の主方向の大きさ:0.4mmと、主方向の発光部ピッチ:0.4mmとの和:0.8mm」以上である。
図11(b)は、発光源E6が発光したとき、光電変換部D6が受光する「中間転写ベルト2040からの正反射光」による受光部出力:D6(ベ)と、光電変換部D6が受光する「ベタパッチからの正反射光」による受光部出力:D6(パ)との受光部出力の差:ΔD6を示す。
発光源E6により形成させる光スポットS6は、光スポットを構成する全ての光がベタパッチに照射され、ベタパッチを構成するトナーにより散乱されるため、受光部出力:D6(パ)は受光部出力:D6(べ)よりも小さい値を取る。
図11(c)は、発光源E7が発光したとき、光電変換部D7が受光する「中間転写ベルトからの正反射光」による受光部出力:D7(ベ)と、光電変換部D7が受光する「ベタパッチからの正反射光」による受光部出力(パ)との受光部出力の差:ΔD7を示す。
受光部出力:D7(ベ)とD6(ベ)は「同じ」であるが、受光部出力:D7(パ)は受光部出力:D6(パ)より大きい値を取る。
即ち、図11(a)から明らかなように、発光源E7により形成される光スポットS7は、中間転写ベルトとベタパッチの両方を照射しているため、トナーにより散乱される反射光成分は光スポットS6の場合よりも小さい。従って、ΔD6>ΔD7となる。
同様に、発光源E5が発光したとき、光電変換部D5が受光する中間転写ベルトからの正反射光による受光部出力:D5(ベ)と、ベタパッチからの正反射光による受光部出力:D5(パ)との受光部出力の差:ΔD5については、ΔD5<ΔD6となる。
さらに、図11から明らかなように、発光源E1〜E4および発光源E8〜E11に対応する位置に「ベタパッチ」は存在しないので、受光部出力の差:ΔD1〜ΔD4、ΔD8〜ΔD11はゼロである。
即ち、テストパターン(のベタパッチ)の主方向の位置は、受光部出力の差:ΔDiが最も大きいi=6の発光源E6によって形成される光スポットS6に対応する位置であることが分かる。
勿論、検知のばらつきを無視すれば、受光部出力:Di(ベ)はi=1〜11に対し、全て等しいので「受光部出力:Di(パ)が最も小さい発光部Eiの主方向位置」に、テストパターン(ベタパターン)が存在するとしても良い。
別の例として、図12(a)に、テストパターンの「マゼンタのベタパッチ」の主方向の中心位置が、発光源E6とE7による光スポットS6とS7の中間にある場合の光スポットとベタパッチの配置関係を示す。このときも「ベタパッチの主方向の大きさ」は1.0mmである。
図12(b)(c)に示すように、発光源Ei(i=6、7)が発光したときの受光部出力の差:ΔDiは、発光源Ej(j=5、8)が発光したときの受光部出力の差:ΔDjよりも大きく、かつ、ΔD6≒ΔD7なので、テストパターン(ベタパッチ)の主方向の位置は、発光源E6とE7によって形成される光スポットS6とS7に対応する位置、即ち、発光源E6とE7の中間にあることが分かる。
また、受光部出力の結果を見なくとも「最後にテストパターン201を検知してからの経過時間や環境条件の変化が小さい場合」には、テストパターン201の位置は一般に、主方向に大きく変化しないため、最後に検知したときと同じ位置であると推定できる。
上記の如く「テストパターン201の主方向の位置」を認識できたら、照射系の動作を決定する(図10の「照射系動作決定」 S103)。
照射系の「決定すべき動作」として、トナー濃度を検知するために発光させる発光源の決定と、その発光源をどのように発光させるのか(発光パターンと発光モード)の決定がある。発光させる発光源としては「幾つかの発光源を発光」させる場合と「全ての発光源を発光」させる場合とがある。
幾つかの発光源を発光させる場合には、前述したテストパターン201の「主方向の位置認識結果」に基づき、発光させる発光源を決定することができる。
例えば、図11に示した例においては、発光させる発光源を「発光源E6のみ」と決定することができる。
なぜなら、発光源E1〜E4、及び発光源E8〜E11を発光させても、光スポットS1〜S4及びS8〜S11はテストパターン201のパッチを照射しないので「トナー濃度検知」に寄与しない。
また、発光源E5とE7を発光させても、光スポットS5とS7の一部がパッチを照射しないので、トナー濃度検知に対し「光の利用効率」が小さく、トナー濃度検知の精度は低い。従って、必要最小限として、発光源E6のみを発光させればよい。
また、テストパターン201が副方向に移動している際のパッチの主方向位置誤差により、光スポットS6がパッチから外れてしまう不具合が生じないように、余裕を見て、発光源E6の両側の発光部E5とE7も加え、発光させる発光源を「発光源E5〜E7の3個」と決定することもできる。
画像形成装置の性能(パッチ形成に対する位置ずれ性能や、感光体や中間転写ベルトの蛇行に対する性能など)によって上記「余裕分」を決定できる。
別の例として、図12に示した例においては、発光させる発光源として、発光源E6とE7の2つに決定することができる。なぜなら、発光源E1〜E4及E9〜E11を発光させても、光スポットS1〜S4及びS9〜S11はテストパターン201のパッチを照射しないのでトナー濃度検知には寄与しないからである。
また、発光源E5とE8を発光させても、光スポットS5とS8の一部がパッチを照射しないため、トナー濃度検知に対して「光の利用効率」が小さく、トナー濃度検知の精度は低い。
このことから、発光源E6とE7の2つを発光させればよいことが分かる。この場合、後述するように、発光源1つに対して「トナー濃度の演算結果」が得られるので、2つの発光源E6とE7に対して得られたトナー濃度を平均化することにより「1つのパッチに対するトナー濃度検知精度」を高めることができる。
また、発光部E6又は発光部E7のどちらか一方を選択して、必要最小限として、発光部を1つのみを発光させることもできる。さらには、テストパターン201が副方向に移動している際のパッチの主方向位置誤差により、光スポットS6がパッチから外れてしまう不具合が起きないように、余裕を見て、発光源E6及びE7の両側の発光部E5及びE8も加え、発光させる発光源をE5〜E8の4つとすることもできる。
全ての発光源E1〜E11を発光させる場合には、トナー濃度検知のために「反射型光学センサが有する全ての発光源」を用いる。この場合は、前述した「テストパターンの主方向位置の認識結果」に拘わらず、万が一「突発的にテストパターンの主方向位置が変化して」も、パッチがスポット光から外れてしまう不具合が起きにくい。
発光源をどのように発光させるかについては「発光パターンと発光モード」がある。
「発光パターン」としては、発光させる発光源が複数のとき、これらを同時に発光する場合と、順次に発光する場合とがある。
「発光モード」としては、発光源を常時発光させる場合と、パルス発光させる場合がある。複数の発光源は、これらを「同時に発光」させ、あるいは「順次に発光」させることができる。
複数の発光源、例えば、2つの発光源Eα、Eβを同時に発光させ、光スポットSα、Sβにより1つのパッチを照射し、その反射光を複数の光電変換部で検知する際、光スポットSαに対する反射光と、Sβに対する反射光が、同一の光電変換部に受光されてしまう場合には「反射光が混合」し、これらを分離できない。
しかし、発光源EαとEβを「順次に発光」させる場合は、光スポットSαに対する反射光と、光スポットSβに対する反射光が、同一の光電変換部に受光されても、その順次の発光タイミングによって受光部出力を「時間的に分離」できる。
一方で「パッチからの反射光が混合しない場合」には、複数発光源を同時発光させることが可能である。もちろん順次発光させても良い。
反射型光学センサとして、複数の発光源を1回ずつ「同時又は順次に発光」する周期を「ライン周期」とすれば、同時発光の方がライン周期を高められるメリットがある。
なお、パッチからの反射光が混合するかどうかは、発光させる複数の発光源の位置、パッチからの拡散反射特性(反射光の角度分布)、照射用マイクロレンズや受光用マイクロレンズのレンズ形状等の「反射型光学センサの各部のレイアウト」に依存する。
例えば、図13に示すように、テストパターン201のパッチ(「マゼンタのベタパッチ」)の「主方向の大きさ」を大きくし、発光させる発光源として、主方向に離れた発光源E3とE9のように「互いの距離を離した場合」には、発光源E3によるベタパッチからの反射光と、発光源E9によるベタパッチからの反射光が互いに混合しないレイアウトを取ることが容易である。
つまり、発光源E3が発光したとき、その反射光は光電変換部D1〜D5で受光されるが、光電変換部D6〜D11では受光されない。発光源E9が発光したとき、その反射光は光電変換部E7〜E11では受光されるが、光電変換部D1〜D6では受光されない。このようなレイアウトでは、発光源E3とE9を同時発光可能である。
図12に示した例において、発光させる発光源が「発光源E6とE7のとき」のように隣接する発光源の場合、発光源E6が発光したときのベタパッチからの反射光は、光電変換部D6とD7で受光され、発光源E7が発光したときにも、ベタパッチからの反射光は光電変換部D6とD7で受光されるレイアウトとなっている。
このような場合は、光電変換部D6とD7に受光された光は、発光源E6によるものか、発光源E7によるものかを分離できない。
このような場合には、発光源E6とE7を順次に(この場合は2つなので交互に)発光させ受光部出力を「時間的に分離」する必要がある。
また、図12に示した例において、発光させる発光源が「発光源E5〜E8の4つ」の場合、発光源E5からE8を順次に、発光源E5、E6、E7、E8、E5、E6・・・の順に繰り返し発光させる。
続いて、「発光モード(常時発光させる場合とパルス発光させる場合)」について説明する。
図11に示した例において、発光させる発光源が発光源E6のみである場合、発光源E6は常時発光させることも、パルス発光させることもできる。
発光させる発光源が複数ある場合、例えば、図12に示した例のように、発光させる発光源が発光源E6とE7であるときには、これらを順次点灯する必要があり、各発光源はパルス発光させる必要がある。
図13に示した例のように、発光させる発光源が発光源E3とE9であるときは、これらを同時発光でき、さらに各発光源は常時発光させることもパルス発光させることもできる。発光源E3とE9を順次発光する場合には、各発光源はパルス発光の必要がある。
このように、発光させる発光源が複数で、これらを順次発光する場合には、各発光源はパルス発光する必要があるが、そうでない場合には、各発光源の発光は「常時発光およびパルス発光」の選択が可能である。
「常時発光」は、発光源の「発光/消灯の回数」を減らすことができ、駆動回路が容易となるメリットがある。
「パルス発光」は、発光している時間を短くでき、発光源の劣化を抑え「長寿命化」の効果が得られ、発光源の温度上昇を抑えられるメリットがある。
上述のように、トナー濃度を検知するために発光させる発光源と、その発光源の「発光パターンと発光モードとの少なくとも1つ」を、図10の「照射系動作決定工程(S103)」において決定することができる。
反射型光学センサとして「上記のいずれもを選択できる照射系の駆動回路」が組まれる場合もあるが、発光源をどのように発光させるのか(発光パターンと発光モード)については「予め所望の駆動回路」が組まれている場合もある。
前者の場合「駆動回路は複雑になる」が、様々な画像形成装置に対して種々の動作が可能である。後者の場合「発光源を発光させる発光パターンと発光モード」が決まっているので駆動回路は容易で低コスト化が可能である。発光させる発光源については「テストパターン201の主方向の大きさ」や画像形成装置の性能(パッチ形成位置ずれ性能や、感光体や中間転写ベルトの蛇行性能など)によって可変とでき実用的である。
次に、上記の如く「照射系の動作」が決定されたら、受光系の動作を決定する(図10の「受光系動作決定」S104)。
受光系に対して「決定すべき動作」に、「受光部出力を取得する光電変換部」の決定と「受光部出力の取得タイミング」の決定とがある。
受光部出力を取得する受光部として、幾つかの受光部で受光部出力を取得する場合と、全ての受光部で受光部出力を取得する場合とがある。
幾つかの受光部で受光部出力を取得する場合には、前述した「発光させる発光源の決定結果」に基づき、受光部出力を取得する光電変換部を決定できる。
例えば、図11に示した例において「発光源E6のみを発光」させる場合、受光部出力を取得する光電変換部は、発光源E6に対応する光電変換部D6と、近隣の光電変換部のみで良い。
図14に、発光源E6が発光したときの「受光部出力分布」の例を示す。同図(a)は「中間転写ベルトからの反射光」を光電変換部Di(i=1〜11)で受光したときの受光部出力分布、(b)は「中間転写ベルト上のベタパッチからの反射光」を光電変換部Di(i=1〜11)で受光したときの受光部出力分布である。
図14(a)(b)に示す場合とも、受光部出力の取得に必要なのは光電変換部D4〜D8の5つである。なぜなら、光電変換部D1〜D3及びD9〜D11は「受光部出力がゼロ」であるからである。
同様に、図12に示した例で、発光源E6とE7の2つを順次点灯する場合には、発光源E6に対して必要なのは光電変換部D4〜D8、発光源E7に対して必要なのは光電変換部D5〜D9であり、合わせて光電変換部D4〜D9の6つのみが必要である。
同様に、図13に示した例で、発光源E3とE9の2つを、同時点灯もしくは順次点灯する場合は、発光源E3に対して光電変換部D1〜D5が必要であり、発光源E9に対しては光電変換部D7〜D11が必要であるから、光電変換部D6を除く10個の光電変換部Di(i=1〜5、i=7〜11)が必要である。
このように「トナー濃度検知に不要な受光部出力を取得しない」ことにより、データ量の削減、後述するトナー濃度演算の際には演算量の削減に繋がる。
全ての受光部出力を取得する場合には、トナー濃度を検知するために反射型光学センサが有する全ての受光部を使用する。この場合は、前述の「発光させる発光源の決定結果」に拘わらず全ての受光部出力を取得し、その出力がゼロである受光部出力であれば、後述するトナー濃度の演算の際には「ゼロの値」として用いられる。
もちろん、前述した「発光させる発光源の決定結果が全ての発光源の発光」であれば、全ての受光部出力を取得する。
「受光部出力の取得タイミング」としては、発光源が発光している間に「受光部出力をどのタイミングでどれくらい取得するか」がある。
図11に示した例を参照し、発光源E6のみを常時発光させる場合について説明する。
受光部出力を取得するのは「光電変換素子D4〜D8の5つ」である。
図15(a)は、図7に示した反射型光学センサを用いて、トナー濃度検知用のテストパターンのうちのマゼンタトナーによる複数パッチ(ここでは4階調とし、4個のパッチDP1−1〜DP1−4)が中間転写ベルト上に形成され、紙面の左方向(副方向)に進行する様子を示している。
この例では、ここでは4個のパッチの前方(左方)で「パッチがない状態」の中間転写ベルトからの反射光の受光部出力を取得している例である。
図15(b)は、図15(a)に合わせて、光スポットの位置をパッチが通り過ぎるタイミング、発光源E6が発光(ON)するタイミング、受光部出力を取得(ON)するタイミングを示したタイミングチャートである。
発光源E6はパッチの通過に先立ち、発光を開始(ON)する。
その後、光電変換部D4〜D8は「パッチがない中間転写ベルトの位置」で、受光部出力を1回サンプリング(ON/OFF)し、受光部出力を取得する。発光源E6は発光したまま、最初のパッチDP1−1がスポット光位置を通過する。
そのタイミングに合わせ、パッチDP1−1の「副方向の中央付近」で受光部出力を1回サンプリングする。以後同様に、発光源E6を発光させたまま、パッチDP1−2、パッチDP1−3、パッチDP1−4に対して各1回ずつサンプリングする。
パッチDP1−4のサンプリングが終了し、パッチDP1−4が光スポット位置を通過した後に、発光源E6を消灯する(OFF)。即ち、発光源E6が発光している間に、各パッチDP1−1〜DP1−4の「副方向の中央付近が光スポットを通過」するタイミングに合わせて1回サンプリングし、受光部データを取得している。
なお、図15(a)では「パッチがない中間転写ベルトの位置」を、各パッチDP1−1と同じ大きさの領域となるように四角で囲ってその領域を「BELT」として図示しているが、この領域「BELT」は各パッチと同じ大きさである必要は全く無い。
「パッチがないときの受光部出力」は、テストパターンが無いときに何時でもその受光部出力を取得できる。
別の例として、図16(a)に、図15(b)に相当するタイミングチャートを示す。この例では、発光源E6が発光している間に、各パッチの副方向の前後を除いた部分が光スポットを通過するタイミングに合わせて3回サンプリングし、受光部出力を取得している。
後述するように、1回の受光部出力に対してトナー濃度の演算結果が得られるので、3回の受光部出力に対して得られたトナー濃度を副方向(パッチの移動方向)に平均化することにより「1つのパッチに対するトナー濃度検知精度」を高めることができる。
さらに別の例として、図16(b)に、図15(b)に相当するタイミングチャートを示す。ここでは、各パッチが光スポット位置を通過するタイミングに合わせて、発光源E6がパルス発光(ON/OFF)している場合である。受光部出力は発光部のパルス発光のタイミングに合わせて1回サンプリングされている。
図16(c)には、発光源E6が「パルス発光している時間」を短くした場合を示す。
発光源E6がパルス発光している時間が「パッチが光スポット位置を通過する時間」より短くても良い。発光源の温度上昇による発光量低減に対して効果が大きい。受光部出力は発光源E6のパルス発光のタイミングに合わせて1回サンプリングされている。
図16(d)は、発光源E6がパルス発光している場合であり、受光部出力は発光源E6のパルス発光のタイミングに合わせて3回サンプリングされている。
図16(e)は、各パッチが光スポット位置を通過するタイミングに合わせて、発光源E6が2回パルス発光し、各パルス発光に合わせ、受光部出力は1回ずつサンプリングしており、各パッチに対して計2回のサンプリングが行われている場合である。
図16(f)では、発光源E6はパッチの通過に先立ち「パルス発光を開始」する。パルス発光は、パッチDP1−4の通過後に消光するまで継続される。受光部出力は発光源E6の「パルス発光のタイミング」に合わせて常にサンプリングされる。このサンプリング結果のうち「各パッチに対して数回のサンプリング結果を抜き出す」ことができる。
良好なトナー濃度検知を行うために「画像形成装置が必要とする、各パッチに対するサンプリング回数」が設定されれば、照射系動作に合わせて、様々な取得タイミングの設定が可能である。
次に、複数の発光部が発光する場合を説明する。
図12に示した例を参照し、発光源E6とE7を順次発光させる場合を説明する。
受光部出力を取得するのは光電変換部D4〜D9の6つである。このときのタイミングチャートを図17(a)に示す。
発光源E6とE7は、パッチの通過に先立ち、順次発光を開始する。前述したように各発光源E6、E7の発光はパルス発光となる。発光源E6が発光/消光した後、発光源E7が発光/消光する順次発光を1ライン発光と呼ぶと、ここでは2ライン発光を行う。
ライン発光の周期であるライン周期は「T」である。
光電変換部D4〜D9は「パッチがない中間転写ベルトの位置」で、発光源E6、E7がパルス発光するタイミングに合わせ「受光部出力をサンプリング」し、受光部出力を取得する。即ち、2つの発光源E6、E7が2ライン発光しているので、受光部出力は4回サンプリングされることになる。
次に、最初のパッチDP1−1が光スポット位置を通過するタイミングに合わせて、パッチDP1−1の副方向の中央付近で、発光源E6とE7を2ライン発光させる。光電変換部D4〜D9は、各発光源がパルス発光するタイミングに合わせ、受光部出力を4回サンプリングする。
以降、同様の動作をパッチDP1−2、パッチDP1−3、パッチDP1−4に対して実効する。
後述するように、1回の受光部出力に対して、トナー濃度の演算結果が得られるので、順次発光する2つの発光源E6、E7の発光に対して得られたトナー濃度を主方向に平均化できる。さらに、各発光源の発光ごとに「1つのパッチに対して2回の受光部出力」を取得しているので、得られたトナー濃度を副方向に平均化できる。すなわち、4つのトナー濃度検知結果を平均化でき、1つのパッチに対するトナー濃度検知精度を高めることができる。
別の例を図17(b)に示す。
発光源E6、E7はパッチの通過に先立ち、ライン周期:T’で継続的に繰り返して交互に発光・消灯を行う。光電変換部D4〜D9は、各発光源E6、E7がパルス発光するタイミングに合わせて受光部出力をサンプリングし、受光部出力を取得する。
パッチDP1−4の通過後に発光源E6、E7の交互の発光は終了する。得られたサンプリング結果のうち「各パッチに対して数回のサンプリング結果」を抜き出すことができる。
ライン周期を短くすることにより、副方向におけるサンプリング回数を増やすことができ、トナー濃度検知精度を高めることができる。
以上の3工程、すなわち、テストパターン位置認識工程、照射系動作決定工程、受光系動作決定工程を実施することにより、トナー濃度検知のための反射光の受光部出力を取得する「前準備」が完了する。
前準備が完了した後、トナー濃度を求めるために反射光の取得を行う。
図18は、図7に示した反射型光学センサを用いて、図6に示したマゼンタトナーによるテストパターン201Mを構成する5個のパッチDP1−1〜DP1−5からの反射光を取得する様子を示している。図の上下方向が「主方向」で、左右方向の左向きが「副方向」である。
照射系の発光源E1〜E11と、受光系の光電変換部D1〜D11とは「主方向において同じ位置」に位置し、光電変換部D1〜D11の配列ピッチは、発光源E1〜E11の配列ピッチと等しい。
先に、図6を参照して説明したように、トナー濃度検知用のテストパターン201はそれぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色トナーにより形成されるが、図18に示すテストパターン201Mは「マゼンタトナーにより構成されたもの」を示している。
このテストパターン201Mは、濃度を5階調に変化させた5個の矩形状パッチDP1−1〜DP1−5を副方向に形成したものである。
即ち、テストパターン201Mは、濃度階調の異なる5個の「矩形状パッチ」の集合であるが、これら濃度階調の異なる矩形状パッチは「光走査の光源に用いられる半導体レーザの発光デューティの調整」によって形成できる。また「面積階調法」によって濃度を変えることもできる。
テストパターン201Mを構成する5個の「矩形状パッチ」の濃度は、矩形状パッチDP1−1が最も低く、DP1−2、DP1−3、DP1−4、DP1−5の順に濃度が高くなる。また、テストパターン201Mの前方(下流側)に、パッチのない中間転写ベルトからの反射光を受光するための領域「BELT」を持つ。
各矩形状パッチは「主方向に1mm、副方向に2mmの大きさ」に形成される。
副方向に並んだパッチの中心間隔は3mmである。なお、各矩形状パッチの主方向の大きさ:1.0mmは、反射型光学センサの主方向の発光部のピッチ:P=0.4mmと中間転写ベルト上に照射される光スポットの主方向の大きさ:SD=0.4mmとの和よりも大きくなっている。
発光部ピッチ:Pと、光スポットの主方向の大きさ:SDは略同じである。
図18に示す具体例において、上記「前準備」として得られた結果を示す。
「テストパターン位置認識工程」により、テストパターン201の主方向の位置は「発光源E3の位置であると推定」された。
この結果に基づき「照射系動作決定工程」により、発光源E3のみを発光させることとし、発光モードは「パルス発光」と決定された。
続いて「受光系動作決定工程」により、受光部出力の取得を「光電変換部D1〜D5の5つ」で行なうこととし、受光部出力取得のタイミングは、図16(b)に示すタイプとし、各矩形状パッチが光スポット位置を通過するタイミングに合わせて、発光源E3をパルス発光させ、光電変換部D1〜D5でのサンプリングは「パルス発光ごとに1回」行なって受光部出力を取得するものとして決定された。
上記の前準備結果に基づき、反射光を取得する手順を以下に説明する。
図18において、テストパターン201Mは、支持部材である中間転写ベルトの表面に形成されて副方向に移動し、反射型光学センサ2245aからの光スポット照射領域に近づいていく。
テストパターン201Mが形成されるタイミングは既知であるので、形成されてから照射領域に近づく適当なタイミングで発光源E3のパルス発光を開始する。
先ず、テストパターン201Mの前方の矩形状パッチがない中間転写ベルト位置「BELT」で、発光源E3がパルス発光し、そのタイミングに合わせて光電変換部D1〜D5が1回サンプリングされ受光部出力を取得する。
中間転写ベルトの表面は滑らかであり、発光源E3からベルト表面に照射される光スポットの「中間転写ベルト表面での反射」は略正反射と見なすことができ、発光源E3に対応する光電変換部D3と、これに隣接する光電変換部D2、D4の計3個で受光された。残りの光電変換部D1及びD5では反射光は受光されない。
即ち、発光源Eiからの光スポットが中間転写ベルト表面に照射されてベルト表面により正反射されるときは、反射光は、発光源Eiに対応する光電変換部Diとこれに隣接する光電変換部Di±1でのみ受光される。
このときの光電変換部D1〜D5の受光部出力分布を図19(a)に示す。図の横軸のD(ALL)は「5個の光電変換部D1〜D5の出力和」を表し、縦軸は「光電変換部D3の受光部出力を1に規格化した値」である。
テストパターン201Mが副方向に移動し、最初の矩形状パッチDP1−1が光スポット位置を通過するタイミングに合わせて発光源E3がパルス発光し、矩形状パッチDP1−1の副方向中央付近が光スポット位置を通過するタイミングに合わせて光電変換部D1〜D5が1回サンプリングされ、受光部出力を取得する。
中間転写ベルト上に形成された矩形状パッチDP1−1に照射された光スポットの反射光は、矩形状パッチを構成するトナーにより散乱された拡散反射光と、中間転写ベルト表面で反射された正反射光とからなり、光電変換部D1〜D5の計5個で受光された。
このときの受光部出力分布を図19(b)に示す。矩形状パッチDP1−1では、中間転写ベルト上にトナーが存在するため受光部出力分布は、図19(a)の受光部出力分布(中間転写ベルトでの反射による)と異なる。
図19(b)の受光部出力分布は「矩形状パッチDP1−1を構成するトナーによる拡散反射光が発生するとともに、中間転写ベルト表面からの正反射光が減る」ことによるものである。
テストパターン201Mがさらに副方向に移動し、矩形状パッチDP1−2が光スポット位置を通過するタイミングに合わせて、発光源E3がパルス発光し、矩形状パッチDP1−2の副方向の中央付近がスポット光位置を通過するタイミングに合わせて受光部D1〜D5は1回サンプリングされ、受光部出力を取得する。
矩形状パッチDP1−2は、矩形状パッチDP1−1に対してトナー濃度が「より高濃度」であるため、矩形状パッチDP1−1におけるよりも「トナーによる拡散反射光」が増え、中間転写ベルト表面からの正反射光がさらに減少する。その結果、受光部出力分布は図19(c)に示す如くになった。
上記と同様にして、矩形状パッチDP1−3〜DP1−5に対して取得された受光部出力分布を図19(d)〜(f)に示す。
このようにして、中間転写ベルト部分(「BELT」)、及び5階調の矩形状パッチDP1−1〜DP1−5からなるテストパターン201Mからの反射光、すなわち受光部出力分布を取得できる。
次に、上記反射光取得工程にて得られた受光部出力に基づき図10の「テストパターン位置正否判定(S106)」を行う。
この判定は「省略することも可能」であるが、テストパターン位置認識工程において、その位置を推定した場合には行うことが好ましい。しかし、後述するように、テストパターンの位置を直接検知して決定する場合には上記判定は不要である。
なんらかの突発的な原因が作用して「テストパターン位置認識工程において推定した位置にテストパターンが存在しない」場合、取得した受光部出力分布には「矩形状パッチからの拡散反射光が含まれない」ため、受光部出力分布は「中間転写ベルトを検知したときと同一」の結果が得られる。
これにより「テストパターン位置の推定が正しくない」と判定できる。
また、テストパターンが「テストパターン位置認識工程で推定した位置よりも、主方向に大きく移動」し、光スポットが「矩形状パッチの一部しか照射しない」場合には、矩形状パッチからの拡散反射光が少ないため、以前に取得したデータとの比較により「テストパターン位置の推定が正しくない」と判定できる。
このように、テストパターン位置が正しくなく、テストパターン検知が正常に行われていないと判定された場合には、再度、トナー濃度検知工程を実行する必要がある。
テストパターン位置正否判定が「適正」である場合や「判定を省略した場合」は、図10の「反射光取得工程(S105)」で得られた受光部出力から、トナー濃度を演算的に求める。
上に説明した矩形状パッチDP1−1の場合を例に取り、トナー濃度の演算方法を説明する。
中間転写ベルト上にテストパターンが存在しない場合、図28(a)に模式図として示すように、中間転写ベルトに照射されるスポット光は、中間転写ベルト表面で略全ての光が正反射する。
発光源E3からの検出用光の「中間転写ベルト表面による反射光」を5つの光電変換部D1〜D5で受光すると、3つの光電変換部D2〜D4における受光部出力は0でないが、光電変換部D1とD5における受光部出力は0となっている(図20(a))。
これは、中間転写ベルトからの正反射光が、反射型光学センサの受光用マイクロレンズアレイ上において「光電変換部D2〜D4に対応する受光用マイクロレンズLD2〜LD4に入射するビームサイズ」を有しているからである。
即ち、上記「正反射光」は主方向に広がりつつ、受光用マイクロレンズLD3とその両隣の受光用マイクロレンズLD2、LD4に入射し、光電変換部D2〜D4に入射するが、他の受光用マイクロレンズには実施的に入射せず、他の光電変換部に入射しない。
中間転写ベルト上にテストパターン(矩形状パッチDP1−1)が存在する場合、図28(b)の模式図に示すように、中間転写ベルトおよびトナーに照射される光スポットは、中間転写ベルト表面から正反射される光と、少なくとも1回はトナーで反射・屈折されることにより散乱される散乱光に大別される。
後者の散乱光は、中間転写ベルト表面から正反射される方向と同一方向に散乱されるものも含むが、その光量は少なく、中間転写ベルト表面から正反射される光と区別できないので無視して考えられる。
上記中間転写ベルトに起因する反射光を「正反射寄与分」、トナーに起因する反射光を「拡散反射寄与分」とする。
このように、中間転写ベルト及びトナーからの反射光は、正反射寄与分と拡散反射寄与分とを含むので、5つの光電変換部D1〜D5の受光部出力は何れも0にならない(図20(a))。これは拡散反射された光が、反射型光学センサの受光用マイクロレンズアレイ上において、光電変換部D1〜D5に対応する受光用マイクロレンズLD1〜LD5に入射するビームサイズを有しているからである。
発光源E3が発光したとき、光電変換部D3は正反射光しか受光しないため、その受光部主力は「正反射光寄与分」のみを含んでいるが、受光部D3を除く他の4つの受光部D1、D2、D4、D5における受光部出力は全て「拡散反射寄与分」を含んでいる。
2つの光電変換部D1とD5における受光部出力は「拡散反射寄与分」のみを含む。これは、光スポットが中間転写ベルトのみを照射するとき、中間転写ベルトによる正反射光が3つの光電変換部D2〜D4のみで受光される結果である。
したがって、2つの光電変換部D2とD4での受光部出力は、発光源E3からの光スポットにより照射された矩形状パッチDP1−1による「正反射寄与分」と「拡散反射寄与分」とが混在したものとなる。
図20(a)のように得られた受光部出力は、正反射寄与分と拡散反射寄与分とに分割することが可能である。
次に、正反射寄与分と拡散反射寄与分とが混在した光電変換部D2とD4において、その混在比率を求める方法を説明する。
中間転写転写ベルトに対する受光部出力分布は「正反射寄与分そのもの」であり、図19(a)に示されるように既知である。
そこで、図19(b)に示された矩形状パッチDP1−1に対する受光部出力分布から、図19(a)に示された「中間転写ベルトに対する受光部出力分布」を定数倍して差し引くことにより矩形状パッチDP1−1での反射光の光電変換部D2、D4の受光部出力から「拡散反射寄与分のみ」を抽出できる。この定数を「α1」とすると、これは以下のように決定される。
発光源E3の発光による「矩形状パッチDP1−1に対する光電変換部D3の受光部出力」は正反射寄与分であるから、図19(b)における光電変換部D3の受光部出力と、同図(a)の「光電変換部D3の受光部出力の定数:α1倍」とが等しくなるように、定数:α1を求めればよい。
このようにして、図20(a)に示すように、図19(a)の受光部出力分布を定数:α1倍した「正反射寄与分」と、図19(b)の受光部出力分布から「図19(a)の出力分布を定数:α1倍した正反射寄与分」を差し引いた「拡散反射寄与分」とに分割できる。
即ち、図19(a)における光電変換部D3の受光部出力を「A」とし、図19(b)における光電変換部D3の受光部出力を「A1」とすると、「A」は「正反射寄与分のみ」、「A1」は、正反射寄与分:Aとなるべき部分から「矩形状パッチDP1−1中のトナーによる拡散反射」により減少した部分である。
そこで、α1・A=A1
とすると、拡散反射寄与分は、
A−α1・A=(1−α1)A
となる。
従って、発光源E3からの光スポットが矩形状パッチDP1−1を照射しているときの正反射寄与分は「A1」即ち「α1・A」となり、拡散反射寄与分は「(1−α1)A」となり、両寄与分を分離できる。
同様に、図19(c)〜(f)の各濃度のパッチDP1−2〜DP1−5についても、図20(b)〜(e)に示すように、正反射寄与分と拡散反射寄与分とに分離できる。このときは、上記定数:α1に代えて、各々定数:α2〜α5(上記と同様にして定められる。)を用いれば良い。
矩形状パッチDP1−1〜DP1−5の個々に対し、上記のように分割した正反射寄与分と拡散反射寄与分について、各光電変換部の受光部出力:Di(便宜上、光電変換部の符号を記号として用いる。)の和をD(ALL)=D1+D2+D3+D4+D5とするとき、各矩形状パッチに対してD(ALL)をプロットしたのが図21(a)、(b)である。
正反射寄与分の和:D(正)については「光電変換部D1の受光部出力:D1、光電変換部D5の受光部出力:D5が、ともに0」であるから、
D(ALL)≡D(正)=D3+(D2とD4の正反射寄与分)
となる。
拡散反射寄与分の和:D(拡)については、光電変換部D3の受光部出力:D3が0であるから、
D(ALL)≡D(拡)=D1+(D2とD4の拡散反射寄与分)+D5
となる。
図21(a)に示す正反射寄与分の和:D(正)は、矩形状パッチDP1−1〜DP1−5の順に、トナー濃度が高くなるにつれて減少している。
これは、トナー濃度が高いほどトナーが多く付着しているため、正反射する光が減少するためであり、トナー濃度とD(正)は1対1対応している。
換言すれば、演算されたD(正)に対応するトナー濃度が求められる。
これに対し、図21(b)に示す拡散反射寄与分の和:D(拡)は、矩形状パッチDP1−3に対して極大となっており「単調な関数」になっていない。
従って、図21(b)に示すD(拡)から、トナー濃度とD(拡)との関係を得ることは可能ではあるが必ずしも容易ではない。
直感的に考えると、D(拡)は「矩形状パッチを構成するトナーの濃度が高くなるに従い、付着トナーが多くなるので、拡散反射光の増加により増大する」ように思われるが、図21(b)ではそのようになっていない。
これは、前述した定数:α1〜α5を用いて受光部出力結果を差し引き演算していることに起因している。
D(拡)/D(正)を求めた結果が図22である。
図22に示された縦軸:D(拡)/D(正)は、矩形状パッチをなすトナーの濃度が、パッチDP1−1〜DP1−5の順に高くなるにつれて増加する「単調な関数」になっている。従って、この「D(拡)/D(正)」を演算すれば、各矩形状パッチ(図22の横軸)に対応したトナー濃度が求められる。
説明中の反射型光学センサは、1つのセンサに発光部が複数あり、検出用光による光スポットが主走査方向に並んで配置されるため、主方向に複数列配置された矩形状パッチを同時に照射することができる。
また、受光部も複数あり、各発光部に応じて役割(正反射光を受光する場合、拡散反射光を受光する場合、あるいはその両方)が変わることにより、上述のような「受光部出力の正反射寄与分と拡散反射寄与分への分離」が可能となっている。このことから、1つの反射型光学センサで「複数列配置された矩形状パッチ」を同時に検知できる。
主方向に複数列配置された矩形状パッチを「発光部の発光源」が順次発光して照明する場合、厳密に言えば、照明する時間にはわずかな時間差があるが、1ライン走査内で複数列配置された矩形状パッチを検知できれば同時検知と見なすことができる。
また、発光部が微小であることから、光スポットを小さくでき、矩形状パッチのサイズを小さくできている。さらに、発光部と受光部が近接していることにより、中間転写ベルトおよび矩形状パッチへの検出用光の入射角、反射角を小さくでき、中間転写ベルトがトナーの影になってしまう「シャドーファクター」の影響や、中間転写ベルト表面の振動的なばたつき(反射型光学センサと中間転写ベルトの距離変動)による検出誤差の影響も低減できる。
テストパターンを構成するパッチを小さくできるので、画像形成に寄与しない不寄与トナーの消費量を低減できる。
上記のごとく、5階調の矩形状パッチDP−1〜DP1−5に対する正反射寄与分の和:D(正)と、拡散反射寄与分の和:D(拡)を求めることができる。
図23(a)は、図21(a)に示す正反射寄与分を基準値(ここでは中間転写ベルト表面による正反射寄与分)で規格化した「相対正反射率」を示す。
図23(b)には、図22に示した「D(拡)/D(正)」を基準値(ここでは最大濃度での拡散反射寄与分)で規格化した値を示す。
このように拡散反射寄与分の和:D(拡)を正反射寄与分の和:D(正)で除した値:D(拡)/D(正)を用いて新たな値を求め、これからトナー濃度を求めても良い。
上記のような算出アルゴリズムを用い、上記D(正)や、D(拡)/D(正)を算出し、これからトナー濃度:[mg/cm2]を得ることができる。
次に、図9に示した画像形成プロセス制御における「トナー位置検知(S506)」を説明する。トナー位置検知は「トナー濃度検知(S505)」に続いて行なわれる。
トナー位置検知は、図6に示すように、トナー濃度検知に用いる反射型光学センサ2445aと反射型光学センサ2245b、2245cを用い、位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rをつかって行なわれる。
前述したように、説明中の例では、反射型光学センサ2245a〜2245cは、同一構造のものであるので、反射型光学センサ2245aとテストパターン201CTとを用いる位置検知を例にとって説明する。
位置検知用のテストパターン201CTは「主方向に1.0mm、副方向に0.5mmの大きさのラインパターン」と、同様のものを45°傾けた「斜めラインパターン」を、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの順に形成する。副方向のライン間隔は1mmである。
図24(a)は、反射型光学センサ(2245a)とテストパターン201CTとを模式的に示している。
テストパターン201CTにおいては、副方向(図の左右方向)の下流側(反射型光学センサ側)から上流側へ向かって、主方向に平行なラインパターンLPK1、LPM1、LPC1、LPY1が等間隔に形成され、その上流側には主方向に対して45度傾いた斜めラインパターンLPK2、LPM2、LPC2、LPY2が等間隔に形成されている。
ラインパターンLPK1と斜めラインパターンLPK2とはブラックトナーにより、ラインパターンLPM1と斜めラインパターンLPM2とはマゼンタトナーにより、ラインパターンLPC1と斜めラインパターンLPC2とはシアントナーにより、ラインパターンLPKYと斜めラインパターンLPKYとはイエロートナーにより、それぞれ形成される。
図24(a)では、テストパターン201CTは、ラインパターンLPK1等の主方向の中心位置が、反射型光学センサの発光源E3の中心位置に合致するように、中間転写ベルト上に形成されているものとする。
プリンタ制御装置2090(図1)は、位置検知用のテストパターン201CTが反射型光学センサに近づくタイミングを計って、発光源E3を連続発光させる。
発光源E3からの光スポットは、中間転写ベルト2040の回転につれて、テストパターン201CTを構成するラインパターンLPK1〜斜めラインパターンLPY2を順次照射する。
プリンタ制御装置2090は、発光源E3に対応する受光部の光電変換部D3の出力信号を時間的に追跡する。図24(b)に出力信号の模式図を示す。
光電変換部D3の出力信号は、中間転写ベルトを検知しているときは出力が高く、トナテストパターンのパッチ(ラインパターン、斜めラインパターン)を検知しているときには出力が低くなる。
このようにして、光スポットがラインパターンLPK1を照射してから次のラインパターンLPM1を照射するまでの時間:Tkm、光スポットがラインパターンLPK1を照射してからラインパターンLPC1を照射するまでの時間:Tkc、光スポットがラインパターンLPK1を照射してからラインパターンLPY1を照射するまでの時間:Tkyを検出する(図24(b))。
なお、各光電変換部の出力信号は、増幅され、所定の基準値と比較する比較回路を介しているものとする。
プリンタ制御装置2090は、時間:Tkm、Tkc、Tkyが「これらに対して予め設定されている基準時間」と同じであれば「トナー画像相互の副方向に関する位置関係は適正である」と判断する。
時間:Tkm、Tkc、Tkyが基準時間と異なる場合は「トナー画像相互の副方向に関する位置関係にずれがある」と判断する。
この場合、プリンタ制御装置2090は、時間:Tkm、Tkc、Tkyの「基準値からの時間差」から上記位置関係のずれ量を求め、該ずれ量を走査制御装置に通知する。走査制御装置は上記ずれ量が0となるように「対応するステーションにおける光走査開始のタイミング」を調整する。
図24(c)は、テストパターン201CTのラインパターンLPK1とLPM1との関係において、ラインパターンLPM1が「副方向に距離:ΔS1だけずれた場合」の出力信号の様子を示す。
この場合、時間:Tkmは、基準時間に対し「中間転写ベルトの副方向の移動速度:Vと距離:ΔS1から求められる時間:ΔT1(=ΔS1/V)だけ大きくなる。
プリンタ制御装置2090は、図25(b)に示すように、光スポット光が斜めラインパターンLPK2を照射してから斜めラインパターンLPM2を照射するまでの時間:Tkm2、斜めラインパターンLPC2を照射するまでの時間:Tkc2、斜めラインパターンLPY2を照射するまでの時間:Tky2を検出する。
そして、プリンタ制御装置2090は、時間:Tkm2、Tkc2、Tkyを「これらに対して予め設定されている基準時間」と比較する。
プリンタ制御装置2090は、時間:Tkm2、Tkc2、Tky2がいずれも、設定されたそれらの基準時間と同じであれば「トナー画像相互の主方向に関する位置関係は適正である」と判断し、時間:Tkm2、Tkc2、Tky2がそれぞれの基準時間と異なれば「トナー画像相互の主方向に関する位置関係にずれがある」と判断する。
図24(d)は、斜めラインパターンLPK2に対して、名前ラインパターンLPM2が「主方向に距離:ΔS2だけずれた場合」の出力信号の様子を示す。この場合、時間:Tkm2は、基準時間よりも「中間転写ベルトの副方向の移動速度:Vと距離:ΔS2から求められる時間:ΔT2」だけ大きくなる。
このとき、プリンタ制御装置2090は、次の(1)式を用い、マゼンタトナー画像の主方向に関する位置ずれ量:ΔS2を求める。
ΔS2=V・ΔT2・cot45° ……(1)
位置ずれ量;ΔS2は、走査制御装置に通知される。
走査制御装置は「位置ずれ量:ΔS2が0となる」ようにMステーションを制御する。
上の説明と全く同様にして、図6に示す反射型光学センサ2235b、2245cとテストパターン201L、201Rを使って、中間転写ベルト2040の主方向の両端部近傍での位置ずれを検知できる。
上には、説明の簡単のため、11個の発光源E1〜E11と11個の受光部の光電変換部D1〜D11の場合を説明したが、発光部数も受光部数もこれに限るものではない。
また、上には「表面が滑らかな転写ベルト(表面での反射が正反射のみ)」の場合を説明しげたが、「表面が滑らかでない転写ベルト(表面での反射が拡散反射も含む)」についても適用できる。即ち、適宜の手段を用いて「正反射体による検知出力分布」を測定できれば、それを用いて「正反射寄与分と拡散反射寄与分に分離する」ことが可能である。
例えば、予め正反射体を用いて受光出力分布を測定しておき、測定された受光出力分布をメモリ等に記憶しておくこともできるし、転写ベルトの一部に「表面が滑らかな部分」を形成し、この部分での正反射を検出することもでき、また、可動式の正反射体を画像形成装置中に備えて、必要に応じてその正反射体を可動して検出することもできる。
図6に示したテストパターン201は、有効画像領域のほぼ中央部に1列に形成されているが、これは従来の画像形成装置にあるように、反射型光学センサを有効画像領域内、及び/または有効画像領域外に複数個配置し、テストパターンも複数配置し、複数組を持たせてもよい。
図9に示した画像プロセス制御の例では、トナー濃度検知(S505)をトナー位置検知(S506)より先に実行しているが、もちろんこれらの順序を入れ替えても良い。
上に説明した実施の形態では「テストパターン位置認識工程」において、最後にテストパターンを検知したときの情報を基に「主方向の位置を推定」している。
以下に説明する実施の形態では、テストパターン位置の推定精度を高めるため、テストパターンの上流に「テストパターン位置認識用パッチ」をさらに形成配置し、このパッチの主方向位置を検知することにより、このテストパターン位置認識用パッチの下流にある濃度検知用のテストパターンの主方向位置を推定する。
図25に、図18に示したテストパターンの例に、テストパターン位置認識用パッチTPを新たに形成配置した例を示す。
テストパターン位置認識用パッチTPは、トナー濃度検知を行うためのテストパターン201Mの上流に形成配置された「マゼンタのベタパッチ」であり、パッチサイズは主方向に0.5mm、副方向に1mmである。これはテストパターン201Mのパッチの主方向の大きさよりも小さい。
テストパターン201Mに先立つテストパターン位置認識用パッチTPは、支持部材である中間転写ベルトの表面に形成されて副方向に移動し、反射型光学センサ2245aからの光スポットの照射領域に近づく。
テストパターン位置認識用パッチTPが形成されるタイミングは既知であるので、形成されてから照射領域を通過する適当なタイミングで、全ての発光源Ei(i=1〜11)の順次発光を開始する。
順次発光は1ライン発光(発光源E1〜E11を1回ずつ順次に点滅させる。)、または数ライン発光程度(上記順次の点滅を複数回繰り返す。)で十分である。受光部出力の取得は、発光源Eiのタイミングに合わせ、受光部の光電変換部Diのみを行えばよい。 発光源Eiが発光し、光スポットが中間転写ベルト上に照射されるので、そのスポット光位置におけるテストパターン位置認識用パッチTPの有無は、光電変換部Diの受光部出力をみれば判別できる。
すなわち、テストパターン位置認識用パッチTPがあれば、ない場合よりも、パッチによる拡散光の分だけ受光部出力は低下する。
従って、テストパターン位置認識用パッチTPに対し、少なくとも1ライン発光を行い、取得した受光部出力Di(i=1〜11)から、どの発光源Eiに対応する位置にテストパターン位置認識用パッチTPが存在するかが分かる。
図26は、テストパターン位置認識用パッチTPが、光スポットS1〜S11に到達し(図26(a))て1ライン発光したときの、発光源Eiに対する光電変換部Diの受光部出力を示す(図26(b))。
光電変換部D1および光電変換部D5〜D11は「中間転写ベルトからの正反射光」を受光しており、受光部出力は高い。光電変換部D2とD4では、それより少し受光部出力が低く、光電変換部D3では受光部出力は大きく低下している。このことから、テストパターン位置認識用パッチTPはちょうど発光部E3に対応する位置にあることがわかる。 また、発光部ピッチ:P=0.4mm、テストパターン位置認識用パッチTPの主方向の大きさ:0.5mmであることと、光電変換部D2とD4の受光部出力より、テストパターン位置認識用パッチTPの両端部が「少し、光スポットS2とS4により照射されたこと」がわかる。
このように、受光部出力が最も低い光電変換部Diに対応する位置に、テストパターン位置認識用パッチTPが存在することがわかる。
テストパターン位置認識用パッチTPの下流に、その主方向の中心位置を同じくして濃度検知用のテストパターン201Mを形成配置すれば、濃度検知用のテストパターン201Mの「主方向位置の推定」を高精度に行うことができる。
なお、この実施の形態において、テストパターン位置認識用パッチTPの色はマゼンタとしたが、パッチの色に制約はなく、ブラックでもシアンでもイエローでもよい。また、ベタパッチを例示したが、勿論中間調のパッチでも良い。
発光部での出力低下が大きいという観点からは、ブラックトナーや「カラートナーであれば高濃度であること」が好ましい。
テストパターン位置認識用パッチTPの大きさは、上記の大きさに限定されるものではなく、その主方向の位置が分かればよいので、トナー消費量を削減する上でもテストパターン201Mの主方向の大きさよりも小さいことが好ましい。
さらには、光スポットにより「テストパターン位置認識用パッチの一部」が照射されることにより、パッチでの散乱による受光部出力の低下が判別できるなら、テストパターン位置認識用パッチの主方向の大きさを「発光部ピッチより小さく」することもできる。
さらに、別の実施の形態を説明する。
上に説明した「テストパターン位置認識工程」の2例では、いずれも主方向の位置を推定している。すなわち「濃度検知用のテストパターンの主方向の位置」を直接的には検知していない。
以下に説明する実施の形態では、濃度検知用のテストパターンの主方向の位置を直接的に検知することにより、上記位置を決定できる。
図27(a)に、テストパターン201MのパッチDP1−1が光スポットS1〜S11の照射領域に到達した状態、この状態で全発光源により「1ライン発光したとき」の発光源Eiに対する光電変換部Diの受光部出力を同図(b)に示す。
テストパターン201Mが形成されるタイミングは既知であるので、パッチDP1−1が照射領域を通過する適当なタイミングで、全ての発光源Ei(i=1〜11)の順次点滅を開始する。
順次点滅は1ライン発光または数ライン発光程度で十分である。
受光部出力の取得は、発光源Eiの発光タイミングに合わせて、対応する光電変換部Diのみで行えばよい。
発光源Eiが発光するとき、その光スポット位置にテストパターン201MのパッチDP1−1があるか否かは、光電変換部Diの受光部出力をみれば判別できる。パッチDP1−1が「発光源Eiによる光スポットの照射位置」に存在すれば、存在しない場合よりも「パッチによる拡散反射分」、光電変換部Diによる受光部出力は低下する。
受光出力分布が図27(b)に示す如くであった場合、光電変換部D1およびD5〜D11は受光部出力が高く、光電変換部D2とD4ではそれより受光部出力が低く、光電変換部D3ではさらに低い。このことから、図27(a)に示すように、パッチDP1−1はちょうど発光源E3に対応する位置にあることがわかる。
また、発光部ピッチ:P=0.4mm、パッチDP1−1の主方向の大きさ:1mmであることと、光電変換部D2とD4の受光部出力より、光スポットS2、S4の相当部分がパッチDP1−1に照射されたことがわかる。
このように、受光部出力が最も低い受光部Diに対応する主方向位置に、パッチDP1−1が存在することがわかる。
パッチDP1−1はテストパターン201Mの一部であり、パッチDP1−1に続いて、各パッチDP1−2〜DP1−5が連なっている。従って、この実施の形態では、濃度検知用のテストパターン201Mの主方向位置を「推定する」までもなく決定できる。
この「テストパターン位置決定」後に、前述の「照射系動作決定工程および受光系動作決定工程」を行い、パッチDP1−1を用いて「反射光取得の工程」を実施する。
「テストパターン位置認識工程」、「照射系動作決定工程」、「受光系動作決定工程」を行うために「ある程度の時間が必要」である場合は、先頭のパッチ(説明中の例ではパッチDP1−1)の「副方向の大きさ」を、他のパッチより大きくすることもできる。
なお、図27においては、図18に示した「パッチがない中間転写ベルト領域(BELT)」を省略した。「パッチがないときの受光部出力」は、テストパターンがないときに随時その受光部出力を取得できるので、中間転写ベルト領域(BELT)は、パッチDP1−1とDP1−2の間などの「各パッチ間」や、パッチDP1−5よりも上流側としてもよい。
図18に示すように、中間転写ベルト領域(BELT)を「テストパターン201Mの先頭のパッチDP1−1より上流とする場合」には、テストパターン位置が決定されていないため、全発光源Ei(i=1〜11)を発光させて、受光部出力を取得しておいてもよい。
次に、テストパターンの主方向の大きさについて図29を参照して説明する。
上述の説明では「テストパターンの主方向の大きさ」を1mmとした。
図29の例では、テストパターン(マゼンタのベタパッチ)の主方向の大きさを1.2mmとしている。
図29(a)に示された状態では、テストパターン(マゼンタのベタパッチ)の主方向の中心位置は、発光源E6による光スポットS6の位置にある。
ベタパッチの主方向の大きさは1.2mmで、光スポットの主方向の大きさ:0.4mmと、発光部ピッチ:0.4mmの2倍(0.08mm)と等しい。
図29(a)の状態では、テストパターンを3つの発光源E5〜E7による光スポットS5〜S7により主方向に過不足なく照射できるので、これら3つの発光源に関してトナー濃度を算出できる。
図29(b)の状態では、マゼンタのベタパッチの主方向の中心位置が、発光源E6とE7による光スポットS6、S7の中間位置にある。この場合は、2つの発光源E6とE7による光スポットでベタパッチを照射しており、2つの発光源E6、E7に関してトナー濃度を算出できる。
このように、パッチの主方向の大きさを、光スポットの主方向の大きさ:SDと、発光部ピッチ:Pの2倍との和(2P+SD)以上とすることにより、2以上の発光部に関してトナー濃度を算出でき、これら複数のトナー濃度に平均化処理を施すことにより「主方向に平均化されたトナー濃度」を得ることができ、トナー濃度の検知精度が向上する。
「3つのトナー濃度」を算出できる場合には、最大・最小を省いた中間の値を採用したり、4つ以上のトナー濃度が得られる場合であれば、最大・最小の値を除いた残りの平均値を採用したりして、異常値などを除去して検知精度を向上させることもできる。
テストパターンの別の例として、主方向に2つのパッチを持つ場合の実施例を図30に示す。テストパターンの配置以外は図11と同様である。
図30は、図1の画像形成装置における「テストパターンを作像した転写ベルト2040の上面図を示し、主方向の中央部付近にトナー濃度を検知するためのテストパターン201が形成されている。
図30では「色毎に4階調のパッチ」が形成され、計16個のパッチでテストパターン201が構成される。4階調のパッチは、主方向に2つ、副方向に2つの計4つ配置されている。
図6の場合に比べ、テストパターンの「副方向の長さ」が1/2となり、テストパターンを検知する時間が約1/2に短縮できる。また、その下流にはトナー位置を検知するためのトナー位置検知用テストパターン201CT、201L、201Rは、中間転写ベルト2040の有効画像領域内の中央部および両端付近に形成されている。
図31は「図7に示した反射型光学センサを用い、マゼンタ(M)の複数のパッチ(ここでは4階調)からの反射光を取得する様子」を示す。上下方向が「主方向」、左右方向の左向きが「副方向」である。
図30に示したように、トナー濃度検知用のテストパターンはそれぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色トナーにより形成されるが、図31に示すテストパターン201Mは「マゼンタトナーにより構成されたテストパターン」であり、濃度を複数階調(図の例では4階調)に変化させた矩形状のパッチを主方向に2つ、副方向に2つ配置しており、副方向の進行順に濃度が低いものからパッチDP1−1、DP1−2、・・、DP1−4となっている。
パッチDP1−1、DP1−2の下流側に、パッチのない中間転写ベルトからの反射光を受光するための領域「BELT」を持つ。
各パッチは主方向に1mm、副方向に2mmの大きさに形成される。主走査方向に並んだパッチの中心間隔は2.4mmである。
なお、各パッチの主走査方向の大きさ:1.0mmは、反射型光学センサの主方向の発光部ピッチ:P=0.4mmと中間転写ベルト上に照射される光スポットの主方向の大きさ:SD=0.4mmとの和よりも大きくなっている。
まず、図18に示した例と同様にして、図31の具体例において、前準備として得られた結果を示す。
テストパターン位置認識工程により、テストパターンの主方向の位置は「発光部E3と発光部E9の位置であると推定」された。
その結果に基づき、照射系動作決定工程により、発光させる発光部はE3とE9とし、発光モードは順次発光させると決定された。続いて、受光系動作決定工程により、受光部出力を取得する受光部はD1〜D11のすべてとし、取得タイミングは、図32に示すように、各パッチがスポット光位置を通過するタイミングに合わせて、発光部E3とE9が順次発光し、受光部はそれに応じて1回サンプリングされ、受光部出力を取得する、と決定された。
上記前準備結果に基づき「反射光を取得する手順」を図32に示す。
テストパターン201Mは、支持部材である中間転写ベルトの表面に形成されて副方向に移動し、反射型光学センサ2245aからのスポット光照射領域に近づいていく。
テストパターン201Mが形成されるタイミングは既知であるので、形成されてから照射領域に近づく適当なタイミングで発光部E3とE9の順次発光を開始する。
まずテストパターン201Mの前方のパッチがない中間転写ベルトの位置で、発光部E3とE9はパルス発光し、そのタイミングに合わせて受光部D1〜D11は1回サンプリングされ、受光部出力を取得する。
続いてテストパターン201Mは副方向に移動し、最初のパッチDP1−1とDP1−2がスポット光位置を通過するタイミングに合わせて、発光部E3およびE9は順次発光し、パッチDP1−1とDP1−2がスポット光位置を通過するタイミングに合わせて受光部D1〜D11は1回サンプリングされ、受光部出力を取得する。
さらに、テストパターンDP1は副方向に移動し、パッチDP1−3とDP1−4がスポット光位置を通過するタイミングに合わせて、発光部E3およびE9は順次発光し、パッチDP1−3とDP1−4がスポット光位置を通過するタイミングに合わせて受光部D1〜D11は1回サンプリングされ、受光部出力を取得する。
このようにして、中間転写ベルト部分、及び4階調のパッチからなるテストパターン201Mからの反射光、すなわち受光部出力分布が取得できる。
よって、その取得結果に基づき、上述したように、トナー濃度を演算的に求めることができる。
このようにテストパターン201Mを配置することにより、1つの反射型光学センサで、同時に(1ライン発光の間に)2つのパッチに対して受光部出力を取得することができる。
もちろん、反射型光学センサの発光部の数および受光部の数に応じて、2以上のパッチに対して受光部出力を取得することができる。
これにより、テストパターンの副方向の長さを短くすることができ、検知時間の短縮化が図れる。
画像形成装置は感光体や現像装置の構成によっては、副方向に回動する部材が用いられることが多いため、その部材の変動によって、副方向に画像濃度むらが発生しやすい。すなわち、この濃度むらが発生した場合には、テストパターンに重畳してしまう。
そのため、テストパターンの副方向の長さが短くなれば、この濃度むらの影響を低減させることが可能となる。
なお、このようなテストパターンの配置は図31のものに限定されるものではなく、図33のように、濃度の薄いパッチDP1−1に対して副方向に隣接して濃度の高いパッチDP1−4を形成し、パッチDP−2とDP3とを隣接させることにより「異なる主方向の位置を通過するパッチのトナー消費量」をできるだけ均等にすることにより、中間転写ベルト上のパッチのクリーニングの負荷を低減させることもできる。また、図34に示すように、主方向にトナーの色を変え、テストパターン201Mと201Yを「副方向へ1列」に形成し、テストパターン201Kと201Cを「副方向へ1列」に形成することもできる。
複数の発光部の配列長さ、すなわち、中間転写ベルトに照射する光スポット列を、主方向に並んだ複数のパッチの長さよりも大きくすることにより、パッチに光スポットが照射されないことを防止する。
さらには、複数の発光部の配列長さを、中間転写ベルトが搬送されるときの主方向の位置ずれや、パッチを形成したときの主走査方向の位置ずれのマージンも考慮した分だけ、主方向に並んだ複数のパッチの長さより大きくすることが望ましい。これにより、反射型光学センサの主方向の大きさを過不足無く設定することができる。
直接転写方式の画像形成装置では感光体ドラム上にテストパターンを形成するが、上に説明した実施の各形態のように、支持部材が(平滑な)中間転写ベルトである中間転写方式では、支持部材上にテストパターンを形成する。この場合の方が先に述べた「副方向への濃度むら」が発生しやすいため、副方向のテストパターンの長さを短くできる反射型光学センサの適用が好ましい。