以下、本発明の一実施形態を図1〜図51(B)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、反射型光学センサ2245、温湿度センサ(図示省略)及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えば、パソコン)及び公衆回線を介した情報機器(例えば、ファクシミリ装置)との双方向の通信を制御する。そして、通信制御装置2080は、受信した情報をプリンタ制御装置2090に通知する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換器などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置及び情報機器からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置及び情報機器からの画像情報を光走査装置2010に送る。
温湿度センサは、カラープリンタ2000内の温度と湿度を検出し、プリンタ制御装置2090に通知する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
感光体ドラム2030aの表面近傍には、感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが配置されている。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030bの表面近傍には、感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bが配置されている。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030cの表面近傍には、感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cが配置されている。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030dの表面近傍には、感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dが配置されている。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。ところで、転写ベルト2040上で、トナー画像の移動する方向(ここでは、X軸方向)は「副方向」と呼ばれ、該副方向に直交する方向(ここでは、Y軸方向)は「主方向」と呼ばれている。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚づつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
反射型光学センサ2245は、転写ベルト2040の+Z側であって、転写ベルト2040の+X側端部近傍に配置されている。この反射型光学センサ2245については後述する。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図2〜図5に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つのfθレンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8枚の折返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d)、4つのトロイダルレンズ(2107a、2107b、2107c、2107d)、4つの光検知センサ(2205a、2205b、2205c、2205d)、4枚の光検知用ミラー(2207a、2207b、2207c、2207d)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング2300(図2〜図4では図示省略、図5参照)の所定位置に組み付けられている。
また、カップリングレンズ2201a及びカップリングレンズ2201bの光軸に沿った方向を「w1方向」、カップリングレンズ2201c及びカップリングレンズ2201dの光軸に沿った方向を「w2方向」とする。さらに、Z軸方向及びw1方向のいずれにも直交する方向を「m1方向」、Z軸方向及びw2方向のいずれにも直交する方向を「m2方向」とする。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
ここでは、光源2200a及び光源2200bにおける主走査対応方向は、m1方向であり、光源2200c及び光源2200dにおける主走査対応方向は、「m2方向」である。そして、光源2200a及び光源2200bにおける副走査対応方向、光源2200c及び光源2200dにおける副走査対応方向は、いずれもZ軸方向と同じ方向である。
光源2200bと光源2200cは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。そして、光源2200aは光源2200bの−Z側に配置されている。また、光源2200dは光源2200cの−Z側に配置されている。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。
開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー2104は、2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
各fθレンズはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するようなパワーを有する非円弧面形状を有している。
fθレンズ2105a及びfθレンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、fθレンズ2105c及びfθレンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
そして、fθレンズ2105aとfθレンズ2105bはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105aは1段目の4面鏡に対向し、fθレンズ2105bは2段目の4面鏡に対向している。また、fθレンズ2105cとfθレンズ2105dはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105cは2段目の4面鏡に対向し、fθレンズ2105dは1段目の4面鏡に対向している。
そこで、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、fθレンズ2105a、折返しミラー2106a、トロイダルレンズ2107a、及び折返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、fθレンズ2105b、折り返しミラー2106b、トロイダルレンズ2107b、及び折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、fθレンズ2105c、折り返しミラー2106c、トロイダルレンズ2107c、及び折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、fθレンズ2105d、折り返しミラー2106d、トロイダルレンズ2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は「有効走査領域」、「画像形成領域」、あるいは「有効画像領域」などと呼ばれている。
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
また、シリンドリカルレンズとそれに対応するトロイダルレンズとにより、偏向点とそれに対応する感光体ドラム表面とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系が構成されている。
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、fθレンズ2105aとトロイダルレンズ2107aと折り返しミラー(2106a、2108a)とからKステーションの走査光学系が構成されている。また、fθレンズ2105bとトロイダルレンズ2107bと折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。そして、fθレンズ2105cとトロイダルレンズ2107cと折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。さらに、fθレンズ2105dとトロイダルレンズ2107dと折り返しミラー(2106d、2108d)とからYステーションの走査光学系が構成されている。
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Kステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207aを介して入射する。
光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Cステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207bを介して入射する。
光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Mステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207cを介して入射する。
光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Yステーションの走査光学系を介した光束のうち書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207dを介して入射する。
各光検知センサはいずれも、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
走査制御装置は、各光検知センサの出力信号に基づいて対応する感光体ドラムでの走査開始タイミングを検出する。
次に、前記反射型光学センサ2245について説明する。
この反射型光学センサ2245は、一例として図6に示されるように、Y軸方向に関して、転写ベルト2040におけるほぼ中央に配置されている。
ここでは、主方向(Y軸方向)に関して、反射型光学センサ2245の中心位置をYmとする(図7参照)。
そして、テストパターンとしてのトナーパターンは、一例として図8に示されるように、Y軸方向に関して、転写ベルト2040におけるほぼ中央に形成される。
反射型光学センサ2245は、一例として図9〜図12に示されるように、11個の発光部(E1〜E11)を含む照射系、11個の開口板(Ap1〜Ap11)、及び11個の受光部(D1〜D11)を含む受光系などを備えている。なお、図11では、開口板の図示を省略している。
11個の発光部(E1〜E11)は、主方向に沿って等しい間隔Leで配置されている。各発光部には、LED(Light Emitting Diode)を用いることができる。すなわち、11個の発光部を有するLEDアレイを用いることができる。ここでは、一例として、Le=0.4mmとしている。なお、以下では、便宜上、点灯させた発光部を「点灯発光部」と略述する。
各発光部の形状は、1辺が約0.04mmの正方形である。また、各発光部から射出される光束の波長は850nmである。
11個の開口板(Ap1〜Ap11)は、それぞれ同じ形状、大きさの開口部を有し、11個の発光部(E1〜E11)に個別に対応している。
各開口板は、対応する発光部から射出された光束のビーム径を規定する。すなわち、開口板の開口部を通過した光束が、転写ベルト2040の表面あるいはトナーパターンを照明する。
ここでは、説明をわかりやすくするため、各発光部から射出され対応する開口板の開口部を通過した光束のみが、検出用光(S1〜S11)として転写ベルト2040あるいはトナーパターンを照射するものとする(図13参照)。
そして、各検出用光によって転写ベルト2040の表面に形成される光スポット(以下では、便宜上「検出用光スポット」と略述する)の中心は、副方向に関して、対応する発光部と受光部の中間付近にある。
各検出用光スポットの大きさは、一例として、直径で0.55mmである。また、主方向に隣接する2つの検出用光スポットの中心間距離は0.4mmである。なお、従来の検出用光スポットの大きさは、通常、直径で2〜3mm程度であった。
また、ここでは、転写ベルト2040の表面は滑らかであり、転写ベルト2040の表面に照射された検出用光のほとんどは正反射される。
受光部(D1〜D11)は、それぞれ発光部(E1〜E11)に個別に対応している。
各受光部は、対応する発光部から射出され、転写ベルト2040の表面で正反射された光束の光路上に配置されている。そして、11個の受光部の配列ピッチは、11個の発光部の配列ピッチLeと等しい。
各受光部には、PD(フォトダイオード)を用いることができる。そこで、11個の受光部を有するPDアレイを用いることができる。そして、各受光部は、受光量に応じた信号を出力する。
各受光部の形状は、1辺が約0.35mmの正方形である。また、各受光部の受光感度のピーク波長は850nm付近にある。すなわち、各発光部から射出され、転写ベルト2040あるいはトナーパターンで反射された光を効率良く受光することができる。
なお、以下では、発光部を特定する必要がない場合には、発光部Eiと表示する。そして、発光部Eiから射出され対応する開口板Apiの開口部を通過した光束を、検出用光Siと表示する。また、発光部Eiに対応する受光部を受光部Diと表示する。
次に、上記テストパターンとしてのトナーパターンについて説明する。
このトナーパターンは、一例として図14に示されるように、5種類のパターン(PP、DP1、DP2、DP3、DP4)を有している。
DP1〜DP4は、いずれも濃度検出用パターンであり、PPは位置ずれ検出用パターンである。
濃度検出用パターンDP1はイエロートナーで形成され、濃度検出用パターンDP2はマゼンタトナーで形成される。また、濃度検出用パターンDP3はシアントナーで形成され、濃度検出用パターンDP4はブラックトナーで形成される。なお、以下では、濃度検出用パターンDP1〜DP4を区別する必要がない場合には、総称して「濃度検出用パターンDP」ともいう。
濃度検出用パターンDPは、一例として図15に示されるように、5個の四角形状のパターン(p1〜p5、以下では、便宜上「矩形パターン」という)を有している。各矩形パターンは、転写ベルト2040の進行方向に沿って並んでおり、それぞれ全体としてみたときにトナー濃度の階調が異なっている。ここでは、トナー濃度の低い矩形パターンから、p1、p2、p3、p4、p5とする。すなわち、矩形パターンp1のトナー濃度が最も低く、矩形パターンp5のトナー濃度が最も高い。
ところで、トナー濃度の階調を異ならせる方法として、アナログ的に異ならせる方法とデジタル的に異ならせる方法とがある。
アナログ的にトナー濃度の階調を異ならせたパターン(以下、「アナログパターン」ともいう)では、いずれの濃度においてもその全領域にトナーが付着している。
トナー濃度の階調をアナログ的に異ならせる方法について以下に簡単に説明する。例えば、潜像形成に用いられる半導体レーザの発光強度と現像バイアスは固定とし、半導体レーザの発光デューティ(Duty)を変化させることによって異なる濃度のアナログパターンを形成する場合を考える。図16には、中間色1のアナログパターン、中間色2のアナログパターン、中間色3のアナログパターン、ベタのアナログパターンについて、感光体ドラム上の静電潜像のうち4ドット×4ドットの領域を切り出したときの、各ドットにおける半導体レーザの発光デューティ(Duty)が示されている。ここでは、中間色1<中間色2<中間色3<ベタ、の順でトナー濃度が高い。また、数値「0」は発光デューティ(Duty)が0(%)、数値「1」は発光デューティ(Duty)が25(%)、数値「2」は発光デューティ(Duty)が50(%)、数値「3」は発光デューティ(Duty)が75(%)、数値「4」は発光デューティ(Duty)が100(%)を意味している。そして、現像の際には、半導体レーザの発光強度、現像バイアス、発光デューティ(Duty)に応じた量のトナーが付着する。すなわち、トナーの付着量は、中間色1<中間色2<中間色3<ベタ、の関係になる。但し、発光デューティ(Duty)が極端に小さい場合や、半導体レーザの発光強度及び現像バイアスの値によっては、1ドットの領域にトナーが付着しない場合もあり得る。
一方、デジタル的に異ならせる方法では、トナーが付着している部分の面積とトナーが付着していない下地(ここでは、転写ベルト2040の表面)部分の面積の割合によってトナー濃度の階調を異ならせている。
ここでは、一例として、トナー濃度の階調を異ならせる方法として、アナログ的に異ならせる方法を採用している。そして、矩形パターンp5は、最大のトナー付着量で作成されたいわゆるベタパターンである。
また、一例として、各矩形パターンの主方向の長さw1を1mm、副方向の長さw2を2mmとしている。すなわち、各矩形パターンの主方向の長さw1は、主方向に隣接する2つの発光部間の長さ(0.4mm)よりも長い。また、各矩形パターンの主方向の長さw1(1mm)は、主方向に隣接する2つの発光部間の長さ(0.4mm)と検出用光スポットの大きさ(0.55mm)の和よりも大きい。また、副方向に関して、隣接する2つの矩形パターンの中心間隔は3mmである。
この場合は、トナーパターンを作成するのに必要なトナー量を従来の1/100倍程度とすることができる。
矩形パターンの表面に照射された検出用光は、正反射及び拡散反射される。なお、以下では、便宜上、正反射した光を「正反射光」、拡散反射した光を「拡散反射光」ともいう。
ところで、発光部から射出された検出用光を幾何光学的に見て多数の光線の集合であるとし、図17(A)に示されるように、トナーの形状が真球であると仮定すると、トナーによる正反射光とは、図17(B)に示されるように、真球の表面(発光部側)の任意の1点で正反射した光線と考えることができる。各受光部の受光量のうち、図17(B)に示される条件を満たす光線による受光量が、トナーパターンの正反射光による受光量である。
また、トナーによる拡散反射光とは、図17(C)示されるように、トナー表面とトナー裏面とで屈折し、転写ベルトで反射され、トナー裏面とトナー表面で再度屈折して受光部に到達した光線である。また、図17(D)に示されるように、トナー表面で正反射した後に転写ベルトで反射されて受光部に到達した光線もトナーによる拡散反射光である。
各受光部において、トナー表面で屈折し、1度でもトナー内部に侵入した光線、及びトナー表面で正反射した後に転写ベルトで反射された光線による受光量は、矩形パターンの拡散反射光による受光量となる。なお、トナー表面で屈折した光線の中には、トナー内部で多重反射を起こすものも存在する。このような光線の反射光も、各受光部において検出されれば、矩形パターンの拡散反射光による受光量となる。
このように、トナーでの正反射光は、トナーでの拡散反射光に比べて著しく少ない。
位置ずれ検出用パターンPPは、図18に示されるように、主方向(Y軸方向)に平行な4本のライン状パターン(LPY1、LPM1、LPC1、LPK1)と、主方向に対して傾斜した4本のライン状パターン(LPY2、LPM2、LPC2、LPK2)とにより構成されている。
ライン状パターンLPY1とLPY2はペアをなし、イエロートナーで形成され、ライン状パターンLPM1とLPM2はペアをなし、マゼンタトナーで形成される。また、ライン状パターンLPC1とLPC2はペアをなし、シアントナーで形成され、ライン状パターンLPK1とLPK2はペアをなし、ブラックトナーで形成される。
各ライン状パターンのペアは、副方向に関して、2本のライン状パターンの間隔が所定の間隔をなすように設定されている。
ここでは、各ライン状パターンの長さを3.4mm、幅を0.5mmとし、それらの副方向の間隔を2mmとしている。また、4本のライン状パターン(LPY2、LPM2、LPC2、LPK2)の傾斜角を45°としている。
次に、画像プロセス制御のために、反射型光学センサ2245を用いて行われる濃度検出処理及び位置ずれ検出処理について図19を用いて説明する。本実施形態では、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理は、プリンタ制御装置2090によって行われる。図19のフローチャートは、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理の際に、プリンタ制御装置2090によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
最初のステップS301では、画像プロセス制御の要求があるか否かを判断する。ここでは、画像プロセス制御フラグがセットされていれば、ここでの判断は肯定され、画像プロセス制御フラグがセットされていなければ、ここでの判断は否定される。
画像プロセス制御フラグは、(1)電源投入時の初期化処理で、(2)感光体ドラムの停止時間が6時間以上のとき、(3)装置内の温度が10℃以上変化しているとき、(4)装置内の相対湿度が50%以上変化しているとき、(5)印刷時にプリント枚数が所定の枚数に達したとき、(6)現像ローラの回転回数が所定の回数に達したとき、(7)転写ベルトの走行距離が所定の距離に達したときなどにセットされる。すなわち、パワーオンのとき、環境条件が変化したとき、現像及び転写に関係する部材の特性が変化したと予想されるときなどに、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理が実行される。
ステップS301での判断が否定されると、各検出処理はいずれも行われない。一方、ステップS301での判断が肯定されると、画像プロセス制御フラグをリセットし、ステップS303に移行する。
このステップS303では、走査制御装置に対してトナーパターンの作成を指示する。
これにより、走査制御装置は、感光体ドラム2030dにおける位置Ymに、濃度検出用パターンDP1、ライン状パターンLPY1、LPY2、が形成されるようにYステーションを制御する。
また、走査制御装置は、感光体ドラム2030cにおける位置Ymに、濃度検出用パターンDP2、ライン状パターンLPM1、LPM2、が形成されるようにMステーションを制御する。
また、走査制御装置は、感光体ドラム2030bにおける位置Ymに、濃度検出用パターンDP3、ライン状パターンLPC1、LPC2、が形成されるようにCステーションを制御する。
さらに、走査制御装置は、感光体ドラム2030aにおける位置Ymに、濃度検出用パターンDP4、ライン状パターンLPK1、LPK2、が形成されるようにKステーションを制御する。
そして、各ステーションによって形成された濃度検出用パターン及び位置ずれ検出用パターンは、それぞれ所定のタイミングで転写ベルト2040に転写される。
これによって、転写ベルト2040における位置Ymに上記トナーパターンが形成されることとなる。
次のステップS305では、トナー濃度の検出処理を行う。このトナー濃度の検出処理を図20のフローチャートを用いて説明する。
最初のステップS401では、主方向に関する矩形パターンの位置を認識する。
主方向に関する矩形パターンの位置としては、11個の検出用光の中心にある検出用光S6が、矩形パターンの中心を照明する位置であることが好ましい。しかしながら、矩形パターンの形成位置のずれや、転写ベルトの蛇行などによって、主方向に関して、矩形パターンの位置に誤差が生じることがある。
そこで、矩形パターンの主方向に関する位置を予め認識しておくことが必要である。なお、前回、濃度検知処理を行った情報、すなわち、矩形パターンを検知したときの情報に基づいて、矩形パターンの位置を推定することができる。
例えば、メモリ等に保存されている、矩形パターンを検知したときの各受光部の出力情報から、次に、どの位置に矩形パターンがくるかを推定することが可能である。
具体的には、発光部Eiを点灯させ、転写ベルトを照明したときの受光部Diの出力と、矩形パターンp5を照明したときの受光部Diの出力との差ΔDiの値に最大値がある場合、該最大値に対応する検出用光Siの照明位置に矩形パターンが位置していると判断できる。
例えば、ΔD1〜ΔD4、及びΔD8〜ΔD11が0であり、図21(A)〜図21(C)に示されるように、ΔD6の値が最大値となる場合には、図22に示されるように、検出用光S6の照明位置に矩形パターンが位置していると判断する。
また、図23(A)〜図23(D)に示されるように、ΔD5<ΔD6≒ΔD7>ΔD8の関係がある場合には、図24に示されるように、検出用光S6の照明位置と検出用光S7の照明位置の中間位置に矩形パターンが位置していると判断する。
なお、受光部の出力情報を見なくても、前回、矩形パターンを検知してからの経過時間や環境条件の変化が小さい場合には、一般に矩形パターンの位置は大きく変化しないため、前回と同じ位置であると推定できる。
次のステップS403では、点灯させる発光部を決定する。
ここでは、一部の発光部を点灯させる場合と全ての発光部を点灯させる場合とが考えられる。
(A−1)一部の発光部を点灯させる場合。
一部の発光部を点灯させる場合には、上記ステップS401で認識された主方向に関する矩形パターンの位置に基づいて、点灯させる発光部を決定することができる。
例えば、検出用光S6の照明位置に矩形パターンが位置していると認識されたときについて説明する。
このときには、発光部E1〜E4、及び発光部E8〜E11を発光させても検出用光S1〜S4、及びS8〜S11は、矩形パターンを照明しないため、濃度検知には寄与しない。また、発光部E5及びE7を発光させても、検出用光S5及びS7の一部は矩形パターンを照明しないため、濃度検知に対して、光の利用効率が小さく、濃度検知の精度は低い。
そこで、このときには、点灯させる発光部として発光部E6のみと決定することができる。
ところで、矩形パターンが副方向に移動している際に、主方向に関して矩形パターンの位置が変化し、検出用光S6の照明位置から矩形パターンが外れてしまうおそれがある場合には、余裕を見て、発光部E6に隣接する発光部E5及び発光部E7を加えて、点灯させる発光部として発光部E5〜E7の3つと決定しても良い。なお、余裕分は、画像形成装置の性能(矩形パターンの形成位置ずれ性能、転写ベルトの蛇行性能など)によって決定することができる。
次に、例えば、検出用光S6の照明位置と検出用光S7の照明位置の中間位置に矩形パターンが位置していると判断されたときについて説明する。
このときには、発光部E1〜E4、及び発光部E9〜E11を発光させても検出用光S1〜S4、及びS9〜S11は、矩形パターンを照明しないため、濃度検知には寄与しない。また、発光部E5及びE8を発光させても、検出用光S5及びS8の一部は矩形パターンを照明しないため、濃度検知に対して、光の利用効率が小さく、濃度検知の精度は低い。
そこで、このときには、点灯させる発光部として発光部E6と発光部E7の2つと決定することができる。この場合には、発光部毎にトナー濃度の演算結果が得られるので、発光部E6を点灯させたときに得られた演算結果と発光部E7を点灯させたときに得られた演算結果を平均化することにより、濃度検知精度を高めることができる。
また、このときには、発光部E6及び発光部E7の一方を、点灯させる発光部として決定しても良い。
さらに、このときに、検出用光の照明位置から矩形パターンが外れてしまうおそれがある場合には、余裕を見て、発光部E6に隣接する発光部E5及び発光部E7に隣接する発光部E8を加えて、点灯させる発光部として発光部E5〜E8の4つと決定しても良い。
(A−2)全ての発光部を点灯させる場合。
この場合は、点灯させる発光部として発光部E1〜E11の11個と決定する。この場合には、矩形パターンの位置が主方向に若干(4mm以下)変化しても、矩形パターンが検出用光から外れてしまうおそれはない。
次のステップS405では、点灯パターンを決定する。
点灯パターンとして、点灯させる発光部が複数のとき、それらを同時に点灯・消灯させる場合と、それらを順次、点灯・消灯させる場合とがある。
例えば、発光部Enと発光部Em(n≠m)を同時に点灯させて、検出用光Snと検出用光Smで1つの矩形パターンを照明する場合、検出用光Snによる反射光と、検出用光Smによる反射光が、同一の受光部で受光されると、それらを分離することはできない。しかしながら、発光部Enと発光部Emを、順次、点灯・消灯させて、検出用光Snと検出用光Smで1つの矩形パターンを照明する場合、検出用光Snによる反射光と、検出用光Smによる反射光が、同一の受光部で受光されても、受光タイミングの違いによって、それらを分離することができる。
一方、検出用光Snによる反射光と、検出用光Smによる反射光が、同一の受光部で受光されなければ、発光部Enと発光部Emを同時に点灯させることが可能である。もちろん、発光部Enと発光部Emを、順次、点灯・消灯させても良い。
ここでは、点灯対象の発光部の全てを1回点灯・消灯させるのに要する時間を「ライン周期」という。
複数の発光部を同時に点灯させる場合は、複数の発光部を順次、点灯・消灯させる場合に比べて、ライン周期を短くできるという利点がある。
複数の検出用光による反射光が、同一の受光部で受光されるか否かは、点灯させる複数の発光部の位置関係、矩形パターンにおける拡散反射特性(反射光の角度分布)などに依存する。
例えば、点灯させる発光部として発光部E6と発光部E7の2つが決定された場合、検出用光S6による反射光は、受光部D6と受光部D7で受光でき、検出用光S7による反射光も、受光部D6と受光部D7で受光できるレイアウトとなっている。そこで、発光部E6と発光部E7が同時点灯されると、受光部D6及び受光部D7で受光された反射光を、検出用光S6による反射光と、検出用光S7による反射光とに分離することができない。この場合には、発光部E6と発光部E7を、順次(この場合は、交互に)点灯・消灯させる必要がある。
例えば、点灯させる発光部として発光部E5〜E8の4つが決定された場合、発光部E5、発光部E6、発光部E7、発光部E8、発光部E5、発光部E6、・・・の順に点灯・消灯させる。
なお、検出用光S3による反射光は、受光部D1〜D5では受光できるが、受光部D6〜D11では受光できないレイアウトとなっている。また、検出用光S9による反射光は、受光部D7〜D11では受光できるが、受光部D1〜D6では受光できないレイアウトとなっている。そこで、例えば、図25に示されるように、矩形パターンの主方向の長さを長くした場合、発光部E3とE9を同時点灯させることが可能である。
次のステップS407では、点灯モードを決定する。
点灯モードとして、発光部を常時点灯させる場合と、パルス点灯させる場合とある。
例えば、点灯させる発光部として発光部E6の1つのみが決定された場合には、発光部を常時点灯させても良いし、パルス点灯させても良い。
一方、例えば、点灯させる発光部として発光部E6と発光部E7の2つが決定された場合には、発光部E6と発光部E7は、順次(この場合は、交互に)点灯・消灯させる必要があり、各発光部はパルス点灯されることとなる。
なお、例えば、点灯させる発光部として発光部E3と発光部E9の2つが決定された場合には、各発光部を常時点灯させても良いし、パルス点灯させても良い。
このように、点灯対象の発光部が複数あり、それらを順次、点灯・消灯させる場合には、各発光部はパルス点灯される。一方、それ以外の場合には、各発光部は常時点灯及びパルス点灯の一方を選択することができる。
常時点灯は、発光部の点灯/消灯の回数を減らすことができ、駆動回路を簡素化できる利点がある。パルス点灯は、発光している時間を短くすることができ、発光部の劣化を抑え、長寿命化を図ることができる。また、発光部の温度上昇を抑えられるという利点がある。
なお、点灯させる発光部、点灯パターン、及び点灯モードの全てが選択可能であっても良いし、それらの少なくとも1つが、予め決定されていても良い。前者の場合は、駆動回路が複雑になってしまうが、様々な画像形成装置に対して種々の動作が可能となる。一方、後者の場合、例えば、点灯パターンと点灯モードが予め決定されていれば、駆動回路は容易になり、低コスト化が可能である。この場合、点灯させる発光部に関しては、矩形パターンの主方向の長さや、前記画像形成装置の性能に応じて適切に選択できるので、実用的である。
次のステップS409では、出力を取得する受光部を決定する。
出力を取得する受光部として、一部の受光部の出力を取得する場合と、全ての受光部の出力を取得する場合とがある。
一部の受光部の出力を取得する場合には、点灯させる発光部の決定結果に基づいて、出力を取得する受光部を決定することができる。
例えば、点灯させる発光部として発光部E6の1つのみが決定された場合について説明する。
図26(A)には、検出用光S6が転写ベルトを照明したときの、各受光部の出力が示され、図26(B)には、検出用光S6が矩形パターンp5を照明したときの、各受光部の出力が示されている。この場合は、受光部D1〜D3及びD9〜D11は受光部の出力が0あるため、必要な受光部はD4〜D8の5つである。
また、点灯させる発光部として発光部がE6と発光部E7の2つが決定され、これらが順次、点灯・消灯される場合には、発光部E6に対して必要な受光部はD4〜D8であり、発光部E7に対して必要な受光部はD5〜D9であり、合わせて必要な受光部はD4〜D9の6つである。
また、点灯させる発光部として発光部がE3と発光部E9の2つが決定され、これらが同時点灯・消灯、あるいは順次、点灯・消灯される場合には、発光部E3に対して必要な受光部はD1〜D5であり、発光部E9に対して必要な受光部はD7〜D11であり、合わせて必要な受光部はD6を除く10個である。
このように、不要な受光部の出力を取得しないことによって、データ量の削減、及び濃度演算の際の演算量の削減を図ることができる。
もちろん、点灯させる発光部として全ての発光部が決定された場合には、全ての受光部の出力が取得される。
なお、点灯させる発光部に関係なく、全ての受光部の出力を取得しても良い。
次のステップS411では、受光部の出力を取得するタイミングを決定する。
例えば、点灯させる発光部として発光部E6の1つのみが決定され、常時点灯されている場合について説明する。この場合、出力を取得する受光部はD4〜D8の5つである。
図27には、発光部E6の点灯・消灯タイミング、及び受光部D4〜D8の出力のサンプリングタイミングが示されている。
ここでは、発光部E6は、矩形パターンp1が検出用光S6の照明領域に入る前に点灯される。なお、この点灯タイミングは、例えば、矩形パターンp1が形成されてからの経過時間で規定することができる。そして、検出用光S6の照明領域に矩形パターンがないタイミングt0で各受光部の出力をサンプリングする。次に、検出用光S6の照明領域に矩形パターンp1があることを検知した後、各受光部の出力が安定するタイミングt1で各受光部の出力をサンプリングする。続いて、検出用光S6の照明領域に矩形パターンp2があることを検知した後、各受光部の出力が安定するタイミングt2、検出用光S6の照明領域に矩形パターンp3があることを検知した後、各受光部の出力が安定するタイミングt3、検出用光S6の照明領域に矩形パターンp4があることを検知した後、各受光部の出力が安定するタイミングt4、検出用光S6の照明領域に矩形パターンp5があることを検知した後、各受光部の出力が安定するタイミングt5で、それぞれ各受光部の出力をサンプリングする。そして、矩形パターンp5が検出用光S6の照明領域を通過した後に、発光部E6が消灯される。
このとき、一例として図28に示されるように、1つの矩形パターンにつき複数回のサンプリングを行っても良い。この場合には、矩形パターン毎に複数の演算結果が得られるので、それらを平均化することにより、濃度検出精度を高めることができる。
また、一例として図29に示されるように、各矩形パターンが、検出用光S6の照明領域を通過するタイミングに合わせて、発光部E6がパルス点灯されても良い。そして、この場合に、一例として図30に示されるように、点灯時間を、矩形パターンが検出用光S6の照明領域を通過する時間よりも短くしても良い。これにより、発光部の温度上昇を更に抑制することができる。また、この場合に、一例として図31に示されるように、1つの矩形パターンにつき複数回のサンプリングを行っても良い。
また、一例として図32及び図33に示されるように、1つの矩形パターンにつき、発光部の点灯・消灯を複数回行っても良い。そして、発光部の点灯・消灯毎にサンプリングを行っても良い。
なお、受光部の出力を取得するタイミングは、画像形成装置が必要とする各矩形パターンに対するサンプリング回数が設定されれば、発光部に関する決定内容に合わせて、様々なタイミングの設定が可能である。
次に、点灯させる発光部として発光部E6と発光部E7の2つが決定された場合について説明する。この場合、出力を取得する受光部はD4〜D9の6つである。
図34には、発光部E6の点灯・消灯タイミング、発光部E7の点灯・消灯タイミング、及び受光部D4〜D9の出力のサンプリングタイミングが示されている。
この場合には、矩形パターン毎に4個の演算結果が得られるので、それらを平均化することにより、濃度検出精度を高めることができる。
なお、一例として図35に示されるように、ライン周期を短くしても良い。この場合は、サンプリング回数を増やすことができ、濃度検知精度を更に高めることができる。
ここでは、検出用光S3の照明位置に矩形パターンが位置していると判断されているものとする。そして、点灯させる発光部はE3のみ、発光モードはパルス発光、出力を取得する受光部はD1〜D5の5つ、サンプリングは1つの矩形パターンにつき1回と決定されたものとする。
次のステップS413では、検出用光S3が転写ベルトを照明したときの、各受光部(ここでは、受光部D1〜D5)の受光量を取得する。
検出用光S3が転写ベルトを照明したときの、受光部D1〜D5の受光量が図36に示されている。
次のステップS415では、検出用光S3が矩形パターンを照明したときの、各受光部(ここでは、受光部D1〜D5)の受光量を取得する。
検出用光S3が濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp1を照明したときの、受光部D1〜D5の受光量が図37(A)に示されている。なお、ここでは、受光部D3の受光量を「1」として規格化されている。また、D_ALLは、5個の受光部D1〜D5の受光量の和である。
図37(A)では、図36に対して、トナーによる反射光が発生する一方で、転写ベルト表面からの反射光が減っている。
検出用光S3が濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp2を照明したときの受光部D1〜D5の受光量が図37(B)に示されている。
図37(B)では、図37(A)に対して、トナーによる反射光が増える一方で、転写ベルト表面からの反射光がさらに減っている。
検出用光S3が濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp3を照明したときの受光部D1〜D5の受光量が図38(A)に示されている。
図38(A)では、図37(B)に対して、トナーによる反射光が増える一方で、転写ベルト表面からの反射光がさらに減っている。
検出用光S3が濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp4を照明したときの受光部D1〜D5の受光量が図38(B)に示されている。
図38(B)では、図38(A)に対して、トナーによる反射光が増える一方で、転写ベルト表面からの反射光がさらに減っている。
検出用光S3が濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp5を照明したときの受光部D1〜D5の受光量が図39に示されている。
図39では、図38(B)に対して、トナーによる反射光が増える一方で、転写ベルト表面からの反射光がさらに減っている。
次のステップS417では、矩形パターン位置の正否を判定する。
ここでは、受光量の取得結果から、矩形パターン位置の正否判定を行う。この判定は、事前に矩形パターン位置が直接検出されている場合には不要であるが、矩形パターン位置が推定された位置である場合には行うことが望ましい。
照射対象物が矩形パターンのときの受光部D1〜D5の受光量分布が、照射対象物が転写ベルトのときの受光部D1〜D5の受光量分布と同じ場合には、なんらかの突発的な事象により、推定した位置に矩形パターンが存在しないと判定される。
照射対象物が矩形パターンのときの受光部D1〜D5の受光量分布が、前回の受光量分布と異なっている場合には、矩形パターンが推定した位置から主方向に大きくシフトしており、矩形パターンの一部のみ検出用光に照明されていると判定される。
ここで矩形パターン位置が推定した位置と大きく違っていると判定された場合には、パターン位置を直接検出し、上記ステップS303に戻る。一方、矩形パターン位置が推定した位置とほぼ同じであると判定された場合には、ステップS419に移行する。
このステップS419では、検出用光S3が転写ベルトを照明したときの、各受光部の受光量(第1の基準受光量Ds1)、検出用光S3が矩形パターンp5を照明したときの、各受光部の受光量(第2の基準受光量Ds2)、及びそれぞれ0以上で1以下の係数αとβを用いて、矩形パターン毎に、該矩形パターンで反射された光を受光した受光部の受光量をα×Ds1+β×Ds2で表し、該矩形パターンで反射された光を受光した受光部の受光量の実測値と前記第2の基準受光量D2とから前記係数βを算出する。
ここでは、一例として、濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp4の場合について説明する。
照射対象物が転写ベルトのとき、すなわち、α=1、β=0のとき、受光部D1及び受光部D5の受光量は0である。そこで、照射対象物が矩形パターンp4のときの受光部D1及び受光部D5の受光量は、いずれもトナーで反射された光の受光量であることは明らかである。
また、照射対象物が矩形パターンp5のとき、すなわち、α=0、β=1のときの各受光部の受光量は、図39のようになっている。
そこで、係数βとして、図39に示されている受光部D1の受光量及び受光部D5の受光量に乗じたときに、図38(B)における受光部D1の受光量及び受光部D5の受光量に一致する係数を求める(図40(A)及び図40(B)参照)。ここでは、β=0.700であった。図40(A)には、照射対象物が矩形パターンp5のときの各受光部の受光量が示され、図40(B)には、図40(A)における各受光部の受光量に係数β(ここでは、0.700)を掛けたものが示されている。
次のステップS421では、前記係数αを算出する。
ここでは、先ず、照射対象物が矩形パターンp4のときの各受光部の受光量(図41(A)参照)と、照射対象物が矩形パターンp5のときの各受光部の受光量に係数βを掛けたものとの差を求める(図41(B)参照)。以下では、便宜上、これを新たな受光量分布という。
次に、照射対象物が転写ベルトのときの各受光部の受光量に係数k(0≦k≦1)を乗じて得られた受光量分布と、上記新たな受光量分布において、受光部毎に受光量の差の二乗を求め、その和が最小となる係数kを求める。このときの係数kの値が係数αとなる。ここでは、α=0.044であった。
図42には、照射対象物が転写ベルトのときの各受光部の受光量に係数αを乗じて得られた受光量分布が示されている。図43には、図42の受光量分布と図41(B)の受光量分布との差が示されている。
同様にして得られた、矩形パターンp1〜p3における係数α及び係数βが図44に示されている。ここで、DP1_p1は、濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp1を意味している。
図45(A)には、照射対象物が矩形パターンp1のときの、実測された受光量分布と、α×Ds1+β×Ds2で算出された受光量分布とが示されている。両者は、非常に良く一致している。
図45(B)には、照射対象物が矩形パターンp2のときの、実測された受光量分布と、α×Ds1+β×Ds2で算出された受光量分布とが示されている。両者は、非常に良く一致している。
図46(A)には、照射対象物が矩形パターンp3のときの、実測された受光量分布と、α×Ds1+β×Ds2で算出された受光量分布とが示されている。両者は、非常に良く一致している。
図46(B)には、照射対象物が矩形パターンp4のときの、実測された受光量分布と、α×Ds1+β×Ds2で算出された受光量分布とが示されている。両者は、非常に良く一致している。
次のステップS423では、各受光部の受光量を、正反射された光の受光量と拡散反射された光の受光量とに分離する。ここでは、α×Ds1を正反射された光の受光量とし、β×Ds2を拡散反射された光の受光量としている。
先ず、矩形パターン毎に、照射対象物が転写ベルトのときのD_ALLに係数αを掛けた値(「Dα」と表記する)と、照射対象物が矩形パターンp5のときのD_ALLに係数βを掛けた値(「Dβ」と表記する)を求める。ここでは、上記Dαが、正反射された光の受光量であり、上記Dβが拡散反射された光の受光量である。
図47には、照射対象物毎に、Dα、すなわち、正反射された光の受光量が示されている。なお、図47では、最大値を1としている。これによると、Dαは、トナー濃度が高くなるにつれて減少しており、しかも、Dαとトナー濃度とは1対1で対応している。
また、図48には、照射対象物毎に、Dβ、すなわち、拡散反射された光の受光量との関係が示されている。なお、図48では、最大値を1としている。これによると、Dβは、トナー濃度が高くなるにつれて増加しており、しかも、Dβとトナー濃度とは1対1で対応している。
次のステップS425では、トナー濃度を算出する。ここでは、DαあるいはDβとトナー濃度との関係が、濃度データとして予め取得されており、プリンタ制御装置2090のROMに格納されている。そこで、上記濃度データを参照し、各矩形パターンのDαあるいはDβの計算値から各矩形パターンのトナー濃度を算出する。これによって、濃度検出処理を終了し、ステップS307に移行する。
このステップS307では、位置ずれ検出処理を行う。ここでは、発光部E3を連続点灯させる。発光部E3からの検出用光は、転写ベルト2040が回転するにつれて、すなわち、時間が経過するとともに、ライン状パターンLPY1〜LPK2を順次照射する(図49参照)。
そして、各受光部の出力信号を時間的に追跡し、検出用光がライン状パターンLPY1を照射してからライン状パターンLPM1を照射するまでの時間Tym、検出用光がライン状パターンLPM1を照射してからライン状パターンLPC1を照射するまでの時間Tmc、検出用光がライン状パターンLPC1を照射してからライン状パターンLPK1を照射するまでの時間Tckを検出する(図50参照)。なお、ここでは、わかりやすくするため、各受光部の出力信号は、増幅及び反転され、所定の基準値と比較する比較回路を介しているものとする。
さらに、検出用光がライン状パターンLPY1を照射してからライン状パターンLPY2を照射するまでの時間Ty、検出用光がライン状パターンLPM1を照射してからライン状パターンLPM2を照射するまでの時間Tm、検出用光がライン状パターンLPC1を照射してからライン状パターンLPC2を照射するまでの時間Tc、検出用光がライン状パターンLPK1を照射してからライン状パターンLPK2を照射するまでの時間Tkを検出する(図50参照)。
そして、例えば、次の(1)式を用いて、イエロートナー画像の主方向に関する位置ずれ量ΔSを求める(図51(A)及び図51(B)参照)。ここで、Vは転写ベルト2040の副方向への移動速度、ΔTは時間Tyと基準時間の差、θはライン状パターンLPY2の主方向に対する傾斜角である。
ΔS=V・ΔT・cotθ ……(1)
次のステップS309では、画像プロセス制御を実施する。
ここでは、上記濃度検出処理で得られたトナー濃度から、トナーの色毎に、トナー濃度のずれ量を求める。そして、トナー濃度のずれ量が許容限を超えている場合には、トナー濃度が狙いのトナー濃度となるように、或いは、トナー濃度のずれ量が許容限内となるように制御する。
例えば、トナー濃度のずれ量に応じて、対応する画像形成ステーションにおいて、光源から射出される光束のパワー、光源に供給される駆動パルスにおけるデューティ、帯電バイアス、現像バイアス(例えば、特開2009−216930号公報参照)の少なくともいずれかを調整する。
また、上記位置ずれ検出処理で得られた、時間Tym、時間Tmc、及び時間Tckがほぼ同じであれば、トナー画像相互の副方向に関する位置関係は適正であると判断する。一方、時間Tym、時間Tmc、及び時間Tckがほぼ同じでなければ、トナー画像相互の副方向に関する位置関係にずれがあると判断する。この場合には、時間Tym、時間Tmc、及び時間Tckにおける時間差から上記位置関係のずれ量を求め、該ずれ量が0となるように、例えば、対応する画像形成ステーションにおける画像の書き出しタイミングを変更する。
また、上記位置ずれ検出処理で得られた、位置ずれ量ΔSが予め設定されている許容範囲内であれば、トナー画像相互の主方向に関する位置関係は適正であると判断する。一方、位置ずれ量ΔSが予め設定されている許容範囲外であれば、位置ずれ量ΔSが0となるように、例えば、対応する画像形成ステーションにおける光走査開始のタイミングを調整する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るカラープリンタ2000では、反射型光学センサ2245によって、本発明の画像形成装置における反射型光学センサが構成されている。
また、プリンタ制御装置2090によって、本発明の画像形成装置における処理装置が構成されている。
また、光走査装置2010によって、本発明の画像形成装置におけるテストパターン作成装置が構成されている。
また、プリンタ制御装置2090において、本発明のトナー濃度検出方法が実施されている。
以上説明したように、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)と、各感光体ドラムに対して画像情報に応じて変調された光束を主走査方向に走査し、潜像を形成する光走査装置2010と、潜像にトナーを付着させトナー画像を生成する4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)と、トナー画像を転写ベルト2040に転写する転写ローラ2042と、転写ベルト2040に転写されたトナーパターンの濃度を検出するための反射型光学センサ2245と、全体を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
そして、反射型光学センサ2245は、主方向に沿って等間隔で配置された11個の発光部(E1〜E11)を含む照射系、11個の開口板(Ap1〜Ap11)、及び11個の受光部(D1〜D11)を含む受光系などを備えている。
また、トナーパターンは、色毎に、トナーの濃度が互いに異なる5つの矩形パターンを有している。
プリンタ制御装置2090は、第1の基準受光量Ds1、第2の基準受光量Ds2、及びそれぞれ0以上で1以下の係数αとβを用いて、矩形パターン毎に、該矩形パターンで反射された光を受光した受光部の受光量をα×Ds1+β×Ds2で表し、該矩形パターンで反射された光を受光した受光部の受光量の実測値と第2の基準受光量Ds2とから係数βを算出し、該算出された係数βと該矩形パターンで反射された光を受光した受光部の受光量の実測値と第1の基準受光量Ds1とから係数αを算出する。
そして、プリンタ制御装置2090は、矩形パターン毎に、照射対象物が転写ベルトのときのD_ALLに係数αを掛けた値(Dα)から正反射光の受光量を算出し、照射対象物が矩形パターンp5のときのD_ALLに係数βを掛けた値(Dβ)から拡散反射光の受光量を算出する。
そして、プリンタ制御装置2090は、Dα及びDβの少なくとも一方に基づいて、該矩形パターンにおけるトナー濃度を求める。
この場合は、トナーの濃度を精度良く検出することができる。そして、プリンタ制御装置2090は、トナー濃度の検出結果に基づいて、出力画像のトナー濃度が適切なトナー濃度となるように、画像プロセス制御を行う。
その結果、大型化及び作業性を低下させることなく、高い画像品質を維持することができる。
なお、反射型光学センサ2245が複数の発光部を有し、複数の検出用光が主方向に並んで照射されるため、矩形パターンが主方向に複数列配置されているときには、複数の矩形パターンを同時に照明することができる。
また、反射型光学センサ2245は、複数の受光部を有し、各受光部は、点灯される発光部に応じて、役割(正反射光を受光、拡散反射光を受光、両方を受光)が変化する。そこで、1つの反射型光学センサ2245で、複数列配置された矩形パターンのトナー濃度をほぼ同時に検知することができる。
また、反射型光学センサ2245では、発光部の大きさが微小であるため、検出用光スポットのスポット径を小さくすることができ、その結果、矩形パターンの大きさを小さくすることができる。このことは、画像形成に使用されない不寄与トナーの消費量を低減できる利点もある。
さらに、発光部と受光部とが近接しているため、照射対象物への検出用光の入射角及び反射角を小さくすることができる。その結果、転写ベルトがトナーの影になってしまうファドーファクターや、転写ベルトのばたつき(反射型光学センサと転写ベルトの距離の変動)による検出誤差を低減することができる。
また、上記実施形態において、反射型光学センサ2245は、一例として図52〜図54に示されるように、11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)を含む照明光学系、及び11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)を含む受光光学系の少なくとも一方を有していても良い。なお、発光部Eiに対応する照明用マイクロレンズを照明用マイクロレンズLEiと表示し、受光部Diに対応する受光用マイクロレンズを受光用マイクロレンズLDiと表示する。
11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)は、それぞれ11個の発光部(E1〜E11)に個別に対応し、対応する発光部から射出された光束を転写ベルト2040の表面あるいはトナーパターンに向けて集光的に導く。なお、照明光学系を有する場合は、前記開口板(Ap1〜Ap11)は不要である。この場合は、一例として図55に示されるように、検出用光スポットのスポット径を更に小さく(例えば、0.4mm)することができる。
11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)は、それぞれ11個の受光部(D1〜D11)に個別に対応し、転写ベルト2040あるいはトナーパターンによって反射された光を集光する。この場合には、各受光部の受光量を増加させることが可能となる。すなわち、検出感度を向上させることができる。
各マイクロレンズには、主方向及び副方向に関して集光機能を有する球面レンズや、副方向に関して正のパワーを持つシリンドリカルレンズ、主方向に関するパワーと副方向に関するパワーとが互いに異なるアナモフィックレンズなどを用いることができる。
例えば、各照明用マイクロレンズとして、レンズ径0.415mm、レンズの曲率半径0.430mm、レンズ厚1.229mmのマイクロレンズを用いることができる。また、各受光用マイクロレンズとして、レンズ径0.712mm、レンズの曲率半径0.380mm、レンズ厚1.419mmのマイクロレンズを用いることができる。
11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)と11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)は、一体化してマイクロレンズアレイとすることができる。これにより、各マイクロレンズを反射型光学センサに組み付ける際の作業性を向上させることができる。また、複数のマイクロレンズにおけるレンズ面間の位置精度を高めることができる。なお、各レンズ面は、フォトリソグラフィやモールド成形などの加工法を用いてガラス基板や樹脂基板上に形成することができる。
また、一例として図56に示されるように、発光部からの反射光を受光部に導くために、各照明用マイクロレンズの光軸を、対応する各発光部の中心を通り該発光部に垂直な軸に対して受光系側にΔd(ここでは、0.035mm)ずらしても良い。
また、より多くの反射光を受光するために、各受光用マイクロレンズの光軸を、対応する各受光部の中心を通り該受光部に垂直な軸に対して照射系側にΔd’(ここでは、0.020mm)ずらしても良い。
具体例として、副方向に関して、照明用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiのレンズ間距離は0.445mm、発光部Eiと受光部Diの間隔は、0.500mmである。また、副方向に関して、発光部Eiから照明用マイクロレンズLEiまでの距離は、0.800mmであり、各マイクロレンズの−Z側の面から転写ベルト2040表面までの距離は、5mmである。
また、上記実施形態では、転写ベルトの表面が滑らかで、いわゆる正反射体に近い場合について説明したが、これに限定されるものではない。転写ベルトの表面が正反射体としては扱えないものであっても、上記実施形態と同様な方法で、矩形パターン毎に、受光部の受光量を、正反射光の受光量と拡散反射光の受光量とに分離することができる。
また、上記実施形態では、各濃度検出用パターンにおいて、矩形パターンp1が最初に検出される場合について説明したが、これに限らず、例えば、矩形パターンp5が最初に検出されても良い。この場合は、照射対象物が転写ベルトの場合の受光量分布と照射対象物がベタパターンの場合の受光量分布を濃度検出処理の初期段階で得ることができるため、中間色の矩形パターン(p1〜p4)のトナー濃度をリアルタイムに算出することが可能となる。
また、上記実施形態では、11個の発光部の全てが主方向に沿って等間隔で配置されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、一部の発光部の間隔が上記Leと異なっていても良い。
なお、上記実施形態では、トナー濃度の階調を異ならせる方法として、アナログ的に異ならせる方法を採用する場合について説明したが、これに限らず、トナー濃度の階調を異ならせる方法として、デジタル的に異ならせる方法を採用しても良い。この場合には、各矩形パターンは、ディザパターンとなる。このときのトナー濃度の調整は、画像データを調整することによっても行なうことができる。
このディザパターンは、一例として図57に示されるように、任意の領域に同じ大きさのトナー(実際にはトナーの集合体)を一定の周期で配列していき、その密集状態でトナー濃度を表現している。
そして、図58(A)には、矩形パターンp1におけるトナーの密集状態が示され、図58(B)には、矩形パターンp3におけるトナーの密集状態が示され、図58(C)には、矩形パターンp5におけるトナーの密集状態が示されている。
矩形パターンp1〜p4を拡大すると、矩形パターンの表面は、下地部分とトナー部分とを有している。下地部分は転写ベルトの表面である。そして、トナー濃度が高くなるにつれて、下地部分が少なくなる。
また、矩形パターンp5では、下地が全く露出していないため、矩形パターンp5からの反射光は、全てトナー部分で反射された光である。
そこで、この場合は、照射対象物が矩形パターンp1〜p4のときを考える際、各受光部における受光量は、トナー部で反射された光の受光量と下地である転写ベルトで反射された光の受光量が混在したものと考え、転写ベルトの影響度を表す係数をαとし、トナーの影響度を表す係数をβとして、上記実施形態と同様にして、下地(転写ベルト)で反射された光の受光量とトナーで反射された光の受光量とに分離することができる。
矩形パターンp1〜p4については、照射対象物が転写ベルトのときの各受光部の受光量に係数αを乗じたものが、下地(転写ベルト)で反射された光の受光量であり、照射対象物が矩形パターンp5のときの各受光部の受光量に係数βを乗じたものが、トナーで反射された光の受光量である。
なお、転写ベルトの表面が滑らかであることから、転写ベルトで反射された光はほとんどが正反射光であり、転写ベルトからの拡散反射光の受光量を0として扱うことができる。また、トナーからの正反射光はトナーからの拡散反射光に比べて著しく少ないため、トナーの正反射光による受光量を0として扱うことができる。従って、算出された下地(転写ベルト)で反射された光の受光量が、正反射光による受光量であり、算出されたトナーで反射された光の受光量が、拡散反射光による受光量である。
この場合も、正反射光による受光量は、トナー濃度が高くなるにつれて減少する。これは、トナー濃度が高いほどトナー部が多くなり、下地(転写ベルト)で反射される光が減少するためであり、トナー濃度と1対1で対応している。
また、拡散反射光による受光量は、トナー濃度が高くなるにつれて増加する。これは、トナー濃度が高いほどトナーが多く付着しており、トナーで反射される光が増加するためであり、トナー濃度と1対1で対応している。
そこで、算出された下地(転写ベルト)で反射された光の受光量、及び算出されたトナーで反射された光の受光量の少なくとも一方から、矩形パターンのトナー濃度を求めることができる。
また、上記実施形態において、反射型光学センサに処理装置を設け、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、該処理装置が行っても良い。
また、上記実施形態において、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、走査制御装置が行っても良い。
また、上記実施形態では、反射型光学センサ2245が、転写ベルト2040上のトナーパターンを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム表面のトナーパターンを検出しても良い。
また、上記実施形態において、トナーパターンを記録紙に転写し、該記録紙上のトナーパターンを、反射型光学センサ2245が検出しても良い。
また、上記実施形態では、4色のトナーが用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、画像形成装置として、複数の感光体ドラムを備えたカラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限らず、例えば、図59に示されるように、1つの感光体ドラムを備え、単色の画像を形成するレーザプリンタ1000にも適用することができる。
このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、反射型光学センサ1045、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。
反射型光学センサ1045は、前記反射型光学センサ2245と同様な反射型光学センサであり、感光体ドラム1030表面のトナーパターンを検出する。
また、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。