JP2011191454A - 画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学系の大型化を招いたり、光学系に設計上の余分な負担を与えたりすることなく、遮光マスクによって発生する枠画像の形状に生じる歪みを低減する。
【解決手段】光源部と、画像信号に応じた強度の光束であるレーザ光を光源部から出射させる制御部と、光源部から出射されたレーザ光を2次元走査する走査部と、走査部で走査されたレーザ光を投射対象に投射する投射部と、走査部と投射部との間に形成される像面位置に設けられ、走査部によって走査されたレーザ光によって形成される像の周囲を囲む遮光マスク50と、を備え、遮光マスク50による像の周囲を囲む囲繞形状は、遮光マスク50から投射対象までの光学系によって発生する光学的な歪方向と逆向きに歪ませた形状とした。
【選択図】図6
【解決手段】光源部と、画像信号に応じた強度の光束であるレーザ光を光源部から出射させる制御部と、光源部から出射されたレーザ光を2次元走査する走査部と、走査部で走査されたレーザ光を投射対象に投射する投射部と、走査部と投射部との間に形成される像面位置に設けられ、走査部によって走査されたレーザ光によって形成される像の周囲を囲む遮光マスク50と、を備え、遮光マスク50による像の周囲を囲む囲繞形状は、遮光マスク50から投射対象までの光学系によって発生する光学的な歪方向と逆向きに歪ませた形状とした。
【選択図】図6
Description
本発明は、光源部から出射した光束を走査して投射対象に投射する走査型の画像表示装置に関する。
従来、画像信号に応じた強度の光束を出射する光源部と、この光源部から出射された光束を2次元走査する走査部とを有し、この走査部により走査された光束を投射部から投射対象に投射して画像を表示する光走査型の画像表示装置が知られている。例えば、投射対象を観察者の眼の網膜とした画像表示装置や投影対象をスクリーンとしたスクリーン走査型の画像表示装置が知られている。
この種の画像表示装置では、走査部の走査位置に応じた光束を光源部から出射させて、画像を表示しており、走査部の走査状態を精度良く把握しておく必要がある。そのため、検査用光束を光源部から出射させて走査部で走査させ、この検査用光束が入射する位置に配置された光検出手段による前記検査用光束の検出タイミングに基づき、走査部の走査状態を検出している(特許文献1参照)。
上記従来の画像表示装置では、走査部の走査状態を、画像を表示中にも確実に検出する必要がある。そのため、走査部による走査位置が、画像信号に応じた強度の光束を走査する有効走査範囲ではないときに、検査用光束を光源部から出射させている。
そのため、有効走査範囲外で走査された走査用光束が投射部から出射されないように、走査部と投射部との間に形成される中間像面位置に遮光マスクが設けられている。図18に示すように、遮光マスク150は、有効走査範囲で走査された光束を通過させる開口部151と、有効走査範囲外で走査された検査用光束を遮光する遮光部152とにより構成され、有効走査範囲で走査された光束によって形成される表示画像153の周囲を囲む形状を有する。
ところが、遮光マスク150によって、最終像面位置にある投射対象において、有効走査範囲で走査された光束により形成される表示画像の他、枠画像が表示されてしまう(図4、表示画像75、枠画像76参照)。そして、表示画像75と枠画像76との間の隙間領域77の明度と、枠画像76の明度とが異なることから、これらの間の境界76aが視認されてしまう。この枠画像76が発生する原因は、必ずしも明らかではないが、中間像面位置の遮光マスク150が中間像面位置と最終像面位置との間にある光学系を通して見えてしまうことが主な原因であると考えられる。
光学系を構成するレンズには収差等があるため、光学系を介して表示される画像は歪む場合がある。このレンズの収差等による画像の歪みは、画像の中心部分よりも外側の部分で生じやすい。このため、枠画像76は、表示画像75の形状に対して歪むことがある(図5参照)。このような場合には、観察者は、表示画像75を視認するときにこの枠画像76(特に、境界76a)により不快感等を抱く可能性がある。この枠画像76の歪みは、遮光マスク150の後段の光学系によって生じる歪みである。そのため、表示画像75の歪みを低減するように、遮光マスク150の後段の光学系を構成するレンズの収差等を抑えた設計等を行うことで、枠画像76の歪みを抑制することが可能である。
しかし、光学系によって遮光マスクによる枠画像の歪みを抑制することは、歪みを抑制する対象範囲が広くなるため、光学系の大型化を招いたり、高価な光学系の使用によりコスト的な問題を生じさせたりして、画像表示装置の小型化やコスト低減を阻害する原因となってしまう。また、歪みを抑制する対象範囲が広くなると、光学的な特性にかかる設計上の負担が大きくなる。光学的な特性にかかる設計上の負担が大きくなると、例えば解像度等の他の光学的な特性を確保することが難しくなり、所望の光学的な特性を得ることが困難となる。このように、表示画像より外側の枠画像の歪みまで抑えた光学系の設計は容易ではない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、光学系の大型化を招いたり、光学系に設計上の余分な負担を与えたりすることなく、遮光マスクによって発生する枠画像の形状に生じる歪みを低減することができる画像表示装置を提供する。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の画像表示装置は、光源部と、画像信号に応じた強度の光束を前記光源部から出射させる制御部と、前記光源部から出射された光束を2次元走査する走査部と、前記走査部で走査された光束を投射対象に投射する投射部と、前記走査部と前記投射部との間に形成される像面位置に設けられ、前記走査部によって走査された光束によって形成される像の周囲を囲む遮光マスクと、を備え、前記遮光マスクによる前記像の周囲を囲む囲繞形状は、当該遮光マスクから前記投射対象までの光学系によって発生する光学的な歪方向と逆向きに歪ませた形状としたものである。
また、請求項2に記載の画像表示装置は、請求項1に記載の画像表示装置において、前記制御部は、前記像面位置で形成される像が、前記遮光マスクから前記投射対象までの光学系によって発生する光学的な歪方向と逆向きに歪ませた形状となるような前記画像信号を生成するものである。
また、請求項3に記載の画像表示装置は、請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置において、前記制御部は、前記像面位置で形成される像が、前記光学的な歪を完全に相殺できない場合の前記遮光マスクの囲繞形状に沿う形状となるような前記画像信号を生成するものである。
また、請求項4に記載の画像表示装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示装置において、前記制御部は、前記光源部からの光束の出射を制御して、前記像面位置で形成される像の位置を変更するものである。
また、請求項5に記載の画像表示装置は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置において、前記投射対象を、観察者の少なくとも一方の眼の網膜とし、前記走査部によって走査された光束を、前記投射部により前記網膜に入射して、画像を表示するものである。
本発明によれば、光学系の大型化を招いたり、光学系に設計上の余分な負担を与えたりすることなく、遮光マスクによって発生する枠画像の形状に生じる歪みを低減することができる。
本発明は、走査型の画像表示装置において中間像面が形成される位置に配置される遮光マスクを、遮光マスクにより生じる額縁状の枠画像について生じる光学的な歪みを打ち消すような形状とすることにより、枠画像の歪曲にともなう画像の視覚的な歪みを軽減しようとするものである。以下、本発明の実施の形態について説明する。
[RSDの構成]
まず、本実施形態に係る画像表示装置としてのRSD1の構成について、図1を用いて説明する。本実施形態に係るRSD1は、投影対象を、観察者の少なくとも一方の眼10の網膜10bとし、光束としてのレーザ光を走査する走査部によって走査したレーザ光を、レーザ光を投射する投射部により網膜10bに入射して、画像を表示する。つまり、RSD1は、微弱な光を高速で走査しながら観察者の網膜10bに照射することで、網膜10b上に走査された光の残像を映像として観察者に認識させる網膜走査型の画像表示装置である。
まず、本実施形態に係る画像表示装置としてのRSD1の構成について、図1を用いて説明する。本実施形態に係るRSD1は、投影対象を、観察者の少なくとも一方の眼10の網膜10bとし、光束としてのレーザ光を走査する走査部によって走査したレーザ光を、レーザ光を投射する投射部により網膜10bに入射して、画像を表示する。つまり、RSD1は、微弱な光を高速で走査しながら観察者の網膜10bに照射することで、網膜10b上に走査された光の残像を映像として観察者に認識させる網膜走査型の画像表示装置である。
図1に示すように、RSD1は、コントロールユニット2と、投影ユニット3とを備える。コントロールユニット2は、画像信号に応じた強度のレーザ光を画像光として出射する。コントロールユニット2から出射された画像光は、光ファイバケーブル4により、投影ユニット3に伝送される。
コントロールユニット2は、記憶部を内蔵し、この記憶部に記憶されたコンテンツ情報等に基づいて画像信号を形成する。コントロールユニット2は、形成した画像信号に応じた強度のレーザ光を画像光として光ファイバケーブル4へ出射する。
投影ユニット3は、光ファイバケーブル4により伝送されてきた画像光を、観察者が表示画像として認識可能とするために走査する。投影ユニット3は、コントロールユニット2においてR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の色毎に強度変調された画像光を、2次元方向に走査し、観察者の眼10に入射させる。
RSD1の電気的構成及び光学的構成について具体的に説明する。コントロールユニット2は、制御部5と、光源ユニット6とを有する。光源ユニット6は、光源部7と、駆動信号供給回路8とを含む。
制御部5は、RSD1の各部を統括的に制御する。制御部5は、予め記憶されている制御プログラムにしたがって所定の処理を実行することにより、RSD1を制御する。制御部5は、データ通信用のバスにより接続されるCPU、フラッシュメモリ、RAM、VRAM、複数の入出力インターフェース等の各種機能部分を有し、バスを介して各種情報の送受信を行う。
制御部5は、入出力端子等を介して外部接続された図示しない機器類から供給される画像データや、予め記憶されたコンテンツ情報に基づく画像データ等の各種画像データの入力を受ける。制御部5は、入力された画像データに基づいて、画像信号Sを生成する。制御部5により生成された画像信号Sは、駆動信号供給回路8に送られる。つまり、制御部5は、画像信号Sに応じた強度のレーザ光を光源部7から出射させる。
駆動信号供給回路8は、画像信号Sに応じた駆動信号を生成する駆動信号生成部として機能する。駆動信号供給回路8は、画像信号Sに基づいて、表示画像を形成するための要素となる各信号を画素単位で生成する。
光源部7は、駆動信号供給回路8により生成された駆動信号に応じた強度の光束としてのレーザ光を出力する。光源部7は、赤色レーザ光を生成して出射する赤色レーザ部11と、緑色レーザ光を生成して出射する緑色レーザ部12と、青色レーザ光を生成して出射する青色レーザ部13とを有する。
各色のレーザ部11,12,13は、各色のレーザ光を発生させるレーザと、このレーザを駆動させるためのレーザドライバとを含む。各色のレーザ部11,12,13を構成するレーザは、例えば、半導体レーザや高調波発生機構付き固体レーザである。各色のレーザ部11,12,13のレーザドライバは、駆動信号供給回路8から入力される駆動信号に基づき、それぞれ対応するレーザに駆動電流を供給する。そして、各色のレーザ部11,12,13のレーザは、レーザドライバからレーザに供給する駆動電流に応じて強度変調されたレーザ光を出射する。
したがって、赤色レーザ部11は、駆動信号供給回路8からの駆動信号14Rに基づき、レーザドライバによってレーザを駆動させ、赤色のレーザ光を出射する。また、緑色レーザ部12は、駆動信号供給回路8からの駆動信号14Gに基づき、レーザドライバによってレーザを駆動させ、緑色のレーザ光を出射する。また、青色レーザ部13は、駆動信号供給回路8からの駆動信号14Bに基づき、レーザドライバによってレーザを駆動させ、青色のレーザ光を出射する。なお、各色のレーザ部11,12,13を構成するレーザが半導体レーザである場合は、駆動電流を直接変調してレーザ光の強度変調を行うことができるが、レーザが固体レーザである場合は、各レーザそれぞれに外部変調器を備えてレーザ光の強度変調を行う必要がある。
光源部7は、各色のレーザ部11,12,13により出射したレーザ光を、合波してから、光ファイバケーブル4に出射する。このため、光源部7は、コリメート光学系16,17,18と、ダイクロイックミラー19,20,21と、結合光学系22とを有する。
各色のレーザ部11,12,13から出射した各色のレーザ光は、それぞれコリメート光学系16,17,18によって平行光化された後、それぞれ対応するダイクロイックミラー19,20,21に入射する。各ダイクロイックミラー19,20,21に入射する赤色,緑色,青色の3色のレーザ光は、3個のダイクロイックミラー19,20,21により、波長に関して選択的に反射・透過させられて結合光学系22に達し、合波されて集光される。結合光学系22により集光されたレーザ光は、光ファイバケーブル4に入射する。
このように、光源部7から光ファイバケーブル4に入射するレーザ光は、強度変調された各色のレーザ光が合波されたものである。なお、各色のレーザ部11,12,13からのレーザ光を光源部7からの出射光として出射させるための光学系の構成は、各色のレーザ部11,12,13から出射される各色のレーザ光が波長に関して選択的に反射・透過させられる構成であれば限定されるものではない。以上のように、光源部7は、制御部5から入力される画像信号Sに応じた強度のレーザ光を出射する。
投影ユニット3は、RSD1において光源部7と観察者の眼10との間に位置する。投影ユニット3は、コリメート光学系31と、水平走査部32と、第1リレー光学系33と、垂直走査部34と、第2リレー光学系35とを有する。
コリメート光学系31は、光源部7で生成され光ファイバケーブル4から出射されるレーザ光を平行光化する。水平走査部32は、コリメート光学系31で平行光化されたレーザ光を画像表示のために水平方向に往復走査する。第1リレー光学系33は、水平走査部32と垂直走査部34との間に設けられ、水平走査部32と垂直走査部34との間でレーザ光を中継する。
垂直走査部34は、水平走査部32で水平方向に走査されたレーザ光を垂直方向に走査する。第2リレー光学系35は、水平走査部32及び垂直走査部34によって水平方向と垂直方向に走査されたレーザ光を、投影ユニット3から外部へと出射させるためのものである。
水平走査部32及び垂直走査部34、ならびに第1リレー光学系33は、光ファイバケーブル4から出射したレーザ光を、画像として観察者の網膜10bに投影可能な状態とするために、水平方向と垂直方向に走査して走査光束とするための光走査装置及び光学系である。つまり、本実施形態では、水平走査部32及び垂直走査部34を含む構成が、光源部7から出射されたレーザ光を2次元走査する走査部として機能する。以下の説明では、水平走査部32及び垂直走査部34を含む構成を総称して「走査部」という。
水平走査部32は、共振型の偏向素子32aと、水平走査駆動回路32bとを備える。偏向素子32aは、レーザ光を水平方向に走査するため偏向面を有する。水平走査駆動回路32bは、偏向素子32aを共振させて偏向素子32aの偏向面(反射面)を揺動させる駆動信号を生成する。水平走査駆動回路32bは、偏向素子32aに対する駆動信号を、駆動信号供給回路8から入力される水平駆動信号36に基づいて生成する。
一方、垂直走査部34は、非共振型の偏向素子34aと、垂直走査駆動回路34bとを備える。偏向素子34aは、レーザ光を垂直方向に走査するため偏向面(反射面)を有する。垂直走査駆動回路34bは、偏向素子34aの偏向面を非共振状態で揺動させる駆動信号を生成する。垂直走査駆動回路34bは、偏向素子34aに対する駆動信号を、駆動信号供給回路8から入力される垂直駆動信号37に基づいて生成する。
垂直走査部34は、表示すべき画像の1フレーム毎に、画像を形成するためのレーザ光を最初の水平走査線から最後の水平走査線に向かって垂直に走査する。これにより、2次元走査された画像が形成される。ここで「水平走査線」とは、水平走査部32による水平方向への1走査を意味する。
第1リレー光学系33は、水平走査部32が有する偏向素子32aの偏向面によって水平方向に走査されたレーザ光を、垂直走査部34が有する偏向素子34aの偏向面に収束させる。そして、偏向素子34aの偏向面に収束したレーザ光が、偏向素子34aの偏向面によって垂直方向に走査され、画像光Lxを形成する。
第2リレー光学系35は、正の屈折力を持つ2つのレンズとして、直列配置される補正レンズ38と接眼レンズ40とを有する。画像光Lxとしてのレーザ光は、第2リレー光学系35を介した後、RSD1が備えるハーフミラー15により反射させられて、観察者の瞳孔10aに入射する。画像光Lxが瞳孔10aに入射することにより、網膜10b上に、画像信号Sに応じた表示画像が投影される。このようにして、観察者は、画像光Lxを表示画像として認識する。
本実施形態では、第2リレー光学系35を構成する接眼レンズ40、及びハーフミラー15を含む構成が、走査部で走査されたレーザ光を投射対象に投射する投射部として機能する。本実施形態では、投射部によりレーザ光が投射される投射対象は、観察者の眼10の網膜10bである。
また、ハーフミラー15は、外光Lyを透過させて観察者の眼10に入射させる。これにより、観察者は、外光Lyにより認識される背景に、画像光Lxによる画像を重ねて視認することができる。このように、本実施形態のRSD1は、投影ユニット3から出射される画像光Lxを観察者の眼10に走査しつつ投射するとともに、外光Lyを透過させるシースルー型である。ただし、RSD1はシースルー型である必要はない。
第2リレー光学系35の光の入射側に位置する補正レンズ38は、画像光により表示される画像の曲面補正を行うためのレンズである。接眼レンズ40は、走査部で走査されたレーザ光である画像光Lxを観察者の眼10に入射させる。このように、接眼レンズ40は、観察者の網膜10b上に画像信号Sに応じた画像を投影する接眼光学系として機能する。
第2リレー光学系35においては、補正レンズ38と接眼レンズ40との間に、中間像面が形成される。中間像面は、観察者の網膜10b上に形成される最終像面と光学的に共役な関係を有する。つまり、RSD1の光学系において中間像面を形成するレーザ光は、接眼レンズ40を介して観察者の眼10に入射し、網膜10b上にて最終像面を形成する。
そして、RSD1は、補正レンズ38と接眼レンズ40との間の中間像面が形成される位置に、遮光マスク50を備える。遮光マスク50は、RSD1において、走査部と接眼レンズ40との間に形成される像面位置に配置される。つまり、ここでいう像面位置とは、第2リレー光学系35において中間像面が形成される位置である。
[RSDの制御構成]
図2を用いて、RSD1の制御構成について説明する。図2に示すように、制御部5は、主コントローラ61と、RSD表示用コントローラ62と、RSD用VRAM(Video Random Access Memory)63と、周辺機器I/F(インターフェース、以下同じ。)64とを具備する。
図2を用いて、RSD1の制御構成について説明する。図2に示すように、制御部5は、主コントローラ61と、RSD表示用コントローラ62と、RSD用VRAM(Video Random Access Memory)63と、周辺機器I/F(インターフェース、以下同じ。)64とを具備する。
主コントローラ61は、CPU(Central Processing Unit)66と、不揮発性メモリであるプログラムROM(Read Only Memory)67と、フラッシュROM(フラッシュメモリ)68と、RAM(Random Access Memory)69とを有する。CPU66、プログラムROM67、フラッシュROM68、及びRAM69は、それぞれデータ通信用のバスに接続され、このバスを介して各種情報の送受信を行う。
CPU66は、RSD1が備える各種機能を実行させる演算処理装置である。CPU66は、プログラムROM67に記憶されている制御プログラムを実行することにより、RSD1を構成する各部を動作させる。フラッシュROM68は、入出力端子等を介して制御部5に外部接続された機器類から供給される画像データや、予め記憶されたコンテンツ情報に基づく画像データ等の各種画像データを記憶する。
RSD表示用コントローラ62は、主コントローラ61からの要求に応じて表示部9を制御する。ここで、表示部9は、本実施形態のRSD1が備える投影ユニット3及び光源ユニット6を含む構成である。RSD表示用コントローラ62は、主コントローラ61によりRSD用VRAM63に記憶された画像データに基づく画像信号Sを表示部9に供給する。
表示部9は、RSD表示用コントローラ62からの画像信号Sの入力を受けると、入力された画像信号Sに基づいて強度変調した各色のレーザ光を生成する。表示部9は、生成したレーザ光を、走査部によって走査して、観察者の眼10に出射することで、観察者の網膜10bに画像信号Sに応じた画像を投影する。このように、主コントローラ61は、画像を表示させる制御を行う。
周辺機器I/F64は、電源スイッチ70、電源ランプ71、及び操作パネル72を含む周辺機器を、コントロールユニット2に接続するためのインターフェースである。主コントローラ61は、例えば、電源スイッチ70からの操作情報を周辺機器I/F64から受け取り、受け取った操作情報に応じた処理を行う。また、主コントローラ61は、例えば、処理状況に応じて周辺機器I/F64を介して電源ランプ71の点灯情報を電源ランプ71に供給する。
以上のような構成を備えるRSD1は、例えば、投影ユニット3を含む構成を支持する眼鏡型のフレームを備えることで、観察者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイを構成する。
遮光マスク50について説明する。図3に示すように、遮光マスク50は、走査部によって走査されたレーザ光によって形成される像(以下「表示画像」という。)53の周囲を囲んで遮光する。遮光マスク50は、矩形の枠状に形成される板状の遮光部材であり、矩形の囲繞形状を有する。表示画像53は、上述のとおり第2リレー光学系35において形成される中間像面である。
このように、遮光マスク50は、有効走査範囲で走査されたレーザ光を通過させる開口部51と、有効走査範囲外で走査された検査用レーザ光を遮光する遮光部52とを有し、有効走査範囲で走査されたレーザ光によって形成される表示画像53の周囲を囲む形状を有する。なお、RSD1において、遮光マスク50が設けられる位置には、入射するレーザ光を分岐させて接眼レンズ40により形成される光学瞳の実効径を拡大する回折格子等の瞳拡大素子が開口部51に対応して設けられてもよい。
ここで、RSD1における有効走査範囲について説明する。有効走査範囲とは、水平走査部32及び垂直走査部34のそれぞれの偏向素子32a,34aがレーザ光を走査できる最大の範囲(以下「最大走査範囲」という。)のうち、実際に光源部7から画像信号Sに応じて強度変調されたレーザ光(以下「画像形成用レーザ光」という。)が出射される範囲である。つまり、画像形成用レーザ光は、走査部の偏向素子32a,34aによる走査位置が所定の範囲として定められる有効走査範囲にあるタイミングで出射される。有効走査範囲は、表示画像53が形成される範囲に対応し、最大走査範囲は、遮光マスク50の外形の範囲と略一致する。
これにより、走査部の偏向素子32a,34aによって画像形成用レーザ光が有効走査範囲で走査され、1フレーム分の画像形成用レーザ光が有効走査範囲内で走査される。この走査が1フレームの画像ごとに繰り返される。このように走査部により2次元方向に走査された画像形成用レーザ光は、第2リレー光学系35及びハーフミラー15を介してユーザの網膜10b上で走査され、画像が投影される。これにより、観察者によって画像信号Sに応じた画像が視認される。
また、図1及び図3に示すように、RSD1は、第2リレー光学系35において、光検出部39を有する。光検出部39は、走査部による画像形成用レーザ光の走査タイミングを検出するためのものである。RSD1においては、光検出部39により、駆動信号供給回路8からの駆動信号に基づいて光源部7から出射されるタイミング検出用のレーザ光が検出されることで、光源部7からの画像形成用レーザ光の出射タイミングが調整される。
光検出部39は、最大走査範囲のうち有効走査範囲の外の範囲である無効走査範囲で走査されたタイミング検出用のレーザ光が入射する位置に配置される。本実施形態では、光検出部39は、遮光マスク50に対してレーザ光が入射する側であって、遮光マスク50の遮光部52の部分に設けられる。つまり、RSD1においては、遮光マスク50が、光検出部39を保持するための部材として用いられている。遮光マスク50は、光検出部39との関係において、無効走査範囲における光検出部39の背後に設けられ、有効走査範囲の外の範囲で走査されたタイミング検出用のレーザ光が観察者の眼10に入射するのを防止する。
図3に示すように、光検出部39は、タイミング検出用のレーザ光を検出するためのBDセンサ39aを有する。BDセンサ39aは、受光した光の強度に応じた電流をBD信号として出力する。光検出部39は、タイミング検出用のレーザ光の入射を受けると、BDセンサ39aにより、BD信号を駆動信号供給回路8へ出力する。駆動信号供給回路8は、光検出部39からのBD信号に基づき、光源部7から出射する各色のレーザ光の出射開始タイミングを調整する。このように、RSD1においては、光検出部39により、タイミング検出用のレーザ光に基づいて、画像形成用レーザ光の出射タイミングが調整される。
以上のように、本実施形態のRSD1においては、遮光マスク50は、走査部と投射部との間に形成される像面位置に設けられる。ここで、走査部と投射部との間に形成される像面位置とは、中間像面の位置に相当する。遮光マスク50によれば、表示画面における表示画像以外の邪魔な光が遮光される。
図4に示すように、遮光マスク50によれば、RSD1の最終像面位置にある投射対象において、有効走査範囲で走査されたレーザ光により形成される表示画像75の他、遮光マスク50による遮光部分として、額縁状の枠画像76が表示される。そして、表示画像75と枠画像76との間の隙間領域77の明度と、枠画像76の明度とが異なることから、これらの間の境界76aが視認されてしまう。
枠画像76が発生する原因は、必ずしも明らかではないが、中間像面位置の遮光マスク50と表示画像53とが中間像面位置と最終像面位置との間にある光学系を構成する接眼レンズ40及びハーフミラー15を含む投射部を通して見えてしまうことが主な原因であると考えられる。なお、表示画像75は、中間像面を形成するレーザ光が観察者の眼10に入射することで網膜10b上に形成される最終像面に相当する。
以上のように、遮光マスク50を備えるRSD1においては、画像光が網膜10b上で結像することで形成される画像に関し、光学系で発生した歪曲収差によって表示画像75や枠画像76が歪曲する場合がある。この歪曲は、好ましくないので、表示画像75が、遮光マスク50の後段の光学系によって歪まないよう光学系の歪みを補正するのが一般的であるが、表示画像75より外側の枠画像76までは歪みを補正しきれず歪曲が残る場合が多くなる。このように補正しきれずに残った枠画像76の歪曲は、視覚的に見苦しく見える懸念があり、また、本来歪んでいないはずの表示画像75が歪曲して見えてしまう懸念もある。
図5に、光学系の歪曲収差による枠画像76の歪曲の一例を示す。図5は、枠画像76について縦方向及び横方向のそれぞれに糸巻型の歪みが生じた場合を示している。枠画像76が歪曲すると、表示画像75と枠画像76との間に生じる隙間領域77も歪曲し、視覚的に見苦しく見えるだけでなく、表示画像75も歪曲したような錯覚を観察者に与える懸念もある。
遮光マスク50により形成される枠画像76の歪曲補正については、接眼レンズ40の径を大きくする必要が生じたり、光学的な特性にかかる設計上の負担が大きくなったりすることから、遮光マスク50の後段の接眼レンズ40を含む光学系による光学的な補正だけで対応することは困難である。そこで、本実施形態のRSD1は、次のような構成を備える。
本実施形態のRSD1においては、RSD1において中間像面が形成される位置に配置される遮光マスク50が、枠画像76について生じる光学的な歪みを打ち消すような形状とされる。ここで、枠画像76について生じる光学的な歪みは、遮光マスク50の位置、つまり中間像面が形成される位置から、レーザ光の投射対象である観察者の眼10の網膜10bまでの光学系の歪曲収差によって生じる歪みである。
すなわち、RSD1においては、枠画像76について生じる光学的な歪みを見越して、枠画像76について光学的な歪みが生じた結果、枠画像76が歪んでいない形状、つまり表示画像75に沿う矩形状となるように、遮光マスク50の形状が予め調整される。言い換えると、RSD1においては、遮光マスク50として、枠画像76について生じる光学的な歪みを打ち消すことができる形状を有するものが用いられる。
遮光マスク50の形状の設定について、図5に示すように、枠画像76について糸巻型の歪みが生じた場合を例に説明する。図5に示す枠画像76は、縦方向及び横方向それぞれについて外形が内側に凸となるように弓形に沿った形状となるように歪曲している。つまりこの場合、仮に歪んでいない矩形状に沿う遮光マスク50が用いられると、光学的な収差により、遮光マスク50により形成される枠画像76が、図5に示すような糸巻型の歪曲形状となる。
そこで、本例の場合、遮光マスク50として、図6に示すような形状を有するものが用いられる。図6に示す遮光マスク50は、遮光マスク50により形成される枠画像76について図5に示すような糸巻型の歪曲をキャンセルするような形状を有する。つまり、図6に示す遮光マスク50は、表示画像53の周囲を囲む囲繞形状が、遮光マスク50から投射対象である観察者の眼10の網膜10bまでの光学系によって発生する光学的な歪方向と逆向きに歪ませた形状を有する。
図6に示す遮光マスク50は、縦方向及び横方向それぞれについて枠状を形成する部分が外側に凸となるように弓形に沿った形状を有する。図6に示すように予め歪曲した形状を有する遮光マスク50が用いられることで、遮光マスク50により形成される枠画像76に光学的な歪曲収差が作用する結果、枠画像76の歪みが打ち消され、図4に示すような矩形状の枠画像76が得られる。
なお、図6に示す遮光マスク50は、外形形状及び開口部51の形状、つまり遮光部52の内側及び外側のいずれについても歪んだ形状を有するが、開口部51の形状だけを歪ませてもよい。遮光マスク50を予め歪ませる場合、遮光マスク50によるレーザ光の遮光機能が確保される必要がある。
このように、遮光マスク50の形状を枠画像76に生じる歪曲を打ち消すことができる形状とすることは、遮光マスク50から投射対象までの光学系の歪曲収差によって発生する枠画像76の歪み量(以下「枠歪み量」という。)に基づいて行われる。つまり、遮光マスク50として予め歪んだ形状のものを用いるに際しては、枠歪み量が算出され、算出された歪み量に基づいて、遮光マスク50を歪ませる量(以下「マスク歪み量」という。)が決定される。
枠歪み量の計算方法の一例について説明する。本例に係る枠歪み量の計算方法では、図7に示すように、枠画像76を形成する内側の枠線である、枠画像76と隙間領域77との境界76aに関し、図中X方向に対応する水平方向及び図中Y方向に対応する垂直方向それぞれの方向について、中心位置の頂点位置に対するずれ量が、枠画像76の歪曲度合いとして算出される。ここで、枠画像76と隙間領域77との境界76aは、遮光マスク50の開口部51を形成する辺の形状に対応する。
図7に示すように、X方向については、枠画像76のY方向の中心位置(点P1参照)と、枠画像76の頂点の位置(点P0参照)とのX方向の位置の差ΔXが、X方向のずれ量として算出される。また、Y方向については、枠画像76のX方向の中心位置(点P2参照)と、枠画像76の頂点の位置(点P0参照)とのY方向の位置の差ΔYが、Y方向のずれ量として算出される。なお、Y方向の中心位置(点P1)、及びX方向の中心位置(点P2)の位置は、それぞれ枠画像76の中心位置(点C参照)のY方向の位置、及びX方向の位置に対応する。
枠歪み量の計算について、図8及び図9を用いてより詳細に説明する。図8は、枠画像76と隙間領域77との境界76aの形状についての2次元データの一例である。図8は、RSD1における最終像面の位置での4分の1画面に相当する部分のうち、向かって右上の部分を示す(図7、破線部分Q参照)。したがって、図8に示すグラフにおける原点の位置は、枠画像76の中心位置(図7、点Cの参照)に対応する。
図8において、折れ線81は、枠画像76と隙間領域77との境界76aに対応する。また、折れ線81において、頂点R0は、境界76aの頂点P0(図7)に、点R1は、境界76aのY方向の中心位置P1(図7、以下「水平方向位置」とする。)に、点R2は、境界76aのX方向の中心位置P2(図7、以下「垂直方向位置」とする。)に、それぞれ対応する。
そして、図8に示すように、折れ線81において、頂点R0の座標を(x0,y0)とし、水平方向位置R1の座標を(x1,y1)とし、垂直方向位置R2の座標を(x2,y2)とする。ここで、水平方向位置R1の座標(x1,y1)に関しては、y1=0であり、垂直方向位置R2の座標(x2,y2)に関しては、x2=0である。なお、図8に示す折れ線82は、枠画像76に囲まれる表示画像75の外形に対応する。
図8に示すように、水平方向位置R1のX座標x1の値は、頂点R0のX座標x0の値よりも小さい。また、垂直方向位置R2のY座標y2の値は、頂点R0のY座標y0の値よりも小さい。したがって、図8に示すデータにおける枠画像76の歪曲は、全体として図5に示すような糸巻型の歪曲である。
枠歪み量の計算方法について、図8に示すデータに基づき、図9に示すフロー図を用いて説明する。本例に係る枠歪み量の計算方法においては、まず、最終像面での水平方向位置P1の座標(x1,y1)が算出される(S10)。ここでは、上述のとおりy1=0であるため、実質的にはx1についての算出が行われる。
次に、最終像面での垂直方向位置P2の座標(x2,y2)が算出される(S20)。ここでは、上述のとおりx2=0であるため、実質的にはy2についての算出が行われる。
続いて、最終像面での頂点位置P0の座標(x0,y0)が算出される(S30)。
なお、水平方向位置R1の座標(x1,y1)、垂直方向位置R2の座標(x2,y2)、頂点R0の座標(x0,y0)の算出に際しては、接眼レンズ40の設計レンズデータが用いられる(S15)。具体的には、システムデータ上で設定される接眼レンズ40の画角が入射画角として用いられ、枠画像76と隙間領域77との境界76aの点P0,P1,P2の各点に対応する対角方向、水平方向、垂直方向の各方向についての像高に基づき、水平方向及び垂直方向それぞれについての座標が算出される。
そして、水平方向及び垂直方向の各方向の枠歪み量の計算が行われる(S40)。水平方向の歪み量Δxについては、Δx=x0−x1により計算される。また、垂直方向の歪み量Δyについては、Δy=y0−y2により計算される。
このようにして算出されたΔx及びΔyの値が、枠歪み量とされる(S50)。つまり、ここで算出された枠歪み量が、マスク歪み量として、遮光マスク50の設計に用いられる。
以上のような枠歪み量の計算は、例えば、制御部5に予め記憶されている光学設計プログラムに基づいて行われる。なお、枠歪み量の計算方法は、本例に限定されるものではない。例えば、上述したような計算方法で用いた枠画像76の頂点P0以外の他の3つの頂点を基準とするずれ量を算出し、複数の計算値の平均値を、枠歪み量としてもよい。
以上のようにして算出された枠歪み量に基づいて、遮光マスク50の形状が決定される。つまり、算出された枠歪み量とは逆方向の歪みが、遮光マスク50の囲繞形状に予め反映される。
図10及び図11に、枠画像76の歪み形状と、その枠画像76の歪み形状から上述したような枠歪み量の計算方法から導かれる遮光マスク50の歪み形状を例示する。図10及び図11の各図において、(a)は、図5と同様に、図4のような歪みのない枠画像76が光学系の歪曲収差を受けた枠画像76の歪曲の一例を示し、(b)は、図6と同様に、枠画像76の歪曲に対応する遮光マスク50の形状を示す。すなわち、図10及び図11の各図において、(a)に示すような歪み形状が光学系によって枠画像76に生じる場合、(b)に示すように、枠画像76について発生する歪み方向と逆向きに歪ませた遮光マスク50が用いられることで、図4に示すように、枠画像76の歪曲収差が補正される。
続いて、遮光マスク50の形状を予め歪曲させておき枠画像76を補正するだけでなく、表示画像75も予め歪曲させておく制御を行う場合の実施例について説明する。本実施形態のRSD1においては、枠画像76については、遮光マスク50の形状によって機械的に補正されるのに対し、枠画像76に囲まれる表示画像75については、電子的な制御のもとで補正される。すなわち、上述した説明では、表示画像75は遮光マスク50の後段の光学系では歪まない前提、言い換えれば、表示画像75は歪まないよう前記光学系の歪みが補正されている前提であったが、走査部により走査されるレーザ光により形成される表示画像75が遮光マスク50の後段の光学系で歪む(歪みが残っている)場合には、制御部5による画像処理によって、表示画像75の歪みを補正することができる。
表示画像75の電子的な制御による補正としては、表示画像75について生じる光学的な歪みを打ち消すような形状とすることが行われる。ここで、表示画像75について生じる光学的な歪みは、遮光マスク50の位置、つまり中間像面が形成される位置から、レーザ光の投射対象である観察者の眼10の網膜10bまでの光学系の歪曲収差によって生じる歪みである。
すなわち、RSD1においては、表示画像75について生じる光学的な歪みを見越して、表示画像75について光学的な歪みが生じた結果、表示画像75が歪んでいない形状、つまり矩形状となるように、表示画像75の形状が電子的に補正される。
具体的には、例えば、図12に示すように、最終像面に相当する表示画像75について糸巻型の歪みが生じた場合を例に説明する。つまり、図12に示す表示画像75は、縦方向及び横方向それぞれについて内側に凸となるように弓形に沿った形状となるように歪曲している。なお、本例においては、図12に示すように、枠画像76についても、表示画像75と同様に糸巻型の歪みが生じている。
そこで、本例の場合、図13に示すように、遮光マスク50が設けられる位置における表示画像53が、電子的な制御により、表示画像75について図12に示すような糸巻型の歪曲をキャンセルするような形状とされる。つまり、図13に示す表示画像53は、遮光マスク50から投射対象までの光学系によって発生する光学的な歪方向と逆向きに歪ませた形状を有する。
図13に示す表示画像53は、縦方向及び横方向それぞれについて各辺部が外側に凸となるように弓形に沿った形状を有する。図13に示すように表示画像53が電子的な制御により予め歪曲した形状とされることで、光学的な歪曲収差が作用する結果、表示画像75の歪みが打ち消され、図4に示すような矩形状の表示画像75が得られる。なお、この場合においても、枠画像76の歪みについては、上述したように遮光マスク50の形状の設定によって機械的に補正される。
このような表示画像53の形状についての電子的な制御による補正は、制御部5において行われる。制御部5において、CPU66が、フラッシュROM68に記憶されているコンテンツ情報に基づき、画像信号Sで決定される画像を歪ませて、図13に示すように、表示画像53を歪ませた画像に変換する画像処理を行う。ここでは、表示画像53を形成する画像データが、二次元方向に拡大や縮小等させられることで、枠画像76における歪みを打ち消すような形状のデータ構造に変換される。
CPU66による画像処理結果は、RSD用VRAM63に展開される。制御部5は、RSD表示用コントローラ62により、RSD用VRAM63に展開された画像データに基づいて、画像信号Sを生成する。そして、制御部5は、生成した画像信号Sを表示部9に供給し、光源ユニット6の光源部7から、歪んだ画像としての表示画像53を形成するレーザ光を出射させる。
本例では、画像データの補正としては、矩形状のデータ構造から、図13の表示画像53に示すように、水平方向及び垂直方向について各方向の中心位置を重点的に膨張させる補正が行われる。このような画像データの補正に際しては、表示画像75についての歪み量が予め算出され、算出された歪み量に基づき、画像データの補正が行われる。なお、表示画像75の歪み量の計算方法としては、例えば上述したような枠歪み量の計算方法と同様の手法を用いることができる。ただし、表示画像75の歪み量の計算方法は特に限定されるものではない。
このように、RSD1においては、制御部5は、中間像面位置で形成される像である表示画像53が、遮光マスク50から投射対象である観察者の眼10の網膜10bまでの光学系によって発生する光学的な歪方向と逆向きに歪ませた形状となるような画像信号Sを生成する。そして、制御部5は、生成した画像信号Sに応じた強度のレーザ光を、光源部7から出射させる。
また、本実施形態のRSD1においては、遮光マスク50の形状の調整による枠画像76の形状の補正が不十分である場合、その補正が不十分な枠画像76の形状に合わせて、表示画像75も歪んだ状態となるように、表示画像53が電子的に補正される。
具体的には、例えば、図14に示すように、枠画像76について、光学的な歪みが完全に相殺できない場合、枠画像76に歪みが残る。本例では、図14に示すように、枠画像76と隙間領域77との境界76aにおいて、水平方向及び垂直方向について、外側に凸となるように弓形に沿った形状が残っている。
この場合、図15に示すように、表示画像75の形状が、歪みが残存する枠画像76の形状に合わせた形状となるように、表示画像53が電子的に補正される。つまり、表示画像75の外形線75aが、枠画像76と隙間領域77との境界76aに沿う形状となるように、表示画像53が電子的に補正される。このような表示画像53の形状についての電子的な制御による補正は、前述したように制御部5により行われる。
このように、RSD1においては、制御部5は、中間像面位置で形成される像である表示画像53が、光学的な歪を完全に相殺できない場合の遮光マスク50の囲繞形状に沿う形状となるような画像信号Sを生成する。そして、制御部5は、生成した画像信号Sに応じた強度のレーザ光を、光源部7から出射させる。
また、本実施形態のRSD1においては、遮光マスク50内に表示される表示画像53の表示位置が、遮光マスク50の囲繞形状の中心位置に対してずれている場合、表示画像53の位置が補正されるように、遮光マスク50の内側に形成される表示画像53の位置が変更される。
具体的には、例えば、図16に示すように、遮光マスク50の開口部51の中心位置Caと、表示画像53の中心位置Cbとがずれている場合、表示画像53は、遮光マスク50の囲繞形状に対して片寄った位置に存在する。
この場合、図17に示すように、表示画像53の位置が、遮光マスク50の内側における中心に位置するように、表示画像53を表示する位置が補正される。つまり、表示画像53の中心位置Cbが、遮光マスク50の開口部51の中心位置Caと一致するように、表示画像53を表示する位置が補正される。
このような表示画像53の表示位置の変更は、制御部5によって光源部7からのレーザ光の出射の制御により、画像形成用レーザ光の有効走査範囲が変更されることで行われる。すなわち、制御部5からの画像信号Sに基づき、駆動信号供給回路8により、水平走査部32及び垂直走査部34に対する駆動信号が生成される構成において、画像形成用レーザ光が出射されるタイミングが、走査部の偏向素子32a,34aによる走査位置との関係において変更されることにより、表示画像53の表示位置が変更される。
このような表示画像53の表示位置の補正に際しては、表示画像53についての遮光マスク50に対するずれ量が予め算出され、算出されたずれ量に基づき、表示画像53の表示位置の補正が行われる。なお、表示画像53の歪み量の計算方法は特に限定されるものではない。
このように、RSD1においては、制御部5は、光源部7からのレーザ光の出射を制御して、中間像面位置で形成される表示画像53の位置を変更する。
以上説明したように、本実施形態に係るRSD1によれば、以下の効果が期待できる。
(1)本実施形態に係るRSD1は、光源部7と、画像信号Sに応じた強度のレーザ光を光源部7から出射させる制御部5と、光源部7から出射されたレーザ光を2次元走査する走査部と、走査部で走査されたレーザ光を投射対象である観察者の眼10の網膜10bに投射する投射部と、遮光マスク50とを備える。遮光マスク50は、走査部と投射部との間に形成される中間像面位置に設けられ、走査部によって走査されたレーザ光によって形成される表示画像53の周囲を囲む。そして、遮光マスク50による表示画像53の周囲を囲む囲繞形状は、遮光マスク50から投射対象までの光学系によって発生する光学的な歪方向と逆向きに歪ませた形状とされている。これにより、光学系の大型化を招いたり、光学系に設計上の余分な負担を与えたりすることなく、遮光マスク50によって発生する枠画像76の形状に生じる歪みを低減することができる。
具体的には、遮光マスク50によって最終像面位置に表示される枠画像76の歪みが、遮光マスク50の形状により機械的に補正されることによって、表示画像53の外側に位置する枠画像76について光学的な補正を省略することができる。これにより、遮光マスク50の後段の光学系について、例えば接眼レンズ40等の大型化や、例えば解像度等の光学的な特性を得ることが困難になるといった不具合をともなうことなく、視覚的な画面の歪みの原因となる枠画像76の歪みを低減することができる。
(2)また、本実施形態に係るRSD1においては、制御部5は、中間像面位置で形成される表示画像53が、遮光マスク50から投射対象までの光学系によって発生する光学的な歪方向と逆向きに歪ませた形状となるような画像信号Sを生成する。これにより、遮光マスク50の後段の光学系について、小型化や製造コストの低減を図ることができる。
(3)また、本実施形態に係るRSD1においては、制御部5は、中間像面位置で形成される表示画像53が、光学的な歪を完全に相殺できない場合の遮光マスク50の囲繞形状に沿う形状となるような画像信号Sを生成する。これにより、遮光マスク50の後段の光学系の要求精度が緩和し、画像の見え方が綺麗になる。
(4)また、本実施形態に係るRSD1においては、制御部5は、光源部7からのレーザ光の出射を制御して、中間像面位置で形成される表示画像53の位置を変更する。これにより、遮光マスク50の後段の光学系の要求精度が緩和し、画像の見え方が綺麗になる。
(5)また、本実施形態に係るRSD1においては、投射対象を、観察者の少なくとも一方の眼10の網膜10bとし、走査部によって走査されたレーザ光を、投射部により網膜10bに入射して、画像を表示する。これにより、画像表示装置の中でも小型化の要請が高いRSD1において、小型化に貢献することができる。
1 RSD(画像表示装置)
5 制御部
7 光源部
10 眼
10b 網膜
15 ハーフミラー
32 水平走査部
34 垂直走査部
40 接眼レンズ
50 遮光マスク
53 表示画像
76 枠画像
76a 境界
S 画像信号
5 制御部
7 光源部
10 眼
10b 網膜
15 ハーフミラー
32 水平走査部
34 垂直走査部
40 接眼レンズ
50 遮光マスク
53 表示画像
76 枠画像
76a 境界
S 画像信号
Claims (5)
- 光源部と、
画像信号に応じた強度の光束を前記光源部から出射させる制御部と、
前記光源部から出射された光束を2次元走査する走査部と、
前記走査部で走査された光束を投射対象に投射する投射部と、
前記走査部と前記投射部との間に形成される像面位置に設けられ、前記走査部によって走査された光束によって形成される像の周囲を囲む遮光マスクと、を備え、
前記遮光マスクによる前記像の周囲を囲む囲繞形状は、当該遮光マスクから前記投射対象までの光学系によって発生する光学的な歪方向と逆向きに歪ませた形状とした
ことを特徴とする画像表示装置。 - 前記制御部は、前記像面位置で形成される像が、前記遮光マスクから前記投射対象までの光学系によって発生する光学的な歪方向と逆向きに歪ませた形状となるような前記画像信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 前記制御部は、前記像面位置で形成される像が、前記光学的な歪を完全に相殺できない場合の前記遮光マスクの囲繞形状に沿う形状となるような前記画像信号を生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置。
- 前記制御部は、前記光源部からの光束の出射を制御して、前記像面位置で形成される像の位置を変更する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示装置。 - 前記投射対象を、観察者の少なくとも一方の眼の網膜とし、
前記走査部によって走査された光束を、前記投射部により前記網膜に入射して、画像を表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
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