JP2011190539A - 硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型 - Google Patents

硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型 Download PDF

Info

Publication number
JP2011190539A
JP2011190539A JP2011092687A JP2011092687A JP2011190539A JP 2011190539 A JP2011190539 A JP 2011190539A JP 2011092687 A JP2011092687 A JP 2011092687A JP 2011092687 A JP2011092687 A JP 2011092687A JP 2011190539 A JP2011190539 A JP 2011190539A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
atomic ratio
film
formula
hard coating
hard
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011092687A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5514149B2 (ja
Inventor
Kenji Yamamoto
兼司 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2011092687A priority Critical patent/JP5514149B2/ja
Publication of JP2011190539A publication Critical patent/JP2011190539A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5514149B2 publication Critical patent/JP5514149B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】従来の表面被覆層よりも耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れる硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型を提供する。
【解決手段】(V1−x)(B1−a−b)からなる硬質皮膜であって下記式(1A)〜(4A)を満たすことを特徴とする硬質皮膜等。〔但し、上記Mは4a、5a、6a族の元素、Si、Alの1種以上であり、下記式において、xはVの原子比、1−xはMの原子比、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比を示すものである。〕
0.4≦x≦0.95−−−−式(1A)、0≦a≦0.2−−−−式(2A)、
0≦1−a−b≦0.35−−−−式(3A)、0.6≦b≦1−−−− 式(4A)
【選択図】 なし

Description

本発明は、硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型に関する技術分野に属するものであり、特には、耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れた硬質皮膜に関する技術分野に属するものである。
従来より金型などの金属加工用の治工具は窒化処理により耐摩耗性および耐焼き付き性の改善がなされてきた。近年では、窒化処理に代えて、PVD等の気相コーティングによる耐摩耗性ならびに耐焼き付き性の改善が検討されている。例えば特開2000−144376号公報には、Cr、Al、Ti、Vの2種以上を含む複合窒化物の形成による摺動性の改善が開示されている。特開2002−307128号公報、特開2002−307129号公報には、Ti、V、Al、Cr、Siの1種以上の窒化物、炭化物、炭窒化物を形成し、あるいは更にその上にTi、Crを含み残部Moより構成される硫化物層を形成した耐摩耗性あるいは耐焼き付き性に優れる表面被覆金型が開示されている。特開2000−1768号公報には、硬質窒化物上にMoSを形成した耐摩耗性ならびに耐焼き付き性に優れる表面処理材料が開示されている。
特開2000−144376号公報 特開2002−307128号公報 特開2002−307129号公報 特開2000−1768号公報
前記特開2000−144376号公報に開示されているCr、Al、Ti、Vの2種以上を含む複合窒化物は、高硬度であり、耐摩耗性には優れるが、耐焼き付き性が十分ではなく、高面圧で金属の塑性加工をする場合など、過酷な環境の使用には耐え得ない。特開2002−307128号公報に開示のTi、V、Al、Cr、Siの1種以上の窒化物、炭化物、炭窒化物も、同様に高硬度ではあるが、耐焼き付き性に劣る。耐焼き付き性改善のために特開2002−307129号公報や特開2000−1768号公報に開示されるように硫化物を形成した場合、硫化物は軟質であり、使用当初は摺動性に優れるが、使用時間と共に摩滅し、長期耐久性には問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、上記従来の表面被覆層よりも耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れる硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば上記目的を達成することができる。
このようにして完成され上記目的を達成することができた本発明は、硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型に係わり、請求項1〜3記載の硬質皮膜(第1〜3発明に係る硬質皮膜)、請求項4〜5記載の硬質皮膜被覆材(第4〜5発明に係る硬質皮膜被覆材)、請求項6記載の冷間塑性加工用金型(第6発明に係る冷間塑性加工用金型)であり、それは次のような構成としたものである。
即ち、請求項1記載の硬質皮膜は、(V1−x)(B1−a−b)からなる硬質皮膜であって下記式(1A)〜(4A)を満たすことを特徴とする硬質皮膜である〔第1発明〕。
0.4≦x≦0.95 −−−−−−−−−−−−−−− 式(1A)
0≦a≦0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(2A)
0≦1−a−b≦0.35 −−−−−−−−−−−−− 式(3A)
0.6≦b≦1 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(4A)
但し、上記(V1−x)(B1−a−b)において、Mは4a族、5a族、6a族の元素、Si、Alの1種以上である。上記(V1−x)(B1−a−b)、上記式(1A)〜(4A)において、xはVの原子比、1−xはMの原子比、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比を示すものである。
請求項2記載の硬質皮膜は、(VTi1−x−y)(C1−b)からなる硬質皮膜であって下記式(1B)〜(3B)を満たすことを特徴とする硬質皮膜である〔第2発明〕。
0.4≦x≦0.95 −−−−−−−−−−−−−−− 式(1B)
0≦y≦0.15 −−−−−−−−−−−−−−−−− 式(2B)
0.9≦b≦1 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(3B)
但し、上記(VTi1−x−y)(C1−b)において、MはTiを除く4a族、5a族、6a族の元素、Si、Alの1種以上である。上記(VTi1−x−y)(C1−b)、上記式(1B)〜(3B)において、xはVの原子比、1−x−yはTiの原子比、yはMの原子比、bはCの原子比、1−bはNの原子比を示すものである。
請求項3記載の硬質皮膜は、下記の皮膜層Aと皮膜層Bとが合計で2層以上積層されてなることを特徴とする硬質皮膜である〔第3発明〕。
皮膜層A:
V(B1−a−b)からなる皮膜層であって下記式(1C)〜(3C)を満たす皮膜層。
0≦a≦0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(1C)
0≦1−a−b≦0.35 −−−−−−−−−−−−− 式(2C)
0.6≦b≦1 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(3C)
但し、上記V(B1−a−b)、上記式(1C)〜(3C)において、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比を示すものである。
皮膜層B:
M(B1−a−b)からなる皮膜層であって下記式(1D)〜(3D)を満たす皮膜層。
0≦a≦0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(1D)
0≦1−a−b≦0.35 −−−−−−−−−−−−− 式(2D)
0.6≦b≦1 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(3D)
但し、上記M(B1−a−b)において、Mは4a族、5a族、6a族の元素、Si、Alの1種以上である。上記M(B1−a−b)、上記式(1D)〜(3D)において、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比を示すものである。
請求項4記載の硬質皮膜被覆材は、基材の表面に請求項1〜3のいずれかに記載の硬質皮膜が形成されていることを特徴とする硬質皮膜被覆材である〔第4発明〕。
請求項5記載の硬質皮膜被覆材は、鉄基合金よりなる基材の表面にCr、Ti、Al、Siの1種以上の窒化物よりなる皮膜層が形成され、その上に請求項1〜3のいずれかに記載の硬質皮膜が形成されていることを特徴とする硬質皮膜被覆材である〔第5発明〕。
請求項6記載の冷間塑性加工用金型は、請求項4または5記載の硬質皮膜被覆材を用いた冷間塑性加工用金型である〔第6発明〕。
本発明に係る硬質皮膜は、従来の表面被覆層よりも耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れ、金型や冶工具等の硬質皮膜として好適に用いることができ、それらの耐久性の向上がはかれる。本発明に係る硬質皮膜被覆材は、耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れ、金型材や冶工具材として好適に用いることができ、それらの耐久性の向上がはかれる。本発明に係る冷間塑性加工用金型は、耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れ、耐久性の向上がはかれる。
〔請求項1に係る発明(第1発明)〕
本発明に係る硬質皮膜は、摺動時の発熱および圧力下において酸化し、潤滑性を有する酸化物を形成するVを必須元素とし、高硬度化をはかるために4a族、5a族、6a族の元素、Si、Alの1種以上を原子比で0.6を上限として添加し、更に潤滑性を高めるためにCを原子比で0.6以上添加することを必須要件とするものである。
本発明に係る硬質皮膜についての数値限定理由等を以下説明する。
Vは摺動下において潤滑性のある酸化物(V)を形成し、摩擦係数を低減し、摩耗量を低下させる作用があることから必須であり、Vの比率(原子比x)を0.4以上とする必要がある。好ましくはV量(x)0.5以上である。V量(x)の上限は添加元素M量(1−x)で決まるが、添加元素Mの役割はVCと格子定数の異なる炭化物を形成して、固溶効果による硬化により皮膜硬度を上昇させることにある。そのためには、M量(1−x)は0.05以上必要であり、好ましくは0.3以上である。M量(1−x)の上限はVの必要量の下限値0.4より、0.6となる。V量(x)の上限はM量(1−x)の必要量の下限値0.05より、0.95となる。なお、Mは4a族、5a族、6a族の元素、Si、Alの1種以上であり、1種を添加してもよいし、2種以上を同時に添加してもよい。各炭化物の格子定数は表4に示す通りである。
Bに関しては、金属元素(M)と結合して例えばTiBのような硬質化合物を形成すると共に、窒素を添加した場合には窒素と結合してBNのような潤滑性物質を形成することから、Bを添加することが可能であるが、過度の添加をすると金属元素とも窒素とも反応しない遊離Bとなり、皮膜硬度が低下することから、B量(原子比a)の上限を0.2とする。窒素については、炭化物より耐熱性に優れる窒化物を形成することで、高温下での摺動時に耐摩耗性が向上するが、摩擦係数は増加する傾向にあることから、N量(原子比1−a−b)の上限を0.35とする。好ましくは0.2以下である。Cに関しては、潤滑性を付与するためにC量(原子比b)を0.6以上とする必要があり、0.8以上とすることが好ましい。
以上の点から、本発明(第1発明)に係る硬質皮膜は、前述のような構成の硬質皮膜としている。本発明(第1発明)に係る硬質皮膜は、従来の表面被覆層よりも耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れ、金型や冶工具等の硬質皮膜として好適に用いることができ、それらの耐久性の向上がはかれる。
〔請求項2に係る発明(第2発明)〕
添加元素Mの中ではTiを必ず使用し、かつ、C量(b)を0.9以上とすることが最も好ましい形態である。その理由としては、Mの炭化物の中でTiCが最も硬度が高く(約3500HV)であり、これらを組合せ且つ格子定数の違いによる固溶効果で更に硬度上昇が期待でき、耐摩耗性が固溶するからである。この場合にも、添加元素Mとして4a族、5a族、6a族の元素、Si、Alの1種以上(Tiを除く)を選択し、固溶効果により皮膜の高硬度化をはかることができるが、M添加量(原子比y)は0.15を上限とする。Mとしては特にSi、Cr、Wが好ましい。
上記の点から、本発明(第2発明)に係る硬質皮膜は、前述のような構成の硬質皮膜としている。本発明(第2発明)に係る硬質皮膜は、従来の表面被覆層よりも耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れ、金型や冶工具等の硬質皮膜として好適に用いることができ、それらの耐久性の向上がはかれる。
〔請求項3に係る発明(第3発明)〕
VBCN膜とMBCN膜を積層して、全体として(V、M)(BCN)膜となるようにしてもよい。かかる点から、本発明(第3発明)に係る硬質皮膜は、前述のような構成の硬質皮膜としている。この場合の積層周期は特に規定しないが、50nm以下を目安とする。組合せとしてはVCとTiCの積層膜が最も好ましい。本発明(第3発明)に係る硬質皮膜は、従来の表面被覆層よりも耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れ、金型や冶工具等の硬質皮膜として好適に用いることができ、それらの耐久性の向上がはかれる。
〔請求項4に係る発明(第4発明)〕
本発明(第4発明)に係る硬質皮膜被覆材は、基材の表面に第1〜3発明に係る硬質皮膜のいずれかが形成されていることを特徴とする硬質皮膜被覆材である。本発明(第4発明)に係る硬質皮膜被覆材は、耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れ、金型材や冶工具材として好適に用いることができ、それらの耐久性の向上がはかれる。
〔請求項5に係る発明(第5発明)〕
鉄基合金よりなる基材への第1〜3発明に係る硬質皮膜の密着性を向上させるためにCr、Ti、Al、Siの1種以上の窒化物よりなる皮膜層を下地として形成することが有効である。かかる点から、本発明(第5発明)に係る硬質皮膜被覆材は、前述のような構成の硬質皮膜被覆材としている。このとき、下地の皮膜層としては、特にCrN膜またはTiN膜が鉄基材料に対して密着性に優れることから推奨される。下地の皮膜層の膜厚については、密着性を向上させるためには0.1μm以上とすることが好ましく、更に1μm以上とすることが好ましいが、10μm以上形成しても効果の増大は少ないことから10μm以下とするのがよい。本発明(第5発明)に係る硬質皮膜被覆材は、耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れ、金型材や冶工具材として好適に用いることができ、それらの耐久性の向上がはかれる。
〔請求項6に係る発明(第6発明)〕
本発明(第6発明)に係る冷間塑性加工用金型は、第4〜5発明に係る硬質皮膜被覆材のいずれかを用いた冷間塑性加工用金型である。本発明(第6発明)に係る冷間塑性加工用金型は、耐摩耗性に優れると共に摩擦係数が低くて摺動性に優れ、耐久性の向上がはかれる。
本発明の実施例および比較例を以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
〔例1〕
V及び金属元素Mあるいは更にBを含有するターゲットを、アーク蒸発源を有する成膜装置にセットして表1〜2に示す組成の皮膜を基材上に形成した。ただし、高温下での摺動試験用の皮膜形成の場合には、密着性を向上させるために基材上にCrNを約3μm形成した後、表1〜2に示す組成の皮膜を形成した。
このとき、基材としては、皮膜の組成、硬度の調査用の皮膜形成の場合には鏡面研磨した超硬合金基板を用い、高温下での摺動試験用の皮膜形成の場合にはSKD11基板(硬度HRC60)を用いた。いずれの皮膜の形成の場合にも、基板を成膜装置のチャンバー内に導入し、チャンバー内を真空引き(1×10−3Pa以下に排気)した後、基材を約400℃まで加熱し、この後、Crメタルイオンによるボンバードを2分間実施した。ボンバード時のアーク電流は100Aであり、印加バイアスは700Vとした。この後、アーク蒸発源による成膜の場合は、φ100mmのターゲットを用い、アーク電流150Aとし、全圧力1.3〜2.6Paのメタンガス雰囲気あるいはメタン+窒素の混合ガス雰囲気中にて成膜を実施した。
このようにして皮膜形成されたものについて、皮膜の組成、硬度および表面粗度(Ra)の調査を行い、更に高温下における摺動試験を実施し、耐摩耗性ならびに摩擦係数を調査した。
このとき、皮膜の組成は、EPMAにより測定することによって調査した。皮膜の硬度については、マイクロビッカース硬度計を用いて、測定荷重0.25Nの条件で測定することによって調査した。表面粗度(Ra)は表面粗度計を用いて測定した。高温下における摺動試験は下記高温摺動試験条件で行った。
〔高温摺動試験条件〕
・装置:ベーンオンディスク型摺動試験装置
・ベーン:SKD61鋼(HRC50)3.5×5mm,長さ20mm,先端半径10R
・ディスク:SKD11鋼(HRC60)に皮膜形成したもの
・摺動速度:0.2m/秒
・荷重:500N
・摺動距離:1000m
・試験温度:25℃(加熱無し),400℃
上記試験の結果を表1〜2に示す。なお、表1〜2において、組成の欄での値は原子比での値である。表1〜2からわかるように、本発明の要件を満たす硬質皮膜、即ち、本発明例(No.6a,No.6b,No.7〜8,10〜19,21〜24,27〜30)は、本発明の要件を満たさないもの、即ち、比較例(No.1〜5,9,20,25,26)に比較し、摩擦係数が小さくて摺動性に優れ、且つ、膜摩耗深さが少なくて耐摩耗性に優れている。なお、本発明例(No.6a,No.6b,No.7〜8,10〜19,21〜24,27〜30)の中、No.6a,No.6b,No.7〜8,21〜22は、第2発明(請求項2に係る発明)の例に該当するものである。
〔例2〕
V及び金属元素Mあるいは更にBを含有するターゲットを、アーク蒸発源を有する成膜装置にセットして表3に示す組成、積層構造(多層構造)の皮膜を基材上に形成した。ただし、高温下での摺動試験用の皮膜形成の場合には、密着性を向上させるために基材上にTiNを約2μm 形成した後、表3に示す組成の皮膜を形成した。
このとき、基材としては、皮膜の組成、硬度の調査用の皮膜形成の場合には鏡面研磨した超硬合金基板を用い、高温下での摺動試験用の皮膜形成の場合にはSKD11基板(硬度HRC60)を用いた。いずれの皮膜の形成の場合にも、基板を成膜装置のチャンバー内に導入し、チャンバー内を真空引き(1×10−3Pa以下に排気)した後、基材を約400℃まで加熱し、この後、Crメタルイオンによるボンバードを2分間実施した。ボンバード時のアーク電流は100Aであり、印加バイアスは700Vとした。この後、アーク蒸発源による成膜の場合は、φ100mmのターゲットを用い、アーク電流150Aとし、全圧力1.3〜2.6Paのメタンガス雰囲気あるいはメタン+窒素の混合ガス雰囲気中にて成膜を実施した。
このようにして皮膜形成されたものについて、前記例1の場合と同様の方法により、皮膜の組成、硬度および表面粗度(Ra)の調査を行い、更に高温下における摺動試験を実施し、耐摩耗性ならびに摩擦係数を調査した。
上記試験の結果を表3に示す。なお、表3において、膜のタイプの欄での多層膜は層Aと層Bを交互に形成した多層構造の膜である。いずれの場合も、層Aの方から形成し、層Bで終わるようにした。積層数は、(層Aの層数+層Bの層数)/2であり、総膜厚は積層膜の全厚である。A層、B層での組成の値は原子比での値である。例えば、TiC0.9N0.1は、Tiの原子比が1であり、Cの原子比が0.9、Nの原子比が0.1であることを示し、Ti0.9Si0.1Cは、Tiの原子比が0.9、Siの原子比が0.1であり、Cの原子比が1であることを示すものである。
表3からわかるように、第3発明(請求項3に係る発明)の要件を満たす硬質皮膜、即ち、第3発明例(No.1〜10)は、前記例1での比較例(表1のNo.1〜5,9,20,25,26)に比較し、摩擦係数が小さくて摺動性に優れ、且つ、膜摩耗深さが少なくて耐摩耗性に優れている。
Figure 2011190539
Figure 2011190539
Figure 2011190539
Figure 2011190539

Claims (6)

  1. (V1−x)(B1−a−b)からなる硬質皮膜であって下記式(1A)〜(4A)を満たすことを特徴とする硬質皮膜。
    0.4≦x≦0.95 −−−−−−−−−−−−−−− 式(1A)
    0≦a≦0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(2A)
    0≦1−a−b≦0.35 −−−−−−−−−−−−− 式(3A)
    0.6≦b≦1 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(4A)
    但し、上記(V1−x)(B1−a−b)において、Mは4a族、5a族、6a族の元素、Si、Alの1種以上である。上記(V1−x)(B1−a−b)、上記式(1A)〜(4A)において、xはVの原子比、1−xはMの原子比、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比を示すものである。
  2. (VTi1−x−y)(C1−b)からなる硬質皮膜であって下記式(1B)〜(3B)を満たすことを特徴とする硬質皮膜。
    0.4≦x≦0.95 −−−−−−−−−−−−−−− 式(1B)
    0≦y≦0.15 −−−−−−−−−−−−−−−−− 式(2B)
    0.9≦b≦1 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(3B)
    但し、上記(VTi1−x−y)(C1−b)において、MはTiを除く4a族、5a族、6a族の元素、Si、Alの1種以上である。上記(VTi1−x−y)(C1−b)、上記式(1B)〜(3B)において、xはVの原子比、1−x−yはTiの原子比、yはMの原子比、bはCの原子比、1−bはNの原子比を示すものである。
  3. 下記の皮膜層Aと皮膜層Bとが合計で2層以上積層されてなることを特徴とする硬質皮膜。
    皮膜層A:
    V(B1−a−b)からなる皮膜層であって下記式(1C)〜(3C)を満たす皮膜層。
    0≦a≦0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(1C)
    0≦1−a−b≦0.35 −−−−−−−−−−−−− 式(2C)
    0.6≦b≦1 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(3C)
    但し、上記V(B1−a−b)、上記式(1C)〜(3C)において、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比を示すものである。
    皮膜層B:
    M(B1−a−b)からなる皮膜層であって下記式(1D)〜(3D)を満たす皮膜層。
    0≦a≦0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(1D)
    0≦1−a−b≦0.35 −−−−−−−−−−−−− 式(2D)
    0.6≦b≦1 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 式(3D)
    但し、上記M(B1−a−b)において、Mは4a族、5a族、6a族の元素、Si、Alの1種以上である。上記M(B1−a−b)、上記式(1D)〜(3D)において、aはBの原子比、bはCの原子比、1−a−bはNの原子比を示すものである。
  4. 基材の表面に請求項1〜3のいずれかに記載の硬質皮膜が形成されていることを特徴とする硬質皮膜被覆材。
  5. 鉄基合金よりなる基材の表面にCr、Ti、Al、Siの1種以上の窒化物よりなる皮膜層が形成され、その上に請求項1〜3のいずれかに記載の硬質皮膜が形成されていることを特徴とする硬質皮膜被覆材。
  6. 請求項4または5記載の硬質皮膜被覆材を用いた冷間塑性加工用金型。
JP2011092687A 2011-04-19 2011-04-19 硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型 Active JP5514149B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011092687A JP5514149B2 (ja) 2011-04-19 2011-04-19 硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011092687A JP5514149B2 (ja) 2011-04-19 2011-04-19 硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007235635A Division JP2009068047A (ja) 2007-09-11 2007-09-11 硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011190539A true JP2011190539A (ja) 2011-09-29
JP5514149B2 JP5514149B2 (ja) 2014-06-04

Family

ID=44795743

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011092687A Active JP5514149B2 (ja) 2011-04-19 2011-04-19 硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5514149B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017199730A1 (ja) * 2016-05-20 2017-11-23 株式会社神戸製鋼所 硬質皮膜及び金型

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10237628A (ja) * 1997-02-20 1998-09-08 Sumitomo Electric Ind Ltd 被覆工具およびその製造方法
JP2000107905A (ja) * 1998-10-05 2000-04-18 Hitachi Tool Engineering Ltd 被覆硬質工具
JP2001181826A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Mmc Kobelco Tool Kk 耐摩耗性に優れた硬質皮膜および硬質皮膜被覆部材
JP2001310202A (ja) * 2000-04-27 2001-11-06 Mitsubishi Materials Corp 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具
JP2004256914A (ja) * 2003-02-07 2004-09-16 Kobe Steel Ltd 硬質皮膜及びその製造方法並びに硬質皮膜形成用ターゲット

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10237628A (ja) * 1997-02-20 1998-09-08 Sumitomo Electric Ind Ltd 被覆工具およびその製造方法
JP2000107905A (ja) * 1998-10-05 2000-04-18 Hitachi Tool Engineering Ltd 被覆硬質工具
JP2001181826A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Mmc Kobelco Tool Kk 耐摩耗性に優れた硬質皮膜および硬質皮膜被覆部材
JP2001310202A (ja) * 2000-04-27 2001-11-06 Mitsubishi Materials Corp 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具
JP2004256914A (ja) * 2003-02-07 2004-09-16 Kobe Steel Ltd 硬質皮膜及びその製造方法並びに硬質皮膜形成用ターゲット

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
O. KNOTEK ET AL.: "ON REACTIVELY SPUTTERED Ti-Al-V CARBONITRIDES", SURFACE AND COATINGS TECHNOLOGY, vol. 36, JPN6013005346, 1988, pages 265 - 273, XP025848942, ISSN: 0002776091, DOI: 10.1016/0257-8972(88)90156-9 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017199730A1 (ja) * 2016-05-20 2017-11-23 株式会社神戸製鋼所 硬質皮膜及び金型

Also Published As

Publication number Publication date
JP5514149B2 (ja) 2014-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4668214B2 (ja) 成形用金型
JP5234931B2 (ja) 硬質皮膜被覆部材および成形用冶工具
Chen et al. Investigation on microstructures and mechanical properties of AlCrN coatings deposited on the surface of plasma nitrocarburized cool-work tool steels
JP6015663B2 (ja) 摺動特性に優れた被覆部材
JP5920681B2 (ja) 摺動特性に優れた塑性加工用被覆金型及びその製造方法
Torres et al. Influence of the nitriding and TiAlN/TiN coating thickness on the sliding wear behavior of duplex treated AISI H13 steel
JP2009068047A (ja) 硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型
JP5043905B2 (ja) 硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型ならびに硬質皮膜の形成方法
JP4408231B2 (ja) 硬質積層皮膜および硬質積層皮膜の形成方法
JP4699978B2 (ja) 硬質皮膜被覆材
Ahmad et al. Structural evolution and high-temperature tribological properties of AlCrON coatings deposited by multi-arc ion plating
Franz et al. Influence of phase transition on the tribological performance of arc-evaporated AlCrVN hard coatings
JP2009287063A (ja) 金型表面用保護膜
JP5129009B2 (ja) 金型用被膜
JP4495568B2 (ja) 硬質皮膜
JP2004351586A (ja) 切削工具用硬質皮膜
JP5514149B2 (ja) 硬質皮膜、硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型
CA2891886C (en) Hard coating having excellent adhesion resistance to soft metal
JP7318662B2 (ja) ホットスタンプ用被覆金型
JP5043906B2 (ja) 硬質皮膜およびその形成方法
JP2010168638A (ja) 硬質皮膜被覆部材および成形用治工具
Mitrovic et al. Dry Sliding Wear Behavior of PVD TiN Coatings for Cold Forming Tools
JP2008001948A (ja) 硬質皮膜
JP2010229527A (ja) 固体潤滑性及び非親和性を有する複合耐摩耗性硬質皮膜及び皮膜付き鋼材

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130625

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140325

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140328

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5514149

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150