JP2011190366A - 発光ダイオード用付加硬化型シリコーン樹脂組成物及び発光ダイオード - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも、
(A)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を含有せず、1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有する、下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン 100質量部、
RaSiO(4−a)/2 (1)
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個及びケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有する、下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
R1 bHcSiO(4−b−c)/2 (2)
(C)付加反応触媒 触媒量、
を含有するオルガノポリシロキサン組成物であって、
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、そのケイ素原子に結合した水素原子数が、(A)及び(B)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の合計数1個あたり0.4〜10個となる割合で配合されていることを特徴とする発光ダイオード用付加硬化型シリコーン樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
その対策として、室温硬化型のシリコーンゴムをバッファー材として使用し、その外側をエポキシ樹脂で封止する方法が定法として定着している。しかしこの方法では、エポキシ樹脂がシリコーン樹脂に接着しないために、やはり温度サイクルによりエポキシ樹脂とシリコーンゴムとの界面で剥離が発生し、光取り出し効率が経時的に極端に低下することが知られている。
しかし、これらシリコーン樹脂はエポキシ樹脂に比較して弾性率は低いものの、曲げ強度などの機械特性も低いことから、LEDへの通電・点灯の際に生じる熱衝撃によりクラックが発生しやすいという問題を有する。
(A)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を含有せず、1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有する、下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン 100質量部、
RaSiO(4−a)/2 (1)
(式中、Rは一価有機基を表し、その少なくとも5モル%がフェニル基である。aは1.5〜3.0の数である。)
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個及びケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有する、下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
R1 bHcSiO(4−b−c)/2 (2)
(式中、R1は、置換又は非置換の一価炭化水素基、b及びcは、0<b<3、0<c≦2、かつ0<b+c<4を満足する数である)
(C)付加反応触媒 触媒量、
を含有するオルガノポリシロキサン組成物であって、
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、そのケイ素原子に結合した水素原子数が、(A)及び(B)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の合計数1個あたり0.4〜10個となる割合で配合されていることを特徴とする発光ダイオード用付加硬化型シリコーン樹脂組成物を提供する。
このように、前記(B)成分が分岐構造を有しない直鎖状であれば、前記組成物が耐クラック性により優れたものとなる。
本発明の付加硬化型シリコーン樹脂組成物は、高透明性に優れていると共に、熱衝撃に対して高い耐性を有しているため過酷な温度サイクル下に供されてもクラックや剥離が生じ難いものとなり、その結果、このような本発明の硬化物で封止された発光ダイオードも、有用なものとなる。
上述のように、従来用いられてきたLED素子用の封止材料は、特にLEDへの通電・点灯の際に生じる熱衝撃によりクラックが発生しやすいという問題を有しており、過酷な温度サイクル下でもクラックや剥離が生じ難い封止材料が求められていた。
(A)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を含有せず、1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有する、下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン 100質量部、
RaSiO(4−a)/2 (1)
(式中、Rは一価有機基を表し、その少なくとも5モル%がフェニル基である。aは1.5〜3.0の数である。)
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個及びケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有する、下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
R1 bHcSiO(4−b−c)/2 (2)
(式中、R1は、置換又は非置換の一価炭化水素基、b及びcは、0<b<3、0<c≦2、かつ0<b+c<4を満足する数である)
(C)付加反応触媒 触媒量、
を含有するオルガノポリシロキサン組成物であって、
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、そのケイ素原子に結合した水素原子数が、(A)及び(B)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の合計数1個あたり0.4〜10個となる割合で配合されていることを特徴とする。
<(A)成分>
(A)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を含有せず、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサンである。
RaSiO(4−a)/2 (1)
(式中、Rは一価有機基を表し、その少なくとも5モル%がフェニル基である。aは1.5〜3.0の数である。)
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、下記平均組成式(2)で表される。
R1 bHcSiO(4−b−c)/2 (2)
(式中、R1は、置換又は非置換の一価炭化水素基、b及びcは、0<b<3、0<c≦2、かつ0<b+c<4を満足する数である)
尚、透明な組成物が得られるよう、(A)成分と(B)成分の屈折率を同等程度にすることが好ましい。
(C)成分の付加反応触媒は、(A)成分と(B)成分との付加反応による架橋の触媒となるもので、その例としては、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とビニルシロキサンの配位化合物、白金黒などの白金系触媒、更にパラジウム系触媒、ロジウム系触媒などが挙げられ、触媒効率の高さの面から通常白金触媒が使用される。また特に本用途においては、エレクトロニクス分野である封止型LEDの作製に用いられることから、金属を腐食させる恐れのない低塩素触媒が好ましく、中でも塩素成分を含有しないジビニルテトラメチルジシロキサン、ジビニルジフェニルジメチルジシロキサン等で変性されたものが好ましい。これらの付加反応触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、上記の(A)〜(C)成分以外の任意の成分として、例えば、付加反応触媒に対して硬化抑制効果を持つ化合物とされている従来公知の制御剤化合物はすべて使用することができる。このような化合物としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物、トリブチルアミンやテトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物、硫黄含有化合物、アセチレン系化合物、アルケニル基を2個以上含む化合物、ハイドロパーオキシ化合物、マレイン酸誘導体などが例示される。制御剤化合物による硬化遅延効果の度合は、制御剤化合物の化学構造によって大きく異なるため、制御剤化合物の添加量は、使用する制御剤化合物の個々について最適な量に調整することが好ましく、通常、室温での長期貯蔵安定性が得られ、かつ硬化が阻害されない範囲程度の量、通常、(A)成分100質量部に対して0.5質量部以下、好ましくは0.01〜0.3質量部の量で使用される。
[実施例1]
平均単位式:(PhSiO3/2)0.55[(CH2=CH)MeSiO2/2]0.2(Me2SiO)0.25で表される分岐鎖状オルガノポリシロキサン[性状=固体(25℃)、ケイ素原子結合全有機基中のケイ素原子結合ビニル基の含有率=14モル%、ケイ素原子結合全有機基中のケイ素原子結合フェニル基の含有率=38モル%、標準スチレン換算の重量平均分子量=3000]90質量部に、下記式(I)で表される粘度が20mPasのビニル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン18質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するトルエン溶液0.06質量部、エチニルシクロヘキサノール0.05質量部、及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3質量部を均一混合して、シリコーン組成物(A)を調製した。このシリコーン組成物(A)を150℃で4時間加熱し硬化させたところ、硬さはShore Dで67であった。
HMe2SiO(Me2SiO)1(HMeSiO)6(Ph2SiO)1SiMe2CH=CH2 (I)
主鎖がジフェニルシロキサン単位のみからなり、粘度が0.4Pasの両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン共重合体80質量部、(PhSiO3/2)0.75[(CH2=CH)Me2SiO1/2]0.25で表される分岐鎖状オルガノポリシロキサン[性状=固体(25℃)、ケイ素原子結合ビニル基の含有率=20モル%、ケイ素原子結合全有機基中のケイ素原子結合フェニル基の含有率=50モル%、標準スチレン換算の重量平均分子量=1600]20質量部、下記式(II)で表される粘度が20mPasのビニル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン32質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するトルエン溶液0.5質量部、エチニルシクロヘキサノール0.05質量部、及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3質量部を均一混合して、シリコーン組成物(B)を調製した。このシリコーン組成物(B)を150℃で4時間加熱し硬化させたところ、硬さはShore Dで58であった。
HMe2SiO(HMeSiO)3(Ph2SiO)2SiMe2CH=CH2 (II)
平均単位式:(PhSiO3/2)0.55[(CH2=CH)MeSiO2/2]0.2(Me2SiO)0.25で表される分岐鎖状オルガノポリシロキサン[性状=固体(25℃)、ケイ素原子結合全有機基中のケイ素原子結合ビニル基の含有率=14モル%、ケイ素原子結合全有機基中のケイ素原子結合フェニル基の含有率=38モル%、標準スチレン換算の重量平均分子量=3000]90質量部に、下記式(III)で表される粘度が20mPasのビニル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン17質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するトルエン溶液0.06質量部、エチニルシクロヘキサノール0.05質量部、及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3質量部を均一混合して、シリコーン組成物(C)を調製した。このシリコーン組成物(C)を150℃で4時間加熱し硬化させたところ、硬さはShore Dで65であった。
Me3SiO(Me2SiO)1(HMeSiO)7[Ph(CH2=CHC6H4)SiO]1SiMe3 (III)
上記式(I)の替わりに、アルケニル基を有しないHMe2SiO(Me2SiO)1(HMeSiO)6(Ph2SiO)1SiMe2H 18質量部を使用した以外は実施例1にしたがって組成物(D)を調製した。このシリコーン組成物(D)を150℃で4時間加熱し硬化させたところ、硬さはShore Dで69であった。
上記式(II)の替わりに、アルケニル基を有しないHMe2SiO(HMeSiO)3(Ph2SiO)2SiMe2H 32質量部を使用した以外は実施例2にしたがって組成物(E)を調製した。このシリコーン組成物(E)を150℃で4時間加熱し硬化させたところ、硬さはShore Dで60であった。
上記式(III)の替わりに、アルケニル基を有しないMe3SiO(Me2SiO)1(HMeSiO)7(Ph2SiO)1SiMe3 17質量部を使用した以外は実施例3にしたがって組成物(F)を調製した。このシリコーン組成物(F)を150℃で4時間加熱し硬化させたところ、硬さはShore Dで66であった。
[評価方法]
発光半導体パッケージ
発光素子として、InGaNからなる発光層を有し、主発光ピークが470nmのLEDチップを搭載した、図1に示すような発光半導体装置を使用した。ここで、1が筐体、2が発光素子、3、4がリード電極、5がダイボンド材、6が金線、7が封止樹脂である。封止樹脂7の硬化条件は150℃、4時間である。
作製した発光半導体装置10個を、85℃、85%の恒温恒湿室に24時間入れた後、赤外線リフロー装置(260℃)を3回通し、外観の変化を観察した。結果を表1に示す。尚、樹脂のクラックやLEDパッケージからの剥離が確認されたものをNGとしてカウントした。
一方、比較例1〜3は、半数以上に樹脂のクラックやLEDパッケージからの剥離が発生してしまった。これにより、封止材料として従来のものを用いた場合、LEDの生産性が悪くなってしまうことがわかる。
6…金線、 7…封止樹脂。
Claims (3)
- 少なくとも、
(A)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を含有せず、1分子中にアルケニル基を少なくとも2個有する、下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン 100質量部、
RaSiO(4−a)/2 (1)
(式中、Rは一価有機基を表し、その少なくとも5モル%がフェニル基である。aは1.5〜3.0の数である。)
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個及びケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有する、下記平均組成式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
R1 bHcSiO(4−b−c)/2 (2)
(式中、R1は、置換又は非置換の一価炭化水素基、b及びcは、0<b<3、0<c≦2、かつ0<b+c<4を満足する数である)
(C)付加反応触媒 触媒量、
を含有するオルガノポリシロキサン組成物であって、
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、そのケイ素原子に結合した水素原子数が、(A)及び(B)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の合計数1個あたり0.4〜10個となる割合で配合されていることを特徴とする発光ダイオード用付加硬化型シリコーン樹脂組成物。 - 前記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが、分岐構造を有しない、直鎖状であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード用付加硬化型シリコーン樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載のシリコーン樹脂組成物の硬化物で封止された発光ダイオード。
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