JP2011190025A - 巻上機及びそれを用いたエレベーター装置 - Google Patents

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【課題】本発明は、小型化に対応することができ、メンテナンス性に優れた巻上機、及び、効率的なレイアウトひいては省スペース化が可能なエレベーター装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は巻上機4が、被制動体8と、被制動体8の外周部8aに制動部材11を押圧して制動するブレーキ装置9と、モーターフレーム10を備え、制動部材11が被制動体8を押圧した際に、被制動体8の回転による摩擦力を負担する反力受け部材17をモーターフレーム10で構成したのである。
【選択図】 図6

Description

本発明は巻上機及びそれを用いたエレベーター装置に関する。
巻上機のブレーキとして、巻上機の回転に同期して回転する円筒状の被制動体外周部に制動部材を押圧して制動する方式のブレーキ装置が知られている。この種のブレーキ装置は被制動体に制動部材を押し付けることによって、被制動体の回転を停止するように作用させ、巻上機に制動をかけるものである(例えば特許文献1参照)。
被制動体に押し付けられる制動部材には、制動時に被制動体に押し付けられる力に加え、被制動体が回転しているため、その回転方向に向かって共に回転しようとする摩擦力が発生する。この摩擦力は非常に大きな力であるが、被制動体の回転を停止させるためにはこの摩擦力に抗しながら、制動体を被制動体に押し付け続けなければならず、通常はブレーキ本体でこの摩擦力を負担するだけの強度を備えるように構成されている。
このような大きな摩擦力を負担するため、ブレーキ装置本体に制動部材の被制動体回転方向への移動を抑制するガイド部を取付けたブレーキ装置なども提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開昭59−144835号公報 特開2006−161920号公報
しかし、上記従来技術では被制動体回転方向の摩擦力に耐え得る強度をブレーキ装置自身で確保しているため、ブレーキ本体が大型化し、それらが取り付けられた巻上機自体も大型化させてしまい、巻上機全体の小型化が困難となるという問題があった。
また、このような巻上機を昇降路内に設置しようとすると、昇降路内で余分なスペースが必要とされ、効率的なレイアウトひいては省スペース化が難しくなるという問題もあった。
また、特許文献2の技術では、点検や交換が必要とされるブレーキシューがガイド部内に位置しているため、制動部材の点検及び交換時に、設置部分からブレーキ本体ごと取り外したり、場合によってはブレーキ本体を分解したりしなければならず、メンテナンス性の向上を図る必要があった。
本発明は、小型化に対応することができ、メンテナンス性に優れた巻上機を提供することを目的とする。
また本発明は、効率的なレイアウトひいては省スペース化が可能なエレベーター装置を提供することを目的とする。
本発明は前記課題に鑑みなされたものであり、巻上機が被制動体と、前記被制動体の外周部に制動部材を押圧して制動するブレーキ装置と、モーターフレームを備え、前記制動部材が前記被制動体を押圧した際に、前記被制動体の回転による摩擦力を負担する反力受け部材をモーターフレームで構成したものである。
本発明の巻上機によれば、小型化に対応することができ、メンテナンス性に優れた巻上機とすることができる。
また、本発明のエレベーター装置によれば、効率的なレイアウトひいては省スペース化が可能なエレベーター装置を提供することができる。
本発明の巻上機が適用されたエレベーター装置の全体構成を示す斜視図である。 本発明の巻上機が適用されたエレベーター装置の鉛直方向上方から見た昇降路断面の配置図である。 本発明の一実施例を示す巻上機の正面図である。 本発明の一実施例を示す巻上機ブレーキ部分の正面要部拡大図である。 制動部材が被制動部に接触した直後のブレーキ部分動作説明用の要部拡大図である。 制動部材が反力受け部材に支持された状態を示すブレーキ部分動作説明用の要部拡大図である。 本発明の他の実施例を示す要部拡大図である。
以下、本発明の一実施の形態を例に挙げて、本発明を説明する。
図1は本発明の巻上機が適用されたエレベーター装置の全体構成を示す斜視図である。
同図において、エレベーター装置30は、昇降路22内を昇降する乗りかご1及び釣合いおもり2、乗りかご1及び釣合いおもり2を吊持するロープである主索3、主索3が駆動シーブ5に巻き掛けられた巻上機4を備えている。そして乗りかご1及び釣合いおもり2は駆動シーブ5に巻き掛けられた主索3が巻上機4によって駆動されることで昇降路内を昇降する。
図2は本発明の巻上機が適用されたエレベーター装置の鉛直方向上方から見た昇降路断面の配置図である。巻上機4は昇降路22内の一壁面に沿って平行に設置する薄型タイプとなっていて、昇降路22の内部に配置されている。巻上機4は、主索3が巻き掛けられた駆動シーブ5、駆動シーブ5を回転させるモータ6を内蔵し、駆動シーブ5の回転を制動する制動手段7を有している。なお薄型タイプの巻上機とは、その幅に対して厚さ方向の大きさのほうが小さなタイプの巻上機を言うものとする。
図3は本発明の一実施例を示すエレベーター用巻上機の正面図である。制動手段7は、駆動シーブ5の回転軸とその回転軸を同じくするモータ6と一体に回転される被制動体8と、被制動体8の回転を制動するブレーキ装置9を有している。本実施形態では被制動体8として直径に対して厚さのほうが小さな円筒状のブレーキドラムが用いられている。また、ブレーキ装置9は被制動体8の外周円周面に対向して上下に一対備えられており、モーターフレーム10に取り付けられている。モーターフレーム10はモータの回転子の周囲に設けられ、モータの強度を補強する役割も果たしている。
図4は本発明の一実施例を示す巻上機ブレーキ部分の正面要部拡大図である。ブレーキ装置9は、ロッド12と、可動鉄心13と、制動部材11と、ブレーキばね14と、電磁マグネット15から構成されている。電磁マグネット15は、ブレーキコイル(電磁コイル)16を有している。
ロッド12は可動鉄心13と接合されている。また、制動部材11はロッド12の先端12a側に取り付けられている。ブレーキばね14は可動鉄心13を押圧しており、その結果、可動鉄心13が取り付けられたロッド12を介して制動部材11を被制動体8の外周部8aに押圧する。
そしてブレーキコイル16に電流を流すことにより、電磁マグネット15が励磁され、ブレーキ装置9の制動力を解除するための電磁力が発生し、ブレーキばね14のばね力による押付力に抗して制動部材11が被制動体8から開離される。また、ブレーキコイル16への通電を遮断することにより、電磁マグネット15の励磁が解除され、ブレーキばね14のばね力により制動部材11が被制動体8に押圧される。このように制動部材11は被制動体8の径方向に動作して被制動体8を押圧するように構成されていて、ロッド12の動作によって被制動体8の外周部8aに接離可能に構成されている。この際、被制動体8の外周部8aに作用する制動部材11の押付力と、押付力を解除する力の両方を、レバー等の減速機構を介さずにロッド12によって直接伝達する構造となっており、押付力の減速及び伝達機構が不要なため、ブレーキ装置9全体の部品点数減による小型化に対応する構造となっている。
ここで、図4において、モーターフレーム10には、ブレーキ装置9の設置部分からせり出すように、一体化されたガイド17が設けられている。ガイド17は被制動体8の回転する方向、つまり、被制動体8は図4で右回り又は左回りに回転するため、被制動体8の回転軸方向から見たときに制動部材11の左右両端に僅かな隙間を有して、互いに対向して制動部材11を挟んで設けられている。また本実施形態では、対向するガイド17の間にブレーキ装置9の設置状態のまま、制動部材11を巻上機軸方向に脱着及び出し入れを可能とすることを目的とした切欠き部23がモーターフレーム10に設けられ、その大きさは制動部材11を回転軸方向に脱着及び出し入れ可能なものとなっている。
図5は制動部材が被制動部に接触した直後のブレーキ部分動作説明用の要部拡大図、図6は制動部材が反力受け部材に支持された状態を示すブレーキ部分動作説明用の要部拡大図である。続いて図4,図5,図6より、本発明の一実施例であるエレベーター用巻上機ブレーキ部分の動作を説明する。図4に示すように、制動部材11が被制動体8から開離された状態、及び電磁マグネット15の励磁が解除されて制動部材11が被制動体8の外周部8aに接触するまでのガイド17間を被制動体8の径方向に移動している状態においては、制動部材11とガイド17の間に力の作用は無い。このように、ガイド17と制動部材11の被制動体8の回転方向の両端部の間には、僅かな隙間が設けられており、制動部材11が動作する際にガイド17と制動部材11の間で摩擦が発生することが抑えられる構成となっている。
そして、図5に示すように制動部材11が被制動体8の外周部8aに接触して押圧されると、被制動体8は回転しているため、その摩擦力によって、制動部材11は被制動体8の回転方向側、図5に示した例では右に向かって移動させられるような力を受けることになる。
摩擦力により被制動体8の回転方向側に力を受けた制動部材11は、本実施例では僅かに制動部材11が被制動体8の回転方向に向かって移動可能に構成されており、被制動体8の回転方向に移動することで図6に示すように、制動部材11が被制動体8の回転方向側に位置するガイド17に接触し、制動部材11が被制動体8の回転方向側へと移動しようとする動きを、ガイド17が抑制し、制動部材11に掛かる被制動体8の回転による摩擦力を負担する構造となっている。つまりガイド17が、制動部材11に掛かる被制動体8の回転による摩擦力を負担する反力受け部材を形成している。
なお、本実施形態では図5及び図6に示すように制動部材11はロッド12との接合部に球面座18が設けられており、摩擦材19が設置されているシュー20との間に設けられた隙間によって微小可動となる構造を有している。そして、制動部材11が被制動体8の外周面8aに接触した際に摩擦力により被制動体8の回転方向側に力を受けると、球面座18とシュー20の相対的な位置が変動することで、僅かに制動部材11が被制動体8の回転方向に向かって移動することが可能に構成されている。
また、上述の説明では被制動体8の回転方向が右回りの場合を挙げて説明したが、被制動体8は左回りに回転することもあり、このような場合に制動部材11が被制動体8の外周部8aに接触すると制動部材11は左に向かって移動させられるような力を受ける。そして摩擦力により僅かに左に移動した制動部材11は図5に示した制動部材11の左側に位置するガイド17に接触し、制動部材11が被制動体8の回転方向側へと移動しようとする動きを、ガイド17が抑制し、制動部材11に掛かる被制動体8の回転による摩擦力を負担するのである。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、本実施形態ではモータ6と被制動体8が一体となる構造となっているが、モータ6と被制動体8を別々に設置する構造としても良い。また、ブレーキ装置9の制動力を、レバー等の減速機構を介して被制動体8に伝達する構造とすることも可能である。また、昇降路22内に設置する薄型タイプの巻上機に限らず、機械室内に設置するタイプの巻上機においても適用可能であり、ブレーキ装置9の設置数も本実施例のように2つではなくその数の増減も可能である。
また、上述の説明ではガイド17について、制動部材11の両側に分離した構造となっているが、ガイド17が完全に分離している必要は無く、一部が補強部により繋がっている構造や、図7に示すように、対向するガイド17の間を補強部24にて接続して窓状の切欠き部21を設けた構造としても良い。
以上のように本発明に係る巻上機は、ブレーキ装置9を、被制動体8の外周部に対向してモーターフレーム10に配設し、さらにモーターフレーム10に一体化された反力受け部材であるガイド17を設けたことにより、ブレーキ装置9の制動部材11が被制動体8の回転方向側へ移動しようとするのを、ガイド17が抑制する働きを有するため、被制動体8の回転方向側に発生する摩擦反力は、ロッド12ではなくガイド17が負担することとなる。そのため従来の、制動時に被制動体8の回転方向に発生する摩擦反力をブレーキ本体で負担する構造を有する巻上機と比較して、ブレーキ装置9自身が被制動体8の回転方向の摩擦力に耐え得る強度を確保する必要が無いため、ブレーキ本体の負担が低減されることで大幅な小型化を実現でき、巻上機全体の省スペース化に対応することができる。
また、ガイド17をモーターフレーム10に一体化することにより、ブレーキ装置9に新たな部品を追加することなくガイド効果が得られるため、反力受け用の部品を別に取り付けた場合に比べて部品点数を少なくできる。
また、制動部材11を巻上機軸方向に脱着可能とすることを目的とした切欠き部23や窓状切欠き部21等を、モーターフレーム10に設けた構造とすることで、制動部材11の交換の際にブレーキ装置9をモーターフレーム10から取り外す事無く、制動部材11を脱着することができる。また、制動部材11の磨耗状態をブレーキ装置9の設置状態のまま確認することもできるため、メンテナンス性に優れた巻上機とすることができる。
また、ガイド17と制動部材11の被制動体8の回転方向の両端部の間には、僅かな隙間が設けられており、制動部材11が動作する際にガイド17と制動部材11の間で摩擦が発生しないので、ブレーキ装置9の開離及び制動動作が妨げられることや、制動部材11とガイド17の間での摩擦により制動部材11が摩耗してしまうようなことが無い。従ってこのような点からもメンテナンスの頻度を低減することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
さらに、上述のような巻上機を使用したエレベーターによれば、効率的なレイアウトひいては省スペース化が可能なエレベーター装置を提供することができる。
また、本実施形態における巻上機4は、ブレーキ装置9が被制動体8の外周円周面に対向して上下に一対備えられている。昇降路内に巻上機4を設置する場合、昇降路は縦長形状のため、横方向の大きさには非常に制限が大きいが、縦方向には比較的余裕がある。従って、巻上機4の上下にブレーキ装置9を一対備える構成は、より効率的なレイアウトひいては省スペース化に貢献する。
そして、このような巻上機4は機械室内ではなく、昇降路22内に配置されることで、その巻上機のメンテナンス性能を十分に発揮するとともに効率的なレイアウト及び省スペース化への十分な貢献を果たすものとすることが可能となり、エレベーター装置全体の性能に大きく寄与するものとできる。
1 乗りかご
2 釣合いおもり
3 主索
4 巻上機
5 駆動シーブ
6 モータ
7 制動手段
8 被制動体
9 ブレーキ装置
10 モーターフレーム
11 制動部材
12 ロッド
13 可動鉄心
14 ブレーキばね
15 電磁マグネット
16 ブレーキコイル(電磁コイル)
17 反力受け部材(ガイド)
18 球面座
19 摩擦材
20 シュー
21 窓状切欠き部
22 昇降路
23 切欠き部
24 補強部
30 エレベーター装置

Claims (5)

  1. 被制動体と、前記被制動体の外周部に制動部材を押圧して制動するブレーキ装置と、モーターフレームを備える巻上機において、前記制動部材が前記被制動体を押圧した際に、前記被制動体の回転による摩擦力を負担する反力受け部材をモーターフレームで構成したことを特徴とする巻上機。
  2. 前記制動部材は前記被制動体の径方向に動作して前記被制動体を押圧するように構成されると共に、前記反力受け部材は前記被制動体の回転方向における前記制動部材の両端に隙間を有して対向して前記制動部材を挟んで設けられ、
    前記反力受け部材は前記制動部材が前記被制動体を押圧した際に、前記制動部材は前記被制動体との摩擦により前記被制動体の回転方向に移動し、前記制動部材の端部側面が前記反力受け部材と接触して、前記反力受け部材が前記被制動体の回転による摩擦力を負担し、
    対向する前記反力受け部材の間には前記制動部材を前記被制動体の回転軸と平行な方向に出し入れ可能な大きさの切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の巻上機。
  3. 対向する前記反力受け部材の間は補強部にて接続され、前記切欠き部が窓状に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の巻上機。
  4. 昇降路内を昇降する乗りかご及び釣合いおもりと、前記乗りかご及び前記釣合いおもりを吊持するロープと、前記ロープが巻き掛けられた巻上機とを有するエレベーター装置において、
    前記巻上機は被制動体と、前記被制動体の外周部に制動部材を押圧して制動するブレーキ装置と、モーターフレームを備え、前記制動部材が前記被制動体を押圧した際に、前記被制動体の回転による摩擦力を負担する反力受け部材をモーターフレームで構成したことを特徴とするエレベーター装置。
  5. 前記巻上機が前記昇降路内に配置されることを特徴とする請求項4に記載のエレベーター装置。
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