JP2011187624A - 希土類系永久磁石およびその製造方法 - Google Patents

希土類系永久磁石およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】150℃以下の温度範囲で、温度上昇による保磁力の低下が極めて小さく、かつ実用的な保磁力を有する、Y−T−B系永久磁石を提供する。
【解決手段】Y−T−B系永久磁石において、その組成を適正なものとすることによって、特に、YおよびBの量をY14Bの化学量論組成より大きくし、組成をY(100−x−z)(13≦x≦20、7≦z≦20)とすることによって、異方性磁界の小さいY14B相を主相としながらも実用的な保磁力を有する磁石を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、希土類系永久磁石およびその製造方法に関し、特にYを主たる希土類元素とし、使用される温度範囲において温度上昇による保磁力の低下の極めて小さいY−T−B系永久磁石およびその製造方法に関する。
高性能永久磁石として代表的なR−T−B系永久磁石(Rは希土類元素、TはFeまたはその一部がCoによって置換されたFe、Bはホウ素)は、三元系正方晶化合物でNdFe14B型結晶構造を有するR14B相を主相として含む組織を有し、優れた磁気特性を発揮する。上記R−T−B系永久磁石の希土類元素Rは、Nd、Pr、Dy、Tbをその総和として90%以上含み、現在、コンピュータ用や自動車用の各種モータ、家電製品などに広く使用されている。上記R−T−B系永久磁石の優れた磁気特性は、主相であるR14B相が大きな飽和磁化および大きな異方性磁界を有することに起因する。
しかしながら、このR−T−B系永久磁石は、温度が上昇すると元の温度に戻ったときに減磁する「不可逆減磁」が起こるという問題を有している。これは主相であるR14B相の異方性磁界が温度の上昇と共に小さくなり、結果として磁石の保磁力が低下することが原因となっている。高温における不可逆減磁を抑えるためには高温下でも高い保磁力が要求され、これを満足するために、磁石そのものの保磁力を大きくする方法、すなわち、温度上昇による保磁力の低下分を見込んで、室温での保磁力を大きくする方法が採用されている。この方法としては、例えば、R14B相の異方性磁界を向上させるために、RとしてDy、Tb等の重希土類元素を最大で総希土類量の30%程度使用する方法があるが、これらの重希土類元素は希少元素であるため、原料コストの上昇原因となっている。また、これらの重希土類元素を用いた場合においても、R14B相の異方性磁界は温度の上昇により低下するため、温度上昇に伴い保磁力が低下すると言う問題は解決できておらず、例えば、室温における保磁力が非常に大きくなるため、多くの場合着磁の際に大きな磁界を必要とし、着磁特性に課題を有するなどの問題がある。
14B相の異方性磁界が温度の上昇により低下するという問題は、使用されるRの有する軌道磁気モーメントの大きさが温度上昇と共に小さくなることに由来する。温度上昇に伴う軌道磁気モーメントの低下は原理的に避けることができないため、Rとして軌道磁気モーメントを有する元素を用いる限り、高温での保磁力の低下は避けることができない。すなわち、高温での不可逆減磁を避けるためには、Rとして軌道磁気モーメントを有さない希土類元素を用い、温度上昇による保磁力の低下の極力少ない、要求温度(例えば150℃)までの保磁力の変化率(保磁力の温度係数)の絶対値が小さい磁石とする必要がある。
特許文献1には、軌道磁気モーメントを有さない希土類元素であるY(イットリウム)を使用したR−T−B系永久磁石が記載されている。特許文献1においては、Rとして、総R量に対し15原子%以上、好ましくは50原子%以上のYと、Y以外の少なくとも1種の希土類元素を含むことが必須となっており、その実施例においては、Y以外の希土類元素としてDyのみが記載されている。しかしながらこの実施例において、保磁力の温度係数が最も良好な磁石でもその値は−0.29%/℃と絶対値が大きい。これは、Rとして、Yの他に軌道磁気モーメントを有する希土類元素(実施例ではDy)を使用しているためである。また、実施例でY以外の希土類元素としてDyが使用されているのは、Y−Fe−B三元系では主相となるYFe14B相の異方性磁界が約1.6MA/mと小さいために十分な保磁力が得られなかったためであると考えられる。特許文献1の比較例にはY以外の希土類元素を使用していないY−Fe−B三元系の磁石(Y2.2Fe14B)が記載されているが、室温においても実用的な保磁力は得られていない。
WO2004/046409国際公開パンフレット
本発明は、上記の問題を解決し、150℃以下の温度範囲で、温度上昇による保磁力の低下が極めて小さく、かつ実用的な保磁力を有する、Y−T−B系永久磁石を提供することを目的とする。
本発明者らは、Y−T−B系永久磁石において、その組成を適正なものとすることによって、特に、YおよびBの量をY14Bの化学量論組成より大きくすることによって、異方性磁界の小さいY14B相を主相としながらも実用的な保磁力を有する磁石が得られ、得られた磁石は従来のR−T−B系永久磁石と比べて温度上昇による保磁力の低下がはるかに少ないことを見出した。
以上の知見により完成された本発明のY−T−B系永久磁石は、その組成がY(100−x−z)(13≦x≦20、7≦z≦20)であることを特徴とする。
また、本発明のY−T−B系永久磁石の製造方法は、組成がY(100−x−z)(Yはイットリウム、TはFeまたはその一部がCoによって置換されたFe、Bはホウ素、13≦x≦20、7≦z≦20)である合金を、液体超急冷法によって作製し、600℃以上800℃以下の温度範囲にて熱処理を施すことを特徴とする。
本発明によれば、異方性磁界の小さいY14B相を主相としながらも実用的な保磁力を有する磁石が得ることができ、得られたY−T−B系永久磁石は従来のR−T−B系永久磁石と比べて温度上昇による保磁力の低下がはるかに少なく、高温における磁気特性、および室温における着磁特性に優れる。
本発明の実施例1における磁気特性の測定結果である。 本発明の実施例2における磁気特性の測定結果である。 本発明の実施例1および2におけるY−T−B系永久磁石のX線回折の結果である。 本発明の実施例5における磁気特性の測定結果である。 本発明の実施例6における着磁特性の測定結果である。 本発明の実施例8における磁石組織の透過型電子顕微鏡写真である。 本発明によるY−T−B系永久磁石の製造に用いる急冷装置の全体構成の一例を示す断面図である。
本発明のY−T−B系永久磁石は、その組成がY(100−x−z)(13≦x≦20、7≦z≦20)であることを特徴とする。本発明のY−T−B系永久磁石は、YFe14B相を主体とし、残留磁束密度が0.45T以上、保磁力が240kA/m以上の実用的な磁石特性を有する。
また本発明のY−T−B系永久磁石の製造方法は、組成がY(100−x−z)(13≦x≦20、7≦z≦20)である合金を、液体超急冷法によって作製し、600℃以上800℃以下の温度範囲にて熱処理を施すことを特徴とする。
なお、本発明において、永久磁石および磁石とは、液体超急冷法によって得られた急冷合金を熱処理して得られた磁石薄帯、磁石薄帯を粉砕または急冷合金を粉砕して熱処理して得られた磁石粉末、磁石粉末を樹脂と混合、成形して得られたボンド磁石、磁石粉末を熱間成形して得られたバルク磁石を含み、磁気特性が発現しているものを意味するものとする。
Y量xは13≦x≦20である。xが13未満であると、不純物相として軟磁性相であるYFe相およびα−Fe相が生成し、保磁力低下の原因となる。なお、RFe相は、RがNdの場合は生成しない異相である。また、xが20を超えると、YFe14B相の化学量論組成からのずれが大きくなることによってYFe14B相の体積比率が減少し、残留磁束密度が低下する。より高い残留磁束密度を得るためには、13≦x≦17であることが望ましい。
B量zは7≦z≦20である。zが7未満であると、後述の、非晶質相がYFe14B相の外側を取り囲むように分布し、各YFe14B相を磁気的に孤立化させている、高い保磁力を発現する磁石組織が生成しない。さらに、不純物相として軟磁性相であるYFe23相が生成して保磁力低下の原因となる場合がある。なお、RFe23相は、RがNdの場合は生成しない異相である。また、zが20を超えると、YFe14B相の化学量論組成からのずれが大きくなることによってYFe14B相の体積比率が減少し、残留磁束密度が低下する。より高い残留磁束密度を得るためには、7≦z≦11であることが望ましい。Bはその一部をCで置換してもよい。Cの置換量はBに対して10原子%以下とすることが好ましい。
組成残部であるTは、FeまたはFeおよびCoである。Co量はTに対して0原子%以上10原子%以下が好ましい。Co量の増加によりY14B相のキュリー温度を上昇させることができる。Co量がTに対して10原子%を超えるとY14B相の異方性磁界の減少を招き、結果として保磁力が低下してしまう恐れがある。
さらに、磁気特性向上などの効果を得るため、Al、Ti、V、Cr、Ga、Nb、Mo、In、Sn、Hf、Ta、W、Cu、Ag、Bi、Si、ZrなどのM元素を適宜添加しても良い。特に、Hf、Nb、Zr、Siの添加は保磁力を向上させる効果があり、Cuの添加は残留磁束密度を向上させる効果がある。ただしM元素の添加量の増加は、特に飽和磁化の低下を招く恐れがあるため、組成全体に対して総量で10原子%以下とすることが好ましい。
上述した本発明の組成は、YFe14B相の化学量論組成よりもY量およびB量いずれも多い組成であるが、後述の実施例1および2にて調査したX線回折の結果(図3)からは、本発明の組成のY−T−B系永久磁石には結晶相としてYFe14B相しか確認されなかったため、熱処理を施しても一部結晶化が起こっていない領域が存在していると考えられる。これは、YFe14B相の結晶化の過程でYおよびBが非晶質相に濃化し、好適な熱処理条件においてはYおよびBの濃化した非晶質相が結晶化せずに残留するためと推察される。非晶質相はYFe14B相の外側を取り囲むように分布し、各YFe14B相を孤立化させていると考えられる。また、本発明のY−T−B系永久磁石は、後述の実施例で示すように、YFe14B相の結晶粒径が150nm以下の微細な結晶組織を有している。以上のような磁石組織を有することにより、実用的な保磁力が得られたものと推察される。
本発明のY−T−B系永久磁石の製造方法は、上記組成を有する合金溶湯を公知の液体超急冷法によって急冷することにより急冷合金を作製する。通常の溶解法では、結晶粒径が150nm以下のYFe14B相の外側を上述の非晶質相が取り囲むように分布した高い保磁力を発現する磁石組織が生成せず、かつ、α−Fe相、YFe相、YFe23相などの軟磁性相が晶出しやすいが、液体超急冷法では、溶湯から急速凝固することによりこれらの軟磁性相の晶出を抑制することができるとともに、急冷合金に対し磁気特性向上のための熱処理を施した場合においても、これらの軟磁性相の析出を抑制することができるという利点がある。超急冷法としては、単ロール超急冷法、双ロール超急冷法、アトマイズ法などの公知の急冷方法を用いることができる。以下に、本実施形態の一例として、図7に示す急冷装置を用いた単ロール超急冷法による急冷合金の作製方法を示す。
図7は、本発明で用いることのできる急冷装置の一例を示している。不活性ガス雰囲気中において高周波溶解した合金1を、0.5〜2mmφのオリフィス径を有する出湯ノズル2から、高速で回転する冷却ロール3に噴射することによりリボン状の急冷合金4を得ることができる。その際の冷却ロール3の材質としては,熱伝導性や耐久性に優れる炭素鋼、タングステン、鉄、銅、モリブデン、ベリリウム銅またはそれらの合金から形成された基材を有していることが好ましい。また、冷却ロール3の表面速度(ロール周速度)は20〜50m/sとすることが好ましい。20m/s未満になると冷却速度が十分高くないために急冷合金中の組織が粗大となるとともに、α−Fe相、YFe相、YFe23相などの軟磁性相が晶出しやすくなるため、良好な磁気特性が得られない恐れがある。また、50m/sを超えても,それ以上冷却速度は向上せず、むしろ生産性の安定化を阻害する可能性が生じる。本実施形態の場合、合金溶湯の冷却速度は、5×10℃/秒以上5×10℃/秒以下の範囲となることが好ましい。
上記方法により作製した急冷合金を真空中又は不活性ガス中で熱処理を施すことにより、主相であるYFe14B相が結晶化し、磁気特性が発現する。熱処理温度は、600℃以上800℃以下であることが好ましい。これは、YFe14B相の結晶化温度がこの温度範囲にあるためである。熱処理温度が600℃未満の場合は、YFe14B相の結晶化が十分に起こらないため、良好な磁気特性が得られない恐れがある。また、熱処理温度が800℃を超える場合は、結晶化したYFe14B相の結晶粒径が粗大化するために、保磁力の低下を招く恐れがある。熱処理温度は650℃以上750℃以下とすることがより望ましい。
熱処理時間は1分以上30分以下の範囲とすることが望ましい。熱処理時間が1分未満であると、YFe14B相の結晶化が十分に起こらないため、良好な磁気特性が得られない恐れがある。一方、熱処理の時間を30分を超えて長くすると、結晶粒径の粗大化が進行するとともに、α−Fe相、YFe相、YFe23相などの軟磁性相が生成し、保磁力の低下を招く恐れがある。熱処理時間は5分以上10分以下とすることがより望ましい。
本発明のY−T−B系永久磁石は、残留磁束密度が0.45T以上、保磁力が240kA/m以上となり、実用的な磁気特性を有する。
また、本発明のY−T−B系永久磁石を粉砕して、樹脂と混合、成形することにより、圧縮成形ボンド磁石を作製することができる。その際、好ましくは組成を13≦x≦17、7≦z≦11とすることにより、磁石粉末の残留磁束密度が0.6T以上、保磁力が240kA/m以上とすることができ、例えば圧縮成形等方性ボンド磁石とした時に、フェライト磁石と同等以上の磁気特性を有する。また、本発明のY−T−B系永久磁石を粉砕した後にホットプレス成形することにより、高残留磁束密度を有するバルク磁石を作製することができる。
本発明のY−T−B系永久磁石は、室温から150℃までの範囲で温度上昇による保磁力の低下が極めて少ない。室温における保磁力が大きくなりすぎることがないので、室温での着磁特性に優れている。また、YFe14B相はNdFe14B相と比べて密度が小さいため、本発明によるY−T−B系永久磁石は従来のR−T−B系永久磁石に比べて重量を低減することができる。したがって、本発明の永久磁石をモータの回転子などの駆動部に使用した場合においては、省エネルギー化、および応答性の向上が期待できる。
(実施例1)
Fe(90−x)10(x=10〜20)組成の合金をAr雰囲気中で溶解し、図7に示す急冷装置を用いて、それぞれの溶湯を0.8mmφのオリフィス径を有する出湯ノズルから周速度30m/sで回転するロールに噴射して、厚さ約30μmのリボン状の急冷合金を作製した。これらの急冷合金を乳鉢乳棒で125μm以上250μm以下の粒子径に粉砕し、Ar雰囲気中680℃で10分間の熱処理を施した磁石粉末の磁気特性をVSM(試料振動型磁力計)により測定した結果を図1に示す。図1より、x=12〜13の間で保磁力が急激に変化し、また、xの増加とともに残留磁束密度が低下しており、13≦x≦20においては、残留磁束密度が0.45T以上、保磁力が240kA/m以上、さらに、13≦x≦17においては、残留磁束密度が0.6T以上、保磁力が240kA/m以上と、実用的な磁石特性を有することがわかった。
(実施例2)
15Fe(85−z)(z=3〜25)組成の合金をAr雰囲気中で溶解し、図7に示す急冷装置を用いて、それぞれの溶湯を0.8mmφのオリフィス径を有する出湯ノズルから周速度30m/sで回転するロールに噴射して、厚さ約30μmのリボン状の急冷合金を作製した。これらの急冷合金を乳鉢乳棒で125μm以上250μm以下の粒子径に粉砕し、Ar雰囲気中680℃で10分間の熱処理を施した磁石粉末の磁気特性をVSMにより測定した結果を図2に示す。図2より、z=6〜7の間で保磁力が急激に変化し、また、zの増加とともに残留磁束密度が低下しており、7≦z≦20においては、残留磁束密度が0.45T以上、保磁力が240kA/m以上、さらに、7≦z≦11においては、残留磁束密度が0.6T以上、保磁力が240kA/m以上となり、実用的な磁石特性を有することがわかった。
実施例1および2において、本発明の組成(13≦x≦20および7≦z≦20)範囲外のY−T−B系永久磁石において、保磁力および残留磁束密度が低下した原因を調査するために、それぞれY15Fe76、Y12Fe7810、Y15Fe81の組成を有する磁石に対してX線回折測定を行った結果を図3に示す。図3より、本発明の組成であるY15Fe76組成を有する磁石では、主相であるYFe14B相の回折ピークのみが確認されたが、Y量の少ないY12Fe7810組成を有する磁石においては、不純物相として軟磁性相であるYFe相およびα−Fe相が確認され、またB量の少ないY15Fe81組成を有する磁石においては、不純物相として軟磁性相であるYFe23相の存在が確認され、これらが保磁力低下の原因の1つであると考えられる。
(実施例3)
表1に示した各種組成の合金をAr雰囲気中で溶解し、図7に示す急冷装置を用いて、それぞれの溶湯を0.8mmφのオリフィス径を有する出湯ノズルから周速度30m/sで回転するロールに噴射して、厚さ約30μmのリボン状の急冷合金を作製した。これらの急冷合金を乳鉢乳棒で125μm以上250μm以下の粒子径に粉砕し、Ar雰囲気中680℃で10分間の熱処理を施した磁石粉末の磁気特性をVSMにより測定した結果を表1に示す。表1より、YFe(100−x−z)(13≦x≦20、7≦z≦20)の組成を有する磁石においては残留磁束密度が0.45T以上、保磁力が240kA/m以上となり、実用的な磁石特性を有することがわかった。
(実施例4)
15Fe7510およびY15Fe7310(M=Hf、Nb、Zr、Si、Cu)組成の合金をAr雰囲気中で溶解し、図7に示す急冷装置を用いて、それぞれの溶湯を0.8mmφのオリフィス径を有する出湯ノズルから周速度30m/sで回転するロールに噴射して、厚さ約30μmのリボン状の急冷合金を作製した。これらの急冷合金を乳鉢乳棒で125μm以上250μm以下の粒子径に粉砕し、Ar雰囲気中680℃で10分間の熱処理を施した磁石粉末の磁気特性をVSMにより測定した結果を表2に示す。Y15Fe7310(M=Hf、Nb、Zr、Si)組成を有する磁石では、Y15Fe7510組成を有する磁石よりも高保磁力となり、Y15Fe7310(M=Cu)組成を有する磁石では、Y15Fe7510組成を有する磁石よりも高残留磁束密度となることがわかった。
(実施例5)
15Fe7510の合金をAr雰囲気中で溶解し、図7に示す急冷装置を用いて、0.8mmφのオリフィス径を有する出湯ノズルから周速度30m/sで回転するロールに噴射して、リボン状の急冷合金を作製した。この急冷合金にAr雰囲気中680℃で10分間の熱処理を施した磁石薄帯について、室温から250℃までの各温度における磁気特性をVSMにより測定した結果を図4に示す。図4より、保磁力は室温から150℃までの温度範囲ではほとんど低下しておらず、さらに、200℃までは実用的な保磁力を有していることがわかる。また、室温から100℃および室温から150℃の範囲における保磁力の温度係数を求め、表3に示す。また、表3には同様の方法で製造されたNd−Fe−B系永久磁石(組成:Nd13.2Fe80.7Co0.35.5Al0.3)の保磁力の温度係数も合わせて示す。本発明における永久磁石の保磁力の温度係数は、室温から100℃の温度範囲では正の値を示し、室温から150℃までの温度範囲では極めて小さな負の値を示しており、Nd−Fe−B系と比べ温度上昇による保磁力の低下は非常に小さいことがわかった。
(実施例6)
15Fe7510の合金をAr雰囲気中で溶解し、図7に示す急冷装置を用いて、0.8mmφのオリフィス径を有する出湯ノズルから溶湯を周速度30m/sで回転するロールに噴射して、リボン状の急冷合金を作製した。この急冷合金にAr雰囲気中680℃で10分間の熱処理を施した磁石薄帯、および同様な方法で作製された200℃において同程度の保磁力を有するNd−Fe−B系磁石薄帯(組成:NdFe84Ti)について、VSMにより着磁特性を測定した。着磁後の磁束密度Φは、未着磁の磁石に対し電磁石で所定の着磁磁界を印加した後に磁界を除去し、その際に残留している磁束密度で評価した。室温における着磁特性の結果を図5に示した。図5より、650kA/m以下の着磁磁界においては、本発明の磁石はNd−Fe−B系磁石よりも良好な着磁特性を有することがわかった。
(実施例7)
15Fe7510の合金をAr雰囲気中で溶解し、図7に示す急冷装置を用いて、0.8mmφのオリフィス径を有する出湯ノズルから溶湯を周速度30m/sで回転するロールに噴射して、厚さ約30μmのリボン状の急冷合金を作製した。この急冷合金をAr雰囲気中680℃で10分間の熱処理を施した後に乳鉢乳棒を用いて125μm以下の粒径に粉砕した。粉砕した磁石粉末に対し0.7重量%のエポキシ系樹脂を混合した後に成型し、密度5.4g/cmのボンド磁石を作製した。作製したボンド磁石は残留磁束密度が0.51T、保磁力が293kA/mであり、フェライト磁石と同等以上の磁気特性を有していた。
(実施例8)
17.5Fe72.510の合金をAr雰囲気中で溶解し、図7に示す急冷装置を用いて、0.8mmφのオリフィス径を有する出湯ノズルから溶湯を周速度30m/sで回転するロールに噴射して、厚さ約30μmのリボン状の急冷合金を作製した。この急冷合金をAr雰囲気中680℃で10分間の熱処理を施した後に乳鉢乳棒を用いて125μm以下の粒径に粉砕し、VSMにより磁気特性を評価したところ、残留磁束密度が0.59T、保磁力が303kA/mであった。この磁石粉末に対し透過型電子顕微鏡を用いて組織観察を行った結果、図6に示したように、約150nm以下の結晶粒径を有する組織であった。
本発明は、異方性磁界の小さいY14B相を主相としながらも実用的な保磁力を有する磁石が得ることができ、得られた磁石は従来のR−T−B系永久磁石と比べて温度上昇による保磁力の低下がはるかに少なく、高温における磁気特性、および室温における着磁特性に優れると言う点において、産業上の利用可能性を有する。

Claims (2)

  1. 組成がY(100−x−z)(Yはイットリウム、TはFeまたはその一部がCoによって置換されたFe、Bはホウ素、13≦x≦20、7≦z≦20)であることを特徴とする、Y−T−B系永久磁石。
  2. 組成がY(100−x−z)(13≦x≦20、7≦z≦20)である合金を液体超急冷法によって作製し、600℃以上800℃以下の温度範囲にて熱処理を施すことを特徴とする、Y−T−B系永久磁石の製造方法。
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