JP2011187164A - 塗膜形成用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温条件かつ安価な装置を用いて塗膜を形成した場合にも、酸化チタン微粒子間の結合力及び基板との密着性を向上させ、適度なメソポアを形成して電解液を浸透しやすくし、充分な電子伝導性が得られる塗膜形成用組成物を提供する。
【解決手段】平均粒子径が5〜500nmの酸化チタン微粒子(A)と、酸化チタンバインダー(B)とを含む塗膜形成用組成物であって、
酸化チタンバインダー(B)は、平均粒子径が、0.1〜10nm(酸化チタン微粒子(A)の平均粒子径より小さい)のアナターゼ型酸化チタン微粒子(B1)と、チタンアルコキシド(B2)とが共存しており、乾燥固形物が150℃以下の温度で結晶性を示す、塗膜形成用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素増感太陽電池等の光電変換素子に用いられる塗膜形成用組成物、並びにそれを用いて得られる多孔質塗膜、電極、光電変換素子及び色素増感太陽電池に関する。
通常、色素増感太陽電池に用いるメソポーラスな酸化チタン電極は、酸化チタン微粒子と樹脂とを含むペーストを塗布し、400℃以上の温度で樹脂成分を焼き飛ばして細孔を形成するとともに酸化チタン微粒子間にネッキングと呼ばれる焼結の前段階の結合を得ている。
この際、ガラス基板等を用いる場合には、400℃以上という高温処理が可能であるが、樹脂基板を用いる場合には、電極の耐熱性の範囲内、例えば150℃以下程度の低温で、上記のネッキングを形成する必要がある。
低温で酸化チタン微粒子間の結合を得る方法として、加圧する方法、マイクロ波で局部的な加熱をする方法等が提唱されているが、生産設備が大掛かりとなり、量産には向かない。
また、酸化チタン微粒子間を酸化チタン前駆体で結合する方法もあるが、酸化チタン前駆体がアモルファスの場合には、電子の伝導性が悪く、抵抗値が大きくなり、好ましくない。
一方、酸化チタン微粒子間の結合を、酸化チタンバインダーゾルを用いて行うことも知られている(特許文献1〜3、図1)。
しかし、特許文献1で使用されている酸化チタンバインダーゾルは、金属のアルコキシド化合物等を含むもののみで、酸化チタン微粒子又はその前駆体を含まないため、酸化チタンバインダーゾルの乾燥固形物はアモルファスとなり、電子の伝導性が悪くなる。
また、特許文献2及び3では、酸化チタンバインダーゾル中に酸化チタン微粒子が含まれることは記載されているが、金属アルコキシドが含まれていないため、酸化チタン微粒子間の結合が弱く、さらに、基板との充分な密着性が得られない。また、適度なメソポアの形成もできないため、電解液が浸透しにくくなる。
このように、低温条件かつ安価な装置を用いて塗膜を形成した場合にも、酸化チタン微粒子間の結合力及び基板との密着性を向上させ、適度なメソポアを形成して電解液を浸透しやすくし、充分な電子伝導性が得られる塗膜形成用組成物が求められている。
特開2001−357896号公報 特開2003−297442号公報 特開2005−56627号公報
本発明は、低温条件かつ安価な装置を用いて塗膜を形成した場合にも、酸化チタン微粒子間の結合力及び基板との密着性を向上させ、適度なメソポアを形成して電解液を浸透しやすくし、充分な電子伝導性が得られる塗膜形成用組成物を提供することを目的とする。
上記目的を鑑み、鋭意検討した結果、粒径の小さいアナターゼ型酸化チタン微粒子とチタンアルコキシドとを含み、乾燥固形物の結晶型が主としてアナターゼ型であるバインダーゾルと、粒径の大きい酸化チタン微粒子とを用いてペーストとすることで、上記課題を解決した塗膜形成用組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
項1.平均粒子径が5〜500nmの酸化チタン微粒子(A)と、酸化チタンバインダー(B)とを含む塗膜形成用組成物であって、
酸化チタンバインダー(B)は、平均粒子径が、0.1〜10nm(酸化チタン微粒子(A)の平均粒子径よりも小さい)のアナターゼ型酸化チタン微粒子(B1)と、チタンアルコキシド(B2)とが共存しており、乾燥固形物が150℃以下の温度で結晶性を示す、塗膜形成用組成物。
項2.チタンアルコキシド(B2)が、錯体を形成して安定化している、項1に記載の塗膜形成用組成物。
項3.乾燥固形物が、少なくともアナターゼ型を示す、項1又は2に記載の塗膜形成用組成物。
項4.酸化チタン微粒子(A)が、少なくともアナターゼ型を示す、項1〜3のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
項5.酸化チタンバインダー(B)中に含まれる固形分が、組成物中に含まれる全固形分の5〜50重量%である、項1〜4のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
項6.固形分濃度が5〜50重量%である、項1〜5のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
項7.項1〜6のいずれかに記載の塗膜形成用組成物を用いて形成された多孔質塗膜。
項8.項7に記載の多孔質塗膜が、樹脂基板又はガラス基板の上に形成されてなる電極。
項9.項8に記載の電極を用いて得られる光電変換素子。
項10.項9に記載の光電変換素子を用いて得られる、色素増感太陽電池。
本発明によれば、低温条件かつ安価な装置を用いて塗膜を形成した場合にも、酸化チタン微粒子間の結合力及び基板との密着性を向上させ、適度なメソポアを形成して電解液を浸透しやすくし、充分な電子伝導性が得られる塗膜形成用組成物を提供することができる。
酸化チタン微粒子同士が、酸化チタンバインダーゾルを用いて結合される状態を示す模式図である。 比較製造例1の酸化チタンバインダー(1)の分散液の室温乾燥物及び120℃乾燥物のラマンスペクトルである。 比較製造例2の酸化チタンバインダー(2)の分散液の室温乾燥物及び120℃乾燥物のラマンスペクトルである。 比較製造例3の酸化チタンバインダー(3)の分散液の室温乾燥物及び120℃乾燥物のラマンスペクトルである。 製造例1の酸化チタンバインダー(4)と直径20nmの酸化チタン微粒子との混合物(実施例1の酸化チタン電極(5)に相当)のTEM写真である。 製造例1の酸化チタンバインダー(4)の分散液の室温乾燥物のラマンスペクトルである。 比較例1の酸化チタン電極(1)及び比較例2の酸化チタン電極(2)の細孔分布を示すグラフである。 比較例3の酸化チタン電極(3)及び比較例4の酸化チタン電極(4)の細孔分布を示すグラフである。 実施例1の酸化チタン電極(5)、実施例2の酸化チタン電極(6)及び実施例3の酸化チタン電極(7)の細孔分布を示すグラフである。 比較例5の酸化チタン電極(8)及び比較例6の酸化チタン電極(9)の細孔分布を示すグラフである。 比較例7の酸化チタン電極(10)の細孔分布を示すグラフである。 図7〜9をまとめて、比較したグラフである。
1.塗膜形成用組成物
本発明の塗膜形成用組成物は、平均粒子径が5〜500nmの酸化チタン微粒子(A)と、酸化チタンバインダー(B)とを含む。以下、各成分について説明する。
1−1.酸化チタン微粒子(A)
本発明では、酸化チタン微粒子(A)は、塗膜を形成する際に相互に結合するものである。
この酸化チタン微粒子(A)は、平均粒子径が5〜500nm程度、好ましくは10〜50nm程度のものである。酸化チタン微粒子(A)の平均粒子径が小さすぎると、粒子どうしの接合点が増えて電子伝導が悪くなったり、粒子間に形成される空孔も小さく電解質の拡散が阻害されたりする。一方、酸化チタン微粒子(A)の平均粒子径が大きすぎると、色素を担持できる粒子の比表面積が少なくなり光の吸収率が少なくなる。酸化チタン微粒子(A)は、1種単独で用いてもよいし、平均粒子径の異なる2種以上の酸化チタン微粒子を混合して用いてもよい。例えば、光を散乱させて光の捕捉率を高めるためには、平均粒子径10〜50nm程度の酸化チタン微粒子とともに、平均粒子径100〜500nm程度の大きな酸化チタン微粒子を使用しても良い。なお、酸化チタン微粒子(A)の平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡観察(SEM又はTEM)により測定できる。
また、酸化チタン微粒子(A)の結晶型は特に制限されるわけではなく、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等のいずれでもよいが、光活性が高い点から、後述する酸化チタンバインダー(B)中に含まれる酸化チタン微粒子(B1)と同様の結晶型が好ましい。このような観点から、酸化チタン微粒子(A)は、少なくともアナターゼ型を示すことが好ましい。特に、酸化チタン微粒子(A)の70重量%以上をアナターゼ型とするのが好ましい。なお、酸化チタン微粒子(A)の結晶型は、例えば、ラマンスペクトル等により測定できる。
このような酸化チタン微粒子(A)は、特に制限されるわけではないが、公知又は市販のものを使用すればよい。
1−2.酸化チタンバインダー(B)
酸化チタンバインダー(B)は、平均粒子径が、0.1〜10nm(酸化チタン微粒子(A)の平均粒子径よりも小さい)のアナターゼ型酸化チタン微粒子(B1)と、チタンアルコキシド(B2)とが共存しており、150℃以下の温度で結晶性を示すものである。
この酸化チタンバインダー(B)は、酸化チタン微粒子(A)同士を結合させるために使用されるものである。
<酸化チタン微粒子(B1)>
本発明において、酸化チタンバインダー(B)中に酸化チタン微粒子(B1)を含ませることで、酸化チタンバインダーゾルの乾燥固形物が、150℃以下の温度で結晶性を示すこととなり、塗膜を形成した際に充分な電子伝導性が得られる。ここで、この酸化チタン微粒子(B1)の結晶型は、光活性が高い点からアナターゼ型である。特に、酸化チタン微粒子(B1)の70重量%以上をアナターゼ型とするのが好ましい。なお、酸化チタン微粒子(B1)の結晶型は、例えば、得られる酸化チタンバインダー(B)の乾燥固形物のラマンスペクトル測定等により測定できる。
ここで使用される酸化チタン微粒子(B1)は、平均粒子径が0.1〜10nm程度、好ましくは1〜6nm程度のものである。また、本発明では、酸化チタン微粒子(B1)としては、酸化チタン微粒子(A)よりも平均粒子径が小さいものを使用する。酸化チタン微粒子(B1)の平均粒子径が小さすぎると、結晶性が劣る。一方、酸化チタン微粒子(B1)の平均粒子径が大きすぎると、酸化チタン微粒子(A)の結合に寄与できない。なお、酸化チタン微粒子(B1)の平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡観察(SEM又はTEM)により測定できる。
このような酸化チタン微粒子(B1)は、公知又は市販のものを使用してもよいし、酸化チタン前駆体から作製してもよい。
酸化チタン微粒子(B1)を作製する場合は、例えば、作花済夫の「ゾル−ゲル法の科学」(アグネ承風社;1998年)、技術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」(まてりあ、第35巻、第9号、1012〜1018頁(1996年))に記載のゲル−ゾル法、デグッサ社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法等を採用すればよい。また、清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」(技報堂出版;1997年)に記載の硫酸法、塩素法等も採用できる。さらに、ゾル−ゲル法としては、Barbeら、ジャーナルオブアメリカンセラミックソサエティ、第80巻、第12号、3157〜3171頁(1997年)に記載の方法、Burnsideら、ケミストリーオブマテリアルズ、第10巻、第9号、2419〜2425頁に記載の方法等も採用できる。
<チタンアルコキシド(B2)>
本発明において、酸化チタンバインダー(B)中にチタンアルコキシド(B2)を含ませることで、酸化チタン微粒子(A)同士の結合を充分に強くし、基板との充分な密着性が得られる。また、適度なメソポアの形成もできる。
使用できるチタンアルコキシド(B2)としては、特に制限されるわけではないが、例えば、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラ−n‐ブトキシド、チタニウムテトラ−t‐ブトキシド、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート等が挙げられ、安定性が高いため、チタニウムテトラ−n−ブトキシドが好ましい。なお、これらのチタンアルコキシド(B2)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
このチタンアルコキシド(B2)は、錯体を形成して安定化していることが好ましい。錯体を形成して安定化することで、塗膜形成用組成物を作製した際にも、より確実に、酸化チタンバインダー(B)中にチタンアルコキシド(B2)が含まれることとなる。その結果、より確実に、酸化チタン微粒子(B1)とチタンアルコキシド(B2)とが共存している酸化チタンバインダー(B)が得られる。
チタンアルコキシド(B2)を、錯体形成により安定化させる方法としては、特に制限されるわけではないが、例えば、C=O結合を有する有機化合物とチタンアルコキシド(B2)とを混合し、C=O結合を有する有機化合物をチタンに配位させる方法等が挙げられる。この際の混合割合は、C=O結合を有する有機化合物を、モル比でチタンアルコキシドの2〜4倍程度とすればよい。
この際使用される有機化合物としては、C=O結合を有していればよく、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、オクチレングリコール、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、乳酸、乳酸アンモニウム等のキレート剤を使用することができる。
また、メチルアミン、エーテルアミン類、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(Hunig’s base)、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、カテコールアミン、フェネチルアミン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)アミノ酸、アマンタジン、スペルミジン、スペルミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミン類を使用することができる。
<酸化チタンバインダー(B)の製造方法>
本発明で使用する酸化チタンバインダー(B)は、分散媒中に、酸化チタン微粒子(B1)及びチタンアルコキシド(B2)を分散させて製造することができる。なお、チタンアルコキシド(B2)として、錯体を形成して安定化されたものを使用する場合には、C=O結合を有する有機化合物からなる溶媒中にチタンアルコキシド(B2)を混合し、その後、酸化チタン微粒子(B1)の分散液と混合すればよい。
このようにして得られた酸化チタンバインダー(B)は、乾燥固形物が150℃以下の温度で結晶性、特に少なくともアナターゼ型を示すものである。本発明では、酸化チタンバインダー(B)の乾燥固形物の60重量%以上がアナターゼ型を示すことが好ましい。酸化チタンバインダー(B)の乾燥固形物中のアナターゼ型を示す比率を向上させるためには、酸化チタン微粒子(B1)のチタンアルコキシド(B2)に対する割合を多くすればよい。
また、酸化チタンバインダー(B)において、結晶性およびアナターゼ比率の点から、
バインダー中の酸化チタン微粒子(B1)の占める割合を60〜90重量%程度とすることが好ましい。
なお、酸化チタンバインダー(B)には、上述の酸化チタン微粒子(B1)及びチタンアルコキシド(B2)以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で、チタンアルコキシド以外の酸化チタン前駆体、チタンハロゲン化物、加水分解可能な基を有するチタン化合物、これらの一部または全部の加水分解物、加水分解物を重合したもの等を含ませてもよい。この際使用できる酸化チタン前駆体としては、150℃以下程度の加熱により酸化チタンになるものであれば特に制限はなく、例えば、チタンハロゲン化物;アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基等を有するチタン化合物等が挙げられる。なお、これらの酸化チタン前駆体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
1−3.塗膜形成用組成物の製造方法
本発明の塗膜形成用組成物は、分散媒中で上記の酸化チタン微粒子(A)と酸化チタンバインダー(B)とを混合して得られる。なお、本発明の塗膜形成用組成物には、上記以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で、分散剤、増粘剤、高沸点溶媒等を含ませてもよい。
この際、酸化チタン微粒子(A)同士の結合力及び基板との密着性を向上させ、適切なメソポアが形成されて電解液が浸透しやすくなる点から、酸化チタンバインダー中に含まれる固形分(酸化チタン微粒子(B1))の割合が、全固形分(酸化チタン微粒子(A)及び酸化チタン微粒子(B1)の合計)の5〜50重量%程度、特に10〜30重量%程度となるように混合するのが好ましい。
また、組成物の粘度を適切に保ち、有効な膜厚の塗膜が得られる点から、全固形分(酸化チタン微粒子(A)及び酸化チタン微粒子(B1)の合計)濃度が5〜50重量%、特に20〜40重量%程度となるように混合するのが好ましい。
2.多孔質塗膜
本発明の多孔質塗膜は、上述の塗膜形成用組成物を用いて形成されるものである。
具体的には、適当な基板上に本発明の塗膜形成用組成物を塗布し、乾燥及び加熱させればよい。なお、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。また、加熱条件は、150℃以下とすれば、樹脂基板も用いることができる。
この際、得られる塗膜の膜厚が2〜40μm程度となるように塗布することが、クラック抑制及び基板との密着性の観点から好ましい。
3.電極
色素増感太陽電池用の電極を形成する際には、上述の多孔質塗膜を、樹脂基板又はガラス基板の上に形成する。
樹脂基板としては、導電性の樹脂基板であれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレンナフタレート樹脂基板(PEN樹脂基板)、ポリエチレンテレフタレート樹脂基板(PET樹脂基板)等のポリエステル;ポリアミド;ポリスルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリフェニレンサルファイド;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリメチルメタクリレート;ポリスチレン;トリ酢酸セルロース;ポリメチルペンテン等が挙げられる。
ガラス基板としても特に制限はなく、公知又は市販のものを使用すればよく、無色又は有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等のいずれでもよい。
この樹脂基板又はガラス基板としては、板厚が0.05〜10mm程度のものを使用すればよい。
本発明では、多孔質塗膜は、樹脂基板又はガラス基板の表面上に直接形成されていてもよいが、透明導電膜を介して形成されていてもよい。
透明導電膜としては、例えば、スズドープ酸化インジウム膜(ITO膜)、フッ素ドープ酸化スズ膜(FTO膜)、アンチモンドープ酸化スズ膜(ATO膜)アルミニウムドープ酸化亜鉛膜(AZO膜)、ガリウムドープ酸化亜鉛膜(GZO膜)等が挙げられる。これらの透明導電膜を介することで、発生した電流を外部にとりだすことが容易となる。これらの透明導電膜の膜厚は、0.02〜10μm程度とするのが好ましい。
本発明の電極としては、例えば、以下に示す2態様が挙げられる。
<態様1>
樹脂基板又はガラス基板上に、本発明の多孔質塗膜を、透明導電膜を介して形成し、本発明の電極とすることができる。なお、樹脂基板、ガラス基板及び透明導電膜は上述したとおりのものである。
具体的には、以下のように、電極を形成すればよい。
まず、樹脂基板又はガラス基板上に、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、ゾルーゲル法、ナノ粒子コンポジット等により透明導電膜を形成する。これにより得られる基板の表面抵抗は、50Ω/□以下とすることが好ましい。
そして、その上に、本発明の塗膜形成用組成物を塗布し、乾燥及び加熱させればよい。樹脂基板を使用する場合には、加熱条件は、150℃以下とすればよい。
この際、得られる塗膜の膜厚が2〜40μm程度となるように塗布することが、クラック抑制及び基板との密着性の観点から好ましい。
<態様2>
樹脂基板又はガラス基板上に、本発明の多孔質塗膜を直接形成し、さらにその上に、多孔質金属膜を形成して本発明の電極としてもよい。なお、樹脂基板及びガラス基板は上述したとおりのものである。また、樹脂基板又はガラス基板上に、本発明の多孔質塗膜を形成する際には、上記態様1と同様の方法を採用することができる。
態様2で使用できる多孔質金属膜としては、ヨウ素イオン、臭素イオン等の電解液中に含まれるイオンに侵されない(反応しない)金属であれば特に限定されないが、例えば、チタン、タングステン、白金、金等が挙げられる。これらの多孔質金属膜を形成することで、発生した電流を外部にとりだすことが容易となる。これらの多孔質金属膜の表面抵抗率は、特に限定されないが、10Ω/□以下であれば良く、膜厚も特に限定されないが、150nm以上とするのが好ましい。
樹脂基板又はガラス基板上に形成された多孔質塗膜のさらに上に、多孔質金属膜は、スパッタ法などの薄膜形成法により形成すればよい。
このようにして得られる本発明の電極は、比表面積が80〜200m/g程度、6〜20nmの細孔を30〜70%有するものである。ここで、比表面積及び細孔分布は、例えば、BET法にて測定することができる。
4.光電変換素子及び色素増感太陽電池
本発明の光電変換素子は、本発明の電極の多孔質塗膜の上に対向電極(対極)を形成し、これら電極間を電解液で満たすことにより得られる。電解液としては、ヨウ素イオン等の電解質をより多く溶解できるよう、誘電率の高いものが好ましく、また、溶解したイオンが移動し易いよう、粘度が低いものが好ましい。このような溶媒としては、特に制限されるわけではないが、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物;ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物;エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類;メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン極性物質;水等を用いることができる。
対極は、導電性材料からなる単層構造でもよいし、導電層と基板とから構成されていてもよい。基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、無色又は有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、樹脂でも良い。かかる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテン等が挙げられる。また、電荷輸送層上に直接導電性材料を塗布、メッキ又は蒸着(PVD、CVD)して対極を形成しても良い。
導電性材料としては、白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、タングステン等の金属や、炭素材料、導電性有機物等の比抵抗の小さな材料が用いられる。
また、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いても良い。金属リードは白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、タングステン等の金属からなるのが好ましく、アルミニウム又は銀からなるのが特に好ましい。
本発明では、対極を形成する前に、本発明の電極の光吸収効率を向上すること等を目的として、多孔質塗膜に色素を担持(吸着、含有など)させることが好ましい。
色素は、可視域や近赤外域に吸収特性を有し、半導体層の光吸収効率を向上(増感)させる色素であれば特に限定されないが、金属錯体色素、有機色素、天然色素、半導体等が好ましい。また、多孔質塗膜への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基等の官能基を有するものが好適に用いられる。
金属錯体色素としては、例えば、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛、水銀の錯体(例えば、メリクルクロム等)や、金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。また、有機色素としては、例えば、シアニン系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、金属フリーフタロシアニン系色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。色素として用いることができる半導体としては、i型の光吸収係数が大きなアモルファス半導体や直接遷移型半導体、量子サイズ効果を示し、可視光を効率よく吸収する微粒子半導体が好ましい。通常、各種の半導体や金属錯体色素や有機色素の一種、又は光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することができる。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素とその割合を選ぶことができる。
色素を多孔質塗膜に吸着させる方法としては、例えば、溶媒に色素を溶解させた溶液を、多孔質塗膜上にスプレーコートやスピンコート等により塗布した後、乾燥する方法により形成することができる。この場合、適当な温度に基板を加熱しても良い。また、多孔質塗膜を溶液に浸漬して吸着させる方法を用いることもできる。浸漬する時間は色素が充分に吸着すれば特に制限されることはないが、好ましくは10分〜30時間、より好ましくは1〜20時間である。また、必要に応じて浸漬する際に溶媒や基板を加熱しても良い。溶液にする場合の色素の濃度としては、1〜1000mmol/L、好ましくは10〜500mmol/L程度である。
用いる溶媒は特に制限されるものではないが、水及び有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル等のニトリル類;ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ブタノン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
色素間の凝集等の相互作用を低減するために、界面活性剤としての性質を持つ無色の化合物を色素吸着液に添加し、多孔質塗膜に共吸着させてもよい。このような無色の化合物の例としては、カルボキシル基やスルホ基を有するコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸等のステロイド化合物やスルホン酸塩類等が挙げられる。
未吸着の色素は、吸着工程後、速やかに洗浄により除去するのが好ましい。洗浄は湿式洗浄槽中でアセトニトリル、アルコール系溶媒等を用いて行うのが好ましい。
色素を吸着させた後、アミン類、4級アンモニウム塩、少なくとも1つのウレイド基を有するウレイド化合物、少なくとも1つのシリル基を有するシリル化合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を用いて、多孔質塗膜の表面を処理してもよい。好ましいアミン類の例としては、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。好ましい4級アンモニウム塩の例としては、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙げられる。これらは有機溶媒に溶解して用いてもよく、液体の場合はそのまま用いてもよい。
本発明の色素増感太陽電池は、本発明の光電変換素子をモジュール化するとともに、所定の電気配線を設けることによって製造することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
比較製造例1:酸化チタンバインダー(1)
以下の方法で、酸化チタン微粒子を含む酸化チタンバインダー(1)を調製した。
2−プロパノール300mlにチタニウムテトライソプロポキシド45gを加えた溶液に、30%硝酸10gを2−プロパノール100mlにて希釈した硝酸水溶液を添加した後、水を250g加えて室温にて24時間攪拌し、さらに加熱還流下で24時間攪拌して白色の懸濁液を得た。加熱濃縮により固形分濃度を6重量%に調整し、超音波ホモジナイザーで分散し、酸化チタンバインダー(1)の分散液を得た。
この酸化チタンバインダー(1)の分散液に、直径20nmの酸化チタン微粒子(P25、日本アエロジル(株)製)を、固形分重量比で2:8の割合で混合して室温で乾燥した場合には、透過電子顕微鏡(TEM)にて200万倍の倍率で観測したところ、直径1nm〜6nm程度の粒子がP25粒子間を結合するように存在していることが観測された。
一方、酸化チタンバインダー(1)の分散液の室温乾燥固形物のラマンスペクトルを、レーザーラマン分光装置を用いて測定したところ、色素増感太陽電池材料として好適なアナターゼ型を示した(図2)。さらに120℃に加熱しても、アナターゼ型であることを確認した(図2)。
比較製造例2:酸化チタンバインダー(2)
チタンアルコキシドであるチタニウムテトライソプロポキシドのみからなる酸化チタンバインダー(2)の乾燥固形物のラマンスペクトルを測定したところ、未反応物とルチル型が混在していることを確認した。また、120℃に加熱したものは、結晶性の乏しいルチル型であることが観測された(図3)。
比較製造例3:酸化チタンバインダー(3)
チタンアルコキシドとしてチタニウムテトラ−n−ブトキシド21gにアセチルアセトン22gを加えて作製したアセチルアセトンで配位したチタニウムテトラ−n−ブトキシドのみからなる酸化チタンバインダー(3)の室温乾燥固形物のラマンスペクトルからは、アナターゼ型の結晶は観測されず、未反応物のピークが観測された(図4)。
製造例1:酸化チタンバインダー(4)
以下の方法で、酸化チタン微粒子とチタンアルコキシドとが共存した酸化チタンバインダー(4)を調製した。
チタニウムテトラ−n−ブトキシド9.4gにアセチルアセトン10.6gを加え、黄色透明液体を得た。アセチルアセトンがチタンに配位して錯体を形成することで、チタニウムテトラ−n−ブトキシドが安定化した。
これに限外ろ過にて固形分濃度16重量%に濃縮した、比較製造例1にて製造した(酸化チタン微粒子を含む)酸化チタンバインダー(1)48gを加えて攪拌し、酸化チタン微粒子とチタンアルコキシドとが共存している酸化チタンバインダー(4)を得た。
この酸化チタンバインダー(4)に、直径20nmの酸化チタン微粒子(P25、日本アエロジル(株)製)を、固形分重量比で2:8の割合で混合して室温で乾燥した場合には、透過電子顕微鏡(TEM)にて200万倍の倍率で観測したところ、直径1nm〜6nm程度の粒子と不定形がP25粒子間を結合するように存在していることが観測された(図5)。
なお、アセチルアセトンで配位したチタニウムテトラ−n−ブトキシドを酸化チタンバインダー(1)と混合した酸化チタンバインダー(4)の室温乾燥固形物のラマンスペクトルは、レーザーラマン分光装置を用いて測定したところ、アナターゼ型を示した(図6)。さらに120℃に加熱しても、アナターゼ型であることを確認した(図6)。
比較例1:酸化チタン電極(1)
以下のように、比較製造例1の酸化チタンバインダー(1)を用いて、酸化チタン電極(1)を作製した。
直径20nmの酸化チタン微粒子(P25、日本アエロジル(株)製)20gに、固形分濃度が6.2重量%の酸化チタンバインダー(1)を80.7g、さらに水を4.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルを20g加えて酸化チタン電極(1)用のペーストを得た。このペーストの固形分は20重量%で、固形分の内訳は、P25が80重量%、酸化チタンバインダー(1)由来の酸化チタン微粒子が20重量%である。
このペーストをスズドープ酸化インジウム(ITO)膜付透明導電性ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂基板(表面抵抗は、約10Ω/□)上、5mm角の面積に塗布し、室温乾燥後、120℃にて30分間加熱し、膜厚7μmの多孔質塗膜を形成することにより、比較例1の酸化チタン電極(1)を作製した。
作製した酸化チタン電極(1)の比表面積をBET法により測定したところ、91m/gであった。また、BET法により測定された比較例1の酸化チタン電極(1)の細孔分布を図7に示す。
比較例2:酸化チタン電極(2)
多孔質塗膜の厚みを10μmとすること以外は比較例1と同様に、比較例2の酸化チタン電極(2)を作製した。
作製した酸化チタン電極(2)の、BET法による比表面積及び細孔分布は、比較例1と同じである。
なお、比較製造例1の酸化チタンバインダー(1)を用いた場合、塗膜の厚みを10μmと厚くすると、クラックが発生し、基板から剥離した。
比較例3:酸化チタン電極(3)
以下のように、比較製造例3の酸化チタンバインダー(3)を用いて、酸化チタン電極(3)を作製した。
直径20nmの酸化チタン微粒子(P25、日本アエロジル(株)製)20gに、エタノール50g、プロピレングリコールモノメチルエーテルを10g加え、これにチタニウムテトラ−n−ブトキシド21gにアセチルアセトン22gを加えて作製した酸化チタンバインダー(3)を加えて酸化チタン電極(3)用のペーストを得た。このペーストの固形分は20重量%で、固形分の内訳は、P25が80重量%、酸化チタンバインダー(3)由来の酸化チタン微粒子が20重量%である。
このペーストをスズドープ酸化インジウム(ITO)膜付透明導電性ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂基板(表面抵抗は、約10Ω/□)上、5mm角の面積に塗布し、室温乾燥後、120℃にて30分間加熱し、膜厚7μmの多孔質塗膜を形成することにより、比較例3の酸化チタン電極(3)を作製した。
作製した酸化チタン電極(3)の比表面積をBET法により測定したところ、88m/gであった。また、BET法により測定された比較例3の酸化チタン電極(3)の細孔分布を図8に示す。
比較例4:酸化チタン電極(4)
多孔質塗膜の厚みを10μmとすること以外は比較例3と同様に、比較例4の酸化チタン電極(4)を作製した。
作製した酸化チタン電極(4)の、BET法による比表面積及び細孔分布は、比較例3と同じである。
なお、比較製造例3の酸化チタンバインダー(3)を用いた場合、塗膜の厚みを10μmと厚くすると、クラックが発生し、基板から剥離した。
実施例1:酸化チタン電極(5)
以下のように、製造例1の酸化チタンバインダー(4)を用いて、酸化チタン電極(5)を作製した。
直径20nmの酸化チタン微粒子(P25、日本アエロジル(株)製)30gに、固形分濃度が14重量%の酸化チタンバインダー(4)を69.2g、さらにエタノールを20g、プロピレングリコールモノメチルエーテル5gを加えて酸化チタン電極(5)用のペーストを得た。このペーストの固形分は32重量%で、固形分の内訳は、P25が75.6重量%、酸化チタンバインダー(4)由来の酸化チタン微粒子が18.9重量%、酸化チタンバインダー(4)のチタニウムテトラ−n−ブトキシド由来のものが5.5重量%である。
このペーストを上記のITO膜付透明導電性PEN樹脂基板(表面抵抗は、約10Ω/□)上、5mm角の面積に塗布し、室温乾燥後、120℃にて30分間加熱し、膜厚7μmの多孔質塗膜を形成することにより、実施例1の酸化チタン電極(5)を作製した。
作製した酸化チタン電極(5)の比表面積をBET法により測定したところ、104m/gであった。また、BET法により測定された実施例1の酸化チタン電極(5)の細孔分布を図9に示す。
実施例2:酸化チタン電極(6)
多孔質塗膜の厚みを10μmとすること以外は実施例1と同様に、実施例2の酸化チタン電極(6)を作製した。
作製した酸化チタン電極(6)の、BET法による比表面積及び細孔分布は、実施例1と同じである。
なお、製造例1の酸化チタンバインダー(4)を用いた場合、塗膜の厚みを10μmと厚くしても、基板から剥離しなかった。
実施例3:酸化チタン電極(7)
多孔質塗膜の厚みを15μmとすること以外は実施例1と同様に、実施例3の酸化チタン電極(7)を作製した。
作製した酸化チタン電極(7)の、BET法による比表面積及び細孔分布は、実施例1と同じである。
なお、製造例1の酸化チタンバインダー(4)を用いた場合、塗膜の厚みを15μmと厚くしても、基板から剥離しなかった。
比較例5:酸化チタン電極(8)
以下のように、酸化チタンバインダーを使用せずに、酸化チタン電極(8)を作製した。
直径20nmの酸化チタン微粒子(P25、日本アエロジル(株)製)20gに、水を80g加えて分散処理し、固形分が20重量%のペーストを得た。
このペーストを上記のITO膜付透明導電性PEN樹脂基板(表面抵抗は、約10Ω/□)上、5mm角の面積に塗布し、室温乾燥後、120℃にて30分間加熱し、膜厚7μmの多孔質塗膜を形成することにより、比較例5の酸化チタン電極(8)を作製した。
作製した酸化チタン電極(8)の比表面積をBET法により測定したところ、88m/gであった。また、BET法により測定された比較例5の酸化チタン電極(8)の細孔分布を図10に示す。
この酸化チタン電極(8)は、基板からの剥離はなかったが、基板との密着性は弱かった。
比較例6:酸化チタン電極(9)
多孔質塗膜の厚みを10μmとすること以外は比較例5と同様に、比較例6の酸化チタン電極(9)を作製した。
作製した酸化チタン電極(9)の、BET法による比表面積及び細孔分布は、実施例1と同じである。
この場合、塗膜の厚みを10μmと厚くすると、クラックが発生し、基板から剥離した。
比較例7:酸化チタン電極(10)
以下のように、有機バインダーを用いて、酸化チタン電極(10)を作製した。
直径20nmの酸化チタン微粒子(P25、日本アエロジル(株)製)20gと、バインダーとしてポリエチレングリコール(PEG#20000)2gに、水を78g加えて分散処理し、固形分が20重量%のペーストを得た。
このペーストを上記のITO膜付透明導電性PEN樹脂基板(表面抵抗は、約10Ω/□)上、5mm角の面積に塗布し、室温乾燥後、120℃にて30分間加熱し、膜厚7μmの多孔質塗膜を形成することにより、比較例7の酸化チタン電極(10)を作製した。
作製した酸化チタン電極(10)の比表面積をBET法により測定したところ、88m/gであった。また、BET法により測定された比較例7の酸化チタン電極(10)の細孔分布を図11に示す。
上記実施例1〜3及び比較例1〜7の概要及び評価を、以下の表1に示す。
Figure 2011187164
また、図7〜9を重ね合わせたものを図12に示す。実施例1の酸化チタン電極(5)は、比較例1の酸化チタン電極(1)、比較例3の酸化チタン電極(3)と比較し、6〜20nmの細孔が多く、好ましい。
比較例8:色素増感太陽電池(1)
以下のように、比較例1の酸化チタン電極(1)を用いて、色素増感太陽電池(1)を作製した。
比較例1の酸化チタン電極(1)を、色素として(4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)ジイソシアネートを3×10−4M濃度で添加した無水エタノール溶液に18時間浸漬後、無水アセトニトリルで洗浄した。酸化チタン電極膜は吸着した色素により深紅色に染まった(色素増感酸化チタン電極)。
色素増感酸化チタン電極と、対極として、上述のITO膜付透明導電性PEN樹脂基板(表面抵抗は約10Ω/□)に白金を蒸着したものを70μm厚のスペーサーを介して貼り合わせ、これらの電極間を電解液で満たした。
電解液としては、ヨウ化リチウム0.4M、ヨウ素0.04M及びt−ブチルピリジン0.5Mを含む無水アセトニトリル溶液を用いた。
AM1.5(1000W/m)のソーラーシミュレーターを用いて光電変換効率を測定した。変換効率は2.5%であった。
比較例9:色素増感太陽電池(2)
比較例3の酸化チタン電極(3)を用いること以外は比較例8と同様に、色素増感太陽電池(2)を作製した。光電変換効率は、1.8%であった。
実施例4:色素増感太陽電池(3)
実施例1の酸化チタン電極(5)を用いること以外は比較例8と同様に、色素増感太陽電池(3)を作製した。光電変換効率は、3.1%であった。
実施例5:色素増感太陽電池(4)
実施例2の酸化チタン電極(6)を用いること以外は比較例8と同様に、色素増感太陽電池(4)を作製した。光電変換効率は、3.8%であった。
実施例6:色素増感太陽電池(5)
実施例3の酸化チタン電極(7)を用いること以外は比較例8と同様に、色素増感太陽電池(5)を作製した。光電変換効率は、4.2%であった。
比較例10:色素増感太陽電池(6)
比較例5の酸化チタン電極(8)を用いること以外は比較例8と同様に、色素増感太陽電池(6)を作製した。光電変換効率は、0.6%であった。
比較例11:色素増感太陽電池(7)
比較例7の酸化チタン電極(10)を用いること以外は比較例8と同様に、色素増感太陽電池(7)を作製した。光電変換効率は、1.3%であった。
上記実施例4〜6及び比較例8〜11の概要及び評価を、以下の表2に示す。
Figure 2011187164
なお、参考までに、上記の実施例及び比較例について、概要を表3に示す。
Figure 2011187164
1 酸化チタン微粒子
2 酸化チタンバインダー

Claims (10)

  1. 平均粒子径が5〜500nmの酸化チタン微粒子(A)と、酸化チタンバインダー(B)とを含む塗膜形成用組成物であって、
    酸化チタンバインダー(B)は、平均粒子径が、0.1〜10nm(酸化チタン微粒子(A)の平均粒子径よりも小さい)のアナターゼ型酸化チタン微粒子(B1)と、チタンアルコキシド(B2)とが共存しており、乾燥固形物が150℃以下の温度で結晶性を示す、塗膜形成用組成物。
  2. チタンアルコキシド(B2)が、錯体を形成して安定化している、請求項1に記載の塗膜形成用組成物。
  3. 乾燥固形物が、少なくともアナターゼ型を示す、請求項1又は2に記載の塗膜形成用組成物。
  4. 酸化チタン微粒子(A)が、少なくともアナターゼ型を示す、請求項1〜3のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
  5. 酸化チタンバインダー(B)中に含まれる固形分が、組成物中に含まれる全固形分の5〜50重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
  6. 固形分濃度が5〜50重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の塗膜形成用組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の塗膜形成用組成物を用いて形成された多孔質塗膜。
  8. 請求項7に記載の多孔質塗膜が、樹脂基板又はガラス基板の上に形成されてなる電極。
  9. 請求項8に記載の電極を用いて得られる光電変換素子。
  10. 請求項9に記載の光電変換素子を用いて得られる、色素増感太陽電池。
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