JP2013203579A - 高導電性酸化チタン構造体 - Google Patents

高導電性酸化チタン構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】アスペクト比が大きく、溶液中への分散性がよく、高耐熱性及び高導電性を有し、色素増感太陽電池に使用すると変換効率を向上できる酸化チタン構造体及びその簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】V、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、平均アスペクト比が10以上であり、10MPa下での粉体抵抗が1×10Ω・m以下である、板状又はロッド状の酸化チタン構造体。該酸化チタン構造体は、例えば、特定濃度のアルカリ水溶液と、Tiを含む物質(A)、特定の物質(B)とを、160℃より高い温度で接触させた後に、必要に応じて酸等で洗浄し、熱処理することにより製造できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、色素増感太陽電池、光触媒、センサー、樹脂強化材、金属イオン担持体等に用いられる酸化チタン構造体及びその製造方法に関する。
酸化チタンは、色素増感太陽電池、光触媒等に用いられている。特に、色素を修飾した酸化チタン等を活性電極に用いた色素増感太陽電池(例えば、特許文献1参照)は、安価で容易に製造できる太陽電池として注目を集めている。なかでも、色素増感太陽電池に用いる場合には、活性表面積を大きくするために比表面積を大きくすることが試みられているが、酸化チタンの平均粒子径を小さくして比表面積を大きくすると、界面抵抗が大きくなってしまう。よって、負極に導電性の高い物質を含有させることが望まれている。
光触媒として酸化チタンナノ粒子を使用する場合も同様で、粒径を小さくし比表面積を大きくした場合にクラックが生じやすい、つまり抵抗が大きくなりやすいうえに、小さい粒子が密に詰まっている膜では比表面積に相当する活性が得られないことがあるため、比表面積の小さい大粒径(例えば200nm)のものが使われることもあった。
このように、いずれの用途の場合であっても、微粒子状の酸化チタンを使用するには問題点が存在する。一方、中空状で大きいアスペクト比を有する酸化チタンナノチューブも知られている(特許文献2及び3)。
特公平8−15097号公報 特許第3983533号 特許第3513738号
従来の酸化チタンナノチューブは、直径及び長さが小さいため凝集しやすく、1本1本が独立した形での単離が困難であった。つまり、導電性が低下していた。また、従来の酸化チタンナノチューブは分散性が悪いため、塗布、印刷等に使用するための溶液及びペーストの作製が困難であるだけでなく、耐熱性にも劣るため熱処理によりチューブ形状を保てない等の欠点があった。
そこで、本発明は、アスペクト比が大きく、溶液中への分散性がよく、高耐熱性及び高導電性を有し、色素増感太陽電池に使用すると変換効率を向上できる酸化チタン構造体及びその簡便な製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を鑑み、鋭意検討した結果、チタン化合物と第2成分(金属もしくはホウ素)を添加し、180〜370℃に加熱することで、上記課題を解決した酸化チタン系構造体が得られることを見出し、その後さらに研究を重ね、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
項1.V、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、平均アスペクト比が10以上であり、10MPa下での粉体抵抗が1×10Ω・m以下である、板状又はロッド状の酸化チタン構造体。
項2.V、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を、Tiに対して0.1〜10mol%含有する、項1に記載の酸化チタン構造体。
項3.比表面積が10m/g以上である、項1又は2に記載の酸化チタン構造体。
項4.平均幅が20nm以上である、項1〜3のいずれかに記載の酸化チタン構造体。
項5.長手方向の平均長さが1μm以上である、項1〜4のいずれかに記載の酸化チタン構造体。
項6.アルカリ金属の含有量が2000ppm以下である、項1〜5のいずれかに記載の酸化チタン構造体。
項7.平均アスペクト比が10以上であり、10MPa下での粉体抵抗が1×10Ω・m以下である板状又はロッド状の酸化チタン構造体の製造方法であって、
(1)3〜20mol/Lのアルカリ水溶液と、Tiを含む物質(A)、並びにV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む物質(B)とを、160℃より高い温度で接触させる工程、及び
(3)300℃以上で熱処理する工程
を備える、製造方法。
項8.前記工程(1)において、物質(B)中のV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が、物質(A)中のTiに対して0.1〜10mol%である、項7に記載の製造方法。
項9.前記物質(A)が、酸化チタン及び/又はその前駆体である、項7又は8に記載の製造方法。
項10.前記物質(B)が、V、Nb、Ta及びBの酸化物、水酸化物、アルコキシド及び塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項7〜9のいずれかに記載の製造方法。
項11.前記アルカリが、少なくとも水酸化ナトリウムを50重量%以上含む、項7〜10のいずれかに記載の製造方法。
項12.前記工程(3)が、
(3−1)10kPa以下の減圧下に300℃以上で熱処理する工程
である、項7〜11のいずれかに記載の製造方法。
項13.前記工程(3)が、
(3−2)還元雰囲気下に300℃以上で熱処理する工程
である、項7〜11のいずれかに記載の製造方法。
項14.前記工程(1)及び(3)の間に、
(2)工程(1)で得られた酸化チタン系構造体を水、酸及びイオン交換樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種と接触させる工程
を備える、項7〜13のいずれかに記載の製造方法。
項15.前記酸が、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、酢酸、クエン酸、ギ酸及びシュウ酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項14に記載の製造方法。
項16.(1)3〜20mol/Lのアルカリ水溶液と、Tiを含む物質(A)、並びにV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む物質(B)とを、160℃より高い温度で接触させる工程、及び
(3)300℃以上で熱処理する工程
を備える方法により製造された、平均アスペクト比が10以上であり、10MPa下での粉体抵抗が1×10Ω・m以下である板状又はロッド状の酸化チタン構造体。
項17.(1)3〜20mol/Lのアルカリ水溶液と、Tiを含む物質(A)、並びにV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む物質(B)とを、160℃より高い温度で接触させる工程
を備える、板状又はロッド状の酸化チタン構造体の熱処理前後の形状変化を抑制する方法。
項18.前記工程(1)の後、
(2)工程(1)で得られた酸化チタン系構造体を水、酸及びイオン交換樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種と接触させる工程
を備える、項17に記載の方法。
項19.項1〜6及び16のいずれかに記載の酸化チタン構造体、又は項7〜15のいずれかに記載の製造方法により得られた酸化チタン構造体を含む、多孔質酸化チタン膜。
項20.さらに、平均粒子径が1〜500nmの酸化チタン微粒子を含む、項19に記載の多孔質酸化チタン膜。
項21.導電性基板上に、色素が担持された項19又は20に記載の多孔質酸化チタン膜が形成されている電極。
項22.項21に記載の電極を備える、光電変換素子。
項23.項1〜6及び16のいずれかに記載の酸化チタン構造体、又は項7〜15のいずれかに記載の製造方法により得られた酸化チタン構造体を用いた光触媒。
本発明によれば、アスペクト比が大きく、溶液中への分散性がよく、高耐熱性及び高導電性を有し、色素増感太陽電池に使用すると変換効率を向上できる酸化チタン構造体及びその簡便な製造方法を提供できる。
実施例1において、焼成前(工程(3)を施す前)の酸化チタン構造体の表面形状を示す電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例2の酸化チタン構造体の表面形状を示す電子顕微鏡(TEM)写真である。 比較例3において、焼成前の酸化チタン構造体の表面形状を示す電子顕微鏡(TEM)写真である。 比較例3において、焼成前の酸化チタン構造体の表面形状を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。
1.酸化チタン構造体
本発明の酸化チタン構造体は、V、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、平均アスペクト比が10以上であり、粉体抵抗が1×10Ω・m以下である、板状又はロッド状の酸化チタン構造体である。
本発明において、「酸化チタン」とは、二酸化チタン(TiO)のみを指すものではなく、三酸化二チタン(Ti);一酸化チタン(TiO);Ti、Ti等に代表される二酸化チタンから酸素欠損した組成のもの等も含むものである。また、末端OH基に代表されるように一部酸化チタンの合成に起因するTi−O−Ti以外の基を含んでいてもよい。
本発明において、「板状」とは、幅(短辺)に対して長さ(長辺)が大きく、表面の大半が平面である構造体である。ただし、表面が必ずしも完全な平面である必要はなく、一部曲面を含んでいてもよい。また、本発明において、「ロッド状」とは、幅(短辺)に対して長さ(長辺)が大きく、表面の大半が曲面である構造体である。ただし、表面が必ずしも完全な曲面である必要はなく、一部平面を含んでいてもよい。これら「板状」と「ロッド状」とは、必ずしも明確な区別があるわけではないが、「板状」と「ロッド状」とを総合すると、幅(短辺)に対して長さ(長辺)が大きい中実の構造体である。なお、中実の構造体とは、ナノチューブ等のような中空の構造体を除くことを意味する。さらに、本発明の酸化チタン構造体の表面には、多少の凹凸を有していてもよい。
<形状>
本発明の酸化チタン構造体の平均アスペクト比(幅に対する長さの比、長さ/幅)は10以上、好ましくは20以上である。アスペクト比が10未満では、高導電性、高強度等、高アスペクト比に起因する物性が得られない。また、塗布した場合の膜性を良好にするために、本発明の酸化チタン構造体の平均アスペクト比は、10000以下程度が好ましく、5000以下程度がより好ましい。
本発明の酸化チタン構造体の平均幅は、酸化チタン構造体が互いに絡み合わないため分散性に優れる点から、20nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。一方、光触媒等表面で反応を行う用途、色素増感太陽電池で表面に色素を担持させる目的のある場合等に好適に用いるためには、比表面積を高くするのが好ましいことから、本発明の酸化チタン構造体の平均幅は、500nm以下程度が好ましく、200nm以下程度がより好ましい。
酸化チタン構造体の長手方向の平均長さは、導電性に優れ、塗膜を形成した場合又は樹脂に混合した場合に強度が向上する点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。また、塗布した場合の膜性を良好にするために、本発明の酸化チタン構造体の長手方向の平均長さは、100μm以下程度が好ましく、20μm以下程度がより好ましい。
酸化チタン構造体の形状(平均幅、平均アスペクト比、長手方向の平均長さ等)は、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等により測定することができる。
<組成>
本発明の酸化チタン構造体は、チタン(Ti)と酸素(O)とを主成分として含むものであるが、さらに、第3成分としてV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する。第3成分の含有量は導電性及び光電変換効率の観点から、チタン(Ti)に対して、0.1〜10mol%が好ましく、0.3〜8mol%がより好ましく、0.5〜7mol%がさらに好ましい。
これらの第3成分を含ませることにより、熱処理(焼成)を施しても高アスペクト比を維持でき、且つ、導電性の高い酸化チタン構造体を容易に作ることができる。また、本発明の酸化チタン構造体が必要以上に着色することを抑制できる(淡色とすることができる)。このため、例えば色素増感太陽電池の負極に添加する場合に、過度の光吸収がないため、光電変換効率を低下させることがないという利点がある。つまり、導電性の向上度合いに応じて光電変換効率を向上させることができる。過度の光吸収を抑制することによる効果は、光触媒に用いた場合にも同様である。逆に他の成分を共存させた場合、熱処理(焼成)により高アスペクト比の形状を維持できなかったり、酸化チタン構造体に着色する結果光電変換効率の低下が見られたりする。
<その他>
本発明の酸化チタン構造体は、より大きな電流が得られる点から、10MPa下での粉体抵抗は1×10Ω・m以下、好ましくは5×10Ω・m以下である。粉体抵抗が1×10Ω・mをこえると、光電変換効率が低下する。粉体抵抗は、小さいほうが好ましく、下限値は特に制限されないが、0.01Ω・m程度である。なお、酸化チタン構造体の粉体抵抗の測定方法は、特に限定されないが、例えば、10MPaの圧力で厚さ0.3mmの平板状に加工し、ペレット間に電圧1Vを印加して流れる電流値を測ることにより測定することができる。
本発明の酸化チタン構造体は、色素増感太陽電池に使用する場合には色素を多量に担持し、入射した光を効率よく吸収でき、光触媒に使用する場合には充分な光触媒能を得られる点から、比表面積は10m/g以上が好ましく、20m/g以上がより好ましい。比表面積は、大きいほうが好ましく、上限値は特に制限されないが、1000m/g程度である。比表面積は、BET法等により測定できる。
本発明の酸化チタン構造体中のアルカリ金属(特にナトリウム)の含有量は、色素増感太陽電池に使用する場合は、活性を確保する点から、2000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。なお、耐熱性を向上させるために、Naが多いほうが好ましいことがあるため、アルカリ金属含有量は、目的等に応じて適宜設定できる。アルカリ金属の含有量は、イオンクロマトグラフ法、ICP発光分光分析法等により測定できる。
従来の酸化チタンナノチューブ(アルカリ水溶液と酸化チタンとの接触温度が低いもの)は、耐熱性が悪く、例えば300℃以上の熱処理(焼成)により形状が崩壊し、粒子状となってしまい、凝集するため、導電性及びアスペクト比を維持できないが、本発明の酸化チタン構造体は、300℃以上の熱処理(焼成)でも形状が崩れず、また凝集しないため、導電性及びアスペクト比を維持できる。つまり、本発明の酸化チタン構造体は、高温においても、導電性、溶液中への分散性及び高強度を維持できる。
2.酸化チタン構造体の製造方法及び熱処理前後の形状変化抑制方法
本発明の酸化チタン構造体の製造方法は、
(1)3〜20mol/Lのアルカリ水溶液と、Tiを含む物質(A)、並びにV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む物質(B)とを、160℃より高い温度で接触させる工程、及び
(3)300℃以上で熱処理する工程
を備える。
また、本発明の酸化チタン構造体の製造方法は、前記工程(1)及び(3)の間に、
(2)工程(1)で得られた酸化チタン系構造体を水、酸及びイオン交換樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種と接触させる工程
を備えることが好ましい。
<工程(1)>
工程(1)では、3〜20mol/Lのアルカリ水溶液と、Tiを含む物質(A)、並びにV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む物質(B)とを、160℃より高い温度で接触させる。
工程(1)では、具体的には、これに限定されるわけではないが、3〜20mol/Lのアルカリ水溶液中に、前記物質(A)と物質(B)を添加し、その後、160℃より高い温度に加熱することが好ましい。
アルカリ水溶液としては、原料の酸化チタンの表面を溶解し、反応を促進する点から、アルカリ金属の水酸化物の水溶液が好ましい。なお、アルカリとして、2種類以上のアルカリを含む水溶液としてもよく、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を水酸化ナトリウムと併用できる。特に、アルカリとしては、高アスペクト比の構造体を合成するためには、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。なお、水酸化ナトリウムを使用した場合には平均幅が大きい構造体が生成する傾向にあり、水酸化カリウムを使用した場合には平均幅が小さい構造体が生成する傾向にある。
なお、アルカリとしては、水酸化ナトリウムを50重量%以上、特に70重量%以上含むことが好ましい。
アルカリ水溶液の濃度は、原料の物質(A)及び物質(B)(特に物質(A))の表面を溶解し、かつ反応液の流動性を保つことにより、アスペクト比の大きい板状酸化チタン結晶からなるからなる酸化チタン構造体を、長時間かけることなく作製できる点から、3〜20mol/L、好ましくは5〜15mol/L程度である。なお、2種類以上のアルカリを含む水溶液を使用する場合には、アルカリ水溶液の濃度は3〜30mol/L、好ましくは5〜20mol/L程度である。
使用するTiを含む物質(A)としては、加熱により酸化チタンとなる物質であれば特に制限はない。つまり、物質(A)としては、酸化チタン及び/又は酸化チタン前駆体が好ましく、具体的には、酸化チタン;水酸化チタン;チタンアルコキシド;三塩化チタン、四塩化チタン等のハロゲン化チタン;金属チタン等が挙げられる。また、これらの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、原料の表面をアルカリが溶解して反応が進むという観点から、酸化チタン、金属チタン等の固体を用いる場合は、平均粒子径は100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。下限値は特に設定されないが、通常3nm程度である。なお、粒径が大きい場合は遊星ボールミル、ペイントシェーカー等を用いて乾式又は湿式で粉砕して用いてもよい。酸化チタンの平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等により測定することができる。
アルカリ水溶液中に添加する物質(A)の量は、特に制限されないが、反応液の流動性と生産性とのバランスを取る観点から、0.01〜1mol/L程度が好ましく、0.05〜0.5mol/L程度がより好ましい。
V、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む物質(B)は、物質(A)と同様に、特に制限はない。例えば、これらの元素の酸化物、水酸化物、アルコキシド及び塩化物等が挙げられる。具体的には、例えば、V、V(OH)、VCl、Nb、Nb(OH)、Nb(OC、Nb(OC、NbCl、Ta、Ta(OH)、Ta(OC、Ta(OC、TaCl、B、HBO、B(OC、B(OC、BCl等が挙げられる。なかでも、NbCl及びHBOが安価であり好ましい。なお、物質(A)の場合と同じく、酸化物等の固体を用いる場合は、平均粒子径が100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。下限値は特に設定されないが、通常3nm程度である。なお、粒径が大きい場合は遊星ボールミル、ペイントシェーカー等を用いて乾式又は湿式で粉砕して用いてもよい。酸化チタンの平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等により測定することができる。
アルカリ水溶液中に添加する物質(B)の量は、特に制限されないが、導電性を高めるという点から、0.00001〜0.1mol/L程度が好ましく、0.00025〜0.035mol/L程度がより好ましい。
また、アルカリ水溶液中に添加する物質(B)の量は、導電性及び光電変換効率の観点から、物質(B)中に含まれるV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が、物質(A)中のTiに対して0.1〜10mol%が好ましく、0.3〜8mol%がより好ましく、0.5〜7mol%がさらに好ましい。
物質(B)は物質(A)と同時に、アルカリ水溶液に混合してもよく、物質(A)をアルカリ水溶液に混合した後に、物質(B)をアルカリ水溶液と混合してもよい。また、逆に、物質(B)をアルカリ水溶液と混合した後に、物質(A)をアルカリ水溶液と混合してもよい。160℃より高い温度に昇温する際に、アルカリ水溶液中に物質(A)と物質(B)とが投入されていれば特に制限はない。
アルカリ水溶液と物質(A)及び(B)とを接触させる温度は、160℃より高い温度である。接触温度の上限値は、特に制限はないが、通常水の臨界点である374℃である。好ましくは、180〜370℃程度、より好ましくは200〜300℃程度である。接触温度が低すぎると本発明の酸化チタン構造体を製造することはできず、酸化チタンが凝集した塊状の構造体、又は幅が非常に小さい酸化チタン構造体が絡み合い、全体として塊状の構造体しか製造できない。つまり、高アスペクト比かつ高分散性の酸化チタン構造体は得られない。特許文献2及び3では、160℃以上とするとチューブ状のものが生成されにくくなる(特許文献2の[0024]及び特許文献3の[0024])とされているが、逆に、低温で接触させると、酸化チタン構造体同士が絡み合ってしまうため、高アスペクト比且つ高分散性の酸化チタン構造体は得られない。また、凝集するため導電性も悪化する。また、接触温度が高すぎると、使用するエネルギー量と安全性の面で望ましくない。
アルカリ水溶液と物質(A)及び(B)とを接触させる時間(つまり160℃より高い温度に加熱する時間)は、特に制限はなく、1〜120時間程度が好ましい。
本発明では、例えば使用する物質(A)が酸化チタンの場合、その平均粒子径、接触温度及び接触時間の好ましい範囲には相関関係があり、平均粒子径が大きめの酸化チタンを使用する場合には、接触温度を高めとすることが好ましい。例えば、平均粒子径7nmの酸化チタンを用いて接触時間を12時間とした場合には、接触温度を160℃より高い温度とすることが好ましいが、平均粒子径25nmの酸化チタンを用いて接触時間を12時間とした場合には、接触温度を185℃以上とすることが好ましい。
このような工程(1)を備えることで、得られる酸化チタン構造体をその後300℃以上の熱処理(焼成)を施したとしても、形状の変化を抑制することができる。
<工程(2)>
工程(2)では、具体的には、水又は酸を使用する場合には、例えば、工程(1)で得られた酸化チタン構造体を、水又は酸性水溶液中に添加することが好ましい。また、イオン交換樹脂を使用する場合には、イオン交換樹脂を充填したカラムに生成物を含む液を通過させてもよく、イオン交換樹脂と混合して撹拌するだけでもよい。
アルカリ水溶液としてアルカリ金属の水酸化物(NaOH等)を用いた場合には、工程(1)で得られる酸化チタン構造体中に、アルカリ金属(Na等)が含まれることがあるが、この工程により、酸化チタン構造体中に含まれるアルカリ金属を取り除くことができる。
酸としては、アルカリ金属イオンとプロトンを交換できるプロトン酸が好ましい。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、シュウ酸等の一般的な無機酸又は有機酸が挙げられる。これらの酸は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
イオン交換樹脂としては、例えば、ダイヤイオン(三菱化学(株)製;登録商標)、アンバーライト(ローム・アンド・ハース社製)等の陽イオン交換樹脂等が挙げられる。これらのイオン交換樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
水、酸及びイオン交換樹脂のなかでも、工程(1)で得られた酸化チタン構造体中に含まれるアルカリ金属を短時間で取り除くことができる点から、酸を用いることが好ましく、塩酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等がより好ましい。ただし、酸を用いる場合には、工程(1)で得られた酸化チタン構造体を酸と接触させた後、酸化チタン構造体を水洗して酸を除去することが好ましい。
工程(1)で得られた酸化チタン構造体と水、酸及びイオン交換樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを接触させる時間は、1〜48時間程度が好ましく、充分にアルカリ金属を除去する必要がある場合は8時間以上がより望ましい。
<工程(3)>
上記工程(1)又は工程(2)で得られた酸化チタン構造体は、高温に加熱(焼成)することで酸化チタン系構造体に残存するTi−OH基の脱水反応を行わせ、結晶性を増すことができる。
この際の温度は、より確実に脱水反応を行わせる観点から、300℃以上、好ましくは500℃以上である。なお、加熱温度の上限値は特に制限はないが、通常1000℃以下である。この温度域であれば特に制限はないが、より高温にするとより導電性を向上させることができ、より低温にするとより高アスペクト比の形状を維持することができる。このため、用途に応じて適宜設定することが好ましい。
焼成の雰囲気は特に制限されるわけではないが、導電性を高めるという観点から低酸素条件、つまり減圧下、不活性雰囲気下、還元雰囲気下等が好ましい。特に、10kPa以下の減圧下、又は不活性雰囲気に水素を混合した還元雰囲気下がさらに好ましい。
つまり、工程(3)は、
(3−1)10kPa以下の減圧下に300℃以上で熱処理する工程、又は
(3−2)還元雰囲気下に300℃以上で熱処理する工程
とすることが好ましい。なかでも、工程(3−2)が導電性が向上するため好ましいが、工程(3−1)のほうが簡便である。
なお、雰囲気を減圧下とする場合は、圧力は10kPa以下が好ましく、5kPa以下がより好ましい。また、下限値は特に制限はないが、通常0.001Pa程度である。
また、雰囲気を還元雰囲気とする場合、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性雰囲気に水素を混合した還元雰囲気下が好ましく、この際の水素ガスの量は、0.1〜4mol%程度が好ましく、0.5〜3mol%程度がより好ましい。
このようにして得られる酸化チタン構造体は、上記の「1.酸化チタン構造体」にて説明したような特性を有するものである。
なお、上記では本発明の酸化チタン構造体の製造方法の一例を示したが、例えば、酸化チタン及び/又はその前駆体とアルカリ水溶液とを用いた水熱合成法(160℃より高い温度)により酸化チタンからなる構造体を合成し、その後V、Nb、Ta、B等の第3成分をドープしてもよい。ただし、上記第3成分を大量に含ませる場合は、上記本発明の製造方法により製造することが好ましい。
3.多孔質酸化チタン膜
本発明の多孔質酸化チタン膜は、本発明の酸化チタン構造体を含む。なお、本発明の多孔質酸化チタン膜は、必ずしも本発明の酸化チタン構造体のみからなる必要はなく、例えば、平均粒子径が1〜500nm、特に5〜100nmの酸化チタン微粒子;公知の酸化チタンナノチューブ;公知の酸化チタンナノロッド;公知の酸化チタンナノファイバー;酸化チタンナノ粒子のチューブ状集合体等の高アスペクト比を有する酸化チタン構造体等を含んでいてもよい。
特に、本発明の酸化チタン構造体と酸化チタン微粒子とを混合する場合には、本発明の多孔質酸化チタン膜の強度を向上させ、クラック等の不良を抑制できる。
なお、本発明の多孔質酸化チタン膜中に、本発明の酸化チタン構造体と他の成分とを含ませる場合には、本発明の多孔質酸化チタン膜は、「本発明の酸化チタン構造体と他の成分とを含む層からなるもの」であってもよいし、「他の成分を含む層と、本発明の酸化チタン構造体を含む層の少なくとも2層からなるもの」であってもよい。もちろん、3層以上の構成を有していてもよい。
本発明の多孔質酸化チタン膜中に、本発明の酸化チタン構造体とその他の成分とを含ませる場合、本発明の酸化チタン構造体の含有量を加える目的や組み合わせるその他の成分の種類によって異なるが、導電性及び強度を向上させるために、本発明の酸化チタン構造体の含有量を、0.1〜95重量%程度が好ましく、1〜90重量%程度がより好ましい。光の拡散効果を強くしたい場合は本発明の酸化チタン構造体の比率を大きくし(例えば5〜95重量%程度)、膜の透明性をできるだけ保持したい場合や、比表面積を大きくする必要がありかつ組み合わせるその他の成分の比表面積の方が大きい場合は、本発明の酸化チタン構造体の比率を少なめに(例えば1〜20重量%程度)すればよい。
本発明の多孔質酸化チタン膜の製造方法としては、特に制限されるわけではないが、例えば、本発明の酸化チタン構造体を含む膜形成用組成物を作製し、適当な基板上に当該膜形成用組成物を塗布及び乾燥させることが好ましい。また、乾燥させた後、得られた膜に、必要に応じて加熱処理を施して焼成させてもよい。
基板としては、特に制限はなく、常温においてほぼ平滑な面を有するものが使用でき、その面は平面又は曲面のいずれでもよく、また応力によって変形するものであってもよい。使用できる基板の具体例としては、例えば、各種ガラス;PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等の透明樹脂等が挙げられる。また、色素増感太陽電池用の負極材料として本発明の多孔質酸化チタン膜を用い、かつ対極側から光を取り入れる構造の場合は必ずしも基板が透明である必要はなく、導電性のあるアルミニウム、チタン、クロム、ステンレス等を使用しても良い。
塗布方法は特に制限はなく、スクリーン印刷、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、スキージ法等の常法を採用できる。
また、乾燥条件及び焼成条件は特に制限はなく、乾燥温度を60〜250℃程度、焼成温度を250〜800℃程度とすることが好ましい。
本発明の多孔質酸化チタン膜の作製に当たっては、得られる膜の膜厚が0.5〜50μm程度となるように塗布することが好ましい。
なお、本発明の多孔質酸化チタン膜を、酸化チタン微粒子を含む層と、本発明の酸化チタン構造体を含む層の2層を有するものとする場合には、例えば、酸化チタン微粒子を含む膜形成用組成物を基板上に塗布及び乾燥した後、酸化チタン微粒子を含む層の上に、本発明の酸化チタン構造体を含む膜形成用組成物を塗布及び乾燥することが好ましい。もちろん、3層以上からなる多孔質酸化チタン膜を形成する場合には、塗布及び乾燥工程を3回以上に分けて行うことが好ましい。
4.電極
本発明の電極を形成する際には、上述の多孔質酸化チタン膜を、導電性の樹脂基板又はガラス基板の上に形成することが好ましい。
樹脂基板としては、導電性の樹脂基板であれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレンナフタレート樹脂基板(PEN樹脂基板)、ポリエチレンテレフタレート樹脂基板(PET樹脂基板)等のポリエステル;ポリアミド;ポリスルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリフェニレンサルファイド;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリメチルメタクリレート;ポリスチレン;トリ酢酸セルロース;ポリメチルペンテン等が挙げられる。
ガラス基板としても特に制限はなく、公知又は市販のものを使用でき、無色又は有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等のいずれでもよい。
この樹脂基板又はガラス基板としては、板厚が0.05〜10mm程度のものを使用できる。
本発明では、多孔質酸化チタン膜は、樹脂基板又はガラス基板の表面上に直接形成されていてもよいが、透明導電膜を介して形成されていてもよい。
透明導電膜としては、例えば、スズドープ酸化インジウム膜(ITO膜)、フッ素ドープ酸化スズ膜(FTO膜)、アンチモンドープ酸化スズ膜(ATO膜)アルミニウムドープ酸化亜鉛膜(AZO膜)、ガリウムドープ酸化亜鉛膜(GZO膜)等が挙げられる。これらの透明導電膜を介することで、発生した電流を外部にとりだすことが容易となる。これらの透明導電膜の膜厚は、0.02〜10μm程度とするのが好ましい。
本発明の電極としては、例えば、以下に示す2態様が挙げられる。
<態様1>
樹脂基板又はガラス基板上に、本発明の多孔質酸化チタン膜を、透明導電膜を介して形成し、本発明の電極とすることができる。なお、樹脂基板、ガラス基板及び透明導電膜は上述したとおりのものである。
具体的には、以下のように、電極を形成すればよい。
まず、樹脂基板又はガラス基板上に、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、ゾルーゲル法、ナノ粒子コンポジット等により透明導電膜を形成する。これにより得られる基板の表面抵抗は、50Ω/sq.以下とすることが好ましい。
そして、その上に、上述の膜形成用組成物を塗布及び乾燥し、必要に応じて加熱させることが好ましい。樹脂基板を使用する場合には、乾燥条件及び加熱条件は、150℃以下とすることが好ましい。
この際、得られる膜の膜厚が2〜40μm程度となるように塗布することが、クラック抑制及び基板との密着性の観点から好ましい。
<態様2>
樹脂基板又はガラス基板上に、本発明の多孔質酸化チタン膜を直接形成し、さらにその上に、多孔質金属膜を形成して本発明の電極としてもよい。なお、樹脂基板及びガラス基板は上述したとおりのものである。また、樹脂基板又はガラス基板上に、本発明の多孔質酸化チタン膜を形成する際には、上記態様1と同様の方法を採用することができる。
態様2で使用できる多孔質金属膜としては、ヨウ素イオン、臭素イオン等の電解液中に含まれるイオンに侵されない(反応しない)金属であれば特に限定されないが、例えば、チタン、タングステン、白金、金等が挙げられる。これらの多孔質金属膜を形成することで、発生した電流を外部にとりだすことが容易となる。これらの多孔質金属膜の表面低効率は、特に限定されないが、10Ω/sq.以下であればよく、膜厚も特に限定されないが、150nm以上とするのが好ましい。
樹脂基板又はガラス基板上に形成された多孔質酸化チタン膜のさらに上に、多孔質金属膜を形成するには、スパッタ法等の薄膜形成法により形成すればよい。
5.光電変換素子及び色素増感太陽電池
本発明の光電変換素子は、本発明の電極の多孔質酸化チタン膜の上に対向電極(対極)を形成し、これら電極間を、ヨウ素及びヨウ化物又は臭素及び臭化物を含むアセトニトリル溶液、エチレンカーボネート溶液、又はプロピレンカーボネート溶液、及びそれらの混合溶液等の電解液で満たすことにより作製できる。また、本発明の色素増感太陽電池は、当該光電変換素子をモジュール化するとともに、所定の電気配線を設けることによって得られる。
このように、本発明の電極を負極として用いることにより、発生した電子を速やかに負極側の導電ガラスに運ぶことができる。また、負極材料として酸化チタン微粒子を使用した場合と比較し、光を拡散しやすくし、光利用効率を向上させることができる。また、負極に適度な隙間を形成し、電解液の拡散を容易にすることができる。さらに、負極の多孔質酸化チタン膜の強度を向上させ、リーク電流等の要因となるクラックを防止することもできる。
対極は、導電性材料からなる単層構造でもよいし、導電層と基板とから構成されていてもよい。基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、無色又は有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、樹脂でも良い。かかる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテン等が挙げられる。また、電荷輸送層上に直接導電性材料を塗布、メッキ又は蒸着(PVD、CVD)して対極を形成してもよい。
なお、本発明の電極を対極として用いることもできる。本発明の電極を対極として使用すれば、触媒の有効面積の拡大、電解液の拡散の促進、対極の触媒層の強度の向上等の効果が期待できる。
導電性材料としては、白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、タングステン等の金属や、炭素材料、導電性有機物等の比抵抗の小さな材料が用いられる。
また、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いても良い。金属リードは白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、タングステン等の金属からなるのが好ましく、アルミニウム又は銀からなるのが特に好ましい。
本発明では、対極を形成する前に、本発明の電極の光吸収効率を向上すること等を目的として、多孔質酸化チタン膜に色素を担持(吸着、含有など)させることが好ましい。
色素は、可視域や近赤外域に吸収特性を有し、半導体層の光吸収効率を向上(増感)させる色素であれば特に限定されないが、金属錯体色素、有機色素、天然色素、半導体等が好ましい。また、多孔質酸化チタン膜への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基等の官能基を有するものが好適に用いられる。
金属錯体色素としては、例えば、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛、水銀の錯体(例えば、メリクルクロム等)や、金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。また、有機色素としては、例えば、シアニン系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、金属フリーフタロシアニン系色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。色素として用いることができる半導体としては、i型の光吸収係数が大きなアモルファス半導体や直接遷移型半導体、量子サイズ効果を示し、可視光を効率よく吸収する微粒子半導体が好ましい。通常、各種の半導体や金属錯体色素や有機色素の一種、又は光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することができる。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素とその割合を選ぶことができる。
色素を多孔質酸化チタン膜に吸着させる方法としては、例えば、溶媒に色素を溶解させた溶液を、多孔質酸化チタン膜上にスプレーコートやスピンコート等により塗布した後、乾燥する方法により形成することができる。この場合、適当な温度に基板を加熱してもよい。また、多孔質酸化チタン膜を溶液に浸漬して吸着させる方法を用いることもできる。浸漬する時間は色素が充分に吸着すれば特に制限されることはないが、好ましくは10分〜30時間、より好ましくは1〜20時間である。また、必要に応じて浸漬する際に溶媒や基板を加熱しても良い。溶液にする場合の色素の濃度としては、1〜1000mmol/L、好ましくは10〜500mmol/L程度である。
用いる溶媒は特に制限されるものではないが、水及び有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル等のニトリル類;ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ブタノン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
色素間の凝集等の相互作用を低減するために、界面活性剤としての性質を持つ無色の化合物を色素吸着液に添加し、多孔質酸化チタン膜に共吸着させてもよい。このような無色の化合物の例としては、カルボキシル基やスルホ基を有するコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸等のステロイド化合物やスルホン酸塩類等が挙げられる。
未吸着の色素は、吸着工程後、速やかに洗浄により除去するのが好ましい。洗浄は湿式洗浄槽中でアセトニトリル、アルコール系溶媒等を用いて行うのが好ましい。
色素を吸着させた後、アミン類、4級アンモニウム塩、少なくとも1つのウレイド基を有するウレイド化合物、少なくとも1つのシリル基を有するシリル化合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を用いて、多孔質酸化チタン膜の表面を処理してもよい。好ましいアミン類の例としては、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。好ましい4級アンモニウム塩の例としては、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙げられる。これらは有機溶媒に溶解して用いてもよく、液体の場合はそのまま用いてもよい。
6.他の用途
本発明の酸化チタン構造体は、色素増感太陽電池以外にも、光触媒、センサー、樹脂強化材、金属イオン担持体等に用いることができる。その際、上記の「3.多孔質酸化チタン膜」等と同様に、本発明の酸化チタン構造体を単独で用いてもよいし、本発明の酸化チタン構造体と酸化チタン微粒子等とを混合して用いてもよい。
本発明の酸化チタン構造体と酸化チタン微粒子等とを混合して用いれば、強度を向上させ、クラック等の不良を抑制することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
実施例1
平均粒子径が7nmの酸化チタン微粒子0.8gと酸化ニオブ0.066gを100gの蒸留水を加え撹拌した後、40gのNaOHを加えさらに5分間撹拌した(酸化チタンの濃度:0.1mol/L、酸化ニオブ由来のニオブ濃度0.005mol/L、アルカリ水溶液の濃度:10mol/L)。この混合液をPTFEライニングしたSUS316製圧力容器に入れて250℃加熱炉中で12時間静置したところ、白色の沈殿が得られた。
この沈殿を500mlの蒸留水中で激しく撹拌した後、減圧濾過するという操作を3回繰り返した後、pH1の塩酸500g中で24時間撹拌した。さらに得られた物質を500mlの蒸留水中で撹拌した後減圧濾過するという操作を5回繰り返し、白色のケーキが得られた。これをTEMで観察した結果を図1に示す。平均幅80nm、平均長さ6μmの大きいアスペクト比(平均アスペクト比:74)を有する板状の物質であることが分かった。
その後、得られた白色のケーキを700℃の減圧(0.3〜0.5kPa)下で熱処理(焼成)したところ、0.8gの白色の物質が得られた。
この物質をSEM及びTEMで観察したところ、平均幅100nm、平均長さ5μmの大きいアスペクト比(平均アスペクト比:50)を有する板状の物質であり、焼成前後で形状をほぼ維持できることがわかった。また、1個1個の構造体が独立しており、分散性に優れることも分かった。さらに、この物質のNb/Ti比を測定したところ、5mol%であった。
また、この物質を10MPaで厚さ0.3mmの平板状に加工し、ペレット間に電圧1V印加して粉体抵抗を測定したところ、1.0×10Ω・mであった。また、BET比表面積を測定したところ、20m/gであった。ICP発光分光分析法にてアルカリ金属(ナトリウム)含有量を測定したところ検出限界以下(500ppm以下)であった。
なお、以下の実施例及び比較例においても、構造体の評価は同様に測定した。
実施例2
平均粒子径が25nmの酸化チタン微粒子0.8gを用いる以外は、実施例1と同様に実験を行った。
その結果、0.8gの白色物質が得られ、平均幅90nm、平均長さ4.5μm(平均アスペクト比:50)であり、粉体抵抗は1.1×10Ωmであった。なお、TEMで観察した結果を図2に示す。また、1個1個の構造体が独立しており、分散性に優れることも分かった。
また、この物質のNb/Ti比を測定したところ、5mol%であった。さらに、BET比表面積を測定したところ、22m/gであった。アルカリ金属(ナトリウム)含有量を測定したところ検出限界以下(500ppm以下)であった。
実施例3
平均粒子径が4nmの酸化チタンゾル100g(酸化チタンを0.8g含む)に塩化ニオブ0.135gを用いる以外は、実施例1と同様に実験を行った。この際、アルカリ水溶液中の酸化チタンの濃度は0.1mol/L、塩化ニオブ由来のニオブ濃度は0.005mol/Lである。その結果、0.8gの白色物質が得られ、平均幅90nm、平均長さ7μm(平均アスペクト比:78)であり、粉体抵抗は1.3×10Ωmであった。また、1個1個の構造体が独立しており、分散性に優れることも分かった。
また、この物質のNb/Ti比を測定したところ、5mol%であった。さらに、BET比表面積を測定したところ、26m/gであった。アルカリ金属(ナトリウム)含有量を測定したところ検出限界以下(500ppm以下)であった。
実施例4
反応温度を250℃ではなく200℃とする以外は、実施例1と同様に実験を行った。その結果、0.8gの白色物質が得られ、平均幅80nm、平均長さ4.8μm(平均アスペクト比:60)であり、粉体抵抗は1.2×10Ωmであった。また、1個1個の構造体が独立しており、分散性に優れることも分かった。
また、この物質のNb/Ti比を測定したところ、5mol%であった。さらに、BET比表面積を測定したところ、30m/gであった。アルカリ金属(ナトリウム)含有量を測定したところ検出限界以下(500ppm以下)であった。
実施例5
60gのNaOHを用いる以外は、実施例1と同様に実験を行った。この際、アルカリ水溶液中の酸化チタンの濃度は0.1mol/L、塩化ニオブ由来のニオブ濃度は0.005mol/Lである。その結果、0.8gの白色物質が得られ、平均幅100nm、平均長さ8μm(平均アスペクト比:80)であり、粉体抵抗は0.9×10Ωmであった。また、1個1個の構造体が独立しており、分散性に優れることも分かった。
また、この物質のNb/Ti比を測定したところ、5mol%であった。さらに、BET比表面積を測定したところ、21m/gであった。アルカリ金属(ナトリウム)含有量を測定したところ検出限界以下(500ppm以下)であった。
実施例6
反応時間を12時間ではなく60時間とする以外は、実施例1と同様に実験を行った。その結果、0.8gの白色物質が得られ、平均幅100nm、平均長さ10μm(平均アスペクト比:100)であり、粉体抵抗は0.8×10Ωmであった。また、1個1個の構造体が独立しており、分散性に優れることも分かった。
また、この物質のNb/Ti比を測定したところ、5mol%であった。さらに、BET比表面積を測定したところ、22m/gであった。アルカリ金属(ナトリウム)含有量を測定したところ検出限界以下(500ppm以下)であった。
実施例7
焼成温度を700℃ではなく800℃とする以外は、実施例1と同様に実験を行った。その結果、0.8gの白色物質が得られ、平均幅130nm、平均長さ5μm(平均アスペクト比:38)であり、粉体抵抗は0.5×10Ωmであった。また、1個1個の構造体が独立しており、分散性に優れることも分かった。
また、この物質のNb/Ti比を測定したところ、5mol%であった。さらに、BET比表面積を測定したところ、16m/gであった。アルカリ金属(ナトリウム)含有量を測定したところ検出限界以下(500ppm以下)であった。
実施例8
焼成雰囲気を減圧下ではなく、水素を2mol%含む窒素雰囲気で焼成する以外は、実施例1と同様に実験を行った。その結果、0.8gの白色物質が得られ、平均幅100nm、平均長さ5μm(平均アスペクト比:50)であり、粉体抵抗は0.2×10Ωmであった。また、1個1個の構造体が独立しており、分散性に優れることも分かった。
また、この物質のNb/Ti比を測定したところ、5mol%であった。さらに、BET比表面積を測定したところ、20m/gであった。アルカリ金属(ナトリウム)含有量を測定したところ検出限界以下(500ppm以下)であった。
比較例1
平均粒子径が7nmの酸化チタン微粒子0.8gのみに、100gの蒸留水を加え撹拌した後、40gのNaOHを加え、実施例1と同様に実験を行った。つまり、酸化ニオブを使用しなかった。
その結果、700℃の焼成前には平均幅65nm、平均長さ5μmの大きいアスペクト比(平均アスペクト比:77)を有する物質であったが、焼成により0.8gの白色物質が得られ、平均幅170nm、平均長さ3.5μm(平均アスペクト比:20)であり、粉体抵抗は7×10Ωmであり、導電性が低かった。
また、酸化ニオブを使用した場合と比較して、アスペクト比が半分以下となり、焼成後の形状の変化が多いことがわかった。
比較例2
焼成を行う代わりに150℃の減圧乾燥のみを行い、実施例1と同様に実験を行った。
その結果、0.8gの白色物質が得られ、平均幅65nm、平均長さ6.5μm(平均アスペクト比:100)の物質が得られたが、粉体抵抗は3×10Ωmであり、導電性が低かった。
比較例3
反応を250℃減圧下ではなく110℃常圧下で行う以外は、実施例1と同様に実験を行った。
その結果、焼成前で0.8gの白色物質が得られたが、径6nmのチューブ状物質とシート状物質の混合物であり、凝集が激しく、長さを観察することが出来なかった(図3及び4)。また、水に加え超音波分散を試みたが、分散させることができなかった。よって、そのまま700℃で減圧条件下で熱処理を行ったが、TEM観察を行ったところ、チューブ、シート形状が消滅し、2μm程度の粒子状物質となっていた。つまり、形状を維持することは到底できなかった。なお、粉体抵抗は2×10Ωmであった。
実験例:色素増感太陽電池
<酸化チタンナノ粒子(平均粒径15nm)の合成>
pH0.7の硝酸水溶液800gを撹拌しながら、チタンテトライソプロポキシド142.1g(0.5mol)、酢酸30g(0.5mol)を加え、1時間撹拌したのち、80℃に昇温して1時間保持し、酸化チタンゾルを合成した。最終重量は925gに調整した。この酸化チタンゾル208.1gをチタン製圧力容器に封入し、250℃で18時間反応を行い、酸化チタンナノ粒子(平均粒径15nm)を合成した。
<実施例1の酸化チタン構造体>
シート抵抗8Ω/sq.の導電性ガラス基板の上に、上記合成した酸化チタンナノ粒子(平均粒径15nm)2.9g、実施例1で得られた酸化チタン系構造体0.1g、エチルセルロース1.5g、α−テルピネオール10g、エタノール50gを混合し、超音波分散を行い、その後40℃90hPaで3h濃縮して得られた酸化チタンペーストを5mm角×厚み16μmに塗布し、125℃で乾燥した。
この塗膜を500℃空気中で1h焼成し、多孔質の酸化チタン膜を得た。
得られた酸化チタン膜をルテニウム色素(Rutenium535-bisTBA:SOLARONIX社製)/t−ブタノール・アセトニトリル(1:1)溶液(濃度:3.0×10−4mol/L)に16時間浸漬し、酸化チタンに色素を担持させた。
この導電ガラスを、Ptスパッタを行った導電ガラス(ジオマテック(株)製)に厚み25μmで酸化チタン層を囲うような形に切り抜いたアイオノマー製フィルムを介して張り合わせ、中に0.1mol/Lのヨウ化リチウム、0.03mol/Lのヨウ素、0.5mol/Lの4−tert−ブチルピリジンをアセトニトリルに溶解させた電解液を封入した。
セルに疑似太陽光(1kW/m)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、8.6%の光電変換効率を得た。
<酸化チタン構造体なし>
実施例1で得られた酸化チタン構造体0.1gを使用せず、上記合成した酸化チタンナノ粒子(平均粒径15nm)を3.0g使用したこと以外は、上記実施例1の酸化チタン構造体を用いた場合と同様に実験を行った。
セルに疑似太陽光(1kW/m)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、8.0%の光電変換効率を得た。
<比較例1の酸化チタン構造体>
酸化チタン構造体を比較例1で得られたものに変更すること以外は、上記実施例1の酸化チタン構造体を用いた場合と同様にして実験を行った。
セルに疑似太陽光(1kW/m)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、8.2%の光電変換効率を得た。

Claims (23)

  1. V、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、平均アスペクト比が10以上であり、10MPa下での粉体抵抗が1×10Ω・m以下である、板状又はロッド状の酸化チタン構造体。
  2. V、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を、Tiに対して0.1〜10mol%含有する、請求項1に記載の酸化チタン構造体。
  3. 比表面積が10m/g以上である、請求項1又は2に記載の酸化チタン構造体。
  4. 平均幅が20nm以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の酸化チタン構造体。
  5. 長手方向の平均長さが1μm以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の酸化チタン構造体。
  6. アルカリ金属の含有量が2000ppm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の酸化チタン構造体。
  7. 平均アスペクト比が10以上であり、10MPa下での粉体抵抗が1×10Ω・m以下である板状又はロッド状の酸化チタン構造体の製造方法であって、
    (1)3〜20mol/Lのアルカリ水溶液と、Tiを含む物質(A)、並びにV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む物質(B)とを、160℃より高い温度で接触させる工程、及び
    (3)300℃以上で熱処理する工程
    を備える、製造方法。
  8. 前記工程(1)において、物質(B)中のV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が、物質(A)中のTiに対して0.1〜10mol%である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記物質(A)が、酸化チタン及び/又はその前駆体である、請求項7又は8に記載の製造方法。
  10. 前記物質(B)が、V、Nb、Ta及びBの酸化物、水酸化物、アルコキシド及び塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記アルカリが、少なくとも水酸化ナトリウムを50重量%以上含む、請求項7〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記工程(3)が、
    (3−1)10kPa以下の減圧下に300℃以上で熱処理する工程
    である、請求項7〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 前記工程(3)が、
    (3−2)還元雰囲気下に300℃以上で熱処理する工程
    である、請求項7〜11のいずれかに記載の製造方法。
  14. 前記工程(1)及び(3)の間に、
    (2)工程(1)で得られた酸化チタン系構造体を水、酸及びイオン交換樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種と接触させる工程
    を備える、請求項7〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 前記酸が、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、酢酸、クエン酸、ギ酸及びシュウ酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項14に記載の製造方法。
  16. (1)3〜20mol/Lのアルカリ水溶液と、Tiを含む物質(A)、並びにV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む物質(B)とを、160℃より高い温度で接触させる工程、及び
    (3)300℃以上で熱処理する工程
    を備える方法により製造された、平均アスペクト比が10以上であり、10MPa下での粉体抵抗が1×10Ω・m以下である板状又はロッド状の酸化チタン構造体。
  17. (1)3〜20mol/Lのアルカリ水溶液と、Tiを含む物質(A)、並びにV、Nb、Ta及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む物質(B)とを、160℃より高い温度で接触させる工程
    を備える、板状又はロッド状の酸化チタン構造体の熱処理前後の形状変化を抑制する方法。
  18. 前記工程(1)の後、
    (2)工程(1)で得られた酸化チタン系構造体を水、酸及びイオン交換樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種と接触させる工程
    を備える、請求項17に記載の方法。
  19. 請求項1〜6及び16のいずれかに記載の酸化チタン構造体、又は請求項7〜15のいずれかに記載の製造方法により得られた酸化チタン構造体を含む、多孔質酸化チタン膜。
  20. さらに、平均粒子径が1〜500nmの酸化チタン微粒子を含む、請求項19に記載の多孔質酸化チタン膜。
  21. 導電性基板上に、色素が担持された請求項19又は20に記載の多孔質酸化チタン膜が形成されている電極。
  22. 請求項21に記載の電極を備える、光電変換素子。
  23. 請求項1〜6及び16のいずれかに記載の酸化チタン構造体、又は請求項7〜15のいずれかに記載の製造方法により得られた酸化チタン構造体を用いた光触媒。
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