JP2011186622A - 覚醒支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の運転者に対する能動的動作の誘発による覚醒支援の効果を高めること。
【解決手段】覚醒支援システムの一部である8個の圧電素子11〜18は、自身に生じた応力の大きさに依存した電圧を発生する素子であり、自動車のステアリングホイール10に設けられる。圧電素子11〜18は、運転者がステアリング操作のために把持部220を握った状態において、第2〜第5指(親指以外の指)それぞれによって触りやすい(叩きやすい)ように配置されている。そして、運転者が圧電素子11〜18を叩くことによって電圧が発生すると、覚醒支援システムによって音が出力されるようになっている。そして、運転者が眠気を感じた場合、音楽を出力し、その音楽に合わせた圧電素子11〜18の叩き操作を運転者に促すことで、指の運動に伴う固有知覚による覚醒支援を実現する。
【選択図】図2
【解決手段】覚醒支援システムの一部である8個の圧電素子11〜18は、自身に生じた応力の大きさに依存した電圧を発生する素子であり、自動車のステアリングホイール10に設けられる。圧電素子11〜18は、運転者がステアリング操作のために把持部220を握った状態において、第2〜第5指(親指以外の指)それぞれによって触りやすい(叩きやすい)ように配置されている。そして、運転者が圧電素子11〜18を叩くことによって電圧が発生すると、覚醒支援システムによって音が出力されるようになっている。そして、運転者が眠気を感じた場合、音楽を出力し、その音楽に合わせた圧電素子11〜18の叩き操作を運転者に促すことで、指の運動に伴う固有知覚による覚醒支援を実現する。
【選択図】図2
Description
車両の運転者の覚醒を支援する装置に関する。
車両の運転者に対して、覚醒を支援する(眠気を覚ます)覚醒支援装置が既に知られている。覚醒を支援する具体的な方法としては、外的な刺激の付与(例えば、警告音や、冷風の吹きつけ)や、運転者の能動的動作の誘発が挙げられる。そして、能動的動作の誘発による覚醒支援の効果が高まる条件としては、「能動的動作をすることについての動機が強いこと」及び「能動的動作がリズミカルであること」の2つが知られている。
この2つの条件を満たす覚醒支援の技術として、例えば特許文献1には、自動車搭載用の居眠り運転防止装置が開示されている。この居眠り運転防止装置は、フットレスト・スイッチのオン/オフが切り替わると、それに応じてスピーカから音が出力されるようになっている。そして、運転者の眠気を検知すると音楽を流すことで、フットレスト・スイッチのオン/オフに伴う音を、その音楽に合わせて出力させるように運転者に促す。つまり、眠気を検知すると、音楽に合わせた「リズミカル」な能動的動作をする「動機」を与えるようになっている。そして、運転者が実際にそのような動作をすることで、覚醒支援が実現される。
先述した技術の課題は、覚醒支援の効果が十分でなかったことである。本発明はこの課題に鑑み、車両の運転者に対する能動的動作の誘発による覚醒支援の効果を高めることを目的とする。
この課題を解決するための請求項1の発明は、ユーザインターフェースと、動機付け手段とを備える覚醒支援装置である。ユーザインターフェースは、車両のステアリングホイールに設けられ、そのステアリングホイールを運転者がステアリング操作のために握った状態において、両手の第2〜第5指の8本の指のうち少なくとも1本の指による情報入力操作が可能になっている。また、動機付け手段は、ユーザインターフェースによる情報入力操作をリズミカルに行うことの動機付けとなる情報である動機情報を、ユーザインターフェースを通じて入力された情報に基づいて生成し、その生成した動機情報を運転者に与える。
この発明によれば、車両の運転者に対する能動的動作の誘発による覚醒支援の効果を高めることができる。すなわち、この発明においては、先述した「能動的動作をすることについての動機が強いこと」及び「能動的動作がリズミカルであること」に加え、従来技術に比べて「固有知覚」による覚醒効果が期待できるからである。
ここで言う固有知覚とは、関節の位置を認識する感覚のことであり、「位置覚」などとも言われる。この固有知覚には、骨格筋に存在する筋紡錘が必要である。この筋紡錘が筋肉の伸展度を感受し、その感受された伸展度を示す情報が脳へ伝達されることで、脳が関節の位置を認識できる。そして、固有知覚には覚醒支援効果があることが、最近の研究で明らかになってきた。
また、筋紡錘は、脚の筋肉に比べて、手の虫様筋に格段に多く存在する。手の虫様筋は、第2〜第5指(親指以外の指)のMP関節(手の平との境としての関節)の屈曲、並びに、DIP関節(指先の関節)及びPIP関節(MP関節とDIP関節との間の関節)の伸展を行う骨格筋である。よって、第2〜第5指の運動は、脚の運動に比べて、多量の固有知覚を生じさせることになり、覚醒支援に効果的であると言える。
そして、この発明においては、運転者の能動的動作に基づいて生成された動機情報によって「能動的動作をすることについての動機が強いこと」及び「能動的動作がリズミカルであること」が満たされると共に、その能動的動作が第2〜第5指の運動となるように構成されている。よって、多量の固有知覚が生じることにより、覚醒支援効果が高められることになる。
なお「指による情報入力操作」は、接触または非接触による方式を含む。また、動機情報の形態は、運転者の五感の何れかに訴えるもの(音、光、振動など)であれば良い。また、動機情報は、複数種類が与えられるようになっていても良いし、1種類のみでも良い。
ところで、情報入力操作に対応する動作が1種類しかないと、連続して操作する場合、同じ筋肉を使い続けることになり、運転者の負担となることが考えられる。また、動作が1種類しかないと、入力できる情報の種類が限られ、ひいては、生成できる動機情報の種類も少なくなってしまう。生成される動機情報の種類が少ないと、運転者が動機情報に飽きてしまい、情報入力操作に対する動機付けが弱くなってしまうことも考えられる。そこで、次のようにすると良い。
請求項2に記載の覚醒支援装置が備えるユーザインターフェースは、複数の指によって、それぞれ異なる種類の情報を入力できるようになっている。また、動機付け手段は、ユーザインターフェースを通じて入力された異なる情報それぞれに応じて、動機情報を生成する。
この発明によれば、筋肉の疲れを軽くでき、かつ、覚醒支援効果をより高めることができる。すなわち、複数の指によって情報入力操作ができるので、連続して情報入力操作をする場合でも、同じ筋肉を連続して動かす必要がなくなる。よって、筋肉の疲れを軽くすることができる。さらに、ユーザインターフェースに入力された異なる種類の情報それぞれに応じた動機情報を与えることができるので、運転者の飽きを防ぎやすくなり、覚醒支援効果が高まると考えられる。
ところで、動機情報の例として「情報入力操作に呼応して出力される音」が考えられる。このような音を出力する構成の場合、次のようにすると更に良い。
請求項3に記載の覚醒支援装置が備えるユーザインターフェースは、接触によって情報入力操作を受け付けると共に、その接触の力の強さを検出するようになっている。また、動機付け手段は、動機情報として音を出力する出力手段を備える。この出力手段は、ユーザインターフェースによって検出された接触力が強い程、出力する音を大きくする。
請求項3に記載の覚醒支援装置が備えるユーザインターフェースは、接触によって情報入力操作を受け付けると共に、その接触の力の強さを検出するようになっている。また、動機付け手段は、動機情報として音を出力する出力手段を備える。この出力手段は、ユーザインターフェースによって検出された接触力が強い程、出力する音を大きくする。
この発明によれば、運転者の動作をより反映させた音を出力することで、入力と出力とが感覚的に近いものとなり、自らの動作がより反映された情報を受け取ることになるので、覚醒効果が更に高まると考えられる。
ところで、動機情報は、より強い動機付けをもたらす方が望ましい。また、情報入力操作は、リズミカルに行いやすい方が望ましい。そこで、次のようにすると良い。
請求項4に記載の覚醒支援装置が備える動機付け手段は、合の手手段を備える。この合の手手段は、情報入力操作が行われたタイミングに基づいて次に情報入力操作が行われるタイミングを予測し、その予測したタイミングよりも早いタイミングにおいて合の手を出力する。
請求項4に記載の覚醒支援装置が備える動機付け手段は、合の手手段を備える。この合の手手段は、情報入力操作が行われたタイミングに基づいて次に情報入力操作が行われるタイミングを予測し、その予測したタイミングよりも早いタイミングにおいて合の手を出力する。
この発明によれば、合の手によって、情報入力操作に対するより強い動機付けをもたらすと共に、情報入力操作をリズミカルに行いやすくなる。なお「合の手」とは、一般的には「音楽の調子に合わせて間に入れる掛け声や手拍子」のことであるが、この発明においては、そのような一般的なものであっても良いし、掛け声や手拍子以外の音や、音以外(光や振動など)であっても良い。
ところで、動機付け手段の動作タイミングは、運転者の希望に従っても良いが、次のようにすると良い。
請求項5に記載の覚醒支援装置は、運転者の眠気レベルを推定する推定手段を備える。そして、動機付け手段は、補助手段を備える。この補助手段は、推定手段によって推定された眠気レベルが基準値以上の場合に、ある一定のリズムを運転者に提示することで、情報入力操作をリズミカルに行うことを補助する。
請求項5に記載の覚醒支援装置は、運転者の眠気レベルを推定する推定手段を備える。そして、動機付け手段は、補助手段を備える。この補助手段は、推定手段によって推定された眠気レベルが基準値以上の場合に、ある一定のリズムを運転者に提示することで、情報入力操作をリズミカルに行うことを補助する。
この発明によれば、眠気レベルが基準値以上の場合、つまり覚醒支援が必要な場合に、情報入力操作がリズミカルになるよう補助することができる。さらに、提示されるリズムによって、情報入力操作に対する動機付けを高めることができると考えられる。なお、リズムの提示の仕方は、音楽でも良いし、振動やリズミカルな発光でも良い。また「1秒毎に情報入力操作をして下さい」というメッセージでも良い。
[1.ハードウェア構成(図1)]
図1は、本発明が適用された覚醒支援システム1の概略構成を示したブロック図である。この覚醒支援システム1は、自動車に搭載され、運転者の眠気に応じて運転者の覚醒を支援するものである。図1に示すように、覚醒支援システム1は、S/W(ステアリングホイール)10、カメラ20、タッチパネル画面30、8個の増幅/フィルタ部40,40…、A/D部45、制御部50、HUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)60、電子音源70、音響機器80、及びスピーカ90を備える。
図1は、本発明が適用された覚醒支援システム1の概略構成を示したブロック図である。この覚醒支援システム1は、自動車に搭載され、運転者の眠気に応じて運転者の覚醒を支援するものである。図1に示すように、覚醒支援システム1は、S/W(ステアリングホイール)10、カメラ20、タッチパネル画面30、8個の増幅/フィルタ部40,40…、A/D部45、制御部50、HUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)60、電子音源70、音響機器80、及びスピーカ90を備える。
S/W10は、自動車のハンドリング用のものであると共に、覚醒支援に用いられる8個の圧電素子11〜18(図2で詳述)を備える。また、8個の増幅/フィルタ部40,40…それぞれは、圧電素子11〜18のうちの対応するものから出力される電圧を、増幅/フィルタリングする。A/D部45は、圧電素子11〜18の何れで発生した電圧かが判別できるように、増幅/フィルタ部40によって増幅/フィルタリングされた電圧をA/D変換すると共に制御部50に入力する。
一方、カメラ20は、インストルメントパネル内に配置され、運転者の顔面を含む画像(具体的には、肩付近から上側の部位の画像)を撮影する。また、タッチパネル画面30は、ナビゲーション装置や、他の車載機器(エアコン等)に関する情報表示および情報入力のためのユーザインターフェースとして機能し、後述する覚醒支援に関する機能の設定に用いられる。
制御部50は、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイコンであり、カメラ20、タッチパネル画面30及びA/D部45から入力される情報に基づいて、タッチパネル画面30、HUD60、電子音源70及び音響機器80を制御する。
HUD60は、自動車のフロントガラスに光を反射させることで、運転者に虚像を認識させるための装置である。電子音源70は、種々の音色(ピアノ・太鼓などの音)を再現するためのデータ(楽音信号)を、制御部50の制御に基づいて音響機器80に入力する。音響機器80は、電子音源70から入力される楽音信号と、制御部50からの制御とに基づいて、音響機器80自身のデータベースに蓄積されている音楽信号をスピーカ90に入力する。そして、スピーカ90は、音響機器80から入力された音楽信号に対応する音を出力する。
[2.圧電素子11〜18(図2)]
図2は、S/W10に設けられた圧電素子11〜18を示す図である。図2(a)はS/W10を裏側から見た図、図2(b)はS/W10を斜めから見た図である。圧電素子11〜18は、自身に生じた応力の大きさに依存した電圧を発生する素子である。また、圧電素子11〜18は、S/W10のスポーク部210の裏側(運転者に遠い側)に設けられている。スポーク部210は、把持部220(運転者がステアリング操作のために握る円形の部材)と、回転軸部材230とを連結する部材である。そして、圧電素子11〜18は、運転者がステアリング操作のために把持部220を握った状態において、第2〜第5指(親指以外の指)それぞれによって触りやすい(叩きやすい)ように配置されている。
図2は、S/W10に設けられた圧電素子11〜18を示す図である。図2(a)はS/W10を裏側から見た図、図2(b)はS/W10を斜めから見た図である。圧電素子11〜18は、自身に生じた応力の大きさに依存した電圧を発生する素子である。また、圧電素子11〜18は、S/W10のスポーク部210の裏側(運転者に遠い側)に設けられている。スポーク部210は、把持部220(運転者がステアリング操作のために握る円形の部材)と、回転軸部材230とを連結する部材である。そして、圧電素子11〜18は、運転者がステアリング操作のために把持部220を握った状態において、第2〜第5指(親指以外の指)それぞれによって触りやすい(叩きやすい)ように配置されている。
一方、制御部50は、電圧を発生した圧電素子に対応した楽音信号を、電子音源70に出力させるようになっている。例えば、圧電素子11が電圧を発生した場合は太鼓の音、圧電素子12が電圧を発生した場合はピアノの音、という具合である。電子音源70から出力された楽音信号は、先述したように音響機器80に入力される。そして、音響機器80は、入力された楽音信号に対応した音色の音をスピーカ90に出力させる。
また、制御部50は、圧電素子から発生した電圧値に対応した音量がスピーカ90から出力されるように、電子音源70を制御する。よって、運転者が圧電素子を叩く強さが強い程、大きな音がスピーカ90から出力される。このような構成により、運転者は、どの指で、どの位の強さで圧電素子を叩くかによって、種々の音をスピーカ90から出力させることができる。
なお、圧電素子11〜18それぞれに対応する音色は、運転者が設定できるようになっている。具体的には、タッチパネル画面30を通じて設定変更を希望する旨を入力すると、タッチパネル画面30に設定画面が表示され、その設定画面を通じて、変更後の音色を選択・設定できるようになっている。設定が完了すると、現在設定されている音色を示す情報(例えば、音色に対応する楽器の名称)がHUD60に表示される。
なお、このような圧電素子を叩くことによってなされる音の出力は、本実施形態では常に実行可能に構成されているが、次に説明する覚醒支援処理の最中において実行するのを、主たる目的としている。
[3.覚醒支援処理(図3)]
図3は、覚醒支援処理を示すフローチャートである。この覚醒支援処理は、自動車が走行可能な期間(原動機(エンジンやモータ)の作動時)に常時、実行される処理であり、実行主体は制御部50である。図3に示すように覚醒支援処理が実行されると、まず眠気推定処理が実行される(S110)。
図3は、覚醒支援処理を示すフローチャートである。この覚醒支援処理は、自動車が走行可能な期間(原動機(エンジンやモータ)の作動時)に常時、実行される処理であり、実行主体は制御部50である。図3に示すように覚醒支援処理が実行されると、まず眠気推定処理が実行される(S110)。
[3−1.眠気推定処理(図4)]
図4は、眠気推定処理を示すフローチャートである。制御部50は、眠気推定処理を開始すると、カメラ20から、運転者の顔面を含む撮影画像を取得する(S1110)。そして、その撮影画像に基づき、表情データを生成する(S1120)。表情データを説明するために、図5に移る。
図4は、眠気推定処理を示すフローチャートである。制御部50は、眠気推定処理を開始すると、カメラ20から、運転者の顔面を含む撮影画像を取得する(S1110)。そして、その撮影画像に基づき、表情データを生成する(S1120)。表情データを説明するために、図5に移る。
図5は、表情データを構成する顔面上の特徴点を示した図である。本実施形態では、左右の上まぶた101L・101R、左右の下まぶた102L・102R、左右の目頭103L・103R、左右の目尻104L・104R、左右の眉頭105L・105R、左右の眉上端106L・106R、左右の眉尻107L・107R、左右の鼻108L・108R、上唇109、下唇110、左右の口角111L・111R、輪郭112〜116の25点が定められている。なお、ここで言う「左右」とは、運転者に向かって見たときの左右であり、運転者から見た左右とは反転することになる。
そして、左右の鼻108L・108Rの両点を結ぶ直線をx軸、両点の中点を通り、x軸に直交する直線をy軸として、各点の2次元座標値を計算する。この計算結果が表情データとなる。
図4に戻る。表情データを生成すると、制御部50自身が備えるROMから学習データを取得する(S1130)。学習データを説明するために、図6に移る。
図6は、学習データを示す図である。学習データとは、先述した表情データと眠気レベルとの関係について、予め行われた実験から得られるサンプルデータによって構成されるデータベースのことである。この実験は、聞き取りや観察などによって被験者の眠気レベル(0(覚醒)〜5(強い眠気)の6段階)を決定し、その眠気レベルをその時の表情データと関連付ける、というものである。被験者は複数人であり、各被験者について、各眠気レベルのデータが複数個、取得できるまで実験をする。
図6は、学習データを示す図である。学習データとは、先述した表情データと眠気レベルとの関係について、予め行われた実験から得られるサンプルデータによって構成されるデータベースのことである。この実験は、聞き取りや観察などによって被験者の眠気レベル(0(覚醒)〜5(強い眠気)の6段階)を決定し、その眠気レベルをその時の表情データと関連付ける、というものである。被験者は複数人であり、各被験者について、各眠気レベルのデータが複数個、取得できるまで実験をする。
そして、取得した各データを、眠気レベル0に関連付けられた表情データの平均として得られる座標値との差分を取ることによって、規格化する。このようにして得られるのが、学習データである。
図4に戻る。次に、運転者の表情データを、上記「眠気レベル0に関連付けられた表情データの平均として得られる座標値」によって規格化する(S1140)。そして、その規格化した運転者の表情データと、学習データとに基づいて運転者の眠気レベルを推定する(S1150)。具体的には、運転者の表情データを学習データに照合して、学習データを構成する表情データの中で、運転者の表情データに最も近い(ユークリッド距離が最も短い)ものを選択する。なお、このユークリッド距離は、表情データが25の特徴点から構成されているので、25次元空間における距離となる。そして、その選択した表情データに対応付けられている眠気レベルを運転者の眠気レベルとして推定する。
[3−2.S120〜S190(図3)]
図3に戻る。S110(眠気推定処理)を終えると、直前のS110で推定された眠気レベルが2以上であるかを判定する(S120)。2未満であると判定すると(S120NO)、S110に戻る。一方、2以上であると判定すると(S120YES)、伴奏開始を希望するかを質問する(S130)。具体的には「伴奏を開始しますか?」というメッセージを、音響機器80を介してスピーカ90に音声出力させると共に、タッチパネル画面30に文字表示させる。なお、この伴奏とは、運転者がリズミカルに圧電素子11〜18を叩き操作するための補助となる音楽のことである。
図3に戻る。S110(眠気推定処理)を終えると、直前のS110で推定された眠気レベルが2以上であるかを判定する(S120)。2未満であると判定すると(S120NO)、S110に戻る。一方、2以上であると判定すると(S120YES)、伴奏開始を希望するかを質問する(S130)。具体的には「伴奏を開始しますか?」というメッセージを、音響機器80を介してスピーカ90に音声出力させると共に、タッチパネル画面30に文字表示させる。なお、この伴奏とは、運転者がリズミカルに圧電素子11〜18を叩き操作するための補助となる音楽のことである。
そして、タッチパネル画面30を通じて、伴奏開始を希望する旨の入力が所定時間内にあったかを判定する(S140)。伴奏開始を希望しない旨の入力があった、或いは入力がないまま所定時間が経ったと判定すると(S140NO)、S110に戻る。一方、伴奏開始を希望する旨の入力が所定時間内にあったと判定すると(S140YES)、伴奏を開始する(S150)。具体的には、音響機器80を介してスピーカ90に音楽を出力させる。ここで出力される音楽は、覚醒支援用の音楽として用意されたリストの中から、運転者が選択したものである。
そして、合の手モードがオンに設定されているかを判定する(S160)。合の手モードとは、圧電素子11〜18が電圧を発生したタイミング(つまり、運転者が圧電素子11〜18を操作したタイミング)に基づいて、合の手を入れるモードである。合の手モードがオンの場合、直前2回分の叩き操作のタイミングに基づいて、合の手を出力する。具体的には、直前2回分として時刻t1及び時刻t2において圧電素子11〜18が電圧を発生した場合、時刻{t2+(t2−t1)/2}において、合の手としての音(例えば、手拍子に似せた音)をスピーカ90に出力させる。なお、合の手モードのオン/オフは、運転者がタッチパネル画面30を通じて予め設定するようになっている。
ステップの説明に戻る。合の手モードがオンであると判定すると(S160YES)、合の手を出力して(S170)、S175に進む。一方、合の手モードがオフであると判定すると(S160NO)、合の手を出力することなく、S175に進む。
S175に進むと、伴奏と叩き操作とのリズムのズレを算出する(S175)。具体的には、伴奏のリズムセクション(ドラムやベース)の音に基づいて定まるタイミングと、圧電素子11〜18が電圧を発生したタイミングとの時間差を計測する。そして、算出した時間差に基づいて定まる成績を、HUD60に表示する(S180)。この成績は、算出した時間差が短い程、好成績となるように値が算出される。また、成績の値の表示は、数字と共に、視覚的に分かりやすいように縦棒の長さで示す。
次に、眠気推定処理を実行する(S185)。この眠気推定処理は、S110で説明したものと同じなので、ここでは説明を省く。そして、直前のS185で推定された眠気レベルが2以上かを判定する(S190)。2以上であると判定すると(S190YES)、S160に戻る。一方、2未満であると判定すると(S190NO)、伴奏を停止し、合の手モードがオンであれば合の手も停止する(S195)。そして、S110に戻る。
[4.効果]
覚醒支援システム1によれば、「能動的動作をすることについての動機が強いこと」「能動的動作がリズミカルであること」及び「固有知覚」による覚醒効果が期待できる。特に、覚醒支援システム1は、指を動作させる構成になっているので、固有知覚によるさらなる覚醒支援効果が、従来に比べて期待できる。
覚醒支援システム1によれば、「能動的動作をすることについての動機が強いこと」「能動的動作がリズミカルであること」及び「固有知覚」による覚醒効果が期待できる。特に、覚醒支援システム1は、指を動作させる構成になっているので、固有知覚によるさらなる覚醒支援効果が、従来に比べて期待できる。
また、能動的動作の動機については、<1>第2〜第5指の8本の指それぞれによって、異なる音が出力可能なこと、<2>叩き強さに応じて音量が変化すること、<3>伴奏に合わせて圧電素子を叩いた結果が成績として表示されること、<4>合の手が入ること、の4点によって高められるようになっている。このように能動的動作の動機が強められることで、例えば無意識に行う「貧乏揺すり」等よりも覚醒支援効果が期待できる。
また、伴奏および合の手によって、運転者がリズミカルに動作しやすくなっている。また、眠気レベル及び運転者の希望に基づいて、覚醒支援(伴奏)を開始するので、不要な覚醒支援を行って、運転者に不快感を与えることを避けている。
[5.特許請求の範囲との対応]
実施形態と特許請求の範囲との対応を述べる。S110が推定手段、S150〜S180が動機付け手段、S150が補助手段、S170が合の手手段、のソフトウェアにそれぞれ対応する。また、圧電素子11〜18がユーザインターフェース、制御部50・音響機器80・スピーカ90が出力手段、制御部50・電子音源70・音響機器80・スピーカ90が動機付け手段、のハードウェアに対応する。
実施形態と特許請求の範囲との対応を述べる。S110が推定手段、S150〜S180が動機付け手段、S150が補助手段、S170が合の手手段、のソフトウェアにそれぞれ対応する。また、圧電素子11〜18がユーザインターフェース、制御部50・音響機器80・スピーカ90が出力手段、制御部50・電子音源70・音響機器80・スピーカ90が動機付け手段、のハードウェアに対応する。
[6.他の形態]
(ア)圧電素子11〜18からの入力に応じて出力するのは、実施形態のように音でなくても、HUD60を用いた視覚情報でも良いし、運転席の振動などでも良い。
(イ)リズミカルに圧電素子11〜18を叩くための補助として出力するのは、実施形態のように音楽でなくても、HUD60を用いた視覚情報でも良いし、運転席の振動などでも良い。
(ウ)実施形態では、閾値以上の眠気レベルが推定されることが伴奏開始の必要条件になっていたが、眠気レベルに関わらず運転者からの入力に応じて、伴奏を開始するようにしても良い。また、閾値以上の眠気レベルを検出した場合、運転者の希望に関わらず伴奏を開始しても良い。
(エ)表情データは、実施形態では2次元座標を用いていたが、3次元座標を用いても良い。
(オ)眠気レベルの推定は、実施形態で説明したものでなくても、他の方法でも構わない。例えば、運転者の表情データと、学習データとのマッチングにおいて、統計的な処理をしても良い(例えばknn法)。
(カ)実施形態で述べた種々の値(眠気レベルの閾値など)は、変更しても構わない。
(キ)ステアリングホイールに設けるユーザインターフェースは、圧電素子でなくても、接点型のスイッチや、赤外線等を用いた非接触型のもの等でも良い。
(ク)実施形態では、覚醒支援処理の実行中でなくても、圧電素子からの信号に応じて音を出力するようになっていたが、覚醒支援処理の実行中にのみ音を出力するようにしても良い。
(ア)圧電素子11〜18からの入力に応じて出力するのは、実施形態のように音でなくても、HUD60を用いた視覚情報でも良いし、運転席の振動などでも良い。
(イ)リズミカルに圧電素子11〜18を叩くための補助として出力するのは、実施形態のように音楽でなくても、HUD60を用いた視覚情報でも良いし、運転席の振動などでも良い。
(ウ)実施形態では、閾値以上の眠気レベルが推定されることが伴奏開始の必要条件になっていたが、眠気レベルに関わらず運転者からの入力に応じて、伴奏を開始するようにしても良い。また、閾値以上の眠気レベルを検出した場合、運転者の希望に関わらず伴奏を開始しても良い。
(エ)表情データは、実施形態では2次元座標を用いていたが、3次元座標を用いても良い。
(オ)眠気レベルの推定は、実施形態で説明したものでなくても、他の方法でも構わない。例えば、運転者の表情データと、学習データとのマッチングにおいて、統計的な処理をしても良い(例えばknn法)。
(カ)実施形態で述べた種々の値(眠気レベルの閾値など)は、変更しても構わない。
(キ)ステアリングホイールに設けるユーザインターフェースは、圧電素子でなくても、接点型のスイッチや、赤外線等を用いた非接触型のもの等でも良い。
(ク)実施形態では、覚醒支援処理の実行中でなくても、圧電素子からの信号に応じて音を出力するようになっていたが、覚醒支援処理の実行中にのみ音を出力するようにしても良い。
1…覚醒支援システム、10…S/W、11〜18…圧電素子、20…カメラ、30…タッチパネル画面、40…増幅/フィルタ部、45…A/D部、50…制御部、60…HUD、70…電子音源、80…音響機器、90…スピーカ、210…スポーク部、220…把持部、230…回転軸部材
Claims (5)
- 車両のステアリングホイールに設けられ、そのステアリングホイールを運転者がステアリング操作のために握った状態において、両手の第2〜第5指の8本の指のうち少なくとも1本の指による情報入力操作が可能なユーザインターフェースと、
前記ユーザインターフェースによる情報入力操作をリズミカルに行うことの動機付けとなる情報である動機情報を、前記ユーザインターフェースを通じて入力された情報に基づいて生成し、その生成した動機情報を運転者に与える動機付け手段とを備える
ことを特徴とする覚醒支援装置。 - 前記ユーザインターフェースは、複数の指によって、それぞれ異なる種類の情報を入力できるようになっており、
前記動機付け手段は、前記ユーザインターフェースを通じて入力された異なる情報それぞれに応じて、前記動機情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の覚醒支援装置。 - 前記ユーザインターフェースは、接触によって情報入力操作を受け付けると共に、その接触の力の強さを検出するようになっており、
前記動機付け手段は、前記動機情報として音を出力する出力手段を備え、
前記出力手段は、前記ユーザインターフェースによって検出された接触力が強い程、出力する音を大きくする
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の覚醒支援装置。 - 前記動機付け手段は、前記情報入力操作が行われたタイミングに基づいて次に情報入力操作が行われるタイミングを予測し、その予測したタイミングよりも早いタイミングにおいて合の手を出力する合の手手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の覚醒支援装置。 - 運転者の眠気レベルを推定する推定手段を備え、
前記動機付け手段は、前記推定手段によって推定された眠気レベルが基準値以上の場合に、リズムを運転者に提示することで、前記情報入力操作をリズミカルに行うことを補助する補助手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の覚醒支援装置。
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