JP2011185184A - ヘリウム用密閉形スクロール圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】油ラインへのガス混入によるインジェクション配管部での振動による騒音を防止したヘリウム用密閉形スクロール圧縮機を提供する。
【解決手段】ヘリウム用密閉形スクロール圧縮機において、底チャンバ部の油板にモータ室と油室の圧力バランス機能用小穴とインジェクション油通路となる切欠き部を備える。これにより、油ラインへのガス混入を防止でき、従来におけるインジェクション配管部での振動や騒音の増加を防止し、入力バラツキの小さい高品質のヘリウム用密閉形スクロール圧縮機を得る。
【選択図】図1
【解決手段】ヘリウム用密閉形スクロール圧縮機において、底チャンバ部の油板にモータ室と油室の圧力バランス機能用小穴とインジェクション油通路となる切欠き部を備える。これにより、油ラインへのガス混入を防止でき、従来におけるインジェクション配管部での振動や騒音の増加を防止し、入力バラツキの小さい高品質のヘリウム用密閉形スクロール圧縮機を得る。
【選択図】図1
Description
本発明は、ヘリウムガスを用いている超高真空分野のクライオポンプ装置用ヘリウム圧縮機等に使用されるヘリウム用密閉形スクロール圧縮機に関する。
従来のヘリウム用密閉形スクロール圧縮機は、例えば、以下の特許文献1により既に知られている。
上記従来技術は、ヘリウム用密閉形スクロール圧縮機において、容器下部の油溜めを被う油板の形状に関するものであり、当該油板にインジェクションされた油を流すための通路を確保する形状に関する開示がある。当該特許文献1の図7にあるように、半周(半円)形状の油板場合、底チャンバの油面がガス流にさらされて変動して泡立つこと、それによって、油インジェクション配管側にヘリウムガスが混入して、当該油インジェクションラインの配管振動を増加し、騒音を発生するなどの問題がある。また、当該特許文献1の図3に開示された例においては、油板の片側半周部に通路穴がないため、油板の上下空間で微少な圧力差が発生し、そのため、当該油板の上方に溜まった油がスムースに落下せず、油板の上方に溜まった油がロータの下端部によって攪拌されて圧縮機入力が増加するという問題があった。
そこで、本発明は、上述した従来技術における問題点に鑑みて達成されたものであり、その目的は、上記の問題点である、油インジェクション配管側へのヘリウムガスの混入現象を防止し、かつ、高性能で圧縮機入力のバラツキのない、所謂、高品質化を図ったヘリウム用密閉形スクロール圧縮機を提供することにある。
本発明では、上述した目的を達成するため、作動ガスがヘリウムガスであり、密閉容器内に、圧縮機部とモータ部を収納し、前記圧縮機部は円板状鏡板に渦巻状のラップを直立する固定スクロールと旋回スクロールとをラップを互いに内側にしてかみ合わせ、前記旋回スクロールを回転軸に連設する偏心機構に係合し、前記旋回スクロールを自転することなく前記固定スクロールに対し旋回運動させ、前記固定スクロールには中心部に開口する吐出口と外周部に開口する吸入口を設け、当該吸入口より前記作動ガスを吸入し、前記両スクロールにて形成される圧縮室を中心に移動させて容積を減少して前記作動ガスを圧縮し、前記吐出口より圧縮ガスを容器室内の吐出室に吐出し、フレーム外縁部に設けた連通路を介して上部モータ室に導き、さらに、吐出管を介して器外に前記作動ガスを吐出し、前記作動ガスを冷却するための油インジェクション管を、前記密閉容器に貫通して、前記固定スクロールの鏡板部に設けた油注入用ポートに接続した油インジェクション機構部を備えたヘリウム用密閉形スクロール圧縮機において、前記フレーム外縁部に設けた前記連通路と対向するモータステータ外縁部には弓形状コアカット部を設け、底チャンバ部の油板には、下部モータ室と油室の圧力バランス機能用の複数の小穴を、その表面全体に亘ってほぼ均一になるように設けると共に、インジェクション油用通路となる切欠き部を前記コアカット部と反対側の外縁部に備えたヘリウム用密閉形スクロール圧縮機が提供される。
より詳細には、本発明によれば、圧力バランス機能用小穴を油板の外周部と内周部に、同一周上に、万遍なく、油板の表面全体に亘ってほぼ均一になるように設ける複数個設ける。かかる構成によれば、図1にも示すように、インジェクトされたミスト状の油とガスの混合体は、通路25bで下方向への流れ、その後、油板の外周部と衝突して、油板47の上を水平方向に方向変換し流動するものである。前記油板には、圧力バランス機能用小穴を外周部に複数個、内周部に複数個と、万遍なく設置することにより、両室の圧力バランスを確実に取ることが出来る。また、上記水平方向の流れの過程で、ミスト状の油はガス中から分離して油滴及び液体油となって油板47の上に溜まり、当該溜まった油は、水平方向の移動の流れの過程において、下方の油室1b3側に、上記小穴47g、47f、及び、切欠き部47a、47bを介して、圧力差がないことから、スムースに落下することが出来るようになる。
また、本発明によれば、密閉容器のケーシング下部に容器内油面を観察可能な油面計を設置し、当該油面計用ボス内の空間が前記油板の切欠き部と連通している。かかる構造によれば、当該油面計用ボス内の空間が油通路としての機能を有することとなる。更に、本発明では、密閉容器の底チャンバ部に容器内油面を観察可能な油面計を設置し、当該油面計の可視可能な下限位置が、前記底チャンバ部の油取り出し管の油流出の上限位置に対して上方となる位置関係になるようにする。かかる構成によれば、正確な油面管理と共に、油出口部となる油取り出し管側へのヘリウムガスの流出を確実に防止できることとなる。
上述した本発明の構成によれば、次の効果が達成される。
(1)油板上方のモータ室1b2と油室1b3との圧力バランスが、同一周上に設けられた複数の小穴47fにより確実に機能し、油板の上部に溜まっていたインジェクション油がスムースに油室側に、切り欠き部47a,47bを介して、落下することになる。その結果、底チャンバの油面が変動し、又は、泡立つことから解消される。かかる作用によって、油インジェクション配管側へのヘリウムガスの混入がなくなり、当該油インジェクション配管での振動が減少する。
(2)従来機にみられたロータウエイト部の油攪拌損失がなくなるので、油インジェクション量が過多の状態においても、図12の実線で示すように、圧縮機の入力変動がなく、入力のバラツキの小さい、即ち、高品質で高性能なヘリウム用スクロール圧縮機を提供できる。
(3)圧縮機の油面変動が解消されること、また、ロータウエイトでの油拡販損失が低減することによれば、圧縮機からの油上り量(油流出量)も大幅に低減できると共に、底チャンバに油を、常時、確保できるようになり、圧縮機の軸受け故障等を防止することができ、圧縮機全体の信頼性を更に向上することが出来る。
以下、本発明の実施例について、添付の図1〜図13を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態になる縦形構造の注油式密閉形ヘリウム用スクロール圧縮機の内部構造を示す縦断面図である。また、図2は、上記図1のA-A断面図であり、そして、図3及び図4は、当該スクロール圧縮機に設けられた本発明になる油板の平面図と縦断面図である。
図1及び図2に示すように、固定スクロール5の外縁部と、主軸受部40や補助軸受部39を内部に有したフレーム7の外縁部には、吐出室1aとモータ室1b(1b1)とを連通する通路18(18a、18b)を設けている。これらの通路18a、18bと鉛直方向で対向するモータステータ3aの外縁部には、図7に示すように、弓形状のコアカット部25bが設けられており、更に、その他の三ヶ所にも、コアカット部25a、25c、25dが同一周上に等間隔で設けられている。
なお、ここに示す実施例は、モータの外周部が容器密閉2の内壁面2mに密着して固定される構造であり、電動機部3の下方には、油溜めを被うための油板47が設けられている。底チャンバ部2cの内部と、ケーシング2bの内部とを区分するように、当該油板47を設置し、そして、当該油板47には、図3及び図4に示すように、下部モータ室1b2と油室1b3との間の圧力バランスを保つように機能する小穴47e、47f、47gが、同一の円周上に、複数個、換言すれば、当該油板47の表面全体に亘ってほぼ均一になるように設けられている。なお、これら小穴47e、47f、47gの径は、実用的には、5HPクラスで4mm〜5mmであり、外側の同一の周上に均等に8個、更に、内側の同一周上には3個が開設されている。本構成によれば、下部モータ室1b2と油室1b3との間の圧力バランスが、油板47の外周部と内周部とで、万遍なく取れることになる。
また、これら圧力バランス機能用の小穴47e、47f、47gは、油が落下するための通路機能をも備えている。また、大量のインジェクション油用の通路(油排出通路機能)となる切欠き部47a、47bを、前記コアカット部25b側と反対側の外縁部に備えている。当該切欠き部は1個だけでもよく、又は、最大2個までが適正となる。当該切欠き部47a、47bの大きさは、矩形状の場合には、5mm×20mm前後の寸法が好適である。また、当該切欠き部47a、47bの形状として、上述した矩形状であってもよく、又は、図3の破線にて示すように、半円弧状切欠き47mであってもよい。
なお、本発明では、ガス流が油板47の上を流れる水平方向の終端部となる、通路(コアカット部)25c(図7参照)の下方部の位置において、当該油板47の外縁部に、当該切欠き部47aを設定するものである。これにより、インジェクトされたミスト状油とガスは、通路(コアカット部)25b(図7参照)を下方向へ流れ、当該油板47の外周部と衝突して、油板47の上で同じ水平方向に方向変換して流動する。その流れの過程で、ミスト状油はガス中から分離し、それぞれ、油滴及び液体油となって油板47の上に溜まる。このようにして油板47上に溜まった油は、水平方向への移動の流れの過程において、下方の油室1b3側に、上記小穴47g、47f、及び、切欠き部47a、47bを介して、圧力差がなくなり、スムースに落下する。同時に、また、油面変動は解消されることになる。
また、上記の構成において、当該切欠き部47a、47b(47m)は、吐出管20側(図2参照)に設置することが好ましい。なお、この位置関係が最も効果があることが、実験的に確認された。例えば、仮りに、図1において、上記切欠き部47aが通路(コアカット部)25bの真下に位置した場合、流れの方向が、油の落下方向である垂直方向と、ガス流の油板47の上を流れる水平方向とに分かれ、即ち、油が落下して流れる方向と、ガスが流れる方向とで異なる。そのため、当該切欠き部47aの上記油通路機能が阻害されるためである。なお、油板47は、例えば、t=1mm程度の薄板を材料として47cと47dのリング状の凹凸部を形成した、所謂、補強リブ構造を備えている。
図5は、上記図1に対して、密閉容器2のケーシング2bの下部に、容器内油面が観察可能となるように、油面計50を設置した実施例である。図7は、上記図5のB−B断面図である。図8は、上記図5のC−C断面図である。上記の油面計50のボス部51内の空間50cが、前記油板47の切欠き部47bと連通している。また、上記油面計50は、サイトグラス部50aと保持部50cとからなり、保持部50cはボス部51と、ネジ締結により密封された構造となっている。本構造によれば、油面観察機能と共に、当該ボス部51内の空間50dがインジェクトされた油用通路としての機能をも奏することになり、油板47上での油溜まり現象をさらに抑制することが出来る。なお、図6は、上記図5にその内部構造示した圧縮機の外観図である。また、上述したように、油面計50の周方向での位置は、コアカット部25bの通路側と反対の位置関係となり、上方向にガスが流れるコアカット部25cの通路側と同一位置となる。
ここで、上記図1と図6を用いて、本発明のヘリウム用スクロール圧縮機の全体構造について説明する。
図1に示すように、作動ガスがヘリウムガスであり、当該作動ヘリウムガスを冷却するための油インジェクション管31を、密閉容器2の上蓋2aを貫通して固定スクロール5の鏡板部5aに設けた油注入用ポート22aに接続し、当該油注入用ポート22aの開口部は、旋回スクロール6のラップ6bの歯先面に対向して開口している。密閉容器2内の吸入配管17側となる上部にはスクロール圧縮機構部が、下側にはモータ部3が収納されている。そして、密閉容器2内は、吐出室1aと、そして、フレーム7を挟んで、モータ室1bとの二つの室に区画されている。スクロール圧縮機構部では、固定スクロール5と旋回スクロール6とを互いに噛み合せて、圧縮室(密閉空間)8を形成している。
上記の固定スクロール5は、円板状の鏡板5aと、これに直立したインボリュート曲線又はこれに近似の曲線状に形成されたラップ5bとからなり、その中心部には吐出口10を、そして、その外周部には吸入口15(15a、15b)を備えている。旋回スクロール6も、また、円板状の鏡板6aと、これに直立し、固定スクロールのラップと同一形状に形成されたラップ6bと、鏡板の反ラップ面に形成されたボス部6cとからなっている。
また、図1において、フレーム7は、その中央部に軸受部40を形成し、この軸受部に回転軸14が支承され、そして、当該回転軸14の先端の偏心軸14aは、上記ボス部6cに旋回運動が可能なように挿入されている。また、フレーム7には、固定スクロール5が、複数本のボルトによって固定されており、他方、旋回スクロール6は、オルダムリング及びオルダムキーよりなるオルダム機構38によって、フレーム7に支承されており、旋回スクロール6は固定スクロール5に対し、自転しないで旋回運動をするように形成されている。
上記回転軸14には、モータ軸14bが一体に連設されており、換言すれば、モータ部3と直結している。固定スクロール5の吸入口15には、密閉容器2の上蓋2aを貫通して、吸入管17が接続されており、他方、吐出口10が開口している吐出室1aは、フレーム7の外縁部の通路18a、18bを介して、モータ室1b(1b1、1b2)と連通している。このモータ室1bは、密閉容器2の中央部においてケ−シング部2bを貫通する吐出管20に連通している。この吐出管20は、上記通路18a、18bの位置に対してほぼ反対側の位置に設置されている。これら両者18(18a、18b)、20の位置関係は、通路18(18a、18b)を通過したガスとインジェクション油の混合体が、当該通路18(18a、18b)の鉛直方向に設けられた通路25bへ向かって下方向へ流れる経路と、ステータ3の上面3fやその周囲のコイルエンド部3cとの衝突により水平方向で二手に分かれて容器内壁に沿って流れる経路とに、即ち、2方向(厳密には3方向)に分流することになる。
そして、上部モータ室1b1では、モータステータ3aと、ケ−シング部2bの内壁面2m側との間に、ガスと油の流路部となる円弧状の通路25bを形成し、更に、その他の流路部として、上記図7で示すように、通路25a、25c、25dが形成されている。なお、上記通路25bでは、主にガスとインジェクション油の混合体が下方向に向う流れとなり、他方、通路25cでのみ、主に油を分離した作動ガスが上方向に向う上昇流となる。また、モータエアーギャップの隙間26(図1参照)もガス通路となり、当該隙間26を介して、空間1b1と空間1b2とが連通している。
このような容器内部でのモータ室1b1、1b2のガスと油の混合体の流れによって、60°C〜70°C前後の比較的低温なインジェクション油による、モータの直接冷却が可能となる。また、それらの両空間では、ガス中の油は、ガスから分離されて下方に流れることとなる。なお、図中の符号70(図1参照)は、ハーメチック端子部である。なお、吸入管17bと固定スクロール5との間には、高圧部と低圧部とをシールするOリング53を設けている。また、吸入管17内には、逆止弁手段13が設けられ、当該逆止弁13は、圧縮機停止時での回転軸14の逆転を防止すると共に、密閉容器内の潤滑油が低圧側に流出するのを防止するものである。また、旋回スクロール6の鏡板の背面には、スクロール圧縮機部とフレーム7で囲まれた空間36(以下、「背圧室」と呼ぶ)が形成され、この背圧室36には、旋回スクロールの鏡板に穿設した細孔6dを介して、吸入圧力と吐出圧力の中間の圧力Pbが導入され、旋回スクロール6を固定スクロール5に押付ける軸方向の付与力を与えている。
そして、潤滑油23は密閉容器2の底部に溜められており、この潤滑油23は、密閉容器1内の高圧圧力と、上記背圧室36の中間圧力Pbとの間の差圧により、油吸上管27へ吸上げられた後、回転軸14内を流れ、旋回軸受32、横穴51を介して、補助軸受39、主軸受40へ給油される。軸受40、32へ給油された油は、その後、前記背圧室36を経て、前記穴6dを介してスクロールラップの圧縮室8へ注入され、そこで圧縮ガスと混合され、次いで、ヘリウムガスと共に吐出室1aへ吐出される。なお、
前記密閉容器1の底部には、当該底部に溜められた潤滑油23を器外へ取り出すための、所謂、油取り出し管30が設けられている。
前記密閉容器1の底部には、当該底部に溜められた潤滑油23を器外へ取り出すための、所謂、油取り出し管30が設けられている。
また、上記密閉容器2の上蓋部2aには、スクロール圧縮機構部の圧縮途中の圧縮室8へ、油を注入するための、所謂、油インジェクション管31が設けられている。上記図6は、本発明の一実施例であるヘリウム用密閉形スクロール圧縮機100の外観と共に、それを含む注油系統図の例を示している。図6に示すように、密閉容器2の底部に溜められた潤滑油23は、密閉容器内の圧力(吐出圧力Pd)と前記圧縮室8の圧力(吐出圧力以下の圧力)との差圧によって、油取り出し管30の流入部30a(図1参照)から当該油取り出し管30内へ流入していく。
一方、上述した円弧状のガス流路部(コアカット部)25bを流出したガスと油は、油板47に至る。そこで、方向変換されて水平方向のガスと油の混合体の流れとなり、ガス中の油は分離されて、油板47の上面に溜まることになる。その後、当該油は、ガス流にて、油板47の外縁部の切欠き部47a、47bに導かれ、下方の底チャンバ部に落下する。底チャンバ内の油は、ヘリウムガスの混入度合いが大きく減少していることから、油取り出し管30の油入り口部30a内へ流入した油は、外部油配管66を通って油冷却器33へ至り、ここで、適宜、冷却された後、油配管66a、66bを介して、油インジェクション管31及びポート22を経て、差圧を利用して、圧縮室8へ注入される。
この時、上記油ラインへのヘリウムガスの混入がないことから、曲がり配管などでの油とガスの流動に伴う、間欠的な、配管への力の発生による当該インジェクション配管部での振動増加現象を解消し抑えることができる。なお、図中の符号60は、油流量調節弁である。この様にして、上記密閉容器1内の圧縮室8へ注入された油は、当該圧縮室8内において、作動ガスの冷却作用およびスクロールラップ先端部等の摺動部を潤滑する役目を果す。そして、この油は、作動ガスと共に圧縮された後、吐出口10より吐出室1aへ吐出され、前述したと同様に、モータ室1b(1b1)で作動ガスから分離され、通路25a、25b、25d,28aなどを介して流下し、上記密閉容器2の底部に溜まる。
次に、添付の図9から図11は、上述したように、密閉容器2の底チャンバ部2cに、容器内の油面を観察可能とする油面計50を設置した実施例である。そして、図11に示すように、当該油面計50による可視可能な下限位置50mが、前記底チャンバ部2cの油出口部330の油流出上限位置330mに対して、上方となる位置関係としている。かかる構成とすることによれば、油面計の目視による観察により、圧縮機内部の油面の管理が確実となり、油面の異常な低下を防止することが出来る。そのため、これまでの油面の異常な低下に伴う油インジェクション配管側へのヘリウムガスの混入がなくなり、当該油インジェクション配管の振動を減少することが可能となる。
なお、圧縮機の油面レベルは、単に、(1)圧縮機への初期封入油量の他に、(2)上記図6に示した油インジェクション配管66、66a、66bのサイズや長さによって決められる油配管の容量と、(3)油冷却器33の大きさ・油封入容量と、そして、(4)運転中のインジェクション流量によって決まる。上記の特定した底チャンバ部において油面計を設置した構造によって、上記油サイクルの全体封入油量を決めることができるようになる。このような正確な油面レベルの管理機能と共に、油出口部となる油取り出し管側へのヘリウムガスの流出を、確実に防止できるようになる。
また、上記図6のケーシング部2bに油面計50を設置する場合には、特に、溶接時において、当該ケーシング部2bの変形が容易となることから、かかる溶接時の変形を抑える必要性がある。一方、上記図9に示す構造の場合には、上記溶接時の変形に関する問題は小さくなり、圧縮機の密閉容器の組立性が向上する。
なお、図9において、吸入配管部317、吐出配管部320、油出口部330、油インジェクション管331の各配管の接続を、ロー付け作業でも可能となるように、各配管の先端部には、拡管部317a、330b、331a、320aを形成し、所謂、エルボ構造の配管接続構造としている。
また、図9の油出口の構成によれば、配管接続部におけるヘリウムガスの漏れをほぼ完全になくすことが可能である。なお、図9において、油出口部330のエルボ配管部330aは、上方向に立ち上げた構造とする。これによれば、油配管66の左右方向のいずれの方向にも配管施工が可能となり、油配管作業性の融通性が向上することとなる。なお、図中の符号21は、各配管の先端部の拡管部を密封するためのゴム栓である。また、上記蓋キャップ部2aにおいて、上記エルボ構造の配管構造317、331を採用することによって、全体としてユニット高さを低く抑え、かつ、圧縮機ユニットの小型軽量化を図ることができるという効果もある。また、図10にも示すように、吸入配管317と油インジェクション管331の接続位置は、互いに、反対方向に向かう位置関係で、ほぼ並行に設定している。
このような構成によれば、ユニット側の銅配管とのロー付け作業において、相手側配管部への過熱を防止できる等のロー付け作業性が向上できるという効果がある。
最後に、本発明になるヘリウム用密閉形スクロール圧縮機により得られる特性(油インジェクション量があるQinに対する圧縮機入力Winの関係)を、従来機のそれと比較しながら、添付の図12に示す。
この図からも明らかなように、従来機では、油インジェクション量がある値Qin1を超えると、急激に、圧縮機入力Winが増加する傾向を示す。これは、上述したように、油板の上方に溜まった油の落下がスムースでないため、油板上方に溜まった油がロータ下端部によって攪拌されて圧縮機入力が増加したものであると考えられる。なお、その要因としては、油板上方のモータ室と底チャンバ部の油室との圧力バランスの保持が十分に機能しないことが考えられ、これは、ヘリウムガス流による風圧の影響等による微少な圧力差が油板の上下空間に発生することによる影響であると思われる。
これに対し、本発明によれば、従来機にみられたロータウエイト部の油攪拌損失がなくなることから、油インジェクション量が過多の状態においても、図に実線で示すように、圧縮機の入力変動がなくなり、入力のバラツキの小さくなる。即ち、これにより、高品質で高性能なヘリウム用スクロール圧縮機を提供できる。
1a…吐出室、1b1、1b2…モータ室、1b3…油室、2…密閉容器、2c…底チャンバ、3…モータ部、3a…モータステータ、3b…モータロータ、3c…モータコイルエンド部、5…固定スクロール、6…旋回スクロール、8…圧縮室、9b…ロータウエイト、10…吐出口、7…フレーム、15…吸入口、14…回転軸、27…油吸上管、17…吸入管、18、18a、18b…通路、20…吐出管、22…油注入用ポート、23…潤滑油、25…コアカット部、40…主軸受、39…補助軸受、30…油取り出し管、31…油インジェクション管、32…旋回軸受、47…油板、47a…切欠き部、47e、47f、47g…小穴、50…油面計、51…油面計用ボス。
Claims (3)
- 作動ガスがヘリウムガスであり、密閉容器内に、圧縮機部とモータ部を収納し、前記圧縮機部は円板状鏡板に渦巻状のラップを直立する固定スクロールと旋回スクロールとをラップを互いに内側にしてかみ合わせ、前記旋回スクロールを回転軸に連設する偏心機構に係合し、前記旋回スクロールを自転することなく前記固定スクロールに対し旋回運動させ、前記固定スクロールには中心部に開口する吐出口と外周部に開口する吸入口を設け、当該吸入口より前記作動ガスを吸入し、前記両スクロールにて形成される圧縮室を中心に移動させて容積を減少して前記作動ガスを圧縮し、前記吐出口より圧縮ガスを容器室内の吐出室に吐出し、フレーム外縁部に設けた連通路を介して上部モータ室に導き、さらに、吐出管を介して器外に前記作動ガスを吐出し、前記作動ガスを冷却するための油インジェクション管を、前記密閉容器に貫通して、前記固定スクロールの鏡板部に設けた油注入用ポートに接続した油インジェクション機構部を備えたヘリウム用密閉形スクロール圧縮機において、
前記フレーム外縁部に設けた前記連通路と対向するモータステータ外縁部には弓形状コアカット部を設け、底チャンバ部の油板には、下部モータ室と油室の圧力バランス機能用の複数の小穴を、その表面全体に亘ってほぼ均一になるように設けると共に、インジェクション油用通路となる切欠き部を前記コアカット部と反対側の外縁部に備えたことを特徴とするヘリウム用密閉形スクロール圧縮機。 - 前記請求項1に記載したヘリウム用密閉形スクロール圧縮機において、さらに、前記密閉容器のケーシング下部に、当該容器内の油面を観察可能とする油面計を設置し、かつ、当該油面計用ボス内の空間が前記油板の前記切欠き部と連通していることを特徴とするヘリウム用密閉形スクロール圧縮機。
- 前記請求項1に記載したヘリウム用密閉形スクロール圧縮機において、さらに、前記密閉容器の前記底チャンバ部には、当該容器内の油面を観察可能とする油面計を設置し、かつ、当該油面計の可視可能な下限位置が、前記底チャンバ部の油取り出し管の油流出の上限位置に対して上方となる位置関係であることを特徴とするヘリウム用密閉形スクロール圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010052104A JP2011185184A (ja) | 2010-03-09 | 2010-03-09 | ヘリウム用密閉形スクロール圧縮機 |
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JP2010052104A JP2011185184A (ja) | 2010-03-09 | 2010-03-09 | ヘリウム用密閉形スクロール圧縮機 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021021370A (ja) * | 2019-07-29 | 2021-02-18 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | スクロール圧縮機 |
JP2021124015A (ja) * | 2020-01-31 | 2021-08-30 | ダイキン工業株式会社 | 油分離部材を備えるスクロール圧縮機 |
-
2010
- 2010-03-09 JP JP2010052104A patent/JP2011185184A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021021370A (ja) * | 2019-07-29 | 2021-02-18 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | スクロール圧縮機 |
JP7407365B2 (ja) | 2019-07-29 | 2024-01-04 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | スクロール圧縮機 |
JP2021124015A (ja) * | 2020-01-31 | 2021-08-30 | ダイキン工業株式会社 | 油分離部材を備えるスクロール圧縮機 |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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