JP2011184424A - “水とは任意の割合で溶解するか、あるいは完全ではないが水とかなり溶解するが、エタノールに対しては部分的にしか溶解しない性質を有する”イオン液体を溶剤として用いた抽出法による、エタノール中の微量水分の脱水プロセス - Google Patents
“水とは任意の割合で溶解するか、あるいは完全ではないが水とかなり溶解するが、エタノールに対しては部分的にしか溶解しない性質を有する”イオン液体を溶剤として用いた抽出法による、エタノール中の微量水分の脱水プロセス Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】水とは任意の割合で溶解するが、エタノールとは部分的にしか溶解しない性質を有する、1−Ethyl−3−methylimidazorium tetrafluoroborateに代表される、イオン性液体を溶剤として用いる液液抽出法により、エタノール中の微量水分を高度脱水するプロセス。
【選択図】図9
Description
「水とは任意の割合で溶解するか、あるいは完全ではないが水とかなり溶解するが、エタノールに対しては部分的にしか溶解しない物質」
があることに注目した。逆の性質を示す有機化合物、即ち、エタノールとは任意の割合で溶解し、水にはほとんど溶解しない有機化合物は多数存在するが、上記「 」に属する物質を有機化合物から見出すのは極めて困難である。たぶんこのような性質を示す有機化合物は存在しないか、たとえあったとしても極めて限られた物質ではないかと思われる。
申請者は上記「 」に属する物質として以下のイオン液体に着目した。
1.1−Ethyl−3−methylimidazorium tetrafluoroborate(略称:EMImBF4)
2.1−Allyl−3−ethylimidazolium tetrafluoroborate(略称:AEImBF4)
3.N,N−Diethyl−N−methyl−N−(2−methoxethyl)ammonium teterafluoroborate(略称:DEME BF4)
4.1−Allyl−3−methylimidazolium tetrafluoroborate(略称:AMImBF4)
5.1,3−Diallylimidazolium teterafluoroborate(略称:AAImBF4)
上記1〜5の物質中、3の物質だけが脂肪族アンモニウムカチオンで、残りは全てイミダゾリウムカチオンである。アニオンはすべて[BF4]−1イオンである。
1〜4の物質は、“水と任意の割合で溶解するが、エタノールとは部分的にしか溶解せず二液相を形成する”イオン液体である。さらに5の物質は、“水にも、エタノールにも部分的にしか溶解しない”イオン液体である。
このうち2〜5につては、関東化学株式会社のカタログにエタノールに不溶であることが記載されている。1)
図1および2に、それぞれ抽剤として利用できる系と、利用できない系の例を図示した。図1では、原料(F点)に抽剤(S点)を加えて抽出したときに、タイラインの傾き(線分RE)の方が、線分FSの傾きより上向き(右上がり)になっている。このときには、抽出相(点E)と抽残相(点R)からイオン液体を取り除くと、それぞれ点E’と点R’のエタノール水溶液が得られ、
点E’(水の含有量)>点R’(水の含有量)
となる。
それに対して、図2で同様な操作を行うと、点E’(水の含有量)<点R’(水の含有量)となり、抽残相(点R)中の水の含有量が、原料(点F)中の水の含有量よりも多くなってしまう。図1の系は抽出に利用できるが、図2の系は利用できない。
エタノール中の水を除くための抽出操作では、常に
であること、すなわち選択度βが
であることが要求される。βが1より大きければ大きいほど、エタノールから容易に水を抽出できるようになる。
1.エタノール+水+EMImBF4
2.エタノール+水+AEImBF4
3.エタノール+水+DEME BF4
を278.2および288.2Kで測定して相平衡状態を調べた。そしてその結果をそれぞれ図3、4および5に示した。さらにこれらの系の選択度を図6にまとめて示した。
図4および5より、AEImBF4およびDEME BF4ではともに、278.2Kでエタノール濃度94wt%以上(水6wt%以下)であれば、抽出で脱水できることが分かる。これらのイオン液体では、更に低温にしないとエタノール濃度90%wt(水10wt%)からの脱水はできない。さらに2および3の系は温度依存性が非常に大きいことや、低温にすると選択度の値は10以上になる領域もあること分かった。
さらに4および5のイオン液体については、現時点ではまだ測定していなが、1〜3のイオン液体と同様な平衡特性を有することが期待される。
日本では、広い土地がないので、木材、紙や繊維等のセルロースを加水分解して、グルコースやその他の単糖類に変えて、これらを発酵させてエタノールを得ることが検討されている。この方法でも得られる発酵エタノールの濃度は、サトウキビやトウモロコシの発酵から得られる濃度と同程度であるので、無水エタノール得るためには高度の精製法が必要である。
図7に大気圧のエタノール+水系の気液平衡関係を示した。図7の▲印が共沸点に相当する。
このため発酵液は、以下のような二段階の工程で精製されている。
▲1▼まず発酵液は通常の蒸留によりエタノール濃度95vol%(85.3mol%、94wt%)まで精製される。▲2▼ついで、このエタノールは、共沸蒸留法や抽出蒸留法により、無水状態(エタノール濃度98.4mol%すなわち99.4wt%以上)にまで精製される。
代表例として、ブラジルで行われている共沸蒸留によるバイオエタノール脱水工程の概要を図8に示した。2)
最近では図8の▲2▼工程部分では、共沸蒸留法や抽出蒸留法に替って、吸着法および膜分離法を使用することも行われている。2)
Claims (6)
- 本発明は、“水とは任意の割合で溶解するが、エタノールとは部分的にしか溶解しない性質を有する”イオン液体である1−Ethyl−3−methylimidazorium tetrafluoroborate(略称:EMImBF4)を溶剤として用いる液液抽出法により、エタノール中の微量水分を高度脱水するプロセスであることを特徴とする。
- 本発明は、“水とは、任意の割合で溶解するが、エタノールとは部分的にしか溶解しない性質を有する”イオン液体である1−Allyl−3−ethylimidazolium tetrafluoroborate(略称:AEImBF4)を溶剤として用いる液液抽出法により、エタノール中の微量水分を高度脱水するプロセスであることを特徴とする。
- 本発明は、“水とは任意の割合で溶解するが、エタノールとは部分的にしか溶解しない性質を有する“イオン液体であるN,N−Diethyl−N−methyl−N−(2−methoxethyl)ammonium teterafluoroborate(略称:DEME BF4)を溶剤として用いる液液抽出法により、エタノール中の微量水分を高度脱水するプロセスであることを特徴とする。
- 本発明は、“水とは任意の割合で溶解するが、エタノールとは部分的にしか溶解しない性質を有する”イオン液体である1−Allyl−3−methylimidazolium tetrafluoroborate(略称:AMImBF4)を溶剤として用いる液液抽出法により、エタノール中の微量水分を高度脱水するプロセスであることを特徴とする。
- 本発明は、“水ともエタノールとも部分的にしか溶解しない性質を有する”イオン液体である1,3−Diallylimidazolium teterafluoroborate(略称:AAImBF4)を溶剤として用いる液液抽出法により、エタノール中の微量水分を高度脱水するプロセスであることを特徴とする。
- 本発明は、上記[請求項1]または[請求項5]の性質を有するイオン液体を溶剤として用いる液液抽出法により、エタノール中の微量水分を高度脱水するプロセスであることを特徴とする。
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